特許第5950819号(P5950819)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950819
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】気泡含有油脂性菓子
(51)【国際特許分類】
   A23G 1/00 20060101AFI20160630BHJP
   A23G 1/30 20060101ALI20160630BHJP
   A23G 1/20 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   A23G1/00
   A23G1/20
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-534048(P2012-534048)
(86)(22)【出願日】2011年9月15日
(86)【国際出願番号】JP2011071071
(87)【国際公開番号】WO2012036230
(87)【国際公開日】20120322
【審査請求日】2014年8月29日
(31)【優先権主張番号】特願2010-208812(P2010-208812)
(32)【優先日】2010年9月17日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】100094640
【弁理士】
【氏名又は名称】紺野 昭男
(74)【代理人】
【識別番号】100103447
【弁理士】
【氏名又は名称】井波 実
(74)【代理人】
【識別番号】100111730
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武泰
(74)【代理人】
【識別番号】100180873
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 慶政
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 洋之
(72)【発明者】
【氏名】田中 政光
(72)【発明者】
【氏名】長島 由佳
(72)【発明者】
【氏名】千綿 孝智
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭51−095170(JP,A)
【文献】 実開平01−074095(JP,U)
【文献】 実開昭61−069986(JP,U)
【文献】 特表2008−539774(JP,A)
【文献】 エアインチョコ 生チョコ風,2008年 7月21日,URL,http://cookpad.com/recipe/614785
【文献】 Love Choco ロッテ;霧の浮舟,2009年 5月12日,URL,http://www.lovechoco.org/?p=6979
【文献】 Hungry In Hogtown SHF #26: El Bulli's frozen chocolate air,2007年 1月 1日,URL,http://www.hungryinhogtown.com/hungry_in_hogtown/2007/01/shf_26_el_bulli.html
【文献】 ガルボ頂上決戦、明治の新商品「ガルボボール」を元祖「ガルボ」や「ガルボチップス」と戦わせてみた.,2010年 8月27日,URL, http://gigazine.net/news/20100827_galbo_battle/
【文献】 日本食糧新聞,2010年 7月23日
【文献】 日本食糧新聞,2010年 8月 6日
【文献】 日本食糧新聞,2010年 8月30日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 1/00−9/52
B26F 3/12
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/
WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気泡含有油脂性菓子を熱線カッターにより切断することを特徴とする、気泡含有油脂性菓子の製造方法。
【請求項2】
前記気泡含有油脂性菓子の比重が0.5〜1.0である、請求項に記載の気泡含有油脂性菓子の製造方法。
【請求項3】
熱線カッターを構成する熱線が通電により発熱する材料からなり、該熱線の表面温度が40〜80℃とされる、請求項またはに記載の気泡含有油脂性菓子の製造方法。
【請求項4】
前記気泡含有油脂性菓子が、天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられてなる形状である、請求項乃至のいずれか一項に記載の気泡含有油脂性菓子の製造方法。
【請求項5】
前記気泡含有油脂性菓子の油分が30〜60重量%である、請求項乃至のいずれか一項に記載の気泡含有油脂性菓子の製造方法。
【請求項6】
前記油脂性菓子がチョコレートである、請求項乃至のいずれか一項に記載の気泡含有油脂性菓子の製造方法。
【請求項7】
前記気泡含有油脂性菓子が直方体の形状である、請求項乃至のいずれか一項に記載の気泡含有油脂性菓子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2010年9月17日に出願された日本国特許出願2010−208812号の優先権を主張するものであり、この出願の明細書は引用することにより本願の開示の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は気泡を含有する油脂性菓子およびその製造法に関し、詳しくは天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられてなる立方体または直方体形状などの気泡含有油脂性菓子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、所謂エアチョコと称される、流動性のあるチョコレート生地に気泡を分散させた後に冷却固化して得られる、気泡を含有したチョコレート菓子、すなわち油脂性菓子が知られている。そのような気泡含有油脂性菓子は、通常のチョコレートとは異なる軽い食感とシャープな口どけが感じられ、この食感が菓子の付加価値となり、消費者への訴求点となっている。通常そのような気泡含有油脂性菓子を生産するためには型を用いて成型する方法が考えられる。しかし、気泡を分散させた油脂性菓子は組織が脆く、冷却固化の際の生地の収縮もあまり生じないため、型からの剥離が困難である。組織が脆いことから形状を保ったまま、物理的切断手段を適用することも難しい。そのため、例えば、気泡を分散させないチョコレート生地で外側にシェルを作り、その中に気泡を分散させた生地を充填したもの(特開平8−242768号(特許文献1))が提案されている。また、成形した製品を取り出し易くするために型の開口方向に対して開いた形状となるように、いわゆるテーパーを設け、型の表面を梨地にするなどして剥離を良くした技術(特開平8−289729号(特許文献2))の適用も有効と考えられる。
【0004】
しかしながら、気泡含有油脂性菓子を、気泡を含有させない通常の生地で外側を覆ったシェルタイプの菓子は、外側シェルが融けた後に内側の気泡含有油脂性菓子が融けだすため、喫食時に瞬時にシャープな口どけを感じられるものではなくなってしまう。シェルを用いることなく気泡含有油脂性菓子のみからなる成形体を得るため、それを取り出しやすくするために型にテーパーを設けると、得られる菓子は天面と底面の形状や面積が互いに異なったものとなり、包装形態によっては製品を同じ向きに整列させる必要が生じてしまうものであった。
【0005】
ワイヤーカッターまたは加熱されたワイヤーにより菓子を切断する手法が知られている。例えば、固化した氷菓塊を電熱線上に落下させて溶解切断する方法(特開昭58−107139号(特許文献3))、板状に成形されたガナッシュやゼリーを、ピアノ線を用いて裁断する方法(特開2000−24992号(特許文献4))、縦横に直交するよう張設した細線で、板状または直方体状の菓子を一動作で縦横方向に切断する方法(特開2000−262218号(特許文献5))が知られている。また、空気入りアイス菓子を押出しストランド形状とし、これを高温ワイヤーカッターにより切断する方法(特開2002−503491号(特許文献6))が知られており、また十文字ワイヤーと、それに垂直に設けられた横線ワイヤーとの組み合わせとからなる、食材を効率的かつ安全にサイの目に切るカッターが知られている(実用新案登録第3101735号(特許文献7))。しかしながら、高温ワイヤーを用いる手法を開示する上記特許文献は、切断する対象としてチョコレート、とりわけ気泡含有油脂性菓子を開示していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−242768号公報
【特許文献2】特開平8−289729号公報
【特許文献3】特開昭58−107139号公報
【特許文献4】特開2000−24992号公報
【特許文献5】特開2000−262218号公報
【特許文献6】特開2002−503491号公報
【特許文献7】実用新案登録第3101735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、今般、熱線カッターを用いることにより、上記のようなシェルを設けることなく、かつテーパーを設け、その表面を梨地にした型を用いることなく、天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられてなる柱状または立方体形状の気泡含有油脂性菓子を得ることができるとの知見を得た。
【0008】
従って、本発明は、喫食時に瞬時にシャープな口どけが感じられ、天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられてなる柱状または立方体形状の気泡含有油脂性菓子およびその製造方法の提供をその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、本発明による気泡含有油脂性菓子は、天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられている形状であることを特徴とするものである。
また本発明による気泡含有油脂性菓子の製造方法は、気泡含有油脂性菓子を熱線カッターにより切断することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明による気泡含有油脂性菓子は、シェル、すなわち表面に気泡を含有させない油脂性菓子の層を設けず製造できるため、喫食時に瞬時にシャープな口どけ感を有する製品となる。また、本発明による気泡含有油脂性菓子は、接する天面、底面および側面がすべて直角に交わっているため、対向する面を区別する必要がない。その結果、特に正六面体の場合、包装時に製品の向きをそろえるための整列が格段に容易になる点で有利である。
【0011】
本発明による気泡含有油脂性菓子の製造方法によれば、上記のとおり天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられてなる形状の油脂性菓子が得られるが、本発明による製造方法により得られるものはこのような形状を有するものに限定されない。すなわち、熱線カッターによる切断は、自由な形状を有する菓子の製造を可能にし、例えば動物や花などの形状の菓子を製造することを可能にする。この形状においても表面、裏面の区別をする必要がないため、製品の整列が容易であるとの利点も得られる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明による気泡含有油脂性菓子は、熱線カッターにより切断されて製造される。従来、上述のとおり菓子・食品の切断手段として熱線カッターは存在した。しかし、チョコレートなどの油脂性菓子は、加熱され融解後に再度固化するときに白くなる現象が見られることは周知である。この現象はブルーム現象と呼ばれる。これは、チョコレート中のココアバターが融けて表面に浮き出すことが主な原因であり、製品の外観および味も損なわれることから避けるべき現象とされていた。熱線カッターによる切断は、切断面において融解が伴うことから、チョコレートへの適用はこのブルーム現象が懸念される。本発明者らは、一般的なチョコレートを熱線カッターにより切断すると、切断面においてブルーム現象が見られることを実験的に確認している。しかしながら、気泡含有油脂性菓子は、熱線カッターによって、意外にも、製品外観および味を損なうことなく切断できた。本発明が以下の理論により限定されることを意図するものではないが、その理由は以下のように考えられる。すなわち、気泡含有油性菓子は、内部に気体を含有する。そのため、切断すべきチョコレートの絶対量は少なくなる。そしてチョコレート成分、とくにココアバター成分の絶対量も少なくなる。熱線カッターにより加熱されて融解し再固化するココアバター量は少なく、製品の外観および味を損なう程度までのブルーム現象は生じないと考えられるのである。
【0013】
従って、本発明の一つの態様によれば、熱線カッターを切断しようとする気泡含有油脂性菓子の上面と下面に対して垂直に配置して切断すれば、天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられてなる形状の油脂性菓子が得られる。従来の型を用いる手法では、テーパーに起因して、気泡含有油脂性菓子は型の開口方向に対して開いた形状にならざるを得なかった。しかし、本発明によれば、接する天面、底面および側面がすべて直角に交わっているため、対向する面を区別する必要がない。特に正六面体の場合、包装時に製品の向きをそろえるための整列の必要がない。また、本発明によれば、シェル、すなわち表面に気泡を含有させない油脂性菓子の層を設けず気泡含有油脂性菓子が製造できるため、喫食時に瞬時にシャープな口どけ感を有する製品の提供が可能となる。
【0014】
また、本発明による気泡含有油脂性菓子の製造方法は、天面と底面が互いに平行に形成され、それらに対し側面が垂直に設けられてなる形状の油脂性菓子が得られるが、本発明による製造方法により得られるものはこのような形状を有するものに限定されない。すなわち、熱線ワイヤーによる切断は、自由な形状を有する菓子の製造を可能にし、例えば動物や花などの形状の菓子を製造することを可能にする。この形状においても表面、裏面の区別をする必要がないため、製品の整列が容易であるとの利点も得られる。さらに、本発明の別の態様によれば、気泡含有油脂性菓子の上面と下面に対して垂直だけでなく、ある角度をもって配置し切断することも可能となる。その結果、極めて多様な形状の気泡含有油脂性菓子が提供できるとの利点が得られる。
【0015】
本発明において油脂性菓子は、チョコレートなど、油脂を含有することにより熱線で融解が生じるものであればよい。気泡含有油脂性菓子生地は、比重が0.5〜1.0であることが好ましく、より好ましくは0.6〜1.0である。チョコレートの場合には含気前の比重は1.2程度で、それに気泡を分散させるために通常用いられるエアミキサーなどで含気させることで、所望の比重の気泡含有油脂性菓子生地を得る。比重が上記範囲にあることで、製造途中で崩れてしまうものが発生しない組織強度がえられ大量生産に適し、気泡含有油脂性菓子特有の軽い食感が有利に実現される。
【0016】
油脂性菓子生地に分散させる気体の種類は特に限定されるものではなく、空気や窒素ガスなどを用いることができるが、菓子の風味を保持するためには窒素ガスなどの不活性ガスを使用することが望ましい。
【0017】
本発明において油脂性菓子生地の油分は、30〜60重量%であることが好ましい。油分が上記範囲にあることで熱線による生地の融解が短時間で十分に生じ、切断面が平坦である製品が得られ、かつ耐熱性が十分であり、喫食時に手が汚れてしまうなどの不都合が生じにくい菓子が得られる。
【0018】
本発明に用いられる熱線カッターはステンレス(以降「SUS」という)、ニクロム線、銅線などの、通電によって発熱する材料であればよい。切断時の熱線の表面温度は油脂性菓子の成分等を勘案して適宜決定されてよいが、40〜80℃が好ましく、より好ましくは60℃〜80℃である。上記温度範囲であることで、切断時に油脂性菓子生地を短時間で融解できる。また、生地に対する熱線カッターの相対速度も生地の比重や油分、熱線の温度を考慮して適宜決定されてよいが、通常30〜65mm/秒程度であることが望ましい。
【0019】
本発明の油脂性菓子は、例えば、油脂、粉乳、砂糖やその他の原料を混合して流動性のある生地を得、エアミキサー等で気泡を分散させ、それをコンベアベルトに流して一定の厚みにし、冷却してシート状に成形する。そして十分に冷却して後に熱線カッターで切断、冷却することによって製造することができる。
【0020】
切断した油脂性菓子には、ココアパウダーや粉糖をまぶして装飾を施すことも可能である。その場合は、形が崩れることを望まないのであれば切断直後に断面にスプレーすればよく、多少の形崩れが許容される場合には、効率的にまぶすために、熱線カッターで切断した後の製品をすみやかに回転釜に投入してまぶしてよい。その場合には、得られる製品は、サイコロの角が丸まったような形状や、煮崩れしやすい食材をいわゆる“面取り”したような形状のものとなる。
【0021】
本発明により得られる製品は、包装時に整列の必要のないサイコロ状などの直方体形状や、表面、裏面の区別の必要のない、動物、花などをかたどった一定の厚みで任意の形状の気泡含有油脂性菓子である。
【実施例】
【0022】
以下、実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
実施例1
表1に示す配合でカカオマス、砂糖、全粉乳、ココアバター、ココアバター代用脂、レシチン、香料、およびBOB(不二製油社製、ボブスター)を混合し、常法にしたがって油分約50重量%のチョコレート生地を製造した。得られたチョコレート生地をエアミキサーにかけ、比重0.85の気泡含有チョコレート生地を得た。得られた気泡含有チョコレート生地を、剥離性をよくするために50℃に加温したベルトに流し、高さ20mmになるようスクレープし、十分に冷却してシート状の気泡含有チョコレート生地を得た。冷却したシート状生地を、20mmの間隔で、表面温度を70℃になるよう設定したSUSのバネ線(SUS304−WPB)を設けた熱線カッターで、生地に対して50mm/秒の相対速度で柱状に切断し、さらに切断面と直交する方向に再度熱線カッターを通すことで1辺が20mmのサイコロ状の含気チョコレートを得た。得られたサイコロ状チョコレートの断面は、切断刃で押し切りしたものに比べ、表面がささくれ立つことなく平坦な面を形成していた。
【0024】
【表1】
【0025】
実施例2
実施例1と同様の方法で、高さ15mmの気泡含有チョコレート生地を得た。十分に冷却した生地を、花の形状となるように生地に対し垂直に架設した熱線カッターで切り抜き、所望の製品を得た。得られた製品は表裏どちらからも花の形が認識でき、天面、底面、切断面のいずれも滑らかな平坦面であった。
【0026】
実施例3
表2に示す配合でカカオマス、砂糖、脱脂粉乳、ココアバター、レシチン、香料、およびBOB(不二製油社製、ボブスター)を混合し、実施例1と同様の方法で油分約20重量%、比重0.7の気泡含有チョコレート生地を製造した。得られた生地を実施例1と同様の方法でシート状に成形した後、表面温度が80℃になるよう設定した熱線カッターで切断した。得られた製品は、切断時の表面の融解が完全ではないために表面に少し波模様があるものの、商品として許容できる範囲内であった。
【0027】
【表2】
【0028】
実施例4
表3に示す配合でカカオマス、砂糖、全粉乳、ココアバター、ココアバター代用脂、レシチン、香料、およびBOB(不二製油社製、ボブスター)を混合し、実施例1と同様の方法で油分約65重量%、比重0.7の気泡含有チョコレート生地を得た。得られた生地を実施例1と同様の方法でシート状に成形した後、表面温度が60℃になるよう設定した熱線カッターで切断した。得られた製品は表面が融解しやすかったものの、口中で識別できるほどの気泡を含まないシェル層ができてしまうほどではなかった。
【0029】
【表3】
【0030】
実施例5
表1に示す配合でカカオマス、砂糖、全粉乳、ココアバター、ココアバター代用脂、レシチン、香料、およびBOB(不二製油社製、ボブスター)を混合し、常法にしたがって油分が約50重量%、比重0.4の気泡含有チョコレート生地を得た。得られた生地を実施例1と同様の方法でシート状に成形し、熱線カッターで切断した。得られた製品は脆さのために切断時に崩れてしまうものが一部あったが、大半は断面が平坦なサイコロ状のエアチョコであった。
【0031】
実施例6
表1に示す配合でカカオマス、砂糖、全粉乳、ココアバター、ココアバター代用脂、レシチン、香料、およびBOB(不二製油社製、ボブスター)を混合し、常法にしたがって油分が約50重量%、比重1.1の気泡含有チョコレート生地を得た。得られた生地を実施例1と同様の方法でシート状に成形し、熱線カッターで切断してサイコロ状のチョコレートを得た。得られたチョコレートは、喫食時のシャープな口どけが多少弱かったものの、製品の向きを気にする必要のない、断面が平坦なサイコロ状の製品であった。
【0032】
比較例1
表1に示す配合でカカオマス、砂糖、全粉乳、ココアバター、ココアバター代用脂、レシチン、香料、およびBOB(不二製油社製、ボブスター)を混合し、常法にしたがって油分約50重量%のチョコレート生地を製造した。開口方向に対して開いた形状となるように3°のテーパーをつけた1辺が18mmのサイコロ状の型にチョコレート生地を充填し、型の内壁近くの生地のみを固化させて、型内部の固化していない生地を取り除きシェルを形成した。それとは別に表1の配合のチョコレート生地をエアミキサーにかけ、得られた比重0.85の気泡含有チョコレート生地を、形成したシェルの凹部に充填し、底面を平らに均して冷却し、6面のうちの底面以外の5面をシェルで覆われた、正角錘台のシェルチョコレートを得た。
【0033】
得られたシェルチョコレートをトレーに並べて包装するためには、型から剥離する際に転動してしまった製品の向きを直さなければならず、工程が煩雑になってしまううえに、外側が気泡の分散していないチョコレートで大部分を覆われているために、口に入れてもすぐにはシャープな口どけを感じることができなかった。