(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アキラルな液晶成分Aの中に、一般式(1−A)で表される化合物を50〜100重量%含有し、キラル化合物Kの中に、一般式(K1)〜(K5)で表される化合物の1種類以上を0.1〜30重量%含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
−20℃〜70℃の温度においてキラルネマチック相を示し、この温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、請求項1〜12のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
請求項1〜13のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物を非液晶等方相または光学的に等方性の液晶相で重合させて得られる、光学的に等方性の液晶相で駆動される素子に用いられる高分子/液晶複合材料。
一方または両方の面に電極が配置され、基板間に配置された液晶組成物または高分子/液晶複合材料、および電極を介して液晶組成物または高分子/液晶複合材料に電界を印加する電界印加手段を備えた液晶素子であって、前記高分子/液晶複合材料が請求項14または15のいずれか1項に記載の高分子/液晶複合材料である液晶素子。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
発明の第一の目的は、濃度ムラが改善された高分子/液晶複合材料を得ることができるモノマー/液晶混合物、あるいは濃度ムラが改善された高分子/液晶複合材料を得ることのできる重合温度マージンが広いモノマー/液晶混合物を提供することである。
第二の目的は、前記のモノマー/液晶混合物を重合することによって得られた高分子/液晶複合材料を使用することによって、熱、光などに対して安定性を有し、短い応答時間、大きなコントラスト、低い駆動電圧、および低温を含めた広い温度範囲において均一で濃度ムラのない高分子安定化ブルー相を有する液晶素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、単官能性の一環モノマー、特に芳香環を有する単官能性の一環モノマーを使用したモノマー/液晶混合物、高分子/液晶複合材料、および液晶素子を提供することにより、上記の課題を大幅に改善することができることを見出した。具体的には以下の通りである。
【0009】
本明細書中、「液晶化合物」は、ネマチック相、スメクチック相などの液晶相を有する化合物および液晶相を有しないが液晶組成物の成分として有用な化合物の総称である。液晶化合物、液晶組成物、液晶表示素子をそれぞれ化合物、組成物、素子と略すことがある。
【0010】
本明細書中、「液晶素子」は液晶表示パネルおよび液晶表示モジュールの総称である。ネマチック相の上限温度はネマチック相−等方相の相転移温度であり、そして単に透明点または上限温度と略すことがある。ネマチック相の下限温度を単に下限温度と略すことがある。
【0011】
本明細書中、「モノマー/液晶混合物」は、重合性モノマー及び光学的等方性の液晶組成物からなる混合物である。「高分子/液晶複合材料」は、高分子及び光学的等方性の液晶組成物からなる複合材料である。「単官能性の一環モノマー」とは、重合性官能基を1つ有し、環構造を1つ有する重合性モノマーである。重合性官能基を1つ有する重合性モノマーを「単官能性モノマー」と言うことがある。「多官能性モノマー」は重合性官能基を複数有する重合性モノマーであり、重合性官能基を2つ有する重合性モノマーを「二官能性モノマー」と言うことがある。
【0012】
本明細書中、式(1)で表わされる化合物を化合物(1)と略すことがある。この略記は式(2)などで表される化合物にも適用することがある。化学式において、六角形で囲んだA、Bなどの記号はそれぞれ環構造A、環構造Bなどに対応する。これらは、「環A」、「環B」と略すことがある。「環構造」とは、環状の基を言い、フェニレン環、ナフタレン環、シクロヘキセン環、ビシクロオクタン環またはシクロヘキサン環などを含む。ここで、ナフタレン環のような縮合多環炭化水素やビシクロオクタン環のような橋かけ環炭化水素などの複数の環を含む環構造も、環構造としては1つと数える。
環A
1、Y
1、Bなど複数の同じ記号を同一の式または異なった式に記載したが、これらはそれぞれが同一であってもよいし、または異なってもよい。
【0013】
「任意の」は、位置だけでなく個数についても任意であることを示すが、個数が0である場合を含まない。任意のAがB、CまたはDで置き換えられてもよいという表現は、任意のAがBで置き換えられる場合、任意のAがCで置き換えられる場合および任意のAがDで置き換えられる場合に加えて、複数のAがB〜Dの少なくとも2つで置き換えられる場合をも含むことを意味する。例えば、任意の−CH
2−が−O−または−CH=CH−で置き換えられてもよいアルキルには、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルコキシアルケニル、アルケニルオキシアルキルなどが含まれる。なお、本発明においては、連続する2つの−CH
2−が−O−で置き換えられて、−O−O−のようになることは好ましくない。そして、アルキルにおける末端の−CH
2−が−O−で置き換えられることも好ましくない。
【0014】
また、本明細書中、特に言及しない限り、「%」は「重量%」を意味する。
【0015】
本件発明は以下の構成を含む。
[1]アキラルな液晶成分A及びキラル化合物Kを含有する光学的等方性の液晶組成物に、一般式(1)で表される重合性モノマーをさらに1種類以上混合させることによって得られるモノマー/液晶混合物。
式(1)中、
R
aは水素、ハロゲン、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
R
bは単結合、または直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい、このアルキレン中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;環A
1は1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−シクロヘキセニレン、または1,4−ビシクロ[2,2,2]オクチレンであり、これらの環中の任意の水素は炭素数1〜5のアルキル基、またはハロゲンで置き換えられてもよく、環中の任意の−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、環中の任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
X
1は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−または単結合であり;
P
1は、下記の式(M3−1)〜(M3−7)のいずれかを表す。
(式中、R
dは、それぞれ独立して水素、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルであり、これらのアルキルにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。)
【0016】
[2]重合性モノマーが一般式(2)で表される請求項1に記載のモノマー/液晶混合物。
式(2)中、
R
aは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル、炭素数2〜30のアルケニル、または炭素数1〜30のアルコキシであり、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
R
bは単結合、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH
2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい、このアルキレン中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
X
1は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−または単結合であり;
Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4はそれぞれ独立に水素、フッ素、塩素、またはメチル基であり;
R
dは水素またはメチルであり、P
1は式(M3−3)または(M3−7)を表す。
【0017】
[3]重合性モノマーが一般式(2−1)〜(2−3)のいずれかで表される[2]に記載のモノマー/液晶混合物。
式(2−1)〜(2−3)中、
R
aは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル、または直鎖状または分岐状の炭素数2〜30のアルケニルであり;
R
bは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレンであり;
Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4はそれぞれ独立に水素、フッ素、またはメチル基であり;
R
dは水素またはメチルである。
【0018】
[4]式(2−1)においてR
aが直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、R
bが直鎖状の炭素数1〜30のアルキレンであり、R
dが水素である重合性モノマーを含有する[3]に記載のモノマー/液晶混合物。
【0019】
[5]式(2−1)においてR
aが直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、R
bが直鎖状の炭素数1〜30のアルキレンであり、R
dがメチルである重合性モノマーを含有する[3]に記載のモノマー/液晶混合物。
【0020】
[6]式(2−2)においてR
aが直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、R
bが直鎖状の炭素数1〜30のアルキレンであり、R
dが水素である重合性モノマーを含有する[3]に記載のモノマー/液晶混合物。
【0021】
[7]式(2−2)においてR
aが直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、R
bが直鎖状の炭素数1〜30のアルキレンであり、R
dがメチルである重合性モノマーを1種類以上含有する[3]に記載のモノマー/液晶混合物。
【0022】
[8]式(2−3)においてR
aが直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、R
bが直鎖状の炭素数1〜30のアルキレンであり、R
dが水素である重合性モノマーを含有する[3]に記載のモノマー/液晶混合物。
【0023】
[9]式(2−3)においてR
aが直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、R
bが直鎖状の炭素数1〜30のアルキレンであり、R
dがメチルである重合性モノマーを含有する[3]に記載のモノマー/液晶混合物。
【0024】
[10]アキラルな液晶成分A中に、一般式(1−A)で表される化合物を含有する[1]〜[9]のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
(一般式(1−A)において、R
11は水素、炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−C≡C−で置き換えられてもよいが、2つの連続する−CH
2−が−O−で置き換えられることはなく、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく; 環A
11、環A
12、環A
13および環A
14は独立して、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2、5―ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−1,4−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、または2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン−1,4−ジイルであり、これらの環中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく; Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14は独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、このアルキレン中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;L
11およびL
12はそれぞれ独立して水素またはハロゲンであり;X
11はハロゲン、−C≡N、−N=C=S、−C≡C−C≡N、−SF
5、−CHF
2、−CF
3、−CF
2CH
2F、−CF
2CHF
2、−CF
2CF
3、−(CF
2)
3−F、−CF
2CHFCF
3、−CHFCF
2CF
3、−(CF
2)
4−F、−(CF
2)
5−F、−OCHF
2、−OCF
3、−OCF
2CH
2F、−OCF
2CHF
2、−OCH
2CF
3、−OCF
2CF
3、−O−(CF
2)
3−F、−OCF
2CHFCF
3、−OCHFCF
2CF
3、−O−(CF
2)
4−F、−O−(CF
2)
5−F、−CH=CF
2、−CH=CHCF
3、または−CH=CHCF
2CF
3; lおよびmは独立して、0または1である。)
【0025】
[11]アキラルな液晶成分A中に、下記式(1−Aa)〜(1−Aj)のいずれかで表される化合物が1種類以上含有することを特徴とする[1]〜[9]のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
(式(1−Aa)〜(1−Aj)中、R
11は炭素数2〜8のアルキルであり、X
11はフッ素、塩素、−C≡N、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
3、−OCHF
2、−OCH
2Fまたは−C=C−CF
3であり、(F)は水素またはフッ素を示す。)
【0026】
[12]液晶成分Aの中に一般式(1−A)で表される化合物が1種類以上含有しており、かつキラル成分Kに一般式(K1)〜(K5)で表される化合物が1種類以上含有している[1]〜[9]のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
(式(K1)〜(K5)中、R
Kは独立して、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=Sまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよい、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく; A
Kは独立して、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、
または、炭素数9〜20の縮合環であり、これらの環中の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、環の−CH
2−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
Y
Kは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性の6〜8員環、非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9〜20の縮合環であり、これらの環の任意の水素がハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、−CH
2−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;Z
Kは独立して単結合、または炭素数1〜8のアルキレンであるが、任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;X
Kは単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、または−CH
2CH
2−であり;mKは1〜4の整数である。)
【0027】
[13]アキラルな液晶成分Aの中に、一般式(1−A)で表される化合物の含有量が50〜100重量%であり、キラル成分Kの中に、一般式(K1)〜(K5)で表される化合物の1種類以上が0.1〜30重量%である[1]〜[9]のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
【0028】
[14]一般式(M2)で表される二官能性モノマーをさらに1種類以上含有した、[1]〜[12]のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
R
C−Y
M−(A
M−Z
M)
m1−A
M−Y
M−R
C (M2)
式(M2)中、R
Cは、それぞれ独立して、基(M3−1)〜基(M3−7)の重合性基であり;A
Mは、それぞれ独立して芳香族性または非芳香族性の5員環、6員環または炭素数9〜20の縮合環であるが、環中の−CH
2−は−O−、−NH−、または−NCH
3−で、環中の−CH=は−N=で置き換わってもよく、環中の水素原子はハロゲン、および炭素数1〜5のアルキル、またはハロゲン化アルキルで置き換わってもよく;Y
Mは、それぞれ独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、これらのアルキレンにおいて任意の−CH
2−は−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよく; Z
Mは、それぞれ独立して単結合、−(CH
2)
m3−、−O(CH
2)
m3−、−(CH
2)
m3O−、−O(CH
2)
m3O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF
2)
2−、−(CH
2)
2−COO−、−OCO−(CH
2)
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−OCF
2−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−CF
2O−、−OCF
2−または−CF
2O−(前記式中、m3は1〜20の整数である)であり;m1は1〜6の整数であり、
ここで、基(M3−1)〜基(M3−7)におけるR
dは、それぞれ独立して水素、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルであり、これらのアルキルにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0029】
[15]一般式(M2−15)で表される二官能性モノマーをさらに1種類以上含有した、[1]〜[12]のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
式中、R
Cは1〜30のアクリレート基、もしくはメタクリレート基であり; Y
Mはそれぞれ独立して単結合、または炭素数1〜20のアルキレンであり; Z
Mはそれぞれ独立して単結合、−(CH
2)
m3−、−O(CH
2)
m3−、−(CH
2)
m3O−、−O(CH
2)
m3O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF
2)
2−、−(CH
2)
2−COO−、−OCO−(CH
2)
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−OCF
2−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−CF
2O−、−OCF
2−または−CF
2O−(前記式中、m
3は1〜20の整数である)であり; また1,4−フェニレンと(F)を直線で結んだ表記は、1つまたは2つの水素がフッ素で置き換えられていてもよい1,4−フェニレンを表し、また1,4−フェニレンと(F,Me)を直線で結んだ表記は、1つまたは2つの水素がフッ素またはメチルで置き換えられていてもよい1,4−フェニレンを表す。
【0030】
[16]−20℃〜70℃の温度においてキラルネマチック相を示し、この温度範囲の少なくとも一部において螺旋ピッチが700nm以下である、[1]〜[15]のいずれか1項に記載のモノマー/液晶混合物。
【0031】
[17][1]〜[16]に記載のモノマー/液晶混合物を重合して得られる、光学的に等方性の液晶相で駆動される素子に用いられる高分子/液晶複合材料。
【0032】
[18][1]〜[16]に記載のモノマー/液晶混合物を非液晶等方相または光学的に等方性の液晶相で重合させて得られる、光学的に等方性の液晶相で駆動される素子に用いられる高分子/液晶複合材料。
【0033】
[19]一方または両方の面に電極が配置され、基板間に配置された液晶組成物または高分子/液晶複合材料、および電極を介して液晶組成物または高分子/液晶複合材料に電界を印加する電界印加手段を備えた液晶素子であって、前記高分子/液晶複合材料が[17]または[18]である液晶素子。
【発明の効果】
【0034】
本発明の光学的等方性のモノマー/液晶組成物は、比較的広い温度範囲でブルー相を発現し、良好な相溶性を示す。
この光学的等方性のモノマー/液晶組成物をブルー相、または等方相で重合して得られた高分子/液晶複合材料は、広い温度範囲において均一で濃度ムラのない光学的に等方性の液晶相(ブルー相を含む)を発現し、比較的低い駆動電圧を示し、応答速度が速い。本発明の好ましい態様に係る光学的等方性の液晶組成物および高分子/液晶複合材料は、広い温度範囲に使用できる。
そして、本発明の好ましい態様に係るモノマー/液晶混合物および高分子/液晶複合材料は、これらの効果に基づいて表示素子等の液晶素子等に好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0036】
1 光学的等方性の液晶組成物
本発明に使用される光学的等方性の液晶組成物は、アキラルな液晶成分とキラル化合物を含有する。ここでキラル化合物の掌性は問わない。
本発明に使用される液晶組成物に含まれる化合物は、一般的に、公知の方法、例えば必要な成分を高温度下で反応させる方法などにより合成される。
また、本発明に使用される液晶組成物を構成する化合物の各元素は、同位体元素からなる類縁体でも、その物理特性に大きな差異がない限り使用できる。
【0037】
1.1 光学的等方性の液晶相
本発明に使用される液晶組成物は光学的等方性の液晶相を有する。ここで、液晶組成物が光学的等方性を有するとは、巨視的には液晶分子配列は等方的であるため光学的に等方性を示すが、微視的には液晶秩序が存在することをいう。
そして、本明細書において「光学的に等方性の液晶相」とは、ゆらぎではなく光学的等方性の液晶相を発現する相を表し、たとえばプレートレット組織を発現する相(狭義のブルー相)はその一例である。
【0038】
一般的に、ブルー相は3種類に分類され(ブルー相I、ブルー相II、ブルー相III)、これら3種類のブルー相はすべて光学活性であり、かつ、等方性である。ブルー相Iやブルー相IIのブルー相では異なる格子面からのブラッグ反射に起因する2種以上の回折光が観測される。
【0039】
本発明に使用される光学的等方性の液晶組成物において、光学的等方性の液晶相を発現させるためには、微視的に有する液晶秩序に基づく螺旋ピッチ(以下、単に「ピッチ」ということがある)は1000nm以下であることが好ましい。
【0040】
光学的等方性の液晶相における電気複屈折はピッチが長くなるほど大きくなるので、所望の光学特性(透過率、回折波長など)が満たされる限り、キラル化合物の種類と含有量を調整して、ピッチを長く設定することにより、電気複屈折を大きくすることができる。
【0041】
また、本明細書において、「非液晶等方相」とは一般的に定義される等方相、すなわち、無秩序相であり、局所的な秩序パラメーターがゼロでない領域が生成したとしても、その原因がゆらぎによるものである等方相である。たとえばネマチック相の高温側に発現する等方相は、本明細書では非液晶等方相に該当する。本明細書におけるキラルな液晶についても、同様の定義があてはまるものとする。
【0042】
なお、光学的に等方性の液晶組成物の温度範囲は、ネマチック相またはキラルネマチック相と等方相の共存温度範囲が広い液晶組成物にキラル化合物を添加し、光学的に等方性の液晶相を発現させることにより、広くすることができる。例えば、透明点の高い液晶化合物と透明点の低い液晶化合物とを混合し、広い温度範囲でネマチック相と等方相の共存温度範囲が広い液晶組成物を調製し、これにキラル化合物を添加することで、広い温度範囲で光学的に等方性の液晶相を発現する組成物を調製することができる。
【0043】
ネマチック相またはキラルネマチック相と等方相の共存温度範囲が広い液晶組成物としては、キラルネマチック相と非液晶等方相とが共存する上限温度と下限温度との差が3〜150℃である液晶組成物が好ましく、差が5〜150℃である液晶組成物が更に好ましい。また、ネマチック相と非液晶等方相とが共存する上限温度と下限温度との差が3〜150℃である液晶組成物が好ましい。
【0044】
光学的に等方性の液晶相において本発明に使用される液晶媒体に電界を印加すると、電気複屈折が生じるが、必ずしもカー効果である必要はない。
光学的に等方性の液晶相における電気複屈折はピッチが長くなるほど大きくなるので、その他の光学特性(透過率、回折波長など)の要求を満たす限り、キラル剤の種類と含有量を調整して、ピッチを長く設定することにより、電気複屈折を大きくすることができる。
【0045】
1.2 液晶成分A
本発明に使用される光学的等方性の液晶組成物は、式(1−A)で表される化合物を1種類以上含有するアキラル液晶成分Aを必須成分とする。
【0046】
上記式(1−A)において、R
11は水素、炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−または−C≡C−で置き換えられてもよいが、2つの連続する−CH
2−が−O−で置き換えられることはなく、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0047】
このようなR
11において、炭素数1〜10、および炭素数2〜10のアルケニルが好ましい。より好ましくは炭素数2〜8のアルキルおよびアルケニルが好ましい。アルケニルにおける−CH=CH−の好ましい立体配置は、二重結合の位置に依存する。−CH=CHCH
3、−CH=CHC
2H
5、−CH=CHC
3H
7、−CH=CHC
4H
9、−C
2H
4CH=CHCH
3、および−C
2H
4CH=CHC
2H
5のような奇数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはトランス配置が好ましい。−CH
2CH=CHCH
3、−CH
2CH=CHC
2H
5、および−CH
2CH=CHC
3H
7のような偶数位に二重結合をもつアルケニルにおいてはシス配置が好ましい。好ましい立体配置を有するアルケニル化合物は、高い上限温度または液晶相の広い温度範囲を有する。Mol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 109およびMol. Cryst. Liq. Cryst., 1985, 131, 327に詳細な説明がある。
【0048】
上記式(1−A)において、環A
11、環A
12、環A
13および環A
14は独立して、1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル,テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−3,6−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−1,4−ジイル、1,4−シクロヘキシレン、または2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン−1,4−ジイルであり、これらの環中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0049】
環A
11、環A
12、環A
13および環A
14は、それぞれ独立して、フッ素で置換されても良い1,4−フェニレン、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン−1,4−ジイルであることが好ましい。
【0050】
上記式(1−A)において、Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14は独立して、単結合、炭素数1〜4のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、このアルキレン中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。
【0051】
Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14は、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−CF
2O−、−CH
2O−または−OCH
2−が好ましく、これらの中でも、単結合、−COO−または−CF
2O−が好ましい。
また、これらの結合において、−CH=CH−、−CF=CF−、−CH=CH−(CH
2)
2−、および−(CH
2)
2−CH=CH−等のような二重結合を有する結合基では、その立体配置はシスよりもトランスが好ましい。
【0052】
上記式(1−A)において、L
11およびL
12はそれぞれ独立して、水素またはハロゲンである。これらの中でも、L
11およびL
12はそれぞれ独立して、水素またはフッ素であることが好ましい。
【0053】
上記式(1−A)において、X
11はハロゲン、−C≡N、−N=C=S、−C≡C−C≡N、−SF
5、−CHF
2、−CF
3、−CF
2CH
2F、−CF
2CHF
2、−CF
2CF
3、−(CF
2)
3−F、−CF
2CHFCF
3、−CHFCF
2CF
3、−(CF
2)
4−F、−(CF
2)
5−F、−OCHF
2、−OCF
3、−OCF
2CH
2F、−OCF
2CHF
2、−OCH
2CF
3、−OCF
2CF
3、−O−(CF
2)
3−F、−OCF
2CHFCF
3、−OCHFCF
2CF
3、−O−(CF
2)
4−F、−O−(CF
2)
5−F、−CH=CF
2、−CH=CHCF
3、または−CH=CHCF
2CF
3である。
【0054】
好ましいX
11の例は、フッ素、塩素、−C≡N、−N=C=S、−CF
3、−CHF
2、−OCF
3および−OCHF
2である。より好ましいX
11の例は、フッ素、塩素、−C≡N、−N=C=S、−CF
3および−OCF
3である。
【0055】
式(1−A)においてlおよびmは独立して0または1である。
【0056】
上記式(1−A)で表される化合物として、特に好ましいのは、下記式(1−Aa)〜(1−Aj)で表される化合物である。
(式(1−Aa)〜(1−Aj)中、R
11は炭素数2〜8のアルキルであり、X
11はフッ素、塩素、−C≡N、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
3、−OCHF
2、−OCH
2Fまたは−C=C−CF
3であり、(F)は水素またはフッ素を示す。)
化合物(1−A)におけるlおよびmの組み合わせ、環A
11〜A
14の種類、末端基R
2、末端のフェニレン環上の基およびその置換位置(L
1、L
2およびX
1)、結合基Z
11〜Z
14等を適切に選択することによって、液晶成分Aの透明点、屈折率異方性、誘電率異方性等の物性を調整することが可能である。
lおよびmの組み合わせ、環A
11〜A
14、末端基R
11、末端基X
11、結合基Z
11〜Z
14、L
11およびL
12の種類等と、化合物(1−A)の物性との一般的な関係を以下に説明する。
【0057】
一般的に、l+mが大きいほど、化合物(1−A)の透明点が高く、l+mが小さいほど化合物(1−A)の融点が低い。
【0058】
一般的に、環A
11〜A
14に芳香族環が多く含まれるほど、化合物(1−A)の屈折率異方性が大きくなる。任意の水素がハロゲンにより置き換えられた1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、テトラヒドロピラン−2,5−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、または2,6,7−トリオキサビシクロ[2,2,2]オクタン−1,4−ジイルは大きな誘電率異方性発現に効果があり、1,4−シクロヘキシレン、およびテトラヒドロピラン−2,5−ジイルは、化合物(1−A)の良好な相溶性発現に寄与する。
【0059】
一般的に、R
11がそれぞれ直鎖であるときは、化合物(1−A)の液晶相の温度範囲が広くそして粘度が小さくなる。他方、R
11が分岐鎖であるときは、化合物(1−A)は他の液晶化合物との相溶性が向上する。
【0060】
一般的に、結合基Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14がそれぞれ単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF=CF−、−(CH
2)
3−O−、−O−(CH
2)
3−、−(CH
2)
2−CF
2O−、−OCF
2−(CH
2)
2−または−(CH
2)
4−であるとき、化合物(1−A)の粘度が小さい。また、一般的に、結合基Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14がそれぞれ単結合、−(CH
2)
2−、−CF
2O−、−OCF
2−または−CH=CH−であるとき、化合物(1−A)の粘度がさらに小さくなる。一般的に、結合基Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14がそれぞれ−C≡C−のとき、化合物(1−A)の屈折率異方性が大きい。一般的に、結合基Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14が−COO−、−CF
2O−であるとき、化合物(1−A)の誘電率異方性が大きい。一般的に、結合基Z
11、Z
12、Z
13およびZ
14が単結合、−(CH
2)
2−、−CH
2O−、−CF
2O−、−OCF
2−または−(CH
2)
4−であるとき、化合物(1―A)は、比較的、化学的に安定であって、劣化が生じにくい。
一般的に、屈折率異方性または誘電率異方性が大きい場合、本発明の液晶素子が低電圧になる傾向があり、粘度が低いと応答速度が速くなる。
【0061】
一般的に、X
11がフッ素、塩素、−C≡N、−N=C=S、−SF
5、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
3、−OCHF
2または−OCH
2Fであるとき、化合物(1−A)の誘電率異方性が大きい。また、一般的に、X
11が−C≡N、または−N=C=Sであるとき、化合物(1−A)の光学異方性が大きい。X
11がフッ素、−OCF
3またはアルキルであるときは、化学的に安定である。
【0062】
一般的に、L
11およびL
12が共にフッ素であり、X
11がフッ素、塩素、−C≡N、−N=C=S、−SF
5、−CF
3、−CHF
2、−CH
2F、−OCF
3、−OCHF
2または−OCH
2Fであるとき、化合物(1−A)の誘電率異方性が大きい。また、一般的に、L
11がフッ素でありX
11が−CF
3または−OCF
3であるとき、L
11およびL
12がともにフッ素でありX
11が−CF
3または−OCF
3であるとき、もしくはL
11、L
12およびX
11が全てフッ素であるとき、化合物(1−A)の誘電率異方性値が大きく、液晶相の温度範囲が広く、さらに、化学的に安定であり劣化を起こしにくい。
【0063】
1.3 キラル化合物
光学的等方性の液晶組成物に含有するキラル化合物としては、ねじり力(Helical Twisting Power)が大きい化合物が好ましい。ねじり力が大きい化合物は所望のピッチを得るために必要な添加量が少なくできるので、駆動電圧の上昇を抑えられ、実用上有利である。具体的には、下記式(K1)〜(K5)で表される化合物が好ましい。
式(K1)〜(K5)中、R
Kは独立して、水素、ハロゲン、−C≡N、−N=C=O、−N=C=Sまたは炭素数1〜20のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよいが、2つの連続する−CH
2−が−O−で置き換えられることはなく、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;A
Kは独立して、芳香族性あるいは非芳香族性の3〜8員環、または、炭素数9〜20の縮合環であり、これらの環中の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、−CH
2−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく;Y
Kは独立して、水素、ハロゲン、炭素数1〜3のアルキル、炭素数1〜3のハロアルキル、芳香族性または非芳香族性の3から8員環、または、炭素数9〜20の縮合環であり、これらの環中の任意の水素はハロゲン、炭素数1〜3のアルキルまたはハロアルキルで置き換えられてもよく、−CH
2−は−O−、−S−または−NH−で置き換えられてもよく、−CH=は−N=で置き換えられてもよく; Z
Kは独立して単結合、または炭素数1〜8のアルキレンであるが、任意の−CH
2−は、−O−、−S−、−COO−、−OCO−、−CSO−、−OCS−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−CH=CH−、−CF=CF−または−C≡C−で置き換えられてもよく、任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく; X
Kは単結合、−COO−、−OCO−、−CH
2O−、−OCH
2−、−CF
2O−、−OCF
2−、または−CH
2CH
2−であり; mKは1〜4である。
これらの中でも、液晶組成物に添加されるキラル化合物としては、式(K2)に含まれる式(K2−1)〜式(K2−8)、式(K4)に含まれる式(K4−1)〜式(K4−6)および、式(K5)に含まれる式(K5−1)〜式(K5−3)が好ましい。
【0064】
(式中、R
Kは独立して、炭素数3〜10のアルキルであり、このアルキル中の環に隣接する−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH
2−は、−CH=CH−で置き換えられてもよい。)。
一般的に、本発明に使用される光学的等方性の液晶組成物におけるキラル化合物の含有量は、1〜20重量%が好ましく、1〜10重量%が特に好ましい。これらの範囲でキラル化合物を含有する液晶組成物は、光学的に等方性の液晶相を有するようになりやすくなる。
【0065】
また、液晶表示素子に用いる場合は、キラル化合物の濃度を調製して、可視域に回折や反射が実質的に認められないことが好ましい。
なお、液晶組成物に含有されるキラル化合物は1種でも2種以上でもよい。
【0066】
1.4 その他成分
本発明に使用される光学的に等方性の液晶組成物は、その組成物の特性に影響を与えない範囲で、さらに高分子物質等の他の化合物が添加されてもよい。本発明に使用される液晶組成物は、高分子物質の他にも、たとえば二色性色素、フォトクロミック化合物を含有していてもよい。二色性色素の例としては、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系、テトラジン系などが挙げられる。
【0067】
2.モノマー/液晶混合物、および高分子/液晶複合材料
本発明のモノマー/液晶混合物は、アキラルな液晶成分Aとキラル化合物Kからなる光学的等方性の液晶組成物と、一般式(1)で表される重合性モノマーとを含む混合物である。また、本発明の光学的等方性の高分子/液晶複合材料は、光学的等方性の液晶相で駆動される光素子に用いることのできる材料を示し、例えば本発明の光学的等方性のモノマー/液晶混合物を重合反応させることによって作製できる。
モノマー/液晶混合物において、モノマーの含有率が小さいことが好ましい。モノマー量の増加は、液晶素子において液晶相を示す温度範囲の減少、もしくは駆動電圧の上昇などを招く可能性がある。
【0068】
2.2 重合性モノマー
本発明に使用される重合性モノマーは、複合材料を構成する高分子の原料であり、本発明で用いる一般式(1)または(2)で表される重合性モノマーは、単官能性の一つの環構造を有する重合性モノマーであり、特に環構造が芳香環である重合性モノマーは、環構造をもたないモノマーと比較して高い相溶性をもつ。本発明に使用される一般式(1)または(2)で表される重合性モノマーを含有するモノマー/液晶混合物は、従来よりも少ないモノマー添加量で、比較的広い温度範囲で均一なブルー相を発現する。
【0069】
2.2.1 単官能性モノマー
本発明に用いる重合性モノマーとして、メソゲン部位をもたない単官能性の一環モノマーである一般式(1)で表される化合物を挙げることができる。
式(1)中、
R
aは水素、ハロゲン、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキルであり、このアルキル中の任意の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよいが、2つの連続する−CH
2−が−O−で置き換えられることはなく、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい;
R
bは単結合、または直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレンであり、このアルキル中の任意の−CH
2−は、−O−、−COO−、−OCO−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよいが、2つの連続する−CH
2−が−O−で置き換えられることはなく、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
環A
1は1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−ビシクロ[2,2,2]オクチレンであり、これらの環中の任意の水素がメチル基またはハロゲンで置き換えられてもよく、環中の任意の−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、環中の任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく;
X
1は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−、または単結合であり;
P
1は、下記の式(M3−1)〜(M3−7)のいずれかを表す。
【0070】
一般式(1)で表される単官能性モノマーとして好ましいものとして、一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
式(2)中、
R
aは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル、炭素数2〜30のアルケニル、または炭素数1〜30のアルコキシであり、このアルキル中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
R
bは単結合、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレンであり、このアルキレン中の任意の−CH
2−は、−O−、−CH=CH−または−C≡C−で置き換えられてもよい、このアルキレン中の任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよく;
X
1は、−O−、−CO−、−COO−、−OCO−、−CF
2O−、−OCF
2−または単結合であり;
Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4はそれぞれ独立に水素、フッ素、塩素、またはメチル基であり;
R
dは水素またはメチルであり、P
1は式(M3−3)または(M3−7)を表す。
これらの単官能性モノマーの好ましい例として、式(2−1)〜(2−3)で表される化合物が挙げられる。
式(2−1)〜(2−3)中、R
aは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル、または炭素数2〜30のアルケニルである。
R
aは直鎖状のアルキルであるとき、化合物の粘性が低い。R
aは分岐状のアルキルであるとき、化合物の特徴は分岐位置に依存するが、2位、3位で分岐した融点が低い。R
aはアルケニルであるとき、化合物の融点が低く相溶性が良い。
好ましいR
aは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル、炭素数2〜20のアルケニルである。
R
bは直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレンである。
R
bは直鎖状のアルキレンであるとき、化合物の粘性が低い。R
bは分岐状のアルキレンであるとき、化合物の特徴は分岐位置に依存するが、2位、3位で分岐した化合物は融点が低い。好ましいR
bは、直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキルである。
Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4はそれぞれ独立に水素、フッ素、塩素、またはメチル基である。
Q
1、Q
2、Q
3、およびQ
4は、水素、フッ素またはメチル基であるとき化学的に安定であり、特に好ましい。
R
dは水素またはメチルである。
【0071】
以下に式(1)で表される化合物の好ましい例として、化合物(2−1−1)〜(2−1−38)、(2−2−1)〜(2−2−14)、(2−3−1)〜(2−3−16)、および(2−4−1)〜(2−4−22)を示す。
式(1)で表される化合物を合成する方法は複数あり、市販の試薬から適宜、本明細書実施例や文献、書籍を参考にして合成することが可能である。下記にその一例として反応スキーム(スキーム1〜3)を示す。化合物(1)の合成方法は、ここで示す合成例に限定するものではない。
【0072】
<スキーム1>化合物(2−1)の調製
【0073】
フェノール誘導体とハロゲンの誘導体に塩基を用いてエーテル化を行い、得られた化合物に適切なカルボン酸クロライドを作用させて目的物を得る。
式中、R
aは式(2−1)で与えられる意味を有し、nは1〜30である。
【0074】
<スキーム2>化合物(2−2)の調製
ベンズアルデヒドの誘導体に対応するwittig試薬を作用させて得られた化合物に、パラジウムなどの触媒を用いて水素還元する。次いで、保護基を脱保護反応させて得られたアルデヒドの誘導体を、LAHなどの還元剤を作用させてアルコール誘導体を得る。最後にこのアルコール誘導体と適切なカルボン酸クロライドと反応させて目的物を得ることができる。
式中、R
aは式(2−2)で与えられる意味を有し、nは1〜30である。
【0075】
<スキーム3>化合物(2−3)の調製
カルボン酸誘導体とハロゲン誘導体をエステル化して得られた化合物に、適切なカルボン酸と塩基を用いて反応させることにより目的物を得る。
式中、R
aは式(2−3)で与えられる意味を有し、nは1〜30である。
【0076】
上記モノマーについて、式(2−1)で表される化合物の好適例として式(2−1−1)〜(2−1−10)、式(2−2)で表される化合物の好適例として式(2−2−1)〜(2−2−10)、式(2−3)で表される化合物の好適例として式(2−3−1)〜(2−3−10)をそれぞれ挙げることができる。
【0077】
本件発明では、一般式(1)または(2)で表される重合性モノマーに加えて、これ以外の重合性モノマーも用いることができる。一般式(1)または(2)で表される重合性モノマー以外の重合性モノマーとしては、例えば低分子量のモノマー、マクロモノマー、オリゴマーを使用することができる。本明細書において高分子の原料モノマーとは低分子量のモノマー、マクロモノマー、オリゴマー等を包含する意味で用いる。
重合性モノマーは、2つ以上の重合性官能基を有する多官能性モノマーと、1つの重合性官能基を有する単官能性モノマーを併用することが好ましい。多官能性モノマーは、高分子にした際に三次元架橋構造を作りやすい。一方で、単官能性モノマーは液晶組成物との相溶性が良い。
ここで、単官能性モノマーは単官能性の一環モノマーを単独で使用することに限定することを意味しない。重合して得られる高分子/液晶複合材料の特性を改善する必要に応じて、アルキルアクリレートやアルキルメタクリレートなどの環構造をもたないモノマーと併用することも好ましい。
重合性の官能基は特に限定されないが、アクリル基、メタクリル基、グリシジル基、エポキシ基、オキセタニル基、ビニル基などを上げることができるが、重合速度の観点からアクリル基およびメタクリル基が好ましい。高分子の原料モノマー中、二つ以上の重合性のある官能基を持つモノマーをモノマー中に10重量%以上含有させると、本発明の複合材料において高度な透明性と等方性を発現しやすくなるので好ましい。
また、好適な複合材料を得るためには、高分子は結合基や環構造を組み合わせたメソゲン部位を有するものを添加することも好ましく、高分子の原料モノマーとしてメソゲン部位を有する原料モノマーをその一部に用いることができる。
【0078】
2.2.2 二官能性モノマー
一般式(1)または(2)で表される重合性モノマー以外の重合性モノマーにおいて、多官能性モノマーのうち、二官能性モノマーは下記の式(M2)で表される化合物を挙げることができる。
【0079】
R
C−Y
M−(A
M−Z
M)
m1−A
M−Y
M−R
C (M2)
【0080】
式(M2)中、R
Cは、それぞれ独立して、基(M3−1)〜基(M3−7)の重合性基である。
【0081】
式(M2)中、R
Cは、それぞれ独立して、基(M3−1)〜基(M3−7)の重合性基である。
【0082】
ここで、基(M3−1)〜基(M3−7)におけるR
dは、それぞれ独立して水素、ハロゲンまたは炭素数1〜5のアルキルであり、これらのアルキルにおいて任意の水素はハロゲンで置き換えられてもよい。好ましいR
dは、水素、ハロゲンおよびメチルである。特に好ましいR
dは、水素、フッ素およびメチルである。
また、基(M3−2)、基(M3−3)、基(M3−4)、基(M3−7)はラジカル重合で重合するのが好適である。基(M3−1)、基(M3−5)、基(M3−6)はカチオン重合で重合するのが好適である。いずれもリビング重合なので、少量のラジカル活性種あるいはカチオン活性種が反応系内に発生すれば重合は開始する。これらの活性種の発生を加速する目的で重合開始剤を使用できる。これらの活性種の発生には例えば光または熱を使用できる。
【0083】
式(M2)中、A
Mは、それぞれ独立して芳香族性または非芳香族性の5員環、6員環または炭素数9〜20の縮合環であるが、環中の−CH
2−は−O−、−S−、−NH−、または−NCH
3−で、環中の−CH=は−N=で置き換わってもよく、環上の水素原子はハロゲン、および炭素数1〜5のアルキル、またはハロゲン化アルキルで置き換わってもよい。好ましいA
Mの具体例は、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、またはビシクロ[2.2.2]オクタン−1,4−ジイルであり、これらの環において任意の−CH
2−は−O−で置き換えられてもよく、任意の−CH=は−N=で置き換えられてもよく、これらの環において任意の水素はハロゲン、炭素数1〜5のアルキルまたは炭素数1〜5のハロゲン化アルキルで置き換えられてもよい。
化合物の安定性を考慮して、酸素と酸素とが隣接した−CH
2−O−O−CH
2−よりも、酸素と酸素とが隣接しない−CH
2−O−CH
2−O−の方が好ましい。硫黄においても同様である。
【0084】
これらの中でも、特に好ましいA
Mは、1,4−シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキセニレン、1,4−フェニレン、2−フルオロ−1,4−フェニレン、2,3−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2,6−ジフルオロ−1,4−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2−トリフルオロメチル−1,4−フェニレン、2,3−ビス(トリフルオロメチル)−1,4−フェニレン、ナフタレン−2,6−ジイル、テトラヒドロナフタレン−2,6−ジイル、フルオレン−2,7−ジイル、9−メチルフルオレン−2,7−ジイル、1,3−ジオキサン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5−ジイル、およびピリミジン−2,5−ジイルである。なお、前記1,4−シクロヘキシレンおよび1,3−ジオキサン−2,5−ジイルの立体配置はシスよりもトランスの方が好ましい。
2−フルオロ−1,4−フェニレンは、3−フルオロ−1,4−フェニレンと構造的に同一であるので、後者は例示しなかった。この規則は、2,5−ジフルオロ−1,4−フェニレンと3,6−ジフルオロ−1,4−フェニレンの関係などにも適用される。
【0085】
式(M1)および(M2)中、Y
Mは、それぞれ独立して単結合または炭素数1〜20のアルキレンであり、これらのアルキレンにおいて任意の−CH
2−は−O−、−S−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、または−OCO−で置き換えられてもよい。好ましいY
Mは、単結合、−(CH
2)
m2−、−O(CH
2)
m2−、および−(CH
2)
m2O−(前記式中、m2は1〜20の整数である)である。特に好ましいY
Mは、単結合、−(CH
2)
n−、−O(CH
2)
m2−、および−(CH
2)
m2O−(前記式中、m2は1〜10の整数である)である。化合物の安定性を考慮して、−Y
M−R
aおよび−Y
M−R
bは、それらの基中に−O−O−、−O−S−、−S−O−、または−S−S−を有しない方が好ましい。
【0086】
式(M2)中、Z
Mは、それぞれ独立して単結合、−(CH
2)
m3−、−O(CH
2)
m3−、−(CH
2)
m3O−、−O(CH
2)
m3O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CF
2)
2−、−(CH
2)
2−COO−、−OCO−(CH
2)
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−C≡C−COO−、−OCO−C≡C−、−CH=CH−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−CH=CH−、−CF=CF−、−C≡C−CH=CH−、−CH=CH−C≡C−、−OCF
2−(CH
2)
2−、−(CH
2)
2−CF
2O−、−OCF
2−または−CF
2O−(前記式中、m3は1〜20の整数である)である。
【0087】
好ましいZ
Mは単結合、−(CH
2)
m3−、−O(CH
2)
m3−、−(CH
2)
m3O−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−、−OCO−、−(CH
2)
2−COO−、−OCO−(CH
2)
2−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、−OCF
2−、および−CF
2O−である。
【0088】
式(M2)中、m1は1〜6の整数である。好ましいm1は、1〜3の整数である。m1が1のときは、6員環などの環を2つ有する二環の化合物である。m1が2と3のときは、それぞれ三環と四環の化合物である。例えばm1が1であるとき、2つのA
Mは同一であってもよいし、または異なってもよい。また、例えばm1が2であるとき、3つのA
M(または2つのZ
M)は同一であってもよいし、または異なってもよい。m1が3〜6であるときについても同様である。R
C、R
d、Z
M、A
MおよびY
Mについても同様である。
【0089】
式(M2)で表される化合物は
2H(重水素)、
13Cなどの同位体を天然存在比の量よりも多く含んでいても同様の特性を有するので好ましく用いることができる。
【0090】
化合物(M2)の更に好ましい例は、(M2−1)〜(M2−27)で表される化合物である。これらの化合物において、R
C、R
d、Z
M、A
M、およびY
Mの意味は、本発明の態様に記載した式(M2)のそれらと同一である。
【0091】
化合物(M2−1)〜(M2−27)における下記の部分構造について説明する。部分構造(a1)は、任意の水素がフッ素で置き換えられた1,4−フェニレンを表す。部分構造(a2)は、任意の水素がフッ素で置き換えられてもよい1,4−フェニレンを表す。部分構造(a3)は、任意の水素がフッ素またはメチルのいずれかで置き換えられてもよい1,4−フェニレンを表す。部分構造(a4)は、9位の水素がメチルで置き換えられてもよいフルオレンを表す。
【0092】
上記液晶性モノマー群の中で、特に好適に用いることができるものとして、式(M2−15−1)があげられる。(式中、Y
1はアクリレート基またはメタクリレート基、nは1〜20の整数である。)
【0093】
2.2.3 その他モノマー
前述の1環の単官能性モノマー(1)、および二官能性モノマー(M2)以外の重合性化合物を必要に応じて使用することができる。
【0094】
(1)多官能性モノマー(三官能性以上)
本発明の高分子/液晶複合材料の光学的等方性を最適化する目的で、メソゲン部位を持ち3つ以上の重合性官能基を持つモノマーを使用することもできる。メソゲン部位を持ち3つ以上の重合性官能基を持つモノマーとしては公知の化合物を好適に使用できるが、例えば、(M4−1)〜(M4−3)であり、より具体的な例として、特開2000−327632号、特開2004−182949号、特開2004−59772号に記載された化合物をあげることができる。ただし、(M4−1)〜(M4−3)において、R
C、Z
M、Y
M、および(F)は前述と同一の意味を示す。
【0095】
(2)環構造をもたない重合性モノマー
本発明の高分子/液晶複合材料の光学的等方性を最適化する目的で、環構造をもたない重合性のある官能基を持つモノマーとして、例えば、炭素数1〜30の直鎖あるいは分岐アクリレート、炭素数1〜30の直鎖あるいは分岐ジアクリレート、三つ以上の重合性官能基を有するモノマーとしては、グリセロール・プロポキシレート(1PO/OH)トリアクリレート、ペンタエリスリトール・プロポキシレート・トリアクリレート、ペンタエリスリトール・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・エトキシレート・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・プロポキシレート・トリアクリレート、トリメチロールプロパン・トリアクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)テトラアクリレート、ペンタエリスリトール・テトラアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ペンタアクリレート、ジ(ペンタエリスリトール)ヘキサアクリレート、トリメチロールプロパン・トリアクリレートなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
2.2 高分子/液晶複合材料を製造する際の重合条件
本発明の光学的に等方性の高分子/液晶複合材料とは、液晶材料と高分子の化合物の両者を含む複合材料であれば特に限定されないが、高分子の一部または全部が液晶材料に溶解していない状態で高分子が液晶材料と相分離している状態でもよい。本発明の高分子/液晶複合材料は、光学的に等方性の液晶組成物と、予め重合されて得られた高分子とを混合しても製造できるが、高分子の材料となる低分子量のモノマー、マクロモノマー、オリゴマー等(以下、まとめて「モノマー等」という)と光学的等方性の液晶組成物とを混合してから、当該混合物において重合反応を行うことによって、製造されることが好ましい。
上記混合物における重合は、混合物を非液晶等方相または光学的に等方性の液晶相で行われることが好ましい。すなわち、重合温度は、高分子/液晶複合材料が高透明性と等方性を示す温度であることが好ましい。より好ましくは、モノマーと液晶材料の混合物が非液晶等方相またはブルー相を発現する温度で、かつ、非液晶等方相ないしは光学的に等方性の液晶相で重合を終了する。すなわち、重合後は高分子/液晶複合材料が可視光線より長波長側の光を実質的に散乱せずかつ光学的に等方性の状態を発現する温度とするのが好ましい。
【0097】
2.3 重合開始剤
本発明の複合材料を構成する高分子の製造における重合反応は特に限定されず、例えば、光ラジカル重合、熱ラジカル重合、光カチオン重合等が行われる。
【0098】
光ラジカル重合において用いることができる光ラジカル重合開始剤の例は、ダロキュア(DAROCUR)1173および4265(いずれも商品名、BASFジャパン(株))、イルガキュア(IRGACURE)184、369、500、651、784、819、907、1300、1700、1800、1850、および2959(いずれも商品名、BASFジャパン(株))、などである。
【0099】
熱ラジカル重合において用いることができる熱によるラジカル重合の好ましい開始剤の例は、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメチル(MAIB)、ジt−ブチルパーオキシド(DTBPO)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル(ACN)などである。
【0100】
光カチオン重合において用いることができる光カチオン重合開始剤として、ジアリールヨードニウム塩(以下、「DAS」という。)、トリアリールスルホニウム塩(以下、「TAS」という。)などがあげられる。
【0101】
DASとしては、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホネート、ジフェニルヨードニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム−p−トルエンスルホナートなどが挙げられる。
【0102】
DASには、チオキサントン、フェノチアジン、クロロチオキサントン、キサントン、アントラセン、ジフェニルアントラセン、ルブレンなどの光増感剤を添加することで高感度化することもできる。
【0103】
TASとしては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、トリフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネート、トリフェニルスルホニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスホネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム−p−トルエンスルホネートなどが挙げられる。
【0104】
光カチオン重合開始剤の具体的な商品名の例は、サイラキュア(Cyracure)UVI−6990、サイラキュアUVI−6974、サイラキュアUVI−6992(それぞれ商品名、UCC(株))、アデカオプトマーSP−150、SP−152、SP−170、SP−172(それぞれ商品名、(株)ADEKA)、Rhodorsil Photoinitiator 2074(商品名、ローディアジャパン(株))、イルガキュア(IRGACURE)250(商品名、BASFジャパン(株))、UV−9380C(商品名、GE東芝シリコーン(株))などである。
【0105】
2.4 硬化剤等
本発明の複合材料を構成する高分子の製造において、前記モノマー等および重合開始剤の他にさらに1種または2種以上の他の好適な成分、例えば、硬化剤、触媒、安定剤等を加えてもよい。
【0106】
硬化剤としては、通常、エポキシ樹脂の硬化剤として使用されている従来公知の潜在性硬化剤が使用できる。潜在性エポキシ樹脂用硬化剤は、アミン系硬化剤、ノボラック樹脂系硬化剤、イミダゾール系硬化剤、酸無水物系硬化剤等が挙げられる。アミン系硬化剤の例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラアミン、テトラエチレンペンタアミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン等の脂肪族ポリアミン、イソフォロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、ラロミン等の脂環式ポリアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルエタン、メタフェニレンジアミン等の芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
【0107】
ノボラック樹脂系硬化剤の例としては、フェノールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂などが挙げられる。イミダゾール系硬化剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチルへキシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウム・トリメリテートなどが挙げられる。
【0108】
酸無水物系硬化剤の例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルへキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。
【0109】
また、グリシジル、エポキシ、オキセタニルを有する重合性化合物と硬化剤との硬化反応を促進するための硬化促進剤をさらに用いてもよい。硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルシクロヘキシルアミン等の3級アミン類、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等の有機リン系化合物、テトラフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩類、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等やその有機酸塩等のジアザビシクロアルケン類、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等の4級アンモニウム塩類、三フッ化ホウ素、トリフェニルボレート等のホウ素化合物などが挙げられる。これらの硬化促進剤は単独または2種以上を混合して使用することができる。
【0110】
また、例えば貯蔵中の不所望な重合を防止するために、安定剤を添加することが好ましい。安定剤として、当業者に知られているすべての化合物を用いることができる。安定剤の代表例としては、4−エトキシフェノール、ハイドロキノン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0111】
本発明の好ましい態様に係る光学的に等方性の高分子/液晶複合材料は、光学的に等方性の液晶相を広い温度範囲で発現させることが可能である。また、本発明の好ましい態様に係る高分子/液晶複合材料は、応答速度が極めて速い。また、本発明の好ましい態様に係る高分子/液晶複合材料は、これらの効果に基づいて表示素子等の光素子等に好適に用いることができる。
【0112】
2.5 液晶組成物等の含有率
本発明の高分子/液晶複合材料中における液晶組成物の含有率は、複合材料が等方性を発現できる範囲であれば、可能な限り高含有率であることが好ましい。液晶組成物の含有率が高い方が、本発明の複合材料の電気複屈折値(カー係数)が大きくなるからである。
【0113】
本発明の高分子/液晶複合材料において、液晶組成物の含有率は複合材料に対して60〜99重量%であることが好ましく、60〜95重量%がさらに好ましく、75〜95重量%が特に好ましい。高分子の含有率は複合材料に対して1〜40重量%であることが好ましく、3〜30重量%がさらに好ましく、3〜25重量%が特に好ましい。
【0114】
3 液晶素子
本発明のモノマー/液晶混合物または高分子/液晶複合材料(以下、モノマー/液晶混合物と高分子/液晶複合材料をあわせて「液晶媒体」ということがある)を含む光学的に等方性の液晶相で駆動される光素子である。
液晶表示素子の構造例としては、
図1に示すように、櫛型電極基板の電極は、左側の接続用電極部から右方向に伸びる電極1と右側の接続用電極部から左方向に伸びる電極2が交互に配置された構造を挙げることができる。電極1と電極2との間に電位差がある場合、
図1に示すような櫛歯電極基板上では、上方向と下方向の2つの方向の電界が存在する状態を提供できる。
【実施例】
【0115】
以下、実施例により本発明さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0116】
本明細書の実施例において、Iは非液晶等方相、Nはネマチック相、N
*はキラルネマチック相、BPはブルー相、BPXは二色以上の回折光が観測されない光学的に等方性の液晶相を表す。 本明細書において、I−N相転移点をN−I点ということがある。I−N
*転移点をN
*−I点ということがある。I−BP相転移点をBP−I点ということがある。
【0117】
本発明で用いる単官能性モノマーの合成例を以下に示す。
例1:アクリル酸−8−(4−ペンチルフェノキシ)−オクチルエステルの合成
4−ペンチルフェノール(24.3g,148.2mmol)をDMF(100ml)に溶解させ、8−クロロオクタノール(24.4g,148.2mmol)、炭酸カリウム(41.0g,296.4mmol)を加え窒素雰囲気下80℃で30時間加熱撹拌した。反応終了後水を加え、さらに溶液を酸性にした後トルエンを加えて抽出した。水、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、溶媒を減圧濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物(S−01)を得た(28.3g,65%)。
【0118】
化合物(S−01)(15.0g,51.3mmol)をTHF(130ml)に溶解させ、トリエチルアミン(8.6ml,61.6mmol)を加えた。0℃に冷却し、窒素雰囲気下でアクリル酸クロリド(5.0ml,61.6mmol)を滴下した。室温に戻して反応物を一晩撹拌させ、反応終了後、水に注いでクエンチし、酢酸エチルにて抽出した。水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび晶析によって精製し、無色の液体である目的物を得た。(13.1g,収率74%)
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm);0.88(t,3H)、1.27−1.47(m,12H)、1.54−1.60(m,2H)、1.64−1.70(m,2H)、1.73−1.79(m,2H)、2.53(t,2H)、3.92(t,2H)、4.15(t,2H)、5.81(dd,1H)、6.12(dd,1H)、6.40(dd,1H)、6.79−6.82(m,2H)、7.07−7.08(m,2H).
【0119】
例2:メタクリル酸−8−(4−ペンチルフェノキシ)−オクチルエステル
化合物(S−01)(6.0g,20.5mmol)を出発原料として、アクリル酸クロリドの代わりにメタクリル酸クロリド(2.4ml,24.6mmol)を用いて例1と同様の方法で合成を行い。無色の液体である目的物を得た。(3.4g,収率46%)
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm);0.88(t,3H)、1.26−1.46(m,12H)、1.53−1.60(m,2H)、1.64−1.70(m,2H)、1.73−1.79(m,2H)、1.94(s,3H)、2.53(t,2H)、3.92(t,2H)、4.14(t,2H)、5.53−5.54(m,1H)、6.10(s,1H)、6.79−6.82(m,2H)、7.06−7.08(m,2H).
【0120】
例3:アクリル酸−4−(4−プロピルフェノキシ)−ブチルエステルの合成
4−プロピルフェノール(10.0g,73.4mmol)をトルエン(300ml)に溶解させ、4−ブロモブタノール(80wt%,21.1g,110.1mmol)、トリフェニルホスフィン(28.9g,110.1mmol)を加え窒素雰囲気下で0℃に冷却した。アゾジカルボン酸ジエチルの40wt%トルエン溶液(48.0g,110.1mmol)を滴下し、終夜撹拌を行った。反応終了後。溶媒を留去し、ヘプタンを加えてろ過を行った。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、無色の液体として化合物(S−02)を得た(16.9g,85%)。
化合物(S−02)(7.0g,22.7mmol)をTHF(140ml)に溶解させ、炭酸水素カリウム(9.09g,90.9mmol)、ヨウ化テトラブチルアンモニム(1.68g,4.5mmol)、ジブチルヒドロキシトルエン(0.40g,1.8mmol)を加えて窒素雰囲気下で加熱還流させた。反応終了後、水に注いでクエンチし、ジエチルエーテルにて抽出した。水、飽和塩化ナトリウム水溶液にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび晶析によって精製し、無色の液体である目的物を得た。(3.1g,収率46%)
1H−NMR(CDCl
3):δ(ppm);0.92(t,3H)、1.56−1.64(m,2H)、1.86−1.88(m,4H)、2.52(t,2H)、3.95−4.00(m,2H)、4.21−4.24(m,2H)、5.82(dd,1H)、6.12(dd,1H)、6.40(dd,1H)、6.79−6.82(m,2H)、7.07−7.08(m,2H).
【0121】
本発明において、液晶組成物の特性値の測定は下記の方法にしたがって行うことができる。それらの多くは、日本電子機械工業会規格(Standard of Electric Industries Association of Japan)EIAJ・ED−2521Aに記載された方法、またはこれを修飾した方法である。測定に用いたTN素子には、TFTを取り付けなかった。
【0122】
ネマチック相の上限温度(NI;℃):偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、1℃/分の速度で加熱した。試料の一部がネマチック相から等方性液体に変化したときの温度を測定した。ネマチック相の上限温度を「上限温度」と略すことがある。
【0123】
ネマチック相の下限温度(TC;℃):ネマチック相を有する試料を0℃、−10℃、−20℃、−30℃、および−40℃のフリーザー中に10日間保管したあと、液晶相を観察した。例えば、試料が−20℃ではネマチック相のままであり、−30℃では結晶(またはスメクチック相)に変化したとき、TCを≦−20℃と記載する。ネマチック相の下限温度を「下限温度」と略すことがある。
【0124】
光学的に等方性の液晶相の転移温度:偏光顕微鏡を備えた融点測定装置のホットプレートに試料を置き、クロスニコルの状態で、まず試料が非液晶等方相になる温度まで昇温した後、1℃/分の速度で降温し、完全にキラルネマチック相または光学的に等方性の液晶相を出現させた。その降温過程での相転移した温度を測定し、次いで1℃/分の速度で昇熱し、その昇温過程における相転移した温度を測定した。本発明において、特に断りの無い限り、昇温過程での相転移した温度を相転移温度とした。光学的に等方性の液晶相においてクロスニコル下では暗視野で相転移温度の判別が困難な場合は、偏光板をクロスニコルの状態から1〜10°ずらして相転移温度を測定した。
【0125】
粘度(η;20℃で測定;mPa・s):測定にはE型粘度計を用いた。
【0126】
回転粘度(γ1;25℃で測定;mPa・s):
1)誘電率異方性が正である試料:測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。ツイスト角が0°であり、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が5μmであるTN素子に試料を入れた。TN素子に16ボルトから19.5ボルトの範囲で0.5ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文の40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算で必要な誘電率異方性の値は、この回転粘度の測定で使用した素子にて、下記の誘電率異方性の測定方法で求めた。
【0127】
2)誘電率異方性が負である試料:測定はM. Imai et al., Molecular Crystals and Liquid Crystals, Vol. 259, 37 (1995) に記載された方法に従った。2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)が20μmのVA素子に試料を入れた。この素子に30ボルトから50ボルトの範囲で1ボルト毎に段階的に印加した。0.2秒の無印加のあと、ただ1つの矩形波(矩形パルス;0.2秒)と無印加(2秒)の条件で印加を繰り返した。この印加によって発生した過渡電流(transient current)のピーク電流(peak current)とピーク時間(peak time)を測定した。これらの測定値とM. Imaiらの論文、40頁の計算式(8)とから回転粘度の値を得た。この計算に必要な誘電率異方性は、下記の誘電率異方性で測定した値を用いた。
【0128】
屈折率異方性(Δn;25℃で測定):測定は、波長589nmの光を用い、接眼鏡に偏光板を取り付けたアッベ屈折計により行なった。主プリズムの表面を一方向にラビング(rubbing)したあと、試料を主プリズムに滴下した。屈折率(n‖)は偏光の方向がラビングの方向と平行であるときに測定した。屈折率(n⊥)は偏光の方向がラビングの方向と垂直であるときに測定した。屈折率異方性の値は、Δn=n‖−n⊥、の式から計算した。試料が組成物のときはこの方法によって屈折率異方性を測定した。
【0129】
誘電率異方性(Δε;25℃で測定):
1)誘電率異方性が正である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μm、ツイスト角が80度の液晶セルに試料を入れた。このセルに20ボルトを印加して、液晶分子の長軸方向における誘電率(ε‖)を測定した。0.5ボルトを印加して、液晶分子の短軸方向における誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0130】
2)誘電率異方性が負である組成物:ホメオトロピック配向に処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε‖)を測定した。ホモジニアス配向に処理した液晶セルに試料を入れ、0.5ボルトを印加して誘電率(ε⊥)を測定した。誘電率異方性の値は、Δε=ε‖−ε⊥、の式から計算した。
【0131】
しきい値電圧(Vth;25℃で測定;V):
1)誘電率異方性が正である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が(0.5/Δn)μmであり、ツイスト角が80度である、ノーマリーホワイトモード(normally white mode)の液晶表示素子に試料を入れた。Δnは上記の方法で測定した屈折率異方性の値である。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率が90%になったときの電圧の値を測定した。
【0132】
2)誘電率異方性が負である組成物:2枚のガラス基板の間隔(ギャップ)が約9μmであり、ホメオトロピック配向に処理したノーマリーブラックモード(normally black mode)の液晶表示素子に試料を入れた。この素子に周波数が32Hzである矩形波を印加した。矩形波の電圧を上昇させ、素子を通過する光の透過率10%になったときの電圧の値を測定した。
【0133】
電圧保持率(VHR;25℃で測定;%):測定に用いたTN素子はポリイミド配向膜を有し、そして2枚のガラス基板の間隔(セルギャップ)は6μmである。この素子は試料を入れたあと紫外線によって重合する接着剤で密閉した。このTN素子にパルス電圧(5Vで60マイクロ秒)を印加して充電した。減衰する電圧を高速電圧計で16.7ミリ秒のあいだ測定し、単位周期における電圧曲線と横軸との間の面積Aを求めた。面積Bは減衰しなかったときの面積である。電圧保持率は面積Bに対する面積Aの百分率である。
【0134】
らせんピッチ(20℃で測定;μm):らせんピッチの測定には、カノのくさび型セル法を用いた。カノのくさび型セルに試料を注入し、セルから観察されるディスクリネーションラインの間隔(a;単位はμm)を測定した。らせんピッチ(P)は、式P=2・a・tanθから算出した。θは、くさび型セルにおける2枚のガラス板の間の角度である。
【0135】
あるいは、ピッチ長は選択反射を用いて測定した(液晶便覧196頁(2000年発行、丸善)。選択反射波長λには、関係式<n>p/λ=1が成立する。ここで<n>は平均屈折率を表し、次式で与えられる。<n>={(n‖2+n⊥2)/2}1/2。選択反射波長は顕微分光光度計(日本電子(株)、商品名MSV-350)で測定した。得られた反射波長を平均屈折率で除すことにより、ピッチを求めた。
可視光より長波長領域に反射波長を有するコレステリック液晶のピッチは、キラル剤濃度が低い領域ではキラル剤の濃度の逆数に比例することから、可視光領域に選択反射波長を有する液晶のピッチ長を数点測定し、直線外挿法により求めた。
【0136】
成分または液晶化合物の割合(百分率)は、液晶化合物の全重量に基づいた重量百分率(重量%)である。組成物は、液晶化合物などの成分の重量を測定してから混合することによって調製される。したがって、成分の重量%を算出するのは容易である。
【0137】
(実施例1)
下図に示す液晶化合物を、下記の割合で混合することにより液晶組成物NLC−Aを調製した。
構造式の右側に一般式との対応を記した。
液晶組成物NLC−A
この液晶組成物Aの相転移温度(℃)はN 79.7 Iであった。
【0138】
次に、液晶組成物NLC−A(94.7wt%)と、下記の式で表されるキラル剤BN−H4(2.65wt%)とBN−H5(2.65wt%)からなる液晶組成物CLC−Aを得た。
この液晶組成物CLC−Aの相転移温度(℃)はN* 69.7 BP 71.4 Iであった。
【0139】
なお、BN−H4、BN−H5は、(R)−(+)−1,1’−ビ(2−ナフトール)と対応するカルボン酸とからジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いてエステル化することによって得た。
BN−H4
BN−H5
【0140】
(実施例2)
モノマーと液晶組成物の混合物の調製
液晶組成物とモノマーとの混合物として液晶組成物CLC−Aを89.6重量%、例3で合成したアクリル酸−4−(4−プロピルフェノキシ)−ブチルエステル(2−1−2)を6.0重量%、1,4−ジ(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)−2−メチルベンゼン(LCA−6)を4重量%、光重合開始剤として2,2’−ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.4重量%混合した液晶組成物MLC−Aを調製した。この液晶組成物MLC−Aの相転移温度(℃)はN* 45.8 BP、BP 44.0 N*であった。
LCA−6
【0141】
(実施例3)
滴下後の重合温度マージン
10ミクロンのスペーサーを分散させた液晶組成物MLC−Aを50℃のガラス基板に約5mg滴下し、そのままの温度で10分間放置した。その後、対向ガラス基板を貼り合わせることでセルを作成した。このセルを46.3℃から重合温度まで冷却し、紫外光(紫外光強度23mWcm−2(365nm))を1分間照射して、重合反応を行った。重合温度は46.3℃、45.8℃、45.3℃、45.1℃、44.8℃とした。得られた高分子/液晶複合材料Aを観察したところ、45.1℃で重合したものは全面N*相であり、45.3℃で重合したものは、全面BP相であった。上記すべての重合温度で得られた高分子/液晶複合材料AにおいてN*相とBP相の共存は確認されなかった。すなわち、N*相とBP相が共存することによって濃度ムラを発現する可能性がある重合温度幅は0.2℃未満であった。
【0142】
(比較例1)
アクリル酸−4−(4−プロピルフェノキシ)−ブチルエステル(2−1−2)をn−ドデシルアクリレートに代えた以外は、実施例2と同様にして、液晶組成物MLC−Bを調製した。この液晶組成物MLC−Bの相転移温度(℃)はN* 39.6 BP、BP 36.7 N*であった。
【0143】
(比較例2)
10ミクロンのスペーサーを分散させた液晶組成物MLC−Bを50℃のガラス基板に約5mg滴下し、そのままの温度で10分間放置した。その後、対向ガラス基板を貼り合わせることでセルを作成した。このセルを40.1℃から重合温度まで冷却し、紫外光(紫外光強度23mWcm−2(365nm))を1分間照射して、重合反応を行った。重合温度は40.1℃、39.6℃、39.3℃、39.1℃、38.9℃、38.6℃とした。得られた高分子/液晶複合材料Bを観察したところ、38.6℃で重合したものは全面N*相であり、39.6℃で重合したものは、全面BP相であった。一方、39.3℃、39.1℃、38.9℃で重合して得られた高分子/液晶複合材料Bでは、N*相とBP相がともに存在することによる濃度ムラが確認された。すなわち、N*相とBP相が共存することによって濃度ムラを発現する可能性がある重合温度幅は、狭くとも0.4℃以上であり、1.0℃未満であった。
【0144】
(実施例4)
モノマーと液晶組成物の混合物の調製
液晶組成物とモノマーとの混合物として液晶組成物CLC−Aを88.8重量%、例3で合成したアクリル酸−4−(4−プロピルフェノキシ)−ブチルエステル(2−1−2)を6.5重量%、1,4−ジ(4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ)ベンゾイルオキシ)−2−メチルベンゼン(LCA−6)を4.3重量%、光重合開始剤として2,2’−ジメトキシフェニルアセトフェノンを0.4重量%混合した液晶組成物MLC−A−1を調製した。この液晶組成物MLC−A−1Mの相転移温度(℃)はN* 43.9 BP 45.2 Iであった。 冷却過程においてもBPを発現した。
【0145】
高分子/液晶複合材料の調製
液晶組成物MLC−A−1を配向処理の施されていない櫛型電極基板と対向ガラス基板(非電極付与)の間に狭持し(セル厚7μm)、得られたセルを44.1℃のブルー相まで加熱した。この状態で、紫外光(紫外光強度23mWcm−2(365nm))を1分間照射して、重合反応を行った。
このようにして得られた高分子/液晶複合材料A−1は室温まで冷却しても光学的に等方性の液晶相を維持していた。
【0146】
なお、
図1に示すように、櫛型電極基板の電極は、左側の接続用電極部から右方向に伸びる電極1と右側の接続用電極部から左方向に伸びる電極2が交互に配置される。したがって、電極1と電極2との間に電位差がある場合、
図1に示すような櫛型電極基板上では、1本の電極に注目すると、図面上の上方向と下方向の2つの方向の電界が存在する状態を提供できる。
【0147】
(実施例5)
実施例4で得られた高分子/液晶複合材料A−1が狭持されたセルを、
図2に示した光学系にセットし、電気光学特性を測定した。光源として偏光顕微鏡(ニコン製 エクリプス LV100POL)の白色光源を用い、セルへの入射角度がセル面に対して垂直となるようにし、櫛型電極の線方向がPolarizerとAnalyzer偏光板に対してそれぞれ45°となるように前記セルを光学系にセットした。室温で印加電圧と透過率の関係を調べた。43Vの矩形波を印加すると、透過率が87%となり、透過光強度は飽和した。
このように、例3で合成したアクリル酸−4−(4−プロピルフェノキシ)−ブチルエステル(2−1−2)を用いても、光学的等方性の高分子/液晶複合材料は低電圧で駆動した。