特許第5948826号(P5948826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5948826
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月6日
(54)【発明の名称】化合物
(51)【国際特許分類】
   C09B 11/28 20060101AFI20160623BHJP
   C09B 67/44 20060101ALI20160623BHJP
   C09D 7/12 20060101ALI20160623BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20160623BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20160623BHJP
   C09D 11/00 20140101ALN20160623BHJP
【FI】
   C09B11/28 CCSP
   C09B67/44 A
   C09D7/12
   G02B5/20 101
   G03F7/20
   !C09D11/00
【請求項の数】11
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2011-264369(P2011-264369)
(22)【出願日】2011年12月2日
(65)【公開番号】特開2013-116955(P2013-116955A)
(43)【公開日】2013年6月13日
【審査請求日】2014年11月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】藤田 拓麻
【審査官】 緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2006/0230545(US,A1)
【文献】 特開2010−032999(JP,A)
【文献】 特開2010−244027(JP,A)
【文献】 米国特許第06399392(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0036725(US,A1)
【文献】 特開2012−233033(JP,A)
【文献】 特開平06−207112(JP,A)
【文献】 特開平09−157562(JP,A)
【文献】 特表昭63−500364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/28
C09B 67/20
C09D 7/12
G02B 5/20
G03F 7/20
C09D 11/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表される化合物。
(式(1)中、
は、水素原子又は−R11を表す。
は、以下の基から選ばれる基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、−SONHR又は−SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい
及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
mは、1〜5の整数を表す。
mが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
n、p、q及びsは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
但し、n+qは5以下であり、p+sは5以下であり、n+pは1以上である。
nが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
pが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
qが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
sが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。)
【請求項2】
式(1−1)で表される化合物。
(式(1−1)中、
は、水素原子又は−R11を表す。
は、以下の基から選ばれる基を表す。
は、−SONHR又は−SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい
及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【請求項3】
が、水素原子である請求項1又は2記載の化合物。
【請求項4】
が、以下の基から選ばれる基である請求項1〜のいずれか記載の化合物。
(式中、*は結合手を表す。)
【請求項5】
が、メチル基である請求項1〜のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
が、メチル基である請求項1〜のいずれか記載の化合物。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか記載の化合物を有効成分とする染料。
【請求項8】
請求項記載の染料を含む着色組成物。
【請求項9】
請求項記載の着色組成物を用いて形成され塗膜。
【請求項10】
請求項記載の着色組成物を用いて形成されカラーフィルタ。
【請求項11】
フォトリソグラフ法によって形成される請求項1記載のカラーフィルタの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色素として有用な化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
色素は、例えば、液晶表示装置、インクジェットなどの分野で反射光又は透過光を利用して色表示するために使用されている。このような色素としては、例えば、下記式で表される化合物が知られている(特許文献1合成例3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−32999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記の化合物は、有機溶媒への溶解性が必ずしも十分に満足できるものではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の[1]〜[12]記載の発明を含む。
[1]式(1)で表される化合物。
(式(1)中、
は、水素原子又は−R11を表す。
は、−SONRを表す。
及びRは、それぞれ独立に、−SONHR又は−SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
mは、1〜5の整数を表す。
mが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
n、p、q及びsは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
但し、n+qは5以下であり、p+sは5以下であり、n+pは1以上である。
nが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
pが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
qが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
sが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0006】
[2]式(1−1)で表される化合物。
(式(1−1)中、
は、水素原子又は−R11を表す。
は、−SONRを表す。
は、−SONHR又は−SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH又はハロゲン原子で置換されていてもよい。)
【0007】
[3]Rが、水素原子である[1]又は[2]記載の化合物。
[4]Rが、以下の基から選ばれる基である[1]〜[3]のいずれか記載の化合物。
(式中、*は結合手を表す。)
[5]Rが、以下の基から選ばれる基である[1]〜[4]のいずれか記載の化合物。
(式中、*は結合手を表す。)
[6]Rが、メチル基である[1]〜[5]のいずれか記載の化合物。
[7]Rが、メチル基である[1]〜[6]のいずれか記載の化合物。
【0008】
[8][1]〜[7]のいずれか記載の化合物を有効成分とする染料。
[9][8]記載の染料を含む着色組成物。
[10][9]記載の着色組成物を用いて形成される塗膜。
[11][9]記載の着色組成物を用いて形成されるカラーフィルタ。
[12]フォトリソグラフ法によって形成される[11]記載のカラーフィルタ。
【発明の効果】
【0009】
本発明の化合物は、有機溶媒への溶解性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の化合物は、式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)ということがある。)である。本発明の化合物には、その互変異性体やそれらの塩も含まれる。
(式(1)中、
は、水素原子又は−R11を表す。
は、−SONRを表す。
及びRは、それぞれ独立に、−SONHR又は−SONR10を表す。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びRは、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
及びR10は、それぞれ独立に、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表すか、互いに結合して、炭素数4〜10の複素環を形成する。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基及び炭素数4〜10の複素環に含まれる水素原子は、それぞれ−OH、−OR11又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
11は、炭素数1〜10の飽和炭化水素基を表す。該炭素数1〜10の飽和炭化水素基に含まれる水素原子は、−OH又はハロゲン原子で置換されていてもよい。
mは、1〜5の整数を表す。
mが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
n、p、q及びsは、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
但し、n+qは5以下であり、p+sは5以下であり、n+pは1以上である。
nが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
pが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
qが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。
sが2以上である場合、複数のRは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0011】
〜R11でそれぞれ表される炭素数1〜10の飽和炭化水素基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、シクロヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、シクロオクチル、ノニル、デカニル、トリシクロデカニル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、ヘキシロキシプロピル、2−エチルヘキシロキシプロピル、メトキシヘキシル、エトキシプロピル等が挙げられる。
【0012】
としては、水素原子が好ましい。
【0013】
としては、例えば、以下に示す基が挙げられる。
【0014】
【0015】
【0016】
としては、以下の基から選ばれる基が好ましい。
(式中、*は結合手を表す。)
【0017】
及びRのうち、−SONHRとしては、例えば、メタンスルファモイル、エタンスルファモイル、プロパンスルファモイル、イソプロパンスルファモイル、ブタンスルファモイル、イソブタンスルファモイル、ペンタンスルファモイル、イソペンタンスルファモイル、ネオペンタンスルファモイル、シクロペンタンスルファモイル、ヘキサンスルファモイル、シクロヘキサンスルファモイル、ヘプタンスルファモイル、シクロヘプタンスルファモイル、オクタンスルファモイル、2−エチルヘキサンスルファモイル、1,5−ジメチルヘキサンスルファモイル、シクロオクタンスルファモイル、ノナンスルファモイル、デカンスルファモイル、トリシクロデカンスルファモイル、メトキシプロパンスルファモイル、エトキシプロパンスルファモイル、プロポキシプロパンスルファモイル、イソプロポキシプロパンスルファモイル、ヘキシロキシプロパンスルファモイル、2−エチルヘキシロキシプロパンスルファモイル、メトキシヘキサンスルファモイル、3−フェニル−1−メチルプロパンスルファモイル等が挙げられる。
【0018】
−SONHRとしては、さらに、以下に示す基も挙げられる。
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】
上記式中、Xは、ハロゲン原子を表す。Xにおけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子及び臭素原子が挙げられる。
【0023】
【0024】
また、R及びRのうち、−SONR10としては、上記Rとして例示した基が挙げられる。
【0025】
及びRとしては、それぞれメチル基が好ましい。
【0026】
mは1〜5の整数であり、1であることが好ましい。
n、p、q及びsは、それぞれ独立に0〜5の整数であり、n及びpは、それぞれ1であることが好ましい。q及びsは、それぞれ2であることが好ましい。
【0027】
化合物(1)としては、式(1−1)で表される化合物(以下、化合物(1−1)ということがある。)が好ましい。
(式(1−1)中、R、R、R、R及びRは、それぞれ上記と同じ意味を表す。)
【0028】
化合物(1)の具体例を以下に示す。


【0029】


【0030】



【0031】



【0032】


【0033】


【0034】
化合物(1)は、例えば、−SOHを有する色素または色素中間体を定法によりクロル化して、得られた−SOClを有する色素または色素中間体をR−NHやR10−NHで表されるアミンと反応させることにより製造することができる。
【0035】
本発明の染料は、本発明の化合物を有効成分とする染料である。
本発明の着色組成物は、着色剤(以下「着色剤(A)」という場合がある)として本発明の染料を含み、さらに樹脂(B)を含むことが好ましい。本発明の着色組成物は、さらに重合性化合物(C)、重合開始剤(D)及び溶剤(E)を含むことがより好ましい。
【0036】
着色剤(A)は、本発明の染料のほかに、さらに顔料及び/又は本発明の染料とは異なる染料を含んでいてもよい。
本発明の染料とは異なる染料としては、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ソルベント(Solvent)、アシッド(Acid)、ベーシック(Basic)、リアクティブ(reactive)、ダイレクト(Direct)、ディスパース(Disperse)又はバット(Vat)に分類されている染料等が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられるが、これらに限定されない。
C.I.ソルベントイエロー25,79,81,82、83,89;
C.I.アシッドイエロー7,23,25,42,65,76;
C.I.リアクティブイエロー2,76,116;
C.I.ダイレクトイエロー4,28,44,86,132;
C.I.ディスパースイエロー54,76;
C.I.ソルベントオレンジ41,54,56,99;
C.I.アシッドオレンジ56,74,95,108,149,162;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.ダイレクトオレンジ26;
C.I.ソルベントレッド24,49,90,91,118,119,122,124,125,127,130,132,160,218;
C.I.アシッドレッド73,91,92,97,138,151,211,274,289;
C.I.アシッドバイオレット102;
C.I.ソルベントグリーン1,5;
C.I.アシッドグリーン3,5,9,25,28;
C.I.ベーシックグリーン1;
C.I.バットグリーン1等。
【0037】
顔料としては、顔料分散レジストに通常用いられる有機顔料又は無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、金属酸化物や金属錯塩のような金属化合物が挙げられ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン等の金属の酸化物又は複合金属酸化物が挙げられる。また有機顔料及び無機顔料として具体的には、カラーインデックス(Colour Index)(The Society of Dyers and Colourists 出版)で、ピグメント(Pigment)に分類されている化合物が挙げられる。より具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の顔料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
C.I.ピグメントイエロー20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173及び180;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65及び71;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、180、192、215、216、224、242、254、255及び264;
C.I.ピグメントバイオレット14、19、23、29、32、33、36、37及び38;
C.I.ピグメントグリーン7、10、15、25、36、47及び58等。
【0039】
着色剤(A)の含有量は、着色組成物中の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%である。ここで、固形分とは、着色組成物中の、溶剤を除く成分の合計をいう。
着色剤(A)中に含まれる本発明の染料の含有量は、好ましくは3〜100質量%である。
本発明の染料とは異なる染料及び顔料は、それぞれ単独でも2種以上を組み合わせて本発明の染料と共に用いてもよい。
【0040】
樹脂(B)としては、特に限定されるものではなく、どのような樹脂を用いてもよい。樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸から導かれる構造単位を含む樹脂であることがより好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を表す。
【0041】
樹脂(B)としては、具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート/N−フェニルマレイミド共重合体、メタクリル酸/スチレン/グリシジルメタクリレート共重合体等が挙げられる。
【0042】
樹脂(B)のポリスチレン換算重量平均分子量は、5,000〜35,000が好ましく、より好ましくは6,000〜30,000である。
樹脂(B)の酸価は、50〜150が好ましく、より好ましくは60〜135である。
樹脂(B)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、好ましくは7〜65質量%であり、より好ましくは13〜60質量%である。
【0043】
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル、酸等によって重合しうる化合物であれば、特に限定されるものではない。例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
【0044】
前記の重合性化合物(C)としては、重合性基を3個以上有する光重合性化合物であることが好ましい。重合性基を3以上有する光重合性化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等が挙げられる。前記の重合性化合物(C)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合性化合物(C)の含有量は、着色組成物の固形分に対して、5〜65質量%であることが好ましく、より好ましくは10〜60質量%である。
【0045】
前記の重合開始剤(D)としては、活性ラジカル発生剤、酸発生剤等が挙げられる。活性ラジカル発生剤は熱又は光の作用によって活性ラジカルを発生する。前記の活性ラジカル発生剤としては、アルキルフェノン化合物、チオキサントン化合物、トリアジン化合物、オキシム化合物等が挙げられる。
前記のアルキルフェノン化合物としては、例えば、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。
【0046】
前記のチオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0047】
前記のトリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0048】
前記のオキシム化合物としては、例えば、O−アシルオキシム化合物が挙げられ、その具体例としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。
【0049】
また、活性ラジカル発生剤としては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等を用いてもよい。
【0050】
前記の酸発生剤としては、例えば、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp−トルエンスルホナート、4−アセトキシフェニル・メチル・ベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp−トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等を挙げることができる。
前記の重合開始剤(D)は、単独でも2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1〜30質量部であり、より好ましくは1〜20質量部である。重合開始剤の含有量が、前記の範囲にあると、高感度化して露光時間が短縮され生産性が向上することから好ましい。
【0052】
溶剤(E)としては、例えば、エーテル溶剤、芳香族炭化水素溶剤、ケトン溶剤、アルコール溶剤、エステル溶剤、アミド溶剤等が挙げられる。
【0053】
前記のエーテル溶剤としては、例えば、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0054】
前記の芳香族炭化水素溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等が挙げられる。
前記のケトン溶剤としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
前記のアルコール溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
【0055】
前記のエステル溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
【0056】
前記のアミド溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。
これらの溶剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
着色組成物における溶剤(E)の含有量は、着色組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜90質量%である。
【0058】
本発明の着色組成物は、必要に応じて、界面活性剤、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の種々の添加剤を含んでもよい。
【0059】
本発明の着色組成物を用いてカラーフィルタのパターンを形成する方法としては、例えば、本発明の着色組成物を、基板又は別の樹脂層(例えば、基板の上に先に形成された別の着色組成物層など)の上に塗布し、溶剤など揮発成分を除去して塗膜を形成し、フォトマスクを介して該塗膜を露光して、現像する方法(即ち、フォトリソグラフ法)や、フォトリソグラフ法が要らないインクジェット機器を用いる方法などが挙げられる。フォトリソグラフ法が好ましい。
【0060】
本発明の化合物は、染料として有用である。モル吸光係数が高く、かつ有機溶媒への高い溶解性を示すことから、特に、液晶表示装置等の表示装置のカラーフィルタに用いられる染料として有用である。
また、本発明の化合物を含む着色組成物は、カラーフィルタをその構成部品の一部として備える表示装置(例えば、公知の液晶表示装置、有機EL装置等)、固体撮像素子等の種々の着色画像に関連する機器に、公知の態様で利用することができる。
【実施例】
【0061】
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、重量%及び重量部である。
【0062】
実施例1
冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、式A0で示される色素(中外化成製)5部、テトラヒドロフラン50部及びN,N−ジメチルホルムアミド2.6部を投入し、攪拌下20℃以下を維持しながら、塩化チオニル8.5部を滴下して加えた。滴下終了後、20℃以下に維持しながら同温度で3時間維持して反応させ、その後も攪拌下20℃以下に維持しながら、ピペリジン4.3部及びN−メチルピロリドン25.0部の混合液を滴下して加えた。その後、同温度で5時間攪拌して反応させた。次いで得られた反応混合物をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、メタノールを少量加えて激しく攪拌した。この混合物を、30%酢酸水溶液75部の中に攪拌しながら加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を濾別し、イオン交換水で洗浄した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、60℃で減圧乾燥して、染料A1 1.3部を得た。
【0063】
染料A1の質量分析を行った。質量分析装置はJMS−700(日本電子株式会社製)を使用した。
質量分析:イオン化モード=FD+:m/z=789
【0064】
染料A1 0.35gを乳酸エチルに溶解して体積を250cmとし、そのうちの2cmをイオン交換水で希釈して体積を100cmとして(濃度:0.028g/L)、分光光度計(石英セル、光路長;1cm)を用いて吸収スペクトルを測定した。この化合物は、λmax=539nmで吸光度3.5(任意単位)を示した。
【0065】
比較例1
特許文献1合成例3記載の方法により、染料B1(染料B1−1〜染料B1−8の混合染料)を得た。高速液体クロマトグラフィーによる分析の結果、主成分はB1−1であった。
【0066】
実施例2
冷却管及び攪拌装置を備えたフラスコに、比較例1で得た染料B1(染料B1−1〜染料B1−8の混合染料)30.0部、クロロホルム600部及びN,N−ジメチルホルムアミド13.3部を投入し、攪拌下20℃以下を維持しながら、塩化チオニル16.3部を滴下して加えた。滴下終了後、50℃に昇温し、同温度で5時間維持して反応させ、その後20℃に冷却した。冷却後の反応溶液を、攪拌下20℃以下に維持しながら、N−メチルエタノールアミン22.0部及びトリエチルアミン29.5部の混合液を滴下して加えた。その後、同温度で5時間攪拌して反応させた。次いで得られた反応混合物をロータリーエバポレーターで溶媒留去した後、メタノールを少量加えて激しく攪拌した。この混合物を、30%酢酸水375部の混合液中に攪拌しながら加えて、結晶を析出させた。析出した結晶を濾別し、イオン交換水でよく洗浄し、60℃で減圧乾燥した。得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、60℃で減圧乾燥して、染料A2 19.5部を得た。
【0067】
実施例1の染料A1と同様にして、染料A2の質量分析及び吸収スペクトルの測定を行った。
質量分析:イオン化モード=FD+:m/z=823
吸収スペクトル:λmax=534nmで吸光度2.8(任意単位)を示した。
【0068】
<溶媒への溶解度の評価>
実施例1、実施例2及び比較例1でそれぞれ得られた染料の溶媒への溶解度を、以下のようにして求めた。
【0069】
50mLサンプル管中、各染料と表1に示す各溶媒とを、それぞれ3%(W/V)、5%(W/V)及び10%(W/V)の混合割合で混合し、密栓後40℃で10分間超音波振とうを与えた。ついで室温で30分間放置後濾過し、不要物の有無を確認した。
3%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物があるものを溶解度3%以下とし(×)、3%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物が無く、5%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物があるものを溶解度3%〜5%未満とし(△)、5%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物が無く、10%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物があるものを溶解度5%〜10%未満とし(○)で、10%(W/V)調整の混合溶液にて不溶物が無いものを溶解度10%以上とした(◎)で表した。結果を表1に示す。
【0070】
【表1】
PGMA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の化合物は、有機溶媒への溶解性に優れる。