【実施例】
【0035】
これより本実施形態に係る各実施例について、図面に基づいて説明する。以下に、表1〜表3を示すが、これらは第1実施例〜第3実施例における各諸元の表である。
【0036】
なお、各実施例では収差特性の算出対象として、C線(波長656.2730nm)、d線(波長587.5620nm)、F線(波長486.1330nm)を選んでいる。
【0037】
表中の[全体諸元]において、foは対物レンズ系Goの焦点距離、feは接眼レンズ系Geの焦点距離、f1eは第1レンズ群G1の焦点距離、f2eは第2レンズ群G2の焦点距離、φexは観察光学系の射出瞳径、ωは半画角(単位:°)を示す。
【0038】
表中の[レンズ諸元]において、面番号は光線の進行する方向に沿った物体側からの光学面の順序、Rは各光学面の曲率半径、Dは各光学面から次の光学面(又は像面)までの
光軸上の距離である面間隔、ndは光学部材の材質のd線に対する屈折率、νdは光学部材の材質のd線を基準とするアッベ数を示す。物面は物体面を、曲率半径の「∞」は平面又は開口を示す。空気の屈折率「1.000000」は省略する。
【0039】
表中の[条件式]において、条件式(1)〜(3)に対応する値を示す。
【0040】
以下、全ての諸元値において、掲載されている焦点距離、曲率半径、面間隔、その他の長さ等は、特記のない場合一般に「mm」が使われるが、光学系は比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるので、これに限られるものではない。また、単位は「mm」に限定されることなく、他の適当な単位を用いることが可能である。
【0041】
ここまでの表の説明は全ての実施例において共通であり、以下での説明を省略する。
【0042】
(第1実施例)
第1実施例について、
図4、
図5及び表1を用いて説明する。第1実施例に係る観察光学系10は、
図4に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、対物レンズ系Goと、正立プリズムPと、接眼レンズ系Geとを有して構成される。なお、正立プリズムPは、
図4においては展開した状態で示されている。
【0043】
対物レンズ系Goは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凸レンズLo1と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズLo2との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLo3とから構成される。
【0044】
接眼レンズ系Geは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、両凹レンズLe1と両凸レンズLe2との接合レンズと、両凸レンズLe3と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズLe4とから構成される。
【0045】
第1実施例に係る観察光学系10では、接眼レンズ系Geの全体を補正レンズ群として、光軸に対してほぼ直交する方向へ移動させることにより、手振れ等に起因する像のブレを補正できるように構成されている。本実施例では、0.5°だけ像をシフトする際の、補正レンズ群のシフト(移動)量は0.94mmとなっている。
【0046】
下記の表1に、第1実施例における各諸元の値を示す。表1における面番号1〜16が、
図4に示す曲率半径R1〜R16の各光学面に対応している。なお、面番号1〜5は対物レンズ系、面番号6〜9は正立プリズムP、面番号10〜16は接眼レンズ系Geを示す。
【0047】
(表1)
[全体諸元]
対物レンズ系の焦点距離fo 129.6
接眼レンズ系の焦点距離fe 10.8
観察光学系の倍率 12
対物レンズ系の有効径 25
画角2ω 4.2°
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 52.700 5.50 1.516800 64.10
2 -38.545 2.00 1.749501 35.19
3 -86.210 32.10
4 170.000 2.50 1.516800 64.10
5 44.150 14.30
6 ∞ 30.00 1.568829 56.05
7 ∞ 1.40
8 ∞ 26.00 1.568829 56.05
9 ∞ 18.75
(中間像) ∞ 4.38
10 -40.000 1.80 1.805180 25.43
11 9.600 6.50 1.713000 53.89
12 -18.500 0.20
13 18.500 3.20 1.620410 60.29
14 -65.000 0.20
15 18.500 2.70 1.620410 60.29
16 176.300
[条件式]
φex =2.08
|φex−3|/2 =0.46
|φex−3|/2 + φex/3 =1.153
条件式(1) x =0.94
【0048】
表1から、第1実施例に係る観察光学系10は、条件式(1)を満たすことが分かる。なお、条件式(2)、(3)は、本実施例に該当しない。
【0049】
図5は、第1実施例に係る観察光学系10の横収差図を示す。同図中、(a)は補正レンズ群(接眼レンズ系Ge全体)を光軸上に配置した状態、つまり像変位量がゼロのときの横収差を示し、(b)と(c)は像のブレ補正を行うため、補正レンズ群(接眼レンズ系Ge全体)を光軸と直交する方向に0.94mm変位させた状態、つまり光軸に対して0.5°だけ像を変位させたときの横収差図を示す。各収差図において、ωは半画角を示す。
【0050】
各収差図から明らかなように、第1実施例に係る観察光学系10は、像ブレ補正を行わないときも、像ブレ補正を行ったときも、収差が良好に補正されていることが分かる。また、一般に対物レンズ系の一部のレンズ群を光軸と直交する方向に変位させると、偏心によるコマ収差が発生して像の品位を損なうことになるが、第1実施例のように中間像Iを境に接眼レンズ系Ge全体を変位させると、偏心コマ収差が発生せず、より良好な像質を得ることができる。
【0051】
(第2実施例)
第2実施例について、
図6、
図7及び表2を用いて説明する。第2実施例に係る観察光学系20は、
図6に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、対物レンズ系Goと、接眼レンズ系Geとを有して構成される。
【0052】
対物レンズ系Goは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLo1と両凸レンズLo2との接合レンズと、物体側に凸面を向けた平凸レンズLo3とから構成される。
【0053】
接眼レンズ系Geは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2とからなり、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に中間像が形成されるように構成されている。第1レンズ群G1は、光
軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLe1と、両凹レンズLe2と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズLe3との接合レンズとから構成される。第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズLe4と、両凹レンズLe5と両凸レンズLe6との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズLe7と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズLe8とから構成される。
【0054】
第2実施例に係る観察光学系20では、接眼レンズ系Geを構成する第1レンズ群G1を補正レンズ群として、光軸に対してほぼ直交する方向へ移動させることにより、手振れ等に起因する像のブレを補正できるように構成されている。本実施例では、0.14°だけ像をシフトする際の、補正レンズ群のシフト(移動)量は1.61mmとなっている。
【0055】
下記の表2に、第2実施例における各諸元の値を示す。表2における面番号1〜19が、
図6に示す曲率半径R1〜R19の各光学面に対応している。なお、面番号1〜5は対物レンズ系Go、面番号6〜19は接眼レンズ系Geを示す。
【0056】
(表2)
[全体諸元]
対物レンズ系の焦点距離fo 480.0
接眼レンズ系の焦点距離fe 5.0
第1レンズ群の焦点距離f1e -13.0
第2レンズ群の焦点距離f2e 18.3
観察光学系の倍率 96
対物レンズ系の有効径80
画角2ω 0.75°
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 1674.353 3.00 1.734000 51.51
2 190.401 9.00 1.497820 82.56
3 -1032.116 0.50
4 208.285 8.00 1.497820 82.56
5 ∞ 463.42
6 13.400 1.50 1.729160 54.66
7 8.450 2.90
8 -18.500 1.00 1.729160 54.66
9 10.400 3.50 1.805180 25.43
10 59.064 38.84
11 -112.837 5.10 1.563840 60.69
12 -25.231 0.20
13 -1500.000 1.50 1.805180 25.43
14 20.000 11.60 1.620410 60.29
15 -45.300 0.20
16 36.256 3.70 1.620410 60.29
17 145.000 0.20
18 20.000 5.90 1.563840 60.69
19 145.000
[条件式]
φex =0.83
|φex−3|/2 =1.085
|φex−3|/2+φex/3=1.361
fe =5.0
f1e =-13.0
f2e =18.3
条件式(1) x =1.17
条件式(2) f2e/fe =3.66
条件式(3) (−f1e)/fe =2.66
【0057】
表2から、第2実施例に係る観察光学系20は、条件式(1)〜(3)を満たすことが分かる。
【0058】
図7は、第2実施例に係る観察光学系20の横収差図を示す。同図中、(a)は接眼レンズ系Geを光軸上に配置した状態、つまり像変位量がゼロのときの横収差を示し、(b)と(c)は像のブレ補正を行うため、補正レンズ群(接眼レンズ系Geの第1レンズ群G1)を光軸と直交する方向に1.61mm変位させた状態、つまり光軸に対して0.14°だけ像を変位させたときの横収差を示す。各収差図において、ωは半画角を示す。
【0059】
各収差図から明らかなように、第2実施例に係る観察光学系は、像ブレ補正を行わないときも、像ブレ補正を行ったときも、収差が良好に補正されていることが分かる。
【0060】
(第3実施例)
第3実施例について、
図8、
図9及び表3を用いて説明する。第3実施例に係る観察光学系30は、
図8に示すように、光軸に沿って物体側から順に並んだ、対物レンズ系Goと、接眼レンズ系Geとを有して構成される。
【0061】
対物レンズ系Goは、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズLo1と両凸レンズLo2との接合レンズと、物体側に凸面を向けた平凸レンズLo3とから構成される。
【0062】
接眼レンズ系Geは、物体側から順に並んだ、負の屈折力を持つ第1レンズ群G1と、正の屈折力を持つ第2レンズ群G2とからなり、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間に中間像Iが形成されるように構成されている。第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズLe1と、両凹レンズLe2とから構成される。第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に並んだ、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズLe3と、両凹レンズLe4と両凸レンズLe5との接合レンズと、両凸レンズLe6と、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズLe7とから構成される。
【0063】
第3実施例に係る観察光学系30では、接眼レンズ系Geを構成する第1レンズ群G1を補正レンズ群として、光軸に対してほぼ直交する方向へ移動させることにより、手振れ等に起因する像のブレを補正できるように構成されている。本実施例では、0.1°だけ像をシフトする際の、補正レンズ群のシフト(移動)量は1.81mmとなっている。
【0064】
下記の表3に、第3実施例における各諸元の値を示す。表3における面番号1〜18が、
図8に示す曲率半径R1〜R18の各光学面に対応している。なお、面番号1〜5は対物レンズ系Go、面番号6〜18は接眼レンズ系Geを示す。
【0065】
(表3)
[全体諸元]
対物レンズ系の焦点距離fo 480.0
接眼レンズ系の焦点距離fe 10.1
第1レンズ群の焦点距離f1e -28.1
第2レンズ群の焦点距離f2e 18.6
観察光学系の倍率 48
対物レンズ系の有効径 80
画角2ω 1.5°
[レンズ諸元]
面番号 R D nd νd
1 1674.353 3.00 1.73400 51.51
2 190.401 9.00 1.49782 82.56
3 -1032.116 0.50
4 208.285 8.00 1.49782 82.56
5 ∞ 460.72
6 -38.302 4.00 1.80518 25.43
7 -18.282 1.00
8 -16.325 1.20 1.51680 64.11
9 18.717 30.48
10 -71.530 5.40 1.62041 60.29
11 -24.500 0.20
12 -95.000 1.50 1.80518 25.43
13 26.710 10.00 1.64000 60.09
14 -40.000 0.20
15 40.000 4.70 1.64000 60.09
16 -700.000 0.20
17 24.500 4.80 1.64000 60.09
18 95.000
[条件式]
φex =1.67
|φex−3|/2 =0.665
|φex−3|/2 + φex/3 =1.222
fe =10.1
f1e =-28.1
f2e =18.6
条件式(1) x =0.84
条件式(2) f2e/fe =1.84
条件式(3) (−f1e)/fe =2.78
【0066】
表3から、第3実施例に係る観察光学系10は、条件式(1)〜(3)を満たすことが分かる。
【0067】
図9は、第3実施例に係る観察光学系30の横収差図を示す。同図中、(a)は接眼レンズ系Geを光軸上に配置した状態、つまり像変位量がゼロのときの横収差を示し、(b)と(c)は像のブレ補正を行うため、補正レンズ群(接眼レンズ系Geの第1レンズ群G1)を光軸と直交する方向に1.81mm変位させた状態、つまり光軸に対して0.1°だけ像を変位させたときの横収差を示す。各収差図において、ωは半画角を示す。
【0068】
各収差図から明らかなように、第3実施例に係る観察光学系は、像ブレ補正を行わないときも、像ブレ補正を行ったときも、収差が良好に補正されていることが分かる。
【0069】
ここまで本発明を分かりやすくするために、実施形態の構成要件を付して説明したが、本発明がこれに限定されるものではないことは言うまでもない。