特許第5949672号(P5949672)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5949672
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】検出装置、及び検出装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/487 20060101AFI20160630BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G01P3/487 B
   G01D5/245 110C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-121473(P2013-121473)
(22)【出願日】2013年6月10日
(65)【公開番号】特開2014-238354(P2014-238354A)
(43)【公開日】2014年12月18日
【審査請求日】2015年8月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】日立金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071526
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100099597
【弁理士】
【氏名又は名称】角田 賢二
(74)【代理人】
【識別番号】100119208
【弁理士】
【氏名又は名称】岩永 勇二
(74)【代理人】
【識別番号】100124235
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100124246
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 和光
(74)【代理人】
【識別番号】100128211
【弁理士】
【氏名又は名称】野見山 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100145171
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 浩行
(72)【発明者】
【氏名】池田 幸雄
【審査官】 岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−88335(JP,A)
【文献】 特開2010−197137(JP,A)
【文献】 特開2008−128647(JP,A)
【文献】 特開2005−98761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00− 5/62
G01P 1/00− 3/80
G01K 1/00−19/00
G01R33/00−33/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出素子を含むセンサ本体部、及び前記センサ本体部から引き出された複数のリード線を有するセンサと、
前記センサ本体部を収容する収容部を有する収容部材と、
前記センサ本体部に接することなく前記収容部材の少なくとも一部を含んで成形されたモールド樹脂からなるモールド成形体とを備え
前記収容部材には、前記センサ本体部を外部に臨ませる開口が前記収容部に形成され、
前記モールド成形体は、前記開口を覆っていない、
検出装置。
【請求項2】
前記収容部材は、前記リード線を保持する保持部を有し、
前記センサは、前記リード線が前記保持部に保持されることにより、前記センサ本体部が前記収容部の収容空間内に支持された、
請求項に記載の検出装置。
【請求項3】
前記センサ本体は、前記収容部材に接することなく支持されている
請求項に記載の検出装置。
【請求項4】
検出素子を含むセンサ本体部、及び前記センサ本体部から引き出された複数のリード線を有するセンサのうち、少なくとも前記センサ本体部を収容部材の収容部に収容する第1工程と、
前記センサ本体部に溶融樹脂を接触させることなく前記収容部材の少なくとも一部を含んでモールド樹脂を成形する第2工程とを有し、
前記収容部材の前記収容部に、前記センサ本体部を外部に臨ませる開口を形成し、
前記開口を覆うことなく前記モールド樹脂を成形する、
検出装置の製造方法。
【請求項5】
前記収容部材に、前記リード線を保持する保持部を形成し、
前記リード線を前記保持部に保持することにより、前記センサ本体部を前記収容部の収容空間内に支持した、
請求項4に記載の検出装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁界や温度等の状態量を検出するセンサを有する検出装置、及び検出装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば磁界を検出するセンサとしてのホールICを樹脂によってモールドし、このホールICによって検出される磁界の強度の変化によって車両のハンドルに加えられるトルクを検出するトルク検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のトルク検出装置は、ハンドルにつながる入力軸と、操舵輪につながる出力軸と、入力軸及び出力軸を連結するトーションバーと、多極磁石と、一対の多極ヨークと、2つのホールICとを備え、ハンドルに加えられるトルクによるトーションバーの捩じれによって多極磁石と一対の多極ヨークとが相対回転するように構成されている。一対の多極ヨークの外周側には環状をなす一対の集磁リングが配置され、それぞれの集磁リングには、周方向の1箇所に径方向に突出する集磁部が設けられている。一方の集磁リングの集磁部と他方の集磁リングの集磁部との間には2つのホールICが配置されている。
【0004】
多極磁石と一対の多極ヨークとが相対回転すると、その相対回転角度に応じてホールICで検出される磁界の強度が変化するので、この磁界の強度の変化によってハンドルに加えられるトルクを検出することが可能である。2つのホールICは、一対の集磁リングと共に樹脂部材にモールドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−265581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、環状の樹脂部材をモールド成形する際には、2つのホールICを金型の成形空間内に配置し、この成形空間内に溶融した樹脂を射出する。溶融した樹脂は、例えば270℃と高温であるため、ホールICの検出精度がモールド成形時の熱によって低下してしまうおそれがあった。
【0007】
そこで、本発明は、センサを樹脂によってモールドする際の熱によりセンサの検出精度が低下することを抑制することができる検出装置、及び検出装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、検出素子を含むセンサ本体部、及び前記センサ本体部から引き出された複数のリード線を有するセンサと、前記センサ本体部を収容する収容部を有する収容部材と、前記センサ本体部に接することなく前記収容部材の少なくとも一部を含んで成形されたモールド樹脂からなるモールド成形体とを備えた検出装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、検出素子を含むセンサ本体部、及び前記センサ本体部から引き出された複数のリード線を有するセンサのうち、少なくとも前記センサ本体部を収容部材の収容部に収容する第1工程と、前記センサ本体部に溶融樹脂を接触させることなく前記収容部材の少なくとも一部を含んでモールド樹脂を成形する第2工程とを有する検出装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る検出装置、及び検出装置の製造方法によれば、センサを樹脂によってモールドする際の熱によりセンサの検出精度が低下することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る回転検出装置、及びこの回転検出装置を有する車両用の車輪軸受装置の構成例を示す断面図である。
図2図1の部分拡大図である。
図3】磁性体を示す部分拡大図である。
図4】センサモジュールを示す正面図である。
図5】収容ケースを示し、(a)は図4のA−A線断面図、(b)は第2の樹脂部材の正面図、(c)は収容ケースの背面図である。
図6】本発明の第2の実施の形態に係るセンサモジュールを示し、(a)は断面図、(b)は底面図である。
図7】第2の実施の形態に係る収容ケースを示し、(a)及び(b)は斜視図、(c)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施の形態]
本発明の実施の形態について、図1図5を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る回転検出装置1、及びこの回転検出装置1を有する車両用の車輪軸受装置10の構成例を示す断面図である。図2は、図1の部分拡大図である。図3は、磁性体22を示す部分拡大図である。
【0014】
(車輪軸受装置10の構成)
車輪軸受装置10は、円筒状の本体部110、及び車輪が取り付けられるフランジ部111を有する内輪11と、内輪11の本体部110の外周側に配置された外輪12と、内輪11と外輪12との間に配置された複数の転動体13と、内輪11の外輪12に対する回転速度を検出するための回転検出装置1とを備えている。
【0015】
内輪11の本体部110の中心部には、その回転軸線Oに沿ってドライブシャフトを連結するためのスプライン嵌合部110aが形成されている。内輪11のフランジ部111は、本体部110の径方向外側に突出して本体部110と一体に形成されている。フランジ部111には、図示しない車輪を取り付けるためのボルトが圧入される複数の貫通孔111aが形成されている。
【0016】
外輪12は、円筒状に形成され、懸架装置を介して車体に連結されたナックル6に複数のボルト61(図1には1つのみ示す)によって固定されている。ナックル6には、後述するセンサモジュール3を取り付けるための貫通孔5aが形成されている。
【0017】
内輪11と外輪12との間の環状の空間は、第1のシール部材14及び第2のシール部材15によって封止されている。第1のシール部材14は、内輪11のフランジ部111側に配置され、第2のシール部材15はその反対側(車体側)に配置されている。第2のシール部材15は、断面L字状の芯金151と、芯金151に加硫接着によって接着された弾性部材152とからなり、芯金151の外周に形成された円筒部151aが外輪12の外周面に圧入されている。弾性部材152は、円筒部151aの一端から内方に延びる鍔部151bに例えば加硫接着によって接着されている。芯金151は、オーステナイト系ステンレスやアルミニウム等の非磁性の金属からなる。
【0018】
回転検出装置1は、内輪11における本体部110の外周に固定された磁気エンコーダ2と、磁気エンコーダ2の回転に伴う磁界の変化を検出するためのセンサモジュール3とを有して構成されている。磁気エンコーダ2は、内輪11における本体部110の外周面に固定された非磁性体からなる環状の支持部21と、支持部21に支持された環状の磁性体22とを有している。磁性体22は、図3に示すように、周方向に沿って複数のN極221及び複数のS極222が交互に設けられ、車輪及び内輪11と共に回転する。
【0019】
センサモジュール3は、樹脂ケース30と、磁界センサ4と、磁界センサ4の磁気エンコーダ2とは反対側に配置された磁性体としてのヨーク300とを有している。樹脂ケース30は、磁界センサ4を収容する樹脂からなる収容ケース31と、収容ケース31の少なくとも一部を含んで成形されたモールド樹脂からなるモールド成形体32とを有している。センサモジュール3は、ボルト61によってナックル6に固定されている。
【0020】
回転検出装置1は、磁気エンコーダ2の回転によって変化する磁界の強度をセンサモジュール3の磁界センサ4によって検出し、磁界の強度に応じた信号を出力する。車輪が回転すると、その回転に伴って内輪11及び磁気エンコーダ2が回転軸線Oを中心として回転し、磁界センサ4によって検出される磁気エンコーダ2の磁界の強度が変化するので、回転検出装置1から出力される信号の変化の周期に基づいて、車輪の回転速度を求めることが可能である。
【0021】
(センサモジュール3の構成)
図4は、センサモジュール3を示す正面図である。図4では、説明のため、樹脂ケース30の内部における収容ケース31及び磁界センサ4を実線及び破線で示している。
【0022】
磁界センサ4は、磁気エンコーダ2の回転によって変化する磁束密度を検出する磁界検出素子(ホール素子)40aを含むセンサ本体部40と、センサ本体部40から引き出された複数(本実施の形態では2本)のリード線41とを有している。複数のリード線41はそれぞれ、樹脂ケース30から引き出されたケーブル43に含まれる複数の電線42に半田付けや溶接等によって接続されている。
【0023】
磁界センサ4のセンサ本体部40は、収容ケース31に収容されている。収容ケース31、収容ケース31から導出された複数のリード線41、及び複数の電線42は、モールド成形体32に一括してモールドされている。
【0024】
モールド成形体32は、磁界センサ4のセンサ本体部40に接することなく、収容ケース31及びヨーク300を含んでモールド成形されたモールド樹脂からなる。より具体的には、モールド成形体32は、収容ケース31及びヨーク300がモールドされた本体部321と、ナックル6にボルト61によって固定される固定部322とを一体に有している。複数の電線42は、本体部321内にて束ねられ、ケーブル43のシースの内部に収容されている。
【0025】
(収容ケース31の構成)
図5は、収容ケース31を示し、(a)は図4のA−A線断面図、(b)は収容ケース31を構成する第2の樹脂部材312を示す正面図、(c)は収容ケース31の背面図である。なお、図5(a)及び(b)では、説明のために磁界センサ4を二点鎖線で示している。
【0026】
収容ケース31は、例えばABS樹脂等の硬質の樹脂からなり、第1の樹脂部材311及び第2の樹脂部材312が組み合わされて構成されている。第1の樹脂部材311及び第2の樹脂部材312は、例えば射出成型によって形成することができる。
【0027】
第1の樹脂部材311は、磁界センサ4のセンサ本体部40を収容する収容部311Aと、複数のリード線41を保持する保持部311Bとを有している。同様に、第2の樹脂部材312は、磁界センサ4のセンサ本体部40を収容する収容部312Aと、複数のリード線41を保持する保持部312Bとを有している。
【0028】
第1の樹脂部材311の収容部311Aには、磁界センサ4のセンサ本体部40を収容するための凹部311aが形成されている。同様に、第2の樹脂部材312の収容部312Aには、磁界センサ4のセンサ本体部40を収容するための凹部312aが形成されている。
【0029】
第1の樹脂部材311の収容部311Aと第2の樹脂部材312の収容部312Aとが組み合わされることにより、収容ケース31の収容部31Aが構成される。また、第1の樹脂部材311の凹部311aと第2の樹脂部材312の凹部312aとが組み合わされることにより、直方体状の収容空間310が形成される。
【0030】
収容ケース31は、収容部31Aがセンサ本体部40の全体を囲むように形成され、モールド成形体32は、収容ケース31の収容部31Aを封止している。
【0031】
第1の樹脂部材311の保持部311Bには、複数のリード線41を保持するための複数(本実施の形態では2つ)の保持溝(第1の保持溝311b及び第2の保持溝311c)が形成されている。同様に、第2の樹脂部材312の保持部312Bには、複数のリード線41を保持するための複数(本実施の形態では2つ)の保持溝(第1の保持溝312b及び第2の保持溝312c)が形成されている。
【0032】
図5(c)に示すように、第1の樹脂部材311の保持部311Bと第2の樹脂部材312の保持部312Bとが組み合わされることにより、収容ケース31の保持部31Bが構成される。また、第1の樹脂部材311の第1の保持溝311bと第2の樹脂部材312の第1の保持溝312bとが組み合わされることにより、円筒状の第1の保持孔310bが形成され、第1の樹脂部材311の第2の保持溝311cと第2の樹脂部材312の第2の保持溝312cとが組み合わされることにより、円筒状の第2の保持孔310cが形成される。
【0033】
磁界センサ4は、複数のリード線41が保持部31Bの第1及び第2の保持孔310b,310cに保持されることにより、センサ本体部40が収容部31Aの収容空間310内に支持されている。
【0034】
(センサモジュール3の製造方法)
次に、センサモジュール3の製造方法について説明する。
【0035】
センサモジュール3の製造方法は、センサ本体部40、及び複数のリード線41のうち、少なくともセンサ本体部40を収容ケース31の収容部31Aに収容する第1工程と、センサ本体部40に溶融樹脂を接触させることなく収容ケース31を含んでモールド樹脂を成形し、モールド成形体32を得る第2工程とを備える。
【0036】
第1工程では、磁界センサ4を第2の樹脂部材312の第1の凹部312aに配置し、複数のリード線41を第1及び第2の保持溝312b,312cにそれぞれ配置する。次に、磁界センサ4を配置した第2の樹脂部材312と第1の樹脂部材311とを組み合わせて、収容ケース31を形成する。これにより、複数のリード線41が第1及び第2の保持孔310b,310cに保持されると共に、センサ本体部40が第1の収容空間310内に配置される。
【0037】
次に、複数のリード線41の先端部(センサ本体部40とは反対側)を電線42にそれぞれ接続する。
【0038】
第2工程では、モールド成形体32を形成するための型の成形空間内に、磁界センサ4を収容した収容ケース31と、電線42とを配置し、溶融樹脂を流し込む。このとき、収容空間310は、収容ケース31の収容部31Aで覆われているため、溶融樹脂が収容空間310に流れ込むことがない。これにより、収容ケース31とモールド成形体32とが一体化され、樹脂ケース30が形成される。
【0039】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
上記した第1の実施の形態によれば、以下に示す作用及び効果が得られる。
【0040】
(1)磁界センサ4のセンサ本体部40は収容ケース31に収容され、溶融樹脂に接触しないので、モールド成形体32を成形する際における溶融樹脂の熱による影響を抑えることができる。これにより、磁界検出素子40aの検出精度の劣化を抑制し、信頼性を確保することが可能となる。
【0041】
(2)磁界センサ4のセンサ本体部40は、複数のリード線41が収容ケース31の保持部31Bに形成された第1及び第2の保持孔310b,310cに保持されることにより、収容ケース31の収容空間310内に支持される。つまり、センサ本体部40は、収容ケース31に接することなく支持されるので、モールド成形体32のモールド成形時における溶融樹脂の熱が収容ケース31から直接的にセンサ本体部40に伝達することを防ぐことができる。これにより、モールド成形体32のモールド成形時の熱により磁界センサ4の検出精度が低下することをより確実に抑制することができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、図6及び図7を参照して説明する。
【0043】
図6は、第2の実施の形態に係るセンサモジュールを示し、(a)は断面図、(b)は底面図である。図6において、第1の実施の形態について説明したものと機能が共通する構成要素については、同一又は対応する符号を付してその重複した説明を省略する。
【0044】
本実施の形態に係るセンサモジュール3Aは、樹脂ケース30Aと、磁界センサ4と、ヨーク300とを有している。樹脂ケース30Aは、磁界センサ4を収容する樹脂からなる収容ケース5と、収容ケース5を含んで成形されたモールド樹脂からなるモールド成形体32Aとを有している。モールド成形体32Aは、収容ケース5及びヨーク300がモールドされた本体部321Aと、固定用のボルトを挿通させるボルト挿通孔322aが形成された固定部322Aとを一体に有している。
【0045】
収容ケース5の内部には、磁界センサ4のセンサ本体部40が収容されている。樹脂ケース30Aには、内輪11(図1,2に示す)の外周面に対向する底面に、収容ケース5の内部に収容されたセンサ本体部40を外部に臨ませる開口5aが形成されている。
【0046】
図7は、収容ケース5を示し、(a)は斜視図、(b)は(a)とは反対側から見た斜視図、(c)は側面図である。図5(c)には、収容ケース5の内部の構造を破線で示している。
【0047】
収容ケース5は、磁界センサ4のセンサ本体部40を収容する収容空間50が内部に形成された直方体状であり、その一つの面に開口5aが形成されている。開口5aが形成された面とは反対側の底面5bには、磁界センサ40の複数(2本)のリード線41をそれぞれ挿通させて保持する第1の保持孔51a及び第2の保持孔51bが形成されている。
【0048】
このように、収容ケース5は、収容空間50を有する収容部5Aと、複数のリード線41を保持する第1及び第2の保持孔51a,51bが形成された保持部5Bとを一体に有している。磁界センサ4は、複数のリード線41が保持部5Bに保持されることにより、センサ本体部40が収容部5Aの収容空間50内に支持される。
【0049】
センサモジュール3Aを製造する際は、開口5aから複数のリード線41を挿入し、複数のリード線41を第1及び第2の保持孔51a,51bに挿通させながらセンサ本体部40を収容空間50内に挿入する。そして、第1及び第2の保持孔51a,51bを通過したリード線41の先端部を電線42にそれぞれ接続する。その後、モールド成形体32Aを形成するための金型の成形空間内に、センサ本体部40を収容した収容ケース5及び電線42を配置し、開口5aを金型の内面等に押し付けて塞いだ状態で溶融樹脂を流し込む。これにより、収容ケース5とモールド成形体32Aとが一体化された樹脂ケース30が形成される。
【0050】
本実施の形態によっても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果が得られる。また、センサモジュール3Aの使用時においてセンサ本体部40が発熱しても、その熱を開口5aから放熱することができ、磁界センサ4の過熱が抑制される。これにより、磁界センサ4の検出精度をより確実に維持することができる。
【0051】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0052】
[1]検出素子(40a)を含むセンサ本体部(40)、及び前記センサ本体部(40)から引き出された複数のリード線(41)を有するセンサ(4)と、前記センサ本体部(40)を収容する収容部(31A,5A)を有する収容部材(収容ケース31,5)と、前記センサ本体部(40)に接することなく前記収容部材(収容ケース31,5)の少なくとも一部を含んで成形されたモールド樹脂からなるモールド成形体(32,32A)とを備えた検出装置(1)。
【0053】
[2]前記収容部材(収容ケース31)は、前記収容部(31A)が前記センサ本体部(40)の全体を囲むように形成され、前記モールド成形体(32)は、前記収容部材(収容ケース31)の前記収容部(31A)を封止している、[1]に記載の検出装置(1)。
【0054】
[3]前記収容部材(収容ケース5)には、前記センサ本体部(40)を外部に臨ませる開口(5a)が前記収容部(5A)に形成され、前記モールド成形体(32A)は、前記開口(5a)を覆うことなくモールド成形されている、[1]に記載の検出装置(1)。
【0055】
[4]前記収容部材(収容ケース31,5)は、前記リード線(41)を保持する保持部(31B,5B)を有し、前記センサ(4)は、前記リード線(41)が前記保持部(31B,5B)に保持されることにより、前記センサ本体部(40)が前記収容部(31A,5A)の収容空間(310,50)内に支持された、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の検出装置(1)。
【0056】
[5]検出素子(40a)を含むセンサ本体部(40)、及び前記センサ本体部(40)から引き出された複数のリード線(41)を有するセンサ(4)のうち、少なくとも前記センサ本体部(40)を収容部材(収容ケース31,5)の収容部(31A,5A)に収容する第1工程と、前記センサ本体部(40)に溶融樹脂を接触させることなく前記収容部材(収容ケース31,5)の少なくとも一部を含んでモールド樹脂を成形する第2工程とを有する検出装置(1)の製造方法。
【0057】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0058】
上記第1及び第2の実施の形態では、収容ケース31,5内に1つの磁界センサ4を配置したが、これに限らず、複数の磁界センサ4を収容ケース31,5内に収容してもよい。
【0059】
また、モールド成形体32,32Aの本体部321,321A及び固定部322,322Aの形状に制限はなく、収容ケース31,5と、複数のリード線41が一括してモールドされていればよい。
【0060】
また、上記第1及び第2の実施の形態では、検出素子として磁界を検出するホール素子を用いた場合について説明したが、これに限らず、検出素子は温度や湿度、あるいは加速度や圧力等の状態量を検出するものであってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1…回転検出装置、2…磁気エンコーダ、3,3A…センサモジュール、4…磁界センサ、5…収容ケース、5A…収容部、5B…保持部、5a…貫通孔、5a…開口、5b…底面、6…ナックル、10…車輪軸受装置、11…内輪、12…外輪、13…転動体、14…第1のシール部材、15…第2のシール部材、21…支持部、22…磁性体、30,30A…収樹ケース、31…収容ケース、31A…収容部、31B…保持部、32,32A…モールド成形体、40…センサ本体部、40…本体部、40…磁界センサ、40…センサ本体部、40a…磁界検出素子、41…リード線、42…電線、43…ケーブル、50…収容空間、51a,51b…第1及び第2の保持孔、61…ボルト、110…本体部、110a…スプライン嵌合部、111…フランジ部、111a…貫通孔、151…芯金、151a…円筒部、151b…鍔部、152…弾性部材、221…N極、222…S極、300…ヨーク、310…収容空間、310b,310c…第1及び第2の保持孔、311…第1の樹脂部材、311A…収容部、311B…保持部、311a…凹部、311b,311c…第1及び第2の保持溝、312…第2の樹脂部材、312A…収容部、312B…保持部、312a…凹部、312b,312c…第1及び第2の保持溝、321,321A…本体部、322,322A…固定部、322a…ボルト挿通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7