(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
例えば、薄膜トランジスタ(TFT)のマトリックスのようなアクティブマトリクスを有するディスプレイを駆動させるための装置を備えることを特徴とする請求項23記載のディスプレイ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の目的のために、ピーク時間(t
max)はセル中を電流が流れる前で液晶により満たされたセルに短時間の高電圧パルスを印加した後の時間で、電流の時間曲線(I(t))が最大値となる時間である。時間曲線は、本発明によれば、次のようにして決定される。最初に、電流(I(t))または電流密度(I(t)/S)の時間曲線を次の数式(1)および(2)に従って計算する。数式(1)は電流を液晶ダイレクタのチルト角の関数として記述しており、数式(2)はチルト角と電圧印加後に経過する時間との相関関係を記述している。
【0019】
【数2】
ただし、
S=電極面積(これはI(t)の最大を決定するには必要ない)、
E
b=U/I(本発明の計算では、U=90VおよびI=22μmと仮定)、
θ
0=時間tが0の時のバルクのチルト角、
θ
b=バルクのチルト角、
α
1〜α
5=レスリー粘性率
【0020】
【数3】
レスリー粘性率については、本発明では、以下の仮定を用いる:
α
1=−10mPasおよび
α
3=0mPas。
【0022】
【数4】
加えて、ここでは以下の通り仮定する:
【0023】
【数5】
但し、
ρ=密度(約1g/cm
3)および
ν=流動粘度。
【0024】
より読み易いように、2つの数式(1)および(2)を
図1に再び示す。
【0025】
関数I(t)またはI(θ
b(t))が最大となる位置t
maxは、種々の方法で決定できる。したがって、例えば、関数I(t)を数値的に計算でき、最大となる値および位置を数値的に選択するかグラフより決定する。本発明の目的のためには、数値的な方法が好ましく、特に好ましくは、Wolfram Research社による対応する数学ソフトウエアーMathematica(例えば、第3版)を使用する。それにI(t)のそのままの表現を入れ、関数を時間によって微分(dI/dt)することで、I(t)の最大が数値的に決定される。
【0026】
本発明の液晶媒体は0.25ms以下の値のピーク時間(t
max)を有しており、特に好ましくは0.20ms以下、引き続きより好ましくは0.16ms以下、非常に特に好ましくは0.13ms以下、特に好ましくは0.12ms以下である。
【0027】
Δnが0.080±0.010の場合、本発明の液晶媒体のt
maxの値は好ましくは0.18ms以下、特に好ましくは0.16ms以下、引き続きより好ましくは0.14ms以下、非常に特に好ましくは0.12ms以下、特に好ましくは0.10ms以下である。
【0028】
Δnが0.100±0.010の場合、本発明の液晶媒体のt
maxの値は好ましくは0.19ms以下、特に好ましくは0.17ms以下、引き続きより好ましくは0.15ms以下、非常に特に好ましくは0.13ms以下、特に好ましくは0.12ms以下である。
【0029】
Δnが0.120±0.010の場合、本発明の液晶媒体のt
maxの値は好ましくは0.20ms以下、特に好ましくは0.18ms以下、引き続きより好ましくは0.16ms以下、非常に特に好ましくは0.14ms以下、特に好ましくは0.13ms以下である。
【0030】
Δnが0.150±0.020の場合、本発明の液晶媒体のt
maxの値は好ましくは0.21ms以下、特に好ましくは0.20ms以下、引き続きより好ましくは0.18ms以下、非常に特に好ましくは0.16ms以下、特に好ましくは0.15ms以下である。
【0031】
Δnが0.200±0.030の場合、本発明の液晶媒体のt
maxの値は好ましくは0.25ms以下、特に好ましくは0.22ms以下、引き続きより好ましくは0.20ms以下、非常に特に好ましくは0.19ms以下、特に好ましくは0.18ms以下である。
【0032】
いくつかの場合、種々のディスプレイの型および設計において、液晶媒体の特定の用途のために、光学的遅延(d・Δn)の異なった値が要求され、ほとんどの電気光学的効果の場合、応答時間は液晶セルの層厚み(d)の平方に反比例するため、対応する液晶媒体を特徴付ける更なるパラメーターは、ピーク時間(t
max)と複屈折率(Δn)の平方とから計算される商、即ち、t
max/Δn
2である。
【0033】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、t
max/Δn
2の値が22ms以下で、特に好ましくは20ms以下、引き続きより好ましくは18ms以下、非常に特に好ましくは16ms以下、特に好ましくは15ms以下である。
【0034】
平均誘電率(ε
av)が4.0±0.5の場合、本発明の液晶媒体のt
max/Δn
2の値は好ましくは18ms以下、特に好ましくは16ms以下、引き続きより好ましくは14ms以下、非常に特に好ましくは12ms以下、特に好ましくは10ms以下である。
【0035】
ε
avが5.0±0.5の場合、本発明の液晶媒体のt/Δn
2の値は好ましくは19ms以下、特に好ましくは17ms以下、引き続きより好ましくは15ms以下、非常に特に好ましくは13ms以下、特に好ましくは12ms以下である。
【0036】
ε
avが6.0±0.5の場合、本発明の液晶媒体のt/Δn
2の値は好ましくは22ms以下、特に好ましくは20ms以下、引き続きより好ましくは18ms以下、非常に特に好ましくは16ms以下、特に好ましくは14ms以下である。
【0037】
ε
avが7.0±0.5の場合、本発明の液晶媒体のt/Δn
2の値は好ましくは24ms以下、特に好ましくは22ms以下、引き続きより好ましくは20ms以下、非常に特に好ましくは17ms以下、特に好ましくは14ms以下である。
【0038】
ε
avが8.0±0.5の場合、本発明の液晶媒体のt/Δn
2の値は好ましくは26ms以下、特に好ましくは23ms以下、引き続きより好ましくは21ms以下、非常に特に好ましくは19ms以下、特に好ましくは16ms以下である。
【0039】
同様に、本発明は、本発明の液晶媒体を備えるか利用する液晶ディスプレイに関する。これらのディスプレイは、時分割法によって、またはアクティブマトリクスによって、例えばTFT(薄膜トランジスター)、バリスターまたはダイオードにより、直接駆動できる。好ましくは、アクティブマトリクスによって駆動されるディスプレイである。
【0040】
加えて、本発明は、ディスプレイの応答時間を短くする対応する方法に関する。
【0041】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、
a)好ましくは式Iの誘電的に負の化合物を1種類以上含む誘電的に負の液晶成分(成分A)と、
b)好ましくは式IIの誘電的に中性の化合物を1種類以上含む誘電的に中性の液晶成分(成分B)とを含み、
c)キラル化合物を1種類以上含むキラル成分(成分C)を含んでもよい。
【0043】
【化2】
他のものは、存在する場合は、それぞれ互いに独立に、同じ意味を有するかまたは以下を表し、
【0045】
【化3.2】
R
11およびR
12は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはn−アルキル、特に好ましくは1〜5個の炭素原子を有するn−アルキル、1〜7個の炭素原子を有するアルコキシ、好ましくはn−アルコキシ、特に好ましくは1〜5個の炭素原子を有するn−アルコキシ、または2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシ、好ましくはアルケニルを表し、ただし、全ての基の1つ以上の水素原子はハロゲン原子、好ましくはフッ素原子で置き換えられていてもよく、
L
11およびL
12は、それぞれ互いに独立に、C−FまたはNを表し、好ましくはL
11およびL
12の少なくとも1つがC−Fを表し、特に好ましくはL
11およびL
12の両方がC−Fを表し
Z
11およびZ
12は、それぞれ互いに独立に、−CH
2−CH
2−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CH
2−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CF
2−CF
2−、−CO−O−、−O−CO−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−または単結合で、好ましくは−CH
2−CH
2−、−CH=CH−、−CH
2−CF
2−、−CF
2−CH
2−、−CF
2−CF
2−、−OCH
2−、−CH
2O−、−OCF
2−、−CF
2O−または単結合で、特に好ましくはZ
11およびZ
12の1つが−CH
2−CH
2−または単結合、他方が単結合で、特に好ましくは両方が単結合を表し、
nは、0、1または2、好ましくは0または1を表す。
【0046】
【化4】
式中、R
21およびR
22は、それぞれ互いに独立に、R
11およびR
12で与えられる意味の1つであり、好ましくは1〜7個の炭素原子を有するアルキル、好ましくはn−アルキル、特に好ましくは1〜5個の炭素原子を有するn−アルキル、1〜7個の炭素原子を有するアルコキシ、好ましくはn−アルコキシ、特に好ましくは2〜5個の炭素原子を有するn−アルコキシ、または2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシ、好ましくはアルケニルオキシを表し、
Z
21〜Z
23は、それぞれ互いに独立に、Z
11およびZ
12で与えられる意味の1つであり、好ましくは−CH
2−CH
2−、−CH=CH−、−C≡C−、−COO−または単結合、好ましくは−CH
2−CH
2−または単結合、特に好ましくは単結合を表し、
【0048】
【化5.2】
pおよびqは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、好ましくは(p+q)が0または1を表し、特に好ましくはqが0を表し、特に好ましくはpおよびqの両方が0を表す。
【0049】
好ましい実施形態において、媒体は、式I−1〜I−5の化合物群より選ばれる式Iの化合物を1種類以上含む。
【0050】
【化6】
式中、パラメーターは上の式Iで示されたそれぞれの意味を有し、好ましくは、
R
11は、アルキルまたはアルケニルを表し、および
R
12は、アルキル、アルケニル、アルコキシまたはアルケニルオキシを表す。
【0051】
更に好ましい実施形態においては、媒体は、式I−1a〜I−1dの化合物群より選ばれる式I−1の化合物を1種類以上含み、好ましくは式I−1bおよび/またはI−1d、特に好ましくは式I−1dを含む。
【0052】
【化7】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0053】
更に好ましい実施形態においては、媒体は、式I−2a〜I−2dの化合物群より選ばれる式I−2の化合物を1種類以上含み、好ましくは式I−2aおよび/またはI−2b、特に好ましくは式I−2bを含む。
【0054】
【化8】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenyは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0055】
更に好ましい実施形態においては、媒体は、式I−3a〜I−3dの化合物群より選ばれる式I−3の化合物を1種類以上含み、好ましくは式I−3bおよび/またはI−3dを含む。
【0056】
【化9】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0057】
更に好ましい実施形態においては、媒体は、式I−4a〜I−4dの化合物群より選ばれる式I−4の化合物を1種類以上含み、好ましくは式I−4aおよび/またはI−4c、特に好ましくは式I−4aを含む。
【0058】
【化10】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0059】
更に好ましい実施形態においては、媒体は、式I−5a〜I−5dの化合物群より選ばれる式I−5の化合物を1種類以上含み、好ましくは式I−5aおよび/またはI−5c、特に好ましくは式I−5aを含む。
【0060】
【化11】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0061】
更に好ましい実施形態においては、媒体は、式II−1〜II−8の化合物群からの式IIの化合物を1種類以上含み、好ましくは式II−1〜II−6の化合物群より選ばれ、好ましくは式II−1〜II−4の群、特に好ましくは式II−2およびII−3の群から選ばれる化合物を含む。
【0063】
【化12.2】
式中、パラメーターは、上の式IIで示されるそれぞれの意味を有し、および
Y
1は、HまたはFを表し、および好ましくは
R
21は、アルキルまたはアルケニルおよび
R
22は、アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、好ましくはアルキルまたはアルケニル、特に好ましくはアルケニルを表す。
【0064】
更に好ましい実施形態においては、媒体は式II−1の化合物を1種類以上含み、式II−1a〜II−1eの化合物群より選ばれ、好ましくは式II−1aおよび/またはII−1cおよび/またはII−1d、特に好ましくは式II−1cおよび/またはII−1d、非常に特に好ましくは式II−1cおよび式II−1dから選ばれる化合物を含む。
【0065】
【化13】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0066】
更に好ましい実施形態においては、媒体は式II−2の化合物を1種類以上含み、式II−2a〜II−2dの化合物群より選ばれ、好ましくは式II−2aおよび/またはII−2b、特に好ましくは式II−2bを含む。
【0067】
【化14】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0068】
更に好ましい実施形態においては、媒体は式II−3の化合物を1種類以上含み、式II−3a〜II−3dの化合物群より選ばれ、好ましくは式II−3aおよび/またはII−3d、特に好ましくは式II−3dを含む。
【0069】
【化15】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0070】
更に好ましい実施形態においては、媒体は式II−4の化合物を1種類以上含み、式II−4a〜II−4dの化合物群より選ばれ、好ましくは式II−4aおよび/またはII−4d、特に好ましくは式II−4dを含む。
【0071】
【化16】
式中、
alkylおよびalkyl’は、それぞれ互いに独立に、1〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルキルを表し、
alkoxyは、1〜5個の炭素原子、好ましくは2〜4個の炭素原子を有するアルコキシを表し、
alkenylは、2〜7個の炭素原子、好ましくは2〜5個の炭素原子を有するアルケニルを表す。
【0072】
媒体は、特に好ましくは、式II−1の化合物を1種類以上含み、
−特に好ましくは式II−1c、
−式II−1、ただし、R
21はビニルまたは1−プロペニルを表し、R
22はアルキル、好ましくはn−アルキルを表し、特に好ましくはR
21はビニルを表しR
22はプロピルを表し、および
−特に好ましくは式II−1d、
−式II−1、ただし、R
21およびR
22は、それぞれ互いに独立に、ビニルまたは1−プロペニルを表し、好ましくはR
21はビニルを表し、特に好ましくはR
21およびR
22はビニルを表す
群より選ばれる。
【0073】
好ましい実施形態においては、媒体は、式II−3の化合物を1種類以上含み、特に好ましくは、R
21はビニルまたは1−プロペニルを表し、R
22はアルキル、好ましくはn−アルキルを表し、特に好ましくはR
21はビニルを表しR
22はメチルを表す1種類以上の化合物である。
【0074】
好ましい実施形態においては、媒体は、式II−5の化合物を1種類以上含み、特に好ましくは、R
21はアルキル、ビニルまたは1−プロペニルを表し、R
22はアルキル、好ましくはn−アルキルを表す。
【0075】
本発明の場合、組成物の構成の詳細に関連して:
−「含む」は、組成物中の対象となる組成の濃度が好ましくは10%以上、特に好ましくは20%以上であることを意味し、
−「大部分が・・・よりなる」は、組成物中の対象となる組成の濃度が好ましくは50%以上、より特に好ましくは55%以上、非常に特に好ましくは60%以上であることを意味し、
−「実質的に完全に・・・よりなる」は、組成物中の対象となる組成の濃度が好ましくは80%以上、より特に好ましくは90%以上、非常に特に好ましくは95%以上であることを意味し、
−「事実上完全に・・・よりなる」は、組成物中の対象となる組成の濃度が好ましくは98%以上、より特に好ましくは99%以上、非常に特に好ましくは100.0%であることを意味する。
【0076】
このことは、成分でも化合物で構わない組成を備える組成物としての媒体と、組成として化合物を備える成分とのいずれにも適用される。
【0077】
成分Aは、好ましくは式I−1〜I−5の化合物群より選択され、非常に特に好ましくは式I−1a〜I−5dの化合物群より選択される式Iの1種類以上の化合物より、好ましくは大部分が成り、特に好ましくは実質的に完全に成り、非常に特に好ましくは事実上完全に成る。
【0078】
成分Bは、好ましくは式II−1〜II−6の化合物群より選択され、特に好ましくは式II−1〜II−4の化合物群より選択され、非常に特に好ましくは式II−1a〜II−4dの化合物群より選択される式IIの1種類以上の化合物より、好ましくは大部分が成り、特に好ましくは実質的に完全に成り、非常に特に好ましくは事実上完全に成る。
【0079】
本発明の液晶媒体の成分Cで使用できる1種類または複数種類のキラル化合物は、公知のキラルドーパントから選択される。
【0080】
成分Cは、以下の式III〜Vの化合物群より選択される1種類以上の化合物より、好ましくは大部分が成り、特に好ましくは実質的に完全に成り、非常に特に好ましくは事実上完全に成る。
【0081】
【化17】
式中、R
31〜R
43およびR
5は、それぞれ互いに独立に、式IIにおける上のR
21で与えられる意味を有するか、またはH、CN、F、Cl、CF
3、OCF
3、CF
2HまたはOCF
2Hを表し、R
31およびR
32の少なくとも一方はキラル基を表し、
Z
31〜Z
53およびZ
5は、それぞれ互いに独立に、−CH
2−CH
2−、−CH=CH−、−COO−、−O−CO−または単結合を表し、好ましくはZ
31、Z
32、Z
41、Z
44およびZ
45は単結合を表し、Z
33、Z
42およびZ
43は−COO−または単結合を表し、Z
42は好ましくは−COO−を表し、Z
43およびZ
5は−O−CO−を表し、
【0082】
【化18】
s、t、u、v、およびwは、それぞれ互いに独立に、0または1を表し、好ましくは、sおよびtの両者が0およびuおよびvの両者が1を表す。
【0083】
式III〜Vの化合物は、好ましくは、式III−1〜III−3、IV−1およびIV−2またはV−1およびV−2の化合物群より選択される。
【0085】
【化19.2】
式中、それぞれの場合で、パラメーターは、式III〜Vで上に与えられる意味を有し、好ましくは、
R
31〜R
5は、アルキル、アルケニルまたはアルコキシ、H、CN、F、Cl、CF
3、OCF
3、CF
2HまたはOCF
2Hを表し、R
31およびR
32の少なくとも1つはキラル基、好ましくはイソオクチルオキシを表し、
Z
31は、単結合を表し、
Z
33は、式III−2中では単結合を、式III−3中では−COO−を表し、
Z
42は、−COO−を表し、
Z
43は、−O−CO−を表し、
mは、1〜8の整数、好ましくは6を表し、および
lは、mとは異なる0〜8の整数、好ましくは1を表す。
【0086】
化合物は、特に好ましくは、次の式III−1a、III−1b、III−2a〜III−2cおよびIII−3a、IV−1aおよびIV−2aまたはV−1aおよびV−2aの化合物群より選択される。
【0089】
【化20.3】
好ましい実施形態において、本発明の液晶媒体は全体として、混合物全体を基礎として、
30%以上〜85%以下、好ましくは40%以上〜80%以下、好ましくは50%以上〜70%以下、特に好ましくは60%以上〜70%以下、非常に特に好ましくは65%以上〜69%以下の成分A、好ましくは式Iの化合物と、および
15%以上〜70%以下、好ましくは20%以上〜60%以下、特に好ましくは30%以上〜50%以下、非常に特に好ましくは35%以上〜45%以下の成分B、好ましくは式IIの化合物と、および
0%以上〜15%以下、好ましくは0%以上〜10%以下、特に好ましくは0.1%以上〜6%以下、非常に特に好ましくは1%以上〜5%以下の成分C、好ましくは式III〜Vの群より選ばれる化合物とを含む。
【0090】
更に好ましい実施形態において、本発明の液晶媒体は全体として、混合物全体を基礎として、
25%以上〜45%以下、好ましくは30%以上〜40%以下、特に好ましくは32%以上〜39%以下、非常に特に好ましくは33%以上〜37%以下の式I−1の化合物と、
15%以上〜45%以下、好ましくは18%以上〜32%以下、特に好ましくは20%以上〜30%以下、非常に特に好ましくは21%以上〜25%以下の式I−2の化合物と、
0%以上〜30%以下、好ましくは5%以上〜25%以下、特に好ましくは10%以上〜20%以下、非常に特に好ましくは13%以上〜18%以下の式I−3の化合物と、
0%以上〜20%以下、好ましくは0%以上〜15%以下、特に好ましくは0%以上〜10%以下、非常に特に好ましくは0%以上〜5%以下の式I−4およびI−5、好ましくは式I−4の群より選ばれる化合物と、
15%以上〜45%以下、好ましくは20%以上〜40%以下、特に好ましくは25%以上〜37%以下、非常に特に好ましくは30%以上〜35%以下の式II−1およびII−5、好ましくは式II−5の群より選ばれる化合物と、
0%以上〜20%以下、好ましくは0%以上〜15%以下、特に好ましくは0%以上〜10%以下、非常に特に好ましくは0%以上〜5%以下の式II−2およびII−4、好ましくは式II−4の群より選ばれる化合物と、および
0%以上〜20%以下、好ましくは0%以上〜15%以下、特に好ましくは1%以上〜12%以下、非常に特に好ましくは3%以上〜8%以下の式II−3およびII−6、好ましくは式II−6の群より選ばれる化合物とを含む。
【0091】
好ましい実施形態においては、本発明の液晶混合物は、全体として、1%以上〜40%以下、好ましくは3%以上〜30%以下、特に好ましくは5%以上〜25%以下、非常に特に好ましくは10%以上〜20%以下の式III、IVおよびVの群より選ばれる化合物を含む。
【0092】
ここで、本開示および請求項を通して、他に明言していなければ、用語「複数種類の化合物」は、「(複数種類の)化合物」と書かれている場合も、1種類および複数種類の化合物のいずれをも表す。
【0093】
それぞれの場合に関連して、混合物中において、個々の化合物は、1%以上〜30%以下、好ましくは2%以上〜30%以下、特に好ましくは4%以上〜16%以下である。
【0094】
好ましい実施形態では、それぞれの場合において特に好ましくは、液晶媒体は、全体として、
式I−1の化合物を29%〜38%と、
式I−2の化合物を14%〜28%と、
式I−3の化合物を3%〜17%と、
式I−4の化合物を0%〜5%と、
式I−5の化合物を0%〜5%と、
式II−1およびII−4の化合物を28%〜42%と、
式II−2およびII−5の化合物を0%〜5%と、および
式II−3およびII−6の化合物を0%〜5%とを含む。
【0095】
この好ましい実施形態では、それぞれの場合において特に好ましくは、液晶媒体は、全体として、
式I−1の化合物を31%〜36%と、
式I−2の化合物を17%〜23%と、
式I−3の化合物を5%〜15%と、
式I−4の化合物を0%〜3%と、
式I−5の化合物を0%〜3%と、
式II−1およびII−4の化合物を30%〜37%と、
式II−2およびII−5の化合物を0%〜2%と、および
式II−3およびII−6の化合物を0%〜3%とを含む。
【0096】
特に好ましい実施形態では、好ましい濃度の範囲として上記の好ましい実施形態と同一でもよくおよび好ましくは同一で、液晶は、
・式Iの1種類以上の化合物、好ましくは式I−1〜I−5、好ましくは式I−1および/またはI−2および/またはI−3の化合物群より選択され、R
11はn−アルキルまたはアルケニル、好ましくはアルケニル、特に好ましくはビニル、およびR
12はアルキルまたはアルコキシ、好ましくはアルコキシを表し、好ましくは、
−式I−1の1種類以上の化合物で、R
11は好ましくはn−プロピルまたはn−ペンチルを表し、R
22は好ましくはエトキシを表し、および/または
−式I−2の1種類以上の化合物で、R
11は好ましくエチルまたはn−ブチル、好ましくはn−ブチルを表し、R
22は好ましくはエトキシを表し、および/または
・式IIの1種類以上の化合物、好ましくは式II−1〜II−6、好ましくは式II−1および/またはII−3および/またはI−5および/またはII−6の化合物群より選択され、R
21はn−アルキルまたはアルケニル、好ましくはアルケニル、特に好ましくはビニル、およびR
22はアルキルまたはアルコキシ、好ましくはアルコキシ、特に好ましくはメチルまたはプロピルを表し、好ましくは、
−式II−1の1種類以上の化合物で、R
21は好ましくはアルケニル、特に好ましくはビニルまたは1−プロペニル、非常に特に好ましくはビニルを表し、R
22は好ましくはアルキル、好ましくはn−アルキル、非常に特に好ましくはプロピルを表し、および/または
−式II−1の1種類以上の化合物で、R
21およびR
22は好ましくはアルケニル、特に好ましくはビニルまたは1−プロペニルを表し、非常に特に好ましくはR
21はビニルを表し、特に好ましくはR
21およびR
22の両方はビニルを表し、および/または
−式II−3の1種類以上の化合物で、R
21は好ましくはアルケニル、好ましくはビニルを表し、R
22は好ましくはアルキル、好ましくはメチルを表し、および/または
−式II−5の1種類以上の化合物、および/または
−式II−6の1種類以上の化合物、および/または
・式IIIの化合物群より選ばれる1種類以上の化合物、および/または
・式IVの化合物群より選ばれる1種類以上の化合物を含む。
【0097】
ここで、特に好ましい液晶媒体は、
−式Iの1種類以上の化合物、好ましくは式I−1〜I−5の化合物群より選択され、R
11はn−アルキルを表し、およびR
12はアルコキシを表し、特に、それぞれの場合で、1つの化合物につき、6%以上〜20%以下の濃度で、および/または
−式II−1の1種類以上の化合物、特に、それぞれの場合で、1つの化合物につき、2%以上、好ましくは4%以上〜11%以下の濃度で、および/または
−式II−3、II−2およびII−4の1種類以上の化合物、特に、それぞれの場合で、1つの化合物につき、2%以上、好ましくは4%以上〜11%以下の濃度で、および/または
−式III〜Vの1種類以上の化合物、特に、それぞれの場合で、1つの化合物につき、0.1%以上、好ましくは0.4%以上〜8%以下の濃度で含む。
【0098】
好ましくはそれぞれの場合で、本発明の液晶媒体は、少なくとも−20℃以下〜70℃以上、特に好ましくは−30℃以下〜80℃以上、非常に特に好ましくは−40℃以下〜85℃以上、最も好ましくは−40℃以下〜90℃以上でネマチック相を有する。
【0099】
ここで用語「ネマチック相を有する」は、最初にスメクチック相および結晶化が対応する温度の低温で確認されないことを意味し、次にネマチック相から加熱しても依然透明化しないことを意味する。低温における検査は対応する温度において流動粘度計により行なわれ、試験は、電気光学的用途に対応する層厚みを有する試験用セルに少なくとも100時間保存して行なわれる。対応する試験用セル中における−20℃での保存安定性が1000時間以上の場合、媒体はこの温度において安定であると言われる。−30℃および−40℃の温度において、対応する時間は、それぞれ500時間および250時間である。高温においては、毛管による従来法により、透明点が測定される。
【0100】
更に、本発明の液晶媒体は、中程度から低い範囲の光学異方性の値により特徴付けられる。複屈折率値は、好ましくは、0.065以上〜0.130の範囲、特に好ましくは0.070〜0.100の範囲、非常に特に好ましくは0.075〜0.090の範囲である。
【0101】
本発明の重複する特に好ましい実施形態では、複屈折率値は、好ましくは、0.060以上〜0.120の範囲、特に好ましくは0.070〜0.090の範囲、非常に特に好ましくは0.075〜0.085の範囲である。
【0102】
本発明の液晶媒体は負の誘電異方性を有しており、比較的高い値の誘電異方性(|Δε|)を有しており、それは好ましくは2.7以上〜5.3以下、好ましくは4.5以下まで、好ましくは2.9以上〜4.5以下、特に好ましくは3.0以上〜4.0以下、非常に特に好ましくは3.5以上〜3.9以下の範囲である。
【0103】
本発明の液晶媒体は比較的小さい値の閾電圧(V
0)を有しており、1.7V以上〜2.5V以下、好ましくは1.8V以上〜2.4V以下、特に好ましくは1.9V以上〜2.3V以下、非常に特に好ましくは1.95V以上〜2.1V以下の範囲である。
【0104】
本発明の液晶媒体は、好ましくは、比較的低い値の平均誘電異方性(ε
av.≡(ε
‖+2ε
⊥)/3)を有しており、好ましくは5.0以上〜7.0以下、好ましくは5.5以上〜6.5以下、引続きより好ましくは5.7以上〜6.4以下、特に好ましくは5.8以上〜6.2以下、非常に特に好ましくは5.9以上〜6.1以下の範囲である。
【0105】
加えて、本発明の液晶媒体は、液晶セル中において高い電圧保持率の値を有する。
【0106】
セル中に20℃で新たに充填されたセル中においては、95%以上、好ましくは97%以上、非常に好ましくは98%以上、非常に特に好ましくは99%以上であり、セル中100℃で5分後では、90%以上、好ましくは93%以上、特に好ましくは96%以上、非常に特に好ましくは98%以上である。
【0107】
一般に、低い駆動電圧および閾電圧を有する液晶媒体は、比較的高い駆動電圧および閾電圧を有する液晶媒体よりも低い電圧保持率を有し、逆もそうである。
【0108】
また、本発明の媒体によれば、それぞれの場合を他の場合と混合することで、個々の物理的特性のこれらの好ましい値が、好ましくは、維持される。
【0109】
本発明では、「≦」は以下、好ましくは未満を意味し、「≧」は以上、好ましくはより大きいことを意味する。
【0111】
【化21】
トランス−1,4−シクロヘキシレンを表す。
【0112】
本発明において、用語「誘電的に正の化合物」は△ε>1.5の化合物を表し、用語「誘電的に中性の化合物」は−1.5≦△ε≦1.5の化合物を表し、用語「誘電的に負の化合物」は△ε<−1.5の化合物を表す。ここで、化合物の誘電異方性は10%の化合物を液晶ホストに溶解して決定され、20μmの厚みでホモジニアス表面配向の少なくとも1つの試験用セル中および20μmの厚みでホメオトロピックな表面配向の少なくとも1つの試験用セル中で1kHzにより得られた混合物の容量を決定する。測定電圧は典型的には0.5V〜1.0Vであるが、検討されるそれぞれの液晶混合物の容量閾値よりはいつも低くされる。
【0113】
誘電的に正および誘電的に中性の化合物に使用されるホスト混合物はZLI−4792で、誘電的に負の化合物に使用されるホスト混合物はZLI−2857で、これらは独国のメルク社製である。検討される化合物を添加後にホスト化合物の誘電率の変化を化合物が100%の場合に外挿することで、検討される化合物のそれぞれの値が得られる。検討される化合物は、ホスト混合物に10%の量で溶解される。材料の溶解度が低すぎてこれが行なえない場合、所望の温度で検討できるようになるまで濃度を段階的に半分にしていく。
【0114】
本発明で示される全ての温度の値は℃で示されており、他に明言しない限り、全ての温度差は対応する単位の差である。
【0115】
本発明においては、用語「閾電圧」は、他に明言しない限り、フレデリックス閾値としても知られる容量閾値(V
0)に関する。例によっては、一般に習慣として、10%相対的コントラストでの光学的閾値(V
10)も決定され、表示される。
【0116】
電気光学的特性、例えば閾電圧(V
0)(容量的測定)および光学的閾値(V
10)は、スイッチング挙動のように、メルク社によって生産された試験用セル中で測定される。測定用セルはソーダ石灰ガラスを備える基板を有し、ポリイミド配向層(
**26希釈(混合比1:1)のSE−1211、日産化学社、日本製)を備えるECBまたはVA型構成で作製され、互いに直交するようにラビングされている。透明な領域は、ITOを備える実質的に正方形の電極で1cm
2である。使用される試験用セルの層厚みは、光学的遅延が(0.33±0.01)μmとなるよう検討される液晶混合物の複屈折率に対応して、選択される。偏光子は、一方はセルの前面にあり他方はセルの後ろにあり、吸収軸が互いに90°を成しており、これらの軸は、それぞれの偏光子が隣接する基板のラビング方向に平行である。層厚みは、通常、約4.0μmである。セルは大気圧下で毛管現象を利用して充填され、非密封の状態で検討される。使用される液晶混合物は、他に断らない限り、キラルドーパントとは混合されないが、そのようなドープが必要な用途にも特に適している。
【0117】
試験用セルの電気光学的特性および応答時間は、独国Karlsruche市のAutronic−Melchers社製DMS301測定装置により、20℃の温度において決定される。使用される駆動波の形式は、周波数60Hzの矩形波である。電圧は、V
rms(2乗平均平方根)で引用される。応答時間の測定の間、電圧は0Vから光学的閾値の2倍(2V
10)まで上昇され戻される。示された応答時間は光の強度のそれぞれの全体の変化が90%に達するまでの電圧の変化から経過する全時間に適用され、即ち、τ
on≡t(0%→90%)およびτ
off≡t(100%→10%)、即ち、それぞれの遅延時間も含まれる。個々の応答時間は駆動電圧に依存するため、結果をより良く比較できるように、それぞれの応答時間の合計(Σ=τ
on+τ
off)または平均応答時間(τ
av.=(τ
on+τ
off)/2)も示される。
【0118】
電圧保持率は、メルク社で製造された試験用セル中で決定される。測定用セルはソーダ石灰ガラスを備える基板を有し、層厚み50nmで互いに直交するようにラビングされているポリイミド配向層(AL−3046、日本合成ゴム社、日本製)により構成されている。層厚みは均一に6.0μmである。ITOを備える透明電極の面積は1cm
2である。
【0119】
本発明の目的においては、他に明言しない限り、全ての濃度は重量パーセントで示されており、対応する混合物または混合物成分に関するものである。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月、メルク、独国に従い決定されるか決定され、他に明言しない限り、20℃の温度が適用される。Δnは589nmで決定され、Δεは1kHzで決定される。
【0120】
回転粘度は回転永久磁石法によって決定され、流動粘度は修正ウベロード粘度計で決定される。全て独国ダルムスタット市のメルク社の製品である液晶混合物ZLI−2293、ZLI−4792およびMLC−6608については、20℃で決定された回転粘度の値は、それぞれ161mPa・s、133mPa・sおよび186mPa・sであり、流動粘度の値(ν)は、それぞれ21mm
2s
−1、14mm
2s
−1および27mm
2s
−1である。
【0121】
電圧保持率は、20℃および100℃オーブン中5分の後に決定される。使用する電圧は、周波数60Hzである。
【0122】
また、必要に応じて、本発明の液晶媒体は、例えば、安定剤、多色性色素およびキラルドーパント(成分Cとして)のような更なる添加剤を、従来の量で含む場合もある。使用されるこれらの添加剤の量は、全体で、混合物全体の量に基づき0%以上〜10%未満で、好ましくは0.1%以上〜6%以下である。使用される個々の化合物の濃度は、好ましくは0.1%以上〜3%未満である。これらのおよび同種の添加剤は、液晶媒体中の液晶化合物の濃度および濃度範囲を引用する際には、考慮されない。
【0123】
組成物は複数種類の化合物よりなり、好ましくは3種類以上〜30種類以下、特に好ましくは6種類以上〜20種類以下、非常に特に好ましくは10種類以上〜16種類以下の化合物で、従来の方法で混合される。一般に、使用される成分の少量の所望の量が成分中に溶解され、混合物の主な構成まで増やされる。このことは、加熱することで良好に行なわれる。選択された温度が主な構成の透明点より高い場合、完全に溶解する工程を特に容易に観察できる。しかしながら、例えば、予備混合または所謂「マルチボトルシステム」を利用するなど、他の従来法で液晶混合物を調製することも可能である。
【0124】
以下の例は、限定することなく、本発明を説明するためのものである。例において、液晶物質の融点T(C、N)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S、N)および透明点T(N、I)は、摂氏で示されている。
【0125】
本発明および以下の例において、液晶化合物の構造は液晶化合物の構造は頭文字で示されており、その化学式への変換は下記表A〜Cに従って行われる。基C
nH
2n+1、C
mH
2m+1およびC
lH
2l+1またはC
nH
2n、C
mH
2mおよびC
lH
2lは、全て、n、mおよびl個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖状アルキル基またはアルケニル基である。化合物の核の環要素は表Aにコードされており、結合単位は表Bに列記されており、分子の左手および右手の末端基のためのシンボルの意味は表Cに列記されている。具体的な分子構造およびそれらの略称は、表Dに列記されている。
【0129】
【表3】
表中、nおよびmはそれぞれ整数で、3つの点「…」は、この表からの他の略称のための場所を確保するものである。
【0137】
【表5.2】
本発明の好ましい実施形態においては、本発明の媒体は、表Eの化合物群から選ばれる1種類以上の化合物を含む。
【実施例】
【0140】
以下の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。しかしながら、これらの例は好ましく達成される特性の範囲、ならびに好ましく使用される化合物を示している。
【0141】
液晶媒体は、用途の特性に関して検討される。特に、試験用セル中において、それぞれの電子光学的特性系、応答時間および電圧保持率が決定される。
【0142】
上記の特性に対して示された値は、一般に、それぞれの場合で2つの試験用セルの測定値の平均である。個々のセル間の結果の差は、一般に、最大で4〜5%であった。
【0143】
<例1>
3種類の液晶混合物を作製し、全ての混合物は、事実上、同じ値の透明点、複屈折率、誘電異方性を有し、回転粘度までもが同じであるが、計算されたピーク時間または予測応答時間(t
maxまたはt
max/Δn
2)の値は、それぞれ著しく異なる。混合物M−2は、M1およびM−3と同じ部分よりなる混合物である。混合物の組成は以下の表に、検討結果は次の表に示されている。
【0144】
【表7.1】
【0145】
【表7.2】
結果より分かる通り、液晶ディスプレイの応答時間は、予想応答時間t
maxまたはt
max/Δn
2と並行して例1−1から例1−2を経て例1−3の順に著しく減少しており、本発明の教示と一致している。
【0146】
<例2>
3種類の液晶混合物を作製し、全ての混合物は、事実上、同じ値の透明点、複屈折率、誘電異方性、回転粘度を有し、計算されたピーク時間または応答時間(t
maxまたはt
max/Δn
2)までもが同じであるが、組成は著しく異なる。混合物M−5は、M−4およびM−6の等しい量よりなる混合物である。混合物の組成は以下の表に、検討結果は次の表に示されている。
【0147】
【表8.1】
【0148】
【表8.2】
結果より分かる通り、この例の3種類の混合物は予想応答時間t
maxまたはt
max/Δn
2の低い値に従って全て良好な応答時間を有しており、本発明の教示に従っている。
【0149】
更に結果より分かる通り、液晶ディスプレイの応答時間は、加えて、混合物の組成の変化と並行して例2−1から例2−2を経て例2−3の順に著しく減少しており、本発明の好ましい教示に従っている。