【実施例1】
【0016】
図1は本発明の実施例1に係るダイボンダを上から見た概念図である。
図1において、ダイボンダは大別するとウェハー供給部1と、基板供給・搬送部2と、ダイボンディング部3とを有する。基板供給・搬送部2はスタックローダ21と、フィーダ22と、アンローダ23とを有する。スタックローダ21によりフィーダ22に供給された基板)は、フィーダ22上の2箇所の処理位置を介してアンローダ23に搬送される。
【0017】
ダイボンディング部3は、プリフォーム部31とボンディングヘッド部32とを有する。このダイボンディング部3の前工程となるプリフォーム部31は、フィーダ22により搬送されてきた基板に接着剤を塗布する部分である。ボンディングヘッド部32は、ダイ(ワーク)供給ユニット12からダイ(ワーク)をピックアップして上昇し、平行移動してフィーダ22上のボンディングポイントまで移動させる。そこで、ボンディングヘッド部32は、ダイ(ワーク)を下降させてフィーダ22により搬送されてきた基板にボンディングする。
【0018】
ウェハー供給部1は、ウェハーカセットリフタ11とダイ(ワーク)供給ユニット12とを有する。ウェハーカセットリフタ11は、ダイシングしたウェハーをウェハーテープに固定させたリングが充填されたウェハーカセット(図示せず)を有し、順次ダイシングしたウェハーをウェハーテープに固定させたリングをダイ(ワーク)供給ユニット12に供給する。そして、突き上げユニット26を剥離しようとするワークを突きあげて、ボンディングヘッド部32は前記突き上げたダイ(ワーク)をピックアップする。
【0019】
図2は本発明に係るダイボンダの上面図である。なお、
図1と同じ番号は同一物を示すので、その説明は省略する。
図2において、ウェハーテーブル13上にはダイシングしたウェハーを固定したウェハーテープ24が搭載されている。ボンディングヘッド部32は24のターゲットダイ(ワーク)28部(詳細は後述する)がピックアップされ、ピックアップされたダイ(ワーク)を基板(図示せず)上にボンディングするものである。ダイ(ワーク)28をウェハーテープ24から剥離する場合にピックアップ治具25が用いられる。
【0020】
ダイは突き上げユニット26(詳細は
図3で説明する)によって確実に剥離されるようになっている。この剥離動作を照明ユニット29によって照らされ、安全かつ正確な作業ができるようになっている。
【0021】
図3はピックアップ治具と突き上げユニットの断面図である。
図3において、ボンディングヘッド33に取り付けられたピックアップ治具25には複数の吸着穴25aが設けられており、この吸着穴25aの一端はボンドヘッドなどに介して真空供給源(図示せず)と連通しているため真空供給源によりダイ34は吸着穴25aに吸着する。ダイ34がピックアップ治具25の吸着穴25aに吸着すると、ウェハーテープ24aからダイ34が剥がされる。この剥離作業をより確実に行うため、ウェハーテープ24aの下方には突き上げユニット26が設けられている。
【0022】
この突き上げユニット26はダイ34の外周を突き上げる突き上げ部26aとダイ(ワーク)34の中央部を突き上げる中央突き上げ部26bが備えられている。
【0023】
ところで、
図3に示したピックアップ治具はダイ(ワーク)をウェハーテープから剥離したときに静電気が発生しまう。ダイ(ワーク)や基板などに静電破壊を防止するため、近傍に設置されているイオナイザーを使用して、ダイ(ワーク)とピックアップ治具を除電する。
このイオナイザーでは、環境の湿度などに影響され、崩すことになるものである。特にダイボンダ装置の内部、ボンドヘッド周囲の湿度が変化しやすいため、ダイ(ワーク)を剥離際に生じた静電気をうまく除去できず、静電気を溜まってしまうことが発生する。
また、金属製ボンドヘッドの接近により、イオナイザーではイオンバランスを崩して、ダイ(ワーク)を除電できなくなる。
【0024】
このような課題を解決する一手段として、引用文献2のような帯電物周囲環境の湿度を測定し、イオンバランスを制御できることが分かっている。また、引用文献1のようなイオナイザーを採用することで帯電物の除電が有効であることが分かっている。これは、静電気にはマイナスイオンとプラスイオンからなることが分かっていることから、静電気を帯びた対象物の周囲空気をイオナイザーでイオン化させ、発生させたイオンバランスにより生じた静電気を中和させるものである。
【0025】
そもそも、イオンバランスは環境変化或いは動作変化によってイオンバランスが崩す。したがって、本発明の発明者らはダイ(ワーク)の帯電量を常に測定し、その測定結果をイオナイザーの調整にフィードバックすることを種々検討した結果、以下のごとき実施例を得た。
【0026】
以下、本発明の一実施例を
図4、
図5にしたがって説明する。
【0027】
図4は本発明の一実施例に係るピックアップ治具と突き上げユニットの概念図である。
図5は本実施例のフロー図である。
【0028】
図4において、ダイ(ワーク)34がボンドヘッド32にピックアップされ、上昇したダイ(ワーク)34がピックアップされた時に静電気を生じた。生じた静電気を近傍に設置されているイオナイザー36で除去しようとしている。
【0029】
本図では、このイオナイザー36はイオンバランスを噴射するものであり、常にピックアップ治具25に向かってイオンバランスを噴射する角度で傾斜して配置されている。
【0030】
設定されていたボンディング回数を到達した後、ダイ(ワーク)34は電位検出器36によって電位量が検出するようになっている。検出された電位によって、イオナイザーの除電効果を判断する。検出された電位が異常の場合、イオンバランス調整をなったら、次のボンディングを行うことになる。
【0031】
図5において、
(1)ウェハーテープ上に貼り付けられたダイ(ワーク)をピックアップ治具の吸引力で吸い付けることでダイを剥離させて、基板にボンディングする。繰り返し動作(101)
(2)設定する回数を到達(102)
(3)ダイ(ワーク)表面電位を測定(103)
(4)測定した電位値からイオンバランスの適切性を判断(104)
(5)正常の場合は問題なしとして(101)に戻る。(105)
(6)異常場合はオンバランスの調整を行ったら(103)に戻る。(106)
このように、本実施例ではダイ34の電位状況に応じてイオナイザー36を制御するため、より正確な除電ができるものである。
【実施例2】
【0032】
実施例1では環境変化に応じたダイ(ワーク)で電位を検出してイオナイザーに反映させることを説明したが、本実施例では可動部となる金属のボンディングヘッドの動作環境に応じた電位の変化を常に検出することを説明する。つまり、金属の可動部となるボンディングヘッドの位置にイオンバランスが変わってしまう。
【0033】
そこで本発明の発明者らはボンディングヘッドの移動に応じて、ダイ(ワーク)の電位を検出してイオナイザーの制御にフィードバックをかけるようにしたものである。
図4において、ダイ(ワーク)34の帯電量を検出して、イオナイザー36に制御し、適切なイオンバランスを出すことになる。ボンディングヘッド33の影響を除いて、ダイ(ワーク)の除電を行うことである。
【0034】
このように、本実施例によればボンドヘッド33の動作変化或いは周辺の環境変化によって電位を正確に検出してイオナイザー36の制御に反映できるため正確な除電ができる。
【0035】
以上のごとく、本発明は環境変化或いはボンディングヘッドの動作変化を排除してダイ(ワーク)の帯電状態に合わせたイオンバランスを提供して除電することができる。