特許第5951572号(P5951572)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951572
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】ICタグ保護構造
(51)【国際特許分類】
   B24C 1/04 20060101AFI20160630BHJP
   B24C 1/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   B24C1/04 B
   B24C1/00 C
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-197198(P2013-197198)
(22)【出願日】2013年9月24日
(65)【公開番号】特開2015-62968(P2015-62968A)
(43)【公開日】2015年4月9日
【審査請求日】2015年6月1日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 <日工の知っておきたい小冊子シリーズ>「RFIDシステムの新潮流」(平成25年9月25日)日本工業出版株式会社 月刊「自動認識」編集部発行第24−25頁に発表
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511238033
【氏名又は名称】株式会社IRO
(73)【特許権者】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】日立化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】井上 久仁浩
(72)【発明者】
【氏名】田崎 耕司
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−135388(JP,A)
【文献】 特開2002−150931(JP,A)
【文献】 特開2010−218537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24C1/00−11/00
B24B31/12
G06K7/00−7/14
G06K17/00−19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
投射材を衝突させるショットブラストが実行される環境に取り付けられるICタグ保護構造であって、
ICチップおよびコイルアンテナを有するICチップ体を有するICタグと、
前記ICタグを取り付けるタグ取付板と、
耐腐食性を有する金属を材質として形成されると共に、前記ICチップ体に向かう電波または電磁波の通過を許容する開口部を有するタグ保護カバーと、
を具備し、
前記タグ保護カバーには、前記ICタグのうち前記タグ取付板とは反対側の天面を覆う天面保護部と、前記ICタグの側面を覆う側面保護部とが設けられていて、前記側面保護部には、前記開口部に対応する側面隙間部が形成されている、
ことを特徴とするICタグ保護構造。
【請求項2】
請求項1記載のICタグ保護構造であって、
前記タグ保護カバーには、前記ICタグの長手方向の端部に位置する面を端面としたときに、少なくとも一方の前記端面と対向して当該端面を保護するスカート部が設けられていて、
前記スカート部は、前記開口部に対応する端面隙間部を隔てて前記側面保護部と隣接している、
ことを特徴とするICタグ保護構造。
【請求項3】
請求項記載のICタグ保護構造であって、
前記タグ取付板から前記天面保護部に向かう方向を高さ方向としたときに、前記端面隙間部のうち前記高さ方向に沿う高さ寸法は、前記側面隙間部のうち前記高さ方向に沿う高さ寸法よりも大きく設けられている、
ことを特徴とするICタグ保護構造。
【請求項4】
請求項2または3記載のICタグ保護構造であって、
前記ICタグは、前記ICチップ体を覆う樹脂部と、前記樹脂部のうち前記タグ取付板とは反対側の天面側および前記樹脂部のうち一方の端面を覆う覆い部材と、を有していて、
前記スカート部は、前記覆い部材が設けられていない側の前記ICタグの端面と対向して当該端面を保護する、
ことを特徴とするICタグ保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICタグ保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、外部環境に設置される設置部材に、ICタグを取り付けて、その設置部材のメンテナンス情報を始めとした個品管理や、トレーサビリティの確保といったことが行われつつある。そのような外部環境に設置される設置部材としては、たとえば特許文献1から特許文献3に示すようなものがある。特許文献1〜3には、ICタグをマンホールに取り付ける際の具体的な手法について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−127395号公報
【特許文献2】特開2008−150903号公報
【特許文献3】特開平09−331279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、LPガスタンクや、ガスボンベ等のガス容器においては、ガスの漏れや、錆等による腐食を防ぐために、数年ごとに点検されるのが通常である。そのようなメンテナンス情報を始めとした個品管理や、トレーサビリティを確保するために、ガス容器にICタグを取り付けて、そのICタグに必要な情報を保持させることが検討されている。その場合、ICタグは、情報の読み取りのためにガス容器の外面側に取り付けられることになる。しかしながら、この場合、次のような問題がある。
【0005】
すなわち、上記のガス容器において点検を行う場合、ガス容器から塗装を剥がして、上記の漏れや腐食がないかを確認し、その後に、再度、ガス容器に塗装を行っている。ここで、ガス容器から塗装を剥がす場合には、鉄球等のようなショットブラストで用いられる投射材が、ガス容器の外面に取り付けられているICタグにも衝突する。すると、投射材の衝突により、ICタグが損傷してしまう虞がある。
【0006】
ここで、ICタグには、個品管理等の必要な情報が記憶され、かかるICタグに基づいて、ガス容器の管理を行っているので、そのようなICタグの損傷は、ガス容器の管理に支障をきたしてしまう。
【0007】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、ICタグの損傷を防止することが可能なICタグ保護構造を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によると、投射材を衝突させるショットブラストが実行される環境に取り付けられるICタグ保護構造であって、ICチップおよびコイルアンテナを有するICチップ体を有するICタグと、ICタグを取り付けるタグ取付板と、耐腐食性を有する金属を材質として形成されると共に、ICチップ体に向かう電波または電磁波の通過を許容する開口部を有するタグ保護カバーと、を具備し、タグ保護カバーには、ICタグのうちタグ取付板とは反対側の天面を覆う天面保護部と、ICタグの側面を覆う側面保護部とが設けられていて、側面保護部には、開口部に対応する側面隙間部が形成されている。
【0010】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、タグ保護カバーには、ICタグの長手方向の端部に位置する面を端面としたときに、少なくとも一方の端面と対向して当該端面を保護するスカート部が設けられている、ことが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、タグ取付板から天面保護部に向かう方向を高さ方向としたときに、端面隙間部のうち高さ方向に沿う高さ寸法は、側面隙間部のうち高さ方向に沿う高さ寸法よりも大きく設けられている、ことが好ましい。
【0012】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、ICタグは、ICチップ体を覆う樹脂部と、樹脂部のうちタグ取付板とは反対側の天面側および樹脂部のうち一方の端面を覆う覆い部材と、を有していて、スカート部は、覆い部材が設けられていない側のICタグの端面と対向して当該端面を保護する、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、ICタグの損傷を防止することが可能なICタグ保護構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係るICタグ保護構造の構成を示す斜視図である。
図2図1のICタグ保護構造の構成を示す分解斜視図である。
図3図1のICタグ保護構造の構成を示す斜視図であり、図1とはICタグ保護構造の向きを180度変えた状態を示している。
図4図1のICタグ保護構造におけるICタグの構成を示す斜視図である。
図5図1のICタグ保護構造におけるICタグの構成を示す側断面図である。
図6図1とは異なる他の形態に係るICタグ保護構造の構成を示す斜視図である。
図7図6のICタグ保護構造の構成を示す分解斜視図である。
図8図1および図6とは異なる他の形態に係るICタグの構成を示す斜視図である。
図9図8のICタグ保護構造の構成を示す分解斜視図である。
図10図1図6および図8とは異なる他の形態に係るICタグ保護構造の構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態に係るICタグ保護構造10(10A〜10D)について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を用いて説明する場合があるものとし、X方向をICタグ20の長手方向とし、X1側は図1において手前側かつ右側、X2側は図1において奥側かつ左側とする。またZ方向をICタグ保護構造10の上下方向とし、Z1側は上側、Z2側は下側とする。またY方向はX方向およびY方向に直交する方向とし、Y1側は図1において奥側かつ右側、Y2側はそれとは逆の手前側かつ左側とする。
【0016】
<ICタグ保護構造10Aの構成について>
本実施の形態におけるICタグ保護構造10Aは、LPガスタンクや、ガスボンベ等のガス容器の表面に取り付けられ、外部環境に長期に亘って放置される状態となる。しかも、ICタグ保護構造10Aは、ガスの漏れや、錆等による腐食を防ぐために、数年ごとに点検される。かかる点検においては、ショットブラストによって、ガス容器から塗装が剥がされるが、ICタグ保護構造10Aは、ショットブラストの投射材の衝突に対しても、ICタグ20を保護する必要がある。そのため、ICタグ保護構造10Aは、以下のような構成となっている。
【0017】
図1は、ICタグ保護構造10Aの構成を示す斜視図である。図2は、ICタグ保護構造10Aの構成を示す分解斜視図である。また、図3は、ICタグ保護構造10Aの構成を示す斜視図であり、図1とはICタグ保護構造10Aの向きを180度変えた状態を示している。図1から図3に示すように、本実施の形態におけるICタグ保護構造10Aは、ICタグ20と、タグ取付板50と、タグ保護カバー60とを有している。
【0018】
図4は、ICタグ20の構成を示す斜視図である。図5は、ICタグ20の構成を示す側断面図である。図4および図5に示すように、ICタグ20は、本体部30と、ICインレット40(単にインレットともいう;ICチップ体に対応)とを有している。本体部30は、誘電性樹脂材料で形成された樹脂部31を備え、この樹脂部31によりICインレット40が覆われている。換言すると、ICインレット40は、樹脂部31の内部に埋め込まれている。
【0019】
なお、樹脂部31は、例えば、磁路の流れを良くするために、誘電性樹脂材料以外に、磁性体の粉末、または誘電体と磁性体の粉末の混合体などを用いるようにしても良い。
【0020】
また、本体部30は、樹脂部31以外に、覆い部材32を有している。覆い部材32は、たとえばSUS304を代表とするステンレス鋼等の金属を材質としているが、この覆い部材32は、樹脂部31を保護する強度を有している。図5に示すように、覆い部材32は、樹脂部31の一方側の端面(図5のX1側の端面)と、樹脂部31の上面(図5のZ1側の面)とを覆っていて、側面視したときの形状が略L字状に設けられている。そのため、後述するブラスト等の処理がなされても、樹脂部31一方側の端面と上面とでは、樹脂部31が損傷してしまうのを防止可能となっている。さらに、覆い部材32は、寸法を調整し、ICインレットの40を適切な位置に配置することによって、外部アンテナの効果を得ることも可能であり、そのような効果が得られる構成としても良い。
【0021】
ここで、覆い部材32は、樹脂部31の一方の端面と上面とを覆うように設けられているが、樹脂部31の両側面(樹脂部31のうちY方向の両端側の面)を覆っていない。それにより、ICインレット40のコイルアンテナ43により形成される面を通る磁力線Φは、金属製の覆い部材32によっては妨げられない(電磁誘導方式の場合)。また、電波も金属製の覆い部材32によっては妨げられない(電波方式の場合)。また、覆い部材32は、樹脂部31の他方の端面(図5のX2側の端面)と、下面(図5のZ2側の面)も覆っていない。しかし、これらは、それぞれ、後述するスカート部63およびタグ取付板50とで保護される構成となっている。
【0022】
なお、覆い部材32は、樹脂部の他方の端面と下面とのうち少なくとも一方を覆う構成としても良い。
【0023】
また、本体部30を製造する際には、金型内部に覆い部材32をセットし、その後に射出成型することによって、樹脂部31と覆い部材32とが一体的に形成される。しかしながら、本体部30を形成するのは、かかる方法には限られず、たとえば光硬化型や2液混合型の樹脂を、所定の型に注入して、その後に注入された樹脂を硬化させることで形成しても良い。また、樹脂部31をシート状の樹脂部材を積層後に一体的に硬化させても良いし、未硬化の樹脂を塗布したり積層した後に硬化させるという作業を繰り返して樹脂部31を形成しても良い。また、切削等によって樹脂部31を形成しても良い。
【0024】
また、ICインレット40は、ICタグ基板41と、ICチップ42と、コイルアンテナ43とを備えている。ICタグ基板41は、略矩形状をなす平板形状に形成されている。ICタグ基板41としては、たとえばPETを始めとした樹脂製のフィルムを用いることができる。かかるICタグ基板41には、ICチップ42と、コイルアンテナ43とを有しているが、そのうちICチップ42は、各種のデータを記憶する。また、コイルアンテナ43は、電磁誘導方式の場合には、フレミング右手の法則によりコイルアンテナ43に電流を生じさせるが、電波方式の場合には、コイルアンテナ43が受信した電波に基づいて電流を生じさせる。
【0025】
なお、本実施の形態では、ICインレット40がなす平面は、ICタグ20の長尺方向(X方向)および高さ方向(Z方向)がなす平面(XZ平面)と略平行に設けられている。ここで、「略平行」とは、厳密な平行も含むが、そのような厳密な平行には限られず、ある程度の角度でずれることを許容する意味である。
【0026】
このように、ICタグ20の長尺方向が、XZ平面と略平行に設けられることで、本体部30によるICインレット40の保護機能を高めると同時に、覆い部分32がICインレット40と電磁的に結合し、覆い部分32が外部アンテナの働きをするように構成することもできる。この場合には、読み取り性能を向上させることが可能となる。
【0027】
このようなICタグ20は、タグ取付板50に取り付けられている。タグ取付板50は、金属製の板状部材であり、ICタグ20の下面側を保護している。ここで、タグ取付板50には、図示を省略する貫通孔が複数設けられている。そのため、金型内部にタグ取付板50を設置し、その後に樹脂を金型内部に注入することにより、タグ取付板50の貫通孔に樹脂部31を形成するための樹脂が入り込む。それにより、タグ取付板50は、ICタグ20と一体的に形成される。
【0028】
このようにタグ取付板50とICタグ20との一体構成とすることにより、ICタグ保護構造10Aが外部に設置された場合でも、長期に亘ってICタグ20がタグ取付板50から外れるのを防止可能となる。特に、ICタグ20の下面側に、タグ取付板50の下面側に入り込む凸部が形成されることで、ICタグ20がタグ取付板50から外れ難い構成としている。
【0029】
次に、タグ保護カバー60について説明する。図1図3に示すように、タグ保護カバー60は、タグ取付板50に固着され(取り付けられ)、その固着によってICタグ20を外部衝撃から保護する機能を有している。かかる外部衝撃からICタグ20を保護するために、タグ保護カバー60は、耐衝撃性を有する金属を材質として形成されている。また、タグ保護カバー60は、外部環境に長期間に亘ってさらされるため、腐食や錆に対する耐性(耐腐食性)も有することが要求される。そのため、タグ保護カバー60は、既に上述したようなステンレス鋼等を材質とすることが可能である。
【0030】
なお、タグ保護カバー60の材質は、ステンレス鋼には限られず、表面に酸化被膜が形成されたアルミニウム、アルミニウム合金等を始めとする、各種の金属を利用することができる。
【0031】
このタグ保護カバー60は、天面保護部61と、側面保護部62と、スカート部63(図3参照)と、取付脚部64とを有していて、これら各部が一体的に設けられている。天面保護部61は、タグ保護カバー60のうち上面側(Z1側)に位置する部分であり、図1に示すようにICタグ20の上面側を保護するための部分である。そのため、天面保護部61は、タグ取付板50と広い面積で対向している。なお、この天面保護部61の面積は、当然ながらICタグ20の上面の面積よりも広く設けられている。
【0032】
また、側面保護部62は、タグ保護カバー60の両側面側(Z1側)にそれぞれ位置する部分である。この側面保護部62の下端側は、タグ取付板50に突き当てられる。なお、タグ保護カバー60のタグ取付板50に対する取付固定は、たとえば側面保護部62の下端側が、タグ取付板50に溶接されることによって実現されても良く、その他の手法によって実現されても良い(後述)。また、側面保護部62は、天面保護部61に対して、略垂直をなすように折り曲げられている。なお、「略垂直」とは、厳密な垂直も含むが、そのような厳密な垂直には限られず、ある程度の角度でずれることを許容する意味である(スカート部63においても同様)。
【0033】
ここで、側面保護部62には、側面隙間部65(開口部の一例に対応)が設けられている。側面隙間部65は、側面保護部62とタグ取付板50との間に存在する隙間部分である。この側面隙間部65は、図4に示すような磁力線Φを妨げず、それにより、電磁誘導方式にてコイルアンテナ43に電流を生じさせることを可能としている。すなわち、導電性に優れる金属製のタグ保護カバー60は、磁力線Φが通過すると、その磁力線Φの変化に伴って渦電流を生じさせるので、磁気シールドとして機能してしまう。そのため、磁力線Φを通過させるべく、それぞれの側面保護部62に側面隙間部65を設け、磁力線Φが閉ループを形成するようにしている。
【0034】
一方、側面隙間部65は、金属のように電波を反射等せず、通過するのを妨げない。そのため、電波が側面隙間部65を通過することで、電波方式にてコイルアンテナ43を利用して電流を生じさせることを可能としている。
【0035】
ここで、電磁誘導方式および電波方式のいずれでも、側面隙間部65の開口部分の幅L1が広いほど、コイルアンテナ43での感度が良好となる。一方で、側面隙間部65の幅L1(図1における高さ方向の長さ)が、広いと、鉄球等の投射材が容易に入り込み、ブラスト処理に際してICタグ20にダメージを与えてしまう。そのため、側面隙間部65の幅L1は、ICタグ20の損傷を防止する程度の幅で、かつ可能な限り感度を良好とする幅に設定されている。
【0036】
また、図3に示すように、スカート部63は、ICタグ20の他方側の端面(X2側の端面)を保護するための部分である。このスカート部63も、天面保護部61に対して、略垂直をなすように折り曲げられている。また、図3に示す構成では、スカート部63は、側面保護部62との間で端面隙間部66(開口部の一例に対応)を有するように構成されている。端面隙間部66の幅L2は、ブラスト処理における鉄球等の投射材の入り込みによるICタグ20の損傷を防止する程度となっている。すなわち端面隙間部66の幅L2が広いと、鉄球等の投射材が容易に入り込み、ブラスト処理に際してICタグ20にダメージを与えてしまう。そのため、端面隙間部66の幅L2は、ICタグ20の損傷を防止する程度の幅に設定されている。
【0037】
なお、端面隙間部66の高さ方向(Z方向)の寸法は、側面隙間部65の高さ方向(Z方向)の寸法よりも大きく設けられている。それにより、一層感度を良好としている。
【0038】
この端面隙間部66が存在しない場合と比較すると、端面隙間部66が存在する場合、その端面隙間部66を介してICタグ20との間で電波の送受信を行うことが可能となり、感度を向上させることが可能となる。しかしながら、かかる端面隙間部66は必須の構成ではなく、端面隙間部66が存在しない構成を採用することも勿論可能である。
【0039】
また、取付脚部64は、ガス容器等の取付箇所に、ICタグ保護構造10Aの取付構造を固定させるための部分である。取付脚部64は、適宜折り曲げて、ガス容器等の取付箇所に接触させる。その状態で、取付脚部64をガス容器等の取付箇所に溶接等の手法を介して取り付ける。それにより、ICタグ保護構造10Aは、ガス容器等の取付箇所に固定される。
【0040】
なお、ICタグ保護構造10Aの取付箇所への固定は、溶接の手法には限られず、ガス容器側にネジによる取付箇所が存在する場合には、ネジにより固定しても良く、その他、接着固定等、種々の手法を用いることができる。なお、取付脚部64には、磁性を持たせることも可能である。その場合には、ICタグ保護構造10Aのガス容器等への仮固定が容易となる。
【0041】
<作用効果について>
本実施の形態のICタグ保護構造10Aは、たとえば、LPガスタンクやガスボンベ等のガス容器に取り付けられる。かかるガス容器においては、ガスの漏れや、錆等による腐食を防ぐために、数年ごとに点検されるのが通常であり、その点検に際しては、ガス容器から塗装を剥がして、上記の漏れや腐食がないかを確認し、その後に、再度、ガス容器に塗装を行っている。
【0042】
ガス容器から塗装を剥がす場合、鉄球やガラス等の投射材を用いたショットブラストが用いられるのが一般的である。そのため、ブラスト処理においては、たとえばガス容器の外周側に取り付けられたICタグ保護構造10Aにも、投射材が衝突する状態となる。
【0043】
ここで、ICタグ20は、金属製のタグ保護カバー60で覆われている。しかも、タグ保護カバー60には、側面隙間部65や端面隙間部66が設けられているものの、その隙間の幅L1、L2は、投射材によってICタグ20の損傷を防止する程度の幅に設定されている。そのため、ICタグ20をブラスト処理の投射材の衝撃から保護することを可能としている。それにより、ICタグ保護構造10Aでは、ICタグ20を長期に亘り使用することが可能となり、ガス容器のメンテナンス情報を長期に亘り保持することが可能となる。同じく、ICタグ保護構造10Aでは、トレーサビリティを長期に亘り確保することが可能となる。
【0044】
また、側面隙間部65は、側面保護部62に設けられている。そのため、側面隙間部65は、図4に示すような磁力線Φを妨げず、それにより、電磁誘導方式にてコイルアンテナ43に電流を生じさせることを可能としている。また、側面隙間部65は、金属のように電波を反射等せず、通過するのを妨げないため、電波が側面隙間部65を通過することで、電波方式にてコイルアンテナ43を利用して電流を生じさせることを可能としている。すなわち、電磁誘導方式および電波方式のいずれでも、金属製のタグ保護カバー60でICタグ20が覆われる、という構成を採用しながらも、ICチップ42との間でデータの送受信を行うことが可能である。
【0045】
さらに、本実施の形態では、タグ保護カバー60には、スカート部63が設けられていて、このスカート部63は、端面隙間部66を隔てて側面保護部62と隣接している。しかも、端面隙間部66の幅は、ショットブラストにおいて投射材の衝突からICタグ20が損傷するのを防止する程度の幅に設定されている。そのため、端面隙間部66の存在により感度を良好としながらも、ショットブラストにおいて投射材の衝突からICタグ20が損傷するのを防止可能となる。
【0046】
また、本実施の形態では、端面隙間部66の高さ寸法は、側面隙間部65の高さ寸法よりも大きく設けられている。それにより、ICタグ20に電磁波や電波が届き易くなり、ICタグ20の感度を向上させることが可能となる。
【0047】
さらに、本実施の形態では、スカート部63は、ICタグ20のうち覆い部材32が設けられていない側のICタグ20の他方の端面(X2側の端面)と対向している。そのため、金属製の覆い部材32で保護されていない、他方の端面を良好に保護することが可能となる。
【0048】
<他の形態について>
次に、本発明の他の形態に係るICタグ保護構造10B〜10Dについて、順次説明する。
【0049】
(他の形態その1)
図6は、他の形態に係るICタグ保護構造10Bの構成を示す斜視図である。図7は、ICタグ保護構造10Bの構成を示す分解斜視図である。図6および図7に示すように、ICタグ保護構造10Bにおいては、リベット70を用いたリベット締めにより、タグ保護カバー60とタグ取付板50との間の取付固定を行っている。
【0050】
このようなリベット70での取付固定を実現するために、タグ保護カバー60には、挿通孔67が設けられていて、リベット70のピン部分72を挿通させることを可能としている。また、タグ取付板50に存在する複数の孔部には、リベット70のピン部分72を挿通させる挿通孔51が存在している。これら挿通孔67,51にリベット70のピン部分72を挿通させて、リベット70の頭部71が天面保護部61の上面に位置する状態とする。その後に、ピン部分72の下端側(Z2側)を、押し潰す(カシメ加工する)ことで、タグ保護カバー60は、タグ取付板50に取付固定される。
【0051】
このような固定手法を採用する場合、タグ保護カバー60をタグ取付板50に溶接する必要がなくなる。それにより、タグ保護カバー60のタグ取付板50に対する固定が容易となる。また、溶接の際に必要とされるメッキや塗装等の表面処理が不要となり、溶接よりも工数を削減することができる。さらに、ねじを用いる場合のように、ネジ山の加工やねじ止め作業が不要となるので、ねじ止めの場合と比較しても、工数を削減することが可能となる。
【0052】
(他の形態その2)
図8は、他の形態に係るICタグ保護構造10Cの構成を示す斜視図である。図9は、ICタグ保護構造10Cの構成を示す分解斜視図である。図8および図9に示すように、ICタグ保護構造10Cにおいては、側面隙間部65とは異なる側面隙間部65C(開口部の一例に対応)が設けられている。
【0053】
すなわち、側面隙間部65Cは、図1から図3で示されるような側面隙間部65とは異なり、高さ寸法H1(Z方向の寸法)が大きくなっている。図8および図9に示す構成では、側面隙間部65Cは、側面保護部62の高さ方向の全体に亘るように設けられている。なお、側面隙間部65Cは、側面保護部62の高さ方向の全体に亘るように形成されなくても良い。たとえば、側面隙間部65と同程度の高さに設定することもでき、その側面隙間部65よりも高く設定することもできる。
【0054】
側面隙間部65Cの高さが、側面隙間部65よりも高く形成される場合は、電磁波方式および電波方式のいずれの方式においても、感度を向上させることが可能となる。
【0055】
なお、側面隙間部65Cの幅L3は、上述した端面隙間部66の幅L2と同様に、ブラスト処理における鉄球等の投射材の入り込みによるICタグ20の損傷を防止する程度となっている。
【0056】
(他の形態その3)
図10は、他の形態に係るICタグ保護構造10Dの構成を示す分解斜視図である。図10に示すように、側面保護部62には、下方側(Z2側)に向かって延伸するタブ部68が設けられている。タブ部68は、挿通孔51に入り込む部分であるが、挿通孔51にタブ部68が入り込んだ後には、カシメ加工によりタブ部68が折り曲げられる。それにより、タグ保護カバー60は、タグ取付板50に対して取付固定される。
【0057】
このようなタブ部68を利用したカシメ加工によりタグ保護カバー60をタグ取付板50に取付固定する場合、リベット70やネジ等の締結手段が不要となる。そのため、部品点数を低減することが可能となり、生産コストを低減させることが可能となる。また、溶接等の固定手法と比較すると、リベット70を用いた場合と同様に、タグ保護カバー60のタグ取付板50に対する固定が容易となる。また、溶接の際に必要とされるメッキや塗装等の表面処理が不要となり、溶接よりも工数を削減することができる。さらに、ねじを用いる場合のように、ネジ山の加工やねじ止め作業が不要となるので、ねじ止めの場合と比較しても、工数を削減することが可能となる。
【0058】
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
【0059】
上述の実施の形態においては、覆い部材32は、ICタグ20の両端面のうち一方の端面しか覆わない構成となっている。しかしながら、覆い部材は、ICタグ20の両方の端面を覆う構成を採用しても良い。その場合、覆い部材は、その断面形状が略コ字形状(略U字形状)となる。また、かかる略コ字形状(略U字形状)の覆い部材の存在により、タグ保護カバー60は、スカート部63が存在しない構成を採用しても良い。
【0060】
また、上述の実施の形態においては、ICタグ20は、タグ取付板50またはタグ保護カバー60の天面保護部61よりも突出するように配置しても良い。なお、かかる配置とする場合には、その突出部分が、ショットブラストの投射材によってダメージを受けないように、当該突出部分を金属で覆うように構成しても良い。
【0061】
また、上述の実施の形態では、タグ保護カバー60は、4本の取付脚部64を有する構成となっている。しかしながら、取付脚部64の本数は、幾つであっても良い。たとえば、取付脚部64が2本であっても良く、5本以上であっても良い。
【0062】
また、上述の実施の形態において、タグ取付板50の下面側(Z2側)に、さらに次のような構成を追加しても良い。すなわち、タグ取付板50の下面側(Z2側)に、アルミ箔や導電性のパテといった、導電性部材を配置しても良い。このように、タグ取付板50の下面側(Z2側)に、導電性部材を配置する場合には、ICタグ保護構造10A〜10Dの感度が良好となる傾向がある。
【0063】
また、上述の実施の形態では、ICタグ20とタグ保護カバー60の間には、隙間が存在するものとなっている。しかしながら、ICタグ20の天面にタグ保護カバー60が直付けされた構成を採用しても良い。
【0064】
また、上述の実施の形態では、ICタグ保護構造10A〜10Dは、ガス容器に取り付けられるものとしている。しかしながら、ICタグ保護構造10A〜10Dは、ガス容器以外に取り付けられるものであっても良い。たとえば、各種の鋼製の配管、各種の薬品を貯蔵する容器を始めとして、種々のものにICタグ保護構造10A〜10Dを用いることが可能である。
【符号の説明】
【0065】
10A〜10D…ICタグ保護構造、20…ICタグ、30…本体部、31…樹脂部、32…覆い部材、40…ICインレット(ICチップ体に対応)、41…ICタグ基板、42…ICチップ、43…コイルアンテナ、50…タグ取付板、51…挿通孔、60…タグ保護カバー、61…天面保護部、62…側面保護部、63…スカート部、64…取付脚部、65…開口部、65,65C…側面隙間部(開口部の一例に対応)、66…端面隙間部(開口部の一例に対応)、67…挿通孔、68…タブ部、70…リベット、71…頭部、72…ピン部分、
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10