特許第5951891号(P5951891)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5951891リガンド化合物、クロム化合物及びこれを含む触媒系
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5951891
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】リガンド化合物、クロム化合物及びこれを含む触媒系
(51)【国際特許分類】
   C07F 7/10 20060101AFI20160630BHJP
   C08F 4/78 20060101ALI20160630BHJP
   C07F 11/00 20060101ALN20160630BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20160630BHJP
【FI】
   C07F7/10 P
   C08F4/78
   !C07F11/00 A
   !C07B61/00 300
【請求項の数】15
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2015-510198(P2015-510198)
(86)(22)【出願日】2013年5月10日
(65)【公表番号】特表2015-520740(P2015-520740A)
(43)【公表日】2015年7月23日
(86)【国際出願番号】KR2013004158
(87)【国際公開番号】WO2013169068
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年11月4日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0049712
(32)【優先日】2012年5月10日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0052702
(32)【優先日】2013年5月9日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】クォン、ホン−ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ、ヨン−ホ
(72)【発明者】
【氏名】イム、キョン−チャン
(72)【発明者】
【氏名】イ、キ−ス
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ミン−ソク
【審査官】 中島 芳人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−513115(JP,A)
【文献】 特表2005−514395(JP,A)
【文献】 特表2005−533872(JP,A)
【文献】 特表2008−539056(JP,A)
【文献】 特表2010−536538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F
C08F
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の化学式1で示されるリガンド化合物:
【化14】

上記化学式1で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)である。
【請求項2】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至20のアルケニル基、炭素数6乃至14のアリール基、炭素数7乃至12のアルキルアリール基、炭素数7乃至12のアリールアルキル基または炭素数7乃至12のアルコキシアリール基である請求項1に記載のリガンド化合物。
【請求項3】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖型アルキル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、フェニル基、炭素数7乃至12のアルキルフェニル基または炭素数7乃至12のアルコキシフェニル基である請求項1に記載のリガンド化合物。
【請求項4】
前記化学式1で示される化合物は下記構造式のうちの一つである請求項1に記載のリガンド化合物:
【化15】
【請求項5】
下記の化学式2で示されるクロム化合物:
【化16】
上記化学式2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【請求項6】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至20のアルケニル基、炭素数6乃至14のアリール基、炭素数7乃至12のアルキルアリール基、炭素数7乃至12のアリールアルキル基または炭素数7乃至12のアルコキシアリール基である請求項5に記載のクロム化合物。
【請求項7】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖型アルキル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、フェニル基、炭素数7乃至12のアルキルフェニル基または炭素数7乃至12のアルコキシフェニル基である請求項5に記載のクロム化合物。
【請求項8】
前記XはClまたはメチル基である請求項5〜7のいずれか一項に記載のクロム化合物。
【請求項9】
前記化学式2で示される化合物は下記構造式のうちの一つである請求項5に記載のクロム化合物:
【化17】

【化18】
【請求項10】
i)下記の化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、またはii)下記の化学式2で示されるクロム化合物;及び
助触媒を含むエチレンオリゴマー反応に用いられる触媒系:
【化19】
上記化学式1及び2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【請求項11】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至20のアルケニル基、炭素数6乃至14のアリール基、炭素数7乃至12のアルキルアリール基、炭素数7乃至12のアリールアルキル基または炭素数7乃至12のアルコキシアリール基である請求項10に記載の触媒系。
【請求項12】
前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖型アルキル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、フェニル基、炭素数7乃至12のアルキルフェニル基または炭素数7乃至12のアルコキシフェニル基である請求項10に記載の触媒系。
【請求項13】
前記XはClまたはメチル基である請求項10〜12のいずれか一項に記載の触媒系。
【請求項14】
前記クロム供給源は、クロム(III)アセチルアセトネイト、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン及びクロム(III)−2−エチルヘキサノエートからなる群より選択されるものである請求項10に記載の触媒系。
【請求項15】
前記助触媒は下記の化学式3乃至5で示される化合物からなる群より選択された1種以上である請求項10〜14のいずれか一項に記載の触媒系:
【化20】
上記化学式3で、R4は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立的にハロゲンラジカル、炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカルであり、cは2以上の整数であり、
【化21】
上記化学式4で、
Dはアルミニウムまたはボロンであり、R5は炭素数1乃至20のヒドロカルビルまたはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルであり、
【化22】
上記化学式5で、
Lは中性ルイス塩基であり、[L−H]+はブレンステッド酸であり、Qは+3形式酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり、Eはそれぞれ独立的に1以上の水素原子価ハロゲン、炭素数1乃至20のヒドロカルビル、アルコキシ作用基またはフェノキシ作用基で置換または非置換された炭素数6乃至20のアリール基または炭素数1乃至20のアルキル基である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はリガンド化合物、クロム化合物及びこれを含む触媒系に関する。より詳しくは、エチレンオリゴマー化反応に対して高い活性を示す新規なリガンド化合物、クロム化合物及びこれを含む触媒系に関する。
本出願は2012年5月10日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2012−0049712号、及び2013年5月9日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2013−0052702号の出願日の利益を主張し、その内容全部は本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
線状アルファ−オレフィン(Linear alpha−olefin)は共単量体、洗浄剤、潤滑剤、可塑剤などに用いられる重要な物質として商業的に幅広く使用され、特に1−ヘキセンと1−オクテンは線状低密度ポリエチレン(LLDPE)の製造時にポリエチレンの密度を調節するための共単量体として多く使用される。
【0003】
従来のLLDPE(Linear Low−Density Polyethylene、線状低密度ポリエチレン)の製造過程にはエチレンと共にポリマー骨格(polymer backbone)に分枝(branch)を形成して密度(density)を調節するためにアルファ−オレフィン、例えば1−ヘキセン、1−オクテンのような共単量体と共重合が行われるようにした。
【0004】
したがって、共単量体の含量が高いLLDPEの場合には共単量体が製造費用の大きい部分を占めるという問題点があった。このような問題点を解決するために多様な方法への試みがあった。
【0005】
また、アルファ−オレフィンは種類によって応用分野や市場規模が異なるため、特定オレフィンを選択的に生産できる技術は商業的に非常に重要であり、最近、選択的なエチレンオリゴマー化(ethylene oligomerization)を通じて1−ヘキセンまたは1−オクテンを高い選択度で製造するクロム触媒技術に関する研究が多く行われている。
【0006】
1−ヘキセンまたは1−オクテンを製造する既存の商業的製造方法としては、シェルケミカル(Shell Chemical)のSHOPプロセス(SHOP process)、シェブロンフィリップス(Chevron Philips)のチーグラープロセス(Ziegler Process)などがあり、これを用いると炭素数C4〜C20の広い分布のアルファ−オレフィンを生成することができる。
【0007】
また、有機金属触媒を用いたエチレン三量体化(trimerization)または四量体化(tetramerization)方法を用いて1−ヘキセンまたは1−オクテンを選択的に製造する多くの研究が行なわれてきたが(J.Am.Chem.Soc 2003, 125, 5272,(非特許文献1) Ind.Eng.Chem.Res. 2008, 47, 5369,(非特許文献2) WO03/053890(特許文献1))、十分な高活性を示す触媒に対する必要性が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第03/053890号パンフレット
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc 2003, 125, 5272
【非特許文献2】Ind.Eng.Chem.Res. 2008, 47, 5369
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
前記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は高い活性が維持でき、エチレンオリゴマー化(oligomerization)反応に用いることによって、少量の共単量体を使用するかまたは共単量体を使用せずエチレンのみでも一つの反応器で低密度ポリエチレンを製造できる新規なリガンド化合物及びクロム化合物を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は前記リガンド化合物またはクロム化合物を含む触媒系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の目的を達成するために、本発明は下記の化学式1で示されるリガンド化合物を提供する。
【0013】
【化1】
【0014】
上記化学式1で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)である。
また、本発明は下記の化学式2で示されるクロム化合物を提供する。
【0015】
【化2】
【0016】
上記化学式2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【0017】
また、本発明はi)前記の化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、またはii)前記の化学式2で示されるクロム化合物;及び助触媒を含む触媒系を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるリガンド化合物またはクロム化合物を含む触媒系はエチレンオリゴマー化に用いることができ、既存の触媒系に比べて高い触媒活性でエチレンをオリゴマー化することができる。つまり、本発明による触媒系を用いてポリオレフィンを重合する場合、高活性のエチレンオリゴマー化反応が可能で別途に共単量体の注入なくても一つの反応器中で、エチレンのみで低密度ポリエチレンの重合が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施例4によるエチレンオリゴマー化反応の生成物をGC−MSで測定した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で使用される用語は単に例示的な実施例を説明するために使用されたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書で、“含む”、“備える”または“有する”などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在するのを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないものと理解されなければならない。
【0021】
本発明は多様な変更を加えることができ様々な形態を有することができるところ、特定実施例を例示して下記で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むと理解されなければならない。
【0022】
以下、本発明のリガンド化合物、クロム化合物、及び触媒系について詳しく説明する。
[リガンド化合物]
本発明のリガンド化合物は下記の化学式1で示すことができる
【0023】
【化3】
【0024】
上記化学式1で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)である。
本発明の明細書で、ヒドロカルビル基(hydrocarbyl)は1価の炭化水素基を意味し、ヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)は炭素原子及び1つ以上のヘテロ原子を含む1価のヘテロ炭化水素基を意味する。
【0025】
本発明の一実施例によれば、前記R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20のアルキル基、炭素数2乃至20のアルケニル基、炭素数6乃至14のアリール基、炭素数7乃至12のアルキルアリール基、炭素数7乃至12のアリールアルキル基または炭素数7乃至12のアルコキシアリール基であり得るが、これに限定されるのではない。
【0026】
好ましくは、R1、R2、R2’及びR3はそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至20の直鎖型アルキル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、アミル基、フェニル基、炭素数7乃至12のアルキルフェニル基または炭素数7乃至12のアルコキシフェニル基であり得るが、これに限定されるのではない。
【0027】
本発明の一実施例によれば、前記化学式1で示される化合物は下記構造式のうちで選択されるものであり得るが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0028】
【化4】
【0029】
前記化学式1で示される化合物は下記のような方法で合成できるが、これに制限されるのではない。前記化学式1で示されるリガンド化合物の製造方法は後述する実施例で具体化して説明する。
【0030】
【化5】
【0031】
前記化学式1で示されるリガンド化合物はクロム供給源及び助触媒を追加的に含んでエチレンのオリゴマー化反応に用いることができる。特に、高活性でエチレンオリゴマー化反応が可能で少量の共単量体を使用するかまたは共単量体を使用せずエチレンのみでも一つの反応器で低密度ポリエチレンを製造することができる。
【0032】
[クロム化合物]
本発明のクロム化合物は下記の化学式2で示される。
【0033】
【化6】
【0034】
上記化学式2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【0035】
前記R1、R2、R2’、及びR3の具体的な説明及び好ましい例は前記化学式1のリガンド化合物で前述した通りである。
【0036】
前記化学式2で、Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基であり、その具体的な例としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t−ブチル、iso−ブチルなどが挙げられるが、これに限定されるのではない。
【0037】
本発明の一実施例によれば前記Xは好ましくはClまたはメチル基であり、さらに好ましくはClであり得る。
【0038】
本発明の一実施例によれば、前記化学式2で示されるクロム化合物は下記構造式のうちで選択されるものであり得るが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
前記化学式2で示されるクロム化合物は下記のような方法で合成できるが、これに制限されるわけではない。前記化学式2で示されるクロム化合物の製造方法は後述する実施例で具体化して説明する。
【0042】
【化9】
【0043】
前記化学式2で示されるクロム化合物は単独で、または助触媒を含む触媒系でエチレンのオリゴマー化反応に用いることができる。特に、高活性でエチレンオリゴマー化反応が可能であるため少量の共単量体を使用するかまたは共単量体を使用せずエチレンのみでも一つの反応器で低密度ポリエチレンを製造することができる。
【0044】
[触媒系]
本発明の触媒系はi)下記の化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、またはii)下記の化学式2で示されるクロム化合物;及び助触媒を含む。
【0045】
【化10】
【0046】
上記化学式1及び2で、
1、R2、R2’及びR3は同一であるか互いに異なりそれぞれ独立的に水素原子、炭素数1乃至30のヒドロカルビル基(hydrocarbyl)または炭素数1乃至30のヘテロヒドロカルビル基(heterohydrocarbyl)であり、
Xはハロゲン原子または炭素数1乃至6のアルキル基である。
【0047】
前記化学式1及び2の R1、R2、R2’、R3及びXの具体的な説明及び好ましい例は前記本発明のリガンド化合物及びクロム化合物で前述した通りである。
【0048】
前記触媒系はエチレンオリゴマー化反応を含んでポリオレフィン、特にポリエチレンの重合反応に用いることができる。
【0049】
本発明で“触媒系”とはクロム供給源、リガンド化合物及び助触媒の3成分がまたは代案的に、クロム化合物及び助触媒の2成分が同時にまたは任意の順序で順次に、任意の適した溶媒の存在または不存在下で、単量体の存在または不在下で共に添加されて、活性がある触媒組成物として収得できる状態のものを意味する。前記触媒系の3成分または2成分は担体に担持せずに使用することができ、または必要によって担体に担持して使用することもできる。つまり、本発明による触媒系は前記化学式1で示されるリガンド化合物及びクロム供給源、または前記化学式2で示されるクロム化合物と、助触媒を含む。
【0050】
本発明の一実施例によれば、前記クロム供給源はクロムまたはクロム前駆体であり得る。前記クロムまたはクロム前駆体の具体的な例としては、クロム(III)アセチルアセトネイト、三塩化クロムトリステトラヒドロフランまたはクロム(III)−2−エチルヘキサノエートであり得るが、本発明がこれに制限されるのではない。
【0051】
本発明の触媒系において、前記助触媒は13族金属を含む有機金属化合物であり得る。前記13族金属を含む有機金属化合物は一般に遷移金属化合物の触媒下でオレフィンを重合する時に使用できるものであれば特に限定されるのではない。
【0052】
具体的に、前記助触媒としては下記の化学式3乃至5で示される化合物からなる群より選択された1種以上であり得るが、本発明がこれに限定されるのではない。
【0053】
【化11】
【0054】
前記化学式3で、R4は互いに同一であるか異なり、それぞれ独立的にハロゲンラジカル、炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカル、またはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルラジカルであり、cは2以上の整数であり、
【0055】
【化12】
【0056】
前記化学式4で、
Dはアルミニウムまたはボロンであり、R5は炭素数1乃至20のヒドロカルビルまたはハロゲンで置換された炭素数1乃至20のヒドロカルビルであり、
【0057】
【化13】
【0058】
前記化学式5で、
Lは中性ルイス塩基であり、[L−H]+はブレンステッド酸であり、Qは+3形式酸化状態のホウ素またはアルミニウムであり、Eはそれぞれ独立的に1以上の水素原子価ハロゲン、炭素数1乃至20のヒドロカルビル、アルコキシ作用基またはフェノキシ作用基に置換または非置換された炭素数6乃至20のアリール基または炭素数1乃至20のアルキル基である。
【0059】
前記化学式3で示される化合物としては、例えばメチルアルミノキサン(MAO)、エチルアルミノキサン、イソブチルアルミノキサン、ブチルアルミノキサンなどであり得る。
前記化学式4で示されるアルキル金属化合物としては、例えばトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリブチルアルミニウム、ジメチルクロロアルミニウム、ジメチルイソブチルアルミニウム、ジメチルエチルアルミニウム、ジエチルクロロアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリ−s−ブチルアルミニウム、トリシクロペンチルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリイソペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、エチルジメチルアルミニウム、メチルジエチルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム、トリ−p−トリルアルミニウム、ジメチルアルミニウムメトキシド、ジメチルアルミニウムエトキシド、トリメチルボロン、トリエチルボロン、トリイソブチルボロン、トリプロピルボロン、トリブチルボロンなどであり得る。
【0060】
前記化学式5で示される化合物としては、例えばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリブチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボロン、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボロン、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルボロン、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリメチルホスホニウムテトラフェニルボロン、トリエチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリプロピルアンモニウムテトラ(p−トリル)アルミニウム、トリエチルアンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)アルミニウム、トリブチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルアルミニウム、N,N−ジエチルアニリニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、ジエチルアンモニウムテトラペンタフルオロフェニルアルミニウム、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリメチルホスホニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルボロン、トリフェニルカルボニウムテトラフェニルアルミニウム、トリフェニルカルボニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボロン、トリフェニルカルボニウムテトラペンタフルオロフェニルボロンなどであり得る。
【0061】
本発明の一実施例によれば、前記助触媒としてはアルモキサンを使用することができ、好ましくはアルキルアルモキサンであるメチルアルモキサン(MAO)を使用することができる。
【0062】
本発明の一実施例によれば、前記触媒系は、前記化学式1で示されるリガンド化合物、クロム供給源及び助触媒を含むことができる。この時、前記リガンド化合物:クロム供給源:助触媒のモル比は約1:1:1乃至約10:1:10,000であり得、好ましくは約1:1:100乃至約5:1:3,000であり得る。前記範囲を逸脱して助触媒が過度に少なく含まれる場合には触媒の活性化が完全に行われず触媒系の活性が落ちることがあり、反面、助触媒が過量含まれる場合には過量の活性化剤で生産性側面から経済的でなかったり不純物として作用して生成物の純度が落ちる恐れがある。
【0063】
前記化学式1で示されるリガンド化合物、クロム供給源、及び助触媒を含む触媒系において、前記触媒系の三成分は同時にまたは任意の順序で順次に、任意の適した溶媒で単量体の存在または不在下で共に添加されて活性のある触媒として収得できる。適した溶媒としては炭素数4乃至12の置換されるか非置換された炭化水素を使用することができ、その例としてはヘプタン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼンなどが含まれるが、これに制限されない。
【0064】
本発明の他の実施例によれば、前記触媒系は、前記化学式2で示されるクロム化合物及び助触媒を含むことができる。この時、前記化学式2で示されるクロム化合物及び助触媒はクロム及び金属のモル比を基準に約1:10乃至約1:10,000、好ましくは約1:100乃至約1:1,000に配合して使用することができる。前記範囲を逸脱して助触媒が過度に少なく含まれる場合にはクロム化合物の活性化が完全に行われず触媒系の活性が落ちることがあり、反面、助触媒が過量含まれる場合には過量の活性化剤で生産性側面から経済的でなかったり不純物として作用して生成物の純度が落ちる恐れがある。
【0065】
本発明による触媒系はエチレンオリゴマー化反応に有用に用いることができる。つまり、本発明による触媒系を用いてエチレンオリゴマー化反応またはポリオレフィン重合反応を遂行する場合、高活性のエチレンオリゴマー化反応が可能であるので別途に共単量体の注入なくても一つの反応器内で、エチレンのみで低密度ポリエチレンの重合が可能である。
【0066】
以下、本発明を下記の実施例を通じてより具体的に説明する。しかし、これら実施例は単に例示的なものに過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0067】
[リガンド化合物及びクロム化合物合成]
[実施例1]
{CH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH3}CrCl3[S−1complex(コンプレックス)]の製造
[実施例1−1]
1,3−ジクロロヘキサメチルジシラザン(dichlorohexamethyldisilazane)の製造
ヘキサメチルジシラザン(Hexamethyldisilazane)15.2g、ジクロロジメチルシラン(dichlorodimethylsilane)32.2g、AlCl3100mgをシュレンク管(Schlenk flask)に投入し、溶媒としてジクロロメタン150mLを入れた。50℃で3日間攪拌した後、溶媒を真空下で除去した。得られた粗生成物(crude product)を分別蒸留(fractional distillation)して無色の生成物を得た。(収得率80%)
1H−NMR(500MHz, dδ−benzene):δ(ppm)1.10(br, 1H)、0.28(s, 12H)
【0068】
[実施例1−2]
CH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH3[S−1リガンド]の製造
前記実施例1−1で製造された1,3−ジクロロヘキサメチルジシラザン1.06g、エタンチオール(ethanethiol)0.72g及びTHF30mLをシュレンク管(Schlenk flask)に入れた後、−78℃に冷却した。その次に、トリエチルアミン(triethylamine)1.75mLを徐々に投入し、常温に昇温した後に攪拌した。反応が終結した後、溶媒及び揮発性物質を真空乾燥下で除去した。フラスコにヘキサン100mLを入れた後、フィルターフリット(filter frit)を通じてろ過し、真空乾燥下でヘキサンを除去して浅い黄色の液体の生成物を得た。(収得率95%)
1H−NMR(500MHz, CDCl3):δ(ppm) 2.56(q, 4H), 1.30(t, 6H), 0.39(s, 12H)
【0069】
[実施例1−3]
{CH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH3}CrCl3[S−1complex(コンプレックス)]の製造
前記実施例1−2で製造されたCH3CH2−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−CH2CH352mgとCrCl3(THF)377mgをシュレンク管(Schlenk flask)に入れ、THF50mLを投入して攪拌した。真空下で溶媒を除去して浅い灰色の固体形態に表題化合物を得た。(収得率95%)
【0070】
[実施例2]
{CH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3}CrCl3[S−2complex(コンプレックス)]の製造
[実施例2−1]
CH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3[S−2リガンド]の製造
前記実施例1−1で製造された1,3−ジクロロヘキサメチルジシラザン1.06g、1−ドデカンチオール(dodecanethiol)2.12g及びTHF30mLをシュレンク管(Schlenk flask)に入れた後、−78℃に冷却した。その次に、トリエチルアミン(triethylamine)1.75mLを徐々に投入し、常温に昇温した後に攪拌した。反応が終結した後、溶媒及び揮発性物質を真空乾燥下で除去した。フラスコにヘキサン100mLを入れた後、フィルターフリット(filter frit)を通じてろ過し、真空乾燥下でヘキサンを除去して浅い黄色の液体を得た。(収得率93%)
1H−NMR(500MHz, CDCl3): δ(ppm) 2.57(q, 4H),1.56(q, 4H), 1.35−1.20(m, 32H), 0.86(t, 6H), 0.40(s, 12H)
【0071】
[実施例2−2]
{CH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3}CrCl3[S−2complex(コンプレックス)]の製造
前記実施例2−1で製造されたCH3(CH210−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−(CH210CH3101mgとCrCl3(THF)360.9mgをシュレンク管(Schlenk flask)に入れ、THF50mLを投入して攪拌した。真空下で溶媒を除去して浅い灰色の固体形態に表題化合物を得た。(収得率90%)
【0072】
[実施例3]
{(2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)}CrCl3[S−3complex(コンプレックス)]の製造
[実施例3−1]
(2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)[S−3リガンド]の製造
前記実施例2−1で1−ドデカンチオール(dodecanethiol)の代わりに2−メトキシチオフェノール(methoxythiophenol)を使用することを除いては同一な製造方法で製造した。(収得率84%)
1H−NMR(500MHz, CDCl3): δ(ppm) 7.39(q, 2H),7.22(q, 2H), 6.84(m, 4H), 3.83(s, 6H), 1.25(brs, 1H), 0.25(s,12H)
【0073】
[実施例3−2]
{2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)}CrCl3[S−3complex(コンプレックス)]の製造
前記実施例3−1で製造された(2−MeO)C64−S−Si(Me)2−NH−Si(Me)2−S−C64(2−OMe)412mgとCrCl3(THF)3377mgをシュレンク管(Schlenk flask)に入れ、THF20mLを投入して攪拌した。真空下で溶媒を除去して浅い紫色の固体形態に表題化合物を得た。(収得率85%)
【0074】
[比較例1]
{CH3CH2−S−(CH22−NH−(CH22−S−CH2CH3}CrCl3
[Tcomplex(コンプレックス)]の製造
表題の化合物を既報告された文献であるJ.AM.CHEM.SOC.2003、125、5272−5273を参考として製造した。
【0075】
<エチレンオリゴマー化反応>
[実施例4]
[S−1complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
500ml高圧反応容器を真空に減圧後、アルゴン気体で内部雰囲気を不活性条件にした後、精製トルエン250mlを入れ、メチルアルミノキサン(MAO)をAl/Crモル比600倍で添加した。その次に5mMのS−1complex(コンプレックス)触媒のトルエン溶液(5ml、S−1complex(コンプレックス)25μmol)を添加し、エチレン50psigに加圧した条件で溶液反応を60℃で1時間行なった後、溶液の増加された重量で反応器の重量を通じて活性を求め、反応器の温度を0℃に下げた後、HCl水溶液を少しずつ添加して残留MAO及び触媒を除去し有機層部分を取って、フィルターして生成された高分子を別に分離して乾燥した。また、取られた有機層部分をMgSO4で残留水分を除去した後、GC−MSで有機層の組成物を確認した結果、シュルツ−フローリ分布(Schultz−Flory distribution)によるアルファ−オレフィン重合体の混合物形態であることを確認した。
前記GC−MSで測定したグラフを図1に示した。
【0076】
[実施例5]
[S−1complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例4で反応温度を90℃で行うことを除いては実施例4と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0077】
[実施例6]
[S−2complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例4でS−1complex(コンプレックス)の代わりにS−2complex(コンプレックス)を使用したことを除いては実施例4と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0078】
[実施例7]
[S−2complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例4でS−1complex(コンプレックス)の代わりにS−2complex(コンプレックス)を使用し、反応温度を90℃で行うことを除いては実施例4と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0079】
[実施例8]
[S−3complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例4でS−1complex(コンプレックス)の代わりにS−3complex(コンプレックス)を使用したことを除いては実施例4と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0080】
[実施例9]
[S−3complex(コンプレックス)のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例4でS−1complex(コンプレックス)の代わりにS−3complex(コンプレックス)を使用し、反応温度を90℃で行うことを除いては実施例4と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0081】
[実施例10]
[S−1リガンド化合物及びクロム供給源を用いたエチレンオリゴマー化反応]
500ml高圧反応容器を真空に減圧後、アルゴン気体で内部雰囲気を不活性条件にした後、精製トルエン250mlを入れ、メチルアルミノキサン(MAO)をAl/Crモル比600倍で添加した。50mLシュレンク管(Schlenk flask)に実施例1−2で収得したS−1リガンド化合物のトルエン溶液(5ml、25μmol)とCrCr3(THF3)9.4mg(25μmol)、そしてトルエン5mLを入れ、常温で5分間攪拌した後、反応器に投入した。エチレン50psigに加圧した条件で溶液反応を90℃で1時間行なった後、溶液の増加された重量で反応器の重量を通じて活性を求め、反応器の温度を0℃に下げた後、HCl水溶液を少しずつ添加して残留MAO及び触媒を除去し有機層部分を取って、フィルターして生成された高分子を別に分離して乾燥した。また、取られた有機層部分をMgSO4で残留水分を除去した後、GC−MSで有機層の組成物を確認した結果、シュルツ−フローリ分布(Schultz−Flory distribution)によるアルファ−オレフィン重合体の混合物形態であることを確認した。
【0082】
[実施例11]
[S−2リガンド化合物及びクロム供給源を用いたエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例10でS−1リガンド化合物の代わりにS−2リガンド化合物を使用したことを除いては実施例10と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0083】
[実施例12]
[S−3リガンド化合物及びクロム供給源のエチレンオリゴマー化反応]
前記実施例10でS−1リガンド化合物の代わりにS−3リガンド化合物を使用したことを除いては実施例10と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
【0084】
[比較例2]
前記実施例4で、S−1complex(コンプレックス)の代わりに比較例1のTcomplex(コンプレックス)を使用し、反応温度を90℃にしたことを除いては実施例4と同様な方法でオリゴマー化反応を行った。
前記実施例4乃至12及び比較例2のエチレンオリゴマー化反応の結果を表1に示した。
【0085】
【表1】
【0086】
上記表1を参照すると、本発明の化合物を含む触媒系を用いてエチレンオリゴマー化反応を行った場合、高い活性でエチレンオリゴマー化反応が可能であった。
【0087】
また図1を参照すると、本発明の一実施例によるエチレンオリゴマー化反応を遂行する場合、アルファ−オレフィン重合体生成物がシュルツ−フローリ分布(Schultz−Flory distribution)による混合物形態に収得されることを確認した。
図1