(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板の露光中に、前記第2インレットと前記基板とが対向し、前記第2インレットは、前記コンテインメント部材と前記基板との間のギャップから流体を除去する請求項1〜4のいずれか一項記載の露光装置。
前記コンテインメント部材は、前記光学アセンブリの下の光路空間に対して前記第2インレットよりも離れて配置され、前記コンテインメント部材の下に形成されるギャップから流体を除去する第3インレットを有する請求項1〜9のいずれか一項記載の露光装置。
前記基板の露光中に、前記第2インレットと前記基板とが対向し、前記第2インレットは、前記コンテインメント部材と前記基板との間のギャップから流体を除去する請求項28〜31のいずれか一項記載の露光方法。
前記気体アウトレットは、前記光学アセンブリの下の光路空間に対して前記第2インレットよりも離れて配置されている請求項28〜35のいずれか一項記載の露光方法。
前記コンテインメント部材は、前記光学アセンブリの下の光路空間に対して前記第2インレットよりも離れて配置され、前記コンテインメント部材の下に形成されるギャップから流体を除去する第3インレットを有する請求項28〜36のいずれか一項記載の露光方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は精密アセンブリ、つまり本発明の特徴を有する露光装置10の概略図である。露光装置10は、装置フレーム12と、照明システム14(照射装置)と、光学アセンブリ16と、レチクルステージアセンブリ18と、デバイスステージアセンブリ20と、測定システム22と、制御システム24と流体環境システム26とを含む。露光装置10の要素の設計は、露光装置10の設計の要求に適合するように変更することができる。
【0012】
複数の図が、X軸、X軸に直交するY軸、およびX軸とY軸に直交するZ軸を示す座標系(方位系)を含む。なお、これらの軸を、第一軸、第二軸および第三軸とも呼ぶことができる。
【0013】
露光装置10は、集積回路のパターン(不図示)をレチクル28から半導体ウェハ30(破線で図示)上に転写するリソグラフィックデバイスとして特に有用である。ウェハ30はまた、一般に、デバイスまたはワークピースとも呼ばれる。露光装置10は、設置基盤32、例えば、地面、基礎、又は床若しくはその他の支持構造に載置される。
【0014】
リソグラフィックデバイスには多くの異なるタイプがある。例えば、露光装置10は、レクチル28およびウェハ30を同期して移動しつつレチクル28からウェハ30上にパターンを露光する走査型フォトリソグラフィシステムとして使用できる。走査型リソグラフィックデバイスでは、レチクル28はレチクルステージアセンブリ18によって光学アセンブリ16の光軸に垂直に移動され、ウェハ30はウェハステージアセンブリ20によって光学アセンブリ16の光軸に垂直に移動される。レチクル28およびウェハ30の走査が行われる間、レチクル28及びウェハ30は同期して移動している。
【0015】
あるいは、露光装置10は、レチクル28及びウェハ30が静止している間にレチクル28を露光するステップアンドリピート型フォトリソグラフィシステムとすることができる。ステップアンドリピート処理では、個々のフィールドを露光する間、ウェハ30はレチクル28及び光学アセンブリ16に対して一定の位置にある。続いて、連続する露光工程の間に、ウェハ30はウェハステージアセンブリ20と共に光学アセンブリ16の光軸に対して垂直に連続して移動され、ウェハ30の次の領域(フィールド)が露光のために光学アセンブリ16及びレチクル28に対する位置に運ばれる。この処理に続いて、レチクル28上の像は、ウェハ30のフィールド上に順次露光され、その後、ウェハ30の次のフィールドが光学アセンブリ16及びレチクル28に対する位置に運ばれる。
【0016】
しかしながら、本願で提供されている露光装置10の使用は、半導体製造用のフォトリソグラフィシステムに限定されない。例えば、露光装置10は、液晶ディスプレイのデバイスのパターンを矩形のガラス基板上に露光するLCDフォトリソグラフィシステム又は薄膜磁気ヘッドを製造するためのフォトリソグラフィシステムとして使用できる。
【0017】
装置フレーム12は露光装置10の要素を支持する。
図1に示されている装置フレーム12は、設置基盤32の上方に、レチクルステージアセンブリ18、ウェハステージアセンブリ20、光学アセンブリ16及び照明システム14を支持する。
【0018】
照明システム14は、照明源34及び照明光学アセンブリ36を備える。照明源34は光エネルギーのビーム(光線)を放出する。照明光学アセンブリ36は、光エネルギーのビームを照明源34から光学アセンブリ16へと導く。ビームはレチクル28の異なる部分を選択的に照射して、ウェハ30を露光する。
図1において、照明源34はレチクルステージアセンブリ18の上方に支持されているように図示されている。しかしながら、典型的には、照明源34は装置フレーム12の一側面に固定され、照明源からのエネルギービームは、照明光学アセンブリ36でレチクルステージアセンブリ18の上方に向けられる。
【0019】
照明源34は、水銀のg線源(436nm)若しくはi線源(365nm)、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)又はF
2レーザ(157nm)とすることができる。光学アセンブリ16は、レチクル28を透過する光をウェハ30へ投影及び/又は合焦する。露光装置10の設計に応じて、光学アセンブリ16はレチクル28上に照射された像を拡大若しくは縮小することができる。光学アセンブリ16は等倍の拡大システムとすることもできる。
【0020】
エキシマレーザからの光のような遠紫外光が使用されるときには、石英及び蛍石のような遠紫外光を透過するガラス材を光学アセンブリ16に使用することができる。
【0021】
また、波長200nm又はそれ未満の放射を用いる露光デバイスでは、カタディオプトリック型の光学システムの使用を考慮することができる。カタディオプトリック型の光学システムの例は、特許公開公報に公開された特開平8−171054号及びそれに対応する米国特許第5,668,672号並びに、特開平10−20195号及びそれに対応する米国特許第5,835,275号の開示に含まれている。これらの場合において、反射型光学デバイスは、ビームスプリッター及び凹面鏡を組み込こむカタディオプトリック型光学システムであることができる。特許公開公報に公開された特開平8−334695号及びそれに対応する米国特許第5,689,377号並びに、特開平10−3039号及びそれに対応する米国特許第873,605号(出願日:1997年6月12日)はまた、凹面鏡等を組み込んでいるがビーム分配器を持たない反射−屈折型光学システムを用いており、それらは本発明にも用いることができる。許容される範囲において、上記米国特許及び特許公開公報に記載の日本国特許出願における開示をここに援用して本文の記載の一部とする。
【0022】
一実施形態では、光学アセンブリ16は一つ以上の光学マウントアイソレータ37で装置フレーム12に固定されている。光学マウントアイソレータ37は、装置フレーム12の振動が光学アセンブリ16に振動を生じることを阻止する。各光学マウントアイソレータ37は、振動を遮断する空気圧シリンダ(不図示)、及び振動を遮断して少なくとも2つの運動の自由度で位置を制御するアクチュエータ(不図示)を含むことができる。好適な光学マウントアイソレータ37が、マサチュセッツ州のウォバーンにあるIntegrated Dynamics Engineeringによって販売されている。図示を容易にするために、間隔を置いて隔てられた2つの光学マウントアイソレータ37が、光学アセンブリ16を装置フレーム12に固定するためのものとして示されている。しかし、例えば、間隔を置いて隔てられた3個の光学マウントアイソレータ37を使用して、光学アセンブリ16を装置フレーム12にキネマティックに固定することができる。
【0023】
レチクルステージアセンブリ18は、光学アセンブリ16及びウェハ30に対してレチクル28を保持し、それらに対してレチクル28を位置付ける。一実施形態において、レチクルステージアセンブリ18は、レチクル28を保持するレチクルステージ38と、レチクルステージ38及びレチクル28を移動し且つ位置付けるレチクルステージ駆動アセンブリ40とを含む。
【0024】
幾らか類似して、デバイスステージアセンブリ20は、ウェハ30をレチクル28の照明された部分の投影像に対して保持し、且つ、ウェハ30をレチクル28の照明された部分の投影像に対して位置付ける。一実施形態において、デバイスステージアセンブリ20は、ウェハ30と、デバイスステージ42を支持し且つガイドするデバイスステージ基盤43と、デバイスステージ42及びウェハ28を光学アセンブリ16及びデバイスステージ基盤43に対して移動し且つ位置付けるデバイスステージ駆動アセンブリ44とを含む。デバイスステージ42は以下に詳細に記載されている。
【0025】
各々のステージ駆動アセンブリ40,44は、それぞれのステージ38,42を3つの自由度、3より小さな自由度、3より大きな自由度で動かすことができる。例えば、別の実施形態において、各々のステージ駆動アセンブリ40,44はそれぞれのステージ38,42を1,2,3,4,5,又は6の自由度で動かすことができる。レチクルステージ駆動アセンブリ40及びデバイスステージ駆動アセンブリ44は各々、ロータリモータ、ボイスコイルモータ、駆動力を発生するためにローレンツ力を利用するリニアモータ、電磁駆動機、平面モータ、又はその他の力による駆動機のような駆動機を一つもしくはそれより多く有する。
【0026】
あるいは、ステージの一つはリニアモータによって駆動することもできる。ここでリニアモータは、二次元的に配列されたマグネットを有するマグネットユニットと、対向する位置に二次元的に配列されたコイルを有する電機子コイルユニットとによって発生する電磁気力によりステージを駆動する。この駆動システムのタイプでは、マグネットユニット又は電機子コイルユニットのいずれか一方はステージ基盤に連結され、他のユニットはステージの移動平面上に載置される。
【0027】
上述のステージの移動は、フォトリソグラフィシステムの性能に影響を及ぼすことになる反力を生じる。ウェハ(基板)ステージの動作により生じる反力は、米国特許第5,528,100号及び特開平8−136475号に記載されているようなフレーム部材の使用により、床(地面)に機械的に転移することができる。さらに、レチクル(マスク)ステージの動作によって発生した反力は、米国特許第5,874,820号及び特開平8−330224号に記載されているようなフレーム部材の使用によって、床(地面)に機械的に転移することができる。許容される範囲において、米国特許第5,528,100号、第5,874,820号及び特開平8−330224号をここに援用し、本文の記載の一部とする。
【0028】
測定システム22は、光学アセンブリ16又はその他の基準に対するレチクル28及びウェハ30の動作をモニターする。この情報によって、制御システム24は、レチクルステージアセンブリ18を制御してレチクル28を正確に位置付けることができ、ワークピースステージアセンブリ20を制御してウェハ30を正確に位置付けることができる。測定システム22の設計は変更することができる。例えば、測定システム22は、多軸レーザー干渉計、エンコーダ、ミラー及び/又は他の測定デバイスを使用することができる。測定システム22の安定性は、レチクル28からウェハ30への像の正確な転写に関して重要である。
【0029】
制御システム24は測定システム22から情報を受け取り、ステージ駆動アセンブリ18,20を制御して、レチクル28及びウェハ30を正確に位置付ける。さらに、制御システム24は環境システム26の要素の動作を制御することができる。制御システム24は一つ又はそれ以上のプロセッサ及び回路を有することができる。
【0030】
環境システム26は、光学アセンブリ16とウェハ30の間のギャップ246(
図2Bに図示)の環境を制御する。ギャップ246は結像領域250(
図2Aに図示)を含む。結像領域250は、露光されているウェハ30の範囲に隣接する領域(エリア)と、光エネルギーのビームが光学アセンブリ16とウェハ30の間を進行する領域(エリア)を含む。この設計では、環境システム26は結像領域250の環境を制御することができる。
【0031】
環境システム26によってギャップ246内に生じ且つ/又はギャップ246内で制御される所望の環境は、ウェハ30と照明システム14を含むリソグラフィマシン10の残りの要素の設計とに基づいて変更することができる。例えば、所望の制御された環境は、水のような流体にすることができる。環境システム26は以下により詳細に記載されている。
【0032】
本願に記載された実施形態に基づくフォトリソグラフィシステム(露光装置)は、添付された請求の範囲に記載された各要素を含む様々なサブシステムを、規定された機械精度、電気精度及び光学精度が維持される方法で組み立てることによって構築することができる。組立の前後を通じて種々の精度を維持するために、各光学システムはその光学精度を達成するように調整される。フォトリソグラフィシステムに各サブシステムを組み込むプロセスは、機械的な接続、電気回路の配線接続及び各サブシステム間の圧空管の接続を含む。言うまでもなく、種々のサブシステムからフォトリソグラフィシステムを組み立てる前に各サブシステムが組み立てられるプロセスも存在する。一度フォトリソグラフィシステムが種々のサブシステムを用いて組み立てられると、全体調整を行なって、完全なフォトリソグラフィシステムにおいて精度が維持されていることが確認される。さらに、露光システムは、温度及び清浄度が制御されたクリーンルーム内で製造されることが望まれる。
【0033】
図2Aは、光学アセンブリ16、デバイスステージ42、環境システム26及びウェハ30を含む露光装置10の一部を示す
図1における2A−2A線の断面図である。結像領域250(点線で図示)も
図2Aに示されている。
【0034】
一実施形態において、環境システム26は結像領域250及びギャップ246(
図2Bに図示)の残り部分を液浸流体248(
図2Bに図示)で満たす。本願において、用語「流体」は液体及び/又は気体を意味し、いかなる流体の蒸気も含むものとする。
【0035】
環境システム26及び環境システム26の要素の設計は変更することができる。
図2Aに示された実施形態において、環境システム26は液浸流体システム252及び流体バリア254を含む。この実施形態では、(i)液浸流体システム252は、液浸流体248をギャップ246に送出及び/又は注入し、液浸流体248をギャップ246から捕獲する。そして(ii)流体バリア254は、液浸流体248の流れがギャップ246の近傍から遠ざかるのを防ぐ。
【0036】
液浸流体システム252の設計は変更することができる。例えば、液浸流体システム252は、ギャップ246及び/又は光学アセンブリ16の縁あるいはギャップ246及び/又は光学アセンブリ16の近傍における一箇所又はそれより多くの箇所で液浸流体248を注入することができる。さらに、液浸流体システム252は、ギャップ246及び/又は光学アセンブリ16の縁あるいはギャップ246及び/又は光学アセンブリ16の近傍における一箇所又はそれより多くの箇所で液浸流体248を排出することができる。
図2Aに示される実施形態において、液浸流体システム252は間隔をおいて並べられた4個の注入パッド/排出パッド(点線で図示)であって、光学アセンブリ16及び注入源/排出源260の周囲付近に位置付けられた注入パッド/排出パッドを含む。これらの要素は以下に詳細に記載される。
【0037】
図2Aはまた、光学ハウジング262A、終端光学素子262B及び終端光学素子262Bを光学ハウジング262Aに固定するエレメントリテーナ262Cを含む。
【0038】
図2Bは、(i)光学ハウジング262A、光学素子262B及びエレメントリテーナ262Cを有する光学アセンブリと、(ii)デバイスステージ42と、(iii)環境システム26とを含む
図2Aの露光装置10の部分断面図である。
図2Bはまた、終端の光学素子262B及びウェハ30の間のギャップと、ギャップ246を満たす液浸流体248(円で図示)とを示している。一実施形態において、ギャップ246は約1mmである。
【0039】
一実施形態において流体バリア254は、流体蒸気249(三角形で図示)を含む液浸流体248をギャップ246近傍の領域に収容し、ギャップ246の周囲に内部チャンバー263を形成し、規定する。
図2Bに示される実施形態において流体バリア254は、コンテインメントフレーム264(本願では囲い部材とも呼ばれる)、シール266及びフレームサポート268を含む。内部チャンバー263は、コンテインメントフレーム264、シール266、光学ハウジング262A及びウェハ30によって規定される閉じた容積を表している。流体バリア254は、ギャップ246からの液浸流体248の流れを制限し、ギャップ246に十分な液浸流体248を維持することを補助し、ギャップ246から漏出する液浸流体248の回収を可能にし、流体からのいかなる蒸気249も収容する。一実施形態において流体バリア254は、ギャップ246の周囲を完全に取り囲んで、動作している。さらに、一実施形態において流体バリア254は、液浸流体248及びその蒸気249を、光学アセンブリ16に中心付けられたウェハ30及びデバイスステージ42上の領域に閉じ込める。
【0040】
液浸流体248及びその蒸気249の両方を収容することはリソグラフィツールの安定性のために重要であることができる。例えば、ステージ測定干渉計は周囲の雰囲気の屈折率に敏感である。室温においていくらかの水蒸気を含んだ空気と干渉計のビーム用の633nmのレーザー光の場合、1%の相対湿度の変化が約10−8の屈折率の変化を引き起こす。1mの全光路に対して、このことはステージ位置での10nmの誤差として表すことができる。もし、液浸流体248が水である場合には、直径7mmの水滴が1m3の体積中に蒸発することによって、相対湿度が約1%変化する。相対湿度は、一般に制御システム24によってモニターされ、補正されるが、これは相対湿度が均一であって、干渉計のビーム内の相対湿度と測定地点での相対湿度とが同一であるという仮定に基づいている。しかしながら、水滴及びそれに伴う蒸気がウェハ及びステージ表面の周囲で散乱される場合には、相対湿度が均一であるという仮定は正しくないかもしれない。
【0041】
干渉計のビームへのリスクに加えて、水の蒸発は温度制御の問題も生み出し得る。水の気化熱は約44kJ/molである。上記の7mmの液滴の蒸発は、隣接する表面によって供給されなければならない約430Jの熱量を吸収する。
【0042】
図2Cはコンテインメントフレーム264の一実施例の透視図を示している。この実施形態において、コンテインメントフレーム264は環状のリング形状であり、ギャップ246(
図2Bに図示)を取り囲む。加えて、この実施形態において、コンテインメントフレーム264は頂面270Aと、反対側の底面であってウェハ30に対向する底面270B(第1表面とも呼ばれる)と、ギャップ246に対向する内面270Cと外面270Dとを含む。なお、用語「頂」及び「底」は単なる便宜上のために用いられたものであって、コンテインメントフレーム264の向きは回転することができる。また、コンテインメントフレーム264は別の形状を有することができる。あるいは、例えば、コンテインメントフレーム264は矩形形状のフレーム若しくは8角形形状のフレームとすることができる。
【0043】
加えて、本願に示されているように、コンテインメントフレーム254は温度を制御して液浸流体248の温度を安定化してもよい。
【0044】
図2Bに戻ると、シール266はコンテインメントフレーム264を光学アセンブリ16に密封しつつ、光学アセンブリ16に対するコンテインメントフレーム264の幾分かの動きを許容している。一実施形態において、シール266はフレキシブルで弾力性のある材質であって、液浸流体248に影響を及ぼさない材質で製造される。シール266に好適な材質は、ゴム(ラバー)、Buna−N、ネオプレン、バイトン(Viton)又はプラスチックを含む。あるいは、シール266は、ステンレススチールのような金属又はラバー又はプラスチックで製造されたベローズであってもよい。
【0045】
図2Dは
図2Bの一部断面の部分拡大図を示している。フレームサポート268は、ウェハ30及びデバイスステージ42の上方で、コンテインメントフレーム264を装置フレーム12及び光学アセンブリに接続し、これらを支持する。一実施形態において、フレームサポート268はコンテインメントフレーム264の全重量を支持する。あるいは、例えば、フレームサポート268はコンテインメントフレーム264の一部の重量のみを支持することができる。一実施形態において、フレームサポート268は1つ又はそれより多数の支持アセンブリ274を含むことができる。例えば、フレームサポート268は3つの、間隔をもって並べられた支持アセンブリ(2つのみを図示)を含むことができる。この実施形態において、各支持アセンブリ274は、装置フレーム12とコンテインメントフレーム264の頂面270Aとの間に延在する。
【0046】
一実施形態において、各支持アセンブリ274はフレクシャである。本願において、用語「フレクシャ」はある方向に比較的高い剛性を有し、別の方向に比較的低い剛性を有する部品を意味する。一実施形態において、複数のフレクシャは協同作用して、(i)X軸の方向及びY軸の方向に比較的硬くなり、(ii)Z軸の方向に比較的フレキシブルとなる。相対的なフレキシブル性に対する相対的な剛性の比は少なくとも約100/1であり、少なくとも約1000/1とすることもできる。換言すれば、フレクシャはコンテインメントフレーム264のZ軸方向の動きを許容することができ、コンテインメントフレーム264のX軸方向及びY軸方向の動きを抑制することができる。この実施形態では、支持アセンブリ274は受動的にコンテインメントフレーム264を支持する。
【0047】
あるいは、例えば、各支持アセンブリ274はアクチュエータであることができ、アクチュエータを使用してウェハ30及びデバイスステージ42に対してコンテインメントフレーム264の位置を調整することができる。加えて、フレームサポート268はコンテインメントフレーム264の位置をモニターするフレーム測定システム275を含むことができる。例えば、フレーム測定システム275は、Z軸に沿った、X軸周り及び/又はY軸周りのコンテインメントフレーム264の位置をモニターすることができる。この情報によって、支持アセンブリ274を用いてコンテインメントフレーム264の位置を調整することができる。この実施形態では、支持アセンブリ274は、コンテインメントフレーム264の位置を能動的に調整できる。
【0048】
一実施形態において、環境システム26は1つ又はそれより多数の圧力イコライザ276を含み、圧力イコライザ276を用いてチャンバー263内の圧力を制御することができる。換言すれば、圧力イコライザ276は、大気圧の変化又は流体制御に関連した圧力変化によって、コンテインメントフレーム264とウェハ30又は終端光学素子262Bとの間に力が発生することを抑制している。例えば、圧力イコライザ276は、チャンバー263の内部及び/又はギャップ246の圧力をチャンバー263の外部の圧力とほぼ同一にすることができる。例えば、各圧力イコライザ276は、コンテインメントフレーム264を通じて延在する通路であることができる。一実施形態において、チューブ277(一つのみ図示)は各圧力イコライザ276の通路に装着され、流体蒸気を測定システム22(
図1に図示)から遠ざけて輸送している。別の実施形態では、圧力イコライザ276は約0.01、0.05、0.1、0.5又は1.0PSI未満の圧力差を許容している。
【0049】
図2Bはまた、幾つかの注入/排出パッド258を示す。
図2Dは一個の注入/排出パッド258をより詳細に示す。この実施形態において、各注入/排出パッド258は、注入/排出源260と連通するパッドアウトレット278A及びパッドインレット278Bを含む。適当なときに、注入/排出源260は、チャンバー263内に開放されているパッドアウトレット278Aに液浸流体248を供給し、チャンバー263からパッドインレット278Bを通じて液浸流体248を取り出す。
【0050】
図2B及び2Dはまた、チャンバー263内の液浸流体248がウェハ30の上面にあることを示している。ウェハ30が光学アセンブリ16の下方を移動するとき、ウェハ30の上側のデバイス表面279に近接する液浸流体248をウェハ30と共にギャップ246に引き込むであろう。
【0051】
一実施形態において、
図2B及び2Dに戻ると、デバイスステージ42はウェハ30の頂面のデバイス露光面279とZ軸に沿ってほぼ同じ高さを有するステージ表面280を含む。換言すれば、一実施形態においてステージ表面280はデバイス露光面279とほぼ面一である。別の実施形態において例えば、ほぼ面一であるとは、複数の平面が約1、10、100又は500μm以内にあることを意味している。その結果、コンテインメントフレーム264の底面270Bとウェハ30との間の距離は、コンテインメントフレーム264の底面270Bとデバイスステージ42との間の距離とほぼ等しい。一実施形態において、例えば、デバイスステージ42はウェハ30を受け取るためのディスク型の凹部282を含むことができる。デバイスステージ42の別の設計は以下に明らかにされる。
【0052】
図2Dは、フレームギャップ284がコンテインメントフレーム264の底面270Bとウェハ30及び/又はデバイスステージ42との間に存在し、コンテインメントフレーム264に対するデバイスステージ42及びウェハ30の動作を容易にしていることを図示している。フレームギャップ284のサイズは変更可能である。例えば、フレームギャップ284は約5μmと3mmの間にすることができる。別の例では、フレームギャップ284は約5、10、50、100、150、200、250、300、400又は500μmとすることができる。
【0053】
ある実施形態において、底面270Bとウェハ30及び/又はデバイスステージ42の少なくとも一方との間の距離は、光学アセンブリ16の終端面(つまり、終端光学素子262B又は光学ハウジング262Aの底面)とウェハ30及び/又はデバイスステージ42との間の距離よりも短い。
【0054】
加えて、ウェハギャップ285がウェハ30の縁とウェハステージ42との間に存在できる。一実施形態において、ウェハギャップ285は可能な限り狭くして、ウェハ30が光学アセンブリ16から中心がずれて、一部が流体コンテインメントフレーム264の領域内にあって一部がその領域外にあるときの漏れを最小限にしている。例えば、一実施形態において、ウェハギャップ285は約1、10、50、100、500又は1000μmとすることができる。
【0055】
図2Dはまた、いくらかの液浸流体248がコンテインメントフレーム264とウェハ30及び/又はデバイスステージ42との間を流れることを図示している。一実施形態において、コンテインメントフレーム264は、コンテインメントフレーム264の底面270Bの位置又はその近傍に位置付けられる一つ又はそれより多数の排出インレット286を含む。一つ又はそれより多数の排出インレット286は注入/排出源260(
図2Bに図示)と連通する。この設計では、フレームギャップ284に漏出する液浸流体248は、注入/排出源260によって排出されることができる。
図2Dに示される実施形態において、コンテインメントフレーム264の底面270Bは、実質的に環状溝の形状であって、概ね光学アセンブリ16と同心である一個の排出インレット286を含む。あるいは、例えば、コンテインメントフレーム264の底面270Bは間隔をあけて配置された複数個の環状溝の形状の排出インレット286を含む。排出インレット286は概ね光学アセンブリ16と同心であって、液浸流体248が完全にフレームギャップ284を出ることを抑制する。さらに、間隔をあけて配置された複数の開口であって円内に向けられた開口を、環状の溝の代わりに使用することができる。
【0056】
一実施形態において、注入/排出源260は排出インレット286に減圧及び/又は部分減圧を適用する。部分減圧は、液浸流体248を(i)底面270Bの小さなランド領域288と(ii)ウェハ30及び/又はデバイスステージ42との間の液浸流体248を引き寄せる。フレームギャップ284内の液浸流体248は流体ベアリング289A(矢印で図示)として作用する。流体ベアリング289Aは、コンテインメントフレーム264をウェハ30及び/又はデバイスステージ42の上方に支持し、コンテインメントフレーム264がウェハ30及び/又はデバイスステージ42上で最小限の摩擦で浮動することを許容し、比較的小さなフレームギャップ284を許容している。この実施形態において、ほとんどの液浸流体248は流体バリア254内に閉じ込められ、外周の周りの漏れのほとんどは狭いフレームギャップ284内で排出される。
【0057】
加えて、環境システム26は、追加の流体ベアリング289B(矢印で図示)をコンテインメントフレーム264とウェハ30及び/又はデバイスステージ42との間に生成するためのデバイスを含むことができる。例えば、コンテインメントフレーム264は、ベアリング流体290C(三角形で図示)のベアリング流体源290Bと連通する1つ又はそれより多数のベアリングアウトレット290Aを含むことができる。一実施形態において、ベアリング流体290Cは空気である。この実施形態において、ベアリング流体源290Bは、加圧された空気290Cをベアリングアウトレット290Aに提供して、静的空気ベアリング289Bを生成する。流体ベアリング289A、289Bはコンテインメントフレーム264の重量の全て又は一部を支持することができる。別の実施形態では、流体ベアリング289A、289Bの一方又は両方は、コンテインメントフレーム264の重量の約1、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100パーセントを支持する。一実施形態では、同心の流体ベアリング289A、289Bを用いて、フレームギャップ284を維持している。
【0058】
設計に応じて、ベアリング流体290Cは液浸流体248と同一の組成又は異なる組成を有することができる。しかしながら、いくらかのベアリング流体290Cは流体バリア254から漏出するかもしれない。一実施形態では、ベアリング流体290Cのタイプは、ベアリング流体290C及びその蒸気が測定システム22又は露光装置10の温度安定性に影響しないように選ぶことができる。
【0059】
別の実施形態において、排出インレット286内の部分減圧はコンテインメントフレーム264を引き寄せてウェハ30に向かわせる。この実施形態において、流体ベアリング289Bは、コンテインメントフレーム264の重量の一部を支持すると同時に排出インレット286内の部分減圧によって生じた予圧に対抗している。
【0060】
加えて、加圧された空気290Cは、液浸流体248をコンテインメントフレーム264内に閉じ込めるために役立つ。上記のように、フレームギャップ284内の液浸流体248は、排出インレット286を通じてほぼ引き出される。この実施形態において、排出インレット286を超えて漏れる液浸流体248は、ベアリング流体290Cによって排出インレット286に押し戻される。
【0061】
フレームギャップ284は、ベアリング機能及び排出機能を最適化するために、径方向に内面270Cから外面270Dへ変化し得る。
【0062】
図2Dにおいて、ベアリングアウトレット290Aは実質的に環状溝の形状であり、光学アセンブリ16及び排出インレット286と概ね同心であり、排出インレット286の径よりも大きな径を有する。あるいは、例えば、コンテインメントフレーム264の底面270Bは、間隔をあけて配置された複数の環状溝の形状のベアリングアウトレット290Aを含むことができる。ベアリングアウトレット290Aは光学アセンブリ16と概ね同心である。さらに、間隔をあけて配置された複数の開口であって円内に向けられた開口を、環状の溝の代わりに使用することができる。あるいは、例えば、磁力型のベアリングを用いてコンテインメントフレーム264を支持することが可能である。
【0063】
図2B及び2Dに示すように、ウェハ30は光学アセンブリ16の下方で中心に置かれている。この位置において、流体ベアリング289A、289Bはコンテインメントフレーム264をウェハ30の上方に支持する。
図2Eは、光学アセンブリ16に対して移動されたデバイスステージ42及びウェハ30と共に
図2Aの露光装置10の一部を示している。この位置では、ウェハ30及びデバイスステージ42はもはや光学アセンブリ16の下方で中心ではなく、流体ベアリング289A、289A(
図2Dに図示)はウェハ30及びデバイスステージ42の上方にコンテインメントフレーム264を支持している。
【0064】
図3は注入/排出源260の第1の実施形態である。この実施形態において、注入/排出源260は、(i)低圧源392A、つまり、減圧若しくは部分減圧であるインレットであって、排出インレット286(
図2Dに図示)及びパッドインレット278B(
図2B及び2Dに図示)に連通するインレット、並びに、加圧された液浸流体を提供するポンプアウトレットとを有するポンプと、(ii)ポンプアウトレットに連通し、液浸流体248を濾過するフィルター392Bと、(iii)フィルター392に連通し、空気、混入物若しくはガスを液浸流体248から除去するエアレータ392Cと、(iv)エアレータ392Cと連通し、液浸流体248の温度を制御する温度コントロール392Dと、(v)温度コントロール392Dに連通し、液浸流体248を保持するリザーバ392Eと、(vi)リザーバ392Eに連通するインレット及びパッドアウトレット278A(
図2B及び2Dに図示)に連通するアウトレットを有するフローコントローラー392Fであって、圧力及びパッドアウトレット278Aへの流れを制御しているフローコントローラー392Fとを含む。これらの要素の動作は、パッドアウトレット278Aへの液浸流体248の流量、パッドアウトレット278Aでの液浸流体の温度、並びに/又は排出インレット286及びパッドインレット278Bでの圧力を制御するために、制御システム24(
図1に図示)によって制御されることができる。
【0065】
加えて、注入/排出源260は、(i)パッドアウトレット、排出インレット286及びパッドインレット278Bの近傍の圧力を測定する一対の圧力センサ392G、(ii)パッドアウトレット278Aへの流量を測定する流量センサ392H、及び/又は(iii)パッドアウトレット278Aに送出される液浸流体248の温度を測定する温度センサ392Iを含むことができる。これらのセンサ392G〜392Iからの情報は制御システム24に転送されることができ、制御システム24は、液浸流体248の所望の温度、流量及び/又は圧力を達成するように注入/排出源260の他の要素を適切に調節できる。
【0066】
なお、注入/排出源260の要素の向きは変更することができる。さらに、一つ又はそれより多数の要素は必要でないかもしれない、且つ/又は幾つかの要素は二重にすることができる。例えば、注入/排出源260は複数のポンプ、複数のリザーバ、温度コントローラー又は他の要素を含むことができる。さらに、環境システム26は複数の注入/排出源26を含むことができる。
【0067】
液浸流体248のチャンバー263内への注入とチャンバー263外への汲み出しとの比は、システムの設計の要請に適合するように変更できる。さらに、液浸流体248がパッドインレット278Bから排出される量と排出インレット286から排出される量との比は変更できる。一実施形態において、液浸流体248はパッドインレット278Bから第1の比率で排出され、排出インレット286から第2の比率で排出される。例として、第1の比率は約0.1〜5リットル/分であることができ、第2の比率は0.01〜0.5リットル/分であることができる。しかしながら、他の第1の比率及び第2の比率を使用することができる。
【0068】
なお、液浸流体248のチャンバー263内への注入とチャンバー263外への汲み出しとの比は、(i)流体バリアを超える液浸流体248の漏れを調整するため、(ii)ウェハ30が光学アセンブリ16から中心が外れているとき、ウェハギャップ285からの液浸流体248の漏れを制御するため、及び/又は(iii)ギャップ246の液浸流体248の温度及び純度を制御するために、調節することができる。例えば、ウェハ30が中心から外れたとき、液浸流体248の温度が高くなりすぎたとき、及び/又はギャップ246の液浸流体248中の混入物の濃度が許容範囲を超えたときに、前記比率は増やすことができる。
【0069】
液浸流体248の種類は、装置10の設計の要請に適合するように変更することができる。一実施形態において、液浸流体248は水である。あるいは、例えば、液浸流体はフッ化炭素系流体、フォンブリン(Fomblin)オイル、炭化水素オイル若しくは別の種類のオイルであることができる。より一般的には、流体は以下の条件を満たすべきである:1)流体は露光放射に対して比較的透過性でなければならない。2)流体の屈折率は終端光学素子262Bの屈折率と同程度でなければならない。3)流体は、流体が接触する露光装置10の要素と化学的に反応すべきでない。4)流体は均質でなければならない。5)流体の粘度は、重大な大きさの振動がステージシステムから終端光学素子262Bへ伝達することを回避するために十分低くすべきである。
【0070】
図4Aは、別の実施形態の、流体バリア454A、ウェハ30の一部及びデバイスステージ42の一部の部分拡大図である。この実施形態において、流体バリア454Aは、上記の対応する要素及び
図2Dに示された対応する要素に幾分似ている。しかしながら、この実施形態では、コンテインメントフレーム464Aは、2つの同心の排出インレット486Aを含み、それらは、コンテインメントフレーム464Aの底面470Bに位置付けられる。2つの排出インレット486Aは、注入/排出源260(
図2Bに図示)に連通する。この設計では、フレームギャップ284に漏出する液浸流体248は注入/排出源260によって排出することができる。この実施形態では、コンテインメントフレーム464の底面470Bは、各々概ね環状溝の形状であり、光学アセンブリ16とほぼ同心である2つの排出インレット486Aを含む。
【0071】
この設計では、注入/排出源260は排出インレット486Aに減圧又は部分減圧を適用する。部分減圧は液浸流体248を底面470Bの小さなランド領域488とウェハ30及び/又はデバイスステージ42との間に引き寄せる。この実施形態では、液浸流体248の大部分は、ランド部488の下方を流れ、内部の排出インレット486Aに流れ込む。加えて、内部の排出インレット486Aで取り除かれなかった液浸流体248は、外部の排出インレット486Aに引き寄せられる。
【0072】
図4Bは別の実施形態の、流体バリア454B、ウェハ30の一部及びデバイスステージ42の一部の部分拡大図である。この実施形態において、流体バリア454Bは、上記の対応する要素及び
図2Dに示された対応する要素に幾分似ている。しかしながら、この実施形態においてコンテインメントフレーム464Bは、底面470Bに位置付けられる一つのベアリングアウトレット490Bと2つの排出インレット486Bを含む。排出インレット486Bは注入/排出源260(
図2Bに図示)と連通し、ベアリングアウトレット490Bはベアリング流体源290C(
図2Dに図示)に連通する。しかしながら、この実施形態では、ベアリングアウトレット490Bは排出インレット486Bの内側で排出インレット486Bと同心となるように位置付けられる。換言すれば、ベアリングアウトレット490Bは排出インレット486Bより小さな径を有し、ベアリングアウトレット490は排出インレット486Bよりも光学アセンブリ16に近くにある。さらに、この設計では、ベアリング流体290C(
図2Dに図示)は液浸流体248と同じ組成の液体とすることができる。この設計では、フレームギャップ284のベアリング流体290Cは、排出インレット486Bから注入/排出源260によって排出することができる。
【0073】
図4Cは別の実施形態の流体バリア454C、ウェハ30の一部及びデバイスステージ42の一部の部分拡大図である。この実施形態において、流体バリア454Cは幾分、上記要素及び
図2Dに示された要素に似ている。しかしながら、この実施形態では、コンテインメントフレーム464Cは、底面470Bに位置付けられる1つのベアリングアウトレット490Cと2つの排出インレット486Cとを含む。排出インレット486Cは注入/排出源260(
図2Bに図示)と連通しており、ベアリングアウトレットはベアリング流体源(
図2Dに図示)と連通している。しかしながら、この実施形態において、ベアリングアウトレット490Cは2つの排出インレット486Cの間に位置付けられる。換言すれば、内側の排出インレット486Cはベアリングアウトレット490Cよりも小さな径を有し、ベアリングアウトレット490Cは外側の排出インレット486Cよりも小さな径を有する。この設計では、内側の排出インレット486Cはベアリングアウトレット490Cよりも光学アセンブリ16に近くにある。
【0074】
なお、各実施形態において、必要に応じてさらに排出インレット及びベアリングアウトレットを追加することができる。
【0075】
図5Aは別の実施形態の露光装置510の部分断面図を示している。露光装置510は、前記の対応する要素と似ている光学アセンブリ516、デバイスステージ542及び環境システム526を含む。
図5Aはまた、ウェハ30、ギャップ546及び液浸流体548がギャップ546を満たしていることを示している。
図5Bは
図5Aの5B−5B線の部分拡大図を示す。
【0076】
しかしながら、
図5A及び5Bに図示される実施形態において、流体バリア554は、コンテインメントフレーム564、シール566及びフレームサポート568に加えて、内側バリア555を含む。この実施形態において、内側バリア555は環状のリング形状で、光学アセンブリ516の底部を取り囲み、光学アセンブリ516に同心であって、シール566に隣接するコンテインメントフレーム564内に位置付けられる。
【0077】
内側バリア555は幾つかの目的に供することができる。例えば、ウェハ30が光学アセンブリ516から中心がずれ、一部が流体コンテインメントフレーム564の領域の内側にあり、一部が流体コンテインメントフレーム564の領域の外側にあるとき、内側バリア555は、コンテインメントフレーム564へ漏出する液浸流体548の量を制限することができ、排出インレット586での排出の必要量を減少させ、ウェハギャップ285への液浸流体548の漏れも減少させている。この設計では、流体注入/排出パッド558を用いて、液浸流体548の大部分をチャンバー563から回収することができる。加えて、液浸流体548が内側バリア555の頂部のレベル若しくはその近傍のレベルに維持される場合には、液浸流体548の注入に関係する圧力サージを減少させることができる。なぜならば、液浸流体548の超過分は内側バリア555の頂部を溢れ出て、静的な圧力ヘッド(圧力水頭)を生み出すからである。この状況においても、表面張力の効果によって、いくらかの圧力サージが残り得る。これらの効果は、
図5Bに示される距離Wを増すことによって減少できる。例えば、液浸流体が水である場合、Wは好ましくは数ミリメートル若しくはそれより大きくすべきである。加えて、液浸流体548と接触する内側バリア555及び光学アセンブリ516の表面の「濡れ性」を調節して表面張力を減らすことによって、残存する圧力サージを減少させる又は取り除くことが可能である。一実施形態において、内側バリア555は、重要な高さの差を約50μmのギャップで、内側バリア55の底部とウェハ30又はデバイスステージ42の頂部との間に維持することができる。
【0078】
図6は、一実施形態のデバイスステージ642の上方に位置付けられたウェハ630を有するデバイスステージ642の透視図である。この実施形態において、デバイスステージ642は、デバイステーブル650、デバイスホルダ652、ガード654及びガード駆動アセンブリ656を含む。この実施形態において、デバイステーブル650は概して矩形の平板形状である。デバイスホルダ652はウェハ630を保持する。この実施形態において、デバイスホルダ652はチャック又はデバイステーブル650に固定される別種のクランプである。ガード654はウェハ630を取り囲む、及び/又ウェハ630の周りを一周する。一実施形態において、ガード654は概して矩形の平面形状であり、ウェハ630を入れるための円形の開口658を含む。
【0079】
一実施形態において、ガード654は第1部分660及び第2部分662を含むことができる。一つ若しくはそれより多数の部分660、662は移動する、取り去る、又は逃がすことによってウェハ630のローディング(装着)及びリムービング(除却)のための容易なアクセスを提供することができる。
【0080】
ガード駆動アセンブリ656は、ガード654をデバイステーブル650に固定し、ガード654をデバイステーブル650、デバイスホルダ652及びウェハ630に対して移動し、且つ、ガード654をデバイステーブル650、デバイスホルダ652及びウェハ630に対して位置付ける。この設計ではガード駆動アセンブリ656は、ガード654の上面のステージ表面680がウェハ630の上面のデバイス露光面679とほぼ同じZ方向の高さとなるように、ガード654を移動することができる。換言すれば、ガード駆動アセンブリ656は、ステージ表面680がデバイス露光面679とほぼ面一になるようにガード654を移動する。その結果、ガード654が移動されて、ウェハ630の代替の高さを調節することができる。
【0081】
ガード駆動アセンブリ656の設計は変更することができる。例えば、ガード駆動アセンブリ656は、一つ又はそれより多数のロータリモータ、ボイスコイルモータ、リニアモータ、電磁アクチュエータ及び/又は別なタイプの力によるアクチュエータを含むことができる。一実施形態において、ガード駆動アセンブリ656は制御システム24(
図1に図示)の制御の下で、Z軸に沿って、X軸周りに及びY軸周りに移動させ、且つ位置付ける。センサ681(箱形として図示)を用いてガード表面及びウェハ上面679の相対的な高さを測定することができる。センサ681からの情報は制御システム24(
図1に図示)に転送することができ、制御システム24は高さセンサ681からの情報を用いてガード駆動アセンブリ656を制御する。
【0082】
図7Aは別の実施形態のデバイスステージ742の上方に位置付けられたウェハ730を有するデバイスステージ742の投影図である。
図7Bは
図7Aの断面図である。この実施形態において、デバイスステージ742はデバイステーブル750、デバイスホルダ752、ガード754及びホルダ駆動アセンブリ756を含む。この実施形態において、デバイステーブル750は一般に矩形の平面形状である。デバイスホルダ752はウェハ730を保持する。ガード754は一般に矩形の平面形状であり、ウェハ730用に円形の開口含む。この実施形態において、ガード754はデバイステーブル750に堅く固定される。ホルダ駆動アセンブリ756はデバイスホルダ752をデバイステーブル750に固定し、デバイスホルダ752をデバイステーブル750及びガード754に対して移動し、且つ、デバイスホルダ752をデバイステーブル750及びガード754に対して位置付ける。この設計では、ホルダ駆動アセンブリ756は、ガード754の上面のステージ表面780がウェハ730の上面のデバイス露光面779とほぼ同じZ方向の高さとなるように、デバイスホルダ752及びウェハ730を移動することができる。センサ781を用いて上面のステージ表面780及び上面のデバイス露光面779の相対的な高さを測定することができる。センサ781からの情報は制御システム24(
図1に図示)に転送することができ、制御システム24は高さセンサからの情報を用いてホルダ駆動アセンブリ756を制御する。
【0083】
例えば、ホルダ駆動アセンブリ756は、一つ又はそれより多数のロータリモータ、ボイスコイルモータ、リニアモータ、電磁アクチュエータ及び/又は別なタイプの力によるアクチュエータを含むことができる。一実施形態において、ホルダ駆動アセンブリ756は、制御システム24(
図1に図示)の制御の下で、Z軸に沿って、X軸周りに及びY軸周りに移動し、且つ位置付ける。
【0084】
半導体デバイスは、上記のシステムを用いて、一般に
図8Aに示されたプロセスによって製造されることができる。工程801において、デバイスの機能及び性能特性が設計される。次に、工程802において、パターンを有するマスク(レチクル)が先の設計工程に従って設計され、並行する工程803において、ウェハがシリコン材料で製造される。工程802で設計されたマスクパターンは、工程804において、本発明に従ってこれまでに記載したフォトリソグラフィシステムによって、工程803で製造されたウェハ上に露光される。工程805において、半導体デバイスは組み立てられ(ダイシングプロセス、ボンディングプロセス及びパッケージングプロセスを含む)、最終的に、デバイスは工程806において検査される。
【0085】
図8Bは、半導体デバイス製造の場合における、上記工程704の詳細なフローチャートの例を示している。
図8Bにおいて、工程811(酸化工程)では、ウェハ表面が酸化される。工程812(CVD工程)では、ウェハ表面に絶縁薄膜が形成される。工程813(電極形成工程)では、蒸着によってウェハ表面上に電極が形成される。工程814(イオン注入工程)では、イオンがウェハ内に注入される。上記の工程811−814は、ウェハ加工処理中のウェハに対する前処理工程を形成し、加工処理の要請に従って各々の工程が選択される。
【0086】
ウェハ加工処理の各々の段階において、前記前処理工程が完了したとき、以下の後処理工程が実行される。後処理工程の間、先ず、工程815(フォトレジスト形成工程)において、フォトレジストがウェハに塗布される。次に、工程816(露光工程)において、上記の露光ワークピースを用いて、マスク(レチクル)の回路パターンをウェハに転写する。その後、工程817(現像工程)において、露光されたウェハが現像され、工程818(エッチング工程)において、残存したフォトレジスト以外の部分(露光された材料表面)がエッチングによって取り除かれる。工程819(フォトレジスト除去工程)において、エッチング後に残存する不必要なフォトレジストが除去される。多重の回路パターンが、これらの前処理工程及び後処理工程を繰り返すことによって形成される。
【0087】
本願に示され、開示されている露光装置10は、本願でこれまでに述べた利点を十分に提供することができるが、それは単に発明の現時点の好ましい実施形態の例示であり、添付の請求の範囲に記載されたこと以外に、本願に示されている構造又は設計の詳細に限定するものではないと解されるべきである。