特許第5948769号(P5948769)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948769
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】交換レンズ
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20060101AFI20160623BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20160623BHJP
   G03B 17/14 20060101ALI20160623BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160623BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20160623BHJP
【FI】
   G02B7/08 C
   G02B7/08 Z
   G02B7/02 E
   G03B17/14
   H04N5/225 D
   H04N5/232 A
   H04N5/225 F
【請求項の数】1
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2011-200183(P2011-200183)
(22)【出願日】2011年9月14日
(65)【公開番号】特開2013-33182(P2013-33182A)
(43)【公開日】2013年2月14日
【審査請求日】2014年9月11日
(31)【優先権主張番号】特願2011-146207(P2011-146207)
(32)【優先日】2011年6月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】とこしえ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】前田 敏彰
【審査官】 荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−024248(JP,A)
【文献】 特開平02−210312(JP,A)
【文献】 特開2011−085928(JP,A)
【文献】 特開2010−197524(JP,A)
【文献】 特開平08−265519(JP,A)
【文献】 特開2008−042404(JP,A)
【文献】 特開2010−085915(JP,A)
【文献】 特開2005−084339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G02B 7/02
G03B 17/14
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ情報の要求信号をカメラボディから受信する受信部と、
前記受信部が前記レンズ情報の要求信号を受信した後に、前記レンズ情報を、前記カメラボディに送信する送信部と、
前記カメラボディからの前記レンズ情報の要求信号の受信間隔が、所定の第1間隔よりも長い第2間隔であるか否かを判定する判定部と、
前記レンズ情報の要求信号の受信間隔が前記第1間隔であると判定された場合には、フォーカスレンズを、所定の第1速度以下の速度で駆動させ、前記レンズ情報の要求信号の受信間隔が前記第2間隔であると判定された場合には、前記フォーカスレンズを、前記第1速度よりも遅い第2速度以下の速度で駆動させる制御部とを有する交換レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ鏡筒およびカメラボディに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レンズ情報を、カメラボディに送信するレンズ鏡筒が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−258558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、カメラボディにレンズ情報を送信する間隔を考慮しないで、焦点調節用レンズの制御が行われるため、焦点調節用レンズの制御が適切に行えない場合があった。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、フォーカスレンズを適切に制御することができる交換レンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の解決手段によって上記課題を解決する。なお、以下においては、本発明の実施形態を示す図面に対応する符号を付して説明するが、この符号は発明の理解を容易にするためだけのものであって発明を限定する趣旨ではない。
【0007】
[1]本実施形態に係る交換レンズは、レンズ情報の要求信号をカメラボディから受信する受信部と、前記受信部が前記レンズ情報の要求信号を受信した後に、前記レンズ情報を、前記カメラボディに送信する送信部と、前記カメラボディからの前記レンズ情報の要求信号の受信間隔が、所定の第1間隔よりも長い第2間隔であるか否かを判定する判定部と、前記レンズ情報の要求信号の受信間隔が前記第1間隔であると判定された場合には、フォーカスレンズを、所定の第1速度以下の速度で駆動させ、前記レンズ情報の要求信号の受信間隔が前記第2間隔であると判定された場合には、前記フォーカスレンズを、前記第1速度よりも遅い第2速度以下の速度で駆動させる制御部とを有する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フォーカスレンズを適切に制御することができる交換レンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係るカメラを示すブロック図である。
図2図2は、図1に示す撮像素子の撮像面における焦点検出エリアを示す正面図である。
図3図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
図4図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図である。
図5図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図である。
図6図6は、撮像画素221の一つを拡大して示す断面図である。
図7図7(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す断面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す断面図である。
図8図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図である。
図9図9は、本実施形態に係るカメラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るデジタルカメラ1を示す要部構成図である。本実施形態のデジタルカメラ1(以下、単にカメラ1という。)は、カメラボディ2とレンズ鏡筒3から構成され、これらカメラボディ2とレンズ鏡筒3はマウント部4により着脱可能に結合されている。
【0018】
レンズ鏡筒3は、カメラボディ2に着脱可能な交換レンズである。図1に示すように、レンズ鏡筒3には、レンズ31,32,33、および絞り34を含む撮影光学系が内蔵されている。
【0019】
レンズ32は、フォーカスレンズであり、光軸L1方向に移動することで、撮影光学系の焦点距離を調節可能となっている。フォーカスレンズ32は、レンズ鏡筒3の光軸L1に沿って移動可能に設けられ、エンコーダ35によってその位置が検出されつつフォーカスレンズ駆動モータ36によってその位置が調節される。
【0020】
このフォーカスレンズ32の光軸L1に沿う移動機構の具体的構成は特に限定されない。一例を挙げれば、レンズ鏡筒3に固定された固定筒に回転可能に回転筒を挿入し、この回転筒の内周面にヘリコイド溝(螺旋溝)を形成するとともに、フォーカスレンズ32を固定するレンズ枠の端部をヘリコイド溝に嵌合させる。そして、フォーカスレンズ駆動モータ36によって回転筒を回転させることで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1に沿って直進移動することになる。
【0021】
上述したようにレンズ鏡筒3に対して回転筒を回転させることによりレンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32は光軸L1方向に直進移動するが、その駆動源としてのフォーカスレンズ駆動モータ36がレンズ鏡筒3に設けられている。フォーカスレンズ駆動モータ36と回転筒とは、たとえば複数の歯車からなる変速機で連結され、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸を何れか一方向へ回転駆動すると所定のギヤ比で回転筒に伝達され、そして、回転筒が何れか一方向へ回転することで、レンズ枠に固定されたフォーカスレンズ32が光軸L1の何れかの方向へ直進移動することになる。なお、フォーカスレンズ駆動モータ36の駆動軸が逆方向に回転駆動すると、変速機を構成する複数の歯車も逆方向に回転し、フォーカスレンズ32は光軸L1の逆方向へ直進移動することになる。
【0022】
フォーカスレンズ32の位置はエンコーダ35によって検出される。既述したとおり、フォーカスレンズ32の光軸L1方向の位置は回転筒の回転角に相関するので、たとえばレンズ鏡筒3に対する回転筒の相対的な回転角を検出すれば求めることができる。
【0023】
本実施形態のエンコーダ35としては、回転筒の回転駆動に連結された回転円板の回転をフォトインタラプタなどの光センサで検出して、回転数に応じたパルス信号を出力するものや、固定筒と回転筒の何れか一方に設けられたフレキシブルプリント配線板の表面のエンコーダパターンに、何れか他方に設けられたブラシ接点を接触させ、回転筒の移動量(回転方向でも光軸方向の何れでもよい)に応じた接触位置の変化を検出回路で検出するものなどを用いることができる。
【0024】
フォーカスレンズ32は、上述した回転筒の回転によってカメラボディ側の端部(至近端ともいう)から被写体側の端部(無限端ともいう)までの間を光軸L1方向に移動することができる。ちなみに、エンコーダ35で検出されたフォーカスレンズ32の現在位置情報は、レンズ制御部37を介して後述するカメラ制御部21へ送出され、フォーカスレンズ駆動モータ36は、この情報に基づいて演算されたフォーカスレンズ32の駆動位置が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより駆動する。
【0025】
絞り34は、上記撮影光学系を通過して撮像素子22に至る光束の光量を制限するとともにボケ量を調整するために、光軸L1を中心にした開口径が調節可能に構成されている。絞り34による開口径の調節は、たとえば自動露出モードにおいて演算された絞り値に応じた開口径が、カメラ制御部21からレンズ制御部37を介して送出されることにより行われる。また、カメラボディ2に設けられた操作部28によるマニュアル操作により、設定された撮影絞り値に応じた開口径がカメラ制御部21からレンズ制御部37に入力される。絞り34の開口径は図示しない絞り開口センサにより検出され、レンズ制御部37で現在の開口径が認識される。
【0026】
また、レンズ制御部37は、レンズ制御部37に備えるメモリに、光学系の焦点距離などのレンズ固有のレンズ情報を記憶している。本実施形態では、レンズ制御部37のメモリに記憶されている焦点距離に加えて、エンコーダ35により検出されたフォーカスレンズ32の位置、および絞り34の開口径に基づく絞り値の情報が、レンズ情報として、カメラボディ2のカメラ制御部21に送信される。
【0027】
一方、カメラボディ2には、上記撮影光学系からの光束L1を受光する撮像素子22が、撮影光学系の予定焦点面に設けられ、その前面にシャッター23が設けられている。撮像素子22はCCDやCMOSなどのデバイスから構成され、受光した光信号を電気信号に変換してカメラ制御部21に送出する。カメラ制御部21に送出された撮影画像情報は、逐次、液晶駆動回路25に送出されて観察光学系の電子ビューファインダ(EVF)26に表示されるとともに、操作部28に備えられたレリーズボタン(不図示)が全押しされた場合には、その撮影画像情報が、記録媒体であるメモリ24に記録される。メモリ24は着脱可能なカード型メモリや内蔵型メモリの何れをも用いることができる。なお、撮像素子22の撮像面の前方には、赤外光をカットするための赤外線カットフィルタ、および画像の折り返しノイズを防止するための光学的ローパスフィルタが配置されている。撮像素子22の構造の詳細は後述する。
【0028】
カメラ本体2には、撮像素子22で撮像される像を観察するための観察光学系が設けられている。本実施形態の観察光学系は、液晶表示素子からなる電子ビューファインダ(EVF)26と、これを駆動する液晶駆動回路25と、接眼レンズ27とを備えている。液晶駆動回路25は、撮像素子22で撮像され、カメラ制御部21へ送出された撮影画像情報を読み込み、これに基づいて電子ビューファインダ26を駆動する。これにより、ユーザは、接眼レンズ27を通して現在の撮影画像を観察することができる。なお、光軸L2による上記観察光学系に代えて、または、これに加えて、液晶ディスプレイをカメラ本体2の背面等に設け、この液晶ディスプレイに撮影画像を表示させることもできる。
【0029】
カメラボディ2にはカメラ制御部21が設けられている。カメラ制御部21は、マウント部4に設けられた電気信号接点部41によりレンズ制御部37と電気的に接続され、このレンズ制御部37からレンズ情報を受信するとともに、レンズ制御部37へデフォーカス量や絞り開口径などの情報を送信する。なお、カメラ制御部21は、レンズ情報を要求するための要求信号を、レンズ制御部37に送信することで、この要求信号に応じて、レンズ制御部37から、レンズ情報を取得する。また、カメラ制御部21は、上述したように撮像素子22から画素出力を読み出すとともに、読み出した画素出力について、必要に応じて所定の情報処理を施すことにより画像情報を生成し、生成した画像情報を、電子ビューファインダ26の液晶駆動回路25やメモリ24に出力する。また、カメラ制御部21は、撮像素子22からの画像情報の補正やレンズ鏡筒3の焦点調節状態、絞り調節状態などを検出するなど、カメラ1全体の制御を司る。
【0030】
また、カメラ制御部21は、上記に加えて、撮像素子22から読み出した画素データに基づき、位相検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出、およびコントラスト検出方式による撮影光学系の焦点状態の検出を行う。なお、具体的な焦点状態の検出方法については、後述する。
【0031】
操作部28は、シャッターレリーズボタン、動画撮影ボタン、および撮影者がカメラ1の各種動作モードを設定するための入力スイッチであり、オートフォーカスモード/マニュアルフォーカスモードの切換が行えるようになっている。また、操作部28は、静止画撮影モード/動画撮影モードの切換が行えるようにもなっている。この操作部28により設定された各種モードはカメラ制御部21へ送出され、当該カメラ制御部21によりカメラ1全体の動作が制御される。また、シャッターレリーズボタンは、ボタンの半押しでONとなる第1スイッチSW1と、ボタンの全押しでONとなる第2スイッチSW2とを含む。なお、操作部28により設定された静止画撮影モードまたは動画撮影モードの情報は、カメラ制御部21により、レンズ制御部37にも送信される。
【0032】
次に、本実施形態に係る撮像素子22について説明する。
【0033】
図2は、撮像素子22の撮像面を示す正面図、図3は、図2のIII部を拡大して焦点検出画素222a,222bの配列を模式的に示す正面図である。
【0034】
本実施形態の撮像素子22は、図3に示すように、複数の撮像画素221が、撮像面の平面上に二次元的に配列され、緑色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する緑画素Gと、赤色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する赤画素Rと、青色の波長領域を透過するカラーフィルタを有する青画素Bがいわゆるベイヤー配列(Bayer Arrangement)されたものである。すなわち、隣接する4つの画素群223(稠密正方格子配列)において一方の対角線上に2つの緑画素が配列され、他方の対角線上に赤画素と青画素が1つずつ配列されている。このベイヤー配列された画素群223を単位として、当該画素群223を撮像素子22の撮像面に二次元状に繰り返し配列することで撮像素子22が構成されている。
【0035】
なお、単位画素群223の配列は、図示する稠密正方格子以外にも、たとえば稠密六方格子配列にすることもできる。また、カラーフィルタの構成や配列はこれに限定されることはなく、補色フィルタ(緑:G、イエロー:Ye、マゼンタ:Mg,シアン:Cy)の配列を採用することもできる。
【0036】
図4は、撮像画素221の一つを拡大して示す正面図、図6は断面図である。一つの撮像画素221は、マイクロレンズ2211と、光電変換部2212と、図示しないカラーフィルタから構成され、図6の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2212が造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2211が形成されている。光電変換部2212は、マイクロレンズ2211により撮影光学系の射出瞳(たとえばF1.0)を通過する撮像光束を受光する形状とされ、撮像光束を受光する。
【0037】
また、撮像素子22の撮像面の中心、ならびに中心から左右対称位置の3箇所には、上述した撮像画素221に代えて焦点検出画素222a,222bが配列された焦点検出画素列22a,22b,22cが設けられている。そして、図3に示すように、一つの焦点検出画素列は、複数の焦点検出画素222aおよび222bが、互いに隣接して交互に、横一列(22a,22c,22c)に配列されて構成されている。本実施形態においては、焦点検出画素222aおよび222bは、ベイヤー配列された撮像画素221の緑画素Gと青画素Bとの位置にギャップを設けることなく密に配列されている。
【0038】
なお、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cの位置は図示する位置にのみ限定されず、何れか一箇所、二箇所にすることもでき、また、四箇所以上の位置に配置することもできる。また、実際の焦点検出に際しては、複数配置された焦点検出画素列22a〜22cの中から、撮影者が操作部28を手動操作することにより所望の焦点検出画素列を、焦点検出位置として選択することもできる。
【0039】
図5(A)は、焦点検出画素222aの一つを拡大して示す正面図、図7(A)は、焦点検出画素222aの断面図である。また、図5(B)は、焦点検出画素222bの一つを拡大して示す正面図、図7(B)は、焦点検出画素222bの断面図である。焦点検出画素222aは、図5(A)に示すように、マイクロレンズ2221aと、半円形状の光電変換部2222aとから構成され、図7(A)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222aが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221aが形成されている。また、焦点検出画素222bは、図5(B)に示すように、マイクロレンズ2221bと、光電変換部2222bとから構成され、図7(B)の断面図に示すように、撮像素子22の半導体回路基板2213の表面に光電変換部2222bが造り込まれ、その表面にマイクロレンズ2221bが形成されている。そして、これら焦点検出画素222aおよび222bは、図3に示すように、互いに隣接して交互に、横一列に配列されることにより、図2に示す焦点検出画素列22a〜22cを構成する。
【0040】
なお、焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは、マイクロレンズ2221a,2221bにより撮影光学系の射出瞳の所定の領域(たとえばF2.8)を通過する光束を受光するような形状とされる。また、焦点検出画素222a,222bにはカラーフィルタは設けられておらず、その分光特性は、光電変換を行うフォトダイオードの分光特性と、図示しない赤外カットフィルタの分光特性を総合したものとなっている。ただし、撮像画素221と同じカラーフィルタのうちの一つ、たとえば緑フィルタを備えるように構成することもできる。
【0041】
また、図5(A)、図5(B)に示す焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bは半円形状としたが、光電変換部2222a,2222bの形状はこれに限定されず、他の形状、たとえば、楕円形状、矩形状、多角形状とすることもできる。
【0042】
ここで、上述した焦点検出画素222a,222bの画素出力に基づいて撮影光学系の焦点状態を検出する、いわゆる位相差検出方式について説明する。
【0043】
図8は、図3のVIII-VIII線に沿う断面図であり、撮影光軸L1近傍に配置され、互いに隣接する焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2が、射出瞳34の測距瞳341,342から照射される光束AB1−1,AB2−1,AB1−2,AB2−2をそれぞれ受光していることを示している。なお、図8においては、複数の焦点検出画素222a,222bのうち、撮影光軸L1近傍に位置するもののみを例示して示したが、図8に示す焦点検出画素以外のその他の焦点検出画素についても、同様に、一対の測距瞳341,342から照射される光束をそれぞれ受光するように構成されている。
【0044】
ここで、射出瞳34とは、撮影光学系の予定焦点面に配置された焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bの前方の距離Dの位置に設定された像である。距離Dは、マイクロレンズの曲率、屈折率、マイクロレンズと光電変換部との距離などに応じて一義的に決まる値であって、この距離Dを測距瞳距離と称する。また、測距瞳341,342とは、焦点検出画素222a,222bのマイクロレンズ2221a,2221bにより、それぞれ投影された光電変換部2222a,2222bの像をいう。
【0045】
なお、図8において焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2の配列方向は一対の測距瞳341,342の並び方向と一致している。
【0046】
また、図8に示すように、焦点検出画素222a−1,222b−1,222a−2,222b−2のマイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2は、撮影光学系の予定焦点面近傍に配置されている。そして、マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2の背後に配置された各光電変換部2222a−1,2222b−1,2222a−2,2222b−2の形状が、各マイクロレンズ2221a−1,2221b−1,2221a−2,2221b−2から測距距離Dだけ離れた射出瞳34上に投影され、その投影形状は測距瞳341,342を形成する。
【0047】
すなわち、測距距離Dにある射出瞳34上で、各焦点検出画素の光電変換部の投影形状(測距瞳341,342)が一致するように、各焦点検出画素におけるマイクロレンズと光電変換部の相対的位置関係が定められ、それにより各焦点検出画素における光電変換部の投影方向が決定されている。
【0048】
図8に示すように、焦点検出画素222a−1の光電変換部2222a−1は、測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−1に向う光束AB1−1によりマイクロレンズ2221a−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222a−2の光電変換部2222a−2は測距瞳341を通過し、マイクロレンズ2221a−2に向う光束AB1−2によりマイクロレンズ2221a−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0049】
また、焦点検出画素222b−1の光電変換部2222b−1は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−1に向う光束AB2−1によりマイクロレンズ2221b−1上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。同様に、焦点検出画素222b−2の光電変換部2222b−2は測距瞳342を通過し、マイクロレンズ2221b−2に向う光束AB2−2によりマイクロレンズ2221b−2上に形成される像の強度に対応した信号を出力する。
【0050】
そして、上述した2種類の焦点検出画素222a,222bを、図3に示すように直線状に複数配置し、各焦点検出画素222a,222bの光電変換部2222a,2222bの出力を、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれに対応した出力グループにまとめることにより、測距瞳341と測距瞳342とのそれぞれを通過する焦点検出光束が焦点検出画素列上に形成する一対の像の強度分布に関するデータが得られる。そして、この強度分布データに対し、相関演算処理または位相差検出処理などの像ズレ検出演算処理を施すことにより、いわゆる位相差検出方式による像ズレ量を検出することができる。
【0051】
そして、得られた像ズレ量に一対の測距瞳の重心間隔に応じた変換演算を施すことにより、予定焦点面に対する現在の焦点面(予定焦点面上のマイクロレンズアレイの位置に対応した焦点検出位置における焦点面をいう。)の偏差、すなわちデフォーカス量を求めることができる。
【0052】
なお、これら位相差検出方式による像ズレ量の演算と、これに基づくデフォーカス量の演算は、カメラ制御部21により実行される。
【0053】
また、カメラ制御部21は、撮像素子22の撮像画素221の出力を読み出し、読み出した画素出力に基づき、焦点評価値の演算を行う。この焦点評価値は、たとえば撮像素子22の撮像画素221からの画像出力の高周波成分を、高周波透過フィルタを用いて抽出し、これを積算することで求めることができる。また、遮断周波数が異なる2つの高周波透過フィルタを用いて高周波成分を抽出し、それぞれを積算することでも求めることができる。
【0054】
そして、カメラ制御部21は、レンズ制御部37に制御信号を送出してフォーカスレンズ32を所定のサンプリング間隔(距離)で駆動させ、それぞれの位置における焦点評価値を求め、該焦点評価値が最大となるフォーカスレンズ32の位置を合焦位置として求める、コントラスト検出方式による焦点検出を実行する。なお、この合焦位置は、たとえば、フォーカスレンズ32を駆動させながら焦点評価値を算出した場合に、焦点評価値が、2回上昇した後、さらに、2回下降して推移した場合に、これらの焦点評価値を用いて、内挿法などの演算を行うことで求めることができる。
【0055】
次に、図9を参照して、本実施形態に係るカメラ1の動作例を説明する。図9は、本実施形態に係るカメラ1の動作を示すフローチャートである。
【0056】
まず、ステップS101では、カメラ制御部21により、動画像の撮影が行われているか否かの判断が行われる。本実施形態において、カメラ制御部21は、たとえば、撮影者により、操作部28に備えられた動画撮影ボタンが押下され、動画像の撮影が開始された場合に、動画像の撮影が行われていると判断することができる。動画像の撮影が行われていると判断された場合は、ステップS108に進み、一方、動画像の撮影が行われていないと判断された場合は、ステップS102に進む。
【0057】
ステップS102では、静止画像の撮影が行われると判断されているため、カメラ制御部21により、レンズ情報の要求信号の送信が、所定の第1間隔(たとえば、1msec間隔)で開始される。これにより、レンズ情報の要求信号が、所定の第1間隔で、レンズ鏡筒3に送信され、この要求信号に応じて、レンズ鏡筒3から、レンズ情報が、カメラボディ2に送信される。その結果、カメラボディ2のカメラ制御部21は、レンズ情報を、レンズ鏡筒3から第1間隔で取得することができる。なお、レンズ鏡筒3から送信されるレンズ情報としては、フォーカスレンズ32のレンズ位置、焦点距離、および絞り値などの情報が挙げられる。
【0058】
ステップS103では、カメラ制御部21により、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれる。シャッターレリーズボタンが半押しされた場合は、ステップS104に進み、一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、ステップS103で待機する。
【0059】
ステップS104では、カメラ制御部21により、焦点検出演算が行われる。具体的には、撮像素子22により光学系からの光束の受光が行われ、カメラ制御部21により撮像素子22の3つの焦点検出画素列22a〜22cを構成する各焦点検出画素222a,222bから一対の像に対応した一対の像データの読み出しが行われる。この場合、撮影者の手動操作により、特定の焦点検出位置が選択されているときは、その焦点検出位置に対応する焦点検出画素からのデータのみを読み出すような構成としてもよい。そして、カメラ制御部21は、読み出された一対の像データに基づいて像ズレ検出演算処理(相関演算処理)を実行し、3つの焦点検出画素列22a〜22cに対応する焦点検出位置における像ズレ量を演算し、さらに像ズレ量をデフォーカス量に変換する。
【0060】
ステップS105では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32を、所定の第1駆動速度で、合焦位置まで駆動させる焦点調節処理が行われる。ここで、第1駆動速度とは、静止画像を撮影する場合など、レンズ情報の要求信号を第1間隔で送信する場合において、フォーカスレンズ32を駆動させる速度のうち最大の速度であり、たとえば、フォーカスレンズ32が駆動可能な速度のうち最大の速度とすることができる。なお、本実施形態においては、シャッターレリーズボタンを半押ししてからフォーカスレンズ32が合焦位置に駆動するまでのレスポンスを考慮して、第1駆動速度を、後述する第2駆動速度(動画像を撮影する際にフォーカスレンズ32を駆動させる速度のうち最大の速度)よりも速い速度とする。
【0061】
具体的には、ステップS105においては、カメラ制御部21により、ステップS104で算出されたデフォーカス量に基づいて、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させるために必要となるレンズ駆動量の算出が行われ、算出されたレンズ駆動量と、所定の第1駆動速度とが、レンズ制御部37を介して、フォーカスレンズ駆動モータ36に送出される。これにより、フォーカスレンズ駆動モータ36により、算出されたレンズ駆動量に基づいて、フォーカスレンズ32が、第1駆動速度で、合焦位置まで駆動される。
【0062】
そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS106に進み、カメラ制御部21により、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたか否か判断される。第2スイッチSW2がオンの場合には、ステップS107に進み、一方、第2スイッチSW2がオンではない場合には、ステップS106で待機する。なお、ステップS106で、第2スイッチSW2がオンではない場合には、ステップS103に戻る構成としてもよい。
【0063】
ステップS107では、静止画像の撮像が行われる。具体的には、静止画像を撮影するための露光動作が撮像素子22により行われ、撮像素子22により撮像された画像データが、カメラ制御部21により読み出される。そして、カメラ制御部21において、読み出された画像データに対して、所定の画像処理が施された後、画像処理された画像データが、メモリ24に記憶される。
【0064】
また、ステップS101で、動画像の撮影が行われていると判断された場合は、ステップS108に進む。ここで、動画像の撮影においては、近年、動画像の高精細化により処理対象となる画像データのデータ量が増加したことに加え、高効率な画像圧縮処理、音声記録の圧縮処理、記録媒体への記憶処理などが連続的に行われるため、静止画像の撮影を行う場合と比べて、カメラ1の処理負荷が増大する傾向にある。そこで、ステップS108においては、カメラ制御部21により、レンズ情報の要求信号の送信を、第1間隔で行えるか否かの判断が行われる。動画像を撮影する際の処理負荷が大きく、レンズ情報の要求信号の送信を第1間隔で行えないと判断された場合には、レンズ情報の要求信号を送信できる送信間隔を算出するためにステップS109に進み、一方、動画像を撮影するための処理負荷が小さく、レンズ情報の要求信号の送信を第1間隔で行えると判断された場合には、ステップS111に進む。
【0065】
ステップS109では、動画像を撮影する際の処理負荷が大きく、レンズ情報の要求信号の送信を第1間隔で行えないと判断されているため、カメラ制御部21により、動画像を撮影する際の処理負荷において、レンズ情報の要求信号を送信することができる間隔である第2間隔を算出する処理が行われる。なお、第2間隔は、カメラ1の処理負荷の小さい静止画像を撮影する場合の第1間隔よりも長い時間間隔として算出される。
【0066】
そして、ステップS110では、カメラ制御部21により、レンズ情報の要求信号の送信が、ステップS109で算出した第2間隔で開始される。これにより、カメラボディ2から、レンズ情報の要求信号が、第2間隔ごとに、レンズ鏡筒3に送信され、カメラボディ2から送信されたレンズ情報の要求信号に応じて、レンズ鏡筒3から、レンズ情報が、カメラボディ2に送信される。その結果、カメラ制御部21は、レンズ情報を、第2間隔で、レンズ鏡筒3から取得することができる。
【0067】
一方、ステップS108において、動画像を撮影する際の処理負荷が小さく、レンズ情報の要求信号の送信が第1間隔で行えると判断された場合には、ステップS111に進む。ステップS111では、ステップS102と同様に、レンズ情報の要求信号の送信が、所定の第1間隔で開始される。
【0068】
ステップS112では、ステップS103と同様に、操作部28に備えられたシャッターレリーズボタンの半押し(第1スイッチSW1のオン)がされたかどうかの判断が行なわれ、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合には、ステップS116に進み、一方、シャッターレリーズボタンが半押しされていない場合は、ステップS113に進む。
【0069】
ステップS113では、ステップS104と同様に、焦点検出演算が行われる。そして、続くステップS114において、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32を、動画像撮影用の速度で、合焦位置まで駆動させる焦点調節処理が行われる。なお、動画像撮影用の速度は、動画像の見栄えを良好なものとし、さらに、フォーカスレンズ32の駆動音を低減するために、静止画像を撮影する際のフォーカスレンズ32の駆動速度よりも遅い速度とされる。
【0070】
そして、ステップS115では、動画像の撮像が行われる。具体的には、撮像素子22により動画像の撮像のための露光動作が行われ、撮像素子22により撮像された画像データが、カメラ制御部21により読み出される。そして、カメラ制御部21により、読み出された画像データが、メモリ24に記憶される。なお、ステップS114の焦点調節処理により、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させている間も、ステップS115の動画像の撮像は、所定のフレームレートで行われる。
【0071】
一方、ステップS112で、シャッターレリーズボタンが半押しされたと判断された場合には、ステップS116に進む。ここで、本実施形態においては、動画像を撮影している際に、シャッターレリーズボタンが半押しされた場合には、静止画像を撮影している際にシャッターレリーズボタンが半押しされた場合と同様に、合焦位置の検出を行い、動画像撮影用の速度よりも速い速度で、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させ、さらに、シャッターレリーズボタンが全押しされた場合には、合焦位置において静止画像を撮影する処理を行う。以下においては、上記の処理を行うステップS116〜S123について説明する。
【0072】
すなわち、まず、ステップS116では、カメラ制御部21により、レンズ情報の要求信号の送信が第2間隔で行われているか否かの判断が行われる。レンズ情報の要求信号の送信が第2間隔で行われている場合には、ステップS117に進み、一方、レンズ情報の要求信号の送信が第1間隔で行われている場合には、ステップS122に進む。
【0073】
ステップS117では、カメラ制御部21により、第2駆動速度の算出が行われる。ここで、第2駆動速度とは、動画像を撮影している場合など、レンズ情報の要求信号を第2間隔で送信する場合において、フォーカスレンズ32を駆動させる速度のうち最大の速度であり、以下に説明するように算出することができる。
【0074】
すなわち、本実施形態においては、フォーカスレンズ32の第2駆動速度V2を、下記式(1)に基づいて算出することができる。
第2駆動速度V2 = V1×(1/N) …(1)
なお、上記式(1)において、V1は、レンズ情報の要求信号を第1間隔で送信する場合のフォーカスレンズ32の最大駆動速度である第1駆動速度であり、Nは、レンズ情報の要求信号を第2間隔で1回送信する間に、レンズ情報の要求信号を第1間隔で送信することができる回数である。
【0075】
たとえば、静止画像の撮影時において、レンズ情報の要求信号が1msecごとに送信され、動画像の撮影時において、レンズ情報の要求信号が3msecごとに送信される場面においては、動画像の撮影時においてレンズ情報の要求信号を第2間隔(3msec間隔)で1回送信する間に、静止画像の撮影においては、レンズ情報の要求信号を第1間隔(1msec間隔)で3回送信することができるため、この場面例において、第2駆動速度V2は、第1駆動速度V1の1/3の速度として算出される。
【0076】
そして、ステップS118では、ステップS104,S113と同様に、焦点検出演算が行われ、続くステップS119では、カメラ制御部21により、フォーカスレンズ32を、ステップS117で算出した第2駆動速度で、合焦位置まで駆動させる焦点調節処理が行われる。そして、フォーカスレンズ32の合焦位置への駆動が完了すると、ステップS120に進み、シャッターレリーズボタンの全押し(第2スイッチSW2のオン)がされたか否か判断される。第2スイッチSW2がオンの場合には、ステップS121に進み、ステップS121において、静止画像の撮像が行われる。一方、ステップS120で、第2スイッチSW2がオンではない場合には、ステップS115に進み、動画像の撮影が行われる。なお、ステップS119の焦点調節処理により、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させている間も、ステップS115の動画像の撮影が、所定のフレームレートで繰り返し行われる。
【0077】
また、ステップS116で、レンズ情報の要求信号の送信が第1間隔で行われていると判断された場合には、ステップS122に進む。ステップS122では、ステップS104と同様に、焦点検出演算が行われ、続くステップS123では、ステップS105と同様に、フォーカスレンズ32を、所定の第1駆動速度で、合焦位置まで駆動させる焦点調節処理が行われる。このように、動画像が撮影されている場合でも、カメラ1の処理負荷が小さく、レンズ情報の要求信号の送信が第1間隔で行われている場合には、第2駆動速度よりも速い第1駆動速度で、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させる。
【0078】
そして、ステップS124では、カメラ制御部21により、動画像の撮影が終了されたか否かの判断が行われる。たとえば、カメラ制御部21は、動画像を撮影している際に、撮影者により操作部28に備えられた動画撮影ボタンが押下された場合には、動画像の撮影が終了されたと判断することができる。動画像の撮影が終了されたと判断された場合には、上述したカメラ1の処理を終了し、一方、動画像の撮影が継続されていると判断された場合には、ステップS112に戻る。
【0079】
以上のように、本実施形態では、静止画像を撮影する際に、レンズ情報の要求信号の送信を第1間隔で行い、一方、動画像を撮影する際には、カメラ1の処理負荷に応じて、レンズ情報の要求信号の送信を、第1間隔よりも時間間隔の長い第2間隔で行う。これにより、本実施形態では、動画像の撮影のために、カメラ1の処理負荷が大きくなってしまう場合でも、レンズ鏡筒3とカメラボディ3との間の通信負荷を減らすことができるため、動画像を撮影する際のカメラ1の処理負荷を軽減することができる。特に、本実施形態では、動画像を撮影する際には、動画像の見栄えを良好なものとし、さらに、フォーカスレンズ32の駆動音を低減するために、フォーカスレンズ32の駆動速度が、静止画像の撮影時におけるフォーカスレンズ32の駆動速度よりも遅い速度に設定されるため、レンズ情報の要求信号の送信を、第1間隔よりも時間間隔の長い第2間隔で行った場合でも、フォーカスレンズ32の駆動速度に対して、レンズ情報を適切な間隔で取得することができ、フォーカスレンズ32の制御を適切に行うことができる。
【0080】
また、本実施形態では、動画像を撮影している際にシャッターレリーズボタンが半押しされた場合において、レンズ情報の要求信号を第2間隔で送信している場合には、このレンズ情報の要求信号の送信間隔に応じて、フォーカスレンズ32を、レンズ情報の要求信号を第1間隔で送信する場合の第1駆動速度よりも遅い第2駆動速度で、合焦位置まで駆動させる。このように、本実施形態では、レンズ情報の要求信号の送信間隔に応じて、フォーカスレンズ32の駆動速度を変えることで、レンズ情報を、フォーカスレンズ32の駆動速度に合わせて適切な間隔で取得することができ、取得したレンズ情報に基づいて、フォーカスレンズ32を適切に制御することができる。一方、たとえば、フォーカスレンズ32の処理負荷が高く、レンズ情報の要求信号を第2間隔で送信している場合において、静止画像を撮影する際の最大駆動速度である第1駆動速度で、フォーカスレンズ32を合焦位置まで駆動させる構成では、フォーカスレンズ32の駆動速度に対して、レンズ情報の取得間隔が長くなり過ぎてしまうため、フォーカスレンズ32の制御を適切に行えない場合があった。たとえば、フォーカスレンズ32の駆動速度に対して、レンズ情報の取得間隔が長くなり過ぎてしまう場合には、合焦位置にフォーカスレンズ32が停止した場合でも、カメラボディ2においては、レンズ情報が取得されるまで、フォーカスレンズ32が駆動していると判断してしまい、その結果、フォーカスレンズ32の合焦精度を低下させてしまう場合があった。これに対して、本実施形態では、フォーカスレンズ32の駆動速度に合わせて、レンズ情報を適切な間隔で取得することができるため、フォーカスレンズ32の合焦精度を向上させることができる。加えて、本実施形態では、レンズ情報の送信間隔に応じて、フォーカスレンズ32の駆動速度を変えることで、フォーカスレンズ32の駆動速度に対して、レンズ情報の要求情報の送信間隔が短くなり過ぎることを有効に防止することができるため、省電力を図ることができる。
【0081】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0082】
たとえば、上述した実施形態では、レンズ情報の要求信号を第1間隔で送信する場合には、フォーカスレンズ32を、第1駆動速度(たとえば、フォーカスレンズ32が駆動可能な速度のうち最大の速度である最大駆動速度)で駆動させる構成を例示しているが、レンズ情報の要求信号を第1間隔で送信する際のフォーカスレンズ32の駆動速度は、第1駆動速度以下の速度であればよく、第1駆動速度に限定されるものではない。同様に、上述した実施形態では、レンズ情報の要求信号を第2間隔で送信する場合には、フォーカスレンズ32を、第2駆動速度(たとえば、第2間隔が第1間隔の3倍長い場合には、第1駆動速度の1/3の速度)で駆動させる構成を例示しているが、レンズ情報の要求信号を第2間隔で送信する場合のフォーカスレンズ32の駆動速度は、第2駆動速度以下の速度であればよく、第2駆動速度に限定されるものではない。
【0083】
さらに、上述した実施形態では、動画像を撮影している際にシャッターレリーズボタンが半押しされた場合であって、レンズ情報の要求信号の送信が第1間隔よりも長い第2間隔で行われている場合には、カメラボディ2のカメラ制御部21において、フォーカスレンズ32の駆動速度を、レンズ情報の要求信号の送信を第1間隔で行う場合よりも遅い第2駆動速度に設定する構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、たとえば、レンズ鏡筒3のレンズ制御部37が、カメラボディ2からのレンズ情報の要求信号の受信間隔が、所定の第1間隔よりも長い第2間隔であるか否かを判定し、レンズ情報の要求信号の受信間隔が第2間隔であると判定した場合に、フォーカスレンズ32の駆動速度を、レンズ情報の要求信号の受信が第1間隔で行われていると判定された場合よりも遅い第2駆動速度に設定する構成としてもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、位相差検出方式により焦点検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、コントラスト検出方式により焦点検出を行う構成としてもよいし、位相差検出方式により焦点検出を行い、位相差検出方式では焦点状態を検出できない場合に、コントラスト検出方式により焦点検出を行う構成としてもよい。あるいは、位相差検出方式により焦点検出を行い、位相差検出方式では焦点状態を検出できない場合に、位相差検出方式による焦点検出と、コントラスト検出方式により焦点検出とを同時に行う構成としてもよい。
【0085】
さらに、上述した実施形態では、静止画像を撮影しており、レンズ情報の要求信号を第1間隔で送信している場合には、フォーカスレンズ32を第1駆動速度で合焦位置まで駆動させているが、たとえば、フォーカスレンズ32を第1駆動速度以下の速度で合焦位置まで駆動させる構成としてもよい。同様に、動画像を撮影しており、レンズ情報の要求信号を第2間隔で送信している場合には、シャッターレリーズボタンの半押しがされた場合に、フォーカスレンズ32を第2駆動速度で合焦位置まで駆動させているが、たとえば、フォーカスレンズ32を第2駆動速度以下の速度で合焦位置まで駆動させる構成としてもよい。
【0086】
上述した実施形態では、撮像素子22が撮像画素221と焦点検出画素222a,222bとを有し、撮像素子22が有する焦点検出画素222a,222bにおいて、位相差検出方式による焦点検出を行う構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、位相差検出方式による焦点検出を行うための焦点検出モジュールを、撮像素子22と独立して設ける構成としてもよい。
【0087】
なお、本実施形態に係るカメラ1は、特に限定されず、例えば、一眼レフデジタルカメラ、デジタルコンパクトカメラ、デジタルビデオカメラ、携帯電話用のカメラなどのその他の光学機器に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…デジタルカメラ
2…カメラボディ
21…カメラ制御部
22…撮像素子
221…撮像画素
222a,222b…焦点検出画素
28…操作部
3…レンズ鏡筒
32…フォーカスレンズ
36…フォーカスレンズ駆動モータ
37…レンズ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9