【文献】
辻 定彦 著,「レンズ設計のすべて 〜光学設計の真髄を探る〜」,株式会社電波新聞社,2006年 9月10日,第1版第1刷,p. 171、p. 173、p. 181、p. 316
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本願の実施形態にかかる光学系、光学装置について説明する。なお、以下の実施の形態は、発明の理解を容易にするためのものに過ぎず、本願発明の技術的思想を逸脱しない範囲において当業者により実施可能な付加・置換等を施すことを排除することは意図していない。
【0011】
本願の光学系は、最も物体側に配置される正屈折力の第1レンズ群と、前記第1レンズ群の像側に配置される絞り部材と、前記絞り部材の像側に配置される第2レンズ群とを有することを特徴としている。この構成により、正屈折力の第1レンズ群の像面湾曲面に沿った焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を絞り部材により低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止し、結像性能への影響を低減することが可能になる。
【0012】
また、本願の光学系は、以下の条件式(1)、(2)を満足する状態を有することを特徴とする。
(1) 0.20 < ds/f1 < 0.60
(2) 1.00×φ2 < φs < 0.8×φ1 (単位:mm)
但し、
ds:前記第1レンズ群の最も像側のレンズのレンズ面と前記絞り部材との光軸上の距離
f1:前記第1レンズ群の焦点距離
φ1:前記第1レンズ群の最も像側に配置されるレンズの外径
φ2:前記第2レンズ群の最も物体側に配置されるレンズの外径
φs:前記絞り部材の開口径
である。
【0013】
条件式(1)は、絞り部材の光軸上の最適な位置を第1レンズ群の焦点距離との関係で規定する式である。本願の光学系は、条件式(1)を満足することにより、正屈折力の第1レンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる。
【0014】
条件式(1)の対応値が下限値を下回ると、正屈折力の第1レンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を良好に低減することができなくなり、結像性能への影響を低減することが難しくなるので好ましくない。
【0015】
一方、条件式(1)の対応値が上限値を上回ると、光学系の有効光束内に絞り部材の端部がかかり有効光束を遮り、結像性能に影響を与えるので好ましくない。また、絞り部材の端部に光線が集光し、絞りが熱を持ち光学性能に影響を与えるので好ましくない。
【0016】
条件式(2)は、絞り部材の最適な開口径を第1レンズ群と第2レンズ群の外径との関係で規定する式である。本願の光学系は、条件式(2)を満足することにより、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる。
【0017】
条件式(2)の対応値が下限値を下回ると、光学系の有効光束内に絞り部材の端部がかかり有効光束を遮り、結像性能に影響を与えるので好ましくない。また、絞り部材の端部に光線が集光し、絞りが熱を持ち光学性能に影響を与えるので好ましくない。
【0018】
一方、条件式(2)の対応値が上限値を上回ると、正屈折力の第1レンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を良好に低減することができなくなり、結像性能への影響を低減することが難しくなるので好ましくない。
【0019】
また、本願の光学系は、前記絞り部材の開口径は、当該絞り部材の光軸に沿った位置における前記光学系の有効径より大きいことが望ましい。
【0020】
本願の光学系は、前記絞り部材の開口径は、当該絞り部材の光軸に沿った位置における前記光学系の有効径より大きいことにより、有効光束には影響を与えず、正屈折力の第1レンズ群の焦点位置に集光する有効光束(最大画角)外の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる。また、絞り部材の開口径が有効径より大きくない場合、絞り部材にあたる光線が反射して画面内にフレアとなって到達し結像を悪化させることがあるため、好ましくない。
【0021】
また、本願の光学系は変倍可能であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記第2レンズ群の間隔が変化することが望ましい。この構成により、本願の光学系は、良好な結像性能を有する変倍光学系を実現することができる。
【0022】
また、本願の光学系は変倍可能であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第1レンズ群と前記絞り部材の間隔が変化することが望ましい。この構成により、有効光束には影響を与えず、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱しやすい状態、即ち第1レンズ群と第2レンズ群の距離が離れた状態において、最も発熱を低減できる状態を作ることが可能となり、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる変倍光学系を実現することができる。
【0023】
また、本願の光学系は変倍可能であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記第2レンズ群と前記絞り部材の間隔が変化することが望ましい。この構成により、有効光束には影響を与えず、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱しやすい状態、即ち第1レンズ群と第2レンズ群の距離が離れた状態において、最も発熱を低減できる状態を作ることが可能となり、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる変倍光学系を実現することができる。
【0024】
また、本願の光学系は変倍可能であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、前記絞り部材を光軸に沿って移動する移動手段を有することが好ましい。この構成により、変倍光学系において、絞り部材を最適位置に配置することができ、有効光束には影響を与えず、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる変倍光学系を実現することができる。
【0025】
また、本願の光学系において、前記絞り部材は、表面に反射防止部材を有することが望ましい。この構成により、絞り部材表面に当たった有効光束外(最大画角以上)の光が絞り部材表面で反射し、鏡筒内面で反射を繰り返して像面に到達することで発生するフレア光を低減し、結像性能への影響を低減することができる光学系を実現することができる。
【0026】
また、本願の光学系は、前記絞り部材の光軸側端部の光軸上の位置は、当該絞り部材の鏡筒側端部の光軸上の位置より像面側にあることが望ましい。この構成により、光学系の鏡筒内に配置された各種部材と絞り部材の端部とが干渉することを防止することができ、絞り部材を最適位置に配置することができ、有効光束には影響を与えず、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる変倍光学系を実現することができる。
【0027】
本願の光学装置は、上述した構成の光学系を有することを特徴としている。これにより、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができ、高い決像性能を有する光学装置を実現することができる。
【0028】
以下、本願の数値実施例に係る光学系である変倍光学系を添付図面に基づいて説明する。
【0029】
(第1実施例)
図1(a)、
図1(b)、
図1(c)はそれぞれ、本願の第1実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
【0030】
本願の第1実施例に係る光学系は、最も物体側に配置される正屈折力の第1レンズ群G1と、第1レンズ群G1の像側に配置される負屈折力の第2レンズ群G2と、第2レンズ群G2の像側に配置される正屈折力の第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3の像側に配置される負屈折力の第4レンズ群G4と、第4レンズ群G4の像側に配置される正屈折力の第5レンズ群G5から構成される。第3レンズ群G3の物体側には開口絞りSが配置される。
【0031】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成される。
【0032】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成され、負メニスカスレンズL24は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0033】
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に絞り部材STが配置される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズで構成される。
【0034】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と両凹形状の負レンズL42との接合レンズと、両凹形状の負レンズL43と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44との接合レンズで構成される。両凹形状の負レンズL42は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0035】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL51と、両凸形状の正レンズL52と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL54と両凸形状の正レンズL55との接合レンズと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL56から構成され、負メニスカスレンズL56は像側の面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズであり、負メニスカスレンズL56から射出した光線は像面Iに結像する。
【0036】
以上の構成の下、本第1実施例に係る光学系では、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は減少し、開口絞りSと第3レンズ群G3との間隔は減少し、開口絞りSと第4レンズ群G4は一体に移動するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで物体側へ移動し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで像側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動し、開口絞りSと第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は、広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで物体側へ移動し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで像側へ移動する。
【0037】
絞り部材STは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍時に、第1レンズ群G1と絞り部材STとの間隔は増大し、絞り部材STと第2レンズ群G2との間隔は増大する。
【0038】
なお、本第1実施例においては不図示のローパスフィルターやセンサーカバーガラスなどを負メニスカスレンズL56と像面Iの間に配置してもよい。
【0039】
以下の表1に、本実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
表1において、fは焦点距離、BFはバックフォーカス(最も像側のレンズ面と像面Iとの光軸上の距離)を示す。
【0040】
[面データ]において、面番号は物体側から数えた光学面の順番、rは曲率半径、dは面間隔(第n面(nは整数)と第n+1面との間隔)、ndはd線(波長587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、可変は可変の面間隔、絞りSは開口絞りS、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示している。非球面は面番号に*を付して曲率半径rの欄に近軸曲率半径の値を示している。空気の屈折率nd=1.000000の記載は省略している。
【0041】
[非球面データ]には、[面データ]に示した非球面について、その形状を次式で表した場合の非球面係数及び円錐定数を示す。
x=(h
2/r)/[1+{1−κ(h/r)
2}
1/2]
+A4h
4+A6h
6+A8h
8+A10h
10
ここで、hを光軸に垂直な方向の高さ、xを高さhにおける非球面の頂点の接平面から当該非球面までの光軸方向に沿った距離(サグ量)、κを円錐定数、A4,A6,A8,A10を非球面係数、rを基準球面の曲率半径(近軸曲率半径)とする。なお、「E−n」(nは整数)は「×10
−n」を示し、例えば「1.234E-05」は「1.234×10
−5」を示す。2次の非球面係数A2は0であり、記載を省略している。
【0042】
[各種データ]において、FNOはFナンバー、ωは半画角(単位は「°」)、Yは像高、TLは変倍光学系の全長(無限遠物体合焦時の第1面から像面Iまでの光軸上の距離)、dnは第n面と第n+1面との可変の間隔、φは開口絞りSの絞り径をそれぞれ示す。なお、Wは広角端状態、M中間焦点距離状態、Tは望遠端状態をそれぞれ示す。
【0043】
[レンズ群データ]には、各レンズ群の始面と焦点距離を示す。
[絞り部材配置]において、d1は第1レンズ群G1の最も像側のレンズ面から第2レンズ群G2の最も物体側のレンズ面までの距離を光軸に沿って測った距離、dsは第1レンズ群G1の最も像側のレンズ面と絞り部材STの開口部との光軸に沿って測った距離、ds2は絞り部材STの開口部と第2レンズ群G2の最も物体側のレンズ面の光軸に沿って測った距離、φeは絞り部材ST位置における光線有効径、φsは絞り部材STの開口径、φ1は第1レンズ群G1の最も像側に配置されるレンズL13の外径、φ2は第2レンズ群G2の最も物体側に配置されるレンズL21の外径をそれぞれ示す。
【0044】
[条件式対応値]には、本実施例に係る光学系の各条件式の対応値を示す。
ここで、表1に掲載されている焦点距離f、曲率半径r及びその他の長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大又は比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
【0045】
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0046】
(表1)第1実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 104.5118 1.6000 2.003300 28.27
2 39.3751 7.4000 1.497820 82.57
3 -463.5701 0.1000
4 40.3116 5.4000 1.834810 42.73
5 241.9089 可変
*6 79.9711 1.0000 1.851350 40.10
7 8.1252 4.8500
8 -14.2116 1.0000 1.883000 40.66
9 124.9279 0.1000
10 30.8124 3.3500 1.808090 22.74
11 -15.1873 0.3000
12 -13.2222 1.0000 1.883000 40.66
13 -23.0302 可変
14(絞り) ∞ 可変
15 26.1923 1.0000 1.954000 33.46
16 12.2483 2.8500 1.719990 50.27
17 -43.5073 可変
18 14.5527 2.8500 1.497820 82.57
19 -40.3302 1.0000 1.950000 29.37
20 173.4596 2.1500
*21 -105.0156 1.0000 1.806100 40.71
22 10.9037 2.2000 1.808090 22.74
23 28.6084 可変
24 30.6882 2.8500 1.579570 53.74
25 -18.3905 0.1000
26 18.8919 3.6000 1.518230 58.82
27 -13.1344 1.0000 2.000690 25.46
28 -2198.5412 0.7500
29 412.2295 1.0000 1.954000 33.46
30 12.8823 3.5000 1.755200 27.57
31 -23.7185 1.1500
32 -16.1296 1.0000 1.806100 40.71
*33 -97.3104 BF
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ -8.7294
A4 4.64796E-05
A6 -4.09659E-07
A8 2.44519E-09
A10 -9.90503E-12
第21面
κ -1.5760
A4 1.72590E-05
A6 9.45415E-08
A8 -1.00397E-09
A10 0.00000E+00
第33面
κ -19.8082
A4 -1.67719E-05
A6 -2.11776E-07
A8 -4.15932E-10
A10 -1.15008E-11
[各種データ]
変倍比 9.42
W T
f 10.30 〜 97.00
FNO 4.09 〜 5.81
ω 40.21 〜 4.76°
Y 8.19 〜 8.19
W M T
f 10.30000 50.00013 97.00039
ω 40.21337 9.15519 4.75685
FNO 4.09 5.78 5.81
φ 7.68 8.50 9.20
TL 100.29944 130.25093 139.59967
d5 2.10000 28.50000 39.66696
d13 17.38897 3.31447 2.00000
d14 4.87082 3.98262 1.60000
d17 2.59389 3.48209 5.86471
d23 5.29632 3.42829 3.30000
BF 13.94944 33.44346 33.06800
[レンズ群データ]
群 始面 f
1(f1) 1 64.38705
2 6 -9.57903
3 15 29.91408
4 18 -81.48313
5 24 28.77173
[絞り部材配置]
W M T
f 10.30000 50.00013 97.00039
d5 2.10000 28.50000 39.66696
ds 1.80000 16.20000 16.20000
ds2 0.30000 12.30000 23.46696
φe 19.6 20.7 24.4
φs = 26.5
φ1= 40.0
φ2= 17.5
[条件式対応値]
(1) ds/f1 = 0.25 (望遠端状態Tにおいて)
(2) φs = 26.5 (単位:mm)
1.00×φ2 = 17.5
0.80×φ1 = 32.0
【0047】
本第1実施例に係る光学系では、絞り部材の開口径φsは、絞り部材ST位置における光線有効径φeより大きい。また、望遠端状態Tにおける絞り部材STによる減光率は、光軸からの高さ22mmにおける第1レンズ群G1の像点位置において約25%であり、十分な減光効果を有している。
【0048】
(第2実施例)
図2(a)、
図2(b)、
図2(c)はそれぞれ、本願の第2実施例に係る光学系の広角端状態、中間焦点距離状態、及び望遠端状態における断面図である。
【0049】
本願の第2実施例に係る光学系は、最も物体側に配置される正屈折力の第1レンズ群G1と、第1レンズ群G1の像側に配置される負屈折力の第2レンズ群G2と、第2レンズ群G2の像側に配置される正屈折力の第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3の像側に配置される負屈折力の第4レンズ群G4と、第4レンズ群G4の像側に配置される正屈折力の第5レンズ群G5から構成される。第3レンズ群G3の物体側には開口絞りSが配置される。
【0050】
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に絞り部材STが配置される。
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL13から構成される。
【0051】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹形状の負レンズL22と、両凸形状の正レンズL23と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24から構成され、負メニスカスレンズL24は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0052】
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズで構成される。
【0053】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と両凹形状の負レンズL42との接合レンズと、両凹形状の負レンズL43と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL44との接合レンズで構成される。両凹形状の負レンズL42は、物体側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。
【0054】
第5レンズ群G5は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL51と、両凸形状の正レンズL52と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL53との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL54と両凸形状の正レンズL55との接合レンズと、像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL56から構成され、負メニスカスレンズL56は像側の面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズであり、負メニスカスレンズL56から射出した光線は像面Iに結像する。
【0055】
以上の構成の下、本第2実施例に係る光学系では、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍時に、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は増大し、第4レンズ群G4と第5レンズ群G5との間隔は減少し、開口絞りSと第3レンズ群G3との間隔は減少し、開口絞りSと第4レンズ群G4は一体に移動するように、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで物体側へ移動し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで像側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動し、開口絞りSと第4レンズ群G4と第5レンズ群G5は、広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで物体側へ移動し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで像側へ移動する。
【0056】
絞り部材STは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍時に、第1レンズ群G1と絞り部材STとの間隔は増大し、絞り部材STと第2レンズ群G2との間隔は増大する。
【0057】
なお、本第2実施例においては不図示のローパスフィルターやセンサーカバーガラスなどを負メニスカスレンズL56と像面Iの間に配置してもよい。
【0058】
以下の表2に、本第2実施例に係る光学系の諸元の値を掲げる。
(表2)第2実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 104.5118 1.6000 2.003300 28.27
2 39.3751 7.4000 1.497820 82.57
3 -463.5701 0.1000
4 40.3116 5.4000 1.834810 42.73
5 241.9089 可変
*6 79.9711 1.0000 1.851350 40.10
7 8.1252 4.8500
8 -14.2116 1.0000 1.883000 40.66
9 124.9279 0.1000
10 30.8124 3.3500 1.808090 22.74
11 -15.1873 0.3000
12 -13.2222 1.0000 1.883000 40.66
13 -23.0302 可変
14(絞り) ∞ 可変
15 26.1923 1.0000 1.954000 33.46
16 12.2483 2.8500 1.719990 50.27
17 -43.5073 可変
18 14.5527 2.8500 1.497820 82.57
19 -40.3302 1.0000 1.950000 29.37
20 173.4596 2.1500
*21 -105.0156 1.0000 1.806100 40.71
22 10.9037 2.2000 1.808090 22.74
23 28.6084 可変
24 30.6882 2.8500 1.579570 53.74
25 -18.3905 0.1000
26 18.8919 3.6000 1.518230 58.82
27 -13.1344 1.0000 2.000690 25.46
28 -2198.5412 0.7500
29 412.2295 1.0000 1.954000 33.46
30 12.8823 3.5000 1.755200 27.57
31 -23.7185 1.1500
32 -16.1296 1.0000 1.806100 40.71
*33 -97.3104 BF
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ -8.7294
A4 4.64796E-05
A6 -4.09659E-07
A8 2.44519E-09
A10 -9.90503E-12
第21面
κ -1.5760
A4 1.72590E-05
A6 9.45415E-08
A8 -1.00397E-09
A10 0.00000E+00
第33面
κ -19.8082
A4 -1.67719E-05
A6 -2.11776E-07
A8 -4.15932E-10
A10 -1.15008E-11
[各種データ]
変倍比 9.42
W T
f 10.30 〜 97.00
FNO 4.09 〜 5.81
ω 40.21 〜 4.76°
Y 8.19 〜 8.19
W M T
f 10.30000 50.00013 97.00039
ω 40.21337 9.15519 4.75685
FNO 4.09 5.78 5.81
φ 7.68 8.50 9.20
TL 100.29944 130.25093 139.59967
d5 2.10000 28.50000 39.66696
d13 17.38897 3.31447 2.00000
d14 4.87082 3.98262 1.60000
d17 2.59389 3.48209 5.86471
d23 5.29632 3.42829 3.30000
BF 13.94944 33.44346 33.06800
[レンズ群データ]
群 始面 f
1(f1) 1 64.387056
2 6 -9.57903
3 15 29.91408
4 18 -81.48313
5 24 28.77173
[絞り部材配置]
W M T
f 10.30000 50.00013 97.00039
d5 2.10000 28.50000 39.66696
ds 2.40000 20.40000 28.60000
ds2 -0.30000 8.10000 11.06696
φe 17.2 16.6 14.5
φs = 22.5
φ1= 40.0
φ2= 17.5
[条件式対応値]
(1) ds/f1 = 0.44 (望遠端状態において)
(2) φs = 22.5 (単位:mm)
1.00×φ2 = 17.5
0.80×φ1 = 32.0
【0059】
本第2実施例に係る光学系では、絞り部材の開口径φsは、絞り部材ST位置における光線有効径φeより大きい。また、望遠端状態Tにおける絞り部材STによる減光率は、光軸からの高さ22mmにおける第1レンズ群G1の像点位置において約55%であり、十分な減光効果を有している。
【0060】
(第3実施例)
図3(a)、
図3(b)、
図3(c)はそれぞれ、本願の第3実施例のレンズ構成を示す断面図である。
【0061】
第3実施例に係る光学系は、最も物体側に配置される正屈折力の第1レンズ群G1と、第1レンズ群G1の像側に配置される負屈折力の第2レンズ群G2と、第2レンズ群G2の像側に配置される正屈折力の第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3の像側に配置される正屈折力の第4レンズ群G4から構成される。第3レンズ群G3の物体側には開口絞りSが配置される。
【0062】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた平凸形状の正レンズL13から構成される。
【0063】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、両凸形状の正レンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24との接合レンズから構成され、負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした樹脂材料とガラス材料の複合型非球面レンズである。
【0064】
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に絞り部材STが配置される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズで構成される。
【0065】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL43と両凹形状の負レンズL44との接合レンズと、両凸形状の正レンズL45と、両凸形状の正レンズL46と両凹形状の負レンズL47との接合レンズと、両凸形状の正レンズL48と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL49との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL410から構成され、両凹形状の負レンズL44は、像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズであり、負メニスカスレンズL410は、像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。負メニスカスレンズL410から射出した光線は像面Iに結像する。
【0066】
以下の構成の下、本第3実施例に係る光学系では、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は、広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで減少し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで増大し、開口絞りSと第3レンズ群G3との間隔は、広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで増大し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで減少し、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、開口絞りSと第3レンズ群G3と第4レンズ群G4は単調に物体側へ移動する。また、開口絞りSと第4レンズ群G4は一体に移動する。
【0067】
絞り部材STは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍時に、第1レンズ群G1と絞り部材STとの間隔は増大し、絞り部材STと第2レンズ群G2との間隔は増大する。
【0068】
なお、本実施例においては不図示のローパスフィルターやセンサーカバーガラスなどを負メニスカスレンズL19と像面Iの間に配置してもよい。
【0069】
以下の表3に第3実施例に係るレンズ系の諸元値を掲げる。
(表3)第3実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 145.1831 1.7000 2.001000 29.14
2 36.6390 8.1000 1.497820 82.57
3 -399.3519 0.1000
4 43.2076 6.0000 1.883000 40.66
5 ∞ 可変
*6 436.5967 0.1000 1.553890 38.09
7 87.0031 1.1000 1.834810 42.73
8 8.3001 5.3500
9 -12.6073 1.0000 1.755000 52.34
10 -32.7993 0.8000
11 41.1197 2.9500 1.808090 22.74
12 -19.6043 0.9000 1.883000 40.66
13 -73.1316 可変
14(絞り) ∞ 可変
15 22.3725 0.9000 1.902650 35.73
16 12.2299 3.4500 1.670030 47.14
17 -59.6992 可変
18 13.7390 3.6000 1.497820 82.57
19 -24.8201 0.9000 2.000690 25.46
20 -270.0138 2.2000
21 -117.0547 2.0500 1.846660 23.80
22 -15.9850 1.0000 1.773770 47.25
*23 24.1750 2.0836
24 66.3654 2.8000 1.568830 56.00
25 -15.4473 0.1000
26 44.9939 2.7500 1.517420 52.20
27 -15.2012 0.9000 1.903660 31.27
28 29.9926 0.3000
29 14.6093 5.0500 1.672700 32.19
30 -9.1997 0.9000 2.000690 25.46
31 -24.3892 1.4000
32 -12.8617 1.0000 1.851350 40.10
*33 -27.4946 可変
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ 20.0000
A4 9.17458E-05
A6 -6.51986E-07
A8 2.69890E-09
A10 -1.23751E-11
第23面
κ 0.4823
A4 -7.24815E-06
A6 -3.60139E-07
A8 4.05630E-09
A10 0.00000E+00
第33面
κ -20.0000
A4 -1.22780E-04
A6 8.28360E-07
A8 -6.05245E-09
A10 -9.88805E-11
[各種データ]
変倍比 9.42
W T
f 10.30 〜 96.99
FNO 4.12 〜 5.81
ω 40.44 〜 4.73°
Y 8.19 〜 8.19
W M T
f 10.30260 30.00000 96.99284
ω 40.44283 14.85841 4.72723
FNO 4.12 5.48 5.81
φ 8.12 8.12 9.70
TL 103.02710 121.37977 143.32397
d5 2.10606 20.13084 40.20889
d13 19.66416 6.24359 1.80000
d14 4.27874 4.97381 1.80000
d17 3.43763 2.74256 5.91637
BF 14.05688 27.80535 34.11509
[レンズ群データ]
群 始面 f
1(f1) 1 64.09778
2 6 -10.16794
3 15 31.06055
4 18 67.05869
[絞り部材配置]
W M T
f 10.30260 30.00000 96.99284
d5 2.10606 20.13084 40.20889
ds 3.20000 13.60000 25.00000
ds2 -1.09394 6.53084 15.20889
φe 14.6 18.3 18.0
φs = 27.2
φ1= 39.5
φ2= 21.5
[条件式対応値]
(1) ds/f1 = 0.39 (望遠端状態において)
(2) φs = 27.2 (単位:mm)
1.00×φ2 = 21.5
0.80×φ1 = 31.6
【0070】
本第3実施例に係る光学系では、絞り部材の開口径φsは、絞り部材ST位置における光線有効径φeより大きい。また、望遠端状態Tにおける絞り部材STによる減光率は、光軸からの高さ22mmにおける第1レンズ群G1の像点位置において約33%であり、十分な減光効果を有している。
【0071】
(第4実施例)
図4(a)、
図4(b)、
図4(c)はそれぞれ、本願の第4実施例のレンズ構成を示す断面図である。
【0072】
第4実施例に係る光学系は、最も物体側に配置される正屈折力の第1レンズ群G1と、第1レンズ群G1の像側に配置される負屈折力の第2レンズ群G2と、第2レンズ群G2の像側に配置される正屈折力の第3レンズ群G3と、第3レンズ群G3の像側に配置される正屈折力の第4レンズ群G4から構成される。第3レンズ群G3の物体側には開口絞りSが配置される。
【0073】
第1レンズ群G1は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL11と両凸形状の正レンズL12の接合レンズと、物体側に凸面を向けた平凸形状の正レンズL13から構成される。
【0074】
第2レンズ群G2は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL22と、両凸形状の正レンズL23と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL24との接合レンズから構成され、負メニスカスレンズL21は、物体側のレンズ面を非球面形状とした樹脂材料とガラス材料の複合型非球面レンズである。
【0075】
第1レンズ群G1と第2レンズ群G2の間に絞り部材STが配置される。
第3レンズ群G3は、物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL31と両凸形状の正レンズL32との接合レンズで構成される。
【0076】
第4レンズ群G4は、物体側から順に、両凸形状の正レンズL41と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL42との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL43と両凹形状の負レンズL44との接合レンズと、両凸形状の正レンズL45と、両凸形状の正レンズL46と両凹形状の負レンズL47との接合レンズと、両凸形状の正レンズL48と像側に凸面を向けた負メニスカスレンズL49との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL410から構成され、両凹形状の負レンズL44は、像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズであり、負メニスカスレンズL410は、像側のレンズ面を非球面形状としたガラスモールド非球面レンズである。負メニスカスレンズL410から射出した光線は像面Iに結像する。
【0077】
以下の構成の下、本第4実施例に係る光学系では、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍は、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少し、第3レンズ群G3と第4レンズ群G4との間隔は、広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで減少し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで増大し、開口絞りSと第3レンズ群G3との間隔は、広角端状態Wから中間焦点距離状態Mまで増大し、中間焦点距離状態Mから望遠端状態Tまで減少し、像面Iに対して、第1レンズ群G1は単調に物体側へ移動し、第2レンズ群G2は物体側へ移動し、開口絞りSと第3レンズ群G3と第4レンズ群G4は単調に物体側へ移動する。また、開口絞りSと第4レンズ群G4は一体に移動する。
【0078】
絞り部材STは、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍時に、第1レンズ群G1と絞り部材STとの間隔は増大し、絞り部材STと第2レンズ群G2との間隔は増大する。
【0079】
なお、本実施例においては不図示のローパスフィルターやセンサーカバーガラスなどを負メニスカスレンズL19と像面Iの間に配置してもよい。
【0080】
以下の表4に第4実施例に係るレンズ系の諸元値を掲げる。
(表4)第4実施例
[面データ]
面番号 r d nd νd
物面 ∞
1 145.1831 1.7000 2.001000 29.14
2 36.6390 8.1000 1.497820 82.57
3 -399.3519 0.1000
4 43.2076 6.0000 1.883000 40.66
5 ∞ 可変
*6 436.5967 0.1000 1.553890 38.09
7 87.0031 1.1000 1.834810 42.73
8 8.3001 5.3500
9 -12.6073 1.0000 1.755000 52.34
10 -32.7993 0.8000
11 41.1197 2.9500 1.808090 22.74
12 -19.6043 0.9000 1.883000 40.66
13 -73.1316 可変
14(絞り) ∞ 可変
15 22.3725 0.9000 1.902650 35.73
16 12.2299 3.4500 1.670030 47.14
17 -59.6992 可変
18 13.7390 3.6000 1.497820 82.57
19 -24.8201 0.9000 2.000690 25.46
20 -270.0138 2.2000
21 -117.0547 2.0500 1.846660 23.80
22 -15.9850 1.0000 1.773770 47.25
*23 24.1750 2.0836
24 66.3654 2.8000 1.568830 56.00
25 -15.4473 0.1000
26 44.9939 2.7500 1.517420 52.20
27 -15.2012 0.9000 1.903660 31.27
28 29.9926 0.3000
29 14.6093 5.0500 1.672700 32.19
30 -9.1997 0.9000 2.000690 25.46
31 -24.3892 1.4000
32 -12.8617 1.0000 1.851350 40.10
*33 -27.4946 可変
像面 ∞
[非球面データ]
第6面
κ 20.0000
A4 9.17458E-05
A6 -6.51986E-07
A8 2.69890E-09
A10 -1.23751E-11
第23面
κ 0.4823
A4 -7.24815E-06
A6 -3.60139E-07
A8 4.05630E-09
A10 0.00000E+00
第33面
κ -20.0000
A4 -1.22780E-04
A6 8.28360E-07
A8 -6.05245E-09
A10 -9.88805E-11
[各種データ]
変倍比 9.42
W T
f 10.30 〜 96.99
FNO 4.12 〜 5.81
ω 40.44 〜 4.73°
Y 8.19 〜 8.19
W M T
f 10.30260 30.00000 96.99284
ω 40.44283 14.85841 4.72723
FNO 4.12 5.48 5.81
φ 8.12 8.12 9.70
TL 103.02710 121.37977 143.32397
d5 2.10606 20.13084 40.20889
d13 19.66416 6.24359 1.80000
d14 4.27874 4.97381 1.80000
d17 3.43763 2.74256 5.91637
BF 14.05688 27.80535 34.11509
[レンズ群データ]
群 始面 f
1(f1) 1 64.09778
2 6 -10.16794
3 15 31.06055
4 18 67.05869
[絞り部材配置]
W M T
f 10.30260 30.00000 96.99284
d5 2.10606 20.13084 40.20889
ds 4.20000 10.10000 21.40000
ds2 -2.09394 10.03084 18.80889
φe 10.7 22.4 20.8
φs = 25.0
φ1= 39.5
φ2= 21.5
[条件式対応値]
(1) ds/f1 = 0.33 (望遠端状態において)
(2) φs = 25.0 (単位:mm)
1.00×φ2 = 21.5
0.80×φ1 = 31.6
【0081】
本第4実施例に係る光学系では、絞り部材の開口径φsは、絞り部材ST位置における光線有効径φeより大きい。また、望遠端状態Tにおける絞り部材STによる減光率は、光軸からの高さ22mmにおける第1レンズ群G1の像点位置において約43%であり、十分な減光効果を有している。
【0082】
上記各実施例によれば、有効光束には影響を与えず、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束(最大画角)外の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能の劣化を防止することができる変倍光学系を実現することができる。
【0083】
なお、上記各実施例は本願発明の一具体例を示しているものであり、本願発明はこれらに限定されるものではない。以下の内容は、本願の変倍光学系の光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0084】
上記各実施例では、光学系として変倍光学系の数値実施例を示したが、本願はこれに限られず単焦点レンズでもかまわない。
【0085】
また、本願の変倍光学系の数値実施例として4群構成と5群構成のものを示したが、本願はこれに限られず、その他の群構成(例えば、3群、6群等)の変倍光学系を構成することもできる。具体的には、本願の変倍光学系の最も物体側や最も像側にレンズ又はレンズ群を追加したり、削除した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、変倍時に変化する空気間隔で分離された、少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0086】
また、本願の変倍光学系は、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、或いは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としてもよい。特に、第3レンズ群の少なくとも一部又は第4レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。また、斯かる合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。
【0087】
また、本願の変倍光学系において、いずれかのレンズ群全体又はその一部を、防振レンズ群として光軸に対して垂直な方向の成分を含むように移動させ、又は光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることにより、手ぶれ等によって生じる像ぶれを補正する構成とすることもできる。特に、本願の変倍光学系では第4レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群とすることが好ましい。
【0088】
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面は、球面又は平面としてもよく、或いは非球面としてもよい。レンズ面が球面又は平面の場合、レンズ加工及び組立調整が容易になり、レンズ加工及び組立調整の誤差による光学性能の劣化を防ぐことができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、又はガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれでもよい。また、レンズ面は回折面としてもよく、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)或いはプラスチックレンズとしてもよい。
【0089】
また、本願の変倍光学系において開口絞りは第3レンズ群又は第4レンズ群の近傍に配置されることが好ましく、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用する構成としてもよい。
【0090】
また、本願の変倍光学系を構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施してもよい。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの高い光学性能を達成することができる。
【0091】
次に、本願の光学系を備えたカメラを
図5に基づいて説明する。
図5は、本願の光学系を備えたカメラの構成を示す図である。
【0092】
図5に示すようにカメラ1は、光学系2として上記第1実施例に係る変倍光学系を備えた一眼レフレックスカメラである。
【0093】
図5において、実施の形態にかかるカメラ1では、不図示の物体(被写体)からの光は、上記第1実施例にかかる光学系2で集光されて、クイックリターンミラー3を介して光学系2の像面Iに結像され、像面Iの近傍に配置された焦点板3で実像化される。そして焦点板3からの光は、ペンタプリズム4によって反射されて接眼光学系6へ導かれる。ペンタプリズム5によって正立像となった光は接眼光学系6で拡大されアイポイントEPヘ導かれる。このようにして撮影者は、被写体像を接眼光学系6を介して正立像として拡大観察することができる。
【0094】
また、撮影者によって不図示のレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、不図示の被写体からの光は撮像素子7へ到達する。これにより被写体からの光は、当該撮像素子7によって撮像されて、被写体画像として不図示のメモリに記録される。このようにして、撮影者は本カメラ1による被写体の撮影を行うことができる。
【0095】
ここで、本カメラ1に光学系2として搭載した上記第1実施例に係る変倍光学系は、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止し、結像性能への影響を低減し、高い光学性能を有する変倍光学系である。したがって本カメラ1は、正屈折力のレンズ群の焦点位置に集光する有効光束外(最大画角以上)の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止し、結像性能への影響を低減しながら、高い光学性能を実現することができる。なお、上記第2乃至第4実施例に係る変倍光学系を光学系2として搭載したカメラを構成しても、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。また、クイックリターンミラーを有さない、ミラーレスカメラに上記各実施例に係る光学系を搭載した場合でも、上記カメラ1と同様の効果を奏することができる。
【0096】
次に、本願の光学系を備えたレンズ鏡筒について説明する。
図6は、本願の光学系である変倍光学系のレンズ鏡筒の一例の断面図を示す。
図6において、光軸の上側の断面図は広角端状態を、光軸の下側の断面図は望遠端状態をそれぞれ示している。
【0097】
図6において、レンズ鏡筒100内には、物体側から順に、第1レンズ群G1と、絞り部材STと、第2レンズ群G2と、その他の部材、レンズ群等が配置されている。第1レンズ群、絞り部材ST、および第2レンズ群は、それぞれ第1レンズ群枠104、絞り部材枠106、第2レンズ群枠108、に固定されている。最も像側には、カメラ1に着脱する為のマウント部116が配置されている。広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群G1、第2レンズ群G2、およびその他のレンズ群等は、公知の機構によって光軸に沿って移動する。
【0098】
カム筒120は、第1レンズ群枠104と第2レンズ群枠108との間に配置され、最外周にはズーム環130が配置されている。カム筒120とズーム環130の間には、連結部材132が配置されている。
【0099】
カム筒120には、第1レンズ群枠104、第2レンズ群枠108等を光軸に沿って移動させるための不図示のカム溝 が形成されている。
【0100】
カム筒120の最も物体側近傍には、絞り部材枠STを光軸に沿って移動させる際のガイド溝孔140が形成されている。ガイド溝孔140には、絞り部材枠106が摺動可能に係合し、絞り部材106に台形ピン142が配置されている。台形ピン142の一端部は、第1レンズ群枠104に形成された絞り部材移動用カム溝孔144に係合されている。
【0101】
撮影者がズーム環130を光軸周りに時計・反時計方向に回転すると、連結部材132を介してカム筒120に伝達され、カム筒120に形成された各移動部材に対応する不図示のカム溝に係合したカムピン134、136を介して、第1レンズ群枠104、第2レンズ群枠108等を光軸に沿って前後に移動する。この際、絞り部材STは、第1レンズ群枠104の移動に伴って、第1レンズ群枠104に形成された絞り部材移動用カム溝144に係合した台形ピン142 を介して光軸に沿って移動する。そして絞り部材移動用カム溝144 は、広角端状態から望遠端状態への変倍に際して、絞り部材STを物体側に移動するように、かつ望遠端近傍において物体側から像面側に移動したのち物体側に移動するように形成されている。また、絞り部材STは表面に反射防止部材で構成される。
【0102】
レンズ鏡筒100が、上記の如く構成されているので、有効光束には影響を与えず、正屈折力のレンズ群(第1レンズ群)の焦点位置(図中の破線で示す)に集光する有効光束(最大画角)外の光を低減することで焦点位置近傍の部材の発熱を低減し、部材の変形や劣化を防止することができ、結像性能への影響を低減することができる。