特許第5950937号(P5950937)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5950937重合性組成物、それと共に得られる硬化物及びこれらの材料の使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5950937
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】重合性組成物、それと共に得られる硬化物及びこれらの材料の使用
(51)【国際特許分類】
   C08F 30/08 20060101AFI20160630BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20160630BHJP
   C08G 77/20 20060101ALI20160630BHJP
   G02B 1/04 20060101ALI20160630BHJP
   G02B 6/12 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   C08F30/08
   C08F290/06
   C08G77/20
   G02B1/04
   G02B6/12 N
【請求項の数】14
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-549718(P2013-549718)
(86)(22)【出願日】2011年1月21日
(65)【公表番号】特表2014-510159(P2014-510159A)
(43)【公表日】2014年4月24日
(86)【国際出願番号】EP2011000254
(87)【国際公開番号】WO2012097836
(87)【国際公開日】20120726
【審査請求日】2014年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー−ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003986
【氏名又は名称】日産化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫
(74)【代理人】
【識別番号】100104385
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100163360
【弁理士】
【氏名又は名称】伴 知篤
(72)【発明者】
【氏名】ポパル,ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ホウバーツ−クラウス,ラス
(72)【発明者】
【氏名】コヘット,セバスチェン
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター,ハーバート
(72)【発明者】
【氏名】大森 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 哲夫
【審査官】 藤井 勲
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−170684(JP,A)
【文献】 特開2008−297490(JP,A)
【文献】 特表2009−525354(JP,A)
【文献】 特開2010−031272(JP,A)
【文献】 特開2010−047746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 30/00 − 30/10
C08F 283/01
C08F 290/00 − 290/14
C08F 299/00 − 299/08
C08G 77/00 − 77/62
C09J 1/00 − 5/10
C09J 9/00 − 201/10
G02B 6/12 − 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]及び式[2b]で表される化合物から選択されるケイ素化合物との非加水脱アルコール縮合生成物からなる反応性シリコーン化合物、
【化1】
(式中、
Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし6のアルキル基で任意に置換されたフェニル基を表し、
Xは、加水分解性の縮合反応を受け得る基を表し、
ここで、Ar3は、重合性二重結合を有する少なくとも1つの基で置換されたナフチル基又はアントラシル基を表すか、又は
Ar3は、ビニル基以外の重合性二重結合を有する少なくとも1つの基で置換されたフェニル基若しくは重合性二重結合を有する少なくとも2つの基で置換されたフェニル基を表す。)
及び
(b)アルケニル基である少なくとも1つの重合性基を有する化合物であって、式[3]
【化2】
(式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、
Lは、単結合、水素原子、酸素原子、フェニル基で任意に置換された炭素原子数1ないし20のm価の脂肪族炭化水素残基、エーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20のm価の脂肪族炭化水素残基、又はエーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20の多価アルコール残基を表し、
Ar4は、n+1価の、芳香族炭化水素残基、単環性炭化水素残基又は二環性炭化水素残基又は三環性炭化水素残基を表し、
mは、1ないし3の整数(ただしLが水素原子を表すときmは1を表し、Lが単結合又は酸素原子を表すときはmは2を表す。)を表し、nはそれぞれ独立して、1又は2を表す。)で表される化合物
を含む重合性組成物。
【請求項2】
Xが1ないし10個の炭素原子を有するアルコキシ基である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Xがメトキシ基又はエトキシ基である請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
Arがフェニル残基である請求項1ないし3の何れか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記式[3]中、Lが水素原子を表し、mが1を表す、請求項1ないし4の何れか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記式[3]中、Lが水素原子を表し、mが1を表し、nが2を表す、請求項に記載の組成物。
【請求項7】
さらに無機微粒子を含む、請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物。
【請求項8】
さらに溶媒を含む、請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物。
【請求項9】
さらに重合開始剤を含む、請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1ないし9の何れか1項に記載の組成物の硬化物であって、反応性シリコーン化合物における重合性二重結合と、少なくとも1つの重合性基を有する化合物におけるアルケニル基とが反応した硬化物。
【請求項11】
光学接着剤、透明封止剤又は光信号伝達デバイスのコア若しくはクラッドのような光デバイスの部材を製造するための、請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物を含む材料の使用。
【請求項12】
プリント基板の光インターコネクションを製造するための、請求項1ないしの何れか1項に記載の組成物を含む材料の使用であって、好ましくは該光インターコネクションがチップ間(chip−to−chip)光インターコネクションである、使用。
【請求項13】
光学接着剤、透明封止剤又は光信号伝達デバイスのコア若しくはクラッドのような光デバ
イスの部材としての請求項10に記載の硬化物の使用。
【請求項14】
プリント基板の光インターコネクションの部材としての請求項10に記載の硬化物の使用であって、好ましくは該光インターコネクションがチップ間(chip−to−chip)光インターコネクションである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学用途、例えば、光学接着剤又は透明封止剤として有用な、透明性および耐熱性に優れた重合性組成物に関する。特に、この組成物は、オンボード光インターコネクト、例えば、光伝送装置におけるコア材料、又は好適な粒子、例えば、無機微細粒子を充填した場合のコア材料又はクラッド材料の製造のために有用である。
【0002】
そのような重合性組成物は、しばしば“樹脂”と呼ばれる。本発明はまた、組成物又は樹脂から製造される硬化物ならびに組成物及び硬化物の好適な使用にも関する。
【背景技術】
【0003】
近年、通信や信号伝達に対する高速化、高容量化の要求がますます大きくなっている。機器内配線においても電気に代わって光による信号伝達の重要性が高まっている。このような短距離の光通信技術は光インターコネクトと呼ばれ、その部材として、プリント配線基板上の銅による電気配線の一部を光ファイバまたは光導波路による光配線に置き換えた、光電気複合基板の開発が盛んに行われている。
【0004】
光電気複合基板の光導波路を経由して光を送受信する受発光素子は、素子の信頼性を高めるために透明な光学接着剤で封止することが行われている。例えば基板上の光導波路に光学接着剤を用いて面発光レーザー素子(VCSEL)などの受発光素子を接続し、続いてリフローによりはんだ付けすることで電気配線と受発光素子との接続を行うとともに素子の固定を行う。
【0005】
このような光学接着剤には、光通信で用いられる850nm、1.31μm、1.55μmといった近赤外波長で透明であることが求められる。また光導波路や受発光素子と光学接着剤との屈折率差による光損失を低減するために、光学接着剤の屈折率は調整可能であることが望ましい。
【0006】
さらには、光電気複合基板では受発光素子を強固に固定するため、強度の高い鉛フリーはんだの使用が検討されているが、鉛フリーはんだはリフローに高温を必要とする。そのためプリント配線基板には280℃もの高温が加えられることから、光学接着剤には高い耐熱性が強く求められている。
【0007】
このような観点から、透明性および耐熱性に優れた光学接着剤は先行技術から既知である。例えば、特定構造のアダマンタン誘導体を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物(特許文献1参照)や、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物(特許文献2参照)が開発されている。
【0008】
更に、本発明者の数名は、これまでに、機能性有機アルコキシシランに積極的に水を添加することなく重縮合反応させて得られる反応生成物を開発し、光学部材としての利用を提案している。特に、彼等はジフェニルシランジオールを、ケイ素原子に結合した有機残基が少なくとも1つのエポキシ基又はC=C二重結合を含むトリアルコキシシランと反応させ、それにより彼等は光学用途のために有用なポリオルガノシロキサン生成物を得ている。この生成物は、透明性と耐熱性に優れることが広く知られている。(特許文献3参照)。それはORMOCER(登録商標)と呼ばれる材料のグループに属する。
【0009】
最近、(a)ジフェニルシランジオール又は炭素原子を介してシラン分子に結合した2つの芳香族基を有する同等のシランジオール、エポキシ基及び炭素−炭素二重結合を含む
群から選択された有機的に重合可能な基を有するトリアルコキシシラン及び触媒を、意図的に水を添加することなく、混合及び重合することにより得たポリオルガノシロキサン、(b)光重合開始剤及び(c)(メタ)アクリレート類から選択される2個以上の光重合性不飽和結合基を有する有機化合物を含むポリオルガノシロキサン組成物が開示されている(特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−132576号公報
【特許文献2】特開平11−61081号公報
【特許文献3】米国特許第6,984,483号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第2067800号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、光電気複合基板の実用化が検討される中で、信頼性の観点から光学接着剤にはさらなる高い耐熱性が求められている。
一般的に、重合性化合物の耐熱性を向上させるためには、分子内に剛直な構造を導入することが有効とされている。しかしながら、そのような重合性化合物は、粘度が高すぎて取り扱いが困難であり、また硬化物が固くもろい、といった課題がある。
【0012】
また粘度を制御するために、低粘度の溶媒や、低粘度の反応性化合物などで希釈する方法も検討されているが、これらの希釈剤は低温での揮発物となるため、本来の目的である耐熱性を損なうという課題が残る。
【0013】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光通信で使われる近赤外光領域で透明であり、屈折率の調整が可能であり、粘度が調整可能といった作業性に優れ、さらには硬化後の耐熱性に優れた重合性組成物の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を重ねた結果、特定構造の反応性シリコーン化合物および、特定構造の反応性希釈剤を含む重合性組成物が、透明性および耐熱性に優れ、且つ、作業性に優れる粘度に調整できることを見出し、本発明を完成させた。
【0015】
すなわち、本発明は、(a)式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]又は式[2b]で表される化合物とを、酸又は塩基存在下重縮合して得られる反応性シリコーン化合物、及び
(b)アルケニル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの重合性基を有する化合物
を含む重合性組成物を提供する。
【化1】
式中、
Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし6のアルキル基で任意に置換されたフェニル基を表し、
Xは、加水分解性の縮合反応を受け得る基、好ましくは、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基又はNR42(式中、R4は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、該アリール基は脂肪族炭化水素基で任意に置換される。)を表し、
ここで、Ar3は、重合性二重結合を有する少なくとも1つの基で置換されたナフチル基又はアントラシル基を表すか、又は
Ar3は、ビニル基以外の重合性二重結合を有する少なくとも1つの基で置換されたフェニル基若しくは重合性二重結合を有する少なくとも2つの基で置換されたフェニル基を表す。
【0016】
好ましい態様において、式[2]又は式[2b]におけるXは、1ないし10個の炭素原子を有するアルコキシ基、2ないし5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、2ないし6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、2ないし6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基又は基NR42(式中、R4は水素原子又は1ないし6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)を表す。より好ましくは、Xは1ないし6個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、最も好ましくは、Xはメトキシ基又はエトキシ基を表す。
Ar3は、好ましくはアリル基で置換されたフェニル基又は2個のビニル基で置換されたフェニル基を表す。
【0017】
本発明の組成物の第一の態様において、少なくとも1つの重合性基を有する化合物が式[3]で表される化合物であることが好ましい。
【化2】
式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、
Lは、単結合、水素原子、酸素原子、フェニル基で任意に置換された炭素原子数1ないし20のm価の脂肪族炭化水素残基、エーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20のm価の脂肪族炭化水素残基、又はエーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20の多価アルコール残基を表し、
Ar4は、n+1価の、芳香族炭化水素残基、単環性炭化水素残基、二環性炭化水素残基又は三環性炭化水素残基を表し、
mは、1ないし3の整数(ただしLが水素原子を表すときmは1を表し、Lが単結合又は酸素原子を表すときはmは2を表す。)を表し、nはそれぞれ独立して、1又は2を表す。
【0018】
Ar4の例は、フェニル残基、ナフチル残基又はアントラシル残基であり、これらは更に、好ましくは炭素原子数1ないし6のアルキル基で置換されるか又は未置換である。Ar4がフェニル残基を表すのがより好ましい。それとは独立して、R1が水素原子を表すのが好ましい。別の独立した好ましい態様において、式[3]におけるnは2である。Ar4がフェニル残基を表し且つR1が水素原子を表すのが更に好ましい。Ar4がフェニル残基を表し、R1が水素原子を表し且つnが2であるのがいっそう好ましい。前述の式[3]の態様の全てにおいて、Lが水素原子を表し且つmが1であるのが最も好ましい。
本発明の組成物の別の態様において、前記少なくとも1つの重合性基を有する化合物が、式[4]で表される化合物であるのが好ましい。
【化3】
式中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、R3は、フェニル基で任意に置換された炭素原子数1ないし20のp価の脂肪族炭化水素残基、エーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20のp価の脂肪族炭化水素残基、又はエーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20の多価アルコール残基を表し、pは、1ないし6の整数を表す。
前記式[4]中、R3がエーテル結合を任意に含む炭素原子数2ないし10の多価アルコール残基を表し、かつpが2ないし6の整数を表すのがより好ましい。
【0019】
本発明の組成物が、さらに無機微粒子を含むのがもっと好ましい。
本発明の組成物が、無機微粒子に加えて、さらに溶媒を含むのが好ましい。
加えて、本発明の組成物が、さらに重合開始剤を含むのが好ましい。
【0020】
更に、本発明は、反応性シリコーン化合物における重合性二重結合と、少なくとも1つの重合性基を有する化合物における重合性基とを反応させることにより得られる硬化物もまた提供するが、上述の組成物において、該硬化物は微粒子を含んでいてもよい。該硬化物は、光学用途、例えば、光学接着剤又は透明封止剤のために好適である。この硬化物が光インターコネクション、例えば、チップ間(chip−to−chip)インターコネクションのようなプリント基板のための光インターコネクションのために使用されることが特に好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、特定構造の反応性シリコーン化合物と、希釈剤としてアルケニル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの重合性基を有する化合物とを組み合わせ、またこれらの配合量を調整することにより、得られる重合性組成物の耐熱性が、希釈前と比べて大きく低下しない、もしくは280℃までの耐熱性又はそれ以上例えば300℃以上での耐熱性が向上すると同時に、粘度を作業性のよい値に調整することが可能である。
【0022】
更に、本発明による重合性組成物は、その中に無機微粒子を分散させることで、該組成物より得られる硬化物の物性を制御することも可能である。すなわち、無機微粒子の種類および添加量を制御することで、屈折率、硬化物硬度、硬化収縮率、といった物性を任意の値に調整することが可能である。
【0023】
本重合性組成物中に無機微粒子を添加する場合、それらは該無機微粒子を含む本重合性
組成物100質量部に対して、1ないし70質量部、好ましくは5ないし60質量部の比率で使用するのが望ましい。用語“無機粒子の質量”は、無機微粒子が有機シリコーン化合物又は有機金属化合物で処理されている場合、そのような化合物の質量を包含することを意味する。無機微粒子が本重合性組成物及び無機微粒子の5質量部未満である場合、線熱膨張率(CTE)及び硬化収縮の値を低下させる望ましい効果が損なわれることがあり得る。更に、無機微粒子が本重合性組成物及び無機微粒子の70質量部を超える場合、該無機微粒子を含む本重合性組成物の粘度は著しく増加し、取り扱いが困難となる。しかしながら、上述の効果が特定の目的のためにあまり重要でない場合、上述の範囲から外れる量で該無機微粒子を添加することが可能である。
【0024】
加えて、本発明の重合性組成物は、無溶剤の形態でも十分に低粘度であるためそのまま各種材料として使用できる。それにより、作業性の向上に加え、本組成物は、埋め込み、バルク、成型、貼りあわせといった種々の工程における適応が可能である。本組成物はまた、溶剤を加えてワニスの形態としても使用可能であり、薄膜を形成することもできる。
【0025】
更に、本発明の重合性樹脂組成物を重合させて得られる硬化物は、鉛フリーはんだに必要とされる高温のリフローに耐えうる優れた耐熱性を有する。それが反応性希釈剤として式[3]で表される化合物を用いて製造される場合、光通信で用いられる近赤外光領域で透明性に優れる。結果として、光電気複合基板などに用いられる光デバイスの信頼性向上に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】合成例1で製造された反応性シリコーン化合物1の1H−NMRスペクトルを示す。
図2】合成例2で製造された反応性シリコーン化合物2の1H−NMRスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は重合性組成物を対象とするものであって、詳細には、(a)特定構造のジアリールケイ酸化合物と特定構造のケイ素化合物とを、酸又は塩基存在下重縮合して得られる反応性シリコーン化合物、及び(b)アルケニル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの重合性基を有する化合物を含むことを特徴とする重合性組成物である。
【0028】
<(a)反応性シリコーン化合物>
<ジアリールケイ酸化合物>
ジアリールケイ酸化合物としては、下記式[1]で表される化合物が挙げられる:
【化4】
式中、Ar1及びAr2は、それぞれ独立して、炭素原子数1ないし6のアルキル基で任意に置換されたフェニル基を表す。Ar1及びAr2の例としては、フェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基等が挙げられる。
【0029】
上記式[1]の具体例としては、ジフェニルシランジオール、ジ(4−メチルフェニル
)シランジオール、ジ(4−エチルフェニル)シランジオール、ジ(4−イソプロピルフェニル)シランジオール等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0030】
1種の式[1]で表されるジアリルケイ酸化合物又は2種以上の式[1]で表されるジアリルケイ酸化合物の混合物も、本発明において使用することができる。
【0031】
<ケイ素化合物>
ケイ素化合物としては、下記式[2]又は式[2b]で表される化合物が挙げられる:
【化5】
式中、Xは、好ましくは1ないし10個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくは2ないし5個の炭素原子を有するアシルオキシ基、好ましくは2ないし6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基、2ないし6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基又は基NR42(式中、R4は水素原子又は好ましくは1ないし6個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)を表す。より好ましくは、Xは、1ないし6個の炭素原子を有するアルコキシ基を表し、最も好ましくは、Xは、メトキシ基又はエトキシ基を表す。
【化6】
式中、Ar3は、重合性二重結合を有する少なくとも1つの基で置換されたナフチル基又はアントラシル基を表すか、又は
Ar3は、ビニル基以外の重合性二重結合を有する少なくとも1つの基で置換されたフェニル基若しくは重合性二重結合を有する少なくとも2つの基で置換されたフェニル基を表し、Xは、上述と同様に定義される。Ar3の例としては、2−ビニルフェニル基、3−ビニルフェニル基、4−ビニルフェニル基、4−ビニルオキシフェニル基、4−アリルフェニル基、4−アリルオキシフェニル基、4−イソプロペニルフェニル基等が挙げられる。
【0032】
式[2]で表されるケイ素化合物は、式[2b]で表されるケイ素化合物よりも好ましい。更に、Xがメトキシ基又はエトキシ基を表すのが最も好ましい。
式[2]の具体例としては、4−ビニルフェニルトリメトキシシラン、4−ビニルフェニルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0033】
本発明においては、式[2]で表される1種の化合物又は式[2b]で表される1種の化合物を使用することができるが、同様に、式[2]で表される2種以上の化合物又は式[2b]で表される2種以上の化合物、或いは、式[2]で表される化合物と式[2b]で表される化合物の混合物を使用することもできる。
【0034】
<ジアリールケイ酸化合物とケイ素化合物[2]又は[2b]との配合割合>
上述の重合性組成物に用いるジアリールケイ酸化合物[1]と式[2]又は式[2b]で表される化合物は、ブロックコポリマー化を防ぐ目的から、好ましくは、2:1ないし1:2のモル比の範囲で配合される。これらの化合物は、より好ましくは1.1:0.9ないし0.9:1.1のモル比の範囲で配合される。具体的な態様としては、モル比はおおよそ又は正確に1:1である。本重合性組成物中において遊離のヒドロキシ基が存在しないことを確実にするために、約1:1ないし0.9:1.1の間のモル比を使用するのが最も好ましい。
【0035】
ジアリールケイ酸化合物及びケイ素化合物は、必要に応じて適宜選択して用いることができ、また、化合物[1]及び/又は化合物[2]又は[2b]の複数種を組み合わせて使用することができる。更に、所望により、化合物[2]及び[2b]の混合物を使用することもできる。そのような場合におけるモル比は、化合物[2]及び/又は[2b]の総モル量に対するジアリールケイ酸化合物の総モル量の比率であるが、それもまた、上述の範囲内である。
【0036】
<縮合反応>
式[2]又は[2b]で表される化合物の構造が本発明の一つの特徴となっている。本発明で使用されるこの化合物に含まれる反応性基(重合性二重結合)は、ラジカルによって容易に重合し、重合後(硬化後)は高い耐熱性を示す。
【0037】
一般に、式[2]又は[2b]で表されるケイ素化合物がジアリールケイ酸化合物と共に重縮合に付されて、高い耐熱性を有するシリコーン化合物を得る場合、生成物が液体状態を保つよう、適度な重合度で反応を停止させる必要がある。本発明で使用される式[2]又は[2b]で表されるケイ素化合物が、アルコキシケイ素化合物である場合、ジアリールケイ酸化合物との重縮合反応は穏やかであり、そのため重合度を制御しやすい特徴があるが、これは本発明のこの好ましい態様の利点である。
【0038】
式[2]又は[2b]で表される化合物、好ましくはアルコキシケイ素化合物と、ジアリールケイ酸化合物との間の脱アルコール化等による重縮合反応は、無溶媒下で行うことも可能だが、トルエンなどの式[2]又は[2b]で表される化合物に対して不活性な溶媒を反応溶媒として用いることも可能である。無溶媒であり、式[2]又は[2b]で表される化合物がアルコキシケイ素である場合、反応副生成物であるアルコールの留去が容易になるという利点がある。一方、反応溶媒を用いる場合、反応系を均一にしやすく、より安定した重縮合反応を行えるという利点がある。
【0039】
<縮合反応に使用する溶媒>
反応性シリコーン化合物の合成反応は、前述のように無溶媒で行ってもよいが、反応をより均一化させるために溶媒を使用しても問題ない。溶媒は、ジアリールケイ酸化合物およびアルコキシケイ素化合物と反応せず、その縮合物を溶解するものであれば特に限定されない。
【0040】
溶媒の例としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール等のグリコールエーテル類、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等、酢酸エチル等のエステル類及び特別な場合において、メタノール又はエタノールのようなアルコール類が挙げられる。アルコール類は、式[2]又は[2b]におけるXがアルコキシ基で無い場合において特別に好ましいが、それは、これらの場合において、アルコールは再エステル化による縮合反応を制御するために使用し得るためである。
特に好ましいものは、トルエン、キシレン及びメチルエチルケトンである。
上述の溶媒は1種単独で、或いは2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
<その他触媒など>
縮合反応に用いる触媒は、前述の溶媒に溶解する、もしくは均一分散する限りにおいては特にその種類は限定されず、必要に応じて適宜選択して用いることができる。その際、1種単独で又は複数種を併用することもできる。
【0042】
用いることのできる触媒の例としては、酸性化合物として、Ti(OR)4、Zr(OR)4、B(OR)3及びAl(OR)3、塩基性化合物としてアルカリ土類金属水酸化物、並びに、フッ化物塩として、NH4F及びNR4F(ここでRは、炭素原子数1ないし12の直鎖状炭化水素基、炭素原子数3ないし12の分枝アルキル基及び炭素原子数3ないし12の環状アルキル基からなる群から選ばれる一種以上の基である)が挙げられる。
【0043】
酸性化合物の具体例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−n−プロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリイソブトキシアルミニウム、トリ−sec−ブトキシアルミニウム、トリ−tert−ブトキシアルミニウム、トリメトキシボロン、トリエトキシボロン、トリ−n−プロポキシボロン、トリイソプロポキシボロン、トリ−n−ブトキシボロン、トリイソブトキシボロン、トリ−sec−ブトキシボロン、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトライソブトキシチタン、テトラ−sec−ブトキシチタン、テトラ−tert−ブトキシチタン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−n−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、テトライソブトキシジルコニウム、テトラ−sec−ブトキシジルコニウム、テトラ−tert−ブトキシジルコニウム等が挙げられる。
【0044】
塩基性化合物の例としては、水酸化バリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0045】
フッ化物塩の例としては、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、フッ化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
【0046】
これら触媒のうち、好ましく用いられるのは、テトライソプロポキシチタン(チタンイソプロポキシド)、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムからなる群から選ばれる一種以上の化合物である。
【0047】
使用される触媒の量は、ケイ酸化合物とアルコキシケイ素化合物との合計質量に対し、0.01ないし10質量%、好ましくは0.1ないし5質量%である。反応の進行の観点から、使用される触媒の量は0.01質量%以上である。
【0048】
<縮合反応の反応条件>
本発明で用いる反応性シリコーン化合物は、式[1]で表されるジアリールケイ酸化合物と式[2]で表されるアルコキシケイ素化合物を、例えば、酸または塩基性触媒の存在下で、脱アルコール縮合を行うことにより得られる。望ましくは、該重縮合反応は、水を添加せずに行われ、より好ましくは、周囲(試薬、ガラス壁、該材料上の大気)を介して混入する可能性のある水が可能な限り低く抑えられ、最も好ましくは完全に存在しない。この理由のために、該反応は、望ましくは、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行なわれ、反応容器は、望ましくは、使用前に加熱される。更に、水分の混入を防ぐために、無水試薬が好ましく使用される。
【0049】
反応温度は、必要に応じて選択することができ、好ましくは、20℃ないし150℃の範囲であり、より好ましくは30℃ないし120℃である。
反応時間は、縮合物の分子量増加が終了し、分子量分布が安定するのに必要な時間以上
なら、特に制限は受けず、より具体的には、該時間は数時間から数日間である。
【0050】
アルコキシケイ素化合物を式[2]及び/又は[2b]で表される化合物として使用する場合、この反応系は脱アルコール縮合を促進するため、反応中減圧下でアルコールを留去してもよいが、必須ではない。
【0051】
<(b)アルケニル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの重合性基を有する化合物>
前記の反応性シリコーン化合物は粘度が高く作業性に劣るため、反応性希釈剤を加えて粘度を低下させる必要がある。また反応性希釈剤には、耐熱性を大きく低下させないことが求められる。
【0052】
このような反応性希釈剤として、アルケニル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの重合性基を有する化合物が本発明において使用されるが、好ましくは下式[3]および下式[4]で表される化合物から選択される:
【化7】
式中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、
Lは、単結合、水素原子、酸素原子、フェニル基で任意に置換された炭素原子数1ないし20のm価の脂肪族炭化水素残基、エーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20のm価の脂肪族炭化水素残基、又はエーテル結合を任意に含む炭素原子数1ないし20の多価アルコール残基を表し、
Ar4は、n+1価の、芳香族炭化水素残基、単環性炭化水素残基又は二環性炭化水素残基又は三環性炭化水素残基を表し、
mは、1ないし3の整数(ただしLが水素原子を表すときmは1を表し、Lが単結合又は酸素原子を表すときはmは2を表す。)を表し、nはそれぞれ独立して、1又は2を表す。
【0053】
Lの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、メトキシメチレン基、エトキシメチレン基、メトキシエチレン基、エチレングリコール残基(−CH2CH2OCH2CH2−)、ジエチレングリコール残基(−(CH2CH2O)2CH2CH2−)、プロピレングリコール残基(−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−)、1,1,1−プロパントリオール残基(−C(−)2CH2CH3)、1,1,3−プロパントリオール残基(−CH(−)CH2CH2−)、1,2,4−ブタントリオール残基(−CH2CH(−)CH2CH2−)等である。
【0054】
Ar4の例としては、フェニル残基、ナフチル残基又はアントラシル残基が挙げられ、これらは、好ましくは炭素原子数1ないし6のアルキル基で置換されるか又は未置換である。Ar4がフェニル残基を表すのがより好ましい。それとは独立して、R1が水素原子を表すのが好ましい。別の独立した好ましい態様において、式[3]におけるnは2である。Ar4がフェニル残基を表し且つR1が水素原子を表すのが更に好ましい。Ar4がフェニル残基を表し、R1が水素原子を表し且つnが2であるのがいっそう好ましい。前述の式[3]の態様の全てにおいて、Lが水素原子を表し且つmが1であるのが最も好ましい。
【0055】
【化8】
式中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、R3は、フェニル基で任意に置換されたp価の炭素原子数1ないし20の脂肪族炭化水素残基又はエーテル結合を任意に含むp価の炭素原子数1ないし20の脂肪族炭化水素残基を表し、pは、1ないし6の整数を表す。
【0056】
式[4]におけるR3の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ベンジル基、フェネチル基、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基、メトキシメチレン基、エトキシメチレン基、メトキシエチレン基、エチレングリコール残基(−CH2CH2OCH2CH2−)、ジエチレングリコール残基(−(CH2CH2O)2CH2CH2−)、プロピレングリコール残基(−CH2CH2CH2OCH2CH2CH2−)、1,1,1−プロパントリオール残基(−C(−)2CH2CH3)、1,1,3−プロパントリオール残基(−CH(−)CH2CH2−)、1,2,4−ブタントリオール残基(−CH2CH(−)CH2CH2−)等が挙げられる。
前記式[4]中、R3がエーテル結合を任意に含む炭素原子数2ないし10の多価アルコール残基を表し、かつpが2ないし6の整数を表すのがより好ましい。
【0057】
本発明に従って、式[3]及び/又は[4]で表される1種以上の反応性希釈剤が使用され得る。しかしながら、850nm、1.31μm及び1.55μmの近赤外波長で望ましい透明性を有する硬化物を製造するためには、式[3]で表される1種以上の化合物を使用し、式[4]で表される化合物を使用しないのが好ましいことを留意すべきである。
【0058】
以下、式[3]及び[4]で表される化合物の具体例を述べるが、それらに限定されるものではない。
式[3]で表される化合物の具体例としては、ジビニルベンゼン、スチレン、ジイソプロペニルベンゼン、4,4´−ジビニルビフェニル、2−(4−ビニルフェノキシ)スチレン、4−フェネチルスチレン、1,1,1−トリス(4−ビニルフェノキシ)プロパン等が挙げられる。
【0059】
式[4]で表される化合物の具体例としては、ベンジル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ペンタエリトリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、プロピレングリコールジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物等が挙げられる。
【0060】
本発明の重合性組成物において、反応性希釈剤としてのアルケニル基及び(メタ)アクリル基からなる群から選ばれる少なくとも1つの重合性基を有する化合物は、前記反応性シリコーン化合物100質量部に基づき、1乃至100質量部、好ましくは5乃至70質量部の比率で使用される。
特に、反応性希釈剤として式[3]で表される化合物を使用する場合には、前記反応性シリコーン化合物100質量部に基づき、1乃至100質量部、好ましくは5乃至70質量部の比率で使用することが望ましい。
また、反応性希釈剤として式[4]で表される化合物を使用する場合には、前記反応性シリコーン化合物100質量部に基づき、1乃至100質量部、好ましくは5乃至50質量部の比率で使用することが望ましい。
なお、上述した比率以外の比率も同様に可能である。
【0061】
<無機微粒子>
本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて無機微粒子を本発明の重合性組成物に添加することも可能である。無機微粒子を添加することにより、後述する硬化物において屈折率や硬度を調整でき、また硬化収縮率を低減することもできる。
【0062】
本発明において、Be、Al、Si、Ti、V、Fe、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、In、Sn、Sb、Ta、W、Pb、Bi及びCeからなる群より選択される1種以上の金属の酸化物、硫化物及び窒化物が、無機微粒子として好適であり、金属酸化物が特に好適である。該無機微粒子は1種単独で、或いは2種以上を混合して用いてもよい。
無機微粒子の具体例としては、Al23、ZnO、TiO2、ZrO2、Fe23、Sb25、BeO、ZnO、SnO2、CeO2、SiO2、WO3等が挙げられる。
【0063】
加えて、複数の金属酸化物を複合酸化物として使用することもまた効果的である。該複合酸化物は、微粒子の製造段階において、2種以上の無機酸化物を混合することにより製造される。例えば、該複合酸化物としては、TiO2とZrO2の複合酸化物、TiO2とZrO2及びSnO2との複合酸化物、ZrO2とSnO2の複合酸化物等が挙げられる。
【0064】
更に、無機微粒子は、例えば、ZnSb26、BaTiO3、SrTiO3、SrSnO3等の上述の金属の化合物であってもよい。これらの化合物は1種単独で、或いは2種以上を混合して用いてもよく、更に、上述の酸化物との混合物として使用され得る。
【0065】
無機微粒子の粒径は特に限定されるものではないが、分散液における分散性の向上を考慮すると、一次粒子径が2ないし50nm、好ましくは5ないし15nmであるのが好適である。ここで、一次粒子径は、透過型電子顕微鏡を用いた観察により測定された値である。
【0066】
加えて、無機微粒子が使用される場合、該微粒子は、そのまま使用され得るか又は該粒子が事前に水又は有機溶媒中に分散されたコロイド状態(コロイド粒子)で使用され得る。無機微粒子は、反応性希釈剤中に分散した状態においても使用され得る。
【0067】
無機微粒子の分散液として使用される有機溶媒としては、ケトン類、エステル類、エーテル類、炭化水素類、ハロゲン化炭素類、カルボン酸アミド類等が挙げられる。これらの有機溶媒は単独で、或いは混合溶媒で使用され得る。具体的には、ケトン類としては、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルアセテート、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル等が挙げられる。エー
テル類としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。炭化水素類としては、トルエン、キシレン、溶媒ナフサ等が挙げられる。ハロゲン化炭素類としては、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロベンゼン等が挙げられる。カルボン酸アミド類としては、DMF、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
【0068】
更に、無機微粒子は、酸化ケイ素、有機ケイ素化合物、有機金属化合物等での処理を受けることにより得られた粒子であり得る。
前記酸化ケイ素での処理は、既知の方法により、媒体中に分散された無機微粒子の表面上で、酸化ケイ素微粒子の成長を引き起こすことを含む。前記酸化ケイ素又は有機金属化合物での処理は、この化合物を、媒体中に分散された無機微粒子中へ添加すること及び攪拌しながら加熱することを含む。
【0069】
前記有機ケイ素化合物としては、シランカップリング剤又はシランが挙げられる。シランカップリング剤の具体例としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0070】
加えて、前記シランの具体例としては、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
【0071】
前記有機金属化合物としては、チタネート系カップリング剤及びアルミネート系カップリング剤が挙げられる。チタネート系カップリング剤の具体例としては、プレンアクトKRTTS、KR 46B、KR 38B、KR 138S、KR238S、338X、KR44、KR 9SA、KR ET5、KR ET(味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられ、アルミネート系カップリング剤の具体例としては、プレンアクトAL−M(味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。
【0072】
有機ケイ素化合物又は有機金属化合物の使用量は、好ましくは、無機微粒子100質量部に基づき、2ないし100質量部である。
【0073】
金属酸化物コロイド粒子は、イオン交換法、解膠法、加水分解法、反応法等のような既知の方法により製造することができる。
【0074】
前記イオン交換法としては、上述の金属の酸性塩を水素型イオン交換樹脂で処理する方法、上述の金属の塩基性塩をヒドロキシ基型アニオン交換樹脂で処理する方法等が挙げられる。
前記解膠法としては、上述の金属の酸性塩を塩基で中和する方法、上述の金属のアルコキシドを加水分解する方法、上述の金属の塩基性塩を加熱下で加水分解し、その後不要な酸を除去する方法等が挙げられる。
前記反応法としては、上述の金属の粉末を酸と反応する方法等が挙げられる。
【0075】
無機微粒子は、本発明の重合性組成物への分散性の観点から、表面がフェニル基などの疎水性基で表面修飾されたものが好ましい。また本発明の硬化物中への固定化の観点から、表面をビニルフェニル基などのラジカル反応性基で修飾することも好ましい。
【0076】
このような無機微粒子は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、特に限定されるものではないが、それらは、例えば、欧州特許第1544257号明細書に記載された方法を用いることにより製造することが可能である。また、市販品のなかから好適なものを選択してもよい。
【0077】
<その他成分>
また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、界面活性剤、レベリング剤、抗酸化剤、光安定剤等のその他の成分を本発明の重合性組成物に添加することも可能である。
【0078】
<ワニス(塗布液)>
本発明の重合性組成物は、有機溶媒を添加してワニスの形態としてもよい。
その場合に添加される溶媒としては、重合性組成物に含まれる各成分を溶解又は分散できる有機溶媒であればよく、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、テトラヒドロフラン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチル、γ−ブチロラクトン等のエステル類、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、オルトジクロロベンゼン等のハロゲン化物が挙げられる。
【0079】
一般に、ワニスの濃度範囲は、特に限定されるものではなく、例えば、1ないし100%であり得る。ワニスの濃度は、有機溶媒を含む重合性組成物の質量に対する固形分(有機溶媒を除く総組成物を意味する)の質量の割合に規定される。ワニスの濃度は、厚さ、充填物及び塗布性の制御のような目的に従って、選択することができる。
【0080】
<硬化物及び光インターコネクション材料>
本発明の重合性組成物は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、光照射または加熱により、反応性シリコーン化合物に含まれる重合性二重結合と、少なくとも1つの重合性基を有する化合物に含まれる重合性基とを反応させて硬化物を得ることができる。
そして得られた硬化物(成形物)は、光デバイス材料として有用であり、特に光インターコネクション用材料として有用である。
【0081】
光ラジカル重合開始剤の例としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーのベンゾイルベンゾエート、アミロキシムエステル、テトラメチルチウラムモノ
スルフィド、チオキサントン類等が挙げられる。
【0082】
特に、光開裂型の光ラジカル重合開始剤が好ましい。光開裂型の光ラジカル重合開始剤については、最新UV硬化技術(159頁、発行人:高薄一弘、発行所:(株)技術情報協会、1991年発行)に記載されているものが挙げられる。
【0083】
市販の光ラジカル重合開始剤の例としては、例えば、BASF社製 商品名: イルガキュア 184、369、651、500、819、907、784、2959、CGI1700、CGI1750、CGI1850、及びCG24−61、ダロキュア 1116、1173、ルシリン TPO、UCB社製 商品名:ユベクリル P36、フラテツリ・ランベルティ社製 商品名:エザキュアー KIP150、KIP65LT、KIP100F、KT37、KT55、KTO46、KIP75/B等が挙げられる。
【0084】
熱ラジカル重合開始剤の例としては、以下の開始剤が挙げられる。
1)過酸化水素類:
例えばt−ブチル(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、ペルオキシ酢酸t−ブチル、ペルオキシ安息香酸t−ブチル、ペルオキシオクタン酸t−ブチル、ペルオキシネオデカン酸t−ブチル、ペルオキシイソ酪酸t−ブチル、過酸化ラウロイル、ペルオキシピバル酸t−アミル、ペルオキシピバル酸t−ブチル、過酸化ジクミル、過酸化ベンゾイル、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等;
2)アゾ化合物:
例えば2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブタンニトリル)、4,4’−アゾビス(4−ペンタン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(t−ブチルアゾ)−2−シアノプロパン、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(1,1)−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)ジクロリド、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジクロリド、2,2’−アゾビス(N,N−ジメチレンイソブチルアミド)、2,2’−アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド)、2,2’− アゾビス(2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物等;
3)次のような組合せを含むレドックス系:
−過酸化水素又は過酸化アルキル、過酸エステル類、過炭酸塩等と、鉄塩又は第一チタン塩、亜鉛ホルムアルデヒドスルホキシレート又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、還元糖のいずれか、との混合物;
−過硫酸、過ホウ酸又は過塩素酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩と、メタ重亜硫酸ナトリウムのような重亜硫酸アルカリ金属塩や還元糖、との組合せ物;
−過硫酸アルカリ金属塩と、ベンゼンホスホン酸のようなアリールホスホン酸、他の同様の酸や還元糖、との組合せ物。
【0085】
使用される上記光ラジカル開始剤又は熱ラジカル開始剤の量は、本発明の重合性組成物100質量部に基づき、0.1ないし15質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.5ないし10質量部の範囲である。また複数種の開始剤を併用してもよい。
【実施例】
【0086】
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限され
るものではない。
実施例で用いた各測定装置は以下のとおりである。
1H−NMR]
機種:日本電子(株)製 JNM−ECX300
測定溶媒:CDCl3
基準物質:テトラメチルシラン(0.0ppm)
[GPC]
装置:東ソー(株)製 HLC−8320 GPC
カラム:Shodex KF−802.5L+KF−803L
カラム温度:40℃
溶媒:テトラヒドロフラン
検出器:UV(254nm)
検量線:標準ポリスチレン
[回転型粘度計]
装置:レオロジカ社製、VAR−50
ツール:平行板
[熱重量測定装置]
装置:ブルカー・エイエックスエス(株)製、TG−DTA2010SA
[屈折率測定機器]
装置:メトリコン社製、MODEL2010 プリズムカプラ
[熱機械分析装置]
装置:ティーエーインスツルメンツ社製、TMA Q400EM
[ヘイズメーター]
装置:日本電色工業(株)製、NDH5000
[干渉膜厚測定器]
装置:フィルメトリクス(株)製、F20
【0087】
[合成例1]
<反応性シリコーン化合物1の合成>
1,000mlのナス型フラスコ中にジフェニルシランジオール0.80モル(177g)(東京化成工業(株)製)、スチリルトリメトキシシラン0.80モル(179g)(信越化学工業(株)製)、溶媒としてトルエン(141g)を仕込んだ。冷却器をナスフラスコに取り付け、窒素バルーンを用いてフラスコ中を窒素雰囲気とし、混合物の温度をオイルバスで室温から50℃まで徐々に昇温した。混合物の温度が50℃で安定したことを確認した後、触媒として水酸化バリウム・一水和物0.0016モル(0.303g)(アルドリッチ社製)を添加し、2日間、50℃を維持して脱アルコール縮合を行った。混合物を室温まで冷却し、孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて混合物を濾過した。再度、混合物を50℃まで昇温し、ロータリーエバポレーターを用いて、トルエンおよび副生成物のメタノールを真空下で除去した。最後に常圧に戻してトルエン除去を終了し、無色透明の反応性シリコーン化合物1(105g)を合成した。
反応性シリコーン化合物1の1H−NMRスペクトルの測定結果を図1に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは1,550、分散度Mw/Mnは1.31であった。
【0088】
[合成例2]
<反応性シリコーン化合物2の合成>
200mlのナス型フラスコ中にジフェニルシランジオール0.10モル(21.6g)(東京化成工業(株)製)、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン0.10モル(24.8g)(信越化学工業(株)製)、溶媒としてトルエン(19.2g)を仕込んだ。冷却器をナスフラスコに取り付け、窒素バルーンを用いてフラスコ中を窒素雰
囲気とし、混合物の温度をオイルバスで室温から50℃まで徐々に昇温した。混合物の温度が50℃で安定したことを確認した後、触媒として水酸化バリウム・一水和物0.0002モル(0.038g)(アルドリッチ社製)を添加し、2日間、50℃を維持して脱アルコール縮合を行った。混合物を室温まで冷却し、孔径0.2μmのメンブレンフィルターを用いて混合物を濾過した。再度、混合物を50℃まで昇温し、ロータリーエバポレーターを用いて、トルエンおよび副生成物のメタノールを真空下で除去した。最後に常圧に戻してトルエン除去を終了し、無色透明の反応性シリコーン化合物2(36g)を合成した。
反応性シリコーン化合物2の1H−NMRスペクトルの測定結果を図2に示す。GPCによるポリスチレン換算で測定される重量平均分子量Mwは2,760、分散度Mw/Mnは1.76であった。
【0089】
[実施例1]
500mlのナス型フラスコ中に合成例1で得た反応性シリコーン化合物1(100g)、ジビニルベンゼン(純度80%、新日鐵化学(株)製品)を3torr(3.99966×102Pa)で50℃から52℃の範囲で減圧蒸留精製したジビニルベンゼン(20g)を仕込んだ。混合物の温度をオイルバスで40℃まで昇温した。温度を40℃で維持したまま撹拌して均一な液体とした。最後に室温に戻して淡黄色透明の重合性組成物を得た。
得られた重合性組成物100質量部に、光重合開始剤としてBASF社製 ルシリン TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)3質量部を、攪拌しながら溶解させて感光性樹脂組成物を調製した。
この感光性樹脂組成物を、厚さ500μmのスペーサーを挟んだ2枚のPETフィルムの間に挟み、空気との接触を避けた状態で、高圧水銀灯からの紫外光を6J/cm2照射して硬化物を得た。
【0090】
参考例2]
実施例1のジビニルベンゼンの代わりにエチレングリコールジメタクリレート(20g)(東京化成工業(株)製)を用いた以外はすべて実施例1の方法と同様に感光性樹脂組成物を調製し、硬化物を得た。
【0091】
参考例3]
実施例1のジビニルベンゼンの代わりにベンジルメタクリレート(20g)(アルドリッチ社製)を用いた以外はすべて実施例1の方法と同様に感光性樹脂組成物を調製し、硬化物を得た。
【0092】
[実施例4]
実施例1のジビニルベンゼン(20g)の代わりに、同様に精製したジビニルベンゼン(7g)を用いた以外はすべて実施例1の方法と同様に感光性樹脂組成物を調製し、硬化物を得た。
【0093】
[実施例5]
実施例1のジビニルベンゼン(20g)の代わりに、同様に精製したジビニルベンゼン(40g)を用いた以外はすべて実施例1の方法と同様に感光性樹脂組成物を調製し、硬化物を得た。
【0094】
[実施例6]
実施例1のジビニルベンゼン(20g)の代わりに、同様に精製したジビニルベンゼン(60g)を用いた以外はすべて実施例1の方法と同様に感光性樹脂組成物を調製し、硬化物を得た。
【0095】
比較例
[比較例1]
合成例1で得た反応性シリコーン化合物1の100質量部に、光重合開始剤としてBASF社製 ルシリン TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)3質量部を攪拌しながら溶解させて感光性樹脂組成物を調製した。
この感光性樹脂組成物を、厚さ500μmのスペーサーを挟んだ2枚のPETフィルムの間に挟み、空気との接触を避けた状態で、高圧水銀灯からの紫外光を6J/cm2照射して硬化物を得た。
すなわち実施例1で使用したジビニルベンゼンを使用せずに、反応性シリコーン化合物1のみをそのまま用い、それ以外はすべて実施例1の方法と同様に行った。
【0096】
[比較例2]
合成例2で得た反応性シリコーン化合物2の100質量部に、光重合開始剤としてBASF社製 ルシリン TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)3質量部を攪拌しながら溶解させて感光性樹脂組成物を調製した。
この感光性樹脂組成物を、厚さ500μmのスペーサーを挟んだ2枚のPETフィルムの間に挟み、空気との接触を避けた状態で、高圧水銀灯からの紫外光を6J/cm2照射して硬化物を得た。
【0097】
[比較例3]
500mlのナス型フラスコ中に合成例2で得た反応性シリコーン化合物2(100g)、エチレングリコールジメタクリレート(20g)(東京化成工業(株)製)を仕込んだ。混合物の温度をオイルバスで40℃まで昇温し、温度を40℃で維持したまま撹拌して均一な液体とした。最後に室温に戻して淡黄色透明の重合性組成物を合成した。
得られた重合性組成物100質量部に、光重合開始剤としてBASF社製 ルシリン TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)3質量部を、攪拌しながら溶解させて感光性樹脂組成物を調製した。
この感光性樹脂組成物を、厚さ500μmのスペーサーを挟んだ2枚のPETフィルムの間に挟み、空気との接触を避けた状態で、高圧水銀灯からの紫外光を6J/cm2照射して硬化物を得た。
【0098】
<感光性樹脂組成物の粘度>
得られた各感光性樹脂組成物の20℃における粘度を回転型粘度計(レオロジカ社製、VAR−50)を用いて測定した。結果を表1及び表2に示す。
【0099】
<光硬化物の5%重量減少温度>
得られた各光硬化物から約5mgを量り取り、熱重量測定装置(ブルカー・エイエックスエス(株)製、TG−DTA2010SA)を用いて、空気中、10℃/分の昇温速度において重量が5%減少する温度(5%重量減少温度)を測定した。結果を表1及び表2に示す。
【表1】

【表2】
【0100】
<透明性の評価>
実施例4で合成された感光性樹脂組成物を、熱酸化膜(膜厚2μm)を有するシリコン基板上にスピンコートにより塗布した。続いてマスクアライナ(ズースマイクロテック社製、MA−6)を用いてパターン露光し、未露光部分を有機溶媒に溶解させて除去することで、幅40μm程度、高さ30μm程度、長さ7cm程度の線状硬化物を得た。この硬化物を光導波路のコアとし、下部クラッド層をシリコン熱酸化膜、上部および側部クラッド層を空気として、カットバック法により硬化物の伝播損失を測定した。光源にはハロゲンランプからの白色光を用い、光導波路からの出射光をスペクトルアナライザーを用いて分光することで、目的波長における伝播損失を算出した。測定は複数個の光導波路に対して行い、その平均値を表3に示す。
【表3】
【0101】
[実施例7]
<シリカゾル分散感光性樹脂液>
500mlのナス型フラスコ中に合成例1で得た反応性シリコーン化合物1(100g)、ジビニルベンゼン(純度80%、新日鐵化学(株)製品)を3torr(3.99966×102Pa)で50℃から52℃の範囲で減圧蒸留精製したジビニルベンゼン(7g)を仕込んだ。混合物の温度をオイルバスで40℃まで昇温し、温度を40℃で維持したまま撹拌して均一な液体とした。最後に室温に戻して淡黄色透明の重合性組成物を得た。
この重合性組成物100質量部に、光重合開始剤としてBASF社製 ルシリン TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)3質量部を、攪拌しながら溶解させて感光性樹脂組成物を調製した。
この感光性樹脂組成物(100g)に、既知の方法(例えば、欧州特許第1544257B1号の明細書に記載された方法)により製造された、ビニルフェニル基で表面修飾したシリカゾルのトルエン分散液(144g)(固形分51.0wt%、粒径:12nm)を添加し、室温で撹拌して均一な液体とすることで、淡黄色透明のシリカゾル分散感光性樹脂液を得た。
【0102】
[実施例8]
<ジルコニアゾル分散感光性樹脂液>
500mlのナス型フラスコ中に合成例1で得た反応性シリコーン化合物1(100g)、ジビニルベンゼン(純度80%、新日鐵化学(株)製品)を3torr(3.99966×102Pa)で50℃から52℃の範囲で減圧蒸留精製したジビニルベンゼン(7g)を仕込んだ。混合物の温度をオイルバスで40℃まで昇温し、温度を40℃で維持したまま撹拌して均一な液体とした。最後に室温に戻して淡黄色透明の重合性組成物を得た。
この重合性組成物100質量部に、光重合開始剤としてBASF社製 ルシリン TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド)3質量部を、攪拌しながら溶解させて感光性樹脂組成物を調製した。
この感光性樹脂組成物(100g)に、既知の方法(例えば、欧州特許第1544257B1号の明細書に記載された方法)により製造された、ビニルフェニル基で表面修飾したジルコニアゾルのメチルエチルケトン(MEK)分散液(322g)(固形分34.6wt%、粒径:13nm)を添加し、室温で撹拌して均一な液体とすることで、淡黄色透明のジルコニアゾル分散感光性樹脂液を得た。
【0103】
<無機微粒子分散光硬化物の屈折率の評価>
実施例7もしくは実施例8で調製したシリカゾル分散感光性樹脂液又はジルコニアゾル分散感光性樹脂液を、50μmの厚さを有する粘着テープをスペーサーとして両端に配したガラス基板にキャスト法により塗布し、100℃のホットプレート上で30分間加熱することで溶媒を除去し、塗膜を作製した。続いて得られた塗膜をスライドガラスでカバー
し、高圧水銀灯からの紫外光を1.2J/cm2照射して硬化させた。スライドガラスを除去して、1つの表面が曝露された光硬化物を得た。
光硬化膜の屈折率を、プリズムカプラ(メトリコン社製、MODEL2010)を用いて測定した。測定は2回行い、その平均値を求めた。結果を表4に示す。
なお、上記と同様にして実施例4で得た感光性樹脂組成物から硬化物を製造し、その屈折率を測定した。結果をあわせて表4に示す。
【0104】
<無機微粒子分散光硬化物の線熱膨張率の評価>
実施例7で調製したシリカゾル分散感光性樹脂液を、ガラス基板にキャスト法により塗布し、60℃のホットプレート上で30分間、その後オーブン中、130℃で30分間加熱することでトルエン溶媒を除去し、塗膜を作製した。続いて得られた塗膜を、窒素ガス雰囲気中、高圧水銀灯からの紫外光を1.2J/cm2照射して硬化させ、光硬化物を得た。
光硬化物の線熱膨張率を(ティーエーインスツルメンツ社製、TMA Q400EM)を用い、50℃ないし100℃の範囲で測定した。測定は3回行い、その平均値を求めた。結果を表4に示す。
なお、上記と同様にして実施例4で得た感光性樹脂組成物から硬化物を製造し、その線熱膨張率を測定した。結果をあわせて表4に示す。
【0105】
<無機微粒子分散光硬化物の透明性の評価>
実施例7で調製したシリカゾル分散感光性樹脂液を、ガラス基板にスピンコート法により塗布し、110℃のホットプレート上で5分間加熱することでトルエン溶媒を除去し、塗膜を作製した。続いて得られた塗膜を、窒素ガス雰囲気中、高圧水銀灯からの紫外光を1.2J/cm2照射して硬化させ、光硬化物を得た。
光硬化物の透明性をヘイズメーター(日本電色工業(株)製、NDH5000)を用いて測定した。結果を表4に示す。
なお、上記と同様にして実施例4で得た感光性樹脂組成物から硬化物を製造し、その透明性を測定した。結果をあわせて表4に示す。
【0106】
<無機微粒子分散光硬化物の硬化収縮の評価>
実施例7で調製したシリカゾル分散感光性樹脂液を、シリコンウェハーにスピンコート法により塗布し、110℃のホットプレート上で5分間加熱することでトルエン溶媒を除去し、塗膜を作製した。続いて得られた塗膜を、窒素ガス雰囲気中、高圧水銀灯からの紫外光を1.2J/cm2照射して硬化させ、光硬化物を得た。
光硬化物の硬化収縮は、硬化前及び硬化後の膜厚の差異を測定することにより計算された。膜厚の測定は、干渉膜厚測定器(フィルメトリクス(株)製、F20)を用いることにより行われた。結果を表4に示す。
なお、上記と同様にして実施例4で得た感光性樹脂組成物から硬化物を製造し、その硬化収縮を測定した。結果をあわせて表4に示す。
【0107】
【表4】
【0108】
[評価結果]
表1に示すように、参考例1、参考例2、実施例3で調製された感光性樹脂組成物は、作業しやすい適度な粘度を有し、また300℃以上の高い耐熱性を示した。一方でシリコーン化合物をそのまま用いた比較例1および比較例2は、優れた耐熱性は得られているものの、感光性樹脂組成物の粘度が高すぎるため作業性に劣り、実用的とはいえない。また比較例3に示すように、シリコーン化合物2は、反応性希釈剤の添加によりその耐熱性が著しく低下している。
すなわち、シリコーン化合物1に示されるような、本発明により合成されるシリコーン化合物は、特異的に、本発明に示される特定構造の反応性希釈剤を添加しても耐熱性が殆
ど低下しない、もしくは著しく向上するといった効果が得られることが分かる。
【0109】
また表2に示すように、本発明の重合性組成物は、シリコーン化合物と反応性希釈剤との混合比を変えることで、高い耐熱性を維持したまま、幅広い領域で感光性樹脂組成物としての粘度を調整可能であることが分かる。
【0110】
表3は本発明の重合性組成物の硬化物の透明性を示すものであり、光インターコネクトでの使用が検討されている、850nmから1550nmといった近赤外光領域で、実用に耐えうる、高い透明性を示すことが分かる。
【0111】
表4から、無機微粒子を添加することで屈折率を1.55から1.64といった幅広い領域で調整可能であり、さらには線熱膨張係数及び硬化収縮を大幅に低下できることが分かる。無機微粒子の添加によらずに硬化膜はいずれも低いヘイズを示し、高い透明性は維持されていることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明によれば、作業性の良い適度な粘度を有し、近赤外光領域での透明性に優れ、高い耐熱性を有する硬化物を作製し得る、重合性組成物を提供することができる。このような重合性組成物は、光通信に使われる光学部材用の接着剤や、光導波路用材料として有効である。とくに光電気複合基板のように、高い耐熱性が必要とされる用途に有効である。
【0113】
[図面の簡単な説明]
図1は、合成例1で製造された反応性シリコーン化合物1の1H−NMRスペクトルを示す。
図2は、合成例2で製造された反応性シリコーン化合物2の1H−NMRスペクトルを
示す。
図1
図2