特許第5945480号(P5945480)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5945480
(24)【登録日】2016年6月3日
(45)【発行日】2016年7月5日
(54)【発明の名称】銀ペースト組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08L 101/00 20060101AFI20160621BHJP
   B22F 9/24 20060101ALI20160621BHJP
   B22F 1/00 20060101ALI20160621BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20160621BHJP
   H01B 1/00 20060101ALI20160621BHJP
   H01B 13/00 20060101ALI20160621BHJP
   H01B 5/14 20060101ALI20160621BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20160621BHJP
   H01G 4/232 20060101ALN20160621BHJP
   H01G 4/30 20060101ALN20160621BHJP
   H01G 9/04 20060101ALN20160621BHJP
【FI】
   C08L101/00
   B22F9/24 F
   B22F1/00 K
   H01B1/22 A
   H01B1/00 F
   H01B13/00 Z
   H01B5/14 Z
   H01B5/14 B
   H05K1/09 A
   !H01G4/12 361
   !H01G4/30 301B
   !H01G9/05 G
【請求項の数】22
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2012-196806(P2012-196806)
(22)【出願日】2012年9月7日
(65)【公開番号】特開2014-51590(P2014-51590A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(74)【代理人】
【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【弁理士】
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100132540
【弁理士】
【氏名又は名称】生川 芳徳
(74)【代理人】
【識別番号】100125106
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100125793
【弁理士】
【氏名又は名称】川田 秀美
(74)【代理人】
【識別番号】100146031
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 明夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 友之
(72)【発明者】
【氏名】坂井 徳幸
(72)【発明者】
【氏名】吉井 明人
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/063747(WO,A1)
【文献】 特開2003−335924(JP,A)
【文献】 特開2006−183092(JP,A)
【文献】 特開2006−193795(JP,A)
【文献】 特開2006−097086(JP,A)
【文献】 特開2006−002228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 101/00−101/14
B22F 1/00−1/02
9/00−9/30
H01B 1/00−1/24
5/00−5/16
13/00−13/32
H05K 1/00−1/18
H01G 4/00−4/42
9/00−9/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と、(B)樹脂とを含むことを特徴とする銀ペースト組成物であって、
(A)銀粒子の開放連通多孔内に、(B2)ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマー、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含み、
(A)銀粒子の開放連通多孔体内の含有物の量が、(A)銀粒子と含有物との合計量に対して1〜50質量%である、銀ペースト組成物
【請求項2】
A)銀粒子に対する(B)樹脂の質量比率が30:70〜99:1である、請求項1記載の銀ペースト組成物。
【請求項3】
(A)銀粒子の開放連通多孔内に含まれる少なくとも1種の物が、(D)硬化剤である、請求項1又は2記載の銀ペースト組成物。
【請求項4】
(A)銀粒子の開放連通多孔内に含まれる少なくとも1種の物が、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物である、請求項1〜3のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項5】
画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50が0.5〜6μmである、請求項1〜のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項6】
(A)銀粒子のBET比表面積が1〜8m/gである、請求項1〜のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項7】
画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積10%粒径D10が0.5〜2.5μmであり、(A)銀粒子の体積基準の累積90%粒径D90が3〜6μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.5である、請求項1〜のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項8】
式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出される式(2)で表される数値Kが、3≦K≦72である、請求項1〜のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない(A)銀粒子の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSはBET法による(A)銀粒子の比表面積である。)
【請求項9】
(B)樹脂が、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂である、請求項1〜のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項10】
(B)樹脂が熱可塑性樹脂であり、熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂及びポリアミドイミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項記載の銀ペースト組成物。
【請求項11】
(B)樹脂が熱硬化性樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ウレタン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より得ばれる少なくとも1種の樹脂である、請求項記載の銀ペースト組成物。
【請求項12】
(C)分散剤が、脂肪酸又はその塩、界面活性剤、有機金属及び保護コロイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の分散剤である、請求項1〜11のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項13】
(D)硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤である、請求項1〜12のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項14】
(E)フラックス剤が、ロジン系フラックス剤、変性ロジン系フラックス剤及び有機酸系フラックス剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のフラックス剤であ、請求項1〜13のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項15】
(F)硬化促進剤が、イミダゾール類及び第三級アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化促進剤である、請求項1〜14のいずれか1項記載の銀ペースト組成物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項記載の銀ペースト組成物を用いて形成した導電体。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項記載の銀ペースト組成物を用いて形成した電子部品。
【請求項18】
銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る工程と、次いで還元剤を前記水溶液に添加して液相中に開放連通多孔である銀粒子を析出させる工程と、
得られた(A)開放連通多孔体である銀粒子と(B)樹脂と、(B2)ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマー、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物とを混合する工程とを含む銀ペースト組成物の製造方法であって、
(A)銀粒子の開放連通多孔内に、(B2)ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマー、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含み、
(A)銀粒子の開放連通多孔体内の含有物の量が、(A)銀粒子と含有物との合計量に対して1〜50質量%である、銀ペースト組成物の製造方法
【請求項19】
銀塩が、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀及び塩化銀からなる群より選ばれる少なくとも1種の銀塩である、請求項18記載の銀ペースト組成物の製造方法。
【請求項20】
多価カルボン酸が、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸及びマロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸である、請求項18又は19の銀ペースト組成物の製造方法。
【請求項21】
還元剤が、アスコルビン酸である、請求項1820のいずれか1項記載の銀ペースト組成物の製造方法。
【請求項22】
銀塩と多価カルボン酸と還元剤との添加割合がモル比率で1:0.1〜0.5:0.5〜1である、請求項1821のいずれか1項記載の銀ペースト組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状の開放連通多孔体である銀粒子と樹脂を含む銀ペースト組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器等に用いられる電気抵抗率が低い導電材料を得ることを目的として、無電解法によりシリカ粒子等の核物質を中心として核物質から樹状(デンドライト状)に銀や銅等の結晶を成長させ、放射状に延設された凸部と、当該凸部の間隙に凹部を備えた導電粉(特許文献1)が知られている。
【0003】
近年、電子機器等に用いられる微細配線回路への要求が高くなっており、微細配線回路に用いる導電材料として、無電解湿式プロセスにより、硝酸銀とL−アスコルビン酸とを含む水溶液から得られるデンドライト状銀粉が知られている(特許文献2)。また、微細配線回路に用いられる導電材料として、湿式還元法より、硝酸銀と、クエン酸と、ゼラチンとを含む銀イオン含有溶液に、アスコルビン酸系還元剤を含む還元剤を添加して得られる扁平状の銀粉が知られている(特許文献3)。さらに、微細配線回路に用いられる球状銀粉として、硝酸銀溶液に、アンモニア水を添加して銀のアミン錯体溶液を生成し、pH調整剤として水酸化ナトリウムを添加し、さらに還元剤としてホルマリン溶液を添加し、その後に分散剤としてステアリン酸を添加して得られる球状の銀粉も知られている(特許文献4〜6)。
【0004】
特許文献1、2に開示されているデンドライト状の銀粉は、空隙率が大きく、比較的疎な構造であり、銀粉と樹脂とを混合して、導電性組成物を製造する際にデンドライト状の部分が絡み合って凝集が起こりやすく、微細配線への適用には不適当な場合があり、電気抵抗を低減できない場合がある。さらに、特許文献4〜6に開示されている球状の銀粉は、実施例に具体的に記載されている銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50が1.5μmに対して、BET比表面積が0.77m/gと小さいことから、凹凸が少なく表面平滑な球状銀粉であることが推測され、銀粉と樹脂とを混合して導電性組成物を製造した場合に銀粉同士の接触が少なく、導電率が低下し電気抵抗が低減できない場合がある。
【0005】
また、微細配線回路等の導電材料に用いられるものではないが、ダイヤモンド等の硬い材料の切削具を作るときの結合剤として、微細な多孔を有する球状の金属粒子として、例えば、60〜90℃において、コバルト(II)塩水溶液に、激しく撹拌しながら炭酸水素塩を添加し、球状の塩基性炭酸コバルトを得た後、アルカリ及び/又はアンモニア液の添加により球状の水酸化コバルト(II)に転化し、さらに得られた水酸化コバルトを300〜900℃で気体の還元剤と接触させて球状多孔質の塩基性炭酸コバルト粒子を製造する方法が開示されている(特許文献7)。さらに、球状多孔質の合金粒子を製造する方法として、パラジウム塩と銀塩とを含む水溶液に、キレート形成基を有する高分子を加えて、パラジウムイオンと銀イオンとを錯体形成により保持させた金属担持キレート樹脂を形成し、これを酸素の存在下で焼成して有機成分を燃焼除去した後、水素雰囲気下で焼成することにより、パラジウムと銀とを含む球状多孔質の金属粒子を製造する方法が開示されている(特許文献8)。
【0006】
しかしながら、特許文献7又は8に開示されている球状多孔質の金属粒子は、温度の管理や煩雑な手間が必要であり、安価かつ簡易に製造できるものではなく、電気抵抗を低減でき、微細配線構造に適用可能な導電材料として適するものであるか否かも不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−149903号公報
【特許文献2】特開2005−146387号公報
【特許文献3】特開2009− 13449号公報
【特許文献4】特開2006− 2228号公報
【特許文献5】特開2006− 97086号公報
【特許文献6】特開2006−193795号公報
【特許文献7】特開表11−505884号公報
【特許文献8】特開2008−115439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、球状の開放連通多孔体である銀粒子と樹脂を含み、電気抵抗や粘度の上昇を抑制し、電気抵抗率を低減することが可能である等の優れた特性を発揮し、導電体や電子部品の形成等に好適に使用可能な銀ペースト組成物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明は、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と、(B)樹脂及び/又は(C)分散剤とを含むことを特徴とする銀ペースト組成物に関する。
[2]銀ペースト組成物中に(B)樹脂を含み、(A)銀粒子に対する(B)樹脂の質量比率が30:70〜99:1である、上記[1]記載の銀ペースト組成物に関する。
[3](D)硬化剤を含む、上記[1]又は[2]記載の銀ペースト組成物に関する。
[4](E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含む、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[5](A)銀粒子の開放連通多孔内に、(B)樹脂、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含む、上記[4]記載の銀ペースト組成物に関する。
[6](A)銀粒子の開放連通多孔体内の含有物の量が、(A)銀粒子と含有物との合計量に対して1〜30質量%である、上記[5]記載の銀ペースト組成物に関する。
[7]画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50が0.5〜6μmである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[8](A)銀粒子のBET比表面積が1〜8m/gである、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[9]画像解析式粒度分布測定法による、(A)銀粒子の体積基準の累積10%粒径D10が0.5〜2.5μmであり、(A)銀粒子の体積基準の累積90%粒径D90が3〜6μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.5である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[10]式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出される式(2)で表される数値Kが、3≦K≦72である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない(A)銀粒子の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による(A)銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSはBET法による(A)銀粒子の比表面積である。)
[11](B)樹脂が、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂である、上記[1]〜[10]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[12](B)樹脂が熱可塑性樹脂であり、熱可塑性樹脂が、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂である、上記[11]記載の銀ペースト組成物に関する。
[13](B)樹脂が熱硬化性樹脂であり、熱硬化性樹脂が、エポキシ樹脂、シアネート樹脂、ウレタン樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂からなる群より得ばれる少なくとも1種の樹脂である、上記[11]記載の銀ペースト組成物に関する。
[14](C)分散剤が、脂肪酸又はその塩、界面活性剤、有機金属及び保護コロイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の分散剤である、上記[1]〜[13]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[15](D)硬化剤が、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤である、上記[3]〜[14]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[16](E)フラックス剤が、ロジン系フラックス剤、変性ロジン系フラックス剤及び有機酸系フラックス剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のフラックス剤であり、上記[4]〜[15]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[17](F)硬化促進剤が、イミダゾール類及び第三級アミン類からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化促進剤である、上記[4]〜[16]のいずれかに記載の銀ペースト組成物に関する。
[18]本発明は、上記[1]〜[17]のいずれかに記載の銀ペースト組成物を用いて形成した導電体に関する。
[19]本発明は、上記[1]〜[17]のいずれかに記載の銀ペースト組成物を用いて形成した電子部品に関する。
[20]本発明は、銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る工程と、次いで還元剤を前記水溶液に添加して液相中に開放連通多孔である銀粒子を析出させる工程と、得られた(A)開放連通多孔体である銀粒子と(B)樹脂とを混合する工程とを含む銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[21]銀塩が、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀及び塩化銀からなる群より選ばれる少なくとも1種の銀塩である、上記[20]記載の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[22]多価カルボン酸が、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸及びマロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸である、上記[20]又は[21]の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[23]還元剤が、アスコルビン酸である、上記[20]〜[22]のいずれかに記載の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
[24]銀塩と多価カルボン酸と還元剤との添加割合がモル比率で1:0.1〜0.5:0.5〜1である、上記[20]〜[23]のいずれかに記載の銀ペースト組成物の製造方法に関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、弾性率や強度を維持したまま、粘度の上昇を抑制し、電気抵抗率の上昇を抑制し、電気抵抗率を低下することの可能な導電材料として優れた特性を有する銀ペースト組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】球状の開放連通多孔体である銀粒子(銀粒子a)の断面の倍率20,000倍のSEM写真である。
図2】球状の開放連通多孔体である銀粒子(銀粒子a)の倍率20,000倍のSEM写真である。
図3】球状の開放連通多孔体である銀粒子(銀粒子a)の倍率40,000倍のSEM写真である。
図4】画像処理により空隙部分の領域SAを示す、球状の開放連通多孔体である銀粒子(銀粒子a)の断面の倍率20,000倍のSEM写真である。
図5】開放連通多孔体ではない、銀粒子bの倍率5,000倍のSEM写真である。
図6】フレーク状の銀粒子cの倍率2,000倍のSEM写真である。
図7】銀粒子a〜cとエチルセルロースとを混合した銀ペースト組成物を各温度で焼成した状態を示す倍率2,000倍のSEM写真である。
図8】銀粒子aと、銀粒子aと分散剤とを混合して、得られた表面処理された銀粒子を示すSEM写真であり、(a)〜(c)の倍率は10,000倍であり、(d)の倍率は5,000倍である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を図面に基づき詳細に説明する。
本発明は、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と、(B)樹脂及び/又は(C)分散剤とを含む銀ペースト組成物である。
【0013】
〔(A)銀粒子〕
本発明の銀ペースト組成物に用いる(A)銀粒子は、球状の開放連通多孔体である。本発明に用いる(A)銀粒子は、(A)銀粒子の開放連通孔内に(B)樹脂等の成分を含有させることができる。本発明の銀ペースト組成物は、開放連通多孔を有する(A)銀粒子と(B)樹脂とを含むことによって、開放連通多孔を有していない銀粒子と樹脂とを含む銀ペースト組成物と比較して、弾性率や強度を維持したまま、粘度の上昇を抑制し、電気抵抗率の上昇を抑制し、電気抵抗率を低下することの可能な導電材料として優れた特性を有する銀ペースト組成物を提供することができる。また、本発明の銀ペースト組成物は、開放連通多孔を有する(A)銀粒子と(C)分散剤とを含むことによって、(A)銀粒子の開放連通多孔内に(C)分散剤を含有させるとともに、(A)銀粒子の表面が(C)分散剤で処理され、(A)銀粒子の凝集を抑制することができ、銀ペースト組成物を硬化させることによって、均一かつ緻密な薄膜状に形成された導電体を得ることができ、導電体の電気抵抗率の低下することができる。
【0014】
図1は、本発明に用いる(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子をイオンミリングした断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像(倍率20,000倍)を示す。また、図2、3は、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子の外観を、それぞれ倍率20,000倍、倍率40,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像を示す。図4は、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子をイオンミリングした断面を、走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した画像(倍率20,000倍)を画像処理して得られる空隙部分の領域SAを示す。
【0015】
図1に示すように、本発明の銀ペースト組成物に用いる(A)銀粒子は、球状の開放連通多孔体であり、本発明の銀ペースト組成物は、(A)銀粒子と(B)樹脂及び/又は(C)分散剤とを含むことにより、(A)銀粒子の開放連通孔に(B)樹脂及び/又は(C)分散剤を含有させることができる。
【0016】
図1又は図4に示すように、本発明の銀ペースト組成物に含まれる銀粒子は、中心から外方に向かって均一に樹状に結晶成長してなる構造を有する。この銀粒子は、薄い針状には結晶成長せず、樹状に結晶成長した先端部が球面に微細な凹凸構造を形成するようにほぼ真球状に、かつ球状の内部に多数の開放連通孔を有するように結晶成長したものである。
【0017】
図1に示すように、本発明の銀ペースト組成物に含まれる銀粒子は、開放連通孔に樹脂等を含んでいない状態では、断面形状が珊瑚状であり、図2、3に示すように、外観形状が毬藻状である。
【0018】
図1〜4に示すように、球状の開放連通多孔体である銀粒子は、緻密かつ均一に樹状に結晶成長してなるものであり、球面の凹凸形状が微細なため、球面の凹凸が互いに噛み合わず、銀粒子同士の結合や凝集が起こりにくく、分散性に優れ、かつ、分散時に針状に結晶成長した金属粒子のように先端部が折れたりすることがないので、銀ペースト組成物の比重の調整や銀ペーストの電気抵抗率の調整が容易である。
【0019】
<体積基準の累積50%粒径D50>
球状の開放連通多孔体である銀粒子は、画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50が、好ましくは0.5〜6μm、より好ましくは0.8〜5μm、さらに好ましくは1〜4μmである。本明細書において、画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50、累積90%粒径D90、累積10%粒径D10は、いずれも走査型電子顕微鏡(SEM)にて銀粒子を観察し、所定の倍率で撮影した銀粒子画像ファイル情報に対して、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac−View」Ver.1を用いて銀粒子を1粒子ごと測定し、ランダムに選択した50個の銀粒子について、体積基準の累積50%粒径D50、累積90%粒径D90、累積10%粒径D10をいうものとする。
【0020】
<体積基準の累積10%粒径D10、累積90%粒径D90>
(A)銀粒子は、画像解析式粒度分布測定法による(A)銀粒子の体積基準の累積10%粒径D10が0.5〜2.5μmであり、(A)銀粒子の体積基準の累積90%粒径がD90が3〜6μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.5であることが好ましい。(A)銀粒子のD10とD90、かつD90/D10が上記範囲内であると、粒径のばらつきが少なく、粒度分布がシャープで粒径が揃っており、銀ペースト組成物中における銀粒子の分散性が良好であり、弾性率や強度を維持したまま、粘度や電気抵抗率の上昇を抑制し、又電気抵抗率を低下することができる導電性材料として優れた銀ペースト組成物を提供することができる。(A)銀粒子は、画像解析式粒度分布測定法によるD10が0.8〜2.4μmであり、D90が3.5〜5.5μmであり、かつD90/D10が1.5〜2.4であることがより好ましく、画像解析式粒度分布測定法によるD10が1〜2.4μmであり、D90が4〜5μmであり、かつD90/D10が1.7〜2.3であることがさらに好ましい。
【0021】
<BET比表面積>
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態でBET法により測定した比表面積が、好ましくは1〜8m/g、より好ましくは2〜7m/g、さらに好ましくは2.5〜6m/g、特に好ましくは3〜5.5m/gである。球状の銀粒子は、通常、累積50%粒径D50が大きいと、BET比表面積は小さくなる傾向があり、銀粒子の累積50%粒径D50が小さいと、BET比表面積が大きくなる傾向がある。銀粒子のD50が0.5〜6μmであり、BET比表面積が上記範囲内である場合には、銀粒子のD50が0.5〜6μmと比較的大きい粒径であるのに対して、BET比表面積が大きく、(A)銀粒子が粒径に対して大きな比表面積を有し、開放連通孔を多数有することを示している。(A)銀粒子のBET比表面積が上記範囲内であると、銀ペースト組成物中での銀粒子の分散性に優れるととともに、(A)銀粒子の開放連通孔内に樹脂を含むことができ、この樹脂が開放連通孔に含まれない樹脂と作用して、後述するように、弾性率や強度を維持したまま、粘度や電気抵抗率の上昇を抑制し、又電気抵抗率を低下することができる導電性材料として優れた銀ペースト組成物を提供することができる。BET比表面積は、例えば後述する実施例の方法で測定することができる。
【0022】
<タップ密度>
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態のタップ密度が、好ましくは1〜6g/cm、より好ましくは1.5〜5.5g/cm、さらに好ましくは1.8〜4.5g/cmである。本明細書において、タップ密度とは、タップ密度測定器(蔵持科学機器製)を用いて、試料10gを10mL沈降管に精評し、400回タッピングを行い、タップ密度を算出した値をいう。本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子のタップ密度が上記範囲内であると、比較的小さい含有率で充分な導電性を示し、電気抵抗率の上昇を抑制し、又は電気抵抗率を低下させることができる。(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態では、内部に空隙部を有していない同じ直径の球状の銀粒子と比較して、タップ密度が大きくなる。一方、本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子は、均一かつ緻密に結晶成長した構造であるため、例えば薄く針状に結晶成長した樹状部を有する銀粒子と比較して、タップ密度は小さくなる。また、本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子は、例えばフレーク状の銀粒子と比較して、タップ密度は小さくなる。なお、ここでフレーク状ないし扁平状の銀粒子とは、走査型電子顕微鏡(SEM)にて銀粒子を観察し、2つの面を有するような板状の銀粒子をいい、粒子50個を観察した際の銀粒子の長径の平均値と、銀粒子の厚さの平均値との比(アスペクト比)である銀粒子の厚さの平均値:銀粒子の長径の平均値が1:1.1以上のものをいう。
【0023】
<K値>
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、下記式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出される下記式(2)で表される数値Kが、3≦K≦72であることが好ましい。下記一般式(2)で表される数値Kは、より好ましく3≦K≦60、さらに好ましくは3≦K≦40、特に好ましくは3≦K≦15である。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない(A)銀粒子の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSはBET法による(A)銀粒子の比表面積である。)
【0024】
上記式(2)で表される数値Kが上記範囲内であると、(A)銀粒子と(B)樹脂及び/又は(C)分散剤とを含む銀ペースト組成物において、(A)銀粒子の開放連通孔内に適度な量の(B)樹脂及び/又は(C)分散剤を含むことができ、(A)銀粒子の開放連通孔に含まれた(B)樹脂及び/又は(C)分散剤と、(A)銀粒子の外部に存在する(B)樹脂及び/又は(C)分散剤とが作用し、(A)銀粒子の分散性の低下を抑制することができるため好ましい。
【0025】
<SA値>
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態で、倍率20,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影した銀粒子の断面画像を、特定の画像解析ソフトウェアを用いて画像解析処理して得られる空隙部分の面積SAが、20≦SA≦40であることが好ましい。ここで、空隙部分の面積は、開放連通孔に樹脂を含んでいない状態の(A)銀粒子をアルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E-3500)を用い、ビーム径が半値幅で400μm、イオンガン6kV(加速電圧:6kV、放電電圧:4kV、放電電流:400μA、照射電流:100μA)の条件でイオンミリングし、イオンミリングした(A)銀粒子の断面を20,000倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した。撮影した(A)銀粒子の断面の画像ファイル情報は、画像解析ソフトウェア(三谷商事社製 商品名:「WinROOF」)を用いて、画像解析し、(A)銀粒子の断面に存在する全ての空隙部分の面積を算出した。空隙部分の面積SAは、(A)銀粒子の50個の空隙部分の面積の平均値を算出した値とした。
【0026】
〔(B)樹脂〕
本発明の銀ペースト組成物は、(B)樹脂を含むものである。銀ペースト組成物中に含まれる(A)銀粒子に対する(B)樹脂の質量比率(A:B)は、好ましくは30:70〜99:1であり、より好ましくは50:50〜99:1であり、さらに好ましくは60:40〜99:1である。銀ペースト組成物中の(A)銀粒子に対する(B)樹脂の質量比率が上記範囲内であると、(A)銀粒子の分散性、導電性を損ねることなく、適量の(B)樹脂を(A)銀粒子の開放連通孔に含ませることが可能であり、(A)銀粒子の開放連通孔に含まれる(B)樹脂と、開放連通孔に含まれない(B)樹脂との相互作用により、比較的低温(例えば120〜200℃)で溶融し、厚さ25μm程度の均一な厚さを有し、電気抵抗率の低い、優れた導電性を有する薄膜状の導電体を得ることができる。
【0027】
銀ペースト組成物に含まれる(B)樹脂は、電子機器等の配線回路や導電性接着剤等の導電材料に一般的に使用される樹脂であれば特に限定されない。具体的な(B)樹脂としては、バインダーとしての機能を有する樹脂であればよく、熱可塑性樹脂及び/又は熱硬化性樹脂が好ましい。(B)成分の熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、及びガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。その他、熱可塑性樹脂として、メチルセルロース、エチルセルロース等のセルロース誘導体を用いてもよい。(B)成分の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネート(シアン酸エステル)樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂であることが好ましい。これらの樹脂は、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
ポリスチレン樹脂としては、特に限定されず、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、1,1−ジフェニルエチレン等の芳香族ビニル化合物を重合させて得られる重合体が例示される。こポリスチレン樹脂は、芳香族ビニル化合物のみを重合させて得られる重合体であっても、それ以外のモノマーを重合させて得られる共重合体であってもよい。
【0029】
アクリル樹脂としては、特に限定されず、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルから選ばれる1種以上の単量体を重合して得られる重合体が例示される。好ましいアクリル樹脂は、アクリル酸又はメタクリル酸を重合して得られる重合体である。
【0030】
ポリカーボネート樹脂としては、特に限定されず、ジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネートのような炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体を用いることができる。
【0031】
ポリアミド樹脂としては、特に限定されず、ポリマーの主鎖中にアミド結合(−NH−CO−)をもつ重合体を示し、6ナイロン、66ナイロン、共重合ナイロンや、N−メトキシメチル化ナイロンのような変成ナイロンが例示される。
【0032】
ポリアミドイミド樹脂としては、特に限定されず、例えば、トリカルボン酸無水物とジアミン化合物又はジイソシアネートとを混合して重縮合させて得られるもの等が例示される。
【0033】
ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーとしては、アクリルゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ニトリルゴム等が例示される。上記熱可塑性エラストマーとしては、公知の方法によって製造された市販品を用いてもよく、市販品としては、HycarCTBNシリーズ(宇部興産社製)等が例示される。
【0034】
銀ペースト組成物に含まれる(B)樹脂として、例えばガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーを用いる場合には、(B)成分である上記熱可塑性エラストマーが(A)銀粒子の開放連通多孔内に存在している状態で、もしくは(B)成分である上記熱可塑性エラストマーが(A)銀粒子の開放連通孔から少量流出した状態で、銀ペースト組成物を硬化させることができ、弾性率を維持したまま、電気抵抗率の上昇を抑制した導電体を得ることができる。
【0035】
(B)樹脂として、ガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーを用いる場合には、銀ペースト組成物の全体量100質量%に対して、上記熱可塑性エラストマーが、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは2〜28質量%であり、さらに好ましくは3〜25質量%であり、特に好ましくは5〜20質量%である。銀ペースト組成物中の上記熱可塑性エラストマーの配合割合が上記範囲内であると、例えば(A)銀粒子の開放連通孔内に含まれている(B)成分である上記熱可塑性エラストマーによって、弾性率を維持したまま、電気抵抗率の上昇を抑制した導電体を得ることができる。
【0036】
また、(B)成分として熱硬化性樹脂を用いる場合には、銀ペースト組成物に導電性を損なわない量の(B)樹脂を配合しても、優れた接着性が得られ、また耐熱性も優れていることから、エポキシ樹脂及びレゾール型フェノール樹脂を用いることが好ましく、中でもビスフェノールA型及びビスフェノールF型エポキシ樹脂を用いることが特に好ましい。
【0037】
(B)樹脂として、常温で液状である樹脂を用いると、有機溶媒を用いないでビヒクルとすることができ、乾燥工程を省略できる。このような液状樹脂としては、液状エポキシ樹脂、液状フェノール樹脂等が例示される。液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の平均分子量が約400以下のもの;p−グリシドキシフェニルジメチルトリルビスフェノールAジグリシジルエーテルのような分岐状多官能ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂の平均分子量が約570以下のもの;ビニル(3,4−シクロヘキセン)ジオキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルカルボン酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、アジピン酸ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)5,1−スピロ(3,4−エポキシシクロヘキシル)−m−ジオキサンの少なくとも一種を構成成分としてなる脂環式エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、3−メチルヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルの少なくとも一種を構成成分としてなるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ジグリシジルアニリン、ジグリシジルトルイジン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、テトラグリシジルビス(アミノメチル)シクロヘキサンの少なくとも一種を構成成分としてなるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;並びに1,3−ジグリシジル−5−メチル−5−エチルヒダントインを構成成分としてなるヒダントイン型エポキシ樹脂が例示される。
【0038】
(B)成分として用いる液状エポキシ樹脂は、重量平均分子量(Mw)が200〜800であることが相溶性及び加熱時の原材料の蒸発防止の理由から好ましく、300〜700であることがより好ましく、350〜525であることがさらに好ましい。液状エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算値をいう。また、(B)成分として用いる液状エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)は、好ましくは50〜500であり、より好ましくは75〜400であり、さらに好ましくは85〜350である。
【0039】
また、液状樹脂に、混合系が流動性を示す範囲内で、相溶性であって、常温で固体ないし超高粘性を呈する樹脂を混合して用いてもよく、そのような樹脂として、高分子量のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ジグリシジルビフェニル、ノボラックエポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂のようなエポキシ樹脂;ノボラックフェノール樹脂等が例示される。
【0040】
(B)樹脂としてエポキシ樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂の硬化機構としては、自己硬化型樹脂を用いても、アミン類、酸無水物又はオニウム塩のような硬化剤や硬化促進剤を用いてもよく、アミノ樹脂やフェノール樹脂を、エポキシ樹脂の硬化剤として機能させてもよい。
【0041】
シアネート(シアン酸エステル)樹脂としては、特に限定されず、分子内に−NCO基を有する樹脂であればよく、例えば、1,3−ジシアナトベンゼン、1,4−ジシアナトベンゼン、1,3,5−トリシアナトベンゼン、1,3−ジシアナトナフタレン、1,4−ジシアナトナフタレン、1,6−ジシアナトナフタレン、1,8−ジシアナトナフタレン、2,6−ジシアナトナフタレン、2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4'−ジシアナトビフェニル、ビス(4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアナトフェニル)エーテル、ビス(4−シアナトフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアナトフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアナトフェニル)ホスフェート、及びノボラック樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるシアネート類等が例示される。
【0042】
ウレタン樹脂としては、ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物とポリイソシアネートから誘導されるポリウレタン樹脂等が例示される。
【0043】
不飽和ポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、例えば無水フタル酸、無水マレイン酸等の多塩基酸と、グリコール類等の多価アルコールとを重縮合反応させて生成される不飽和アルキドを、さらに必要に応じてスチレン等のラジカル重合性のビニルモノマーと混合して調製される種々の、ラジカル重合性を有する不飽和ポリエステル樹脂が例示される。
【0044】
〔(C)分散剤〕
本発明の銀ペースト組成物は、(C)分散剤を含むものであってもよい。(C)成分の分散剤としては、(A)銀粒子の分散剤として公知のものを用いることができ、例えばステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム等の脂肪酸塩;アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族第四級アンモニウム等の界面活性剤;クエン酸マグネシウム、ジエチル亜鉛等の有機金属;イミダゾール、オキサゾール等のキレート形成剤;ゼラチン、アルブミン等の保護コロイド等が例示される。銀ペースト組成物中に含まれる(C)分散剤としては、脂肪酸又はその塩、界面活性剤、有機金属及び保護コロイドからなる群より選ばれる少なくとも1種の分散剤であることが好ましい。
【0045】
銀ペースト組成物は、(A)銀粒子と(C)分散剤とを必要に応じて溶媒の存在下で混合し、(A)銀粒子の開放連通孔内に(C)分散剤を含有させて、(A)銀粒子の表面を処理した後、開放連通孔内に(C)分散剤を含有し表面処理された(A)銀粒子と、他の成分とを混合して銀ペースト組成物を製造してもよく、(A)銀粒子と(B)樹脂と(C)分散剤とを、他の成分と共に混合して銀ペースト組成物を製造してもよい。
【0046】
開放連通孔内に(C)分散剤を含有し、表面処理された(A)銀粒子と、他の成分(例えば(B)樹脂)とを含む銀ペースト組成物は、(A)銀粒子と、(B)樹脂等の他の成分とを混合させる際に、(A)銀粒子の開放連通孔内に含有し、表面処理した(C)分散剤によって、(A)銀粒子の凝集を抑制し、銀ペースト組成物を硬化させて、例えば厚さ25μm以下の、均一かつ緻密な薄膜状に形成された電気抵抗率の低い導電体を得ることができる。
【0047】
銀ペースト組成物中の(C)分散剤の配合割合は、(B)樹脂との配合割合も影響するが、(A)銀粒子と(C)分散剤との合計100質量%に対して、好ましくは0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.01〜10質量%であり、さらに好ましくは0.01〜5質量%である。(C)分散剤の配合割合が上記範囲内であると、(A)銀粒子の開放連通孔内に含ませた(C)分散剤及び/又は(A)銀粒子の表面に存在する(C)分散剤によって、(A)銀粒子と(B)樹脂等の他の成分を混合させる際に、(A)銀粒子が凝集することなく、均一に混合し、銀ペースト組成物を硬化さることによって、均一かつ緻密な薄膜状に形成された電気抵抗率の低い導電体を得ることができる。
【0048】
〔(D)硬化剤〕
本発明の銀ペースト組成物は、さらに(D)硬化剤を含むものであることが好ましい。
(D)成分の硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化剤として公知のものを用いることができ、フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の硬化剤を例示することができる。(D)成分のフェノール系硬化剤としては、フェノール樹脂が例示され、フェノール樹脂としては、エポキシ樹脂と反応し得るフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができる。例えば、レゾール型フェノール樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールA型ノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂等が例示される。
【0049】
アミン系硬化剤としては、鎖状脂肪族アミン、環状脂肪族アミン、脂肪芳香族アミン、芳香族アミン等が例示される。(D)成分のアミン系硬化剤の具体例としては、2,4−ジアミノ−6−〔2’―メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン等のトリアジン化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン等の第三級アミン化合物が例示される。
【0050】
イミダゾール系硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール等のイミダゾール系硬化剤が例示される。
【0051】
酸無水物系硬化剤としては、フタル酸無水物、マレイン酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、トリメリット酸無水物、ベンゾフェノンテトラカルバン酸二無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルブテニルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物等が例示される。
【0052】
(D)硬化剤として、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤及び酸無水物硬化剤からなる群より選ばれる少なくとも1種、又は2種以上を併用してもよい。
【0053】
(D)硬化剤の有効量は、(B)樹脂として用いるエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂の種類及び(D)硬化剤の種類によって異なるが、(D)硬化剤がフェノール系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)に対する、フェノール系硬化剤の水酸基当量(g/eq)の比(水酸基当量/エポキシ当量)が、好ましくは0.01〜5、より好ましくは0.04〜1.5、さらに好ましくは0.06〜1.2となるように配合することが好ましい。
(D)硬化剤がアミン系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)に対する、アミン系硬化剤のアミン価(mgKOH/g)の比(アミン価/エポキシ当量)が、好ましくは0.001〜3(mgKOH/g)、より好ましくは0.01〜2(mgKOH/g)、さらに好ましくは0.05〜1.5(mgKOH/g)となるように配合することが好ましい。ここで、アミン価とは、アミン系硬化剤の固形分1gを中和するのに必要な塩酸と同モルの水酸化カリウムのmg数をいう。
(D)硬化剤がイミダゾール系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、イミダゾール系硬化剤が、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.25〜30質量部、さらに好ましくは0.5〜20質量部となるように配合することが好ましい。
(D)硬化剤が酸無水物系硬化剤の場合は、エポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)に対する、硬化剤の酸無水物当量(g/eq)の比(酸無水物当量/エポキシ当量)が、好ましくは0.05〜10、より好ましくは0.1〜5当量、さらに好ましくは0.5〜3当量となるように配合することが好ましい。
フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、イミダゾール系硬化剤及び酸無水物系硬化剤のうち、いずれか2種を併用する場合には、各硬化剤が上記量となるように添加すればよい。
【0054】
銀ペースト組成物は、(A)銀粒子と(D)硬化剤とを必要に応じて溶媒の存在下で混合し、(A)銀粒子の開放連通孔内に(D)硬化剤を含有させた後、開放連通孔内に(D)硬化剤を含有させた(A)銀粒子と、他の成分とを混合して銀ペースト組成物を製造してもよく、(A)銀粒子と(B)樹脂と(D)硬化剤とを、他の成分と共に混合して銀ペースト組成物を製造してもよい。
【0055】
〔(E)フラックス剤〕
本発明の銀ペースト組成物は、さらに(E)フラックス剤を含むものであってもよい。(E)成分のフラックス剤としては、ロジン系フラックス剤、変性ロジン系フラックス剤及び有機酸系フラックス剤からなる群より選ばれる少なくとも1種のフラックス剤であることが好ましい。ロジン系フラックス剤としては、天然ロジン、重合ロジン、水添ロジン等が例示される。変性ロジン系フラックス剤としては、酸変性ロジンフラックス剤等が例示される。有機酸系フラックス剤としては、アビチエン酸、アジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、2−フランカルボン酸、リンゴ酸、吉草酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸等が例示される。
【0056】
銀ペースト組成物は、(A)銀粒子と(E)フラックス剤とを必要に応じて溶媒の存在下で混合し、(A)銀粒子の開放連通孔内に(E)フラックス剤を含有させた後、開放連通孔内に(E)フラックス剤を含有した(A)銀粒子と、他の成分とを混合して銀ペースト組成物を製造してもよく、(A)銀粒子と(B)樹脂と(E)フラックス剤とを、他の成分と共に混合して銀ペースト組成物を製造してもよい。
【0057】
開放連通孔内に(E)フラックス剤を含む(A)銀粒子と、他の成分(例えば(B)樹脂)とを含む銀ペースト組成物は、銀ペースト組成物を硬化させる際に、(A)銀粒子の開放連通孔内の(E)フラックス剤が作用し、(A)銀粒子の溶融を促進し、例えば厚さ25μm以下の、均一かつ緻密な薄膜状に形成された電気抵抗率の低い導電体を得ることができる。
【0058】
銀ペースト組成物中の(E)フラックス剤の配合割合は、(B)樹脂との配合割合も影響するが、(A)銀粒子と(E)フラックス剤との合計100質量部に対して、(E)フラックス剤が、好ましくは0.1〜20質量部であり、より好ましくは0.5〜18質量部であり、さらに好ましくは0.75〜15質量部であり、特に好ましくは5〜12質量%である。銀ペースト組成物中の(E)フラックス剤の配合割合が上記範囲内であると、例えば(A)銀粒子の開放連通孔内に含まれている(E)フラックス剤によって、得られた導電体の電気抵抗率を低下することができる。
【0059】
〔(F)硬化促進剤〕
本発明の銀ペースト組成物は、さらに(F)硬化促進剤を含むものであってもよい。(F)成分の硬化促進剤としては、(B)成分としてエポキシ樹脂を用いる場合には、エポキシ樹脂の硬化促進剤として公知のものを用いることができ、例えば2−メチルイミダゾ−ル、2−エチル−4−メチルイミダゾール等の複素環化合物イミダゾール類、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のリン化合物類、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等の第三級アミン類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセンやその塩等のBBU類、アミン類、イミダゾール類をエポキシ、尿素、酸等でアダクトさせたアダクト型促進剤類等が例示される。なお、(D)成分のイミダゾール系硬化剤と、(F)成分のイミダゾール類とは、同一のものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
【0060】
銀ペースト組成物は、(A)銀粒子と(F)硬化促進剤とを必要に応じて溶媒の存在下で混合し、(A)銀粒子の開放連通孔内に(F)硬化促進剤を含有させた後、開放連通孔内に(F)硬化促進剤を含有させた(A)銀粒子と、(B)成分の樹脂等の他の成分とを混合して銀ペースト組成物を製造してもよく、(A)銀粒子と(B)樹脂と(F)硬化促進剤とを、他の成分と共に混合して銀ペースト組成物を製造してもよい。
【0061】
開放連通孔内に(F)硬化促進剤を含む(A)銀粒子と、他の成分(例えば(B)樹脂)とを含む銀ペースト組成物は、銀ペースト組成物を硬化させる際に、(A)銀粒子の開放連通孔内から徐々に(F)硬化促進剤が、(B)樹脂に流れ出し、銀ペースト組成物の粘度上昇を抑制し、かつ、電気抵抗率の上昇を抑制して、銀ペースト組成物を硬化させた導電体を得ることができる。
【0062】
銀ペースト組成物中の(F)硬化促進剤の配合割合は、(B)樹脂との配合割合も影響するが、(A)銀粒子と(F)硬化促進剤との合計100質量%に対して、好ましくは1〜10質量%であり、より好ましくは2〜8質量%であり、さらに好ましくは3〜6質量%である。(F)硬化促進剤の配合割合が上記範囲内であると、(A)銀粒子の開放連通孔内に含ませた(F)硬化促進剤による銀ペースト組成物の粘度の上昇を抑制し、かつ、電気抵抗率の上昇を抑制して、銀ペースト組成物を硬化させた導電体を得ることができる。なお、(D)成分のイミダゾール系硬化剤と、(F)成分のイミダゾール類が同一のものである場合であっても、銀ペースト組成物中の(D)成分と(F)成分の配合割合は、上記(D)成分と(F)成分の配合割合の範囲内であればよい。
【0063】
銀ペースト組成物は、まず、(A)銀粒子と、(B)樹脂、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物と混合し、(A)銀粒子の開放連通孔に上記少なくとも1種の物を含有させた(A)銀粒子を形成し、次いで、この(A)銀粒子と、他の成分とを混合して銀ペースト組成物を製造することが好ましい。(A)銀粒子の開放連通孔に含まれる物は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0064】
本発明の銀ペースト組成物には、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子、(B)樹脂及び/又は(C)分散剤、さらに必要に応じて(D)硬化剤、(E)フラックス剤並びに(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物を含む以外に、溶剤、シランカップリング剤、無機及び/又は有機顔料、レベリング剤、チキソトロピック剤、消泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。銀ペースト組成物に含まれる(B)〜(F)成分以外の物は、(B)樹脂の種類や、(C)分散剤、(D)硬化剤、(E)フラックス剤及び(F)硬化促進剤から選ばれる少なくとも1種の物の種類によって適宜選択して使用することができる。
【0065】
本発明の銀ペースト組成物は、(A)銀粒子の開放連通多孔体内の含有物の量が、(A)銀粒子と含有物との合計量に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜28質量%、さらに好ましくは5〜25質量%、特に好ましくは8〜22質量%である。(A)銀粒子の開放連通多孔に複数種の含有物が含有される場合には、含有物の量は、複数種の成分を合計した量をいう。
【0066】
次に、本発明の銀ペースト組成物の製造方法について説明する。
本発明の銀ペースト組成物の製造方法は、銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る工程と、次いで還元剤を前記水溶液に添加して液相中に開放連通多孔である銀粒子を析出させる工程と、得られた(A)開放連通多孔体である銀粒子と(B)樹脂とを混合する工程とを含む。
【0067】
〔銀イオンを含む水溶液を得る工程〕
まず、銀塩と多価カルボン酸とを液相中に添加し、銀イオンを含む水溶液を得る。
銀塩は、硝酸銀、硫酸銀、炭酸銀及び塩化銀からなる群より選ばれる少なくとも1種の銀塩であることが好ましい。
【0068】
銀塩は、多価カルボン酸を添加する液相に直接添加してもよいが、好ましくは純水又はイオン交換水に銀塩を添加した水溶液の状態で、多価カルボン酸又は多価カルボン酸を含む水溶液と混合することが好ましい。液相中に添加する銀塩の水溶液濃度は、好ましくは3〜20mol%/L、より好ましくは5〜15mol%/L、さらに好ましくは8〜12mol%/Lである。
【0069】
多価カルボン酸は、特に限定されないが、脂肪族多価カルボン酸、例えばジカルボン酸やオキシ多価カルボン酸等が例示される。ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸等が例示され、多価カルボン酸としては、例えば酒石酸、リンゴ酸等のオキシジカルボン酸や、クエン酸等のオキシトリカルボン酸等が例示される。中でも、多価カルボン酸としては、クエン酸、リンゴ酸、マレイン酸、及びマロン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の多価カルボン酸であることが好ましく、より好ましくは、クエン酸、リンゴ酸又はマレイン酸である。多価カルボン酸は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0070】
多価カルボン酸は、銀塩を添加する液相に直接添加してもよいが、好ましくは純水又はイオン交換水に多価カルボン酸を添加した水溶液の状態で銀塩又は銀塩を含む水溶液と混合することが好ましい。多価カルボン酸水溶液の濃度は、好ましくは0.7〜40mol%/L、より好ましくは0.8〜30mol%/L、さらに好ましくは1〜20mol%/L、特に好ましくは2〜15mol%/Lである。多価カルボン酸は、銀塩を添加する液相に直接添加してもよいが、好ましくは純水又はイオン交換水に多価カルボン酸を添加した水溶液の状態で銀塩又は銀塩を含む水溶液と混合することが好ましい。
【0071】
銀塩と、多価カルボン酸を混合する液相は、銀塩及び多価カルボン酸がともに可溶な液体であり、好ましくは純水、イオン交換水である。
【0072】
銀塩と、多価カルボン酸とを液相中で混合する工程の温度は、好ましくは10〜30℃であり、より好ましくは15〜25℃である。銀塩と、多価カルボン酸とを液相中で混合する際の時間は、銀塩と多価カルボン酸が均一に混合されて、銀イオンを含む水溶液を得ることができればよく、特に反応時間は限定されないが、好ましくは1分間〜1時間程度であり、より好ましくは5分間〜40分間程度である。
【0073】
〔銀粒子を析出させる工程〕
次に、銀イオンを含む水溶液に還元剤を添加して、球状の開放連通多孔体である銀粒子を析出させる。還元剤としては、アスコルビン酸が例示され、アスコルビン酸とは、D−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸、イソアスコルビン酸等の異性体を含む。アスコルビン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0074】
還元剤は、銀イオンを含む水溶液に直接添加してもよいが、好ましくは純水又はイオン交換水に還元剤を添加した水溶液の状態で銀イオンを含む水溶液に添加することが好ましい。還元剤水溶液の濃度は、好ましくは1〜10mol%/L、より好ましくは2〜8mol%/L、さらに好ましくは3〜7mol%/L、特に好ましくは4〜6mol%/Lである。
【0075】
還元剤を添加して銀イオンを析出させる工程の温度は、好ましくは10〜30℃であり、より好ましくは15〜25℃である。還元剤を添加する時間は、特に限定されないが、還元剤は、銀塩と多価カルボン酸とを液相中で混合した混合液を撹拌しながら、一括で添加することが好ましい。還元剤を添加した後に、混合物を撹拌する時間も特に限定されないが、好ましくは還元反応に伴う発泡現象が終了した後、3分間〜1時間程度撹拌を継続することが好ましい。撹拌を停止し、混合液を静置すると、析出した銀粒子が沈殿する。
【0076】
銀粒子を析出させる工程において、必要に応じて分散剤等の添加剤を、銀イオンを含む水溶液に添加してもよい。分散剤は、析出した銀粒子の凝集を防止し、析出した銀粒子の分散状態を良好に保つことができる。分散剤としては、高級アルキルモノアミン塩、アルキルジアミン塩、四級アンモニウム塩等のカチオン系分散剤、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、リン酸エステル塩等のアニオン系分散剤、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸が例示されるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0077】
析出した銀粒子は、濾過して採取した後に乾燥することが好ましい。乾燥温度は特に限定されないが、好ましくは0〜80℃であり、より好ましくは10〜60℃である。乾燥時間は、乾燥温度によって異なり、特に限定されないが、好ましくは1〜20時間、より好ましくは3〜18時間である。
【0078】
銀塩と多価カルボン酸と還元剤の配合割合(固形分換算)(銀塩:多価カルボン酸:還元剤)は、モル比率で1:0.1〜0.5:0.5〜1であることが好ましく、より好ましくはモル比率で1:0.2〜0.45;0.6〜0.9であり、さらに好ましくはモル比率で1:0.3〜0.4:0.7〜0.85である。
【0079】
上記方法によって製造される銀粒子は、中心から外方に向かって、均一な放射状に、樹状に結晶成長した球状の開放連通多孔体である。銀粒子は、球面に微細な凹凸構造を有し、結晶成長した樹状部の先端部が絡まり合うことがない。そのため、銀粒子は凝集しにくく、しかも隣接する銀粒子と分割しやすい状態となるため分散性に優れている。
【0080】
〔(A)銀粒子と(B)樹脂との混合〕
次に、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子と(B)樹脂とを混合する。(A)銀粒子と(B)樹脂と、その他の成分との混合は、流星型撹拌機、ディソルバー、ビーズミル、ライカイ機、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の混合機を用いて行うことができる。このようにしてスクリーン印刷、浸漬、他の所望の塗膜形成方法に適する見かけ粘度を有する銀ペースト組成物を製造することができる。
【0081】
得られた銀ペースト組成物は、ポリエチレンテレフタレート(PET)や酸化インジウムスズ(ITO)等の基材に、印刷、塗布等の方法により適用して塗膜を形成し、この塗膜を加熱することによって硬化させ、硬化体からなる導電体を得ることができる。銀ペースト組成物を加熱する温度は、銀ペースト組成物中に含まれる樹脂の種類等によって異なり、特に限定されないが、好ましくは80〜200℃、より好ましくは100〜180℃で加熱する。
【0082】
本発明の銀ペースト組成物は、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子を用いることによって、この(A)銀粒子の開放連通孔に(B)樹脂を含有させることができる。(A)銀粒子の開放連通孔内の含有物が、(B)樹脂である場合、銀ペースト組成物を硬化させる際に、(A)銀粒子の開放連通孔から徐々に(B)樹脂が流出し、(A)銀粒子外部の樹脂と作用して、比較的低温(例えば120〜200℃)で溶融し、厚さ25μm程度の均一な厚さを有し、電気抵抗率の低い、優れた導電性を有する薄膜状の導電体を得ることができる。
【0083】
〔(A)銀粒子と他の成分との混合〕
(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子は、他の成分と混合した際に、銀粒子の開放連通孔内に他の成分が入り込み、他の成分を開放連通孔内に含む(A)銀粒子と、(B)樹脂等を混合することにより、粘度の上昇や電気抵抗率の上昇を抑制することができ、電気抵抗率を低下することができる等の導電材料として優れた特性を有する銀ペースト組成物を提供することができる。
【0084】
(A)銀粒子と、(B)樹脂と、他の成分との混合順序は、特に限定されず、(A)銀粒子と、(B)樹脂と、その他の成分とを同時に混合してもよく、まず(A)銀粒子と(B)樹脂とを混合した後、その他の成分を混合してもよい。(A)銀粒子と、(B)樹脂と、その他の成分との混合は、流星型撹拌機、ディソルバー、ビーズミル、ライカイ機、三本ロールミル、回転式混合機、二軸ミキサー等の混合機を用いて行うことができる。
【0085】
銀ペースト組成物の(A)銀粒子の開放連通孔内の含有物が、(B)樹脂のうち、例えば熱可塑性エラストマーである場合、銀ペースト組成物を硬化させる際に、熱可塑性エラストマーが銀粒子の開放連通多孔内に存在している状態で、もしくは熱可塑性エラストマーが銀粒子の開放連通孔から少し流れ出した状態で、銀ペースト組成物を硬化させることができ、弾性率を維持したまま、電気抵抗率の上昇を抑制した導電体を得ることができる。
【0086】
銀ペースト組成物の(A)銀粒子の開放連通孔内の含有物が(C)分散剤である場合には、(A)銀粒子を他の成分と混合させる際に、(A)銀粒子を凝集させることなく均一に分散させた銀ペースト組成物を得ることができ、銀ペースト組成物を硬化させて、例えば厚さ25μm以下の、均一かつ緻密な薄膜状に形成された電気抵抗率の低い導電体を得ることができる。
【0087】
銀ペースト組成物の(A)銀粒子の開放連通孔内の含有物が(D)硬化剤である場合には、銀ペースト組成物を硬化させる際に、(A)銀粒子の開放連通孔内から徐々に(D)硬化剤が、(B)樹脂に流れ出し、銀ペースト組成物の粘度上昇を抑制しつつ、銀ペースト組成物を硬化させて導電体を得ることができる。
【0088】
銀ペースト組成物の(A)銀粒子の開放連通孔内の含有物が(E)フラックス剤である場合には、銀ペースト組成物を硬化させる際に、(A)銀粒子の開放連通孔内の(E)フラックス剤が作用し、(A)銀粒子の溶融を促進し、例えば厚さ25μm以下の薄膜状の導電体を得ることができ、かつ均一かつ緻密な膜状に形成された電気抵抗率の低い導電体を得ることができる。
【0089】
銀ペースト組成物の(A)銀粒子の開放連通孔内の含有物が(F)硬化促進剤である場合には、銀ペースト組成物を硬化させる際に、(A)銀粒子の開放連通孔内から徐々に(F)硬化促進剤が、(B)樹脂に流れ出し、銀ペースト組成物の粘度上昇を抑制しつつ、かつ、電気抵抗率の上昇を抑制して、銀ペースト組成物を硬化させた導電体を得ることができる。
【0090】
本発明の銀ペースト組成物は、電子回路や電極のような導電体、特に基材表面のパターン状の導電体を有効に形成することができる。また、本発明の銀ペースト組成物は、メッキ下地用、抵抗用、電極用、導電ペースト、半導体封止剤、ダイアタッチ剤等の導電性接着剤として好適に用いることができる。
【0091】
本発明の銀ペースト組成物を硬化させてなる、硬化体からなる導電体は、チップコンデンサ、チップ抵抗の端面下地電極、可変抵抗器、フィルム基板回路等の電子部品として有用である。
【実施例】
【0092】
以下、実施例によって、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0093】
[銀粒子aの製造]
以下のようにして、球状の開放連通多孔体である銀粒子aを製造した。
〔銀イオンを含む水溶液を得る工程〕
硝酸銀水溶液10kg(濃度10mol%/L)、クエン酸水溶液4kg(濃度10mol%/L)、25℃の純水20kgをそれぞれ秤量した後、50リットル(L)のステンレス製タンクに投入し、室温(25℃±10℃)で、撹拌機(島崎製作所製、商品名:ジェット式アジター)を用いて30分撹拌し、硝酸銀及びクエン酸の混合液を調製した。
次に、アスコルビン酸水溶液17kg(L−アスコルビン酸水溶液;濃度5mol%/L)、25℃の純水300kgをそれぞれ秤量した後、450リットルのステンレス反応タンクに投入し、室温(25℃±10℃)で、撹拌機(島崎製作所製、商品名:ジェット式アジター)を用いて30分撹拌し、調製した。硝酸銀とクエン酸とアスコルビン酸の添加割合は、モル比率(硝酸銀:クエン酸:アスコルビン酸)で1:0.4:0.85であった。
【0094】
〔銀粒子を析出させる工程〕
次に、600mm径のステンレス製4枚羽根を有する撹拌機(500rpm)を用いて、調製したアスコルビン酸水溶液に、硝酸銀及びクエン酸の混合液を一括投入し、硝酸銀及びクエン酸の混合液とアスコルビン酸水溶液とを混合した。
硝酸銀及びクエン酸の混合液に、アスコルビン酸水溶液を添加した後、数秒後に還元反応が始まり、還元反応に伴う発泡現象が終了した後、15〜25℃で30分間撹拌を継続し、その後、撹拌を停止した。還元反応後における硝酸銀、クエン酸及びアスコルビン酸の混合液のpHは2であった。
反応液を静置後、上澄み液を除去し、沈殿している銀粒子をヌッチェを用いて濾過し、濾過した銀粒子Aをステンレスバッド上に広げ、60℃に保持した乾燥機中で15時間乾燥した。乾燥後、BET比表面積が3.2m/gであり、図1〜4のSEMで撮影した画像に示す銀粒子が得られた。
【0095】
得られた銀粒子aをアルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E−3500)を用い、ビーム径が半値幅で400μm、イオンガン6kV(加速電圧:6kV、放電電圧:4kV、放電電流:400μA、照射電流:100μA)の条件でイオンミリングし、イオンミリング銀粒子aの断面を20,000倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した。撮影した銀粒子aの断面の画像ファイル情報は、画像解析ソフトウェア(三谷商事社製 商品名:「WinROOF」)を用いて、画像解析し、銀粒子aの断面に存在する全ての空隙部分の面積を算出した。空隙部分の面積SAは、銀粒子aの50個の空隙部分の面積の平均値を算出した値とした。銀粒子aのSA値は30であった(図4参照)。
【0096】
図1〜4に示すように、銀粒子aは、球状の開放連通多孔体であり、中心から外方に向かって放射状に、均一に樹状に結晶成長し、球面に微細な凹凸を形成する。銀粒子aは、樹状に結晶成長した先端部が尖っておらず、球面に微細な凹凸構造を有する球状であるため、粒子同士の結合や凝集が起こりにくい。
【0097】
[銀粒子bの製造]
開放連通多孔体ではない球状の銀粒子bを以下のように製造した。
硝酸銀水溶液(濃度0.15mol/L)6リットルとアンモニア水(濃度25wt%)200mlとを混合して反応させ銀アンミン錯体水溶液を得て、これに還元剤として水和ヒドラジン(濃度80wt%)20gを添加することにより銀粒子bを還元析出させ、濾過、洗浄、乾燥させて球状銀粉を得た。還元反応後における銀アンミン錯体とヒドラジンとを含む混合液のpHは2であった。
【0098】
図5は、銀粒子bの倍率5,000倍のSEM写真である。
銀粒子bは、従来の方法によって製造されたものであり、粒子が樹状ではなく、層を重ねて太るように成長している。図5に示すように、銀粒子bは、粒径にばらつきが生じ、また、銀粒子同士が表面で強固に融着し、凝集が起こり易くなる。銀粒子bは、樹状に結晶成長しておらず、金属粒子内に空隙が殆どないため、SA値を測定することができなかった。
【0099】
[銀粒子cの製造]
フレーク状の銀粒子cを以下のように製造した。
硝酸銀溶液(銀濃度:7.7質量%)3650gに、還元剤としてホルムアルデヒド水溶液(ホルムアルデヒド濃度:37質量%)166gを加え、撹拌しながらアンモニア水溶液(アンモニア濃度:25質量%)710gを加え、銀粉を含むスラリーを生成した。得られたスラリーを濾過、水洗した後、75℃で乾燥した。得られた銀粉107gに、分散剤としてステアリン酸を、銀粉に対して0.4質量%となる量を加えてよく混ぜ、SUSボール1107g(直径1.6mm)とともに、転動ボールミルに入れて、回転数116rpm、処理時間15時間の条件でフレーク化処理し、フレーク状銀粉を得た。
【0100】
図6は、銀粒子cの倍率2,000倍のSEM写真である。
銀粒子cは、フレーク状のものであり、図6に示すようにSEMにて銀粒子cを観察し、2つの面を有するような板状の銀粒子cの直径の平均値を、銀粒子の厚さの平均値で除したアスペクト比が1:10である。
【0101】
銀粒子a、銀粒子b、銀粒子cについて以下の測定を行った。なお、銀粒子Aは、開放連通孔に樹脂を含まない状態で、以下の測定を行った。結果を表1に示す。
<BET比表面積>
全自動比表面積測定装置Macsoeb(MOUNTEC社製)を用いて測定した。100℃で予備乾燥し、10分間窒素ガスを流したのち、窒素ガス吸着によるBET1点法により測定した。
【0102】
<タップ密度>
タップ密度測定器(蔵持科学機器製)を用いて測定した。試料10gを10mLの沈降管に精評し、ストローク長15mmのタップを400回行い、そのときの密度をタップ密度とした。
【0103】
<体積基準の累積50%粒径D50、累積10%粒径D10、累積90%粒径D90>
走査型電子顕微鏡(SEM)にて銀粒子を観察し、倍率20,000で撮影した銀粒子画像ファイル情報に対して、マウンテック社製の画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「Mac−View」Ver.1を用いて銀粒子を1粒子ごと測定し、ランダムに選択した50個の銀粒子について、体積基準の累積50%粒径D50、累積90%粒径D90、累積10%粒径D10を測定した。
【0104】
<K値>
K値を、下記式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積SSと、(A)銀粒子のBET比表面積BSとから算出した。
SS=6/ρd ・・・(1)
(式(1)中、ρは開放連通孔に樹脂を含んでいない、試料(銀粒子)の理論密度であり、dは画像解析式粒度分布測定法による体積基準の累積50%粒径D50である。)
K=SS/BS×100 ・・・(2)
(式(2)中、SSは式(1)で表される(A)銀粒子の比表面積であり、BSは銀粒子のBET比表面積である。)
【0105】
<SA値>
試料(銀粒子)をアルゴンイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製、商品名E−3500)を用い、ビーム径が半値幅で400μm、イオンガン6kV(加速電圧:6kV、放電電圧:4kV、放電電流:400μA、照射電流:100μA)の条件でイオンミリングし、イオンミリング試料の断面を20,000倍の倍率で走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影した。撮影した(A)銀粒子の断面の画像ファイル情報は、画像解析ソフトウェア(三谷商事社製 商品名:「WinROOF」)を用いて、画像解析し、試料の断面に存在する全ての空隙部分の面積を算出した。空隙部分の面積SAは、試料の50個の空隙部分の面積の平均値を算出した値とした。
【0106】
【表1】
【0107】
表1に示すように、本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子aは、銀粒子aの体積基準の累積50%粒径D50が3.32μmと比較的大きく、BET比表面積も3.2m/gと大きい。銀粒子bの累積50%粒径D50と、BET比表面積との関係に示すように、球状の銀粒子は、通常、累積50%粒径D50が大きいと、BET比表面積は小さくなる傾向があり、銀粒子の累積50%粒径D50が小さいと、BET比表面積が大きくなる傾向がある。本発明の銀ペースト組成物に含まれる銀粒子aは、累積50%粒径D50が3.32μmと比較的大きいにも関わらず、BET比表面積3.2m/gと大きく、開放連通孔を多数有する、開放連通多孔体であることが確認できる。なお、図4に示すようにSA値が30と大きいことからも、銀粒子aが球状の開放連通多孔体であることが確認できる。
【0108】
表1に示すように、本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子aは、D90/D50、D50/D10、D90/D10がいずれも2以下であり、D90/D10が1.84と小さいことから、粒度分布のばらつきが少なく、粒度分布がシャープであり、粒径が揃っていることが確認できる。開放連通多孔体ではない銀粒子bは、D90/D10が5.04と大きく、フレーク状の銀粒子cはD90/D10が0.4と小さく、銀粒子bと銀粒子cは、粒度分布にばらつきがあることが確認できる。
【0109】
表1に示すように、本発明の銀ペースト組成物に用いる球状の開放連通多孔体である銀粒子aは、銀粒子の体積基準の累積50%粒径D50と銀粒子の理論密度から導き出せる比表面積SSと、BET比表面積BSとの比が小さく、真球に近い形状であることが確認できる。一方、開放連通多孔体ではない銀粒子bと、フレーク状の銀粒子cとは、BET比表面積BSに対して、比表面積SSが大きく、不定形粒子に近い形状であることが確認できる。
【0110】
(実施例a)
〔(A)銀粒子と(B)樹脂との混合〕
次に、(A)成分の銀粒子aを100質量部と、(B)成分の樹脂であるエチルセルロースを5質量部とを、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を、80℃で30分乾燥させた乾燥膜と、300℃で1時間加熱した状態と、500℃で1時間加熱した状態と、700℃で1時間加熱した状態を加熱させて硬化させ、硬化体を得た。得られた各硬化体の倍率2,000倍のSEM写真を、図7に示す。
【0111】
(比較例b、c)
銀粒子b又は銀粒子cに変更したこと以外は、実施例aと同様にして、硬化体を得た。得られた硬化体の倍率2,000倍のSEM写真を、図7に示す。
【0112】
図7に示すように、(A)球状の開放連通多孔体である銀粒子aを用いた銀ペースト組成物は、700℃で加熱して得られた焼結膜は空隙が少なく、開放連通多孔体ではない銀粒子bを用いた銀ペースト組成物と、フレーク状の銀粒子cを用いた銀ペースト組成物と比べて、滑らかな焼結膜が得られた。
【0113】
(実施例1)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを100質量部と、(B)成分のガラス転移温度が25℃以下であり、かつ液状又は有機溶媒に溶解してなる液状の熱可塑性エラストマーである、カルボキシル基末端アクリロニトリルブタジエン(HycarCTBN、以下、「CTBN」とも記す。宇部興産社製)を10質量部を混合し、銀粒子aの開放連通孔内にCTBNを含有させた銀粒子を得た。含有物であるCTBNは、銀粒子aとCTBNの合計100質量%に対して、10質量%であった。(A)成分及び(B)成分を含む開放連通孔にCTBN10質量%含有させた銀粒子a110質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂90質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を200℃で30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
【0114】
(実施例2)
(A)成分の銀粒子aの開放連通孔に、(B)成分である熱可塑性エラストマー(CTBN)を20質量%を含有させた銀粒子aを用いて、この(A)成分及び(B)成分を含む銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂と、(D)成分の硬化剤とを表2に示す配合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を実施例1と同様に硬化させて、導電体を得た。
【0115】
(実施例3)
(A)成分の銀粒子aの開放連通孔に、(B)成分である熱可塑性エラストマー(CTBN)を10質量%を含有させていない銀粒子aを用いて、この(A)成分の銀粒子と、(B)成分のエポキシ樹脂と、(D)成分の硬化剤とを表2に示す配合で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を実施例1と同様に硬化させて、導電体を得た。
【0116】
(比較例1〜3)
開放連通多孔体ではない銀粒子bを用いて、表2に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、CTBNと、硬化剤とを混合したこと以外は、実施例1と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を実施例1と同様に硬化させて、導電体を得た。
【0117】
得られた導電体を以下の方法で評価した。結果を表2に記載した。
<弾性率の測定>
テフロン(登録商標)板に耐熱テープ2枚の厚さで比較例、実施例の銀ペースト組成物を塗布し、200℃で30分間硬化させた。硬化後、試験片をテフロン(登録商標)板から剥がし、150℃で10分間焼きなましを行った。得られた硬化膜から1cm×4cmの大きさの試験片を切り出し、曲げ試験用試料とした。試験片は、150℃で0時間、20時間、100時間、1,000時間エージングを行った。各々の試験片は、島津サイエンス社製オートグラフで曲げ弾性率を測定した。
【0118】
<電気的抵抗率の測定>
実施例及び比較例の銀ペースト組成物を、幅20mm、長さ20mm、厚さ1mmのアルミナ基板上に、250メッシュのステンレス製スクリーンを用い、長さ71mm、幅1mm、厚さ20μmのジグザグパターン印刷を行い、大気中で、200℃、30分間硬化させ、外部電極を形成した。ジグザグパターンの厚さは、東京精密社製の表面粗さ形状測定機(製品名:サーフコム1400)にて、パターンと交差するように測定した6点の数値の平均より求めた。硬化後、LCRメーターを用い、4端子法で比抵抗を測定した。測定した値に基づき、以下の式(3)を用いて、熱可塑性エラストマー(CTBN)含有していない、開放連通多孔体である銀粒子を用いた比較例3の銀ペースト組成物に対して、抵抗上昇率を導き出した。
電気抵抗率の上昇率=各実施例及び比較例の比抵抗率/比較例3の比抵抗率・・・(3)
比較導き出した。
【0119】
<強度の測定>
実施例及び比較例の銀ペースト組成物を、20mmのアルミナ基板上にドットパターンをスクリーン印刷し、その上に1.5×3.0mmのアルミナチップをのせ、200℃で30分間硬化させた。その後、接着面をプッシュプルゲージで側面から突き、アルミナチップが剥がれた時の数値を実測値とし、以下の式(4)を用いて接着強度を算出した。
接着強度(kN/cm)=実測値(kgf)×9.8/0.03(cm)・・・(4)
【0120】
【表2】
【0121】
表2に示すように、同一量のCTBNを配合した実施例1と比較例1と比較すると、開放連通孔にCTBNを含有させた銀粒子aを用いた実施例1の銀ペーストを用いて得られた導電体は、比較例1、3と同様の弾性率を維持しつつ、電気抵抗率の上昇が比較例1と比べて5分の1に抑制された。また、同一量のCTBNを配合した実施例2と比較例2とを比較すると、開放連通孔にCTBNを含有させた銀粒子aを用いた実施例2のペーストを用いて得られた導電体は、比較例2と同様の弾性率を維持しつつ、電気抵抗率の上昇を比較例2と比べて15分の1まで抑制し、強度も比較例2よりも良好な数値を示した。実施例3は、銀粒子aの開放連通多孔に(B)成分のCTBNを含有しない銀粒子aを用いた実施例3は、比較例3と比べて、抵抗率が抑制され、強度も大きな変化がなく維持されていた。
【0122】
(実施例4)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを100質量部と、(D)成分の硬化剤であるノボラック型フェノール樹脂10質量部(水酸基当量:110g/eq)とを混合し、銀粒子aの開放連通孔内にフェノール樹脂を含有させた銀粒子を得た。含有物であるフェノール樹脂の量は、銀粒子aとフェノール樹脂との合計量100質量%に対して、10質量%であった。開放連通孔に(D)成分のフェノール樹脂を10質量%含有させた(A)成分の銀粒子a110質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂100質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)を3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。(B)成分のエポキシ樹脂のエポキシ当量(g/eq)に対して、(D)成分のフェノール系硬化剤の水酸基当量(水酸基当量/エポキシ当量)は0.61であった。
【0123】
(実施例5)
開放連通孔内に(D)成分の硬化剤であるフェノール樹脂20質量%を含有させた(A)成分の銀粒子aを用いて、この銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂とを、表3に示す配合で混合したこと以外は、実施例4と同様にして、銀ペースト組成物を得た。
【0124】
(実施例6)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを100質量部と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを混合し、銀粒子aの開放連通孔内に(D)成分の硬化剤を含有させた銀粒子を得た。(D)成分の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)の量は、(A)成分の銀粒子aと(D)成分の2E4MZとの合計量100質量%に対して、10質量%であった。開放連通孔に(D)成分の2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量%含有させた(A)成分の銀粒子aを110質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂を100質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)とを、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂のエポキシ当量に対して、10質量部であった。
【0125】
(実施例7)
(A)成分の銀粒子aの開放連通孔に、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を20質量%を含有させた銀粒子aを用いて、この銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂とを、表3に示す配合で混合したこと以外は、実施例5と同様にして、銀ペースト組成物を得た。
【0126】
(比較例4、5)
開放連通多孔体ではない銀粒子bを用いて、表3に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、フェノール樹脂とを混合したこと以外は、実施例3と同様にして、銀ペースト組成物を得た。
【0127】
得られた導電体を以下の方法で評価した。結果を表3に記載した。
<粘度上昇率の測定>
銀ペースト組成物を製造直後、ブルックフィールド社製HBT粘度計、14号スピンドルを用いて、10rpmにて粘度(V)を測定した。製造後、24時間、240時間、25℃で保管した銀ペースト組成物を、同条件にて粘度(V)を測定した。V、Vから以下の式(5)を用いて粘度上昇率(%)を算出した。
粘度上昇率(%)=V/V×100・・・(5)
【0128】
【表3】
【0129】
表3に示すように、開放連通孔に(D)成分の硬化剤であるフェノール樹脂を含有させた銀粒子aを用いた実施例4、5の銀ペースト組成物は、比較例4、5の銀ペースト組成物と比べて、24時間後、240時間後の粘度上昇率が非常に抑制されていることが確認できた。また、表3に示すように、開放連通孔に(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を含有させた銀粒子aを用いた実施例6、7の銀ペースト組成物は、比較例4、5の銀ペースト組成物と比べて、24時間後、240時間後の粘度上昇率が抑制されていることが確認できた。
【0130】
(実施例8)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを80質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂を20質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを、3本ロールミル装置にて混練し、銀ペースト組成物を得た。銀ペースト組成物中の(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂の100質量部に対して、50質量部であった。この銀ペースト組成物を200℃、30分乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
【0131】
(実施例9)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを80質量部と、(B)成分のエポキシ樹脂20質量部(液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量:180g/eq、重量平均分子量(Mw):360)と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部、(E)成分のフラックス剤であるイソステアリン酸1質量部を、3本ロールミル装置にて、混練りし、銀ペースト組成物を得た。銀ペースト組成物中の(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂の100質量部に対して、50質量部であった。また、銀ペースト組成物中の(E)成分のフラックス剤の量は、(A)成分の銀粒子と(E)成分のフラックス剤の合計100質量部に対して、(E)成分のフラックス剤が1.25質量部であった。この銀ペースト組成物を200℃、30分乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
【0132】
(実施例10)
球状の開放連通多孔体である銀粒子aを80質量部と、(E)成分のフラックス剤であるイソステアリン酸を10質量部とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(E)成分のフラックス剤を含有させた銀粒子を得た。含有物であるフラックス剤の量は、(A)成分の銀粒子aと(E)成分のフラックス剤との合計量100質量部に対して10質量部であった。開放連通孔にフラックス剤を10質量部含有させた銀粒子aと、(B)成分のエポキシ樹脂と、(D)成分の硬化剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MZ)を10質量部とを3本ロールミル装置にて、混練りし、表4に示す配合で、銀ペースト組成物を得た。銀ペースト組成物中の(D)成分の硬化剤の量は、(B)成分のエポキシ樹脂の100質量部に対して、50質量部であった。また、銀ペースト組成物中の(E)成分のフラックス剤の量は、(A)成分の銀粒子と(E)成分のフラックス剤の合計100質量部に対して、(E)成分のフラックス剤が11.1質量部であった。この銀ペースト組成物を200℃、30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
【0133】
(比較例6)
開放連通多孔体ではない、銀粒子bを用いて、表4に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、フラックス剤と、硬化剤を混合したこと以外は、実施例7と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を200℃、30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
【0134】
(比較例7)
フレーク状の銀粒子cを用いて、表4に示す配合で、銀粒子と、エポキシ樹脂と、フラックス剤と、硬化剤を混合したこと以外は、実施例7と同様にして、銀ペースト組成物を得た。この銀ペースト組成物を200℃、30分間乾燥機で硬化させ、導電体を得た。
【0135】
得られた導電体を以下の方法で評価した。結果を表4に記載した。
<抵抗率の測定>
実施例及び比較例の銀ペースト組成物を、幅20mm、長さ20mm、厚さ1mmのアルミナ基板上に、250メッシュのステンレス製スクリーンを用い、長さ71mm、幅1mm、厚さ20μmのジグザグパターン印刷を行い、大気中で200℃、30分間硬化させ、外部電極を形成した。ジグザグパターンの厚さは、東京精密社製の表面粗さ形状測定機(製品名:サーフコム1400)にて、パターンと交差するように測定した6点の数値の平均より求めた。硬化後、LCRメーターを用い、4端子法で比抵抗(抵抗率)を測定した。
【0136】
【表4】
【0137】
表4に示すように、実施例8、9の球状の開放連通多孔体である銀粒子aを用いた銀ペースト組成物を硬化させて得られた導電体は、比較例6、7の開放連通多孔体ではない銀粒子b又はフレーク状の銀粒子を用いた銀ペースト組成物を硬化させて得られた導電体と比べて、抵抗率が低下した。実施例10の開放連通孔にフラックス剤を含有させた銀粒子aを用いた銀ペースト組成物を硬化させて得られた導電体は、比較例6と比べて2桁以上、比較例7と比べて1桁以上、抵抗率が低下した。
【0138】
(実施例11)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aと、(C)成分の分散剤であるオレイン酸(濃度1%)とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(C)成分のオレイン酸を含有させ、表面にオレイン酸を付着させた。(C)成分のオレイン酸の量は、(A)成分の銀粒子aと(C)成分のオレイン酸の合計量100質量%に対して、0.5質量%であった。図8(b)に、実施例11の銀粒子aの倍率10,000倍のSEM写真を示す。また、図8(a)に、(C)成分の分散剤を含有させていない、(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aの倍率10,000倍のSEM写真を示す。
【0139】
(実施例12)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aと、(C)成分の分散剤であるゼラチン(濃度1%)とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(C)成分のゼラチンを含有させ、表面にゼラチンを付着させた。(C)成分のゼラチンの量は、(A)成分の銀粒子aと(C)成分のゼラチンの合計量100質量%に対して、0.5質量%であった。図8(c)に、実施例12の銀粒子aの倍率10,000倍のSEM写真を示す。
【0140】
(実施例13)
(A)成分の球状の開放連通多孔体である銀粒子aと、(C)成分の分散剤であるイミダゾール(濃度1%)とを混合し、(A)成分の銀粒子aの開放連通孔内に(C)成分のイミダゾールを含有させ、表面にイミダゾールを付着させた。(C)成分のイミダゾールの量は、(A)成分の銀粒子aと(C)成分のイミダゾールの合計量100質量%に対して、0.8量%であった。図8(d)に、実施例13の銀粒子aの倍率5,000倍のSEM写真を示す。
【0141】
図8(a)に示すように、(C)成分の分散剤を含浸させない球状の開放連通多孔体である銀粒子aは、表面に微細な凹凸構造を有し、図8(b)及び(c)に示すように、(C)成分のオレイン酸、ゼラチンと混合した銀粒子aは、銀粒子aの表面に滑らかにオレイン酸、ゼラチンが付着し、開放連通多孔に(C)分散剤を含有する銀粒子の分散性が向上すると推測され、ペースト比重が高くなっていた。一方、図8(d)に示すように、イミダゾールと混合した銀粒子aは、銀粒子aの表面に層状にイミダゾールが付着し、滑らかな球状にはならなかった。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明によれば、球状の開放連通多孔体である銀粒子と樹脂を含み、電気抵抗や粘度の上昇を抑制し、電気抵抗率を低減することが可能である等の優れた特性を発揮し、導電体や電子部品の形成等に好適に使用可能な銀ペースト組成物及びその製造方法を提供することができ、本発明の銀ペースト組成物は、電子回路や電極のような導電体、メッキ下地用、抵抗用、電極用、導電ペースト、半導体封止剤、ダイアタッチ剤等の導電性接着剤として好適に使用することができ、本発明の銀ペースト組成物を硬化させてなる、硬化体からなる導電体は、チップコンデンサ、チップ抵抗の端面下地電極、可変抵抗器、フィルム基板回路等の電子部品として好適に使用することができ、産業上有用である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8