【実施例1】
【0018】
図1は本発明の実施例1に係るダイボンダを上から見た概念図である。
図1において、ダイボンダは大きくはウエハ供給部1と、フレーム供給・搬送部2と、ダイボンディング部3とに大別することができる。
フレーム供給・搬送部2はスタックローダ21と、メインフィーダ22と、アンローダフィーダ23とを有する。スタックローダ21によりメインフィーダ22に供給されたフレーム(以下、リードフレームという)は、メインフィーダ22上の2箇所の処理位置を介してアンローダ24に搬送される。スタックローダ21、メインフィーダ22、アンローダフィーダ23は2本の走行レーン20上を走行してリードフレームを搬送するようになっている。
【0019】
ダイボンディング部3は、プリフォーム部31とボンディングヘッド部32とを有する。このダイボンディング部3の前工程となるプリフォーム部31は、メインフィーダ22により搬送されてきたリードフレームにダイの接着剤(以下、ペースト状接着剤という)を塗布する部分である。ボンディングヘッド部32は、ピックアップ装置12からペースト状接着剤が塗布されたリードフレームをピックアップして上昇させ、ダイを平行移動してメインフィーダ22上のボンディングポイントまで移動させる。そして、ボンディングヘッド部32は、ダイを下降させてペースト状接着剤が塗布されたリードフレーム上にボンディングする。
【0020】
プリフォーム部31の近傍には後述する認識用カメラが取り付けられている。この認識用カメラで塗布されたペースト状接着剤が所定位置に所定量だけ塗布されているかを確認するものである。後述するが、プリフォーム部31の上部には上下動するシリンジが設けられている。このシンリンジの内部にはペースト状接着剤が封入されており、空気圧によってペースト状接着剤がノズル先端から射出されるようになっている。このシリンジが2本の走行レーン20上を搬送されるリードフレームに対して交互にペースト状接着剤を塗布することになる。
【0021】
ウエハ供給部1は、ウエハカセットリフタ11とピックアップ装置12とを有する。ウエハカセットリフタ11は、ウエハリングが充填されたウエハカセット(図示せず)を有し、順次ウエハリングをピックアップ装置12に供給する。
【0022】
ところで、
図1に示したダイボンダは2本の走行レーン20上を走行するリードフレームに対してプリフォーム部31とボンディングヘッド部32が動作するようになっている。その場合のペースト状接着剤塗布工程を簡単に説明する。
【0023】
リードフレーム上の位置をまず認識用カメラで確認し、塗布すべき面に問題なければ塗布作業を行う。塗布されたペースト状接着剤にダイをボンディング後、ボンディング状態に問題ないか同じ認識用カメラを動作させて確認していた。つまり、1台の認識用カメラを2往復させてダイのボンディングを行っていた。
【0024】
したがって、認識用カメラの2往復動作に合わせたリードフレームの進行(X方向)速度を設定しなくてはならず、ボンディングのスピードアップ化に限界があった。
【0025】
ところで、近年ユーザの要求に対応するために、数種のバリエーションによるダイボンダが設定されている。例えば
図1の説明でも述べたように、2本の走行レーン20上を走行する2列のリードフレームに対して1本のシリンジで接着剤を塗布するタイプ。或いは2列のリードフレームに対して2本シリンジで塗布するタイプ。或いは1本の走行レーン20上のリードフレームに対して1本のシリンジで塗布するタイプなどである。
【0026】
そこで、本発明の発明者らはシリンジを2本取り付けていた機種からシリンジを1本外すとスペースが空くことと、スループットの向上に鑑み、そのスペースに認識用カメラを搭載して2台の認識カメラで外観検査を行うことで、高いスループットを図ることを考えたものである。
【0027】
以下、本発明の詳細を図にしたがって説明する。
図2は本発明の実施例1に係るプリフォーム部の外観斜視図である。
図3は本発明の実施例1に係るプリフォーム部の概略構成斜視図である。
図2、
図3において、図面上左側にシリンジ34aが取り付けられている。このシリンジ34aの内部にはペースト状接着剤36が封入されている。34bもシリンジであるが本図では点線で示したように本来取り付けられているものを取り外されている。シリンジ34aの後方には第1の認識用カメラ33aが取り付けられている。シリンジ34bが取り外されて空きスペースには第2の認識用カメラ33bが取り付けられている。各認識用カメラ33a、33bの下方には照明38a〜38dが取り付けられている。
【0028】
シリンジ34aの下方をリードフレーム35が搬送されるようになっている。リードフレーム35の表面にはシリンジ34aによって塗布されたペースト状接着剤36とペースト状接着剤36上にダイ37が搭載されている。このダイ37はリードフレーム35とともに矢印X方向に移動する。
【0029】
認識用カメラ33aはペースト状接着剤36の塗布面を常に狙うように、傾斜させて固定されている。また、認識用カメラ33bは塗布されたペースト状接着剤36を常に狙うように傾斜させた固定されている。照明38a〜38bは複数個のLEDで構成されている。照明38aと38cが第1の照明であり、照明38bと38dが第2の照明となる。第1の照明は接着剤の塗布面もピンポイットで照らすように照明38aと38cが略く字状に配置され、同じく第2の照明も照明38bと38dが略く字状に配置されている。これらの照明は第1と第2の認識用カメラ33a、33bと同じようにペースト状接着剤36の塗布面と塗布されたペースト状接着剤36を常に照らすものである。
【0030】
以上のようなプリフォーム部31は以下のように動作してペースト状接着剤36を塗布する。
すなわち、リードフレーム35が矢印X方向から移動して来る。リードフレーム35がシリンジ34aの直下に来たら停止し、固定された第1の認識用カメラ33aにて撮影された画像からペースト状接着剤36の塗布面が適正であるかを確認する。塗布面に問題がないことが確認されたらシリンジ34aが下降して所定位置にペースト状接着剤36が塗布される。シリンジ34aによるペースト状接着剤36の塗布が完了し、シリンジ34aが上昇したら、リードフレーム35は第2の認識用カメラ33bの位置まで移動し、第2の認識用カメラ33bによってペースト状接着剤36が適正量であるか、又は液垂れの有無など外観の確認を行う。適正量で液垂れがないことが確認されたら次の塗布作業へと進む。ペースト状接着剤36の塗布に問題がなければダイ37が接着剤上に圧着されて接着される。
【0031】
図4はプリフォーム部を横から見た拡大図である。
図4において、シリンジ34aが上昇している段階で、ペースト状接着剤が塗布されるべき部分を第1の認識用カメラ33aで撮影する。撮影の結果、塗布に問題ないと判断されたらシリンジ34aは下降してペースト状接着剤36を塗布する。その後リードフレーム35は第2の認識用カメラ33bの位置に移動する。移動後第2の認識用カメラ33bは塗布されたペースト状接着剤36の外観を撮影する。撮影の結果、問題ないと判断されたらダイ接着の工程へと移動する。この工程が繰り返されるものである。
【0032】
上述したように、照明38a〜38dは複数個のLEDによって構成されており、2個が一組みとなっている。この照明38a〜38bは第1と第2の認識用カメラ33a、33bにそれぞれ取り付けられて、込み合せ方は略く字状になっており、撮影ポイントを集中的に照らすことができるようになっている。
【0033】
このように、本実施例ではペースト状接着剤36の塗布面の外観経査と塗布後のペースト状接着剤36の外観検査をそれぞれ専用のカメラで撮影することができる。したがって、認識用カメラの移動がなくなり、高いスループットによる接着剤塗布作業を行うことができる。
【実施例2】
【0034】
図5は本発明の実施例2に係るプリフォーム部の概略構成図である。
図5において、ペースト状接着剤36は配合のバランス或いは温度湿度の関係から粘性が低くなってしまうことがある。その場合
図5に示すように、リードフレーム35の塗布面にペースト状接着剤36が滴下してしまって塗布面を汚してしまうばかりでなく、そのごのダイ接着に大きな影響を及ぼしてしまう可能性がある。
【0035】
これに対し、本実施例では第1の認識用カメラ33aがペースト状接着剤36の滴下をあらかじめ観察できる。そのためペースト状接着剤36の交換などの対応が迅速に行えるものである。或いは、接着剤の滴下が確認された場合にはシリンジに冷風をあてて粘性を高める制御を追加することも可能である。
【0036】
このように本実施例によれば、ペースト状接着剤36の粘性不良をあらかじめ観察できるため、その後のダイの接着不良を未然に防止することができる。
【0037】
図6は本発明に係る実施例の動作を示すフロー図である。
図6において、
(ステップ101):プリフォーム部にリードフレームが所定位置まで搬送されて来てペースト状接着剤を塗布するための準備に入る。
(ステップ102):搬送されて来たリードフレームが所定位置でペースト状接着剤の塗布面に問題がないかを第1の認識用カメラで撮影する。
(ステップ103):リードフレームのペースト状接着剤塗布面に問題ないことが確認されたら、接着剤塗布作業を続行する。一方、塗布面に問題があることが確認されたらエラーとして塗布作業を停止する(ステップ104)。
【0038】
(ステップ105):塗布面に問題がないことが確認されるとシリンジが降下して所定量のペースト状接着剤をリードフレーム上に塗布する。
(ステップ106):ペースト状接着剤の塗布が終了したシリンジが上昇すると第2の認識用カメラが塗布されたペースト状接着剤の外観を確認する。
(ステップ107):ペースト状接着剤の量が少なかったり、擦れが確認されたりした場合には、塗布不良エラーとして作業を停止する(ステップ108)。問題ないことが確認されたらペースト状接着剤の塗布工程が終了する。
【0039】
このように本実施例によれば、ペースト状接着剤の塗布作業は常に第1と第2の認識用カメラで監視されているため、所定量のペースト状接着剤塗布が可能となる。仮にフレームの塗布面に問題があったとしても、ただちにペースト状接着剤の交換或いはフレームの交換を行うことができるので、塗布作業のエラーを未然に防止することができる。
【0040】
以上のごとく本発明によれば、認識用カメラの移動が無くなるため、スループットが高くなり生産性が向上する。また、シリンジのノズル先端も認識用カメラで確認できるためシリンジのメンテナンス性も向上する。
【0041】
さらに、ペースト状接着剤が正常に塗られているかどうかの確認や、液垂れ状態も確認できるため品質向上を図ることができる。