特許第5952019号(P5952019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5952019情報処理装置、半導体装置、及び消費電力抑制方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5952019
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月13日
(54)【発明の名称】情報処理装置、半導体装置、及び消費電力抑制方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/32 20060101AFI20160630BHJP
   G06F 1/04 20060101ALI20160630BHJP
   G06F 3/00 20060101ALI20160630BHJP
【FI】
   G06F1/32 Z
   G06F1/04 575
   G06F3/00 R
【請求項の数】9
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-26659(P2012-26659)
(22)【出願日】2012年2月9日
(65)【公開番号】特開2013-164691(P2013-164691A)
(43)【公開日】2013年8月22日
【審査請求日】2015年1月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 学
【審査官】 中野 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−298538(JP,A)
【文献】 特開2009−020861(JP,A)
【文献】 特開2005−182385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/32
G06F 1/04
G06F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部端子に接続された外部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される接続信号又は該接続信号に相当する擬似信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、
外部信号を受信せずに自発的に擬似信号を生成して出力する出力手段を有し、前記出力手段により出力された前記擬似信号を前記制御手段に供給する供給手段と、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に切断した状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に接続した状態とすると共に前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とする接続切替手段と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
前記接続切替手段は、
前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記外部端子と前記制御手段とが電気的に接続された第1接続状態と前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記外部端子と前記制御手段とが電気的に切断された第1切断状態とに切替可能な第1切替手段と、
前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記供給手段と前記制御手段とが電気的に接続された第2接続状態と前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記供給手段と前記制御手段とが電気的に切断された第2切断状態とに切替可能な第2切替手段と、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記第1接続状態及び前記第2切断状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記第1切断状態及び前記第2接続状態とするように前記第1切替手段及び前記第2切替手段を切替制御する切替制御手段と、
を有する請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1切替手段は、第1論理の信号が供給された場合に前記第1接続状態とされ、第2論理の信号が供給された場合に前記第1切断状態とされ、
前記第2切替手段は、第1論理の信号が供給された場合に前記第2接続状態とされ、第2論理の信号が供給された場合に前記第2切断状態とされ、
前記切替制御手段は、前記外部装置が前記外部端子に接続されている間、前記第1切替手段に第1論理の信号を供給すると共に前記第2切替手段に第2論理の信号を供給し、前記外部装置が前記外部端子に接続されていない間、前記第1切替手段に第2論理の信号を供給すると共に前記第2切替手段に第1論理の信号を供給することにより前記第1切替手段及び前記第2切替手段を切替制御する請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
外部端子に接続された外部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される接続信号又は該接続信号に相当する擬似信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、
前記擬似信号を前記制御手段に供給する供給手段と、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に切断した状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に接続した状態とすると共に前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とする接続切替手段と、を含み、
前記接続切替手段は、
前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記外部端子と前記制御手段とが電気的に接続された第1接続状態と前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記外部端子と前記制御手段とが電気的に切断された第1切断状態とに切替可能な第1切替手段と、
前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記供給手段と前記制御手段とが電気的に接続された第2接続状態と前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記供給手段と前記制御手段とが電気的に切断された第2切断状態とに切替可能な第2切替手段と、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記第1接続状態及び前記第2切断状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記第1切断状態及び前記第2接続状態とするように前記第1切替手段及び前記第2切替手段を切替制御する切替制御手段と、を有し、
前記第1切替手段は、第1論理の信号が供給された場合に前記第1接続状態とされ、第2論理の信号が供給された場合に前記第1切断状態とされ、
前記第2切替手段は、第1論理の信号が供給された場合に前記第2接続状態とされ、第2論理の信号が供給された場合に前記第2切断状態とされ、
前記切替制御手段は、前記外部装置が前記外部端子に接続されている間、前記第1切替手段に第1論理の信号を供給すると共に前記第2切替手段に第2論理の信号を供給し、前記外部装置が前記外部端子に接続されていない間、前記第1切替手段に第2論理の信号を供給すると共に前記第2切替手段に第1論理の信号を供給することにより前記第1切替手段及び前記第2切替手段を切替制御し、
前記切替制御手段は、
前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に第1論理の信号を出力し、前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に第2論理の信号を出力する信号出力手段と、
前記信号出力手段から出力された信号を位相を保持したまま前記第2切替手段に供給すると共に前記信号出力手段から出力された信号を反転させてから前記第1切替手段に供給する信号調整供給手段と、を有する
情報処理装置。
【請求項5】
外部端子に接続された外部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される接続信号又は該接続信号に相当する擬似信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、
前記擬似信号を前記制御手段に供給する供給手段と、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に切断した状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に接続した状態とすると共に前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とする接続切替手段と、を含み、
前記接続切替手段は、
前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記外部端子と前記制御手段とが電気的に接続された第1接続状態と前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記外部端子と前記制御手段とが電気的に切断された第1切断状態とに切替可能な第1切替手段と、
前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記供給手段と前記制御手段とが電気的に接続された第2接続状態と前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記供給手段と前記制御手段とが電気的に切断された第2切断状態とに切替可能な第2切替手段と、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記第1接続状態及び前記第2切断状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記第1切断状態及び前記第2接続状態とするように前記第1切替手段及び前記第2切替手段を切替制御する切替制御手段と、を有し、
前記第1切替手段は、第1論理の信号が供給された場合に前記第1接続状態とされ、第2論理の信号が供給された場合に前記第1切断状態とされ、
前記第2切替手段は、第1論理の信号が供給された場合に前記第2接続状態とされ、第2論理の信号が供給された場合に前記第2切断状態とされ、
前記切替制御手段は、前記外部装置が前記外部端子に接続されている間、前記第1切替手段に第1論理の信号を供給すると共に前記第2切替手段に第2論理の信号を供給し、前記外部装置が前記外部端子に接続されていない間、前記第1切替手段に第2論理の信号を供給すると共に前記第2切替手段に第1論理の信号を供給することにより前記第1切替手段及び前記第2切替手段を切替制御し、
前記切替制御手段は、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に第1論理の信号を出力し、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に第2論理の信号を出力する信号出力手段と、
前記信号出力手段から出力された信号を位相を保持したまま前記第1切替手段に供給すると共に前記信号出力手段から出力された信号を反転させてから前記第2切替手段に供給する信号調整供給手段と、を有する
情報処理装置。
【請求項6】
前記供給手段を、前記外部装置が前記外部端子に接続されていない場合に前記制御手段によって制御される内部装置とした請求項1〜請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
外部端子に接続された外部装置を制御すると共に前記外部装置が前記外部端子に接続されていない場合に内部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される第1接続信号が供給されている状態又は外部信号を受信せずに自発的に前記内部装置により生成されて出力される第2接続信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記第1接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記第2接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記内部装置とを電気的に切断した状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記第2接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記内部装置とを電気的に接続した状態とすると共に前記第1接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に切断した状態とする接続切替手段と、
を含む情報処理装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置における前記供給手段と前記接続切替手段とを備えた半導体装置。
【請求項9】
外部端子に接続された外部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される接続信号又は該接続信号に相当する擬似信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、外部信号を受信せずに自発的に擬似信号を生成して出力する出力手段を有し、前記出力手段により出力された前記擬似信号を前記制御手段に供給する供給手段と、を含む情報処理装置に対する消費電力抑制方法であって、
前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に切断した状態とし、
前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に接続した状態とすると共に前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすることを含む消費電力抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、半導体装置、及び消費電力抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナル・コンピュータ(以下、「PC」という)に代表される情報処理装置とプリンタ、デジタルカメラ、外部記憶装置等の周辺機器とを接続し、情報処理装置と周辺機器との間で情報の授受を行うシリアルバスの規格の1つとしてUSB(Universal Serial Bus)の規格がある。
【0003】
USBの規格においては、例えばPCに含まれる通信インタフェースを実現するコントローラがUSBホストコントローラとなり、周辺機器がUSBデバイスとなる。USBホストコントローラは、例えば、情報処理装置全体の動作を司るメインコントローラが接続されたバスに接続されることで情報処理装置に含まれるその他のデバイスとの接続を実現するチップセットと呼ばれるシステムLSI(Large scale integrated circuit:大規模集積回路)に実装されている。また、USBホストコントローラは、チップセットのバスに接続されて使用される専用のコントローラIC(integrated circuit:集積回路)に実装されることもある。なお、USB−IPを導入して評価する場合、又は初期の製品リリース段階等では、USBホストコントローラは、FPGA(Field Programmable Gate Array)に実装される場合もある。
【0004】
USBホストコントローラは、機能が規格化されている上、Windows(登録商標)やLinux(登録商標)などの商用OSでは標準のドライバも用意されている。そのため、USBホストコントローラは、同じ規格同士の機器との互換性が保たれ、予め確立された検証方法に則ってテストが実施されるので、機能が規格化されていないもに比べ、検証がし易い。また、USBホストコントローラは、既存のドライバを利用することができるので、開発コストの低減や開発期間の短縮を図る点でも有利である。
【0005】
一方、例えばバッテリ駆動により電力供給が制限されるポータブル機器(例えばデジタルカメラ又はモバイル型PC)にUSBホストコントローラを搭載した場合、ポータブル機器が省電力モードに移行してもUSBホストコントローラへの電力供給状態が保たれることとなる。(これは、ポータブル機器のUSB接続ポートにUSBデバイスが接続されたことを検出するためには、USBホストコントローラ側の回路(例えばクロック生成回路)が駆動状態になっていなければ検出できないためである。)このようにUSBホストコントローラの動作が続行すると、その分だけバッテリの電力消費を早めてしまう、という問題点があった。すなわち、USBデバイスがUSB接続ポートに接続されていない場合、USBホストコントローラは消費電力を抑制する省電力モードに移行することができないという問題点があった。一般的には、1つのUSBホストコントローラに対して複数のUSB接続ポートが実装される場合が殆どであり、不使用のUSB接続ポートが1つでも存在すると、USBホストコントローラは消費電力を抑制する省電力モードに移行することができない。
【0006】
USBの規格では、1つのUSBホストコントローラから、USB接続ポートに接続されたUSBデバイスに対してパケット通信が3ms以上行われない場合にUSBホストコントローラ及びUSBデバイスが省電力モードに入る。この場合、USBホストコントローラは、例えば内部のPLL回路の動作を停止させることで消費電力を抑制することとなる。つまり、USBホストコントローラ及びUSBデバイスを省電力モードに移行させるには、USBデバイスがUSB接続ポートに接続され、且つUSBホストコントローラに対する入出力データが存在しないアイドル状態になることが要求されるということである。このように、USBの規格では、USBデバイスがUSB接続ポートに接続されることがUSBホストコントローラの消費電力を抑制するための必須の要件とされている。
【0007】
特許文献1〜3には、USBデバイスがUSB接続ポートに接続されていなければUSBホストコントローラの消費電力を抑制することができないという不都合を解消するための発明が開示されている。
【0008】
特許文献1には、USBを介したデータ転送のための物理層回路が開示されている。この物理層回路は、VBUS検出回路、受信回路及び受信制御回路を含んで構成されている。VBUS検出回路は、USBのVBUSラインの電源を監視し、VBUSラインの電圧が所定電圧を超えた場合にVBUS検出信号をアクティブにする。受信回路は、差動信号を構成する第1及び第2の信号が入力され、第1及び第2の信号を用いた受信処理を行う。受信制御回路は、受信回路に対してイネーブル信号を出力するものであり、VBUS検出信号がノンアクティブである場合に受信回路に出力するイネーブル信号をノンアクティブにして受信回路をディスエーブル状態に設定する。
【0009】
特許文献2に記載の発明は、1つのUSBバスに接続される複数のUSBデバイスにおいて、USB通信のパケット状態を監視し、自USBデバイス宛てでないパケットの場合に自USBデバイス内のクロックを停止して消費電力を抑えることを特徴としている。
【0010】
特許文献3には、PLL回路の生成したクロック信号を利用してUSBデバイスとCPU間でデータ転送を行う第1のモード状態の場合に、USBデバイスとCPU間の通信がないときに、PLL回路の動作を停止させる所定の信号を生成して、PLL回路を含む物理層に出力する省電力制御回路と、USBデバイスが接続されていない接続待機状態の場合と、PLL回路の生成したクロック信号を利用しないでUSBデバイスとCPU間でデータ転送を行う第2のモード状態の場合に、PLL回路の動作を停止させる所定の信号を生成して、物理層に出力する制御回路と、を有するUSBホストコントローラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2005−182385号公報
【特許文献2】特開2006−344159号公報
【特許文献3】特開2010−15318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の発明は何れもUSBホストコントローラの内部に新たな回路を追加する必要がある。上述したようにUSBコントローラは規格化されているため、検証済みのものを再利用したり、他社から購入する場合が殆どである。このような規格化されたUSBコントローラの内部に新たな回路を追加することとなると膨大な再検証が必要となったり、購入条件によって新たな回路を追加することができない場合がある、という問題点があった。また、USBコントローラの内部に新たな回路を追加すると、商用OSで使用する標準のUSBドライバが使用できなくなる、という問題点もあった。
【0013】
本発明は上記問題点を解決するために成されたものであり、外部端子に外部装置が未接続の場合でも簡易に消費電力を抑制することができる情報処理装置、半導体装置、及び消費電力抑制方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の情報処理装置を、外部端子に接続された外部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される接続信号又は該接続信号に相当する擬似信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、外部信号を受信せずに自発的に擬似信号を生成して出力する出力手段を有し、前記出力手段により出力された前記擬似信号を前記制御手段に供給する供給手段と、前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に切断した状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に接続した状態とすると共に前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とする接続切替手段と、を含んで構成した。
【0015】
上記目的を達成するために、請求項7に記載の情報処理装置を、外部端子に接続された外部装置を制御すると共に前記外部装置が前記外部端子に接続されていない場合に内部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される第1接続信号が供給されている状態又は外部信号を受信せずに自発的に前記内部装置により生成されて出力される第2接続信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記第1接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記第2接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記内部装置とを電気的に切断した状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記第2接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記内部装置とを電気的に接続した状態とすると共に前記第1接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に切断した状態とする接続切替手段と、を含んで構成した。
【0016】
上記目的を達成するために、請求項8に記載の半導体装置を、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置における前記供給手段と前記接続切替手段とを備えたものとした。
【0017】
上記目的を達成するために、請求項9に記載の消費電力抑制方法を、外部端子に接続された外部装置を制御する制御手段であって、前記外部装置から出力される接続信号又は該接続信号に相当する擬似信号が供給されている状態で駆動用電力の受給量を抑制する抑制条件を満足した場合に該受給量を抑制するように制御する制御手段と、外部信号を受信せずに自発的に擬似信号を生成して出力する出力手段を有し、前記出力手段により出力された前記擬似信号を前記制御手段に供給する供給手段と、を含む情報処理装置に対する消費電力抑制方法であって、前記外部端子に前記外部装置が接続されている場合に前記接続信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすると共に前記擬似信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に切断した状態とし、前記外部端子に前記外部装置が接続されていない場合に前記擬似信号が前記制御手段に供給されるように前記制御手段と前記供給手段とを電気的に接続した状態とすると共に前記接続信号が前記制御手段に供給されないように前記制御手段と前記外部端子とを電気的に接続した状態とすることを含むものとした。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、本構成を有しない場合に比べ、外部端子に外部装置が未接続の場合でも簡易に消費電力を抑制することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る情報処理装置に含まれるUSBホストコントローラ及びUSB接続部の構成の一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施の形態に係るUSB接続部に含まれる切替部の構成の一例を示す回路図である。
図4】第1の実施の形態に係るUSB接続部に含まれるUSBコネクタ及び接続検出部の構成の一例を示す構成図である。
図5】第1の実施の形態に係る省電力処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6】検出信号及びスイッチン制御信号の信号レベルの遷移状態を示すタイムチャートである。
図7】第2の実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図8】第2の実施の形態に係る情報処理装置に含まれるUSBホストコントローラ及びUSB接続部の構成の一例を示すブロック図である。
図9】第3の実施の形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態例について詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施の形態]
図1は、本第1の実施の形態に係る情報処理装置10の要部構成の一例を示すブロック図である。本第1の実施形態に係る情報処理装置10は、例えば特定のシリアルバスの規格に対応した市販のPCである。なお、本第1の実施の形態では、上記の「特定のシリアルバスの規格」としてUSBの規格を例に挙げて説明する。図1に示すように、情報処理装置10は、情報処理装置10全体の動作を司るCPU(central processing unit:中央処理装置)12と、CPU12による各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM(random access memory)14と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM(read only memory)16と、各種情報を記憶するために用いられる不揮発性の記憶媒体である二次記憶部(ここでは、一例としてハードディスク装置)18と、キーボード及びポインティングデバイス(ここでは、一例としてマウス)を含んで構成されており、情報処理装置10の利用者からの各種情報を受け付ける受付部20と、情報処理装置10による処理結果や各種メニュー画面、メッセージ等を画面に表示する表示部(ここでは、一例として液晶ディスプレイ)22と、外部装置の一例であるUSBデバイス24が接続される接続切替手段の一例であるUSB接続部26と、USB接続部26に接続されており、USB接続部26に接続されたUSBデバイス24を制御する制御手段の一例であるUSBホストコントローラ28と、を含んで構成されている。なお、本第1の実施の形態に係るUSBホストコントローラ28は他の情報処理装置でも利用可能な汎用性を有するLSIとされている。
【0022】
CPU12、RAM14、ROM16、二次記憶部18、受付部20、表示部22及びUSBホストコントローラ28は、アドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス30を介して互いに電気的に接続されている。従って、CPU12は、RAM14、ROM16及び二次記憶部18に対するアクセスと、受付部20によって受け付けられた各種情報の取得と、表示部22に対する各種情報の表示と、USB接続部26及びUSBホストコントローラ28を介したUSBデバイス24に対するアクセスと、を各々行うことができる。
【0023】
USBホストコントローラ28は、例えば現在広く利用されているUSB2.0用のホストコントローラであり、情報処理装置10においてデータリンク層28A及び物理層28Bとして機能する。USBホストコントローラ28において、データリンク層28Aは、バス30に接続されており、CPU12の制御下でデータ転送を行う。物理層28Bは、データリンク層28A及びUSB接続部26に接続されており、データリンク層28Aの制御下でデータ転送を行う。従って、USBデバイス24がUSB接続部26に接続された場合、データリンク層28Aは、CPU12とUSBデバイス24との間でデータ転送を行うこととなる。すなわち、データリンク層28Aは、CPU12の制御下で、各種情報を物理層28B及びUSB接続部26を介してUSBデバイス24に出力すると共に、USB接続部26及び物理層28Bを介してUSBデバイス24から情報を取得し、取得した情報をCPU12に転送する。
【0024】
図2は、USB接続部26及びUSBホストコントローラ28の要部構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、USBホストコントローラ28は、USBホストコントローラ28全体の動作を司るCPU28A1と、CPU28A1による各種処理プログラムの実行時のワークエリア等として用いられるRAM28B1と、各種制御プログラムや各種パラメータ等が予め記憶されたROM28Cと、各種情報を記憶するために用いられる不揮発性の記憶媒体である二次記憶部28Dと、USB接続部26に接続された外部インタフェース28Eと、バス30に接続されたインプット・アウトプット・インタフェース(以下、「I/O」という)28Fと、を含んで構成されている。
【0025】
CPU28A1、RAM28B1、ROM28C、二次記憶部28D、外部インタフェース28E及びI/O28Fは、アドレスバス、データバス、及び制御バス等のバス28Gを介して互いに電気的に接続されている。従って、CPU28A1は、RAM28B1、ROM28C及び二次記憶部28Dの各々との間での情報の授受と、外部インタフェース28E及びUSB接続部26を介したUSBデバイス24との間での情報の授受と、I/O28Fを介したCPU12との間での情報の授受と、を各々行うことができる。
【0026】
USB接続部26は、外部端子に一例であるUSBコネクタ26A、信号出力手段の一例である接続検出部26B、供給手段の一例であるダミーUSBデバイス26C及び切替部26Dを含んで構成されている。USBコネクタ26Aは、USBデバイス24の接続先であり、一対の信号線L1,L2を介して切替部26Dに接続されている。従って、USBコネクタ26Aは、接続されたUSBデバイス24から出力される差動信号D+,D−を信号線L1,L2を介して切替部26Bに伝送することができる。
【0027】
接続検出部26Bは、USBコネクタ26Aに接続されており、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されたことを検出する。また、接続検出部26Bは、信号調整供給手段の一部として機能する信号線L3を介して切替部26Dに接続されており、信号レベルが第1論理の一例であるハイレベルと第2論理の一例であるローレベルとで切り替わる検出信号を信号線L3を介して切替部26Dに出力する。すなわち、接続検出部26Bは、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されていない場合に検出信号の信号レベルをハイレベルとし、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されている場合に検出信号の信号レベルをローレベルとする。
【0028】
ダミーUSBデバイス26Cは、一対の信号線L4,L5を介して切替部26Dに接続されている。そして、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続された際にUSBデバイス24から出力される差動信号D+,D−と同種の差動信号D+,D−を信号線L4,L5を介して出力する。なお、以下、説明の便宜上、USBデバイス24から出力される所定信号及び第1接続信号の一例である差動信号D+,D−を第1差動信号D+,D−と称し、ダミーUSBデバイス26Cから出力される擬似信号の一例である差動信号D+,D−を第2差動信号D+,D−と称する。
【0029】
切替部26Dは、一対の信号線L6,L7を介して外部インタフェース28Eに接続されており、接続検出部26Bから入力された検出信号の信号レベルに従って第1差動信号D+,D−及び第2差動信号D+,D−の一方を選択的に外部インタフェース28Eに出力する。すなわち、本第1の実施の形態に係る切替部26Dは、入力された検出信号がローレベルの場合に第1差動信号D+,D−を外部インタフェース28Eに転送し、入力された検出信号がハイレベルの場合に第2差動信号D+,D−を外部インタフェース28Eに転送する。なお、本第1の実施の形態では、信号線L1〜L5、接続検出部26B、ダミーUSBデバイス26C及び切替部26Dは1チップ化された半導体装置としても良いし、別個に構成しても良い。
【0030】
図3は、切替部26Dの構成の一例を示す回路図である。図3に示すように、切替部26Dは、第1切替手段の一例である第1スイッチユニット32、第2切替手段の一例である第2スイッチユニット34及び信号調整供給手段の一部として機能する反転回路36を含んで構成されている。第1スイッチユニット32は、スイッチSW1,SW2を含んで構成されている。信号線L1はスイッチSW1を介して信号線L6に接続されており、信号線L2はスイッチSW2を介して信号線L7に接続されている。スイッチSW1,SW2の制御端子(例えばスイッチSW1,SW2の各々がMOSトランジスタである場合にはゲートに相当する端子)には反転回路36の出力端子が接続されており、反転回路36から出力されるスイッチ制御信号によってスイッチング制御される。反転回路36の入力端子には信号線L3が接続されているため、反転回路36には接続検出部26Bから検出信号が入力される。従って、反転回路36は、入力された検出信号を反転させた信号をスイッチ制御信号としてスイッチSW1,SW2の制御端子に供給することとなる。すなわち、信号レベルがローレベルの検出信号が反転回路36に入力された場合、反転回路36から出力されるスイッチ制御信号の信号レベルはハイレベルとなり、このスイッチ制御信号が供給されたスイッチSW1,SW2はオンされる。逆に信号レベルがハイレベルの検出信号が反転回路36に入力された場合、反転回路36から出力されるスイッチ制御信号の信号レベルはローレベルとなり、このスイッチ制御信号が供給されたスイッチSW1,SW2はオフされる。
【0031】
第2スイッチユニット34は、スイッチSW3,SW4を含んで構成されている。信号線L4はスイッチSW3を介して信号線L6に接続されており、信号線L5はスイッチSW4を介して信号線L7に接続されている。スイッチSW3,SW4の制御端子(例えばスイッチSW3,SW4の各々がMOSトランジスタである場合にはゲートに相当する端子)には信号線L3が接続されているため、接続検出部26Bから検出信号が供給される。従って、接続検出部26Bから信号レベルがローレベルの検出信号がスイッチSW3,SW4に供給された場合、スイッチSW3,SW4はオフされる。逆に信号レベルがハイレベルの検出信号がスイッチSW3,SW4に供給された場合、スイッチSW3、SW4はオンされる。
【0032】
図4は、USBコネクタ26Aに接続された接続検出部26Bの要部構成の一例が示されている。図4に示すように、接続検出部26Bは、プルアップ電圧VCCが抵抗Rを介して信号線L3に供給されており、信号線L3と抵抗Rとの接続点αはUSBコネクタ26Aに接続されている。また、USBコネクタ26Aには、高電圧が供給された高電圧線VBUS及び低電圧(一例として接地電圧)が供給された低電圧線GNDが接続されている。USBコネクタ26Aは、USBデバイス24が接続されると、接続点αがUSBデバイス24を介して低電圧線GNDに導通されるように構成されている。すなわち、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されるとプルアップ電圧VCCが抵抗Rを介して低電圧線GNDに供給されるように構成されている。従って、接続検出部26Bは、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されていない場合、信号線L3からハイレベルの検出信号を出力することとなり、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されている場合、信号線L3からローレベルの検出信号を出力することとなる。
【0033】
次に、上記のように構成された情報処理装置10の動作を説明する。
【0034】
図5は、USBホストコントローラ28のCPU28A1によって所定時間(例えば1ms)毎に実行される省電力処理プログラムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、省電力処理プログラムはROM28Cに予め記憶されている。また、ここでは、錯綜を回避するために、前提としてUSBホストコントローラ28が通常の動作状態(電力の受給量を抑制する処理を実行していない状態)とされている場合を例に挙げて説明する。
【0035】
ステップ100では、第1差動信号D+,D−又は第2差動信号D+,D−が入力されているか否かを判定し、肯定判定となった場合にはステップ102に移行する。ここで、第1差動信号D+,D−がUSBホストコントローラ28に入力される場合とは、一例として図6に示すように検出信号の信号レベルがローレベルのときである。すなわち、スイッチ制御信号がハイレベルのときである。このとき、ハイレベルのスイッチ制御信号が供給されたスイッチSW1,SW2は共にオンされ、ローレベルの検出信号が供給されたスイッチSW3,SW4はオフされる。従って、USBホストコントローラ28には信号線L6,L7を介してUSBデバイス24から第1差動信号D+,D−が入力される。一方、第2差動信号D+,D−がUSBホストコントローラ28に入力される場合とは、一例として図6に示すように検出信号の信号レベルがハイレベルのときである。すなわち、スイッチ制御信号がローレベルのときである。このとき、ローレベルのスイッチ制御信号が供給されたスイッチSW1,SW2は共にオフされ、ハイレベルの検出信号が供給されたスイッチSW3,SW4はオンされる。従って、USBホストコントローラ28には信号線L6,L7を介してダミーUSBデバイス26Cから第2差動信号D+,D−が入力される。
【0036】
ステップ102では、省電力モードに移行する条件として予め定められた省電力条件を満足しているか否かを判定する。ここで言う「省電力モード」とは、USBホストコントローラ28が受給する電力量を現時点よりも抑制する処理を実行することであり、例えばUSBホストコントローラ28に含まれるPLL回路(図示省略)の動作を停止させる処理を実行することを指す。また、ここで言う「省電力条件」とは、例えばアイドル状態であるとの条件を意味する。アイドル状態とは、例えばUSBデバイス24との間でパケット通信が3ms以上行われていない状態のことである。なお、本第1の実施の形態では、省電力条件としてアイドル状態であるとの条件を適用しているが、これ以外の条件であっても良いし、アイドル状態であるとの条件に対して更なる他の条件(例えば、受付部20によりユーザから所定指示を受け付けたとの条件)を加えたものであっても良い。
【0037】
ステップ102において肯定判定となった場合にはステップ104に移行し、省電力モドに移行した後、本省電力処理プログラムを終了する。一方、ステップ100及びステップ102において否定判定となった場合にはステップ106に移行する。ステップ106では、USBホストコントローラ28が省電力モードであるか否かを判定し、否定判定となった場合には本省電力処理プログラムを終了する一方、肯定判定となった場合にはステップ108に移行する。ステップ108では、省電力モードを解除し、その後、本省電力処理プログラムを終了する。
【0038】
以上詳細に説明したように、本第1の実施の形態に係る情報処理装置10では、USBコネクタ26AにUSBデバイス24が接続されている場合に第1差動信号D+,D−がUSBホストコントローラ28に供給されるようにUSBホストコントローラ28とUSBコネクタ26Aとを電気的に接続した状態とし、USBコネクタ26AにUSBデバイス24が接続されていない場合に第2差動信号D+,D−がUSBホストコントローラ28に供給されるようにUSBホストコントローラ28とUSBコネクタ26Aとを電気的に接続した状態とした。そのため、本第1の実施の形態で説明した構成を有しない場合(例えばUSBホストコントローラ28の内部に新たな回路を設けたり、新たな機能を付加したりする場合)に比べ、USBコネクタ26AにUSBデバイス24が未接続の場合でも簡易に消費電力を抑制することができる。
【0039】
また、本第1の実施の形態に係る情報処理装置10では、第1スイッチユニット32及び第2スイッチユニット34を設け、USBコネクタ26AにUSBホストコントローラ28が接続されている場合に第1スイッチユニット32に含まれるスイッチSW1,SW2をオンすると共に第2スイッチユニット34に含まれるスイッチSW3,SW4をオフし、USBコネクタ26AにUSBホストコントローラ28が接続されていない場合に第1スイッチユニット32に含まれるスイッチSW1,SW2をオフすると共に第2スイッチユニット34に含まれるスイッチSW3,SW4をオンするように第1スイッチユニット32及び第2スイッチユニット34を制御しているので、本構成を有しない場合に比べ、USBコネクタ26AにUSBデバイス24が未接続の場合でも簡易な構成で消費電力を抑制することができる。
【0040】
また、本第1の実施の形態に係る情報処理装置10では、USBコネクタ26AにUSBホストコントローラ28が接続されている間、第1スイッチユニット32にハイレベルのスイッチ制御信号を供給すると共に第2スイッチユニット34にローレベルの検出信号を供給し、USBコネクタ26AにUSBホストコントローラ28が接続されていない感、第1スイッチユニット32にローのスイッチ制御信号を供給すると共に第2スイッチユニット34にハイレベルの検出信号を供給しているので、本構成を有しない場合に比べ、USBコネクタ26AにUSBデバイス24が未接続の場合でも簡易な構成で消費電力を抑制することができる。
【0041】
また、本第1の実施の形態に係る情報処理装置10では、他の情報処理装置に対しても利用可能な汎用性を有するUSBホストコントローラ28を用いているので、本構成を有しない場合に比べ、USBコネクタ26AにUSBデバイス24が未接続の場合でも消費電力を抑制する構成を安価に実現できる。USBホストコントローラ28の内部に対して新たな回路及び新たな機能を何ら付加しないため、USBホストコントローラ28が正常に動作するか否かの再検証を必要としないからである。
【0042】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、USBデバイス24が情報処理装置10に接続されていない場合にダミーUSBデバイス26Cから出力される第2差動信号D+,D−をUSBホストコントローラ28に供給することにより、USBデバイス24が情報処理装置10に接続されていなくてもUSBホストコントローラ28を省電力モードに移行させる場合を例に挙げて説明したが、本第2の実施の形態では、ダミーUSBデバイス26Cを用いずにUSBホストコントローラ28を省電力モードに移行させる場合について説明する。なお、本第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態で説明した構成と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0043】
図7には、本第2の実施の形態に係る情報処理装置50の構成の一例が示されている。情報処理装置50は、上記第1の実施の形態で説明した情報処理装置10に比べ、USB接続部26に代えてUSB接続部52を適用した点、及び内部装置の一例である内蔵USBデバイス54を新たに設けた点が異なっている。なお、内蔵USBデバイス54もダミーUSBデバイス26Cと同様に、第2接続信号の一例である第2差動信号D+,D−を出力する。
【0044】
ここで言う内蔵USBデバイス54とは、情報処理装置50に内蔵されているUSBデバイスのことを意味する。つまり、USBデバイス24は情報処理装置50に対して着脱自在な構成とされているのに対し、内蔵USBデバイス54は情報処理装置50に対して既に実装されており、着脱自在な構成とされていない。内蔵USBデバイス54の一例としてはLCD(液晶ディスプレイ)や有機ELディスプレイなどの表示装置が挙げられる。この場合、例えばUSBデバイス24もLCDや有機ELディスプレイなどの表示装置とする。USBデバイス24をUSB接続部52に接続した場合にはUSBデバイス24を使用可能にすると共に内蔵USBデバイス54を使用不可能とし、USBデバイス24をUSB接続部52に接続しない場合には内蔵USBデバイス54を使用可能にする。そこで、上記第1の実施の形態で説明した効果を得ながらも、USBデバイス24及び内蔵USBデバイス54を選択的に使用可能な状態とするために、本第2の実施の形態では、USB接続部52及び内蔵USBデバイス54を一例として図8に示すように構成した。
【0045】
図8に示すように、USB接続部52は、上記第1の実施の形態で説明したUSB接続部26に比べ、ダミーUSBデバイス26Cを除いた点が異なっている。そして、ダミーUSBデバイス26Cに代えて内蔵USBデバイス54が信号線L3,L4を介して切替部26Dに接続されている。また、信号線L1〜L5、接続検出部26B及び切替部26Dは1チップ化された半導体装置とされている。
【0046】
以上のように構成された情報処理装置50では、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されている場合には上記第1の実施の形態で説明したようにUSBデバイス24から出力される第1差動信号D+,D−がUSBホストコントローラ28に供給され、USBデバイス24が使用可能な状態となる。また、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されていない場合には内蔵USBデバイス54から出力される第2差動信号D+,D−がUSBホストコントローラ28に供給され、内蔵USBデバイス54が使用可能な状態となる。何れにしてもUSBホストコントローラ28Eには第1差動信号D+,D−又は第2差動信号D+,D−が供給されることになるので、USBホストコントローラ28Eは、上記第1の実施の形態で説明したように、USBデバイス24がUSBコネクタ26Aに接続されていてもいなくても省電力モードに移行することができる。
【0047】
このように本第2の実施の形態に係る情報処理装置50では、情報処理装置50に既存の内蔵USBデバイス54を利用してUSBデバイス24の未接続時の省電力モードへの移行を実現しているので、上記第1の実施の形態で説明したダミーUSBデバイス26Cを設けなくても上記第1の実施の形態で説明した情報処理装置50と同様の効果を得ることができる。
【0048】
[第3の実施の形態]
上記第2の実施の形成で説明した情報処理装置50に代えて図9に示す情報処理装置60を適用しても良い。
【0049】
図9に示す情報処理装置60は、上記第2の実施の形態で説明した情報処理装置50に比べ、内蔵USBデバイス54を除去した点、並びにUSBデバイスコントローラ29及びUSB接続部53を設けた点が異なっている。
【0050】
USBデバイスコントローラ29は、データリンク層29A及び物理層29Bを備えている。USB接続部53には外部からUSBホスト25が接続される。USB接続部53は物理層29B及びUSB接続部52に接続されている。
【0051】
このように情報処理装置50は、USBホストコントローラ28及びUSBデバイスコントローラ29の両方を有しており、一般的にはPC及びプリンタの何れにも接続するデジタルカメラ(USBホスト)が例示できる。通常は、USB接続部52にUSBデバイス24が接続され、USB接続部53にUSBホスト25が接続されて省電力モードへの移行を可能にする。しかし、USB接続部52及びUSB接続部53の両ポートに対してUSBデバイス24及びUSBホスト25が未接続である場合、USB接続部52とUSB接続部53とを接続することにより、上記第2の実施の形態で説明した場合と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0052】
なお、上記各実施の形態では、第1スイッチユニット32に対して反転回路36を設けたが、第1スイッチユニット32ではなく第2スイッチユニット34に対して反転回路36を設けても良い。この場合、第1スイッチユニット32及び第2スイッチユニット34の各々に供給される検出信号の信号レベルを結果的に上記各実施の形態で説明した場合と同様になるようにすれば良い。すなわち、接続検出部26Bから出力される検出信号の信号レベルを上記各実施の形態で説明した検出信号の信号レベルと逆にするように構成すれば良い。
【0053】
また、上記各実施の形態では、情報処理装置10,50がUSBの規格に対応した装置であることを前提にしたので情報処理装置10,50に対してUSBデバイス24(第2の実施の形態では、USBデバイス24及び内蔵USBデバイス54)を接続する場合を例示したが、ホットプラグ機能を有するシリアルバス規格で同様の構成を持つものであれば如何なるものであっても良い。なお、この場合も情報処理装置に接続されるデバイスが情報処理装置に接続された際にそのデバイスが所定信号(上記各実施の形態で説明した差動信号に対応する信号)を出力することが前提となる。つまり、デバイスの接続先である情報処理装置が、デバイスから所定信号を情報処理装置に供給している状態で省電力条件を満足した場合にUSBホストコントローラ28に相当する部位が通常動作モードから省電力モードに移行するものであることが前提となる。
【符号の説明】
【0054】
10 情報処理装置
24 USBデバイス
26A USBコネクタ
26B 接続検出部
26C ダミーUSBデバイス
26D 切替部
28 USBホストコントローラ
54 内部USBデバイス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9