【実施例】
【0050】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。溶媒中のイオン濃度の分析にはイオンクロマトグラフ(カラム:IC NI−424、展開溶媒:8mM 4−ヒドロキシ安息香酸+2.8mMビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス−(ヒドロキシメチル)メタン+2mMフェニルボロン酸+5μMトランス−1,2−シクロヘキサンジアミン−N,N,N’,N’−4酢酸)を使用し、絶対検量線法によりリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度を算出した。液晶組成物の比抵抗値は、測定用セルに液晶組成物を入れ、電圧(DC)1V印加時の抵抗値を25℃にて測定して得た。純度はガスクロマトグラフィー(カラム:DB−1、キャリアーガス:ヘリウム)の面積比により算出した。
【0051】
また、使用した溶媒のうちイオン濃度の記載がないものは、市販の一級グレード品である。
(実施例1) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(1)
式(A−1)及び(A−2)
【0052】
【化6】
【0053】
を各50%ずつ含む、比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に、式(1−1)
【0054】
【化7】
【0055】
で表される化合物(純度99.90%)を20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.0×10
11Ω・mであった。
この式(1−1)で表される化合物25gをヘキサン100mLに溶解し、10gのシリカゲル及び10gのアルミナを二層に充填したカラムクロマトグラフィー(直径3cm)に注ぎ、溶液表面が充填剤層と一致するまで流した。更に展開溶媒としてヘキサン100mLを加え、充填剤に吸着している化合物を溶出させた。得られた溶液約220mLにリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール4mLを加え、5℃で10分間撹拌して晶析させた後−18℃の冷凍庫内で16時間静置した。結晶分をろ取するため、フィルター付きのヌッチェに注いだ。フィルター上に得られた結晶の帯電電位を測定したところ、0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。得られた結晶をナスフラスコに移し、真空ポンプにより減圧し(266Pa)、ナスフラスコを回転させながら溶媒を留去した。この際、45℃の湯浴にフラスコを浸し、温度制御を行った。20時間後、式(1−1)で表される化合物22.5gを粉末状の結晶として得た。結晶中の残留溶媒量は60ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は2.0×10
12Ω・mであった。
【0056】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(比較例1)式(1−1)で表される化合物の再結晶(2)
実施例1において、カラムクロマトグラフィーの後に得られた溶液約220mLにエタノールを加えることなく結晶の晶析操作を行い、フィルター付きのヌッチェに注いだ。ろ取した結晶の帯電電位の絶対値は22.0kV以上であった。この帯電した結晶が導体との間にブラシ放電を発生した場合、ヘキサンの最小着火エネルギー(0.24mJ)と同等以上の放電エネルギーになると推定される。そのため、条件が重なると溶媒のヘキサンに引火する危険がある。また、ろ過の際に金属製の器具を使用した場合、接地の不備があると、静電誘導、電荷分離等により金属製の器具に不安定な電荷が発生し、着火性の火花放電を起こす可能性が考えられ、非常に危険である。
(実施例2) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(3)
実施例1において、エタノールの代わりにリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.13ppbであるアセトン4mLを使用し、同様に操作を行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は22.4gであった。結晶中の残留溶媒量は58ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は2.4×10
12Ω・mであった。
【0057】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例3) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(4)
実施例1において、カラムクロマトグラフィーの後に得られた溶液約220mLから溶媒を減圧下に留去して約150mLとした後にリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール4mLを加え、同様に操作を行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は23.4gであり、収率の向上が見られた。結晶中の残留溶媒量は58ppmであり、純度は99.97%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.8×10
12Ω・mであった。
【0058】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例4) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(5)
実施例1において、カラムクロマトグラフィーの後に得られた溶液約220mLにエタノールを加えることなく晶析操作を行い、結晶をろ取する直前にリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール4mLを加え、1分程度撹拌した後にフィルター付きのヌッチェに注ぎ、その後は同様の乾燥操作を行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は22.4gであった。結晶中の残留溶媒量は62ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は2.0×10
12Ω・mであった。
【0059】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例5) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(6)
実施例1において、カラムクロマトグラフィーの後に得られた溶液約220mLから溶媒を減圧下に留去し、得られた固体24.9gをリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.03ppbであるヘキサン50mLに加温溶解し、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール1mLを加え、晶析操作以降を同様に行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は24.0gであり、収率の向上が見られた。結晶中の残留溶媒量は50ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は2.2×10
12Ω・mであった。
【0060】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例6) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(7)
実施例5において、カラムクロマトグラフィーの際の式(1−1)で表される化合物の溶解にヘキサン/トルエン混合溶媒(体積比4/1)50mLを用い、展開溶媒にヘキサン/トルエン混合溶媒(体積比4/1)75mLを用いて以後同様の操作を行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は23.8gであった。結晶中の残留溶媒量は65ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.8×10
12Ω・mであった。
【0061】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(比較例2) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(8)
市販の一級グレード品のヘキサンのイオン濃度を分析したところ、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和は0.20ppbであった。実施例5において、カラムクロマトグラフィー後に得られた溶液から溶媒を減圧下に留去し得られた固体24.9gをこのヘキサン50mLに加温溶解し、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール1mLを加え、晶析操作以降を同様に行った。得られた式(1−1)で表される化合物を液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は5.6×10
11Ω・mであった。精製工程前と比較し比抵抗値の向上が十分ではなく、液晶表示素子用の液晶組成物材料としては使用することができなかった。
(比較例3) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(9)
市販の一級グレード品のアセトンのイオン濃度を分析したところ、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が1.35ppbであった。実施例5において、カラムクロマトグラフィー後に得られた溶液から溶媒を減圧下に留去し得られた固体24.9gをリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.03ppbであるヘキサン50mLに加温溶解し、一級グレード品のアセトン1mLを加え、晶析操作以降を同様に行った。得られた式(1−1)で表される化合物を液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は3.2×10
11Ω・mであった。精製工程前と比較し比抵抗値の向上が十分ではなく、液晶表示素子用の液晶組成物材料としては使用することができなかった。
(実施例7) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(10)
実施例1において、カラムクロマトグラフィーの後に得られた溶液約220mLから溶媒を減圧下に留去し、得られた固体24.9gをリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.03ppbであるヘキサン50mLに加温溶解し、同様の晶析操作を行った。結晶をろ取する直前にリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール1mLを加え、1分程度撹拌した後にフィルター付きのヌッチェに注ぎ、その後は同様の乾燥操作を行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は23.9gであった。結晶中の残留溶媒量は60ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は2.0×10
12Ω・mであった。
【0062】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例8) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(11)
式(A−1)及び(A−2)
を各50%ずつ含む、比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に、式(1−1)
で表される化合物(純度99.90%)を20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.0×10
11Ω・mであった。
この式(1−1)で表される化合物25gをリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.03ppbであるヘキサン50mLに加温溶解し、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール1mLを加え、5℃で10分間撹拌して晶析させた後−18℃の冷凍庫内で16時間静置した。結晶分をろ取するため、フィルター付きのヌッチェに注いだ。フィルター上に得られた結晶の帯電電位を測定したところ、0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。得られた結晶をナスフラスコに移し、真空ポンプにより減圧し(266Pa)、ナスフラスコを回転させながら溶媒を留去した。この際、45℃の湯浴にフラスコを浸し、温度制御を行った。20時間後、式(1−1)で表される化合物23.8gを粉末状の結晶として得た。結晶中の残留溶媒量は60ppmであり、純度は99.97%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.6×10
12Ω・mであった。
【0063】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例9) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(12)
実施例8において、式(1−1)で表される化合物25gをリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.03ppbであるヘキサン50mLに加温溶解し、エタノールを加えることなく同様の晶析操作を行った。結晶をろ取する直前にリチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が0.20ppbであるエタノール1mLを加え、1分程度撹拌した後にフィルター付きのヌッチェに注ぎ、その後は同様の乾燥操作を行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は24.0gであった。結晶中の残留溶媒量は65ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.8×10
12Ω・mであった。
【0064】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例10) 式(1−1)で表される化合物の再結晶(13)
実施例1において、カラムクロマトグラフィーの際の式(1−1)で表される化合物の溶解にヘキサン/エタノール混合溶媒(体積比50/1)100mLを用い、展開溶媒にヘキサン/エタノール混合溶媒(体積比50/1)100mLを用い、得られた溶液にエタノールを添加することなく晶析以降の操作を同様に行った。フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は22.3gであった。結晶中の残留溶媒量は58ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.4×10
12Ω・mであった。
【0065】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例11)式(1−1)で表される化合物の再結晶(14)
実施例1において、結晶のろ取工程にPTFE製のろ布を取り付けた遠心ろ過器を使用し、他は同様の操作を行った。ろ布上に得られた結晶の帯電電位の絶対値は0.2kVであり、静電気の帯電はほとんど見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は22.5gであった。結晶中の残留溶媒量は55ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は1.4×10
12Ω・mであった。
【0066】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例12)イオン交換樹脂による再結晶溶媒の処理
市販の一級グレード品のエタノールのイオン濃度を分析したところ、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和が1.84ppbであった。ガラス製クロマトグラフ管に陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂の混合物5gを充填し、一級グレード品のエタノール50mLを通液してイオン交換樹脂を洗浄した。その後、一級グレード品のエタノール100mLを通液して清浄なガラスフラスコに採取した。得られたエタノールを分析したところ、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和は0.15ppbであった。この得られたエタノールを使用し、実施例1記載の方法と同様の操作を行ったところ、フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は22.5gであった。結晶中の残留溶媒量は56ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は2.4×10
12Ω・mであった。
【0067】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例13)シリカゲル及びアルミナによる溶媒の処理
市販の一級グレード品のヘキサンのイオン濃度を分析したところ、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和は0.20ppbであった。ガラス製クロマトグラフ管にシリカゲル及びアルミナをそれぞれ5g充填し、一級グレード品のヘキサン50mLを通液して洗浄した。その後、一級グレード品のヘキサン150mLを通液して清浄なガラスフラスコに採取した。得られたヘキサンを分析したところ、リチウムイオン、ナトリウムイオン、アンモニウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンの濃度の総和は0.03ppbであった。この得られたヘキサンを使用し、実施例1記載の方法と同様の操作を行ったところ、フィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。乾燥後に得られた式(1−1)で表される化合物は22.4gであった。結晶中の残留溶媒量は60ppmであり、純度は99.98%であった。得られた式(1−1)で表される化合物を比抵抗値が1.0×10
13Ω・mである液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物の比抵抗値は2.2×10
12Ω・mであった。
【0068】
また、式(1−1)で表される化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。
(実施例14)
実施例1において、式(1−1)で表される化合物の代わりに下表に示す化合物を用い、同様の操作を行った。何れの化合物も、ろ過操作時のフィルター上に得られた結晶の帯電電位は0.0kVであり、静電気の帯電は見られなかった。なお表中の比抵抗値は、それぞれの化合物を液晶組成物(M−1)に20%添加した液晶組成物のものである。
【0069】
【表1】
【0070】
また、操作後のそれぞれの化合物を含有する液晶組成物を使用した液晶表示素子を作製したところ、表示不良を起こさず良好な特性を示した。