特許第5950561号(P5950561)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950561
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】発光素子パッケージ基板の加工方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20160630BHJP
【FI】
   H01L21/78 Q
   H01L21/78 L
【請求項の数】1
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2011-271867(P2011-271867)
(22)【出願日】2011年12月13日
(65)【公開番号】特開2013-125756(P2013-125756A)
(43)【公開日】2013年6月24日
【審査請求日】2014年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100142804
【弁理士】
【氏名又は名称】大上 寛
(72)【発明者】
【氏名】谷本 亮治
【審査官】 中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−158377(JP,A)
【文献】 特開2009−283653(JP,A)
【文献】 特開2010−212608(JP,A)
【文献】 特開2008−140940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
H01L 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が搭載されたベース基板と、貫通孔を備え該ベース基板に接着された枠体と、該貫通孔内に該発光素子を位置付けた該枠体の該貫通孔に注入される透光性モールド樹脂と、からなる発光素子パッケージ基板の加工方法であって、
該透光性モールド樹脂が露出するように該発光素子パッケージ基板をチャックテーブルで保持する保持ステップと、
該チャックテーブルで保持された該発光素子パッケージ基板にバイトを回転させながら作用させて、該透光性モールド樹脂および該枠体を旋削して該枠体に規定される分割予定ライン上に流出した該透光性モールド樹脂を除去する旋削ステップと、
該旋削ステップが実施された該発光素子パッケージ基板を該枠体に規定された分割予定ラインに沿って切削し、個々の発光素子パッケージに分割する分割ステップと、
を備えたことを特徴とする発光素子パッケージ基板の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透光性モールド樹脂で発光素子が封止される発光素子パッケージ基板の加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子パッケージ基板は、LED等の発光素子を金属やセラミックス、樹脂等の基板の表面に実装し、発光面を光を透過する透光性モールド樹脂で被覆することで形成される。この発光素子パッケージ基板は、個々の発光素子パッケージ(光デバイス)へと分割され、発光素子パッケージは照明器具や各種電子機器のバックライト等に用いられる。
【0003】
発光素子パッケージ基板の形成方法には種々の形態があるが、その中でも貫通孔を持った樹脂製の枠体で発光素子を囲み、枠体と基板とで形成された空間に透光性モールド樹脂を注入して発光素子を封止する形態の発光素子パッケージ基板の形成方法が多く採用されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−036154号公報
【特許文献2】特開2009−283653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような形態の発光素子パッケージ基板では、注入した透光性モールド樹脂が枠体上に流れ出したまま硬化している場合がある。
【0006】
このような場合に、ダイシング装置等の高速回転する切削ブレードにて枠体を切断し、個々の発光素子パッケージ(チップLED)に分割すると、流れ出した透光性モールド樹脂がバリの発生の原因となってしまう。
【0007】
そして、バリの発生を抑えながら切断するのは非常に難しく、分割後においてバリを除去するのも困難であるという問題を抱えていた。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、透光性モールド樹脂が注入された発光素子パッケージ基板について、バリの発生を抑えながら切断が可能であり、また、分割された個々の発光素子パッケージについてもバリを存在させないようにするための加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では、発光素子が搭載されたベース基板と、貫通孔を備えベース基板に接着された枠体と、貫通孔内に発光素子を位置付けた枠体の貫通孔に注入される透光性モールド樹脂と、からなる発光素子パッケージ基板の加工方法であって、透光性モールド樹脂が露出するように発光素子パッケージ基板をチャックテーブルで保持する保持ステップと、チャックテーブルで保持された発光素子パッケージ基板にバイトを回転させながら作用させて、透光性モールド樹脂および枠体を旋削して枠体に規定される分割予定ライン上に流出した透光性モールド樹脂を除去する旋削ステップと、旋削ステップが実施された発光素子パッケージ基板を枠体に規定された分割予定ラインに沿って切削し、個々の発光素子パッケージに分割する分割ステップと、を備えたことを特徴とする発光素子パッケージ基板の加工方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の加工方法では、枠体上に流出した透光性モールド樹脂および樹脂製の枠体を予めバイトによって切削加工することで、枠体上に流出した透光性モールド樹脂を容易に除去できる。
【0011】
これにより、切削ブレードによる分割ステップにおいて、枠体上に流出した透光性モールド樹脂に起因するバリの発生がなく、また、分割がなされる際にもバリが発生しないという効果を奏することができる。
【0012】
さらには、透光性モールド樹脂の上面が平坦化されることにより、発光素子からの光は透光性モールド樹脂をムラを生じさせること無く透過し、発色のばらつきを抑制することができ、発光素子パッケージとしての商品価値を向上できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明にかかる加工方法により加工される発光素子パッケージ基板の斜視図である。
図2】本発明にかかる加工方法により加工される発光素子パッケージ基板の断面図である。
図3】発光素子パッケージ基板を構成する枠体とベース基板について示す斜視図である。
図4】本発明の加工方法において旋削ステップを実施するのに適した切削装置の斜視図である。
図5】バイトホイールの斜視図である。
図6】バイトユニットの分解斜視図である。
図7図7(A)はホイール基台へのバイトユニットの取り付け構造を示す側面図、図7(B)はその一部断面正面図である。
図8】透光性モールド樹脂を除去する旋削ステップについて示す模式図である。
図9図9(A)は旋削ステップ前の発光素子パッケージ基板の拡大断面図、図9(B)は旋削ステップ前の発光素子パッケージ基板の拡大断面図である。
図10】溢れ出た透光性モールド樹脂が除去された発光素子パッケージ基板の斜視図である。
図11】分割ステップを実施するのに適した切削装置の斜視図である。
図12】分割ステップにて切削がなされる発光素子パッケージ基板の分割予定ラインについて示す発光素子パッケージ基板の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明にかかる加工方法で加工するのに適した発光素子パッケージ基板Pの斜視図、図2は同じく断面図を示している。発光素子パッケージ基板Pは、図3に示すように、LED等の発光素子D,Dが実装されたベース基板Bに対し、貫通孔h,hが形成された枠体Wを接着させることで、両者を積層配置させた構成としている。
【0015】
ベース基板B上の発光素子D,Dは縦横方向に均等間隔で配置されており、この発光素子D,Dの配置に一致するように、枠体Wの貫通孔h,hが縦横方向に均等間隔で配置され、各貫通孔h,h内に発光素子D,Dが収められる。ベース基板Bと枠体Wは、例えば、樹脂等にて構成される。
【0016】
貫通孔h,hが形成されない部位においては、図1に示すように、分割が予定される分割予定ラインS1,S2が規定され、この分割予定ラインS1,S2に沿って分断されることにより、個々の発光素子パッケージに分割される。分割予定ラインS1,S2は、互いに直交するように規定される。
【0017】
そして、図1に示すように、ベース基板Bの上面と、枠体Wの貫通孔hにて仕切られる空間kには、透光性モールド樹脂mが注入されて発光素子Dが透光性モールド樹脂mによって封止される。
【0018】
以上のようにして、発光素子D,Dが搭載されたベース基板Bと、貫通孔hを備えベース基板Bに接着された枠体Wと、貫通孔h内に発光素子Dを位置付けて枠体Wの貫通孔hに注入される透光性モールド樹脂mと、からなる発光素子パッケージ基板Pが構成される。
【0019】
透光性モールド樹脂mは空間kに隙間無く注入され、発光素子Dを完全に封止するものであり、透光性モールド樹脂mの一部が枠体上に流れ出したまま硬化している場合がある。図1及び図2においては、透光性モールド樹脂mが枠体Wの表面Wa上に溢れ出ていることが示されている。
【0020】
このように、枠体Wの表面Wa上に溢れ出た透光性モールド樹脂mが存在すると、後に個々の発光素子パッケージに分割するための加工を行う際に、透光性モールド樹脂mに起因するバリが発生する不具合に繋がってしまう。
【0021】
そこで、本実施形態では、以下に説明する加工方法によって、透光性モールド樹脂mに起因するバリの発生を抑制することとしている。
【0022】
本実施形態は、発光素子D,Dが搭載されたベース基板Bと、貫通孔h,hを備えベース基板Bに接着された枠体Wと、貫通孔h,h内に発光素子D,Dを位置付けた枠体Wの貫通孔h,hに注入される透光性モールド樹脂mと、からなる発光素子パッケージ基板Pの加工方法とするものである。
【0023】
次に、図4に示されるバイト切削装置2を用いた透光性モールド樹脂mの除去について説明する。このバイト切削装置2においては、以下で詳述されるように、透光性モールド樹脂mが露出するように発光素子パッケージ基板Pをチャックテーブル30で保持する保持ステップと、チャックテーブル30で保持された発光素子パッケージ基板Pにバイト54(切削刃56)を回転させながら作用させて、透光性モールド樹脂mおよび枠体Wを旋削して枠体上に流出した透光性モールド樹脂mを除去する旋削ステップが実施される。
【0024】
図4に示すバイト切削装置2において、4はバイト切削装置2のベース(ハウジング)であり、ベース4の後方にはコラム6が立設されている。コラム6には、上下方向に伸びる一対のガイドレール(一本のみ図示)8が固定されている。
【0025】
この一対のガイドレール8に沿ってバイト切削ユニット10が上下方向に移動可能に装着されている。バイト切削ユニット10は、そのハウジング20が一対のガイドレール8に沿って上下方向に移動する移動基台12に取り付けられている。
【0026】
バイト切削ユニット10は、ハウジング20と、ハウジング20中に回転可能に収容されたスピンドル22(図7参照)と、スピンドル22の先端に固定されたマウント24と、マウント24に着脱可能に装着されたバイトホイール25とを含んでいる。バイトホイール25にはバイトユニット26が着脱可能に取り付けられている。
【0027】
バイト切削ユニット10は、バイト切削ユニット10を一対のガイドレール8に沿って上下方向に移動するボールねじ14とパルスモータ16とから構成されるバイト切削ユニット送り機構18を備えている。パルスモータ16をパルス駆動すると、ボールねじ14が回転し、移動基台12が上下方向に移動される。
【0028】
ベース4の中間部分にはチャックテーブル30を有するチャックテーブル機構28が配設されており、チャックテーブル機構28は図示しないチャックテーブル移動機構によりY軸方向に移動される。33は蛇腹であり、チャックテーブル移動機構をカバーする。被加工物となる発光素子パッケージ基板Pは、環状フレームFに固定される粘着テープTに接着され、被加工物ユニットUとしてチャックテーブル30上に保持される。
【0029】
ベース4の前側部分には、第1の被加工物カセット32と、第2の被加工物カセット34と、被加工物搬送用ロボット36と、複数の位置決めピン40を有する位置決め機構38と、被加工物搬入機構(ローディングアーム)42と、被加工物搬出機構(アンローディングアーム)44と、スピンナ洗浄ユニット46が配設されている。
【0030】
また、ベース4の概略中央部には、チャックテーブル30を洗浄する洗浄水噴射ノズル48が設けられている。この洗浄水噴射ノズル48は、チャックテーブル30が装置手前側の被加工物搬入・搬出領域に位置付けられた状態において、チャックテーブル30に向かって洗浄水を噴射する。
【0031】
図5を参照すると、バイトホイール25の斜視図が示されている。バイトホイール25は、環状のホイール基台50と、ホイール基台50に着脱可能に取り付けられたバイトユニット26と、ホイール基台50の回転中心を基準にバイトユニット26に対して点対象位置のホイール基台50に着脱可能に取り付けられたバイトユニット26と同一重量に調整されるバランス取り用錘(カウンターバランス)66とから構成される。バイトホイール25は矢印R方向に回転されて発光素子パッケージ基板Pの表面に溢れ出て硬化した透光性モールド樹脂m(図2参照)を切削する。
【0032】
バイトユニット26は、図6の分解斜視図に示すように、略直方体形状のシャンク(バイトシャンク)52と、シャンク52に着脱可能に取り付けられたバイト54とから構成される。バイト54は板状を呈しており、長手方向の一端部の表面側にはダイアモンド等で所定形状に形成された切削刃56が固着されている。バイト54にはねじ58が挿入される丸穴59が形成されている。
【0033】
シャンク52の一側面には、バイト54の厚さと同等の深さを有するピット60が形成されている。ピット60にはねじ穴61が形成されている。バイト54をシャンク52のピット60内に挿入し、バイト54の丸穴59を通してねじ58をねじ穴61に螺合することにより、バイト54がシャンク52に固定される。
【0034】
図7(A)(B)に示すように、ホイール基台50には直方体形状の取り付け穴62と、取り付け穴62に開口するねじ穴63が形成されている。バイトユニット26のシャンク52をホイール基台50に形成された取り付け穴62中に挿入し、ねじ64をねじ穴63に螺合して締め付けることにより、バイトユニット26がホイール基台50に固定される。
【0035】
次に、図8及び図9(A)(B)を参照して、流出した透光性モールド樹脂mを除去する旋削加工について説明する。発光素子パッケージ基板Pの表面には、図9(A)の拡大断面図に示すように、枠体Wの表面Wa上に溢れ出た透光性モールド樹脂mが存在しており、この透光性モールド樹脂mを除去するものである。
【0036】
スピンドル22を約2000rpmで回転させつつ、バイトホイール送り機構18を駆動してバイトユニット26の切削刃56を枠体Wの表面Waに所定深さ切り込ませ、チャックテーブル30を矢印Y方向に1mm/sの送り速度で移動させる。
【0037】
これにより、表面Wa上に溢れ出た透光性モールド樹脂m、更には、表面Waの表層部分が旋削される。この旋削加工時には、チャックテーブル30は回転させずにY軸方向に加工送りされる。
【0038】
チャックテーブル30に吸引保持された発光素子パッケージ基板Pの左端が切削刃56の取り付け位置を通過すると、発光素子パッケージ基板Pの旋削が終了し、図9(A)において高さW1の位置にあった枠体Wの表面Waは、図9(B)に示すように、高さW2の位置まで旋削される。
【0039】
そして、高さW2の位置まで切削される過程において、枠体Wの表面Wa上に溢れ出て硬化していた透光性モールド樹脂mは除去される。これにより、図9(B)に示すように、透光性モールド樹脂mの表面maと、枠体Wの表面Waとによって一連の平坦面Paが構成される。
【0040】
以上のように旋削加工(旋削ステップ)がなされることで、図10に示すように、枠体Wの表面Waに透光性モールド樹脂mが溢れ出ていることのない、平坦面Paを有する発光素子パッケージ基板Pが実現されることになる。
【0041】
そして、以上のように旋削ステップが実施された発光素子パッケージ基板Pを枠体Wに形成された分割予定ラインS1,S2(図12参照)に沿って切削し、個々の発光素子パッケージに分割する分割ステップを実施することで、個々の発光素子パッケージを製造することができる。
【0042】
この分割ステップは、例えば、図11に示す切削装置70にて実施することができる。なお、切削装置70については、本実施形態のように切削ブレード91を高速回転させる切削ユニット90を備える構成とするほか、レーザービームにより切削加工を行うレーザー加工装置にて構成することも考えられる。
【0043】
図11に示される切削装置70は切削ブレード91を高速回転させる切削ユニット90を備える切削装置であり、チャックテーブル74において被加工物を吸引保持し、チャックテーブル74が切削送り方向(X軸方向)に往復移動しながら、切削ユニット90を割り出し送り方向(Y軸方向)及び切り込み送り方向(Z軸方向)に移動させることにより被加工物が切削される構成となっている。
【0044】
例えば、発光素子パッケージ基板Pをダイシング(切削加工)する場合は、発光素子パッケージ基板Pを粘着テープ(ダイシングテープT)を介して環状フレームFに保持してなる被加工物ユニットUが、チャックテーブル74に載置されて吸引保持される。
【0045】
チャックテーブル74は切削送り手段80によってX軸方向に移動可能となっており、切削ユニット90と一体に形成された撮像ユニット73(カメラ)を有するアライメントユニット72によって、図12に示すように、チャックテーブル74に吸引保持された発光素子パッケージ基板Pの切削すべき領域である分割予定ラインS1,S2が検出され、その分割予定ラインS1,S2と切削ブレード91とのY軸方向の位置合わせがなされた後に、切削が行われる。
【0046】
切削送り手段80は、X軸方向に配設された一対のX軸ガイドレール86と、X軸ガイドレール86に摺動可能に支持されたX軸移動基台88と、X軸移動基台88に形成されたナット部(図示せず)に螺合するX軸ボールねじ81と、X軸ボールねじ81を回転駆動するX軸パルスモータ82とから構成される。
【0047】
チャックテーブル74を回転可能に指示する支持基台84はX軸移動基台88に固定されており、X軸パルスモータ82に駆動されてX軸ボールねじ81が回転することによって、チャックテーブル74がX軸方向に移動される。
【0048】
一方、切削ユニット90は、ガイド手段94によってY軸方向に割り出し送り可能に支持されている。ガイド手段94は、チャックテーブル74の移動を妨げないようにX軸に直交するY軸方向に配設される垂直コラム95と、垂直コラム95の側面においてY軸方向に配設された一対のY軸ガイドレール96と、Y軸ガイドレール96と平行に配設されたボールねじ98と、ボールねじ98に連結されたY軸パルスモータ97と、を有して構成される。
【0049】
Y軸ガイドレール96は、支持部材76をY軸方向に摺動可能に支持しており、支持部材76に備えたナット(図示せず)がボールねじ98に螺合されている。
【0050】
Y軸パルスモータ97に駆動されてボールねじ98が回転することにより、支持部材76がY軸方向に移動される。支持部材76には、切削ユニット90が取り付けられた移動部材77が上下方向(Z軸方向)に摺動可能に取り付けられており、Z軸パルスモータ78を駆動すると、移動部材77がZ軸方向に移動される。
【0051】
以上の実施形態により、本発明を実施することができる。そして、本発明の加工方法を用いることで、枠体W上に流出した透光性モールド樹脂mおよび樹脂製の枠体Wを予めバイト54(切削刃56)によって切削加工(旋削加工)することで、枠体上に流出した透光性モールド樹脂mを容易に除去できる。
【0052】
これにより、切削ブレード91による分割のための分割ステップにおいて、枠体W上に流出した透光性モールド樹脂mに起因するバリの発生がなく、また、分割がなされる際にもバリが発生しないという効果を奏することができる。
【0053】
さらには、透光性モールド樹脂mの上面が平坦化されることにより、発光素子Dからの光は透光性モールド樹脂mをムラを生じさせること無く透過し、発色のばらつきを抑制することができ、発光素子パッケージとしての商品価値を向上できるという効果も奏する。
【符号の説明】
【0054】
2 バイト切削装置
10 バイト切削ユニット
25 バイトホイール
26 バイトユニット
30 チャックテーブル
54 バイト
56 切削刃
B ベース基板
D 発光素子
h 貫通孔
k 空間
m 透光性モールド樹脂
P 発光素子パッケージ基板
W 枠体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12