【実施例1】
【0016】
本実施例では、光学的に半導体ウェハの欠陥を検出する装置の例を説明する。
図1Aに、本実施例に係る欠陥検査装置1000の概略の構成を示す。本実施例に係る欠陥検査装置1000は、ステージ部100と、照明光学系200、検出光学系部300、画像処理部75、オペレーションシステム80、機構系制御部85を備えて構成される。
【0017】
ステージ部100は、検査対象のウェハ1を載置してZ方向に移動可能なZステージ105、Zステージを搭載してZ軸周りに回転可能なθステージ110、θステージを搭載してX軸方向に移動可能なXステージ115、Xステージを搭載してY軸方向に移動可能なYステージ120を備えている。Zステージ105には、ウェハ1を保持するためのウェハチャック101が装着されている。
【0018】
照明光学系部200は、斜方照明系201と垂直照明系202とを備えている。
斜方照明系201は、レーザ光源5、シャッタ7、アッテネータ8、ビームエクスパンダ9、平面ミラー10及び13、1/2波長板16,1/4波長板20、平面ミラー25、円筒型集光レンズ30を備え、レーザ光源5から発射したレーザビームの径をビームエクスパンダ9で拡大し、1/2波長板16と1/4波長板20を透過させて偏光の状態を調整し、円筒型集光レンズ30で一方向に長い形状に成形してZステージ105上でウェハチャック101で保持されているウェハ1に斜方から照明する。
【0019】
一方、垂直照明系202は、レーザ光源5から1/4波長板までの構成を斜方照明系201と共有しており、更に、1/4波長板20と平面ミラー25との間に出し入れ可能に配置された平面ミラー24、平面ミラー24で反射されたレーザビームを反射する平面ミラー26、平面ミラー26で反射されたレーザビームを一方向に長い形状に成形する円筒集光レンズ27、円筒集光レンズ27で一方向に長い形状に成形したレーザビームを反射してウェハ1に垂直な方向から照射する反射ミラー28を備えて構成されている。
【0020】
平面ミラー24は、1/4波長板20から平面ミラー25へ向かうレーザビームの光路中に出し入れ可能でレーザビームを上方に反射し、平面ミラー26は、平面ミラー24で光路を上方に折り曲げられたレーザビームをウェハ1の上面に対して平行な方向に反射する。円筒集光レンズ27は、平面ミラー26で反射されたレーザビームを一方向に長い形状に成形し、反射ミラー28は、検出光学系部300の対物レンズ40の光軸上に配置されて円筒集光レンズ27で一方向に長い形状に成形されたレーザビームを反射して対物レンズ40の光軸に沿ってウェハ1の表面に垂直方向から、ウェハ1上で斜方照明系201により線上照明光35を照射する位置と同じ位置に照射する。
【0021】
検出光学系部300は、対物レンズ40,50,60と、それぞれの対物レンズで集光されたウェハ1の表面からの散乱光の像を結像する結像レンズ系41,51,61、それぞれの結像レンズで結像された光学像を検出するイメージセンサ45,55,65、それぞれのイメージセンサを対応する対物レンズの光軸方向に沿って駆動する光軸方向駆動機構47,57,67、それぞれのイメージセンサを対応する対物レンズの光軸に対して直角な方向に駆動する光軸直角方向駆動機構49,59,69を備え、一方向に長い形状に成形されたレーザが照射されたウェハ1からの散乱光を対物レンズ40,50,60で集光して結像レンズ系41,51,61で形成したそれぞれの像をイメージセンサ45,55,65で検出するように構成されている。
【0022】
また、欠陥検査装置1000は、Zステージ105に載置されたウェハ1の表面の高さを検出するためのオートフォーカス用高さ検出部(AF系)130として、光照射部131と受光部135とを備えている。
【0023】
上記した構成により、ウェハチャック101で保持された検査対象のウェハ1に対して、レーザ光源5から発射されて、円筒型集光レンズ30で一方向に長い形状に成形されたレーザを斜方より細線照明光35としてウェハ1に照射する。ウェハ1に照射される細線照明光35は長手方向がY方向であり、ウェハ1を等速に走査するX方向には収束されて細くなるように成形されている。このX方向の線幅は、0.5〜2.0um程度に絞られている。
【0024】
照明光学系部200は、
図A1に示すように、レーザ光源5から円筒型集光レンズ30までで構成されている。レーザ光源5から発射するレーザの候補は、UV(Ultraviolet)領域の355nmやDUV(Deep UV)域の266nm及び213nm,199nm,193nmなどがある。さらに,これらのうちの複数の波長を含むレーザにて照明することも考えられる。
【0025】
レーザ光源5から発振されたレーザビームは、シャッタ7にて透過と遮光を制御され、アッテネータ8に入射して透過光量を調整される。ウェハ1上に所望の形状に成形した細線照明光35を照射するために、ビームエクスパンダ9にてビーム径が整形され、平面ミラー10、13にて光路が折り曲げられる。この平面ミラー10,13はそれぞれに、レーザビームが入射する方向(矢印11および14の方向)に移動させる機構10’及び13’と反射光を入射面内で角度調整(矢印12および15の方向)するチルト機構10”、13”が設けられており、レーザ光源5から出射したレーザビームの位置と角度を補正する機能を有している。さらに、照明光の偏光を制御するために1/2波長板16と1/4波長板20はそれぞれ独立して矢印17及び22の方向に回転させる回転機構16’、20’とが取り付けられている。ウェハ1における偏光の例としてはS偏光・P偏光やウェハ1に形成されたパターンピッチ方向に振動する直線偏光(SとP偏光の途中偏光)であったり、任意の楕円偏光が考えられる。
【0026】
平面ミラー25は、1/4波長板20を透過したレーザビームをウェハ1の側に反射させ、円筒型集光レンズ30にてウェハ1上に細線照明35を形成する。ウェハ1上の細線照明光35が照射される領域は、平面ミラー25と円筒型集光レンズ30を一体として平面ミラー25のレーザビーム入射方向(矢印27の方向)にシフトするX方向シフト機構25’にて照明位置のX方向の位置調整が可能である。さらに、ウェハ1上に照射する細線照明光35のフォーカスを調整するために、円筒型集光レンズ30を細線照明光35の光軸方向(矢印32の方向)にシフトさせるフォーカス調整機構30’も備えている。
【0027】
ウェハ1の細線照明光35が照射された領域から発生した散乱光のうち3つの対物レンズ40,50,60の方向に散乱した光は、それぞれ3つの対物レンズ40,50,60にて捕捉され、結像レンズ系41,51,61によりイメージセンサ45,55,65上にそれぞれ光学像が形成されて、それぞれの光学像がイメージセンサ45,55,65により検出される。イメージセンサとしては、CCD(Charge Coupled Device)がライン上に配列されたラインセンサやTDI(Time Delay Integration)型センサ及び、CMOS(Complementary Metal Oxide Semicon-ductor)型イメージセンサがある。これらのイメージセンサは、ウェハ1上の細線照明光35が照射される領域とイメージセンサ45,55,65の受光面がそれぞれ共役な関係となるように、少なくても2軸の位置調整機構(光軸方向駆動機構47,57,67と光軸直角方向駆動機構49,59,69)が備えられている。
【0028】
イメージセンサ45の例では、光軸方向に移動する光軸方向駆動機構47にて、フォーカスの合った像面にイメージセンサ45の受光面を位置決めする。さらに、ウェハ1上の細線照明光35が照射された領域から散乱した光のうちレンズ40に入射した光は、結像レンズ系41により像面に線状に結像する。この線状に結像した光学像の幅方向の中心とイメージセンサ45の受光部の幅方向の中心が一致するように、イメージセンサ45を幅方向に移動させる機構である光軸直角方向駆動機構49にてイメージセンサ45を幅方向に位置決めする。同様に、イメージセンサ55は、光軸方向に移動させる光軸方向駆動機構57とイメージセンサ55の幅方向に移動させる光軸直角方向駆動機構59及び、イメージセンサ65の場合は、光軸方向に移動させる光軸方向駆動機構67とイメージセンサ65の幅方向に移動させる光軸直角方向駆動機構69にてそれぞれのイメージセンサを位置決めする。
【0029】
それぞれのイメージセンサ45,55,65にて同時検出した3つの画像データは、画像処理部75に送られる。画像処理部75では、隣接ダイ画像や基準画像などと位置合せを行い、差画像算出やそれぞれの画像の特徴量算出を行う。これらの差画像データや特徴量を予め設定したしきい値と比較することにより、欠陥を判定する。これらのデータは、オペレーションシステム80に送られ、GUI(Graphical User Interface)(図示せず)を通して、検出した欠陥のマップや座標及び大きさなどの特徴量を表示可能としている。
【0030】
この、オペレーションシステム80は、上位システムと繋がっており、たとえば上位システムを介して、検査の指示や過去の検査データの検索・表示及び、検査レシピのセットアップなど指示できる構成である。たとえば、オペレーションシステム80に検査の指示をした場合は、機構系制御部85を介して、検査シーケンスの順に各駆動部が動作する。
【0031】
検査シーケンスの動作ステップとしては、
図1Bに示したように、
検査レシピにて登録された光学条件になるように、光学部品を設定する(S101)。
チャック横に常設されたパターンチップ150を対物レンズ40,50,60の共通物点に移動する(S102)。
パターンチップ150に細線照明光35を照射し、パターンチップ150の表面の高さを合わせる(S103)。
細線照明光35が照射された領域からの回折光を対物レンズ40,50,60にて捕捉し、細線照明光35が照射された領域の幅中心と各イメージセンサ45,55,65の幅(画素の並びと直交する方向の1画素の幅:ウェハスキャン方向に対応する1画素の幅)の中心が一致するようにイメージセンサの移動機構47,49,57,59,67,69にて位置決めする(S104)。
検査対象のウェハ1をローディングし、チャック130にウェハ1を吸着する(S105)。
Xステージ115、Yステージ120、θステージ110にてウェハ1のX,Y,θ(回転)をアライメントする(S106)。
検査開始位置にウェハ1を位置決めし、X方向に等速移動しながらイメージセンサ45,55,65にて連続的に画像を取得する(S107)。このとき、ウェハ1表面の高さを投光器131と受光器135で構成されるオフアクシスAF(Auto Focus)系130第6頁のにて測定し、焦点位置との高さズレが許容範囲を超えた場合は、Zステージ105にて高さ合せを行う。
視野が検査対象領域の端まで到達した場合、Yステージ120をステップ移動して、再びXステージ115を等速走査させながら画像を取得し、検査対象領域の画像が全て検出されるまでこの動作を繰り返し行う(S108)。
【0032】
以上のような構成で検査する場合、[発明が解決しようとする課題]の欄に示した通り、各対物レンズ40、50、60を含む結像レンズ系41,51,61のそれぞれの焦点位置が変動する。これを放置すると、イメージセンサ45,55,65でデフォーカスした画像を検出してしまうため、検査感度が低下してしまう。さらには、同型の複数の装置を用いて検査をする場合に、装置間の検査感度が異なる機差が発生する可能性が有る。このため、S104において、各対物レンズ40、50、60を含む結像レンズ系41,51,61の焦点位置等の補正を高精度に行う必要がある。
【0033】
この補正を行う手法を
図2に示す。なお、
図2においては、説明を簡単にするために、結像レンズ41,51,61の表示を省略してあり、対物レンズ40,50,60でウェハ1からの散乱光による像を形成するとして説明する。一例として、対物レンズ40,50,60の焦点位置がパターンチップ表面151にて一致していたとする。このときの周辺光線(点線で表示)を43,53,63とする。これら周辺光線が像面で交差する点が像点であり、この像点の中心にイメージセンサ45,55,65の中心を配置している。
【0034】
しかし、温度・気圧等の変動により、対物レンズ40の焦点位置(物点)が下方のパターンチップ表面151’の位置に変化したとする。このときの周辺光線(実践で表示)は43’、53’、63’のように変化する。この場合、イメージセンサ45,55,65の位置では、像点に対してデフォーカスしてしまう。
【0035】
このため、
図1Cに示すように、S104のステップにおいては、以下の詳細ステップでイメージセンサを像点に位置合せする。
パターンチップ150の表面の高さをステップ移動させ、像面の設計位置に固定配置した像面観察カメラ171の画像を検出して検出されたパターン像のコントラストや明るさを算出し、対物レンズ40の焦点面とパターンチップ150の表面の高さが一致する高さを検知する(S1041)。
この位置にパターンチップ150の表面を位置決めして、AF系130の受光部135から出力される検出値を記憶し、このときのAF検出値を焦点面の基準とする(S1042)。
パターンチップ150の表面を焦点面に位置決めした状態でウェハ1に細線照明光35を照射して照明幅が最も絞れるように(細線照明光35の焦点位置がパターンチップ150の表面に合うように)、像面観察カメラ171の画像を検出しながら照明フォーカス調整を行う(S1043)。
次に、各対物レンズ40,50,60の物点と各結像レンズ41,51,61(
図1参照、
図2では表示を省略)の像点を結んだ周辺光線43’,53’,63’の像面の位置45’,55’,65’ にイメージセンサ40,50,60を位置合せする(S1044)。
このときの位置合せは、
図1にて説明した光軸方向Z,Z’,Z’’の移動機構である光軸方向駆動機構47,57,67とセンサ幅方向X,X’,X’’の移動機構である光軸直角方向駆動機構49,59,69にて行う。
【0036】
以上の動作を行う課題として、イメージセンサ45,55,65の適正な位置45’,55’,65’を早く正確に検知するためには、
パターンチップ150からの回折光や反射光を同時に検出する必要がある。
細線照明光の幅方向について、照明照度分布に対応した検出像の照度分布になることが、好ましい。これは、梨地のような拡散面に細線照明光を照射すると、照明光が照射された位置の凹凸状態によって、反射・散乱される強度が変化するため、ウェハ1上に照射される照明光の幅方向の中心や幅を算出する誤差が大きくなる問題を回避するために必要である。
【0037】
この2点を満足する手法として、照明方位・仰角に応じてそれぞれの検出系の開口に回折光が入射するように、ラインアンドスペースパターンの方向を変えた複数のパターン群を用いることが考えられる。
【0038】
図3に照明と検出系の開口及び、それぞれの開口に回折光を入射させるためのラインアンドスペースパターンの方向を示す。
図3の(a)にウェハ1面の上半球173を示す。
図3(a)に示した状態は、斜方照明系201により、照明光が半球173の点170を通ってウェハ1に照射され、ウェハ1からの正反射光が半球の点175に到達している状態を示す例である。斜方照明系201の照明光とY軸がなす方位を180,仰角を185とする。この半球を真上から見た図(半球173の平面図)を
図3の(b)〜(e)に示す。外周部178がNA1に対応する。
【0039】
図3の(b)は
図2の対物レンズ60の開口204に回折光を入射させるラインアンドスペースパターン205の方向である。斜方照明系201により半球173上の点170を通ってウェハ1に照射された照明光によるウェハ1からの正反射光は、半球173上の点175に達する。半球173上の点175は、半球173の中心179に対して点170と点対称の位置になる。この半球173の平面図上で正反射光の到達位置175と対物レンズ60の開口204の中心を結んだ線190と直交する方向にラインアンドスペースパターン205を形成すれば、対物レンズ60の開口204にウェハ1からの回折光が入射する。なお、このラインアンドスペースパターン205のピッチは、半球173上で正反射光が到達する点175と開口204間のなす角度(立体的になす角)より、開口204に入射するピッチを算出すればよい。
【0040】
同様に、
図3の(c)にウェハ1の法線の方向に検出系を配置(
図2の対物レンズ40に相当)した場合の対物レンズ40の開口210の例を示す。半球173上の点170を通ってウェハ1に照射された照明光によりウェハ1から発生した正反射光が半球173上に到達した点175と対物レンズ40の開口210の中心を結んだ線220に直交する方向にラインアンドスペースパターン230を形成する。さらに、
図3の(d)に
図2における対物レンズ50の開口250にウェハ1からの回折光を入射させるラインアンドスペースパターン245の例を示す。正反射光175と開口の中心を結んだ線240に直交する方向にラインアンドスペースパターン245を形成する。
【0041】
さらに、
図3の(e)には、垂直照明系202により照明光をウェハ1に対して垂直な方向から照明する場合の例を示す。垂直照明系202の場合、照明光と正反射光を表す点は171となる。この垂直照明では、正反射光171と開口中心を結ぶ直線は、X軸と平行となり、これに直交した方向に形成するラインアンドスペースパターンはY軸と平行になる。この場合、ラインアンドスペースパターンのエッジ部が照明幅方向のガウス分布のどの位置に配置されるかによって、イメージセンサにて検出される強度が変化し、照明幅方向の中心や幅を算出する誤差が大きくなる。これを回避するため、本実施例においては、開口204、250の中心からずらした開口内の位置と正反射光171を結んだ直線255に直交する方向260にパターンを形成するようにした。
【0042】
これら、複数の照明条件(斜方照明/落射(垂直)照明)における検出光学系部300の複数の検出系に配置したイメージセンサ40,50,60の位置合せを行うためのパターンチップの例を
図4に示す。パターンチップ150は、ガラス基板の表面270(
図4の(b)参照)にパターンが形成されており、領域275(
図4参照)に形成されたブロックAを単位としたN周期のパターンが形成されている。ブロックAには、
図4の拡大図に示すように、斜方照明用の3パターンと落射照明用の1パターンが形成されている。
【0043】
斜方照明用のパターンは、
図3(b)に示した開口204用のラインアンドスペースパターン205、開口210用のラインアンドスペースパターン230、開口250用のラインアンドスペースパターン245が形成されている。また、垂直照明系202による垂直照明時の開口204と250兼用のラインアンドスペースパターン260が形成されている。これらラインアンドスペースパターンのパターン長手方向の向き(パターンの傾き角度)が、検出光学系の対物レンズの配置(パターンチップ150上の線状照明光35が照射される位置に対する方位角及び仰角)に応じて互いに異なる4方向のパターンが形成されたブロックAの幅は、数um〜数百um程度である。パターン材は、CrやALなどの金属膜や、SiO
2をエッチングしたパターンなどが考えられる。
【0044】
このパターンチップ150を
図1に示したように、Zステージ105の上でチャック101の横に設置する。例えば、照明条件を斜方照明系201による照明から垂直照明系202による落射照明に変更した検査を行う場合などは、垂直照明の光学条件に部品を設定(平面ミラー24を1/4波長板20と平面ミラー25との間のレーザビームの光路中に挿入して、1/4波長板20を透過したレーザビームの光路を平面ミラー26の方向に折り曲げる)後、パターンチップ150を用いてウェハ1と垂直照明系202による照明光の焦点・水平方向の位置及び、検出光学系300の複数のイメージセンサ45,55,65のそれぞれの光軸方向の位置(フォーカス)・像面内の位置を合わせることが可能となる。
【0045】
これにより、検査対象ウェハをミニエンバイロメントシステムでローディング、θステージ110を制御して行うプリθアライメント動作と並行して、ウェハ1に照射する垂直照明系202による照明光の位置と検出光学系300の各イメージセンサ45,55,65の位置合せが可能となり、検査装置のスループット向上に効果がある。
【0046】
このウェハ1に照射する垂直照明系202による照明光の位置と検出光学系300の各イメージセンサ45,55,65の位置合せを行うタイミングは、照明条件や検出条件が前回検査条件から変更された時、装置の機構部を原点復帰させた時、また装置内の温度や気圧が所定値以上に変動した場合、さらには一定の時間を定めて定期的に行う等が考えられる。このウェハ1に照射する垂直照明系202による照明光の位置と検出光学系300の各イメージセンサ45,55,65の位置合せの流れを
図5に示す。
【0047】
まず、オペレーションシステム80の図示していないGUI画面上で、ウェハ1を検査するときの照明条件、検出条件、ウェハAF値及び、画像処理にて欠陥判定するしきい値情報などを登録した検査レシピを指定し、検査開始を指示する。検査を開始するに当たっては、先ず、前回の検査条件をチェックし、次に、前回アライメント動作を行ってからの経過時間をチェックし、今回行う検査がロット検査であるか否かをチェックする。
【0048】
その後のステップは、以下の通り。
■位置合せ前の準備動作
1) ウェハ・照明・センサアライメント開始(S501)
2) 照明条件設定(S502)
3) 検出条件設定(S503)
4) 検出系の視野にパターンチップ移動(S504)
5) AFON(S505)
■ウェハ高さ合せ
6) 検出(2)の観察カメラを視野中心へ(S506)
7) パターンチップ高さをステップ移動(S507)
8) 観察カメラの検出像のコントラスト算出(S508)
9) 所定の合焦コントラスト判定範囲と算出したコントラストを比較して合焦判定(S509)
・合焦外判定の場合は、7)へ
・合焦内判定の場合は、10)へ
10) パターンチップ表面が合焦内の状態でAF値を読取り、更新(S510)
11) パターンチップ高さ合せ完(S511)
■照明合せ
12) 駆動系を全て同じ照明条件の前回設定値に移動(S512)
13) 細線照明フォーカス軸をステップ移動(S513)
14) 像面観察カメラの検出にて照明フォーカス許容内外判定(S514)
・フォーカス許容外判定の場合は、15) フォーカス側にステップ移動(S515)
・フォーカス許容内判定の場合は、フォーカス合せ完
16) ステップ14)にてフォーカス内判定した画像より照明中心のX方向ズレ算出(S516)
17) X方向を目標位置に移動(S517)
18) 画像検出を行い、X方向の許容内外判定(S518)
・X位置許容外判定の場合は、17)へ
・X位置許容内判定の場合は、19)照明合せ完(S519)
■リニアセンサ合せ(3検出系のそれぞれについて同様に行う)
20) X方向にステップ移動(S520)
21) 照明中心とセンサ中心のズレ許容内外判定(S521)
・中心ズレ許容外判定の場合は、
22)照明中心とセンサ中心が一致する方向判定(S522)
23)中心が一致する方向にセンサXステップ移動(S523)
21)へ
・中心ズレ許容外判定の場合は、24)へ
24) リニアセンサフォーカスZ方向にステップ移動(S524)
25) フォーカス許容内外判定(S525)
・フォーカス許容外判定の場合は、
26)フォーカス方向判定(S526)
27)フォーカス側にステップ移動(S527)
25)へ
・フォーカス許容外判定の場合は、
28)リニアセンサ合せ完(S528)
【0049】
なお、斜方照明と垂直照明を同時照明する場合は、照明合せステップ(S512)〜(S519)をそれぞれ実施すれば良い。
【0050】
以上のウェハ・照明・検出系イメージセンサの位置合せステップの中で、許容内外判定の例を
図6から
図8に示す。
【0051】
細線照明のX方向位置判定手法を
図6に示す。(a)はパターンチップ150を対物レンズ40の光軸と交わる位置に移動させた状態で、パターンチップ150に斜方からの細線照明光35を照射し、パターンチップ150上の細線照明光35が照射された領域から発生した反射・散乱光のうち対物レンズ40に入射した成分より形成されたパターン像を、
図2に示すように対物レンズ40の光軸上でイメージセンサ45の手前に設置した反射鏡180で反射させて像面観察カメラ171にて検出した画像の一例である。このパターン像を撮像している間は、オートフォーカス用高さ検出部(AF系)130でパターンチップ150の表面の高さが検出されて、機構系制御部85によりZステージ105が制御されてパターンチップ150の表面の高さが一定に維持されている。
【0052】
対物レンズ40の配置からすると、斜方から細線照明光35を照射した場合、
図4の拡大図に示したパターンチップ150に形成されているブロックAの内、パターンbの領域に形成されたラインアンドスペースパターン23のエッジ部から発生した回折光が対物レンズ40の開口210に入射して形成されたエッジ像300(
図6(a)の白抜きの点)がラインアンドスペースパターン23のパターン周期に対応して複数個明るく検出される。パターンチップ150上の他のパターン領域a,c,dに形成されたラインアンドスペースパターン205,245,260から発生した回折光のうち対物レンズ40の開口210に入射した光からは回折像が形成されないので、暗い画像となる。
【0053】
このパターンbの領域に形成されたラインアンドスペースパターン23により発生したエッジ像300部分の拡大像を
図6(b)に示す。周期的に検出されるエッジ像300をY方向に積分した波形310を
図6(c)に示す。この波形310は、パターンチップ150のパターンbの領域に形成されたラインアンドスペースパターン23に照射された細線照明光35の光強度分布と同じ分布であり、理想的にはガウス分布となっている。この波形310の中心を演算する。演算手法は、ガウスフィッティングや、明るさ最大値の50%と波形310と交差する2点の中心値及び、明るさ最大値などの例がある。
【0054】
このように、像面観察カメラ171で検出されたエッジ像300の波形310の中心を求め、予め設定しておいた細線照明光35のX方向目標位置330との差を算出し、この差分が予め設定した許容範囲に入るように、X方向シフト機構25’にて細線照明光35のウェハ1上の照射領域をX方向に移動させる。
【0055】
次に、細線照明光35のフォーカス位置がパターンチップ150の表面と一致する位置とは、検出波形310の幅(例えば、半値全幅や1/e
2の幅)が最小になる位置や、波形310の最大輝度が極大になる位置であり、これらを評価値とする。細線照明光35のフォーカス位置調整は、許容範囲を設けて細線照明光35のフォーカス合せ機構30’にてステップ移動、画像検出、評価値算出、許容内外判定を繰り返し、許容範囲に入るように追込む。
【0056】
図7に、各検出系に配置されたイメージセンサ45、55、65の合せ手法を示す。いずれのイメージセンサも同様の合せ動作を行うため、ここでの説明はイメージセンサ45の合せを代表例とする。
図7(a)にイメージセンサ45の受光部365の概略図を示す。イメージセンサ45は、画素365’がY方向に1列に複数並んでおり、X方向の画素幅の中心が360である。細線照明光35が照射されたパターンチップ150から発生した散乱光により形成された像をイメージセンサ45で検出した検出像は35’となり、パターンチップ150のパターンbの領域に形成されたラインアンドスペースパターン230からの散乱光によるエッジ像300が明るく検出される。このイメージセンサ45上に投影されたエッジ像300のX方向の中心位置350とイメージセンサ幅方向の中心位置360を一致させるのがX方向合せである。ズレ量ΔXがあると、パターン像300がイメージセンサ45の受光部365からはみだして、検出されるイメージセンサ45の波形301は明るさが低い状態になる。
【0057】
一方、
図7(b)に示すように、エッジ像300のX方向の中心位置350とイメージセンサ幅方向の中心位置360が一致した状態では、波形302の明るさが最大となる。この状態にイメージセンサ45のX方向を光軸直角方向駆動機構49にて合わせることが目的である。
【0058】
このイメージセンサ45のX方向の位置と検出波形の明るさの関係を
図8(a)に示す。
図8(a)で、縦軸の「明るさS」とは、エッジ像300の最大値や、この最大値を複数のエッジ像300にて求めた平均値などが例である。イメージセンサ45の画素幅(
図7(a)及び(b)参照)の中心とエッジ像300の中心が一致している状態では、明るさSが最大となり、エッジ像300のX方向の位置がイメージセンサ45の長方形画素365’の幅方向(
図7(a)及び(b)の画素幅)の中に入り込んでいる間は、明るさが高い状態である。このため、光軸直角方向駆動機構49をステップ移動させながら、イメージセンサ45の各画素365’の出力から明るさSを算出する。この最大値Smaxに対して、しきい値K
1を掛けたSthをしきい値として、このしきい値Sthと交差する明るさSのセンサ位置X370、375を算出する。この2点間の中心360をイメージセンサ45の画素幅の中心とエッジ像300の中心(=パターンチップ150上で細線照明光35により照明される領域の中心)とが一致した位置として、イメージセンサ45の光軸直角方向駆動機構49にて位置決めする。
【0059】
さらに、パターンチップ150の表面にエッジ像300をフォーカスさせるために、
図8(b)に示すように、光軸方向移動機構47でイメージセンサ45を光軸方向にステップ送りして、各位置におけるイメージセンサ45で検出した明るさSを求める。光軸方向駆動機構47によるイメージセンサ45の光軸方向(結像レンズ41の光軸方向:Z方向)の移動量を横軸にとり、縦軸はイメージセンサ45の出力である明るさSとする。光軸方向駆動機構47によりイメージセンサ45をステップ移動させながらイメージセンサ45で検出した明るさS:381,382,383を算出する。明るさの極大を含んだ複数点(本例では3点)にて2次近似を行って2次曲線385を求め、この極大となる位置をイメージセンサ45の光軸方向駆動機構47の目標位置として位置決めする。
【0060】
本実施例によれば、ウェハ・照明・検出系イメージセンサの位置合せを精度よく実施することが可能になり、欠陥検査の結果に対する高い信頼性を維持することが可能になった。