(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水分を含有する被処理物を載置する載置手段と、該載置手段上に配置されるローラー部材とを備え、載置手段上の被処理物がローラー部材に向かって相対的に搬送されて載置手段とローラー部材との間で圧搾されることで、被処理物が脱水されるように構成される脱水設備であって、
前記ローラー部材は、被処理物の搬送経路上に間隔を空けて複数配置されており、
前記載置手段上の被処理物がローラー部材に向かって相対的に搬送される際の搬送経路におけるローラー部材と被処理物との接触領域よりも上流側の領域で、被処理物上に水分を供給可能に構成される水分供給手段を更に備え、該水分供給手段は、各ローラー部材のうち、被処理物の搬送経路の最も上流側に位置する第一ローラー部材よりも下流側に位置する下流側ローラー部材の表面に水分を供給可能に構成されることを特徴とする脱水設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、脱水設備に供給される前の被処理物の含水率を増加させると(例えば、被処理物に水分を添加すると)、被処理物の体積が増加するため、被処理物を貯留する設備が大型なものになってしまう。また、被処理物の含水率が高いため、所望する含水率となるように脱水を行うのに長時間を要することになる。
【0010】
そこで、本発明は、脱水設備へ供給される前の被処理物の体積を増加させることがなく、被処理物からの有害成分の除去を効果的に行うことができる脱水設備および脱水方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る脱水装置は、水分を含有する被処理物を載置する載置手段と、該載置手段上に配置されるローラー部材とを備え、載置手段上の被処理物がローラー部材に向かって相対的に搬送されて載置手段とローラー部材との間で圧搾されることで、被処理物が脱水されるように構成される脱水設備であって、
前記ローラー部材は、被処理物の搬送経路上に間隔を空けて複数配置されており、前記載置手段上の被処理物がローラー部材に向かって相対的に搬送される際の搬送経路におけるローラー部材と被処理物との接触領域よりも上流側の領域で、被処理物上に水分を供給可能に構成される水分供給手段を更に備え
、該水分供給手段は、各ローラー部材のうち、被処理物の搬送経路の最も上流側に位置する第一ローラー部材よりも下流側に位置する下流側ローラー部材の表面に水分を供給可能に構成されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る脱水方法は、水分を含有する被処理物を載置する載置手段上に被処理物を載置し、該載置手段上に配置されるローラー部材に向かって該被処理物を相対的に搬送し、載置手段とローラー部材との間で被処理物を圧搾して被処理物の脱水を行う脱水方法であって、
前記ローラー部材は、被処理物の搬送経路上に間隔を空けて複数配置されており、前記載置手段上の被処理物をローラー部材に対して相対的に搬送する際の搬送経路におけるローラー部材と被処理物との接触領域よりも上流側の領域で、被処理物に水分を供給する
に際し、前記搬送経路の最も上流側に位置する第一ローラー部材よりも下流側に位置する下流側ローラー部材の表面に水分を供給することを特徴とする。
【0013】
斯かる設備および方法によれば、載置手段とローラー部材との間で被処理物が圧搾されて水分が被処理物から分離される(脱水される)前に、被処理物上に水分が供給されるため、載置手段上の被処理物の含水率が上昇することになる。これにより、圧搾によって被処理物から分離される水分への有害成分の移行量(溶解量や溶解せずに移行する量)が増加することになる。このため、被処理物の脱水に伴う被処理物からの有害成分の除去を効果的に行うことができる。
【0014】
また、載置手段上の被処理物に水分が供給されるため、脱水設備へ供給される前の被処理物の体積が増加することがない。このため、脱水設備に供給される前の被処理物を貯留する設備を大型化させる必要が無い。
【0015】
以上のように、脱水設備へ供給される前の被処理物の体積を増加させることなく、被処理物の含水率を増加させることができ、これにより、脱水に伴う被処理物からの有害成分の除去を効果的に行うことができる。
【0018】
斯かる設備および方法によれば、下流側ローラー部材の表面に水分が供給されることで、少なくとも第一ローラー部材と載置手段との間で圧搾された後の被処理物に対しても水分の供給を効果的に行うことができる。具体的には、載置手段とローラー部材との間で圧搾された後の被処理物は、水分が分離されることによって締め固められた状態となる。このため、被処理物の表面に水分を供給することでは、内部への水分の供給が困難となる。
【0019】
これに対し、下流側ローラー部材の表面に水分が供給されることで、下流側ローラー部材の表面に付着した水分が下流側ローラー部材の回転によって、下流側ローラー部材と被処理物との接触位置まで搬送され、斯かる位置の近傍の被処理物上に供給される。そして、下流側ローラー部材と載置手段との間で被処理物が圧搾される際に被処理物に加わる圧力によって、被処理物上に供給された水分が被処理物の内部へ供給されると共に、斯かる圧搾によって、被処理物から分離されることになる。
【0020】
以上のように、下流側ローラー部材の表面に水分を供給して該表面に水分を付着させることで、ローラー部材と載置手段との間で圧搾されて締め固められた状態の被処理物に対しても効果的に水分を供給することができる。
【0021】
また、前記水分供給手段は、被処理物の搬送経路における第一ローラー部材と被処理物との接触領域よりも上流側の領域に位置する被処理物と、下流側ローラー部材の表面とに水分を供給可能に構成されることが好ましい。
【0022】
また、前記搬送経路における第一ローラー部材と被処理物との接触領域よりも上流側の領域で、被処理物に水分を供給し、且つ、下流側ローラー部材の表面に水分を供給することが好ましい。
【0023】
斯かる設備および方法によれば、被処理物の搬送経路における複数箇所で、被処理物への水分の供給と、被処理物の圧搾とを行うことができる。これにより、有害成分の除去と脱水とをより効果的に行うことができる。また、被処理物の含水率は、載置手段と各ローラー部材との間で被処理物が圧搾される毎に減少することになる。つまり、被処理物の搬送経路における各ローラー部材と被処理物との接触領域よりも上流側の各領域に位置する被処理物の含水率は、それぞれ異なることになる。このため、各領域における被処理物の含水率に応じて、被処理物上への水分の供給量を設定することで、被処理物からの有害成分の除去に適した水分を被処理物に供給することができる。これにより、過剰な水分の供給によって、被処理物の含水率が低下し難くなるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明によれば、脱水設備へ供給される前の被処理物の体積を増加させることがなく、被処理物からの有害成分の除去を効果的に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について
図1を参照しながら説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0027】
本実施形態に係る脱水設備1および脱水方法は、水分を含有する被処理物X1を圧搾することで被処理物X1から水分を分離させるものである。被処理物X1としては、特に限定されるものではなく、例えば、有機汚泥(具体的には、豚糞尿、牛糞尿、鶏糞の畜糞、食肉・食品工場の有機廃水汚泥、下水汚泥等)が挙げられる。また、被処理物X1の含水率としては、後述する載置手段2上に被処理物X1が載置された際に、自重で面状に広がる程度の含水率であることが好ましい。具体的には、被処理物X1の含水率としては、70質量%以上99.5質量%以下であることが好ましく、75質量%以上99質量%以下であることがより好ましい。
【0028】
また、本実施形態に係る脱水設備1および脱水方法は、被処理物X1からの水分の分離に伴って、被処理物X1からの有害成分の除去が行われるものである。斯かる有害成分は、脱水後の被処理物X1(以下、処理物X2とも記す)が肥料や燃料等として使用された際に、土質や燃焼設備等に悪影響を与える成分である。また、斯かる有害成分は、被処理物中の水分に溶解することで、又は、溶解することなく、被処理物X1の水分中に移行し、該水分と共に被処理物X1から分離されるものである。このような有害成分としては、例えば、塩素成分、硫酸塩等が挙げられ、特に、塩素成分としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム等が挙げられる。
【0029】
前記脱水設備1は、被処理物X1を載置する載置手段2と、該載置手段2上に配置されるローラー部材3と、被処理物X1に水分を供給する水分供給手段4とを備える。そして、脱水設備1は、載置手段2上の被処理物X1をローラー部材3に向かって相対的に搬送可能に構成される。そして、斯かる脱水設備1は、載置手段2とローラー部材3との間で被処理物X1が圧搾されることで、被処理物X1の脱水および被処理物X1からの有害成分の除去が行われるように構成される。
【0030】
なお、本実施形態では、脱水設備1へ供給される前の被処理物X1は、貯留設備A1に貯留される。そして、貯留設備A1から連続的(又は、間欠的)且つ定量的に被処理物X1が脱水設備1(具体的には、載置手段2上)へ供給される。一方、処理物X2は、脱水設備1から排出されて、収容器A2へ収容される。
【0031】
前記載置手段2は、載置される被処理物X1をローラー部材3に向かって搬送可能に構成される。具体的には、載置手段2は、被処理物X1から分離される水分を透過可能な濾布を用いて環状に形成される濾布ベルト2aと、該濾布ベルト2aの内側に配置されて濾布ベルト2aを周方向に回転駆動させる一対の駆動ローラー2b,2bと、濾布ベルト2aの内側で一対の駆動ローラー2b,2b間に配置され、一対の駆動ローラー2b,2b間で対向する濾布ベルト2aの領域同士の間隔を保持する複数の保持ローラー2c,2c,2cとを備える。そして、載置手段2は、濾布ベルト2aが周方向に回転することで、濾布ベルト2a上に載置される被処理物X1をローラー部材3に向かって搬送するように構成される。
【0032】
前記ローラー部材3は、被処理物X1がローラー部材3に向かって相対的に搬送される際の搬送経路上に配置される。具体的には、ローラー部材3は、載置手段2上を搬送される被処理物X1の搬送経路上に配置される。また、ローラー部材3は、軸線が被処理物X1の搬送経路に略直交するように配置され、被処理物X1の搬送方向に沿って軸線を中心に回転可能に構成される。また、ローラー部材3は、載置手段2(具体的には、濾布ベルト2a)に上方から密着するように配置され、載置手段2(具体的には、濾布ベルト2a)との間で被処理物X1を圧搾可能に構成される。
【0033】
また、ローラー部材3は、被処理物X1の搬送経路上に間隔を空けて複数配置される。具体的には、被処理物X1の搬送経路の最も上流側に位置する第一ローラー部材3aと、該第一ローラー部材3aよりも下流側に位置する下流側ローラー部材3bとが被処理物X1の搬送経路上に配置される。本実施形態では、下流側ローラー部材3bとして、被処理物X1の搬送経路の最も下流側に配置される第三ローラー部材3dと、第一ローラー部材3aと第三ローラー部材3dとの間に位置される第二ローラー部材3cとが被処理物X1の搬送経路上に配置される。
【0034】
ローラー部材3の外径としては、特に限定されるものではなく、例えば、20cm以上40cm以下であることが好ましい。また、第一ローラー部材3a、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3d間の間隔としては、例えば、0.5m以上2m以下であることが好ましい。
【0035】
前記水分供給手段4は、載置手段2上の被処理物X1の搬送経路において、被処理物X1上に水分を供給可能に構成される。具体的には、水分供給手段4は、被処理物X1の搬送経路におけるローラー部材3と被処理物X1との接触領域よりも上流側の領域に位置する被処理物X1上に水分を供給可能に構成される。本実施形態では、水分供給手段4は、被処理物X1の搬送経路における第三ローラー部材3dと被処理物X1との接触領域よりも上流側の領域であって、且つ、第一ローラー部材3aおよび第二ローラー部材3cと被処理物X1との接触領域以外の領域に位置する被処理物X1上に水分を供給するように構成される。
【0036】
なお、以下の説明では、載置手段2上の被処理物X1の搬送経路における第一ローラー部材3aと被処理物X1との接触領域よりも上流側の領域を第一水分供給領域R1とする。また、第一ローラー部材3aおよび第二ローラー部材3cのそれぞれと被処理物X1との各接触領域の間の領域を第二水分供給領域R2とする。更に、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3dのそれぞれと被処理物X1との各接触領域の間の領域を第三水分供給領域R3とする。
【0037】
本実施形態では、水分供給手段4は、第一水分供給領域R1、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3のそれぞれに水分を供給可能に構成される。具体的には、水分供給手段4は、被処理物X1の搬送経路上に複数配置され、各水分供給手段4のそれぞれが第一水分供給領域R1、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3に位置する被処理物X1上に水分を供給可能に構成される。
【0038】
また、水分供給手段4は、下流側ローラー部材3b(具体的には、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3d)の表面に水分を供給可能に構成せれる。これにより、下流側ローラー部材3b(具体的には、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3d)と被処理物X1との接触位置の近傍に位置する被処理物X1上に水分が供給される。具体的には、下流側ローラー部材3b(具体的には、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3d)の表面に水分が供給されることで、下流側ローラー部材3bの表面に付着した水分が下流側ローラー部材3bの回転によって、下流側ローラー部材3bと被処理物X1との接触位置まで搬送され、斯かる位置の近傍の被処理物X1上に下流側ローラー部材3bの表面から水分が供給される。
【0039】
つまり、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3に位置する被処理物X1上に水分を供給する各水分供給手段4は、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3dの表面を介して、被処理物X1上に水分を供給可能に構成される。一方、第一水分供給領域R1に位置する被処理物X1上に水分を供給する水分供給手段4は、被処理物X1上に直接水分を供給可能に構成されてもよく、第一ローラー部材3aの表面に水分を供給することで、該表面を介して被処理物X1上に水分を供給可能に構成されてもよい。
【0040】
水分供給手段4は、被処理物X1に向かって散水する散水部4aと、該散水部4aに水を供給する水源部(図示せず)とから構成される。散水部4aは、例えば、水が流通する内部空間を備えた筒状の形状を有し、軸線が被処理物X1の搬送経路に略直交するように配置される。また、散水部4aは、該内部空間に連通する複数の貫通孔(図示せず)を軸線に沿って備える。一方、水源部は、散水部4aと配管を介して連結され、散水部4aの内部空間に水を連続的に供給可能に構成される。水分供給手段4がこのような構成を有することで、散水部4aに形成された複数の貫通孔から放出される水によって、被処理物X1上、又は、下流側ローラー部材3b(具体的には、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3d)の表面に水分が供給されることになる。
【0041】
水分供給手段4から被処理物X1へ供給される水分量としては、特に限定されるものではないが、各水分供給手段4から被処理物X1へ供給される水分量の合計(3箇所の合計)が脱水設備1へ供給される被処理物X1の体積の3倍以下であることが好ましく、2.5倍以下であることがより好ましい。
【0042】
次に、上記の構成を有する脱水設備1を用いた被処理物X1の脱水方法について説明する。まず始めに、貯留設備A1から脱水設備1に被処理物X1が連続的に供給される。脱水設備1に供給された被処理物X1は、載置手段2上に載置される。載置手段2上の被処理物X1は、ローラー部材3に向かって相対的に搬送される。具体的には、載置手段2(詳しくは、濾布ベルト2a)上の被処理物X1は、濾布ベルト2aの回転によってローラー部材3に向かって搬送される。
【0043】
この際、第一水分供給領域R1、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3のそれぞれに位置する被処理物X1上に水分が供給される。具体的には、第一水分供給領域R1では、水分供給手段4から被処理物X1上に水分が散水されることで、被処理物X1上に水分が供給される。第一水分供給領域R1では、被処理物X1が締め固められていないため、被処理物X1上に供給された水分は、被処理物X1の内部に浸透し易くなっている。これにより、被処理物X1における第一水分供給領域R1で水分が供給された領域の内部へまで水分が供給される。
【0044】
また、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3では、水分供給手段4から第二ローラー部材3cの表面および第三ローラー部材3dの表面に水分が散水されることで、第二ローラー部材3cの表面および第三ローラー部材3dの表面を介して水分が被処理物X1上に供給される。これにより、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3と被処理物X1の接触位置の近傍に位置する被処理物X1上に水分が供給される。
【0045】
そして、載置手段2上の被処理物X1は、被処理物X1の搬送経路における各ローラー部材3a,3c,3dとの各接触位置に順次到達することで、載置手段2(具体的には、濾布ベルト2a)と各ローラー部材3a,3c,3dとの間で順次圧搾される。斯かる圧搾によって、被処理物X1に含有される水分が被処理物X1から分離される。この際、被処理物X1に含有される水分に移行している有害成分も斯かる水分と共に被処理物X1から分離される。これにより、被処理物X1から水分が脱水されると共に、有害成分が除去された処理物X2が得られる。斯かる処理物X2中の有害成分の濃度としては、特に限定されるものではないが、処理物X2の乾燥状態(含水率が略0質量%の状態)において、0.7重量%以下であることが好ましく、0.5重量%以下であることがより好ましい。
【0046】
上記のようにして得られる処理物X2は、水分の含有率が低減されているため、乾燥させ易く、肥料や燃料等として利用し易いものとなる。処理物X2を乾燥させる方法としては、特に限定されるものではなく、例えば、機械式の熱風乾燥や、天日乾燥、又は、発酵乾燥等から選択することができる。また、斯かる処理物X2は、水分と共に有害成分が除去されているため、肥料や燃料として利用した際にも土質の悪化や、燃焼設備の損傷が抑制される。
【0047】
以上のように、本発明に係る脱水設備および脱水方法によれば、脱水設備へ供給される前の被処理物の体積を増加させることがなく、被処理物からの有害成分の除去を効果的に行うことができる。
【0048】
即ち、前記脱水設備1および脱水方法は、載置手段2とローラー部材3との間で被処理物X1が圧搾されて水分が被処理物X1から分離される(脱水される)前に、被処理物X1上に水分が供給されるため、載置手段2上の被処理物X1の含水率が上昇することになる。これにより、圧搾によって被処理物X1から分離される水分への有害成分の移行量(溶解量や溶解せずに移行する量)が増加することになる。このため、被処理物X1からの有害成分の除去を効果的に行うことができる。
【0049】
また、載置手段2上の被処理物X1に水分が供給されるため、脱水設備1へ供給される前の被処理物X1の体積が増加することがない。このため、脱水設備1に供給される前の被処理物X1を貯留する設備A1を大型化させる必要が無い。
【0050】
以上のように、脱水設備1へ供給される前の被処理物X1の体積を増加させることなく、被処理物X1の含水率を増加させることができ、これにより、脱水に伴う被処理物X1からの有害成分の除去を効果的に行うことができる。
【0051】
また、載置手段2がろ布を用いて形成されることで、被処理物X1の搬送経路におけるローラー部材3より上流側の領域であっても、被処理物X1が載置手段2に載置された時点から自重で徐々に脱水されて水分がろ布を透過して分離される。このため、載置手段2上で被処理物X1に水分を供給することで、載置手段2に載置される前の被処理物X1(即ち、貯留設備A1内の被処理物X1)に水分を供給し、被処理物X1を希釈するよりも、少ない水分で効果的に塩素成分を除去することができる。
【0052】
また、下流側ローラー部材3bの表面に水分が供給されることで、少なくとも第一ローラー部材3aと載置手段2との間で圧搾された後の被処理物X1に対しても水分の供給を効果的に行うことができる。具体的には、載置手段2とローラー部材3との間で圧搾された後の被処理物X1は、水分が分離されることによって締め固められた状態となる。このため、被処理物の表面に水分を供給することでは、内部への水分の供給が困難となる。
【0053】
これに対し、下流側ローラー部材3bの表面に水分が供給されることで、下流側ローラー部材3bの表面に付着した水分が下流側ローラー部材3bの回転によって、下流側ローラー部材3bと被処理物X1との接触位置まで搬送され、斯かる位置の近傍の被処理物X1上に供給される。そして、下流側ローラー部材3bと載置手段2との間で被処理物X1が圧搾される際に被処理物X1に加わる圧力によって、被処理物X1上に供給された水分が被処理物X1の内部へ供給されると共に、斯かる圧搾によって、被処理物X1から分離されることになる。
【0054】
以上のように、下流側ローラー部材3bの表面に水分を供給して該表面に水分を付着させることで、ローラー部材3と載置手段2との間で圧搾されて締め固められた状態の被処理物X1に対しても効果的に水分を供給することができる。
【0055】
また、被処理物X1の搬送経路における複数箇所で、被処理物X1への水分の供給と、被処理物X1の圧搾とを行うことができる。これにより、有害成分の除去と脱水をより効果的に行うことができる。また、被処理物X1の含水率は、載置手段2と各ローラー部材3a,3bとの間で被処理物X1が圧搾される毎に減少することになる。つまり、被処理物X1の搬送経路における各ローラー部材3a,3bと被処理物X1との接触領域よりも上流側の各領域に位置する被処理物X1の含水率は、それぞれ異なることになる。このため、各領域における被処理物X1の含水率に応じて、被処理物X1への水分の供給量を設定することで、被処理物X1からの有害成分の除去に適した水分を供給することができる。これにより、過剰な水分の供給によって、被処理物X1の含水率が低下し難くなるのを防止することができる。
【0056】
なお、本発明に係る脱水設備および脱水方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、上記した複数の実施形態の構成や方法等を任意に採用して組み合わせてもよく(1つの実施形態に係る構成や方法等を他の実施形態に係る構成や方法等に適用してもよく)、さらに、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、載置手段2上の被処理物X1がローラー部材3に向かって搬送されるように構成されているが、これに限定されるものではなく、ローラー部材3が被処理物X1の搬送経路に沿って被処理物X1上を移動するように構成されてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、下流側ローラー部材3bの表面に水分が供給されているが、これに限定されるものではなく、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3のそれぞれにおいて、被処理物X1が水分を吸収し易い状態であるならば、斯かる領域に位置する被処理物X1上に直接水分が供給されてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、第一水分供給領域R1、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3のそれぞれにおいて、被処理物X1上に水分が供給されているが、これに限定されるものではなく、何れかの領域においてのみ被処理物X1上に水分が供給されるようにしてもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、複数のローラー部材3が被処理物X1の搬送経路上に配置されているが、これに限定されるものではなく、一つのローラー部材3が被処理物X1の搬送経路上に配置されるようにしてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、載置手段2が水分を透過させるろ布を用いて構成されているが、これに限定されるものではなく、水分を透過させない素材が用いられてもよい。この場合、被処理物X1が圧搾されて被処理物X1から分離される水分は、ローラー部材3に沿ってローラー部材3の両端部側に流れ、ローラー部材3の両端部から載置手段2の下方に流出するようにしてもよい。
【実施例】
【0062】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0063】
1.脱水
<実施例1>
図1に示す脱水設備1を用いて、被処理物X1(豚糞)の脱水を行い、処理物X2を得た。なお、第一ローラー部材3a、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3dの各外径は、30cmとした。また、各ローラー部材3a,3c,3d間の間隔は、1.5mとした。脱水設備1への被処理物X1の供給量は、下記表1に示す通りである。
【0064】
上記の脱水に伴い、載置手段2上の被処理物X1へ水分の供給を行った。具体的には、第一水分供給領域R1において、水分供給手段4から被処理物X1上に直接水を散水することで、被処理物X1への水分の供給を行った。供給した水分量については、下記表1に示す。
【0065】
<実施例2>
第一水分供給領域R1に加え、第二水分供給領域R2において、水分供給手段4から第二ローラー部材3cの表面に水を散水することで、被処理物X1への水分の供給を行ったこと以外は、実施例1と同一条件で被処理物X1の脱水を行い、処理物X2を得た。供給した水分量については、下記表1に示す。
【0066】
<実施例3>
第一水分供給領域R1および第二水分供給領域R2に加え、第三水分供給領域R3において、水分供給手段4から第三ローラー部材3dの表面に水を散水することで、被処理物X1への水分の供給を行ったこと以外は、実施例1と同一条件で被処理物X1の脱水を行い、処理物X2を得た。供給した水分量については、下記表1に示す。
【0067】
2.有害成分の測定
各実施例および各比較例における脱水で得られた各処理物X2を105℃で12時間加熱乾燥させた。そして、乾燥後の処理物X2における塩素濃度の測定を燃焼式塩素測定装置を用いて行った。測定結果については、下記表1に示す。
【0068】
<比較例1>
被処理物X1への水分の供給を行わなかったこと以外は、実施例1と同一条件で、被処理物X1の脱水を行った。そして、得られた処理物X2の塩素濃度を測定した。測定結果については、下記表1に示す。
【0069】
<比較例2>
第二水分供給領域R2において、第二ローラー部材3cと被処理物X1との接触位置から30cm上流側に位置する被処理物X1上に水分供給手段4から散水したこと以外は、実施例2と同一条件で、被処理物X1の脱水を行った。そして、得られた処理物X2の塩素濃度を測定した。測定結果については、下記表1に示す。
【0070】
<比較例3>
第三水分供給領域R3において、第三ローラー部材3dと被処理物X1との接触位置から30cm上流側に位置する被処理物X1上に水分供給手段4から散水したこと以外は、実施例3と同一条件で、被処理物X1の脱水を行った。そして、得られた処理物X2の塩素濃度を測定した。測定結果については、下記表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
<まとめ>
各実施例と比較例1とを比較すると、各実施例の塩素濃度の方が低いことが認められる。つまり、被処理物X1への水分の供給が行われることで、被処理物X1からの有害成分の除去が効率的に行われる。
【0073】
また、実施例2と比較例2とを比較すると、実施例2の塩素濃度の方が低いことが認められる。つまり、第二水分供給領域R2では、第二ローラー部材3cの表面に水分が供給され、該表面を介して被処理物X1に水分が供給されることで、被処理物X1からの有害成分の除去がより効率的に行われる。
【0074】
また、実施例3と比較例3とを比較すると、実施例3の塩素濃度の方が低いことが認められる。つまり、第二水分供給領域R2および第三水分供給領域R3において、第二ローラー部材3cおよび第三ローラー部材3dの表面に水分が供給され、該各表面を介して被処理物X1に水分が供給されることで、被処理物X1からの有害成分の除去がより効率的に行われる。
【0075】
また、各実施例の脱水で得られた処理物X2を含水率が35質量%となるまで発酵乾燥させた後、斯かる処理物X2を発電設備の燃焼ボイラーの燃料として使用したが、ボイラー本体等の設備への影響(腐食や破損)は、生じなかった。