(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0030】
初めに、SBDの製造に用いる高温真空炉11と坩堝(収容容器)2について、
図1から
図4までを参照して説明する。
図1は、SBDを製造するための加熱処理に用いられる高温真空炉を示す模式図である。
図2は、高温真空炉の本加熱室及び予備加熱室を詳細に示す断面図である。
図3(a)は坩堝2を上方から撮影した外観写真であり、
図3(b)は坩堝2の断面顕微鏡写真である。
図4は、炭素ゲッター効果を説明する模式図である。
【0031】
図1及び
図2に示すように、高温真空炉11は、被処理物を1000℃以上2300℃以下の温度に加熱することが可能な本加熱室21と、被処理物を500℃以上の温度に予備加熱可能な予備加熱室22と、を備えている。予備加熱室22は本加熱室21の下方に配置され、本加熱室21に対して上下方向に隣接している。また、高温真空炉11は、予備加熱室22の下方に配置された断熱室23を備えている。この断熱室23は予備加熱室22に対して上下方向に隣接している。
【0032】
高温真空炉11は真空チャンバ19を備え、前記本加熱室21と予備加熱室22は、この真空チャンバ19の内部に備えられている。真空チャンバ19には真空形成装置としてのターボ分子ポンプ34が接続されており、例えば10
-2Pa以下、望ましくは10
-7Pa以下の真空を真空チャンバ19内に得ることができるようになっている。ターボ分子ポンプ34と真空チャンバ19との間には、ゲートバルブ25が介設される。また、ターボ分子ポンプ34には、補助のためのロータリポンプ26が接続される。
【0033】
高温真空炉11は、予備加熱室22と本加熱室21との間で被処理物を上下方向に移動させることが可能な移動機構27を備えている。この移動機構27は、被処理物を支持可能な支持体28と、この支持体28を上下動させることが可能なシリンダ部29と、を備えている。シリンダ部29はシリンダロッド30を備え、このシリンダロッド30の一端が前記支持体28に連結されている。また、高温真空炉11には、真空度を測定するための真空計31、及び、質量分析法を行うための質量分析装置32が設けられている。
【0034】
前記真空チャンバ19は、被処理物を保管しておくための図略のストック室と、搬送路65を通じて接続されている。この搬送路65は、ゲートバルブ66によって開閉可能になっている。
【0035】
前記本加熱室21は、平面断面視で正六角形に形成されるとともに、真空チャンバ19の内部空間の上部に配置される。
図2に示すように、本加熱室21の内部には、加熱ヒータとしてのメッシュヒータ33が備えられている。また、本加熱室21の側壁や天井には第1多層熱反射金属板41が固定され、この第1多層熱反射金属板41によって、メッシュヒータ33の熱を本加熱室21の中央部に向けて反射させるように構成されている。
【0036】
これにより、本加熱室21内において、加熱処理対象としての被処理物を取り囲むようにメッシュヒータ33が配置され、更にその外側に多層熱反射金属板41が配置されるレイアウトが実現されている。従って、被処理物を強力且つ均等に加熱し、1000℃以上2300℃以下の温度まで昇温させることができる。
【0037】
本加熱室21の天井側は第1多層熱反射金属板41によって閉鎖される一方、底面の第1多層熱反射金属板41には貫通孔55が形成されている。被処理物は、この貫通孔55を介して、本加熱室21と、この本加熱室21の下側に隣接する予備加熱室22との間で移動できるようになっている。
【0038】
前記貫通孔55には、移動機構27の支持体28の一部が挿入されている。この支持体28は、上から順に、第2多層熱反射金属板42、第3多層熱反射金属板43、及び第4多層熱反射金属板44を互いに間隔をあけて配置した構成となっている。
【0039】
3つの多層熱反射金属板42〜44は、何れも水平に配置されるとともに、垂直方向に設けた柱部35によって互いに連結されている。そして、第2多層熱反射金属板42及び第3多層熱反射金属板43とで挟まれたスペースに受け台36が配置され、この受け台36上に被処理物を載置できるように構成されている。本実施形態において、この受け台36はタンタルカーバイドにより構成されている。
【0040】
前記シリンダ部29のシリンダロッド30の端部にはフランジが形成されて、このフランジが第4多層熱反射金属板44の下面に固定される。この構成により、前記シリンダ部29を伸縮させることで、受け台36上の被処理物を前記3つの多層熱反射金属板42〜44とともに上下動させることができる。
【0041】
前記予備加熱室22は、本加熱室21の下側の空間を、多層熱反射金属板46で囲うことにより構成されている。この予備加熱室22は、平面断面視で円状となるように構成されている。なお、予備加熱室22内には、前記メッシュヒータ33のような加熱手段は備えられていない。
【0042】
図2に示すように、予備加熱室22の底面部においては、前記多層熱反射金属板46に貫通孔56が形成されている。また、予備加熱室22の側壁をなす多層熱反射金属板46において、前記搬送路65と対面する部位に通路孔50が形成されている。更に、前記高温真空炉11は、前記通路孔50を閉鎖可能な開閉部材51を備えている。
【0043】
予備加熱室22の下側で隣接する前記断熱室23は、上側が前記多層熱反射金属板46によって区画され、下側及び側部が多層熱反射金属板47によって区画されている。断熱室23の下側を覆う多層熱反射金属板47には貫通孔57が形成されて、前記シリンダロッド30を挿通できるようになっている。
【0044】
前記貫通孔57の上端部に相当する位置において、多層熱反射金属板47には収納凹部58が形成される。この収納凹部58には、前記支持体28が備える第4多層熱反射金属板44を収納可能になっている。
【0045】
多層熱反射金属板41〜44,46,47は何れも、金属板(タングステン製)を所定の間隔をあけて積層した構造になっている。前記開閉部材51においても、通路孔50を閉鎖する部分には、同様の構成の多層熱反射金属板が用いられている。
【0046】
多層熱反射金属板41〜44,46,47の材質としては、メッシュヒータ33の熱輻射に対して十分な加熱特性を有し、また、融点が雰囲気温度より高い物質であれば、任意のものを用いることができる。例えば、前記タングステンのほか、タンタル、ニオブ、モリブデン等の高融点金属材料を多層熱反射金属板41〜44,46,47として用いることができる。また、タングステンカーバイド、ジリコニウムカーバイド、タンタルカーバイド、ハフニウムカーバイド、モリブデンカーバイド等の炭化物を、多層熱反射金属板41〜44,46,47として用いることもできる。また、その反射面に、金やタングステンカーバイド等からなる赤外線反射膜を更に形成しても良い。
【0047】
そして、支持体28に備えられる多層熱反射金属板42〜44は、小さな貫通孔を多数有するパンチメタル構造のタングステン板を、当該貫通孔の位置を異ならせつつ所定の間隔をあけて積層した構造になっている。
【0048】
また、支持体28の最も上層に備えられる第2多層熱反射金属板42の積層枚数は、本加熱室21の第1多層熱反射金属板41の積層枚数よりも少なくなっている。
【0049】
この構成で、真空チャンバ19内の汚染を防止するために適宜の容器に被処理物(例えばSiC基板)を収納する。なお、容器は後述の坩堝2であっても良いし、それ以外の容器であっても良い。そして、この状態で被処理物を搬送路65から真空チャンバ19の内部へ導入し、予備加熱室22内にある前記受け台36上に載置する。この状態で前記メッシュヒータ33を駆動すると、本加熱室21が1000℃以上2300℃以下の所定の温度(例えば約1900℃)に加熱される。またこのとき、前記ターボ分子ポンプ34の駆動によって、真空チャンバ19内の圧力は10
-3Pa以下、好ましくは10
-5Pa以下となるように調整されている。
【0050】
ここで前述したとおり、支持体28の第2多層熱反射金属板42の積層枚数は、前記第1多層熱反射金属板41の積層枚数よりも少なくなっている。従って、メッシュヒータ33が発生する熱の一部が第2多層熱反射金属板42を介して予備加熱室22に適度に供給(分配)され、予備加熱室22内の被処理物を500℃以上の所定の温度(例えば800℃)となるように予備加熱することができる。即ち、予備加熱室22にヒータを設置しなくても予備加熱を実現でき、予備加熱室22の簡素な構造が実現できている。
【0051】
上記の予備加熱処理を所定時間行った後、シリンダ部29を駆動し、支持体28を上昇させる。この結果、被処理物が下側から貫通孔55を通過して本加熱室21内に移動する。これにより、直ちに本加熱処理が開始され、本加熱室21内の被処理物を所定の温度(約1900℃)に急速に昇温させることができる。
【0052】
次に、坩堝(収容容器)2について説明する。
図3(a)に示すように、坩堝2は互いに嵌合可能な上容器2aと下容器2bとを備える嵌合容器である。また、この坩堝2は、高温処理を行う場合に後述の炭素ゲッター効果を発揮するように構成されており、具体的には、タンタル金属からなるとともに、炭化タンタル層を内部空間に露出させるようにして備えている。この坩堝2に、シリコン供給源としての図略のシリコンペレットを収容する。これにより、坩堝2に炭素ゲッター機能を良好に発揮させて、その内部空間を高純度のシリコン雰囲気に保つことができる。
【0053】
更に詳細に説明すると、坩堝2は
図3(b)に示すように、その最表層の部分にTaC層を形成し、このTaC層の内側にTa
2C層を形成し、更にその内側に基材としてのタンタル金属を配置した構成となっている。なお、タンタルと炭素の結合状態は温度依存性を示すため、前記坩堝2は、炭素濃度が高いTaCを最も表層の部分に配置するとともに、炭素濃度が若干低いTa
2Cが内側に配置される。そして、Ta
2Cの更に内側には、炭素濃度がゼロである基材のタンタル金属を配置した構成となっている。
【0054】
坩堝2を加熱処理する際には、
図2の鎖線で示すように高温真空炉11の予備加熱室22に配置し、適宜の温度(例えば約800℃)で予備加熱する。次に、予め設定温度(例えば、約1900℃)まで昇温させておいた本加熱室21へ、予備加熱室22内の坩堝2をシリンダ部29の駆動によって移動させ、急速に昇温させる。
【0055】
なお、本加熱室21での加熱時において、坩堝2内の雰囲気は約1Pa以下に維持されることが好ましい。また、上容器2aと下容器2bとを嵌め合わせたときの嵌合部分の遊びは、約3mm以下であることが好ましい。これによって、実質的な密閉状態が実現され、前記本加熱室21での加熱処理において坩堝2内のシリコン圧力を高めて外部圧力(本加熱室21内の圧力)よりも高い圧力とし、不純物がこの嵌合部分を通じて坩堝2内に侵入するのを防止することができる。
【0056】
この昇温により、坩堝2の内部空間がシリコンの蒸気圧に保たれる。また、前記坩堝2は上述したように、その表面が炭化タンタル層に覆われており、当該炭化タンタル層(TaC層)が坩堝2の内部空間に露出する構成になっている。従って、上述のように真空中で高温処理を続ける限りにおいて、坩堝2は
図4に示すように、炭化タンタル層の表面から連続的に炭素原子を吸着して取り込む機能を奏する。この意味で、本実施形態の坩堝2は炭素原子吸着イオンポンプ機能(イオンゲッター機能)を有するということができる。これにより、加熱処理時に坩堝2内の雰囲気に含まれているシリコン蒸気及び炭化ケイ素蒸気のうち、炭素だけが坩堝2に選択的に吸蔵されるので、坩堝2内を高純度のシリコン雰囲気に保つことができる。
【0057】
本実施形態においては、以上のように構成される高温真空炉11と坩堝2を用いて、基板70からSBDを製造する。基板70は、単結晶SiC(4H−SIC及び6H−SIC等)から構成されるとともに、真円度の高い円柱状に構成されている。以下の説明において、単に加熱処理といった場合は上述した高温真空炉11を用いて行うものとする。
【0058】
本実施形態では、基板70の(0001)Si面にショットキー電極を形成するとともに、基板70の(000−1)C面にオーミック電極を形成する。この基板70の面は、<11−20>方向のオフ角が4度以下の低オフ角になっており、<1−100>方向のオフ角が4度以下の低オフ角になっている(
図5を参照)。なお、これらのオフ角は、例えば8度以下とすることもできる。また、以下で示す製造工程は、一例であり、一部の処理を省略したり、他の処理を追加したり、処理の順序を変更したり等、適宜変更することができる。
【0059】
以下、基板70のSi面にショットキー電極を形成する工程について
図6及び
図7を参照して説明する。
図6及び
図7は、基板の一側にショットキー電極を形成しつつ基板の他側にオーミック電極を形成する工程を示す説明図である。
【0060】
初めに、
図6(a)に示すように、単結晶SiCで構成される基板70を用意する。そして、この基板70のSi面に、エピタキシャル層71を形成する(
図6(b)を参照)。エピタキシャル層71を形成する方法としては
、準安定溶媒エピタキシー法(MSE法)を用いることができる。MSE法を説明すると、まず、単結晶SiCからなるシード基板70と、このシード基板70より自由エネルギーの高い炭素供給フィード基板、例えば多結晶SiC基板と、を対向配置し、前記シード基板70と前記炭素供給フィード基板との間にSi融液層を溶媒(炭素移動媒体)として介在させる。そして、Si蒸気圧下で、シード基板70及び炭素供給フィード基板を加熱処理することにより、前記シード基板70の表面に単結晶SiCをエピタキシャル成長させる
。
【0061】
次に、基板70のC面に、カーボン層75を形成する(カーボン層形成工程、
図6(c)を参照)。具体的には、基板70を真空状態(10
-4Pa以下の減圧下)の環境に置き、1000℃以上2300℃以下の温度で所定時間加熱する。この加熱によって、基板70の表面のSiが昇華し、残ったCによってカーボン層75が形成される。
【0062】
また、加熱温度を2300℃以下とした理由は、加熱温度が高いほどSi原子の昇華が加速して、カーボン層75が形成され易くなるものの、2300℃を超えると、加熱炉や坩堝2の材料設備の消耗と寿命の問題が発生するからである。
【0063】
カーボン層を形成する方法としては、上記の方法に限られない。例えば、化学的気相成長法、有機レジスト法、又は電子サイクロトロン共鳴スパッタ法を用いることでカーボン層を形成することができる。
【0064】
次に、上述のようにして形成されたカーボン層75上に金属タンタル層76を形成する(金属タンタル層形成工程、
図6(d)を参照)。金属タンタル層76を形成する方法としては、CVD法によって金属タンタルを蒸着させる方法の他、電子蒸着法やスパッタリング等を用いることができる。
【0065】
なお、エピタキシャル層71を形成するタイミングは、適宜変更することができる。例えば、カーボン層75を形成した後であっても良いし、金属タンタル層76を形成した後であっても良い。
【0066】
次に、エピタキシャル層71が形成された基板70にAl等のイオン注入を行う(
図7(e)を参照)。このイオン注入は、対象物にイオンを照射する機能を有するイオンドーピング装置を用いて行う。イオンドーピング時に、SiC表面に堆積されたイオンの注入を阻止する層、例えばSi酸化膜などの開口部を利用することで、エピタキシャル層71の表面の一部に選択的にイオンが注入される。
【0067】
次に、イオンが注入された基板に加熱処理を行う。この加熱処理により、注入されたイオンの活性化及びタンタルカーバイド77の形成の両方を同時に行うことができる(
図7(f)を参照)。なお、この加熱処理は、1600℃以上2300℃以下で行う。
【0068】
イオンの活性化を行うことにより、イオン注入部分72をガードリング層73として機能させることができる。また、カーボン層75及び金属タンタル層76を加熱することにより、カーボン層75と金属タンタル層76とを反応させ、後述の傾斜組成を有するタンタルカーバイド77が形成される。これにより、カーボン層75とタンタルカーバイド77の傾斜組成層と金属タンタル層76との多層構造により構成されるオーミック電極78を形成することができる。なお、この工程の加熱処理を行う環境は例えばSi蒸気圧下で行うことができる。また、Si蒸気圧下に代えて、例えば不活性ガス雰囲気下であって、圧力が大気圧以下の環境で行うことができる。このように、Si面への処理とC面への処理とを同時に行うことにより、製造工程の簡素化(即ち短時間化)が実現できる。
【0069】
次に、ガードリング層73が形成された基板70にショットキー電極74を形成する(
図7(g)を参照、ショットキー電極形成工程)。ショットキー電極の素材としては、例えば、ニッケル、チタン、金及びモリブデン等を採用することができる。また、ショットキー電極を形成する方法としては、例えば電子線蒸着法、スパッタ蒸着法を採用することができる。
【0070】
以上のようにして、半導体装置
(半導体デバイス)としてのSBDを製造することができる。
【0071】
次に、上記の製造方法で得られる半導体装置について説明する。初めに、
図8を参照して、本実施形態のSiC基板70とカーボン層75との半導体装置の密着性について説明する。
図8に示すように、カーボン層(グラフェン)75は、SiC結晶格子の上にグラフェン結晶格子が重なるように形成される。ここで、面内におけるSiC結晶格子とグラフェン結晶格子の整合関係は、それぞれの格子定数の積によって算出することができる。即ち、SiC格子定数(3.073Å)×(6√3)=(31.935Å)、グラフェン格子定数(2.456Å)×(13)=(31.928Å)となる。SiC結晶格子の(6√3)周期の距離(31.935Å)と、グラフェン結晶格子の(13)周期の距離(31.928Å)と、が非常に近い値になっており、この結果から、SiC単結晶の表面にグラフェン層を安定して形成できることが判る。
【0072】
次に、タンタルカーバイド77について詳細に説明する。上記で行った加熱処理では、カーボン層75及び金属タンタル層76は、その全てが反応する訳ではない。従って、オーミック電極78は、炭素、タンタルカーバイド、及びタンタルを含んだ構成となっている。
【0073】
具体的には、
図9に示すように、タンタルカーバイドには、TaC,Ta
4C
3,Ta
2C等が含まれている。本実施形態のオーミック電極78では、上記の複数のタンタルカーバイドが傾斜組成となっている。なお、本発明のオーミック電極78は、カーボン層及び金属タンタル層の未反応部分が残っているとともに、タンタルと炭素との化合物を有していれば良く、複数種類のタンタルカーバイドが確認できる必要はないものとする。
【0074】
次に、線膨張率及び融点の観点から見た本実施形態の半導体装置の利点について
図10及び
図11を参照して説明する。上述のように、従来のオーミック電極を構成する材料(Fe及びNi等)は、線膨張率がSiCと大幅に異なる。この点、本実施形態のオーミック電極78を構成する炭素、タンタル、タンタルカーバイドの線膨張率はそれぞれ約6であり、SiCの線膨張率である6.6と非常に近い。従って、加熱時等において剥離が生じる可能性を低減することができる。
【0075】
また、従来のオーミック電極を構成する材料の融点は1800℃(SiCのイオン活性化時の加熱温度)以下であった。この点、本実施形態のオーミック電極78を構成する炭素、タンタル、タンタルカーバイドの融点は全て1800℃以上であり、
図10に示すように化学的安定性が非常に高い。従って、本実施形態のオーミック電極78は、イオン活性化時の加熱処理に容易に耐えることができる。
【0076】
以上のようにして形成されるオーミック電極78は、薬品に対する耐性が高いため、ショットキー電極を形成するSiC表面を十分に洗浄でき、薬品洗浄処理が簡素になる。従って、SBDの高い良品率を保ちながら、コンタクト抵抗が十分に低いSBDを製造することができる。また、オーミック電極78は融点が非常に高いため、オーミック電極78は、1800℃を越える高温での活性化アニール工程と同時に形成することが可能になる。
【0077】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記の構成は更に以下のように変更することができる。
【0078】
オーミック電極78を形成する面は、(000−1)C面に限られず、例えば(0001)Si面に形成しても良い。
【0079】
カーボン層75及び金属タンタル層76を形成する方法は上記で示した例に限られず、適宜の方法を用いることができる。また、タンタルカーバイド77を形成する方法についても上記で示した例に限られず、適宜の方法を用いることができる。なお、カーボン層形成工程によって、例えばグラファイト層が形成される構成であっても良い。
【0080】
上記実施形態ではイオン注入工程においてAlを注入していたが、Alに代えてBを注入しても良い。また、n型領域を形成する場合は窒素やP(リン)を注入しても良い。