特許第5945211号(P5945211)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945211
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】露光装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 9/00 20060101AFI20160621BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20160621BHJP
【FI】
   G03F9/00 A
   G03F7/20 501
【請求項の数】4
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2012-237189(P2012-237189)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-85649(P2014-85649A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年7月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231464
【氏名又は名称】株式会社アルバック
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】中尾 裕利
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】飯島 栄一
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−173521(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/049704(WO,A1)
【文献】 特開2003−022962(JP,A)
【文献】 特開平10−294268(JP,A)
【文献】 特開2014−026041(JP,A)
【文献】 特開2000−036451(JP,A)
【文献】 特開平11−040469(JP,A)
【文献】 特開平05−166693(JP,A)
【文献】 特開2001−297971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F7/20−7/24
9/00−9/02
H01L21/027
21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としてのワークを保持するワーク保持部と、
前記マスク保持部と前記ワーク保持部とを相対的に駆動する駆動部と、
前記マスクに形成されたマスク側アライメントマーク及び前記ワークに形成されたワーク側アライメントマークを検出可能なアライメントカメラと、
アライメント開始可能であることを出力するレディ信号出力手段と、
を備え前記ワーク上に前記マスクのパターンを露光転写する露光部が複数設けられ、
これら複数の露光部において、それぞれ前記アライメントカメラによって検出された前記両アライメントマークのずれ量に基づいて、前記駆動部を駆動制御してアライメント動作を実行するための制御部が共通して設けられるとともに、
前記制御部が、前記レディ信号を出力している前記露光部のうち1つの露光部を選択してアライメント開始信号を出力することで、この選択された露光部において、前記両アライメントマークのずれ量が露光転写時の所望のアライメント精度範囲以内となるよう前記駆動部によるアライメント動作を実行する露光装置において、
前記露光部が露光照射用光源と、露光時間を制御するシャッタと、前記露光照射用光源の照度変化を検出する検出手段とを備え、
前記制御部が、前記露光照射用光源の照度変化に対応する露光時間を露光条件信号として出力することを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記ワークが、予め強化処理が施されたガラス基板とされてなることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記選択した露光部において、前記駆動部に前記アライメント開始信号を出力した後、前記レディ信号が再度出力される前に、前記レディ信号を出力している他の露光部を選択して前記アライメント開始信号を出力することを特徴とする請求項2記載の露光装置。
【請求項4】
前記ワーク保持部が複数のワークを保持可能とされることを特徴とする請求項3記載の露光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タッチパネルは、例えばATM、自動販売機、携帯情報端末、携帯ゲーム機、電子案内表示板、カーナビゲーション、携帯電話等に広く用いられている。
タッチパネルを液晶パネルの上に載せて使う従来方法に対して、タッチパネル機能を液晶パネルの中に一体化する方法の研究が盛んになっている。このタッチパネルと液晶パネルの一体化には、近年、タッチパネルセンサの薄型化と製造工程の簡単化のトレンドとして、インセル方式、オンセル方式と並んで、カバーガラスに直接パターニングする方法が検討されている。
【0003】
現在市場に流通しているカバーガラスは、最終的に得られる製品のサイズ・形状にカットした後に強化処理を行っている。この工程を逆にすることが技術的障壁であり、カットされたカバーガラスヘのパターニングが行われている。即ち、強化処理を行った複数取りの大型ガラス基板を露光・パターニング後にカットすると、クラックが入るなどして製品化ができない、また、最終的に得られる製品の形状が矩形ではなくなり、単純にカットできないのが現状である。
【0004】
そこで、製品サイズ・形状にカットされたガラス基板に対して露光処理を行う露光装置が求められているが、そのような露光装置ではタクトタイムが大きくなってしまい、生産性向上の妨げとなっている。
【0005】
また、従来から、露光処理に必要な時間をより一層短縮する生産性の向上を安価に実現したいという要望は存在した。
また、露光処理後にエッチングにより形成した線状部分の幅を所望の状態にするために、露光条件として、線幅に対する適切な露光エネルギーを所定の値に設定する必要がある。具体的なパラメータとしては、露光時間や、照度などとされるランプパワーが適応されるが、これらが変動した場合には線状部分の幅が変動してしまうため、露光パラメータをモニタリングする必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−297971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて考案されたものであり、個別形状にカットされた基板などに対して露光処理を行う露光装置において、タクトタイムを短縮して、生産性を向上できる露光装置及び露光方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
また、本発明の露光装置において、露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、
被露光材としてのワークを保持するワーク保持部と、
前記マスク保持部と前記ワーク保持部とを相対的に駆動する駆動部と、
前記マスクに形成されたマスク側アライメントマーク及び前記ワークに形成されたワーク側アライメントマークを検出可能なアライメントカメラと、
アライメント開始可能であることを出力するレディ信号出力手段と、
を備え前記ワーク上に前記マスクのパターンを露光転写する露光部が複数設けられ、
これら複数の露光部において、それぞれ前記アライメントカメラによって検出された前記両アライメントマークのずれ量に基づいて、前記駆動部を駆動制御してアライメント動作を実行するための制御部が共通して設けられるとともに、
前記制御部が、前記レディ信号を出力している前記露光部のうち1つの露光部を選択してアライメント開始信号を出力することで、この選択された露光部において、前記両アライメントマークのずれ量が露光転写時の所望のアライメント精度範囲以内となるよう前記駆動部によるアライメント動作を実行する露光装置において、
前記露光部が露光照射用光源と、露光時間を制御するシャッタと、前記露光照射用光源の照度変化を検出する検出手段とを備え、
前記制御部が、前記露光照射用光源の照度変化に対応する露光時間を露光条件信号として出力する手段を採用することもできる。
また、前記ワークが、予め強化処理が施されたガラス基板とされてなることができる。
本発明においては、前記制御部が、前記選択した露光部において、前記駆動部に前記アライメント開始信号を出力した後、前記レディ信号が再度出力される前に、前記レディ信号を出力している他の露光部を選択して前記アライメント開始信号を出力することが望ましい。
さらに、前記ワーク保持部が複数のワークを保持可能とされることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、前記制御部が、前記レディ信号を出力している前記露光部のうち1つの露光部を選択してアライメント開始信号を出力することで、この選択された露光部において、前記両アライメントマークのずれ量が露光転写時の所望のアライメント精度範囲以内となるよう前記駆動部によるアライメント動作を実行することにより、共通となる制御部で複数の露光部を制御して露光を並列的におこなう際に、一つの露光部で駆動部によるアライメント中に、他の露光部でアライメントカメラからの画像に基づく駆動量の演算とアライメント信号の出力をおこなうことで、制御部を共通として複数の露光部を制御してタクトタイムを短縮するとともに装置の製造コストを削減するという効果を奏することができる。
【0010】
本発明によれば、予め強化処理が施されたガラス基板に対しても、効率的に露光処理を行うことができ、安価にタクトタイムを短縮して、生産性を向上できる露光装置を提供することができる。
【0011】
本発明においては、前記制御部が、前記選択した露光部において、前記駆動部に前記アライメント開始信号を出力した後、前記レディ信号が再度出力される前に、前記レディ信号を出力している他の露光部を選択して前記アライメント開始信号を出力することにより、共通の制御部における空き時間を短縮して、複数の露光部において効率的にタクトタイムを短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る露光装置の第1実施形態を示す模式図である。
図2】本発明に係る露光装置の第1実施形態における露光処理状態を示すタイムチャートである。
図3】本発明に係る露光装置の第1実施形態における露光処理状態を示すタイムチャートである。
図4】本発明に係る露光装置の第2実施形態における露光部を示す斜視図(a)、上面図(b)、断面図(c)である。
図5】本発明に係る露光装置の第3実施形態における露光部を示す上面図である。
図6】本発明に係る露光装置の第3実施形態における他の例を示す上面図である。
図7】本発明に係る露光装置の第1実施形態における照射光学系(露光ユニット)の一構成例を模式的に示す図である。
図8】本発明に係る露光装置の第1実施形態における照射光学系(露光ユニット)の他の構成例を模式的に示す図である。
図9】本発明に係る露光装置の第1実施形態における照射光学系(露光ユニット)の他の構成例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る露光装置の第1実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における露光装置を示す模式図であり、図において、符号1は、露光装置である。
【0014】
本実施形態における露光装置1は、制御部Cと、この制御部Cに接続された複数の露光部20,30,40,50・・・とを有する。露光部の台数は特に限定されるものではないが、本実施形態では、4台分のみを用いて説明する。
【0015】
露光部20,露光部30,露光部40,露光部50は、いずれも、ほぼ等しい構成とされるため、代表して符号20を付したものについて説明する。また、これ以降の説明において、それぞれの露光部における構成は、符号20およびこれから派生した20番台の構成要素が、符号30,40,50およびこれから派生した30番台、40番台、50番台の構成要素に読み替えられるものとして記載する。
【0016】
露光部20は、マスクMを保持するマスクステージ(マスク保持部)21と、ガラス基板(被露光材としてのワーク)Wを保持するワークステージ(ワーク保持部)22と、ワークステージ22をX軸,Y軸,Z軸方向に移動し、且つワークステージ22のチルト調整を行うワークステージ移動機構(駆動部)23と、アライメントカメラ24と、レディ信号出力手段25と、照射光学系26と、ワークWをロード・アンロードする搬送系27とを有する。
【0017】
なお、ガラス基板W(以下、単に「ワークW」と称する。)は、露光時にはマスクMに対向配置され、このマスクMに描かれたマスクパターンを露光転写すべく表面(マスクMの対向面側)に感光剤が塗布されている。また、マスクMは、溶融石英からなり、長方形状に形成されている。
【0018】
マスクステージ(マスク保持部)21は、例えば、中央部に矩形形状の開口部が形成されるマスクステージベースと、マスクステージベースの開口部にX軸,Y軸,θ方向に移動可能に装着されるマスク保持枠(マスク保持部)と、マスク保持枠に取り付けられ、マスクMを吸着保持するチャック部と、マスク保持枠とチャック部とをX軸,Y軸,θ方向に移動させ、このマスク保持枠に保持されるマスクMの位置を調整するマスク位置調整機構(マスク駆動部)とを備えることができる。マスクステージベースは、Z軸移動装置によりZ軸方向に移動可能に支持され、ワークステージの上方に配置される。Z軸移動装置は、例えば、モータ及びボールねじ等からなる電動アクチュエータ、或いは空圧シリンダ等を備え、単純な上下動作を行うことにより、マスクステージを所定の位置まで昇降可能とする。また、マスク位置調整機構は、マスク保持枠のX軸方向に沿う一辺に取り付けられるY軸方向駆動装置と、マスク保持枠のY軸方向に沿う一辺に取り付けられる2台のX軸方向駆動装置とを備え、マスク保持枠をθ方向に移動(Z軸回りの回転)させることができる。
【0019】
さらに、マスクステージ21の上側には、マスクMのアライメントマーク21aとワークWのアライメントマーク22aを撮像するためのアライメントカメラ24が設けられる。アライメントカメラ24は、移動機構を介してX軸,Y軸方向に移動可能に保持され、平面視してマスク保持枠内に配置可能である。
【0020】
ワークステージ(ワーク保持部)22は、は、ワークステージ移動機構23上に設置されており、ワークWをワークステージ22に保持するための吸着面を上面に有するワークチャックを備える。なお、ワークチャックは、真空吸着によりワークWを保持可能である。
【0021】
ワークステージ移動機構23は、ワークステージをY軸方向に移動させるY軸送り機構と、ワークステージ22をX軸方向に移動させるX軸送り機構と、ワークステージ22のチルト調整を行うと共に、ワークステージ22をZ軸方向に微動させるZ−チルト調整機構とを備える。なお、駆動部としてはマスクMとガラス基板Wとが相対移動可能であればよく、ワークステージ移動機構23およびマスク位置調整機構(マスク駆動部)とを含めた構成とすることができる。
【0022】
搬送系27は、所定位置にワークWをロードし、露光終了後にアンロード可能であればどのような構成でもよく、たとえば、多関節系のロボットハンドや、一方向に流れるコンベアなどが採用できる。なお、図1においては、模式的に搬送系27を示している。
【0023】
レディ信号出力手段25は、所定位置にワークWが位置してアライメント開始可能である状態を出力するものとされ、搬送系27、あるいは、アライメントカメラ24などからの信号出力手段とすることができる。または、搬送系27の動作を制御部Cで制御する場合などには、制御部Cがレディ信号をONとして、制御部C自身をレディ信号出力手段25とすることもできる。
【0024】
照射光学系26は、露光照射が可能な構成であれば特に限定されることはないが、例えば、紫外線照射用の光源である例えば高圧水銀ランプ(露光照射用光源)26aと、照射光を制御するとともに照射光路を構成する光学系要素26bと、照射光路を開閉制御する露光制御用シャッタ26cと、照度計(検出手段)26dとを備える構成とすることができる。
光学系要素は、たとえば、高圧水銀ランプから照射された光を集光する凹面鏡、この凹面鏡の焦点近傍に切替え自在に配置された二種類のオプチカルインテグレータ、光路の向きを変えるための複数の平面ミラー及び球面ミラーなどからなる構成を例示でき、この場合、露光制御用シャッタ26cが、平面ミラーとオプチカルインテグレータとの間に配置されることができる。
【0025】
高圧水銀ランプ26aは、露光装置1の駆動中は基本的に常時点灯とされている。
露光制御用シャッタ26cは、制御部Cからの信号で開閉状態を制御されて、露光開始および露光終了をおこなうものである。
照度計26dは、制御部Cに接続され、ランプ26aの状態を出力可能となっている。
【0026】
図7は、照射光学系(露光ユニット)の一構成例を模式的に示す図である。図7(a)に示すように、露光ユニット90においては、光源(露光照射用光源)91から発せられた光は、集光鏡92によって下方に配された第一平面鏡93に向けて進む。第一平面鏡93で反射された光は、インテグレータ94を通過した後、第二平面鏡95に向けて進む。その際、インテグレータ94を通過した光の一部は、照射監視装置96に入射する。第二平面鏡95で反射された光は、コリメーター97、マスク98を順に通過した後、図1等におけるワークWに対応する複数の基板2の処理面2αに対して露光処理を行う。露光制御用シャッタ90Aが、第一平面鏡93とインテグレータ94との間に配置されることができる。また、この例では、照度計(検出手段)は図示していない。
【0027】
なお、図7(b)には、図7(a)におけるマスク98と複数の基板2の処理面2αとの関係を拡大して示す図である。マスク98と処理面2αの隙間dを数μmから数十μmに設定する場合(d≠0)は、プロキシミティ方式と呼ばれる。一方、マスク98と処理面2αを完全に接触させる場合(d=0)は、コンタクト方式と呼ばれる。何れの方式をも適用することができる。
つまり、上記の露光処理を成立させる為には、複数の基板2の処理面2αに対して、露光処理する光、すなわちコリメーター97を通過した光が、同一距離の光路となるように、コリメーター97と複数の基板2との相対的な位置を合わせる必要がある。
【0028】
図8は、照射光学系(露光ユニット)の他の構成例を模式的に示す図である。図8(a)に示すように、露光ユニット300においては、光源301と、光源301から出射された光を集光する楕円鏡302と、楕円鏡302により集光反射された光を平行光とするコリメータレンズ303と、パターンが形成されたマスク304を透過した光を集光してワークW上に投射するための投影レンズ305とからなる。また、楕円鏡302とコリメータレンズ303との間には、2枚のシャッタ307,308が配設されている。このシャッタ307,308はモータおよびギア列からなる駆動機構312により回転軸X0の周囲に互いに逆方向に回転するように制御される。なお、駆動機構312をシャッタ307,308に別々に設けてもよい。この例では、照度計(検出手段)は図示していない。
【0029】
図8(b)はシャッタ307,308の構成を示す図である。図に示すようにシャッタ307,308は、円盤の一部に切欠が形成されてなるシャッタ羽根309,310からなり、これらのシャッタ羽根309,310は駆動機構312により互いに逆方向に同期して回転される。図8(b)に示すように、シャッタ307,308が閉じた状態においては、シャッタ羽根309,310は、光軸X1を遮断するようにわずかに重なった状態となる。一方、シャッタが開いた状態においては、シャッタ羽根309,310は図8(b)に示す状態から相対的に切欠の中心角に等しい角度(4分円対応)たけ回転した互いにほぼ重なった状態にあり、光軸X1は開放された状態となる。このシャッタ羽根309,310の回転が制御部Cから出力された信号により制御される。
【0030】
図9は、照射光学系(露光ユニット)の他の構成例を模式的に示す図である。図9(a)に示すように、露光ユニット400は、シャッタとしての液晶表示素子402と光を遮蔽する仕切りによって、光源が設置されているランプハウス403と、露光に不要な外光が遮蔽されているブラックボックス404の空間に分けられている。液晶表示素子402は、ランプハウス403からの光を透過又は遮蔽させる制御装置として用いられ、液晶表示素子402のブラックボックス404側には、蝿の目状に無数のレンズが設けられたフライアイレンズ405が設けられており光斑及び光の拡散を防いでいる。また液晶表示素子402は光を透過又は遮蔽させるだけでよい。ランプハウス403には、露光用の光を発生させる光源である水銀ランプ406と、水銀ランプ406からの光を集光させる楕円ミラー407と、水銀ランプ406から発生した光を液晶表示素子402に向かって反射させる反射板408を備えている。ブラックボックス404には、液晶表示素子402により制御された光を均一にするフレネルレンズ409と、液晶表示素子402を透過した光をフレネルレンズ409に向かって反射させる反射板410と、光が照射されると不溶化する被露光膜であるネガ型レジストが塗布されているガラス基板Wと、ガラス基板Wを載置し露光位置まで可動させるステージ412と、光を透過する透過領域と光を遮蔽する遮蔽領域が配線パターン状に形成されているマスク413とを備える。
【0031】
液晶表示素子402には駆動用電力供給部が接続されており液晶表示素子402の液晶層にかかる電圧を制御することにより液晶層の配向状態を変化させ、液晶表示素子402に入射された光を透過又は遮蔽させている。露光ユニット400の動作について説明すると、水銀ランプ406から発生した光は、楕円ミラー407によって一方向に集められ、集光された光は、第1の反射板408によって反射されフライアイレンズ405を備えた液晶表示素子402に入射される。液晶表示素子402は制御部Cからの制御信号によって液晶分子の配向状態が変えられ入射された光の透過又は遮蔽が制御される。液晶表示素子402が遮蔽状態のときは、ステージ412を動作させ既に露光の終了したガラス基板Wを退避させたり、露光用レジストの塗布されたガラス基板Wを設置させたりする。露光状態である液晶表示素子402の透過状態のときは、液晶表示素子402から通過した光は反射板410によって反射されフレネルレンズ409に入射される。フレネルレンズ409によって均一にされた光はマスク413に入射され、配線パターンに加工された光は、露光用レジストが塗布されているガラス基板Wに照射される。
【0032】
照射光学系26においては、高圧水銀ランプ(露光照射用光源)26aの照度を検出し、その状態変化に追従して露光処理における照射時間の設定を行う必要がある。これは、多くの場合、高圧水銀ランプ(露光照射用光源)26aは常時点灯状態とされ、露光制御用シャッタ26cの開閉時間をコントロールすることにより、露光状態を所望の範囲とするものである。つまり、経時変化などの原因によって照度が低下した状態では、露光時間を長くし、また、照度が高い場合には露光時間を短くするように露光制御用シャッタ26cの開閉時間をコントロールする。これにより、フォトレジスト等である被露光部の露光状態が照度に起因して変化してしまうことを防止できる。言い換えると、露光による「焼き加減」の変動を低減して所望の露光結果を維持し、エッチング等の露光後処理を経て形成された線幅などのパラメータが変動するといった不具合を防止することが可能となる。
同時に、複数の照射光学系(露光ユニット)において、照度のバラツキ機差に起因する露光処理のバラツキをフィードバックにより低減することが可能となる。露光エネルギーと線幅との関係を維持するための冗長性を少なくし、コストを削減することが可能となる。
【0033】
この照度計(検出手段)26dによる照射光の照度(輝度)の変動に基づいた露光制御用シャッタ26cの開閉時間変化の制御は、制御部Cにおいて、照度計26dから所定間隔で出力される検出信号に基づいて演算された開閉時間のデータを露光条件信号として、後述する露光開始信号に含めて出力し、露光制御用シャッタ26cが動作するものとすることができる。または、あらかじめ記憶させた開閉時間をメモリ(記憶手段)から読み出して、露光条件信号として露光開始信号と同時に出力することができる。
【0034】
なお、検出手段としては、照度計以外にも、高圧水銀ランプ(露光照射用光源)26aへの電力供給量をモニターする電力(電圧・電流)計などを採用することも可能である。
また、露光ユニット90、露光ユニット300、露光ユニット400においても同様の作用効果を奏することができる。
【0035】
このように構成された露光装置1における露光方法を説明するために、まず、露光部20が単一の状態での動作を説明する。
【0036】
図2は、本実施形態の露光装置1における露光処理状態を示すタイムチャートである。図2において、符号20rは、露光部20におけるレディ信号のON・OFF、20Aは、露光部20におけるアライメント駆動状態のON・OFF、20Eは、露光部20におけるアライメント終了後処理のON・OFF、Calは、制御部Cにおけるアライメント演算状態のON・OFFを示すものである。
【0037】
このように構成された露光装置1を用いて、露光処理をおこなう際には、まず、ガラス基板Wを、搬送系27によってワークステージ22に搬送し所定範囲の位置にロードする。このワークWには、パターニングする対象となる薄膜が形成されるとともにアライメントマーク(ワーク側アライメントマーク)22aが形成されたものとされる。
【0038】
ガラス基板Wがロードされたことを検知したレディ信号出力手段25は、レディ信号20rをON状態とする。
この初期状態では、図2において時刻t0で示すように、駆動部23におけるアライメント動作であるアライメント駆動20AはOFF、アライメント終了後の処理として照射光学系26における露光処理および搬送系27による露光処理が終了したガラス基板Wのアンロードと次に処理するための未処理のガラス基板Wのロードとを含めた処理状態である後処理20EもOFFとされる。
【0039】
制御部Cは、アライメントを開始する場合には、レディ信号がONであることを確認した後、図2において時刻t1で示すように、制御部Cがアライメント開始信号を出力してアライメント演算状態CalがONとなる。
アライメント演算状態CalがONになると、レディ信号がOFFとなるとともに、アライメントカメラ24から出力された画像が制御部Cに入力されて、制御部Cは、この画像を処理してマスクMのアライメントマーク21aとガラス基板Wのアライメントマーク22aとの位置関係を演算し、この演算結果から、これらのアライメントマーク21a,22aを一致させる等の露光のために設定された位置関係とのずれ量、すなわち、アライメントするためのベクトルデータを算出し、この結果を、駆動部23への駆動信号のデータとして出力する。
【0040】
駆動部23への駆動信号はアライメント動作実行信号とされて、このアライメント動作実行信号の出力により、図2において時刻t2で示すように、アライメント演算状態CalがOFFとなるとともに、駆動部23がアライメントステージ21を駆動して、アライメント駆動状態20AがONとなる。
【0041】
駆動部23の駆動が終了すると、図2において時刻t3で示すように、アライメント駆動状態20AがOFFとなるとともに、再度、アライメント演算状態CalがONになる。
時刻t3でアライメント演算状態CalがONになると、時刻t1と同様に、アライメントカメラ24から出力された画像が制御部Cに入力されて、制御部Cは、この画像を処理して、t2からt3までのアライメント動作による変化後のマスクMのアライメントマーク21aとガラス基板Wのアライメントマーク22aとの位置関係を演算し、この演算結果から、これらのアライメントマーク21a,22aが露光のために設定された位置範囲となっていない場合には、そのずれ量、すなわち、アライメントするためのベクトルデータを算出し、この結果を、駆動部23へのリトライ信号としての駆動データを出力する。
【0042】
駆動部23へのリトライ信号は再度アライメント動作実行信号とされて、このアライメント動作実行信号の出力により、図2において時刻t4で示すように、アライメント演算状態Calが再度OFFとなるとともに、駆動部23がアライメントステージ21を駆動して、アライメント駆動状態20Aが再度ONとなる。
【0043】
駆動部23のリトライ駆動が終了すると、図2において時刻t5で示すように、アライメント駆動状態20AがOFFとなるとともに、もう一度、アライメント演算状態CalがONになる。
時刻t5でアライメント演算状態CalがONになると、時刻t3と同様に、アライメントカメラ24から出力された画像が制御部Cに入力されて、制御部Cは、この画像を処理して、t4からt5までのリトライ動作による変化後のマスクMのアライメントマーク21aとガラス基板Wのアライメントマーク22aとの位置関係を演算し、この演算結果から、これらのアライメントマーク21a,22aが露光のために設定された位置関係となった場合には、露光処理を開始するための露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系26に出力する。
【0044】
照射光学系26への露光開始信号の出力により、図2において時刻t6で示すように、アライメント演算状態CalがOFFとなるとともに、後処理20EがONとなる。
後処理20EがONとなったことにより、照射光学系26では、露光制御用シャッタを開制御し、高圧水銀ランプから照射された光がマスクステージ21に保持されるマスクM、さらにはワークステージ22に保持されるワークWの表面に対して垂直にパターン露光用の平行光として照射される。これにより、マスクMのマスクパターンがワークW上に露光転写される。必要であれば複数回ショットをおこない露光転写を繰り返して露光を終了した後、搬送系27を駆動して、露光処理の終わったガラス基板Wをアンロードするとともに、未処理のガラス基板Wをロードする。
【0045】
未処理のガラス基板Wをロードが完了したことを確認したレディ信号出力手段25は、図2において時刻t7で示すように、レディ信号20rをON状態とする。同時に、後処理20EがOFFとなり、露光部20は、制御部Cからのアライメント開始信号を待機するレディ状態となる。
【0046】
このように、単機の露光部20のみを駆動した場合には、アライメント動作中である時刻t2から時刻t3およびリトライ動作中である時刻t4から時刻t5、露光処理を含む後処理中である時刻t6から時刻t7は、制御部Cは演算を行っていない。
【0047】
次に、露光装置1における複数の露光部20,30,40,50を並列に処理する状態での動作を説明する。
【0048】
図3は、本実施形態の露光装置1における露光処理状態を示すタイムチャートである。図3において、符号30,40,50およびこれから派生した要素は、上述したように、符号20から派生したレディ信号20r、アライメント駆動状態20A、アライメント終了後処理20Eに読み替えられるものとして記載する。
また、各時刻におけるそれぞれの露光部30,40,50での各ON・OFFにかかわる部分において、上記の図2に示した露光部20での動作と同じ部分は、対応する符号を付してその説明を省略する。
【0049】
説明のため各露光部20,30,40,50は、図3において時刻t00で示すように、いずれもレディ信号がONの状態とされている。
制御部Cは、図3において時刻t01で示すように、これらレディ信号がONとなっている複数の露光部から露光部20を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号20rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部20に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t02で示すように、露光部20に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態20AがONとなる。
【0050】
制御部Cは、露光部20へのアライメント動作実行信号を出力した後、駆動部23がアライメント動作実行中である図3において時刻t03で示すように、レディ信号がONとなっている露光部30を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号30rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部30に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t04で示すように、露光部30に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態30AがONとなる。
【0051】
制御部Cは、露光部30へのアライメント動作実行信号を出力した後、駆動部23および駆動部33がアライメント動作実行中である図3において時刻t05で示すように、レディ信号がONとなっている露光部40を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号40rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部40に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t06で示すように、露光部40に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態40AがONとなる。
【0052】
制御部Cは、露光部40へのアライメント動作実行信号を出力した後、駆動部23、駆動部33および駆動部43がアライメント動作実行中である図3において時刻t07で示すように、レディ信号がONとなっている露光部50を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号50rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部50に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t08で示すように、露光部50に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態50AがONとなる。
【0053】
駆動部23の駆動が終了すると、駆動部33、駆動部43および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t09で示すように、アライメント駆動状態20AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t02からt09までのアライメント動作後の露光部20に対する演算処理を開始する。
【0054】
図3において時刻t10で示すように、アライメントマーク21a,22aが露光のために設定された位置範囲となっていない場合には、制御部Cは、演算結果を駆動部23へのリトライ信号として出力し、アライメント演算状態Calが再度OFFとなるとともに、アライメント駆動状態20Aが再度ONとなる。
【0055】
駆動部33の駆動が終了すると、駆動部23、駆動部43および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t11で示すように、アライメント駆動状態30AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t04からt11までのアライメント動作後の露光部30に対する演算処理を開始する。
【0056】
図3において時刻t12で示すように、アライメントマーク31a,32aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理30EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系36および搬送系37等に出力し、露光部30に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0057】
駆動部43の駆動が終了すると、駆動部23および駆動部53がアライメント動作実行中かつ照射光学系36または搬送系37が後処理実行中である図3において時刻t13で示すように、アライメント駆動状態40AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t06からt13までのアライメント動作後の露光部40に対する演算処理を開始する。
【0058】
図3において時刻t14で示すように、アライメントマーク41a,42aが露光のために設定された位置範囲となっていない場合には、制御部Cは、演算結果を駆動部43へのリトライ信号として出力し、アライメント演算状態Calが再度OFFとなるとともに、アライメント駆動状態40Aが再度ONとなる。
【0059】
駆動部53の駆動が終了すると、駆動部23および駆動部43がアライメント動作実行中かつ照射光学系36または搬送系37が後処理実行中である図3において時刻t15で示すように、アライメント駆動状態50AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t08からt15までのアライメント動作後の露光部50に対する演算処理を開始する。
【0060】
図3において時刻t16で示すように、アライメントマーク51a,52aが露光のために設定された位置範囲となっていない場合には、制御部Cは、演算結果を駆動部53へのリトライ信号として出力し、アライメント演算状態Calが再度OFFとなるとともに、アライメント駆動状態50Aが再度ONとなる。
【0061】
照射光学系36または搬送系37の後処理が終了すると、駆動部23、駆動部43および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t17で示すように、後処理30EをOFF、レディ信号30rをONとして、露光部30は待機状態となる。
【0062】
駆動部23の駆動が終了すると、駆動部43および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t18で示すように、アライメント駆動状態20AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t10からt18までのリトライ動作後の露光部20に対する演算処理を開始する。
【0063】
図3において時刻t19で示すように、アライメントマーク21a,22aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理20EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系26および搬送系27等に出力し、露光部20に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0064】
制御部Cは、図3において時刻t20で示すように、レディ信号がONとなっている露光部30を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号30rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部30に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t21で示すように、露光部30に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態30AがONとなる。
【0065】
駆動部43の駆動が終了すると、駆動部33および駆動部53がアライメント動作実行中かつ照射光学系26または搬送系27が後処理実行中である図3において時刻t22で示すように、アライメント駆動状態40AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t14からt22までのリトライ動作後の露光部40に対する演算処理を開始する。
【0066】
図3において時刻t23で示すように、アライメントマーク41a,42aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理40EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系46および搬送系47等に出力し、露光部40に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0067】
駆動部53の駆動が終了すると、駆動部33がアライメント動作実行中かつ照射光学系26または搬送系27、照射光学系46または搬送系47が後処理実行中である図3において時刻t24で示すように、アライメント駆動状態50AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t16からt24までのリトライ動作後の露光部50に対する演算処理を開始する。
【0068】
照射光学系26または搬送系27の後処理が終了すると、駆動部33がアライメント動作実行中かつ照射光学系46または搬送系47が後処理実行中である図3において時刻t25で示すように、後処理20EをOFF、レディ信号20rをONとして、露光部20は待機状態となる。
【0069】
図3において時刻t26で示すように、アライメントマーク51a,52aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理50EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系56および搬送系57等に出力し、露光部50に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0070】
制御部Cは、図3において時刻t27で示すように、レディ信号がONとなっている露光部20を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号20rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部20に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t28で示すように、露光部20に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態20AがONとなる。
【0071】
照射光学系46または搬送系47の後処理が終了すると、駆動部23、駆動部33がアライメント動作実行中かつ照射光学系56または搬送系57が後処理実行中である図3において時刻t29で示すように、後処理40EをOFF、レディ信号40rをONとして、露光部40は待機状態となる。
【0072】
駆動部33の駆動が終了すると、駆動部23がアライメント動作実行中かつ照射光学系56または搬送系57が後処理実行中である図3において時刻t30で示すように、アライメント駆動状態30AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t21からt30までのアライメント動作後の露光部30に対する演算処理を開始する。
【0073】
照射光学系56または搬送系57の後処理が終了すると、駆動部23がアライメント動作実行中である図3において時刻t31で示すように、後処理50EをOFF、レディ信号50rをONとして、露光部50は待機状態となる。
【0074】
図3において時刻t32で示すように、アライメントマーク31a,32aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理30EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系36および搬送系37等に出力し、露光部30に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0075】
制御部Cは、駆動部23がアライメント動作実行中かつ照射光学系36または搬送系37が後処理実行中である図3において時刻t33で示すように、レディ信号がONとなっている露光部40を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号40rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部40に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t34で示すように、露光部40に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態40AがONとなる。
【0076】
制御部Cは、駆動部23、駆動部43がアライメント動作実行中かつ照射光学系36または搬送系37が後処理実行中である図3において時刻t35で示すように、レディ信号がONとなっている露光部50を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号50rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部50に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t36で示すように、露光部50に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態50AがONとなる。
【0077】
駆動部23の駆動が終了すると、駆動部43、駆動部53がアライメント動作実行中かつ照射光学系36または搬送系37が後処理実行中である図3において時刻t37で示すように、アライメント駆動状態20AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t28からt37までのアライメント動作後の露光部20に対する演算処理を開始する。
【0078】
照射光学系36または搬送系37の後処理が終了すると、駆動部43および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t38で示すように、後処理30EをOFF、レディ信号30rをONとして、露光部30は待機状態となる。
【0079】
図3において時刻t39で示すように、アライメントマーク21a,22aが露光のために設定された位置範囲となっていない場合には、制御部Cは、演算結果を駆動部23へのリトライ信号として出力し、アライメント演算状態Calが再度OFFとなるとともに、アライメント駆動状態20Aが再度ONとなる。
【0080】
制御部Cは、図3において時刻t40で示すように、レディ信号がONとなっている露光部30を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号30rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部30に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t41で示すように、露光部30に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態30AがONとなる。
【0081】
駆動部43の駆動が終了すると、駆動部23、駆動部33および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t42で示すように、アライメント駆動状態40AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t34からt42までのアライメント動作後の露光部40に対する演算処理を開始する。
【0082】
図3において時刻t43で示すように、アライメントマーク41a,42aが露光のために設定された位置範囲となっていない場合には、制御部Cは、演算結果を駆動部43へのリトライ信号として出力し、アライメント演算状態Calが再度OFFとなるとともに、アライメント駆動状態40Aが再度ONとなる。
【0083】
駆動部53の駆動が終了すると、駆動部23、駆動部33および駆動部43がアライメント動作実行中である図3において時刻t44で示すように、アライメント駆動状態50AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t08からt15までのアライメント動作後の露光部50に対する演算処理を開始する。
【0084】
図3において時刻t45で示すように、アライメントマーク51a,52aが露光のために設定された位置範囲となっていない場合には、制御部Cは、演算結果を駆動部53へのリトライ信号として出力し、アライメント演算状態Calが再度OFFとなるとともに、アライメント駆動状態50Aが再度ONとなる。
【0085】
駆動部23の駆動が終了すると、駆動部33、駆動部43および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t46で示すように、アライメント駆動状態20AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t39からt46までのリトライ動作後の露光部20に対する演算処理を開始する。
【0086】
図3において時刻t47で示すように、アライメントマーク21a,22aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理20EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系26および搬送系27等に出力し、露光部20に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0087】
駆動部33の駆動が終了すると、駆動部23、駆動部43および駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t48で示すように、アライメント駆動状態30AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t41からt48までのアライメント動作後の露光部30に対する演算処理を開始する。
【0088】
図3において時刻t49で示すように、アライメントマーク31a,32aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理30EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系36および搬送系37等に出力し、露光部30に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0089】
駆動部43の駆動が終了すると、駆動部53がアライメント動作実行中かつ照射光学系26または搬送系27、照射光学系36または搬送系37が後処理実行中である図3において時刻t50で示すように、アライメント駆動状態40AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t43からt50までのリトライ動作後の露光部40に対する演算処理を開始する。
【0090】
照射光学系26または搬送系27の後処理が終了すると、駆動部33がアライメント動作実行中かつ照射光学系46または搬送系47が後処理実行中である図3において時刻t51で示すように、後処理20EをOFF、レディ信号20rをONとして、露光部20は待機状態となる。
【0091】
図3において時刻t52で示すように、アライメントマーク41a,42aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理40EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系46および搬送系47等に出力し、露光部40に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0092】
駆動部53の駆動が終了すると、駆動部33がアライメント動作実行中かつ照射光学系26または搬送系27、照射光学系46または搬送系47が後処理実行中である図3において時刻t53で示すように、アライメント駆動状態50AがOFF、アライメント演算状態CalがONになる。制御部Cは、t45からt53までのリトライ動作後の露光部50に対する演算処理を開始する。
【0093】
照射光学系36または搬送系37の後処理が終了すると、照射光学系46または搬送系47が後処理実行中である図3において時刻t54で示すように、後処理30EをOFF、レディ信号30rをONとして、露光部30は待機状態となる。
【0094】
図3において時刻t55で示すように、アライメントマーク51a,52aが露光のために設定された位置範囲となっている場合には、制御部Cは、アライメント演算状態CalをOFF、後処理50EをONとし、露光開始信号を露光条件信号とともに照射光学系照射光学系56および搬送系57等に出力し、露光部50に対する露光処理、処理済みガラス基板Wのアンロード、未処理ガラス基板Wのロードまで一連の処理を連続させる。
【0095】
制御部Cは、図3において時刻t56で示すように、レディ信号がONとなっている露光部20を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号20rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部20に対する演算処理を開始する。
図3において時刻t57で示すように、露光部20に対する演算処理が終了すると、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態20AがONとなる。
【0096】
制御部Cは、図3において時刻t58で示すように、レディ信号がONとなっている露光部30を選択して、アライメント開始信号を出力し、レディ信号30rをOFF、アライメント演算状態CalをONとし、露光部30に対する演算処理を開始する。
【0097】
照射光学系46または搬送系47の後処理が終了すると、駆動部23、駆動部53がアライメント動作実行中である図3において時刻t59で示すように、後処理40EをOFF、レディ信号40rをONとして、露光部40は待機状態となる。
【0098】
これ以降、各露光部20,30,40,50を制御部Cが制御して、各露光部のうち、レディ信号がONになっている露光部を選択して順次処理を開始する。これにより、本実施形態においては、これら複数の露光部を有する露光装置1において、ガラス基板の露光処理を並列的にかつ順次行うことができる。
特に、図2に示したように単独の露光部20のみで処理をおこなった場合、時刻t2〜t3および時刻t4〜t5という制御部Cがなにもしていない時間が存在する。また、このような制御部と露光部とのセットを複数設けた露光装置においては、装置駆動時間の大半で制御部が動作していない時間を有することになる。これに対し、本実施形態においては、図3に示すように、制御部Cの動作していない時間を短縮することができるため、制御部Cを共通として装置コストを削減した状態で、各露光部20,30,40,50が駆動していないロスタイムを減少して、結果的に、タクトタイムを短縮して、生産効率を向上することが可能となる。
【0099】
本発明においては、制御部Cによって複数の露光部20,…集中コントロールすると、1台目の露光部20で得られた情報を利用して、露光条件を他の露光部30、…に転用すると、アライメントの短時間化をおこなうことができる。たとえば、2台目以降の露光部30、…において、アライメント時間を半分程度以下に短縮できる。
ここで、微細化されたデザインルールでの処理においてアライメントしようとすると、一回でできないので、多段階で処理することになり、これをリトライという。アライメントは周囲の状態で狂う。たとえば、温度・湿度の環境因子によるモノが多い。リトライを行うと処理時間が2倍以上かかる。1回目のアライメントで、所望の状態になっていない場合、2回目以降の各回のアライメントは、1回目と同じだけ処理時間が必要である。従って回数が増える分だけ処理時間が必要となる。
また、ランプの照度のバラツキによって、露光処理そのものがばらつく場合がある。
【0100】
これに対して、本発明においては、制御部Cにおいて、1台目の露光部20におけるアライメントの結果から機械的要素の状態を考慮して、この状態を制御部Cのメモリに格納する。そして、2台目以降の露光部30、…に対しては、この格納データに基づいて、アライメントにおける機械的要素の状態を予想する。その結果、最初のアライメントからリトライと同じように駆動部33,…においてずれをキャンセルする傾向に駆動させる。このずれは、搬送系で発生するクセであり、たとえば、治具でガラス基板Wを載置した際に一方向にずれる・傾く等のクセを意味する。
また、ランプの照度のバラツキを読み取って、同様に露光処理の状態を予想する。その結果、照度変化をキャンセルする傾向に露光時間を制御する。
【0101】
つまり、1台目の露光部20でそのクセを読み取ったことで、相対的なずれを微調整する方向がわかるので、2台目以降の露光部30、…に対してクセをキャンセルするようにこれに対応する。あるいは、露光部20で次回以降のガラス基板Wに対してクセをキャンセルするように対応するものである。これは、制御部Cにおいて、信号を一括で処理することにより、各露光部で、搬送系かロボットや治具系が共通しているか、ハンドリング機構が共通化している場合に非常に有効である。このようなクセに対するフィードフォアードによって、温度湿度などの処理雰囲気によって発生するクセの影響を低減して処理時間を削減し、生産性を向上することができる。
同時に、露光条件のクセに起因する機差も同様に低減することができる。
【0102】
本発明においては、露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、被露光材としてのワークを保持するワーク保持部と、前記マスク保持部と前記ワーク保持部とを相対的に駆動する駆動部と、前記マスクに形成されたマスク側アライメントマーク及び前記ワークに形成されたワーク側アライメントマークを検出可能なアライメントカメラと、アライメント開始可能であることを出力するレディ信号出力手段と、を備え前記ワーク上に前記マスクのパターンを露光転写する露光部が複数設けられ、これら複数の露光部において、それぞれ前記アライメントカメラによって検出された前記両アライメントマークのずれ量に基づいて、前記駆動部を駆動制御してアライメント動作を実行するための制御部が共通して設けられた露光装置における露光方法であって、前記制御部が、前記レディ信号を出力している前記露光部のうち1つの露光部を選択してアライメント開始信号を出力する工程と、この選択された露光部において、前記両アライメントマークのずれ量が露光転写時の所望のアライメント精度範囲以内となるよう前記駆動部によるアライメント動作を実行する工程とを有する露光方法を採用することができる。
前記ワークが、予め強化処理が施されたガラス基板とされてなることができる。
また、前記制御部が、前記選択した露光部において、前記駆動部に前記アライメント開始信号を出力する工程の後、前記レディ信号が再度出力される前に、前記レディ信号を出力している他の露光部を選択して前記アライメント開始信号を出力する工程を有する露光方法とすることができる。
前記ワーク保持部が複数のワークを保持可能とされることができる。
本発明においては、露光すべきパターンを有するマスクを保持するマスク保持部と、被露光材としてのワークを保持するワーク保持部と、前記マスク保持部と前記ワーク保持部とを相対的に駆動する駆動部と、前記マスクに形成されたマスク側アライメントマーク及び前記ワークに形成されたワーク側アライメントマークを検出可能なアライメントカメラと、アライメント開始可能であることを出力するレディ信号出力手段と、を備え前記ワーク上に前記マスクのパターンを露光転写する露光部が複数設けられ、これら複数の露光部において、それぞれ前記アライメントカメラによって検出された前記両アライメントマークのずれ量に基づいて、前記駆動部を駆動制御してアライメント動作を実行するための制御部が共通して設けられた露光装置であって、前記制御部が、前記レディ信号を出力している前記露光部のうち1つの露光部を選択してアライメント開始信号を出力することで、この選択された露光部において、前記両アライメントマークのずれ量が露光転写時の所望のアライメント精度範囲以内となるよう前記駆動部によるアライメント動作を実行する露光装置を採用することができる。
前記ワークが、予め強化処理が施されたガラス基板とされてなることができる。
前記制御部が、前記選択した露光部において、前記駆動部に前記アライメント開始信号を出力した後、前記レディ信号が再度出力される前に、前記レディ信号を出力している他の露光部を選択して前記アライメント開始信号を出力することができる。
前記ワーク保持部が複数のワークを保持可能とされることができる。
【0103】
以下、本発明に係る露光装置の第2実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態における露光装置1は、第1実施形態とは、露光部に関する部分が異なり、これ以外の対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。図4は、本実施形態の露光装置における露光部を示す斜視図(a)、上面図(b)、断面図(c)である。
【0104】
本実施形態における露光部100は、第1実施形態の露光部20,30,40,50に対応するものとされる。
この露光部100は、最終的に得られる製品の個別形状にカットされた基板Wに対して露光処理を行うものとされ、露光ユニット110と、前記基板Wが載置される基板保持ユニット120と、前記露光ユニット110を前記基板保持ユニット120の上方に支持するとともに、前記露光ユニット110を少なくとも鉛直方向に移動させる脚ユニット130と、を備える。
【0105】
前記基板Wは、最終的に得られる製品の個別形状にカットされるとともに、予め強化処理が施されたガラス基板である。本実施形態において、基板Wは、例えば化学強化ガラスからなる。このような化学強化ガラスは、温度が400℃程度のカリウム塩溶融浴に浸漬して化学強化処理を行ったガラスであり、ガラス基板Wのナトリウムイオンがカリウムイオンにイオン交換されている。ここで、ナトリウムのイオン半径は95nmであるのに対して、カリウムイオンのイオン半径は133nmであり、カリウムイオンの方がナトリウムイオンよりもイオン半径が大きい。このため、ガラス基板は、表面の化学強化層に起因する圧縮応力によって強度が強化された状態にある。
【0106】
また、本実施形態において、基板は、大型のガラス基板を切断した後、強化処理されてなる。このため、大型の強化ガラス基板を切断する必要がないので、製品サイズのガラス基板を効率よく生産することができる。なお、基板Wには、その表面にパターニングする対象となる薄膜が形成され、その薄膜表面にフォトレジスト膜が予め形成されていてもよい。
【0107】
露光ユニット110は、光源111、前記光源111の下方に配されたフレーム部材112、前記フレーム部材112に取付けられたマスク113(フォトマスク)、フレーム部材112の(鉛直方向の)位置を調整可能な移動機構(アクチュエータ114)を備える。
光源111としては、例えば、波長365nmを基準波長とする超高圧水銀ランプが好ましい。このランプを使用する場合、点灯/消灯制御を頻繁に行うことは現実的ではないので、継続点灯状態で用いる。そのため、光源からの光の出射/遮蔽動作を行うためには、2次デバイスが必要となる。この2次デバイスとしては通常、モータ駆動のメカニカルなシャッタが搭載される。後述するミラーデバイスは、このシャッタの代替要素の一例である。
【0108】
フレーム部材112は、マスク113を位置決めして保持する。マスク113は、例えば、ガラス等の透明基板上に、所定パターンの遮光膜が形成されることで構成される。アクチュエータ114は、マスク113を保持したフレーム部材112を、少なくともY軸の方向(鉛直方向)に移動可能である。これにより、基板保持ユニット120に載置された基板W上に形成される、照明領域の形状又は位置を調整することができる。
【0109】
本実施形態における露光部100は、いわゆる、「プロキシミティ露光」装置を主な対象として検討されたものである。ここで、「プロキシミティ露光」とは、マスク(レチクル)とワーク(試料、基板)のギャップを求められる解像度に対応して数μmから数百μm程度に設定して露光する非接触の露光方式を意味する。「プロキシミティ露光」は、マスクをワークに接触させる「コンタクト露光」に比較して、たとえばマスク表面にレジスト材料が展着するようなリスクを回避できる反面、マスク開口部を通過する光(マスク開口通過光)の放射成分(完全な平行光は作れない)によって、マスクパターン外のレジスト材にも微小に露光が進行し、解像度が劣化する。この解像劣化量は、ギャップ量に比例して進行するので、例えばタッチパネルの場合、ギャップ量としては150μm程度が好ましい。
【0110】
アクチュエータ114は、マスク113と基板Wとの間のギャップを精密に制御することが可能ものとされる。
露光ユニット110において、光源111とマスク113との間に、コンデンサレンズ(図示せず)が配されていてもよい。コンデンサレンズは、例えば一対の非球面レンズからなり、光源111からの照射光を略平行光とする。また、マスク113と基板保持ユニット120との間に、縮小投影レンズ(図示せず)が配されていてもよい。縮小投影レンズは、マスク113上のパターンを、基板保持ユニット120に載置された基板W上に縮小投影する。
【0111】
基板保持ユニット120は、その表面に、露光処理が施される被処理基板Wが載置される。基板保持ユニット120は、例えば真空吸着、静電吸着、メカニカルクランプなどにより基板2を固定する手段を有していてもよい。本実施形態において、前記基板保持ユニット120は、複数の基板Wを連続的に搬送するコンベア121の一部である。
コンベア121は、例えば、駆動用回転ローラ、回転ローラ、及びコンベアベルトを備える。モータを所定方向に回転させて、コンベアベルトを所定方向に回転させ、これにより、コンベアベルト上に載置された複数の基板Wを、連続的に搬送するとともに、光照射位置(露光ユニット110の下方位置)において、露光処理がなされる被処理基板Wを停止した状態で保持する。
【0112】
脚ユニット130は、前記露光ユニット110を前記基板保持ユニット120の上方に支持するとともに、前記露光ユニット110を少なくとも鉛直方向に移動させる。脚ユニット130は、昇降モータ(図示せず)に連結され鉛直方向に延びる昇降脚131を有し、この昇降脚131の上端部には、露光ユニット110が取り付けられている。昇降脚131の数は特に限定されるものではないが、複数とすることが好ましく、例えば3本とする。
【0113】
このような構成の露光部100を用いて、ガラスからなる基板W表面に形成された薄膜をパターニングするには、まず、複数の基板2をコンベア121(基板保持ユニット120)に載置する。なお、基板Wは、その表面にパターニングする対象となる薄膜が形成され、その薄膜表面にフォトレジスト膜が予め形成されている。
【0114】
このとき、昇降ユニットは上昇し、その昇降脚131によって露光ユニット110を支持して上昇した状態とされている。コンベア121は、露光処理がなされる被処理基板Wを、処理が行われる所定位置(露光ユニット110の下方位置)まで搬送し、光照射位置において、被処理基板Wを停止した状態で保持する。この状態まで、レディ信号がONとなっている。
【0115】
次いで、アライメント開始信号の出力により、駆動部である昇降ユニットの昇降脚131を下降させることで露光ユニット110を下降させ、その状態で、レディ信号100rをOFF、アライメント演算状態CalをONとした後、アライメント演算状態CalをOFF、アライメント駆動状態100AをONとしてアライメントを行う。このとき、脚ユニット130により露光ユニット110の鉛直方向の位置を調整してもよい。また、アクチュエータ114により、マスク113を保持したフレーム部材112の少なくともY軸の方向(鉛直方向)の位置を調整してもよい。
【0116】
その後、アライメント演算状態CalをOFF、後処理100EをONとし、露光開始信号を出力し、基板Wに対して露光処理を行う。この状態で、光源111から光を発すると、その光がコンデンサレンズに照射され、コンデンサレンズで集光されて平行光束が形成され、マスク113に照射される。
【0117】
マスク113に照射された平行光束は、マスク113を透過した後、縮小投影レンズ115で縮小されて基板保持ユニット120に載置された基板表面に照射される。その結果、基板Wの表面のフォトレジスト膜の一部領域に、マスク113と同じパターンで、縮小された像を結像するように、フォトレジスト膜の一部領域が露光されて潜像が形成される。 露光処理終了後、昇降ユニットの昇降脚131を上昇させることで露光ユニット110を上昇させ、再びコンベア121を動作させることで処理済の基板Wを搬送するとともに、次に露光処理がなされる基板Wを、所定位置(露光ユニット110の下方位置)まで搬送し、レディ信号100rをONとする。
【0118】
このように、本発明の露光部100によれば、個別形状にカットされた複数の基板Wに対して、迅速に露光処理を行うことができる。これによりタクトタイムを短縮して、生産性を向上することができる。
【0119】
なお、本実施形態の露光装置では、並行して配された複数の前記コンベア121と、
該複数のコンベア121のそれぞれに対応して配された、複数の前記露光ユニット110及び前記脚ユニット130と、を備えた構成とすることもできる。これにより、より多くの基板Wに対して露光処理をおこなうことができ、生産性をさらに向上することができる。
【0120】
以下、本発明に係る露光装置および露光方法の第3実施形態を、図面に基づいて説明する。
本実施形態における露光装置1は、第1実施形態とは、露光部に関する部分が異なり、これ以外の対応する構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。図5は、本実施形態の露光装置における露光部を示す模式平面図である。
【0121】
本実施形態における露光部200は、第1実施形態の露光部20,30,40,50に対応し、照射光学系226下にアライメントステージを有するものとされる。
この露光部200は、図5に示すように、搬送部227がロード用ロボットハンド227aおよびアンロード用ロボットハンド227bを有するものとされる。露光部200は、ストッカー227cの未処理基板をロード用ロボットハンド227aによって照射光学系226下の所定位置にロードして、レディ信号がONとする。また、露光部200は、後処理200EをONとして露光処理を終了した後、アンロード用ロボットハンド227bによって照射光学系226下の処理済基板をストッカー227dにアンロードする。
本実施形態では、露光部200において、第1実施形態のように基板Wを順次露光処理することができる。
【0122】
さらに、本実施形態では、露光部200において、複数の基板Wを同一工程で露光処理することもできる。
この場合、 図6に示すように、トレイTに載置された複数の基板Wを送部227にて搬送することや、図6に示すトレイTに載置した状態のように、複数の基板Wを照射光学系226下のアライメントステージ上の所定位置に整列して載置し、一括して露光処理することができる。
これにより、本実施形態においては、処理時間を短縮し、より多くの基板Wに対して露光処理をおこなうことができ、生産性をさらに向上することができる。
【符号の説明】
【0123】
1…露光装置
C…制御部
20,30,40,50…露光部
M…マスク
21…マスクステージ(マスク保持部)
W…ガラス基板(ワーク)
22…ワークステージ(ワーク保持部)
23…ワークステージ移動機構(駆動部)
24…アライメントカメラ
25…レディ信号出力手段
26…照射光学系
27…搬送系
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9