(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945187
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】基板処理装置及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20160621BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
H01L21/68 P
H01L21/304 643Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-171777(P2012-171777)
(22)【出願日】2012年8月2日
(65)【公開番号】特開2014-33038(P2014-33038A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2014年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114661
【弁理士】
【氏名又は名称】内野 美洋
(72)【発明者】
【氏名】難波 宏光
(72)【発明者】
【氏名】フィトリアント
(72)【発明者】
【氏名】徳永 容一
(72)【発明者】
【氏名】天野 嘉文
【審査官】
鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−172395(JP,A)
【文献】
特開2000−252187(JP,A)
【文献】
特開2006−013185(JP,A)
【文献】
特開平07−142440(JP,A)
【文献】
特開平07−130637(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0263153(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板又は清掃用基板を吸着して保持する基板保持手段と、
前記基板保持手段に設けた基板吸引機構と、
前記基板吸引機構の吸引力を制御する制御手段と、
を有し、
前記制御手段は、
前記基板を前記基板保持手段に第1の吸引力で吸着保持しながら前記基板の処理を行う通常処理工程と、
清掃用基板を前記基板保持手段に第2の吸引力で吸着保持して前記基板保持手段の清掃を行う清掃処理工程と、
を行い、
前記第2の吸引力を前記第1の吸引力よりも大きくすることにより、前記通常処理工程において前記基板を吸着保持して処理を行う際の前記基板と前記基板保持手段との間の密着力よりも、前記清掃処理工程において前記基板とは異なる前記清掃用基板を吸着保持する際の前記清掃用基板と前記基板保持手段との間の密着力を大きくしたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記基板保持手段は、板状のプレートと弾性材料からなるリングとを含み、前記リングが前記第1又は第2の吸引力により吸引されるときに弾性変形して前記基板又は前記清掃用基板に密着することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記清掃用基板は、前記基板よりも前記基板保持手段に密着しやすい材質又は前記基板よりも重くしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記清掃用基板を洗浄して繰返し使用するための清掃用基板洗浄装置を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
基板を基板保持手段に第1の吸引力で吸着保持しながら基板の処理を行う通常処理工程と、
清掃用基板を前記基板保持手段に第2の吸引力で吸着保持して前記基板保持手段の清掃を行う清掃処理工程と、
を有し、
前記第2の吸引力を前記第1の吸引力よりも大きくすることにより、前記通常処理工程において前記基板を吸着保持して処理を行う際の前記基板と前記基板保持手段との間の密着力よりも、前記清掃処理工程において前記基板とは異なる前記清掃用基板を吸着保持する際の前記清掃用基板と前記基板保持手段との間の密着力を大きくしたことを特徴とする基板処理方法。
【請求項6】
前記基板保持手段は、板状のプレートと弾性材料からなるリングとを含み、前記リングが前記第1又は第2の吸引力により吸引されるときに弾性変形して前記基板又は前記清掃用基板に密着することを特徴とする請求項5に記載の基板処理方法。
【請求項7】
前記清掃用基板を前記基板よりも前記基板保持手段に密着しやすい材質又は前記基板よりも重くしたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の基板処理方法。
【請求項8】
前記清掃用基板を洗浄して繰返し使用することを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載の基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を基板保持手段で吸着して保持しながら基板の処理を行う基板処理装置及び基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品やフラットパネルディスプレイなどを製造する際には、半導体ウエハや液晶基板などの基板に対して基板処理装置を用いて洗浄等の各種の処理を施す。
【0003】
基板処理装置では、基板を基板保持手段で保持した状態で基板の処理を行う。この基板保持手段の一形態として、基板保持手段の上面で基板の裏面を吸着することで基板を保持する構成のものが知られている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0004】
そして、基板処理装置では、処理する基板を基板保持手段に搬入し、基板保持手段で基板の裏面を吸着して保持し、基板の表面や側面や裏面端縁などを処理する。その後、処理した基板を基板保持手段から搬出し、次に処理する基板を基板保持手段に搬入する。これにより、複数枚の基板を連続して処理する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−197570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の基板処理装置では、基板の裏面を基板保持手段で吸着して保持するため、基板の裏面に付着していた塵等が基板保持手段に転着しやすい。
【0007】
そして、基板保持手段に塵等が転着すると、その塵等が後から処理される基板に付着してしまい、基板保持手段を介して基板間で塵等が転写する、いわゆるクロスコンタミネーションが発生するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明では、基板処理装置において、基板又は清掃用基板を吸着して保持する基板保持手段と、前記基板保持手段に設けた基板吸引機構と、前記基板吸引機構の吸引力を制御する制御手段とを有し、前記制御手段は、前記基板を前記基板保持手段に第1の吸引力で吸着保持しながら前記基板の処理を行う通常処理工程と、清掃用基板を前記基板保持手段に第2の吸引力で吸着保持して前記基板保持手段の清掃を行う清掃処理工程とを行い、
前記第2の吸引力を前記第1の吸引力よりも大きくすることにより、前記通常処理工程に
おいて前記基板を吸着保持して処理を行う際の前記基板と前記基板保持手段との間の密着力よりも、前記清掃処理工程に
おいて前記基板とは異なる前記清掃用基板を吸着保持する際の前記清掃用基板と前記基板保持手段との間の密着力を大きくすることにした。
【0009】
また、
前記基板保持手段は、板状のプレートと弾性材料からなるリングとを含み、前記リングが前記第1又は第2の吸引力により吸引されるときに弾性変形して前記基板又は前記清掃用基板に密着することにした。
【0010】
また、前記清掃用基板は、前記基板よりも前記基板保持手段に密着しやすい材質又は前記基板よりも重くすることにした。
【0011】
また、前記清掃用基板を洗浄して繰返し使用するための清掃用基板洗浄装置を設けることにした。
【0012】
また、本発明では、基板処理方法において、基板を基板保持手段に第1の吸引力で吸着保持しながら基板の処理を行う通常処理工程と、清掃用基板を前記基板保持手段に第2の吸引力で吸着保持して前記基板保持手段の清掃を行う清掃処理工程とを有し、
前記第2の吸引力を前記第1の吸引力よりも大きくすることにより、前記通常処理工程に
おいて前記基板を吸着保持して処理を行う際の前記基板と前記基板保持手段との間の密着力よりも、前記清掃処理工程に
おいて前記基板とは異なる前記清掃用基板を吸着保持する際の前記清掃用基板と前記基板保持手段との間の密着力を大きくすることにした。
【0013】
また、
前記基板保持手段は、板状のプレートと弾性材料からなるリングとを含み、前記リングが前記第1又は第2の吸引力により吸引されるときに弾性変形して前記基板又は前記清掃用基板に密着することにした。
【0014】
また、前記清掃用基板を前記基板よりも前記基板保持手段に密着しやすい材質又は前記基板よりも重くすることにした。
【0015】
また、前記清掃用基板を洗浄して繰返し使用することにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、基板保持手段を介した基板間でのクロスコンタミネーションの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、基板処理装置1は、前端部に搬入出部2を形成する。搬入出部2には、複数枚(たとえば、25枚)の基板3(ここでは、半導体ウエハ)を収容したキャリア4が搬入及び搬出される。
【0020】
また、基板処理装置1は、搬入出部2の後部に搬送部5を形成する。搬送部5は、前側に基板搬送装置6を配置するとともに、後側に基板受渡台7を上下に配置する。各基板受渡台7は、上側に処理前後の基板3を上下に並べて収容する処理用基板収容部7aを形成し、下側にチャック(基板3を吸引する部分)を清掃するための清掃用基板3'(詳細は、後述する。)を収容する清掃用基板収容部7bを形成する。搬送部5では、搬入出部2に載置されたいずれかのキャリア4と基板受渡台7の処理用基板収容部7aとの間で基板搬送装置6を用いて基板3を搬送する。
【0021】
また、基板処理装置1は、搬送部5の後部に処理部8を形成する。処理部8は、中央に前後に伸延する基板搬送装置9,9を上下に配置するとともに、各基板搬送装置9の左右両側に基板3を液処理するための基板液処理装置10を前後に並べて配置する。また、処理部8は、後端部に清掃用基板3'を洗浄するための清掃用基板洗浄装置11を配置する。処理部8では、基板受渡台7の処理用基板収容部7aと基板液処理装置10との間で基板搬送装置9を用いて基板3を搬送し、基板液処理装置10を用いて基板3の液処理を行う。また、処理部8では、基板受渡台7の清掃用基板収容部7bと基板液処理装置10との間で基板搬送装置9を用いて清掃用基板3'を搬送し、清掃用基板3'を用いて基板液処理装置10の清掃を行う。さらに、処理部8では、基板液処理装置10と清掃用基板洗浄装置11との間で基板搬送装置9を用いて清掃用基板3'を搬送し、清掃用基板洗浄装置11を用いて清掃用基板3'を洗浄する。なお、処理部8での基板3や清掃用基板3'の搬入出の詳細については後述する。
【0022】
なお、以下の説明では、基板液処理装置10として、基板3の端縁部を洗浄液で洗浄する装置を用いているが、これに限られず、基板3を処理する装置であればよく、たとえば、基板3の裏面を洗浄液で洗浄する基板洗浄処理装置や基板3の端縁部をブラシで洗浄する基板洗浄処理装置などであってもよい。また、清掃用基板洗浄装置11として、清掃用基板3'を洗浄する専用の装置を用いているが、これに限られず、清掃用基板3'の裏面を洗浄する装置であればよく、たとえば、基板3の裏面を洗浄する基板洗浄処理装置を兼用してもよい。また、清掃用基板収容部7bは、清掃用基板3'を収容できればよく、基板受渡台7に処理用基板収容部7aとともに設けた場合に限られず、たとえば、処理部8の後端部などに設けてもよい。
【0023】
基板液処理装置10は、
図3に示すように、基板処理室12に基板保持手段13と洗浄液供給手段14とリンス液供給手段15と排液手段16を設けている。ここで、基板保持手段13は、基板3又は清掃用基板3'の裏面を吸着して保持する。洗浄液供給手段14は、基板3の端縁部に洗浄液(たとえば、SC1)を供給して基板3の洗浄処理を行う。リンス液供給手段15は、基板3の端縁部にリンス液(たとえば、純水)を供給して基板3のリンス処理を行う。排液手段16は、基板3に供給した洗浄液やリンス液を回収して外部に廃棄する。
【0024】
基板保持手段13は、基板処理室12の内部に上下に伸延する回転軸17を設けている。回転軸17は、回転軸上に吸気通路18を形成している。吸気通路18の上端開口には、複数の吸気孔19を有する板状のプレート20が取付けられている。プレート20の上面には、ゴム等の弾性材料からなる円環状のリング21が取付けられている。このリング21の上部に基板3又は清掃用基板3'が載置される。また、吸気通路18の下端開口には、基板吸引機構22が連結されている。この基板吸引機構22は、制御手段23によって駆動制御され,吸引力を変更することができる。なお、制御手段23は、基板処理装置1の全体を駆動制御する。
【0025】
これにより、基板保持手段13は、基板吸引機構22を駆動すると、吸気孔19から吸気し、その吸引力によってリング21の上部に載置された基板3又は清掃用基板3'を吸着して保持する。その際に、基板3又は清掃用基板3'の裏面は、リング21を押し潰し、所定の密着力でリング21の上面に密着する。
【0026】
なお、基板保持手段13は、上記構成に限られず、基板3又は清掃用基板3'の裏面を所定の密着力(後述するが、基板3の場合の密着力と清掃用基板3'の場合の密着力とは異なる。)で吸着して保持できればよい。たとえば、リング21を設けずに回転軸17の上端面に基板3や清掃用基板3'の裏面を直接載置するようにしてもよい。ここでは、吸着時にリング21が弾性変形することで基板3や清掃用基板3'の裏面に良好に密着させている。
【0027】
また、基板保持手段13は、回転軸17に基板回転機構24と基板昇降機構25を接続している。これらの基板回転機構24及び基板昇降機構25は、制御手段23で回転制御及び昇降制御される。
【0028】
これにより、基板保持手段13は、処理時に基板吸引機構22及び基板回転機構24を駆動することで、基板3又は清掃用基板3'を吸着保持した状態で回転させる。また、処理前後の搬入出時に基板吸引機構22及び基板昇降機構25を駆動することで、基板3又は清掃用基板3'を保持した状態で昇降させる。
【0029】
洗浄液供給手段14は、基板処理室12の内部に洗浄液供給ノズル26を設けている。洗浄液供給ノズル26は、先端部に吐出口27を基板3の端縁部に向けて形成するとともに、基端部に洗浄液供給源28を流量調整器29を介して接続している。流量調整器29は、制御手段23によって開閉及び流量制御される。
【0030】
リンス液供給手段15は、基板処理室12の内部にリンス液供給ノズル30を設けている。リンス液供給ノズル30は、先端部に吐出口31を基板3の端縁部に向けて形成するとともに、基端部にリンス液供給源32を流量調整器33を介して接続している。流量調整器33は、制御手段23によって開閉及び流量制御される。
【0031】
排液手段16は、基板3又は清掃用基板3'の外周外方にカップ34を設けている。洗浄液やリンス液は、回転する基板3の遠心力で基板3の外周外方へ振り切られ、カップ34に回収される。カップ34には、回収した洗浄液やリンス液を外部に廃棄するドレインライン35が接続されている。
【0032】
基板液処理装置10は、以上に説明した構成となっており、基板吸引機構22を駆動することで、基板3又は清掃用基板3'を吸着して保持する。その際に、基板3と清掃用基板3'とが同等の硬さ(同一の材質・厚さなど)の場合には、基板吸引機構22による吸引力を変えることで、基板3と基板保持手段13との間の密着力と清掃用基板3'と基板保持手段13との間の密着力を変えることができる。また、基板3と清掃用基板3'の材質や厚さなどを変えることで基板保持手段13への密着のしやすさが変わり、同一の吸引力であっても密着力を変えることができる。
【0033】
清掃用基板洗浄装置11は、
図4に示すように、清掃用基板処理室36に清掃用基板保持手段37と洗浄液供給手段38と排液手段39を設けている。ここで、清掃用基板保持手段37は、清掃用基板3'の端縁を保持する。洗浄液供給手段38は、清掃用基板3'の表面及び裏面に洗浄液(たとえば、純水)を供給して清掃用基板3'の洗浄処理を行う。排液手段39は、清掃用基板3'に供給した洗浄液を回収して外部に廃棄する。
【0034】
なお、以下の説明では、清掃用基板洗浄装置11として、清掃用基板3'の表裏両面を洗浄する装置について説明するが、清掃用基板3'の裏面のみを洗浄する装置を用いてもよい。清掃用基板3'の洗浄面(裏面)を上方に向けた状態で洗浄面に洗浄液を供給する場合には、清掃用基板3'の表裏を反転させる反転機構が必要となる。
【0035】
清掃用基板保持手段37は、清掃用基板処理室36の内部に上下に伸延する回転軸40を設けている。回転軸40の上端部には、円板状のターンテーブル41が取付けられている。ターンテーブル41の外周部には、保持体42が円周方向に間隔をあけて取付けられている。この保持体42の上部に清掃用基板3'が載置される。また、回転軸40には、回転機構43と昇降機構44が接続されている。これらの回転機構43及び昇降機構44は、制御手段23で回転制御及び昇降制御される。これにより、清掃用基板保持手段37は、洗浄処理時に回転機構43を駆動することで、清掃用基板3'を保持した状態で回転させる。また、洗浄処理前後の搬入出時に昇降機構44を駆動することで、清掃用基板3'を保持した状態で昇降させる。
【0036】
洗浄液供給手段38は、清掃用基板処理室36の内部に洗浄液供給ノズル45を設けている。洗浄液供給ノズル45は、先端部に吐出口46を清掃用基板3'の表面の中心部に向けて形成するとともに、基端部に洗浄液供給源47を流量調整器48を介して接続している。流量調整器48は、制御手段23によって開閉及び流量制御される。
【0037】
また、洗浄液供給手段38は、清掃用基板保持手段37の回転軸40及びターンテーブル41の中心軸上に洗浄液供給ノズル52を形成している。洗浄液供給ノズル52は、ターンテーブル41の中央に吐出口53を清掃用基板3'の裏面の中心部に向けて形成するとともに、回転軸40の中央に上下に伸延する連通孔54を形成している。連通孔54には、洗浄液供給源47を流量調整器55を介して接続している。流量調整器55は、制御手段23によって開閉及び流量制御される。
【0038】
排液手段39は、清掃用基板3'の外周外方にカップ49を設けている。洗浄液は、回転する清掃用基板3'の遠心力で清掃用基板3'の外周外方へ振り切られ、カップ49に回収される。カップ49には、回収した洗浄液を外部に廃棄するドレインライン50が接続されている。
【0039】
基板処理装置1は、以上に説明したように構成しており、制御手段23(コンピュータ)で読み取り可能な記録媒体51に記録した基板処理プログラムにしたがって基板3を処理する(
図5参照。)。なお、基板3は、処理前にキャリア4から基板受渡台7の処理用基板収容部7aに搬送され、処理後に処理用基板収容部7aからキャリア4に搬送される。また、基板3の処理の途中において使用する清掃用基板3'は、予め清掃用基板収容部7bに収容されている。
【0040】
まず、基板処理装置1は、基板搬送装置9を用いて基板3を処理用基板収容部7aから基板液処理装置10に搬入する。
【0041】
基板液処理装置10では、基板3を洗浄処理する通常処理工程を実行する。この通常処理工程では、基板保持手段13を用いて基板3を保持する。その際に、基板吸引機構22を駆動して、吸引力によってリング21の上部に基板3の裏面を所定の密着力で吸着する。これにより、基板3の裏面に塵等が付着していた場合には、基板3と基板保持手段13との間の密着力によって塵等が基板3の裏面から基板保持手段13(リング21)に転着される。その後、基板回転機構24によって基板3を回転させ、洗浄液供給手段14によって基板3の端縁部に洗浄液を一定時間供給して基板3の洗浄処理を行う。その後、リンス液供給手段15によって基板3の端縁部にリンス液を一定時間供給して基板3のリンス処理を行う。その後、基板回転機構24によって基板3を一定時間回転して基板3の表面からリンス液を振り切って乾燥処理を行う。
【0042】
次に、基板処理装置1は、基板搬送装置9を用いて基板3を基板液処理装置10から処理用基板収容部7aに搬出する。
【0043】
次に、基板処理装置1は、基板搬送装置9を用いて清掃用基板3'を清掃用基板収容部7bから基板液処理装置10に搬入する。
【0044】
基板液処理装置10では、清掃用基板3'で基板保持手段13を清掃処理する清掃処理工程を実行する。この清掃処理工程では、基板保持手段13を用いて清掃用基板3'を保持する。その際に、基板吸引機構22を駆動して、吸引力によってリング21の上部に清掃用基板3'の裏面(清掃面)を所定の密着力で吸着する。ここで、先の通常処理工程における基板3と基板保持手段13との間の密着力よりも、清掃処理工程における清掃用基板3'と基板保持手段13との間の密着力の方を大きくしている。これにより、基板保持手段13(リング21)に塵等が付着していた場合(通常処理工程において基板3から基板保持手段13に塵等が転着していた場合)には、通常処理工程における基板3と基板保持手段13との間の密着力よりも高い清掃用基板3'と基板保持手段13との間の密着力によって塵等が基板保持手段13(リング21)から清掃用基板3'の裏面(清掃面)に転着される。すなわち、基板保持手段13に付着していた塵等が除去される。
【0045】
次に、基板処理装置1は、基板搬送装置9を用いて清掃用基板3'を基板液処理装置10から清掃用基板洗浄装置11に搬送する。
【0046】
清掃用基板洗浄装置11では、清掃用基板3'の基板保持手段13と接触した面(清掃面)を洗浄処理する洗浄処理工程を実行する。この洗浄処理工程では、清掃用基板保持手段37を用いて清掃用基板3'を保持する。その後、回転機構43によって清掃用基板3'を回転させ、洗浄液供給手段38,52によって清掃用基板3'の表面及び裏面に洗浄液を一定時間供給して清掃用基板3'の洗浄処理を行う。その後、回転機構43によって清掃用基板3'を一定時間回転して清掃用基板3'の表面及び裏面から洗浄液を振り切って乾燥処理を行う。これにより、清掃用基板3'の裏面(清掃面)から塵等が除去され、清掃用基板3'を繰返し使用することができる。
【0047】
次に、基板処理装置1は、基板搬送装置9を用いて清掃用基板洗浄装置11から清掃用基板収容部7bに搬出する。
【0048】
基板処理装置1では、上記処理を繰返し行うことで、複数枚の基板3を連続して処理する。なお、基板3を処理する通常処理工程を実行する毎に清掃用基板3'を用いて基板保持手段13を清掃する清掃処理工程を実行してもよく、複数回の通常処理工程を実行した後に1回の清掃処理工程を実行してもよい。また、清掃処理工程を実行する毎に清掃用基板3'を洗浄する洗浄処理工程を実行してもよく、複数回の清掃処理工程を実行した後に1回の洗浄処理工程を実行してもよい。さらに、通常処理工程と洗浄処理工程とを同時に並行して実行してもよい。
【0049】
このように、上記基板処理装置1では、基板3を基板保持手段13で吸着して保持しながら基板3の処理を行う通常処理工程と、清掃用基板3'を基板保持手段13で吸着して保持して基板保持手段13の清掃を行う清掃処理工程とを行っている。そして、上記基板処理装置1では、通常処理工程における基板3と基板保持手段13との間の密着力よりも、清掃処理工程における清掃用基板3'と基板保持手段13との間の密着力を大きくしている。
【0050】
これにより、基板3に付着していた塵等は、通常処理工程において一旦は基板保持手段13に転着するが、清掃処理工程において清掃用基板3'に転着することで基板保持手段13から除去される。そのため、塵等が後に処理する基板3に再付着するのを防止することができ、基板保持手段13を介した基板間でのクロスコンタミネーションの発生を抑制することができる。
【0051】
基板保持手段13への密着力は、基板保持手段13の基板吸引機構22の吸引力を通常処理工程よりも清掃処理工程で大きくすることで容易に増大させることができる。
【0052】
また、清掃用基板3'の材質や重さなどを基板3と異ならせることで、清掃用基板3'を基板3よりも基板保持手段13に密着しやすくして基板保持手段13への密着力を増大させることもできる。
【0053】
なお、上記基板処理装置1では、基板3の洗浄処理装置に本発明を適用した場合について説明したが、露光処理装置や塗布処理装置やメッキ処理装置などにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 基板処理装置
3 基板
3' 清掃用基板
7a 処理用基板収容部
7b 清掃用基板収容部
9 基板搬送装置
10 基板液処理装置
11 清掃用基板洗浄装置
13 基板保持手段