(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移送要素は、前記境界線に実質的に平行である湾曲軸まわりに湾曲される前記基板の一部分に対してガス流れを向けるよう構成されているガスベアリング部材を備える、請求項7から11のいずれかに記載の装置。
前記第1ガスベアリング部材及び前記第2ガスベアリング部材の細長軸はそれぞれ、前記搬入プロセスの終了時に前記基板が搬入されることとなる前記支持部の表面から実質的に等距離にある、請求項15に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のある実施の形態は、プログラマブルパターニングデバイスを含みうる装置に関連し、当該デバイスは例えば自己放射コントラストデバイスの1つ又は複数のアレイからなることがある。こうした装置に関する更なる情報は国際公開第2010/032224号、米国特許出願公開第2011/0188016号明細書、米国特許出願第61/473636号、及び米国特許出願第61/524190号にあり、これらの全体が本明細書に援用される。しかし、本発明のある実施の形態は、いかなる形式のプログラマブルパターニングデバイスを使用してもよく、当該デバイスには例えば既に説明したものが含まれる。
【0029】
図1は、リソグラフィ装置又は露光装置の部分の概略側断面図である。この実施形態においては、本装置は、後述するようにXY面で実質的に静止した個別制御可能素子を有するが、そうである必要はない。装置1は、基板を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、を備える。基板は、レジストで被覆された基板であってもよい。ある実施の形態においては、基板はウェーハである。ある実施の形態においては、基板は多角形(例えば矩形)の基板である。ある実施の形態においては、基板はガラスプレートである。ある実施の形態においては、基板はプラスチック基板である。ある実施の形態においては、基板は箔である。ある実施の形態においては、本装置は、ロールトゥロール製造に適する。
【0030】
装置1は、複数のビームを発するよう構成されている複数の個別に制御可能な自己放射可能なコントラストデバイス4を備える。ある実施の形態においては、自己放射コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード(例えば、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、高分子LED(PLED))、または、レーザダイオード(例えば、固体レーザダイオード)である。ある実施の形態においては、個別制御可能素子4の各々は青紫レーザダイオード(例えば、三洋の型式番号DL-3146-151)である。こうしたダイオードは、三洋、日亜、オスラム、ナイトライド等の企業により供給される。ある実施の形態においては、ダイオードは、例えば約365nmまたは約405nmの波長を有するUV放射を発する。ある実施の形態においては、ダイオードは、0.5mWないし200mWの範囲から選択される出力パワーを提供することができる。ある実施の形態においては、レーザダイオードの(むき出しのダイの)サイズは、100μmないし800μmの範囲から選択される。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、0.5μm
2ないし5μm
2の範囲から選択される発光領域を有する。ある実施の形態においては、レーザダイオードは、5度ないし44度の範囲から選択される発散角を有する。ある実施の形態においては、それらのダイオードは、合計の明るさを約6.4×10
8W/(m
2・sr)以上にするための構成(例えば、発光領域、発散角、出力パワーなど)を有する。
【0031】
自己放射コントラストデバイス4は、フレーム5に配設されており、Y方向に沿って及び/またはX方向に沿って延在してもよい。1つのフレーム5が図示されているが、本装置は
図2に示されるように複数のフレーム5を有してもよい。フレーム5には更に、複数のレンズ12が配設されている。フレーム5、従って、自己放射コントラストデバイス4及びレンズ12はXY面内で実質的に静止している。フレーム5、自己放射コントラストデバイス4、及びレンズ12は、アクチュエータ7によってZ方向に移動されてもよい。それに代えて又はそれとともに、レンズ12はこの特定のレンズに関連するアクチュエータによってZ方向に移動されてもよい。任意選択として、各レンズ12にアクチュエータが設けられていてもよい。
【0032】
自己放射コントラストデバイス4はビームを発するよう構成されていてもよく、投影系12、14、18はそのビームを基板の目標部分に投影するよう構成されていてもよい。自己放射コントラストデバイス4及び投影系が光学コラムを形成する。装置1は、光学コラム又はその一部を基板に対して移動させるためのアクチュエータ(例えばモータ11)を備えてもよい。フレーム8には視野レンズ14及び結像レンズ18が配設されており、そのアクチュエータを用いてフレーム8は回転可能であってもよい。視野レンズ14と結像レンズ18との結合が可動光学系9を形成する。使用時においては、フレーム8は自身の軸10まわりを、例えば
図2に矢印で示す方向に、回転する。フレーム8は、アクチュエータ(例えばモータ)11を使用して軸10まわりに回転させられる。また、フレーム8はモータ7によってZ方向に移動されてもよく、それによって可動光学系9が基板テーブル2に対し変位させられてもよい。
【0033】
内側にアパーチャを有するアパーチャ構造13がレンズ12の上方でレンズ12と自己放射コントラストデバイス4との間に配置されてもよい。アパーチャ構造13は、レンズ12、関連する自己放射コントラストデバイス4、及び/または、隣接するレンズ12/自己放射コントラストデバイス4の回折効果を限定することができる。
【0034】
図示される装置は、フレーム8を回転させると同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、使用されてもよい。自己放射コントラストデバイス4は、レンズ12、14、18が互いに実質的に整列されたときこれらのレンズを通じてビームを放つことができる。レンズ14、18を移動させることによって、基板上でのビームの像が基板の一部分を走査する。同時に光学コラム下方の基板テーブル2上の基板を移動させることによって、自己放射コントラストデバイス4の像にさらされる基板の当該部分も移動する。光学コラム又はその一部の回転を制御し、自己放射コントラストデバイス4の強度を制御し、且つ基板速度を制御するコントローラにより自己放射コントラストデバイス4の「オン」と「オフ」とを高速に切り換える制御をすることによって(例えば、「オフ」であるとき出力がないか、しきい値を下回る出力を有し、「オン」であるときしきい値を上回る出力を有する)、所望のパターンを基板上のレジスト層に結像することができる。
【0035】
図2は、自己放射コントラストデバイス4を有する
図1の装置の概略上面図である。
図1に示す装置1と同様に、装置1は、基板17を保持する基板テーブル2と、基板テーブル2を最大6自由度で移動させる位置決め装置3と、自己放射コントラストデバイス4と基板17とのアライメントを決定し、自己放射コントラストデバイス4の投影に対して基板17が水平か否かを決定するためのアライメント/レベルセンサ19と、を備える。図示されるように基板17は矩形形状を有するが、追加的に又は代替的に円形の基板が処理されてもよい。
【0036】
自己放射コントラストデバイス4はフレーム15に配設されている。自己放射コントラストデバイス4は、放射発光ダイオード、例えばレーザダイオード、例えば青紫レーザダイオードであってもよい。
図2に示されるように、自己放射コントラストデバイス4はXY面内に延在するアレイ21に配列されていてもよい。
【0037】
アレイ21は細長い線であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自己放射コントラストデバイス4の一次元配列であってもよい。ある実施の形態においては、アレイ21は、自己放射コントラストデバイス4の二次元配列であってもよい。
【0038】
回転フレーム8が設けられていてもよく、これは、矢印で図示される方向に回転してもよい。回転フレームには、各自己放射コントラストデバイス4の像を与えるためのレンズ14、18(
図1参照)が設けられていてもよい。本装置には、フレーム8及びレンズ14、18を備える光学コラムを基板に対して回転させるためのアクチュエータが設けられていてもよい。
【0039】
図3は、周辺部にレンズ14、18が設けられている回転フレーム8を高度に概略的に示す斜視図である。複数のビーム、本実施例では10本のビームが、それらレンズの一方へと入射し、基板テーブル2により保持された基板17のある目標部分に投影されている。ある実施の形態においては、複数のビームは直線に配列されている。回転可能フレームは、アクチュエータ(図示せず)によって軸10まわりに回転可能である。回転可能フレーム8の回転の結果として、ビームが一連のレンズ14、18(視野レンズ14及び結像レンズ18)に入射する。一連のレンズの各々に入射してビームは偏向され、それによりビームは基板17の表面の一部分に沿って動く。詳しくは
図4を参照して後述する。ある実施の形態においては、各ビームは、対応する源によって、すなわち自己放射コントラストデバイス、例えばレーザダイオードによって、生成される(
図3には図示せず)。
図3に示される構成においては、ビームどうしの距離を小さくするために、それらビームはともに、あるセグメントミラー30によって偏向されかつ運ばれる。それによって、後述するように、より多数のビームを同一のレンズを通じて投影し、要求解像度を実現することができる。
【0040】
回転可能フレームが回転すると、ビームが連続する複数のレンズへと入射する。このときあるレンズがビームに照射されるたびに、レンズ表面上でビームが入射する場所が移動する。レンズ上のビーム入射場所に依存してビームが異なって(例えば、異なる偏向をもって)基板に投影されるので、(基板に到達する)ビームは後続のレンズが通過するたびに走査移動をすることになる。この原理について
図4を参照して更に説明する。
図4は、回転可能フレーム8の一部を高度に概略的に示す上面図である。第1ビームセットをB1と表記し、第2ビームセットをB2と表記し、第3ビームセットをB3と表記する。ビームセットのそれぞれが、回転可能フレーム8の対応するレンズセット14、18を通じて投影される。回転可能フレーム8が回転すると、複数ビームB1が基板17に投影され、走査移動によって領域A14を走査する。同様に、複数ビームB2は領域A24を走査し、複数ビームB3は領域A34を走査する。回転可能フレーム8の回転と同時に、対応するアクチュエータによって基板17及び基板テーブルが(
図2に示すX軸に沿う方向であってもよい)方向Dに移動され、そうして領域A14、A24、A34におけるビームの走査方向に実質的に垂直に移動される。方向Dの第2のアクチュエータによる移動(例えば、対応する基板テーブルモータによる基板テーブルの移動)の結果、回転可能フレーム8の一連のレンズによって投影されるとき連続する複数回のビーム走査が互いに実質的に隣接するよう投影されて、実質的に隣接する領域A11、A12、A13、A14がビームB1の走査のたびに生じ(
図4に示すように、領域A11、A12、A13は以前に走査され、領域A14は今回走査されている)、ビームB2については領域A21、A22、A23、A24が生じ(
図4に示すように、領域A21、A22、A23は以前に走査され、領域A24は今回走査されている)、ビームB3については領域A31、A32、A33、A34が生じる(
図4に示すように、領域A31、A32、A33は以前に走査され、領域A34は今回走査されている)。このようにして、基板表面の領域A1、A2、A3が、回転可能フレーム8を回転させる間に基板を方向Dに移動させることにより、覆われてもよい。多数のビームを同一のレンズを通じて投影することにより、(回転可能フレーム8をある同一の回転速度とすると)より短い時間で基板全体を処理することができる。レンズ通過のたびに各レンズにより基板を複数のビームが走査するので、連続する複数回の走査に際して方向Dの変位量を大きくすることができるからである。見方を変えると、多数のビームを同一のレンズを通じて基板に投影するとき、ある所与の処理時間における回転可能フレームの回転速度を小さくしてもよいということである。こうして、回転可能フレームの変形、摩耗、振動、乱流などといった高回転速度による影響を軽減してもよい。ある実施の形態においては、
図4に示すように、複数のビームは、レンズ14、18の回転の接線に対してある角度をなして配列されている。ある実施の形態においては、複数のビームは、各ビームが重なるか、又は各ビームが隣接ビームの走査経路に隣接するように配列されている。
【0041】
多数のビームを一度に同一レンズにより投影する態様の更なる効果は、公差の緩和に見ることができる。レンズの公差(位置決め、光学投影など)があるために、連続する領域A11、A12、A13、A14(及び/または領域A21、A22、A23、A24及び/またはA31、A32、A33、A34)の位置には、互いの位置決めにいくらかの不正確さが現れ得る。したがって、連続する領域A11、A12、A13、A14間にいくらかの重なりが必要とされるかもしれない。1本のビームの例えば10%を重なりとする場合、同一レンズに一度にビームが一つであると、同様に10%の係数で処理速度が遅くなるであろう。一方、同一レンズを通じて一度に5本又はそれより多数のビームが投影される状況においては、(上記同様1本のビームについて)同じ10%の重なりが5本又はそれより多数の投影線ごとにあるとすると、重なりの総計は概ね5(又はそれより多数)分の1である2%(又はそれ未満)へと小さくなるであろう。これは、全体的な処理速度を顕著に小さくする効果をもつ。同様に、少なくとも10本のビームを投影することにより、重なりの総計をおよそ10分の1に小さくしうる。したがって、多数のビームを同時に同一レンズにより投影するという特徴によって、基板の処理時間に生じる公差の影響を小さくしうる。それに加えて又はそれに代えて、より大きな重なり(従って、より大きな公差幅)が許容されてもよい。一度に同一レンズにより多数のビームを投影するのであれば、重なりが処理に与える影響が小さいからである。
【0042】
多数のビームを同一レンズを通じて同時に投影することに代えて又はそれとともに、インタレース技術を使用することができるかもしれない。しかしながらそのためには、より厳格にレンズどうしを整合させることが必要になるかもしれない。従って、それらレンズのうち同一レンズを通じて一度に基板に投影される少なくとも2つのビームは相互間隔を有し、本装置は、その間隔の中に後続のビーム投影が投影されるように光学コラムに対して基板を移動させるよう第2アクチュエータを動作させるよう構成されていてもよい。
【0043】
1つのグループにおいて連続するビームどうしの方向Dにおける距離を小さくするために(それによって、例えば方向Dに解像度を高くするために)、それらビームは方向Dに対して、互いに斜めに配列されていてもよい。そうした間隔は、各セグメントが複数ビームのうち対応する1つのビームを反射するセグメントミラー30を光路に設けることによって更に縮小されてもよい。それらセグメントは、それらミラーに入射するビームどうしの間隔よりもミラーで反射されたビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。そうした効果は、複数の光ファイバによっても実現しうる。この場合、ビームのそれぞれが複数ファイバのうち対応する1つのファイバに入射し、それらファイバが、光路に沿って光ファイバ上流側でのビームどうしの間隔よりも光ファイバ下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう配設されている。
【0044】
また、そうした効果は、複数ビームのうち対応する1つのビームを各々が受光する複数の入力を有する集積光学導波路回路を使用して実現されてもよい。この集積光学導波路回路は、光路に沿って集積光学導波路回路の上流側でのビームどうしの間隔よりも集積光学導波路回路の下流側でのビームどうしの間隔を狭くするよう構成されている。
【0045】
基板に投影される像のフォーカスを制御するためのシステムが設けられていてもよい。上述のある構成において、ある光学コラムの部分又は全体により投影される像のフォーカスを調整するための構成が設けられていてもよい。
【0046】
ある実施の形態においては、投影系は、少なくとも1つの放射ビームを、デバイスが形成されるべき基板17の上方にある材料層で形成された基板へと、レーザ誘起材料移動により材料(例えば金属)の滴の局所的な堆積を生じさせるように、投影する。
【0047】
図5を参照するに、レーザ誘起材料移動の物理的なメカニズムが示されている。ある実施の形態においては、放射ビーム200は、実質的に透明な材料202(例えばガラス)を通じて材料202のプラズマ着火に満たない強度で集束されている。表面熱吸収が、材料202を覆う供与材料層204(例えば金属フィルム)から形成される基板に生じる。この熱吸収によって供与材料204が溶ける。また、加熱によって、誘起圧力勾配が前進方向に生じ、これは供与材料層204からの、従って供与構造体(例えばプレート)208からの供与材料滴206の前進加速をもたらす。故に、供与材料滴206は供与材料層204から解放され、デバイスが形成されるべき基板17に向けて当該基板上に(重力の支援の有無によらず)移動される。ビーム200を供与プレート208上の適切な位置に当てることにより、供与材料パターンを基板17上に成膜することができる。ある実施の形態においては、ビームは供与材料層204に集束される。
【0048】
ある実施の形態においては、1つ又は複数の短いパルスを使用して供与材料の輸送が行われる。ある実施の形態においては、これらのパルスは、準一次元の前進加熱及び溶融材料の質量移動を得るための数ピコ秒又は数フェムト秒の長さであってもよい。このような短パルスは材料層204における横方向の熱流れをほとんど又はまったく促進しないので、供与構造体208にほとんど又はまったく熱負荷は生じない。この短パルスは、材料の急速溶融及び前進加速を可能とする(例えば、金属のような材料が気化された場合、スパッタ成膜をもたらす前進方向性は失われるであろう)。短パルスは、その加熱温度より僅かに高く気化温度より低い材料加熱を可能とする。例えばアルミニウムの場合、およそ摂氏900ないし1000度の温度が望ましい。
【0049】
ある実施の形態においては、レーザパルスの使用によって、ある量の材料(例えば金属)が供与構造体208から基板17へと100nmないし1000nmの滴状に転写される。ある実施の形態においては、供与材料は、金属を備え、または実質的に金属からなる。ある実施の形態においては、金属は、アルミニウムである。ある実施の形態においては、材料層204はフィルム状である。ある実施の形態においては、フィルムは他の本体または層に付着されている。上述のように、本体または層はガラスであってもよい。
【0050】
上述のように、搬入時に柔軟性基板に作用する応力はディストーション及び/またはオーバレイ誤差の原因となり得る。
【0051】
ある実施の形態においては、基板運搬部から基板支持部へ基板を漸進的に移送することによって、応力が低減される。ある実施の形態においては、当該移送は、支持部に搬入されている基板の領域と支持部にまだ搬入されていない基板の領域とを分ける境界線が搬入プロセスの間実質的に直線であり続けるようにして行われる。実質的に直線の境界線を維持することは、実質的に無応力の状態で基板を搬入し、それによりディストーション及び/またはオーバレイ誤差を低減または最小化することを保証するのに役立つ。
【0052】
ある実施の形態においては、搬入プロセスの間、基板が湾曲される。ある実施の形態においては、当該湾曲は、ある1つの曲率半径または複数の曲率半径から記述可能であり、これらは相互に実質的に平行でありかつ上記境界線にも実質的に平行である複数の軸に対し定義される。ある実施の形態においては、搬入プロセスの終了時に基板が搬入されることとなる支持部表面のすべての部分が搬入プロセスの間実質的に同一平面上にあり続ける。
図6ないし
図14はこの種の例示的な実施形態を示す。
【0053】
図6は、基板38が基板運搬部40から支持部42へと搬入されている構成を示す。支持部42に搬入された基板38の部分は平面状(平坦)である。基板38が支持部42から離れて湾曲し始めるところの直線45は、支持部42に搬入されている基板38の領域とまだ搬入されていない基板38の領域とを分ける境界線45である。図示される実施の形態の向きにおいては境界線45は紙面に実質的に垂直である。図示される実施の形態においては、基板38が搬入されることとなる支持部表面の部分は、上面43である。しかし、これは自由に選択できる。ある他の実施形態においては、基板38が搬入されることとなる支持部表面の部分は、異なる向きを有してもよい。ある実施の形態においては、基板38が接触しうる支持部表面のすべての部分が実質的に同一平面上にある。
【0054】
ある実施の形態においては、移送要素44が基板38を基板運搬部40から離脱させるために設けられている。ある実施の形態においては、移送要素44は、基板38が搬入されることとなる支持部表面43の部分の平面に実質的に平行であり境界線45の方向に実質的に垂直である方向46に移動するよう構成されている。ある実施の形態においては、移送要素44は、この移動の間に基板を基板運搬部40から離して支持部42へと動かすために(例えば基板を押し込み及び/または引き出すよう)基板38の一部分と係合するよう構成されている。
【0055】
図6の構成においては、基板運搬部40は、一組のガスベアリング52(例えばエアベアリング)を備える。ガスベアリング52はそれぞれ、ガス流れ50をガスベアリング52間の空間へと案内する1以上のガス出口48を備える。ガス流れは、ガスベアリング52間の隙間において非接触に基板38を保持するものである。ある実施の形態においては、ガスベアリングは、ガス流れがガスベアリング間の隙間からの基板38の移動方向と反対の力成分54を与えるよう構成されている。よってガス流れにより与えられる力54は、移送プロセスの間基板38に張力を維持するのに役立つ。張力を維持することは、搬入中に基板38の形状を維持することに役立ち、及び/または、座屈またはその他の予期しない可変の挙動を防止する。ある実施の形態においては、力成分54は、力54の方向に向けて1以上のガス出口48を傾斜させることによって与えられる。
【0056】
ある実施の形態においては、移送要素44は、境界線に平行に位置する湾曲軸まわりに湾曲される基板38の一部分に対してガス流れ59を向けるよう構成されているガスベアリング部材を備える。
図6は、こうした実施形態の一例を示す。この例においては、ガスベアリング部材は、移送要素44の領域における基板38の予測される湾曲に形状が一致する外面57を有する筐体により実現されている。1以上のガスベアリング出口58がガス流れ59を基板38と筐体の外面57との間の領域へと向けるために設けられている。この実施形態においては、外面57は、使用時に移送要素44が係合する基板38の部分の大半について外面57と基板38との距離が概ね一定であるよう構成されている。この構成は、移送要素44が例えば効率的なガスベアリング特性を最小のガス流れで構築するのに役立つ。ある実施の形態においては、基板38は、使用時に移送要素44が係合する基板38の部分の大半について実質的に一定の曲率半径を有する。このような実施形態においては、基板38に面するほうの外面57の片側は少なくとも、実質的に円筒形状であってもよい。図示される例においては、外面57の全体が円筒形状である。ある他の実施形態においては、異なる表面形状が採用されてもよい。ある実施の形態においては、外面57は細長く、境界線45に実質的に平行な細長軸を有する。ガス流れ59は、この例では半径方向外向きに向けられているが、他の構造も可能である。
【0057】
ある実施の形態においては、移送要素44は、搬入プロセスの間に支持部42に最初に搬入される基板の部分(
図6の実施形態においては先端47)から遠ざかるように移動するよう構成されている。このようにして、支持部42により(例えば真空クランプシステムにより)基板38に与えられる保持力は、望ましい張力を(例えば基板運搬部のガスベアリングにおけるガス流れにより与えられる力成分54との組み合わせにおいて)搬入中に基板38にも
たらすことができる。
【0058】
ある実施の形態においては、支持部42は、真空クランプを備える。
図6の実施形態においては、真空クランプは、複数の真空クランプ入口60を使用して実現されている。入口60へのガス流れ61は、大気圧より低い圧力(すなわち部分真空)を支持部表面43上方にて入口60に隣接する領域に維持する。基板38が入口61上方の位置にもたらされるとき、基板38は部分真空によって支持部表面43に対し保持される。
【0059】
図7は、移送要素44の構成を除いて
図6の実施形態と同様である実施の形態を示す。
図6の移送要素44とは異なり、
図7の移送要素44は、基板38との間により大きな空間を隔てた外面を有しており、基板38と同一形状を有する必要はない。移送要素44と基板38との間のガス流れは、
図6の移送要素44における基板38と筐体の外面57との間でのガス流れに比べると、実質的に自由である(拘束されない)。この形式の実施形態においては、ガスの総流量は
図6の例よりも大きくなりうる。ある実施の形態においては、基板38の形状は、(基板38の構造特性と移送要素44の支持特性との組み合わせによって、または、移送要素44の支持特性のみによって、または、主として移送要素44の支持特性によって、というよりも、)基板38の構造特性のみによって、または、主として基板38の構造特性によって、維持される。このような実施形態においては、移送要素44の唯一または主要な機能は、基板38を運搬部40から移送し支持部42へと搬入する力を与えることにある。ある実施の形態においては、移送要素44は、ガス流れ59を与える単一のノズルを備える。ある実施の形態においては、当該単一のノズルは外向きに広がっている。ある実施の形態においては、複数のノズルが所望のガス流れを保証するのに役立つよう設けられている。
【0060】
使用される特定の基板38の物理特性、及びそれが搬入されるのに必要な速度に依存して、移送要素44は特定の構成(例えば、外面57の形状、出口やノズルの配列、ガス流量など)を有する。
【0061】
図6及び
図7に示される形式の実施形態においては、運搬部40から支持部42へと移送されると基板38が裏返しになる。図示される配置においては、運搬部40において上を向く基板38の表面が、搬入されると下を向いている。ある実施の形態においては、移送要素44は、裏返しをしないよう構成されている。ある実施の形態においては、運搬部における基板の配置が搬入されたときの基板の配置と平行ではない。
【0062】
基板を裏返さない構成の一例を
図8に示す。ここで、移送要素44は、第1ガスベアリング要素44A及び第2ガスベアリング要素44Bを備える。基板38は、2つのガスベアリング要素の間を通る。ある実施の形態においては、第1ガスベアリング部材44Aは、境界線45に実質的に平行である湾曲軸まわりに第1状態に湾曲される基板38の一部分に対してガス流れを向け、第2ガスベアリング部材44Bは、反対の状態に湾曲される基板38の一部分に対してガス流れを向ける。よって、一組のガスベアリング部材は、基板を裏返すことなく湾曲させて基板38を支持部に与えることができる。ある実施の形態においては、第1ガスベアリング部材44Aと係合しているときに基板が湾曲する角度は、第2ガスベアリング部材44Bと係合しているときに基板が湾曲する角度と等しくかつ反対である(そのため合計の角度はゼロである)。
【0063】
図9は、一組のガスベアリング52間に基板38を支持するのではなく、基板運搬部40が真空クランプ56を使用して基板38を保持することを除いて、
図8と同様である例示的な実施形態を示す。図示される実施形態においては、真空クランプ56は、複数の真空クランプ入口77を使用する。ある実施の形態においては、真空クランプ入口77は、
図6を参照して上述した真空クランプ入口60と類似の動作をする。
【0064】
ある実施の形態においては、ガスベアリング部材44A、44Bの軸は支持部表面43から実質的に等距離にある。
図8及び
図9はこの形式の実施形態を示す。ある実施の形態においては、ガスベアリング部材44A、44Bの軸は支持部表面から等距離ではない。
図10及び
図11はこの形式の例示的な実施形態を示す。
図10の実施形態は、
図6の移送要素44と同じ形式のガスベアリング部材44A、44Bを使用する。
図11の実施形態は、
図7の移送要素44と同じ形式のガスベアリング部材44A、44Bを使用する。両方の実施形態において、基板38の経路において先にある(すなわち、図示される構成において運搬部40に近い)ガスベアリング部材44Aが、他方のガスベアリング部材44Bよりも高いところにある。ガスベアリング部材それぞれが支持部表面43から異なる間隔を有するよう配置することは、運搬部40から支持部表面43への基板38の経路形状の制御に柔軟性を与える。基板経路において先にあるガスベアリング部材44Aのほうが支持部表面43からの間隔が大きくなるよう配置することは、基板42から運搬部40までの間隔を増すことに役立ち、これはスペースが限られている場合及び/またはさもなければ支持部表面43の領域への構成要素の近接を最小化することが望まれる場合に便利でありうる。
【0065】
図8ないし
図11を参照して上述した実施形態のいずれかにおいては、ガスベアリング部材44A、44Bのうちいずれか一方は、
図6に示される形式の移送要素44、または
図7に示される形式の移送要素44を使用して任意の組み合わせで実現されてもよい。
【0066】
図12は、基板38を支持部42に搬入する更なる手法を示す。この形式の実施形態においては、基板38が基板運搬部によって湾曲した状態で保持される。この湾曲状態は、基板長さの全体または一部分に沿って基板38が湾曲された状態を表す。ある実施の形態においては、当該湾曲状態における基板38の湾曲は、各々が互いに実質的に平行である1以上の湾曲軸に関する1以上の曲率半径から記述可能である。ある実施の形態においては、運搬部は、湾曲された基板38を支持部42へと、当該基板が支持部42上で平面状に搬入された状態へと自由に変形するように(70)、解放するよう構成されている。ある実施の形態においては、当該変形は、支持部42に最初に接触し及び/または(クランプ力が支持部によって与えられる場合)支持部に対し最初にクランプされる基板38の点から始まって、漸進的に生じる。ある実施の形態においては、自由に変形している基板38の部分に作用する唯一の外力は、重力であり、及び/または、既に支持部42に搬入された基板38の1以上の部分から伝わる力である。ある実施の形態においては、湾曲状態は、巻き取られた状態であり、基板38の湾曲は360度を上回る。こうした実施形態における自由変形のプロセスは、展開プロセスと記述されうる。自由変形プロセス及び/または展開プロセス(搬入プロセス)の間、支持部42に既に搬入されている基板38の領域(すなわち、既に平面状態である領域)とまだ支持部に搬入されていない基板の領域とを分ける境界線45は搬入プロセスの間実質的に直線であり続ける。ある実施の形態においては、自由変形プロセス及び/または展開プロセスは、重力によって、及び/または、基板に基板運搬部によって与えられる線運動量及び/または角運動量によって、駆動される。
【0067】
図13は、基板38を支持部42に搬入する更なる手法を示す。この形式の実施形態においては、基板運搬部40は、真空クランプを使用して基板38を保持するよう構成されている。図示される例においては、真空クランプは、複数の真空クランプ入口62を使用して実現されている。図示される例においては、基板運搬部40は、平面状の表面に対し基板38を保持する。しかし、ある実施の形態においては、他の表面外形、例えば湾曲した領域を備える外形が使用される。
【0068】
ある実施の形態においては、運搬部40の真空クランプは、搬入プロセスの間に真空(従ってクランプ力)が漸進的に除去されるように制御される。ある実施の形態においては、クランプの漸進的除去は、2つの分離された領域を備える運搬部40の表面をもたらす。すなわち、クランプが動作している領域64と、クランプが動作していない(または、重力に抗して基板38を保持するほどには十分に動作していない)領域66とである。これら2つの領域を分ける線は、基板38が支持部42上に落下(70)し始める点の近傍に位置する。図示される例においては、支持部42にも真空クランプが設けられている。ある実施の形態においては、支持部真空クランプは、複数の真空クランプ入口68を使用して実現されている。ある実施の形態においては、真空クランプ入口68も漸進的に活性化されてもよい。ある実施の形態においては、真空クランプ入口68の漸進的活性化は、真空クランプ入口62の漸進的非活性化と連動する。搬入が進むにつれて、領域66が右方へ広がり、領域64が左方から縮小する。
【0069】
図14は、基板38を支持部42に搬入する更なる手法を示す。この形式の実施形態においては、支持部42には、複数のガスベアリング出口72が設けられている。ガスベアリング出口72は基板を支持部42から離して保持するよう構成されている(すなわち、支持部42は基板から隔てられ非接触である)。ある実施の形態においては、基板38の全部が支持部42から離れて保持されるとき、基板38は横方向に容易に変位させられることができる。よって支持部42は、基板38の全部が支持部42から離れて保持されるとき基板運搬部として動作する。
【0070】
図14に示される構成においては、基板38の右手部分が支持部42から離れて保持され、基板38の左手部分が支持部42に対し搬入されている。矢印70は、基板が支持部42に移送されている移行領域を表す。ある実施の形態においては、本装置は、基板38を支持部42へと漸進的に落下させるようにガスベアリング出口72の駆動を漸進的に(つまり左から右へ)停止するよう構成されている。ある実施の形態においては、
図14の例に示されるように、支持部42には、基板38を支持部42に対し保持する真空クランプがさらに設けられていてもよい。ある実施の形態においては、真空クランプは、複数の真空クランプ入口68を使用して実現されている。ある実施の形態においては、真空クランプ入口68の駆動は、基板38を支持部42へと漸進的に移送するようガスベアリング出口72の駆動と連動する。ある実施の形態においては、隣接するガスベアリング出口72がオフに切り替えられている間は真空クランプ入口68がオンに切り替えられる。
図14に示される構成においては、例えば、基板が搬入されている(支持部42に接触する)領域76において、ガスベアリング出口72がオフに切り替えられている間は真空クランプ入口68がオンに切り替えられる。基板がまだ搬入されていない(支持部42から離れて保持されている)領域74においては、ガスベアリング出口72がオンに切り替えられている間は真空クランプ入口68がオフに切り替えられる。搬入が進むにつれて、領域76が右方へ広がり、領域74が左方から縮小する。
【0071】
図6ないし
図14を参照して上述した実施形態においては、湾曲した基板を平面状の支持部表面に接触させることによって直線境界線45が実現されている。ある実施の形態においては、直線境界線45は、湾曲を有する支持部表面、または、互いに対して角度をもつことのできる部分(支持部材)に分割されている支持部表面を使用して実現される。ある実施の形態においては、基板は、搬入プロセスの間実質的に全体的に平面状に維持される。こうした実施形態の一例においては、搬入プロセスの終了時に基板が搬入されることとなる支持部表面のうち少なくとも一部分が搬入プロセスの終了時に基板が搬入されることとなる支持部表面のうち少なくとも他の一部分とは搬入プロセスの間の少なくとも一部において同一平面上にない。
【0072】
図15ないし
図17は、支持部が複数の支持部材82を備える例示的な実施形態を示す。支持部材82は、移動可能であり、支持部材82が移動させられることができる位置の範囲のうち少なくとも一部分について、互いに対して角度を有することができる。ある実施の形態においては、本装置は、支持部材駆動システム81を備える。ある実施の形態においては、支持部材駆動システム81は、基板38が支持部材82に接触させられうる位置範囲83を直線的に通るように支持部材82を移動させる。ある実施の形態においては、支持部材駆動システム81は、支持部材82が基板38に接触する直前までの位置範囲において湾曲経路85及び/または基板38に対し非ゼロの角度をもつ経路に沿って支持部材82を駆動する。この形式の実施形態においては、湾曲経路または角度付き経路は、基板の全部が搬入プロセスを通じて平面状態に維持される場合であっても、基板を支持部表面に非ゼロの角度で接触させることを可能にする。支持部に搬入されている基板の領域と支持部にまだ搬入されていない基板の領域とを分ける直線境界線45は搬入プロセスを通じて維持される。基板の全部を平面状態に維持しつつ基板38を搬入することによって、基板に望ましくない応力をもたらすかもしれないポワソン曲げ(すなわち、ポワソン効果に起因する曲げによって引き起こされる湾曲)が回避される。
【0073】
図15の例示的な構成においては、支持部材82は、例えばコンベアのように、連続するループ状に駆動される。矢印89で示されるように、連続ループの上部に沿って動く支持部材82と連続ループの下部に沿って動く支持部材82とで移動方向が反対である。ある実施の形態においては、支持部材82は、複数のベルトによって、または、コンベヤのループに従う1つの連続ベルトによって、互いに接続されている。
【0074】
図16の例示的な構成においては、支持部材82はスピンドル92からほどかれる。ある実施の形態においては、支持部材82を受け取るために第2のスピンドルが設けられている。
【0075】
ある実施の形態においては、1以上の支持部材レール80が支持部材82を支持する。ある実施の形態においては、支持部材82は、支持部材レール80上をスライドするよう構成されている。ある実施の形態においては、複数の支持部材レール80が設けられており、各支持部材レール80は、基板38の支持部材レール80上での移動方向に実質的に垂直な方向において他の少なくとも1つの支持部材レール82から離れて配置されている。こうして複数の支持部材レール80は、基板38の幅(すなわち、基板38の移動方向87に実質的に垂直な寸法)にわたって改良された支持を提供することができる。よって、(例えば基板38の重量による)幅方向における基板38の変形を低減することができる。
【0076】
ある実施の形態においては、1以上の支持部材82の各々は、支持部材82が基板38に接触しているとき基板38に真空クランプ力を与えるよう構成されている。こうした機能が、
図17に示されており、これは基板38の移動方向87(または方向87とは反対向き)に沿って見たときの
図15及び
図16に示される形式の構成の端面図である。この形式の例示的な実施形態においては、1以上の支持部材82の各々には1以上の真空クランプ入口86が設けられている。ある実施の形態においては、真空クランプ入口86は、基板38の幅にわたって間隔を空けて配置されている。ある実施の形態においては、支持部材82はそれぞれ、当該支持部材82の真空クランプ入口86が動作しているとき大気圧より低い圧力に維持される内部空洞を備える。ある実施の形態においては、支持部材レール80には1以上の排気開口90を通じてガスを抜き出す排気システムが設けられている。ある実施の形態においては、支持部材82は、真空クランプ入口86と反対側に開口91を備える。支持部材82における開口91が1以上の支持部材レール80における排気開口90と重なるとき、支持部材レール排気システムは、支持部材82における空洞からガスを排気する。支持部材82において低下した圧力は、その支持部材82の真空クランプ入口86を駆動する。駆動された真空クランプ入口86に基板38が隣接する場合には、基板38が支持要素82の表面に引き寄せられクランプされる。支持部材の真空クランプ入口86が駆動された時点でその支持部材82に隣接する基板がない場合には、支持部材レール80の排気システムへとガスが漏出する。ある実施の形態においては、こうした漏れは、例えば、高い流れインピーダンスを有する真空クランプ入口86を設けることによって、及び/または、支持部材レール排気システムに適切な排気速度を選択することによって、許容可能な水準に維持される。
【0077】
ある実施の形態においては、支持部材レール80は、1以上の排気開口88を通じてガスを供給するよう構成されている。ある実施の形態においては、開口88は、真空クランプ入口86を駆動するのに使用される排気開口90と同じである。ある実施の形態においては、開口88は、異なる開口である。ある実施の形態においては、1以上の開口88が1以上の支持部材82におけるガスベアリング出口を駆動するのに使用される。こうして、ある実施の形態においては、1以上の支持部材82が(1つ又は複数の)支持部材の少なくとも所与の位置範囲について基板をクランプするよう構成されているとともに、1以上の支持部材が(1つ又は複数の)支持部材の少なくとも所与の位置範囲について(ガスベアリングを使用して)クランプせずに基板を支持するよう構成されている。
【0078】
ある実施の形態においては、支持部材駆動システム81は、支持部材82の移動を生じさせる。
図15に示される形式の例示的な実施形態においては、駆動システム81は、1以上のコンベアベルトローラを駆動する。
図16に示される形式の例示的な実施形態においては、駆動システムは、スピンドル92の回転を駆動する。ある実施の形態においては、支持部材駆動システム81は、基板を搬入するとき第1方向に駆動(例えば第1回転状態)を提供し、基板を搬出するとき反対方向に駆動(例えば反対の回転状態)を提供する。
【0079】
ある実施の形態においては、支持部材82における真空クランプ入口86及び/または開口91、及び/または支持部材レール80における排気開口90は切替可能である。ある実施の形態においては、入口86、開口91、及び/または排気開口90は、選択的に開閉されてもよい。ある実施の形態においては、入口86、開口91、及び/または排気開口90は、基板38がある所与の支持部材82に接触しているときその支持部材82のみによって真空クランプが与えられるように制御されてもよい。ある実施の形態においては、切替は、支持部材駆動システム81からの信号を使用して制御される。ある実施の形態においては、その信号は、支持部材駆動システム81の動作状態、例えばローラまたはスピンドルが回転された角度を表す。よって信号を基板の位置を表すために使用することができる。ある実施の形態においては、基板の位置を直接測定する位置測定デバイス(例えば光検出器)が設けられ、切替が測定デバイスから出力される信号を使用して制御される。
【0080】
ある実施の形態においては、上述の1以上のガスベアリング出口からのガス流れは、搬入プロセスの間基板を温調するために温調されている。
【0081】
ある実施の形態においては、上述の1以上のガスベアリングは、出口と入口の両方を備える。その場合、入口は、ガスを抽出するために、及び/またはガスベアリングにより与えられる力またはガスベアリングの剛性を調整するために、設けられている。合力が中立であるか又は表面から離れる方向である限り、及び/または、ガスベアリングの力/剛性が所望されるものである限り、種々の構成を使用することができる。
【0082】
ある実施の形態においては、上述の1以上の真空クランプは、入口と出口の両方を備える。その場合、出口は、ガスを供給し、及び/または真空クランプにより与えられる力または真空クランプの剛性を調整する。合力が表面に向かう方向である限り、及び/または、真空クランプの力/剛性が所望されるものである限り、種々の構成を使用することができる。
【0083】
あるデバイス製造方法によると、パターンが投影された基板から、ディスプレイ、集積回路、又はその他の任意の品目等のデバイスが製造されうる。
【0084】
本書ではICの製造におけるリソグラフィ装置又は露光装置の使用を例として説明しているが、本明細書に説明した装置は他の用途にも適用することが可能であるものと理解されたい。他の用途としては、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用案内パターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどがある。当業者であればこれらの他の適用に際して、本明細書における「ウェーハ」あるいは「ダイ」という用語がそれぞれ「基板」あるいは「目標部分」という、より一般的な用語と同義であるとみなされると理解することができるであろう。本書に言及された基板は露光前または露光後において、例えばトラック(典型的にはレジスト層を基板に塗布し、露光後のレジストを現像する装置)、メトロロジツール、及び/またはインスペクションツールにより処理されてもよい。適用可能であれば、本明細書の開示はこれらのまたは他の基板処理装置にも適用され得る。また、基板は例えば多層ICを製造するために複数回処理されてもよく、その場合には本明細書における基板という用語は、処理された多数の層を既に含む基板をも意味し得る。
【0085】
本発明の特定の実施形態が上述されたが、説明したもの以外の態様で本発明が実施されてもよい。例えば、本発明は、上述の方法を記述する機械で読み取り可能な命令の1つまたは複数のシーケンスを含むコンピュータプログラム、または、そうしたコンピュータプログラムを記録したデータ記録媒体(例えば半導体メモリ、磁気ディスク、または光ディスク)の形式をとってもよい。また、上記の機械で読み取り可能な命令は二以上のコンピュータプログラムに具体化されてもよい。当該二以上のコンピュータプログラムは、1つ又は複数の異なるメモリ及び/またはデータ記録媒体に保存されてもよい。
【0086】
「レンズ」という用語は、文脈が許す限り、屈折光学部品、回折光学部品、反射光学部品、磁気的光学部品、電磁気的光学部品、静電的光学部品を含む各種の光学部品のうちいずれか1つ、またはこれらの組み合わせを指し示してもよい。
【0087】
上述の説明は例示であり、限定を意図しない。よって、以下に述べる請求項の範囲から逸脱することなく既述の本発明に変更を加えることができるということは、当業者には明らかなことである。