(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の(A)、(B)および(C)を反応させて得られる、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドを含有する請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
請求項1に記載の(A)、(B)および(C)と共に、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(B)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)(E)を配合することを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドが、さらに、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(B)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)(E)を反応させて得られるものである請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、(A)2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン、(B)下記一般式(1)に示すシロキサンジアミン、(C)下記一般式(2)に示す酸性置換基を有するアミン化合物が配合されたものである。
【化5】
[式(1)中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5及びR
6はそれぞれ独立にアルキル基、フェニル基又は置換フェニル基を示し、R
7及びR
8はそれぞれ独立に2価の有機基を示し、m及びnはそれぞれ独立に1〜50の整数を示す。但し、m及びnは、1<m+n<50である。]
【化6】
[式(2)中、R
9は複数ある場合は各々独立に、酸性置換基である水酸基、カルボキシル基又はスルホン酸基を示し、R
10は複数ある場合は各々独立に水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、ハロゲン原子を示し、xは1〜5の整数、yは0〜4の整数で、x+y=5である。]
【0011】
本発明の熱硬化性樹脂組成物における(A)成分として、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパンを用いることにより、溶剤溶解性、樹脂の相容性が向上し、高い耐デスミア性を得ることができる。
【0012】
本発明の熱硬化性樹脂組成物における(B)成分の一般式(1)に示すシロキサンジアミンとしては、市販品を用いることができ、例えば、「KF−8010」(アミン当量430)、「X−22−161A」(アミン当量800)、「X−22−161B」(アミン当量1500)、「KF−8012」(アミン当量2200)、「KF−8008」(アミン当量5700)、「X−22−9409」(アミン当量700)、「X−22−1660B−3」(アミン当量2200)(以上、信越化学工業(株)製)、「BY−16−853U」(アミン当量460)、「BY−16−853」(アミン当量650)、「BY−16−853B」(アミン当量2200)(以上、東レダウコーニング(株)製)等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
これらのシロキサンジアミンの中で低吸水率の点からX−22−161A、X−22−161B、KF−8012、KF−8008、X−22−1660B−3、BY−16−853Bが好ましく、低熱膨張性の点からX−22−161A、X−22−161B、KF−8012が特に好ましい。
【0013】
(C)成分の酸性置換基を有するアミン化合物としては、例えば、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、o−アミノ安息香酸、o−アミノベンゼンスルホン酸、m−アミノベンゼンスルホン酸、p−アミノベンゼンスルホン酸、3,5−ジヒドロキシアニリン、3,5−ジカルボキシアニリン等が挙げられ、これらの中で、溶解性や合成の収率の点からm−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−アミノフェノール、p−アミノ安息香酸、m−アミノ安息香酸、及び3,5−ジヒドロキシアニリンが好ましく、耐熱性の点からm−アミノフェノール及びp−アミノフェノールがより好ましい。
【0014】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の(A)、(B)および(C)が配合されたものであるが、(A)、(B)および(C)をプレ反応させて得られる、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドとしても使用することができる。このようなプレ反応を行うことにより、分子量を制御することができ、更なる低熱膨張率化および耐デスミア性向上を行うことができる。
【0015】
これらの反応は有機溶媒中で、加熱保温しながら行い、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドを合成することが好ましい。
上記の(A)、(B)および(C)成分を有機溶媒中で反応させる際、反応温度は70〜150℃であることが好ましく、100〜130℃であることがさらに好ましい。反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがさらに好ましい。
ここで、(B)のシロキサンジアミンと(C)の酸性置換基を有するモノアミン化合物の使用量は、−NH
2基当量の総和と、(A)のマレイミド環のC=C基当量との関係が、
0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦10.0に示す範囲になることが好ましい。より好ましくは、この関係が、
1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦9.0、特に好ましくは、
2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦8.0
の範囲とする。
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性が低下することがなく、又、10.0以下とすることにより有機溶剤への溶解性、耐熱性が低下することがない。
上記のような関係を維持しつつ、(A)成分の使用量は、(B)成分100質量部に対して50〜3000質量部が好ましく、100〜1500質量部がより好ましい。50質量部以上とすることにより耐熱性が低下することがなく、又、3000質量部以下とすることにより低熱膨張性を良好に保つことができる。
【0016】
また、(C)成分の使用量は、(B)成分100質量部に対して1〜1000質量部が好ましく、10〜500質量部がより好ましい。1質量部以上とすることにより耐熱性が低下することがなく、又、1000質量部以下とすることにより低熱膨張性を良好に保つことができる。
【0017】
この反応で使用される有機溶媒は特に制限されないが、例えばエタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、酢酸エチルエステルやγ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶剤、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶剤等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0018】
これらの有機溶媒の中で、溶解性の点からシクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メチルセロソルブ、γ−ブチロラクトンが好ましく、低毒性であることや揮発性が高く残溶剤として残りにくい点から、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。
【0019】
有機溶媒の使用量は、(A)、(B)および(C)成分の総和100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、50〜500質量部とすることがより好ましい。有機溶剤の使用量を25〜1000質量部とすると、溶解性の不足や、合成に長時間を要するなどのデメリットがなくて好ましい。
【0020】
また、この反応には任意に反応触媒を使用することができ、特に限定されない。反応触媒の例としては、トリエチルアミン、ピリジン、トリブチルアミン等のアミン類、メチルイミダゾール、フェニルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルホスフィン等のリン系触媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。
さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の(A)、(B)および(C)と共に、1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(E)も配合することができる。
【0021】
(E)成分のアミン化合物としては、(B)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミン以外のものであれば、特に限定されるものではないが、例えば、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノメシチレン、m−キシレン−2,5−ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,4−ビス(アミノ−t−ブチル)トルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、2,5−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノデュレン、4,5−ジアミノ−6−ヒドロキシ−2−メルカプトピリミジン、3−ビス(3−アミノベンジル)ベンゼン、4−ビス(4−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(3−(3−(3−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、4−ビス(4−(4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ)フェノキシ)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(α,α−ジメチル−3−アミノベンジル)ベンゼン、3−ビス(α,α−ジメチル−4−アミノベンジル)ベンゼン、ビス(4−メチルアミノペンチル)ベンゼン、p−ビス(2−メチル−4−アミノペンチル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス[(4−アミノフェニル)−2−プロピル]1,4−ベンゼン、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’、5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル、5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、2,2’−ジアミノジフェニルプロパン、3,3’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、3−(2’,4’−ジアミノフェノキシ)プロパンスルホン酸、ビス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、ビス(4−アミノ−t−ブチルフェニル)エ−テル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル−2,2’−ジスルホン酸、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル−6,6’−ジスルホン酸、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール、1,5−ジアミノナフタレン、1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、9,9’−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン−2,7−ジスルホン酸、9,9’−ビス(4−アミノフェノキシフェニル)フルオレン、ジアミノアントラキノン、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェンスルホン等の芳香族アミン類、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサメチレンジアミン、3−メトキシヘキサメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘプタメチレンジアミン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、4,4−ジメチルヘプタメチレンジアミン、5−メチルノナメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、2,5−ジアミノ−1,3,4−オキサジアゾ−ル、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン等の脂肪族アミン類、メラミン、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、2,4−ジアミノ−6−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アリル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−アクリロイルオキシエチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メタクリロイルオキシエチル−s−トリアジン等のグアナミン化合物類が挙げられる。
【0022】
(E)成分のアミン化合物(ただし、(B)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)として、これらの中で、良好な反応性や耐熱性を有する芳香族アミン類であるm−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ベンジジン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノ−3,3’−ビフェニルジオール及びグアナミン化合物類であるベンゾグアナミンが好ましく、安価である点からp−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンゾグアナミンがより好ましく、毒性や溶媒への溶解性の点から3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンが特に好ましい。これらは単独で、または2種類以上混合して用いることもできる。
【0023】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、上記の(A)、(B)および(C)が配合されたものであるが、(A)、(B)、(C)および(E)をプレ反応させて得られる、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドとしても使用することができる。このようなプレ反応を行うことにより、分子量を制御することができ、更なる低熱膨張率化および耐デスミア性向上を行うことができる。
【0024】
これらの反応は有機溶媒中で、加熱保温しながら行い、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドを合成することが好ましい。
上記の(A)、(B)、(C)および(E)成分を有機溶媒中で反応させる際、反応温度は70〜150℃であることが好ましく、100〜130℃であることがさらに好ましい。反応時間は0.1〜10時間であることが好ましく、1〜6時間であることがさらに好ましい。
【0025】
ここで、(B)のシロキサンジアミンと、(C)の酸性置換基を有するモノアミン化合物と、(E)の1分子中に少なくとも2個の1級アミノ基を有するアミン化合物(ただし、(B)の一般式(1)に示されるシロキサンジアミンを除く)との使用量は、−NH
2基当量の総和と、(A)のマレイミド環のC=C基当量との関係が、
0.1≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦10.0に示す範囲になることが好ましい。より好ましくは、この関係が、
1.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦9.0、特に好ましくは、
2.0≦〔C=C基当量〕/〔−NH
2基当量の総和〕≦8.0
の範囲とする。
該当量比を0.1以上とすることによりゲル化及び耐熱性が低下することがなく、又、10.0以下とすることにより有機溶剤への溶解性、耐熱性が低下することがないので、好ましい。
【0026】
(E)成分の使用量は、上記関係を維持しつつ、(B)成分100質量部に対して50〜3000質量部が好ましく、100〜1500質量部がより好ましい。50質量部以上とすることにより耐熱性が低下することがなく、又、3000質量部以下とすることにより低熱膨張性を良好に保つことができる。
【0027】
(A)、(B)、(C)および(E)成分を反応させる際には、前記の(A)、(B)および(C)成分を反応させる場合と同様の有機溶媒や反応触媒が使用される。
有機溶媒の使用量は、(A)、(B)、(C)および(E)の総和100質量部当たり、25〜1000質量部とすることが好ましく、50〜500質量部とすることがより好ましい。有機溶剤の使用量が25〜1000質量部とすると、溶解性の不足や、合成に長時間を要するなどのデメリットがなくて好ましい。
【0028】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、単独で良好な熱硬化反応性を有するが、必要により、他の熱硬化性樹脂(D)と併用することで、耐熱性や接着性、機械強度を向上させることができる。
併用する熱硬化性樹脂(D)は、特に制限されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、不飽和イミド樹脂、シアネート樹脂、イソシアネート樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、オキセタン樹脂、アミノ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アリル樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、シリコーン樹脂、トリアジン樹脂、メラミン樹脂等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中で、成形性や電気絶縁性の点からエポキシ樹脂、シアネート樹脂が好ましい。
【0029】
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリアジン骨格含有エポキシ樹脂、フルオレン骨格含有エポキシ樹脂、トリフェノールフェノールメタン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、多官能フェノール類及びアントラセン等の多環芳香族類のジグリシジルエーテル化合物およびこれらにリン化合物を導入したリン含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してよい。これらの中で、耐熱性、難燃性の点からビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。
【0030】
また、シアネート樹脂としては、例えば、ノボラック型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂などのビスフェノール型シアネート樹脂およびこれらが一部トリアジン化したプレポリマーなどを挙げることができ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。これらの中で耐熱性、難燃性の点からノボラック型シアネート樹脂が好ましい。
【0031】
熱硬化性樹脂(D)の使用量としては、樹脂成分の総和100質量部に対して、銅箔接着性、耐薬品性の点で20〜50質量部とすることが好ましい。
【0032】
また、これらの熱硬化性樹脂組成物には、必要に応じて硬化剤や硬化促進剤を併用することができる。硬化剤の例としては、例えば、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、アミノトリアジンノボラック樹脂等の多官能フェノール化合物、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルフォン等のアミン化合物、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸共重合体等の酸無水物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0033】
また、硬化促進剤の例としては、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、イミダゾール類及びその誘導体、ホスフィン類及びホスホニウム塩等の有機リン系化合物、第二級アミン類、第三級アミン類、及び第四級アンモニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0034】
その中でもイミダゾール類及びその誘導体が耐熱性や難燃性、銅箔接着性等の点から好ましく、更に下記一般式(3)で表される、イミダゾール基がエポキシ樹脂によって変性された変性イミダゾール化合物や、下記一般式(4)で表される、イミダゾール基がイソシアネート樹脂によって変性された変性イミダゾール化合物が200℃以下での比較的低温での硬化成形性とワニスやプリプレグの経日安定性に優れるためより好ましく、
【化7】
[式(3)中、R
11、R
12、R
13、R
14は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Bは存在しないか、又はアルキレン基、アルキリデン基、エーテル基、スルフォニル基のいずれかである]
【化8】
[式(4)中、R
15、R
16、R
17、R
18は各々独立に水素原子、又は炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基、フェニル基を示し、Dはアルキレン基または芳香族炭化水素基のイソシアネート樹脂の残基である]
下記一般式(5)又は(6)で表される化合物が少量の配合使用でよく、また商業的にも安価であることから特に好ましい。
【化9】
【化10】
【0035】
硬化促進剤の使用量は、樹脂成分の総和100重量部当たり、0.1重量部以上〜10以下重量部とすることが好ましく、0.1重量部以上〜5重量部以下とすることがより好ましく、0.1重量部以上〜1重量部以下とすることが特に好ましい。硬化促進剤の使用量が少ないと耐熱性や難燃性、銅箔接着性等が不足し、また10重量部を超える場合も耐熱性、経日安定性及びプレス成形性が低下する。
【0036】
本発明の熱硬化性樹脂組成物においては、酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドの使用量は樹脂成分の総和100質量部当たり、20〜100質量部とすることが好ましく、50〜90質量部とすることがより好ましい。酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミドの配合量を20質量部以上とすることにより優れた耐熱性、低吸水性、低熱膨張性が得られる。
【0037】
本発明の熱硬化性樹脂組成物には、任意に無機充填材剤(F)を併用することができる。無機充填材としては、シリカ、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム、ホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、EガラスやTガラス、Dガラス等のガラス粉や中空ガラスビーズ等が挙げられ、これらは単独で、あるいは2種類以上を混合して使用してもよい。
【0038】
これらの無機充填剤中で、誘電特性、耐熱性、低熱膨張性の点からシリカが特に好ましい。シリカとしては、例えば、湿式法で製造され含水率の高い沈降シリカと、乾式法で製造され結合水等をほとんど含まない乾式法シリカが挙げられ、乾式法シリカとしてはさらに、製造法の違いにより破砕シリカ、フュームドシリカ、溶融球状シリカが挙げられる。これらの中で、低熱膨張性及び樹脂に充填した際の高流動性から溶融球状シリカが好ましい。
【0039】
無機充填剤として溶融球状シリカを用いる場合、その平均粒子径は0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜8μmであることがより好ましい。該溶融球状シリカの平均粒子径を0.1μm以上にすることで、樹脂に高充填した際の流動性を良好に保つことができ、さらに10μm以下にすることで、粗大粒子の混入確率を減らし粗大粒子起因の不良の発生を抑えることができる。ここで、平均粒子径とは、粒子の全体積を100%として粒子径による累積度数分布曲線を求めた時、ちょうど体積50%に相当する点の粒子径のことであり、レーザー回折散乱法を用いた粒度分布測定装置等で測定することができる。
【0040】
無機充填剤の含有量は、樹脂成分の総和100質量部当たり20〜300質量部であることが好ましく、50〜200質量部であることがより好ましい。無機充填材の含有量を樹脂成分の総和100質量部当たり20〜300質量部にすることで、樹脂組成物の成形性と低熱膨張性を良好に保つことができる。
【0041】
本発明では、その目的に反しない範囲内で、任意に公知の熱可塑性樹脂、エラストマー、有機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光重合開始剤、蛍光増白剤及び接着性向上剤等を使用できる。
【0042】
熱可塑性樹脂としては、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、キシレン樹脂、石油樹脂及びシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0043】
エラストマーとしては、ポリブタジエン、アクリロニトリル、エポキシ変性ポリブタジエン、無水マレイン酸変性ポリブタジエン、フェノール変性ポリブタジエン及びカルボキシ変性アクリロニトリル等が挙げられる。
【0044】
有機充填剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル樹脂、シリコーン樹脂、テトラフルオロエチレン樹脂等よりなる均一構造の樹脂フィラー、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、共役ジエン系樹脂等よりなるゴム状態のコア層と、アクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、芳香族ビニル系樹脂、シアン化ビニル系樹脂等よりなるガラス状態のシェル層を持つコアシェル構造の樹脂フィラーが挙げられる。
【0045】
難燃剤としては、臭素や塩素を含有する含ハロゲン系難燃剤、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリスジクロロプロピルホスフェート、リン酸エステル系化合物、赤リン等のリン系難燃剤、スルファミン酸グアニジン、硫酸メラミン、ポリリン酸メラミン、メラミンシアヌレート等の窒素系難燃剤、シクロホスファゼン、ポリホスファゼン等のホスファゼン系難燃剤、三酸化アンチモン等の無機系難燃剤が挙げられる。
【0046】
その他、紫外線吸収剤の例としてはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、酸化防止剤の例としてはヒンダードフェノール系やヒンダードアミン系酸化防止剤、光重合開始剤の例としてはベンゾフェノン類、ベンジルケタール類、チオキサントン系の光重合開始剤、蛍光増白剤の例としてはスチルベン誘導体の蛍光増白剤、接着性向上剤の例としては尿素シラン等の尿素化合物やシラン系、チタネート系、アルミネート系等のカップリング剤が挙げられる。
【0047】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、プリプレグに用いられるため、最終的には、各成分が有機溶媒中に溶解もしくは分散されたワニスの状態とすることが好ましい。
この際用いる有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等の窒素原子含有溶媒、ジメチルスルホキシド等の硫黄原子含有溶媒等が挙げられ、1種又は2種以上を混合して使用できる。これらの中で、溶解性の点からメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましく、低毒性である点からメチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましい。
【0048】
また、樹脂組成物に配合時、無機充填剤をシラン系、チタネート系等のカップリング剤、シリコーンオリゴマー等の表面処理剤で前処理、あるいはインテグラルブレンド処理することも好ましい。
【0049】
最終的に得られるワニス中の樹脂組成物は、ワニス全体の40〜90質量%であることが好ましく、50〜80質量%であることがより好ましい。ワニス中の樹脂組成物の含有量を40〜90質量%にすることで、塗工性を良好に保ち、適切な樹脂組成物付着量のプリプレグを得ることができる。
【0050】
本発明のプリプレグは、前記した本発明の樹脂組成物を、基材に含浸又は基材に、含浸又は吹付け、押出し等の方法で塗工してなるものである。以下、本発明のプリプレグについて詳述する。
【0051】
本発明のプリプレグは、本発明の熱硬化性樹脂組成物を、基材に含浸又は塗工し、加熱等により半硬化(Bステージ化)して本発明のプリプレグを製造することができる。本発明の基材として、各種の電気絶縁材料用積層板に用いられている周知のものが使用できる。その材質の例としては、Eガラス、Dガラス、Sガラス及びQガラス等の無機物繊維、又はそのガラスフィルム、ポリイミド、ポリエステル及びテトラフルオロエチレン等の有機繊維、並びにそれらの混合物等が挙げられる。
【0052】
これらの基材は、例えば、織布、不織布、ロービンク、チョップドストランドマット及びサーフェシングマット等の形状を有するが、材質及び形状は、目的とする成形物の用途や性能により選択され、必要により、単独又は2種類以上の材質及び形状を組み合わせることができる。基材の厚さは、特に制限されず、例えば、約0.03〜0.5mmを使用することができ、シランカップリング剤等で表面処理したもの又は機械的に開繊処理を施したものが、耐熱性や耐湿性、加工性の面から好適である。
【0053】
本発明のプリプレグは、該基材に対する樹脂組成物の付着量が、乾燥後のプリプレグの樹脂含有率で、20〜90質量%となるように、基材に含浸又は塗工した後、通常、100〜200℃の温度で1〜30分加熱乾燥し、半硬化(Bステージ化)させて得ることができる。
【0054】
本発明の積層板は、前述の本発明のプリプレグを用いて、積層成形して、形成することができる。本発明のプリプレグを、例えば、1〜20枚重ね、その片面又は両面に銅及びアルミニウム等の金属箔を配置した構成で積層成形することにより製造することができる。金属箔は、電気絶縁材料用途で用いるものであれば特に制限されない。
【0055】
積層板を製造する際の成形条件は、例えば、電気絶縁材料用積層板及び多層板の手法が適用でき、例えば多段プレス、多段真空プレス、連続成形、オートクレーブ成形機等を使用し、温度100〜250℃、圧力0.2〜10MPa、加熱時間0.1〜5時間の範囲で成形することができる。また、本発明のプリプレグと内層用配線板とを組合せ、積層成形して、積層板を製造することもできる。
【0056】
本発明に係るプリント配線板は、前記積層板の表面に回路を形成して製造される。すなわち、本発明に係る積層板の導体層を通常のエッチング法によって配線加工し、前述のプリプレグを介して配線加工した積層板を複数積層し、加熱プレス加工することによって一括して多層化する。その後、ドリル加工又はレーザー加工によるスルーホール又はブラインドビアホールの形成と、メッキ又は導電性ペーストによる層間配線の形成を経て多層プリント配線板を製造することができる。
【実施例】
【0057】
次に、下記の実施例により本発明を更に詳しく説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
なお、各実施例および比較例得られた銅張積層板を用いて、ガラス転移温度、熱膨張率、銅箔接着性、耐デスミア性について以下の方法で測定・評価した。
【0058】
(1)ガラス転移温度(Tg)の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にZ方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における熱膨張曲線の異なる接線の交点で示されるTgを求め、耐熱性を評価した。
【0059】
(2)熱膨張率の測定
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた5mm角の評価基板を作製し、TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を用いて圧縮法で熱機械分析をおこなった。評価基板を前記装置にX方向に装着後、荷重5g、昇温速度10℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。2回目の測定における30℃から100℃までの平均熱膨張率を算出し、これを熱膨張率の値とした。
【0060】
(3)銅箔接着性(銅箔ピール強度)の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより3mm幅の銅箔を形成して評価基板を作製し、引張り試験機を用いて銅箔の接着性(90°ピール強度)を測定した。
【0061】
(4)耐デスミア性の評価
銅張積層板を銅エッチング液に浸漬することにより銅箔を取り除いた40mm×40mmの評価基板を、下記の表1に示す工程によりデスミア処理した。薬液はアトテック社製を用いた。耐デスミア性の評価は、130℃におけるデスミア処理前、デスミア処理後の乾燥重量差から重量減少量を算出した。
【表1】
【0062】
製造実施例1:シロキサン変性ポリイミド(P−1)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:162.3gと、KF−8010(信越化学工業社製、商品名、アミン当量430):48.6gと、p−アミノフェノール:3.9g、及びジメチルアセトアミド:300.0gを入れ、100℃で3時間反応させて、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(P−1)含有溶液を得た。
【0063】
製造実施例2:シロキサン変性ポリイミド(P−2)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:162.3gと、X−22−161A(信越化学工業社製、商品名、アミン当量800):24.3gと、p−アミノフェノール:3.9g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:300.0gを入れ、115℃で3時間反応させて、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(P−2)含有溶液を得た。
【0064】
製造実施例3:シロキサン変性ポリイミド(P−3)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:162.3gと、X−22−1660B−3(信越化学工業社製、商品名、アミン当量2200):24.3gと、m−アミノフェノール:3.9g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:300.0gを入れ、115℃で3時間反応させて、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(P−3)含有溶液を得た。
【0065】
製造実施例4:シロキサン変性ポリイミド(P−4)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:159.1gとX−22−161A(信越化学工業社製、商品名、アミン当量800):28.3gと、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン:8.8gと、p−アミノフェノール:3.8g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:300.0gを入れ、115℃で3時間反応させて、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(P−4)含有溶液を得た。
【0066】
製造実施例5:シロキサン変性ポリイミド(P−5)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、2,2−ビス[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン:159.1gと、X−22−161B(信越化学工業社製、商品名、アミン当量1500):24.3gと、2,2’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン:9.7gと、p−アミノフェノール:3.8g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:300.0gを入れ、115℃で3時間反応させて、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(P−5)含有溶液を得た。
【0067】
製造比較例1:シロキサン変性ポリイミド(P−6)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:164.3gと、X−22−161A(信越化学工業社製、商品名、アミン当量800):99.2gと、と、m−アミノフェノール:4.5g、及びジメチルアセトアミド:250.0gを入れ、100℃で3時間反応させて、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(P−6)含有溶液を得た。
【0068】
製造比較例2:シロキサン変性ポリイミド(P−7)の製造
温度計、攪拌装置、還流冷却管付き水分定量器の付いた加熱及び冷却可能な容積2リットルの反応容器に、ビス(4−マレイミドフェニル)メタン:143.0gと、KF−8012(信越化学工業社製、商品名、アミン当量2200):88.0gと、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン:14.0gと、p−アミノフェノール:5.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテル:250.0gを入れ、115℃で3時間反応させて、分子構造中に酸性置換基を有するシロキサン変性ポリイミド(P−7)含有溶液を得た。
【0069】
実施例1〜12、比較例1〜3
製造実施例1〜5で得られたシロキサン変性ポリイミド含有溶液又は製造比較例1〜2で得られたシロキサン変性ポリイミド含有溶液と、以下に示す熱硬化性樹脂、無機充填剤、硬化促進剤、及び希釈溶剤にメチルエチルケトンを使用して、表2〜表4に示した配合割合(質量部)で混合して樹脂分65質量%の均一なワニスを得た。
【0070】
(熱硬化性樹脂)
PT−30:ノボラック型シアネート樹脂〔ロンザジャパン(株)製、商品名〕
BA230:ビスフェノールAジシアネートプレポリマー〔ロンザジャパン(株)製、商品名〕
NC−3000−H、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂〔日本化薬(株)製、商品名〕
NC−7000L、α―ナフトール/クレゾールノボラック型エポキシ樹脂〔日本化薬(株)製、商品名〕
(無機充填剤)
SC2050−KNK:溶融シリカ〔アドマテック(株)製、商品名〕
(硬化促進剤)
G−8009L:イソシアネートマスクイミダゾール〔第一工業製薬(株)製、商品名〕
【0071】
次に、上記ワニスを厚さ0.1mmのEガラスクロスに含浸塗工し、160℃で10分加熱乾燥して樹脂含有量48質量%のプリプレグを得た。
このプリプレグを4枚重ね、12μmの電解銅箔を上下に配置し、圧力2.5MPa、温度240℃で60分間プレスを行って、銅張積層板を得た。
得られた銅張積層板の測定・評価結果を表2〜表4に示す。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
表2〜表4から明らかなように、本発明の実施例では、熱膨張率、耐デスミア性に優れている。一方、比較例は、実施例と比較し、熱膨張率、耐デスミア性に劣っている。