(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
コンテナターミナルは船舶に対してコンテナを積み込み又は積み卸し、陸上輸送用の外来シャーシでコンテナを搬入および搬出する施設である。また、積み卸し又は搬入されたコンテナを一時的に保管する施設でもある。
【0003】
現在、国際航路におけるコンテナ輸送システムの急速な進展に伴い、コンテナターミナル内での荷役や蔵置作業の自動化や省力化が望まれている。すなわち船舶とコンテナターミナル間のコンテナの搬送およびコンテナターミナルでのコンテナの蔵置部分での自動化や高能率化、ならびに低コスト化などが重要になっている。
【0004】
そこで、一つのコンテナの両端部を二台一組で保持して、運搬するカート(運搬台車)がある(例えば、特許文献1参照)。このカートは、コンテナを運搬するカートを従来のものよりも小型化し、コンテナ運搬の効率を向上すると共に、消費電力を低減している。
【0005】
一方、コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し、蔵置レーンの長手方向に延在する往路と復路とを備え、カートが往路を走行したときの逆方向に復路を自走するコンテナターミナルもある(例えば、特許文献2参照)。このコンテナターミナルは、蔵置レーンに隣接するカートの走行路を、カートがコンテナを搭載して走行する往路と、コンテナを搭載しないで走行する復路とに分けることで、次々にカートにコンテナを運搬させて荷役効率を向上している。
【0006】
ここで、それら二つの装置を組み合わせたコンテナターミナルの動作について、
図10を参照しながら説明する。このコンテナターミナル1Xは、船舶SからコンテナCを積み卸す場合には、まず、岸壁クレーンGCが荷役したコンテナCを、周回搬送台車7が海側受渡領域3まで運搬する。
【0007】
次に、海側受渡領域3の受渡架台5がそのコンテナCを二台のカート9に搭載し、その二台のカート9が往路11を自走して、コンテナCをどちらか一方のヤードクレーン6まで運搬する。次に、ヤードクレーン6が二台のカート9からコンテナCを受け取り、蔵置レーン2に蔵置する。そして二台のカート9は往路11から復路12に移載され、それぞれ復路12を自走して元に戻る。
【0008】
船舶Sへ積み込む場合には、この逆の動作となり、カート9が復路12を自走し、復路12から往路11に移載され、往路11を自走し、ヤードクレーン6からコンテナCを受け取る。
【0009】
また、外部からコンテナを搬入する場合には、まず、外来シャーシ8がコンテナCを陸側受渡領域4まで運搬する。次に、陸側受渡領域4の受渡架台5がそのコンテナCを二台のカート9に搭載し、その二台のカート9がコンテナCをどちらか一方のヤードクレーン6まで運搬する。次に、ヤードクレーン6が二台のカート9からコンテナCを受け取り、蔵置レーン2に蔵置する。外部へ搬出する場合には、この逆の動作を行う。
【0010】
各動作において、カート9は二台一組で一つのコンテナCを搭載して往路11を自走し、復路12へと移動して、元に戻る、又は復路12を自走し、往路11へ移動して、コンテナCを搭載して元に戻る。このとき、往路11と復路12との間の移動にカート9を持ち上げる、又は吊り上げる移載機13Xを用いて、または、移載機13Xの換わりにカート9を鉛直方向に持ち上げて、往路11と復路12との間の移動を行うコンベア(図示しない)を用いて行っている。
【0011】
しかし、この移載機13Xを用いた方法や、コンベアを用いた方法では、自重が約2tあるカート9を持ち上げる、又は吊り上げる必要があり、且つその状態で往路11と復路12との間を移動させているため、カート9の移動に時間が掛かっていた。
【0012】
また、カート9が往路11と復路12との間を移動する際に、カート9をレールから持ち上げる、又は吊り上げることにより、カート9の車輪と往路11又は復路12のレールが離れてしまい、カート9の車輪と往路11又は復路12のレールとの位置合わせを正確に行う必要があった。このとき、カート9をレール上に降ろす際には、往路11と復路12のレールとカート9の車輪との寸法差を約5mm程度以内に収めなければならず、高精度の操作、又は制御が必要である。
【0013】
また、移載機13Xを用いずに、往路11と復路12の両端部のそれぞれを円環状に形成すると、カート9の自走で往路11と復路12との間の移動を行うことができるが、円環状にすることで往路11と復路12との間の幅を大きくする必要があり、蔵置レーン2の間の間隔が広くなり、蔵置レーン2を多く配置することができないという新たな問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、蔵置レーンに隣接する往路と復路との間の移動を、運搬台車の自走で行うことにより、往路と復路との間の移動を速やかに、且つ高度な操作を必要とせずに容易に行うことができ、コンテナを運搬する運搬台車が環状に自走することを可能にして、荷役効率を向上することができるコンテナターミナルとその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を解決するための本発明のコンテナターミナルは、コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し
て該蔵置レーンの長手方向に延在する往路及び復路と、
前記コンテナを搭載した状態で前記往路を自走してこの自走方向とは逆方向に前記コンテナを搭載しない状態で前記復路を自走する運搬台車とを備えるコンテナターミナルにおいて、
前記往路および前記復路の延在方向両外側にそれぞれが合流して延在する切換路と、前記往路および前記復路のそれぞれの合流位置に配置される分岐器とを備えていて、前記分岐器又は前記運搬台車のどちらか一方
が、前記往路又は前記復路から前記切換路に、若しくは前記切換路から前記往路又は前記復路に前記運搬台車の走行路を切り替える切換装置を備え
ていて、
前記切換路に、後追いの前記運搬台車に押されて自走できない前記運搬台車が進入する故障車用路が連接されていて、前記運搬台車
の自走する走行路
が少なくとも一つの環状路で形成
された状態であることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、運搬台車が分岐器を介して切換路に進入し、切換路で運搬台車が自走方向を逆転し、切換装置により切換路から往路又は復路に走行路を切り換えるので、運
搬台車が往路と復路の間をスムーズに自走することができる。これにより、運搬台車を持ち上げて、又は吊り上げたまま移載することが無くなり、運搬台車の自走により、往路と復路との間の移動を速やかに行うことができる。また、運搬台車の走行路をレールで形成する際に発生する、レールと運搬台車の車輪との位置合せを容易に行う必要がないので、高度な操作を省くことができる。
【0018】
よって、運搬台車が往路と復路とを含む環状路を自走することを可能とし、運搬台車が次々にコンテナを運搬することができる。これにより、効率良くコンテナを運搬することができ、荷役効率を向上することができる。加えて、往路と復路の端部に円環状の走行路
を設けた環状路と比べて、往路と復路との間の間隔を狭くすることができるので、コンテナターミナル内の配置することができる蔵置レーンの数を増やすことができる。
また往路又は復路上で自走不能になった運搬台車を、その運搬台車の後ろを自走していた運搬台車で故障車用路まで押し込むことができる。これにより、運搬台車が故障してもコンテナターミナルの荷役作業を止めることなく継続することができる。
【0019】
また、上記のコンテナターミナルにおいて、前記分岐器を、前記切換装置として転轍機を有する両開き分岐器、又は振り分け分岐器で形成し、前記運搬台車の走行路を、前記往路又は前記復路から前記切換路に、若しくは前記切換路から前記往路又は前記復路に切り換えるときに、前記運搬台車の自走方向を逆転し、前記転轍機で走行路を切り換える制御装置を備えると、前述の作用効果に加えて、分岐器での運搬台車の走行路の切り換えをスムーズにすることができる。
【0020】
この転轍機に電気転轍機を用いる場合は、往路、復路、及び切換路のそれぞれに運搬台車を検知するセンサを設けて、その信号により電気転轍機を制御することで、走行路の切り換えを行う。また、転轍機に発条転轍機を用いる場合は、例えば往路から復路に移動するときには、切換路から復路を正位とし、且つ往路から切換路を反位とし、復路から往路に移動するときには、切換路から往路を正位とし、且つ復路から切換路を反位として動作させると、容易な制御で次々に運搬台車の走行路を切り換えることができる。
【0021】
加えて、上記のコンテナターミナルにおいて、前記蔵置レーンに、外部から搬入されるコンテナを蔵置する搬入コンテナ領域と、外部へ搬出されるコンテナを蔵置する搬出コンテナ領域とを備えると共に、前記搬入コンテナ領域と前記搬出コンテナ領域との境界の延長線上の近傍に中間分岐器を備え、前記搬入コンテナ領域で荷役するときに前記運搬台車が環状に自走する搬入環状路と、前記搬出コンテナ領域で荷役するときに前記運搬台車が環状に自走する搬出環状路を形成すると、運搬台車の走行距離を短くすることができる。これにより、運搬台車が環状に走行する時間を短縮すると共に、運搬台車の台数を少なくすることができる。
【0022】
例えば、コンテナターミナルから外部へコンテナを搬出する場合は、搬出コンテナ領域のみで荷役作業が行われるため、運搬台車が搬入コンテナ領域まで走行することは無駄であり、上記の構成によれば、その無駄な運搬台車の走行を省くことができる。
【0023】
さらに、上記のコンテナターミナルにおいて、前記中間分岐器を、前記往路との交差と、前記復路との交差のそれぞれに分岐器を有する一本の渡り線で形成し、若しくは、前記中間分岐器を、前記往路との交差と、前記復路との交差のそれぞれに分岐器を有する二本の渡り線と、該二本の渡り線の交差にダイヤモンドクロッシングとを備えるシーサスクロッシングで形成し、各分岐器に転轍機を備えると、中間分岐器での往路から復路、又は復路から往路の移動をスムーズに容易な制御で行うことができる。
【0024】
一方で、上記のコンテナターミナルにおいて、前記運搬台車に、前記切換装置として前記運搬台車の車輪の舵角を操舵する操舵装置を備えると共に、前記運搬台車の走行路を、前記往路又は前記復路から前記切換路に、若しくは前記切換路から前記往路又は前記復路に切り換えるときに、前記運搬台車の自走方向を逆転し、前記操舵装置で走行路を切り換
える制御装置を備えると、運搬台車の自走方向と、車輪の舵角を制御するだけで、前述の作用効果を得ることができる。運搬台車は、例えばそれぞれの車輪毎に駆動装置を有し、車輪毎に舵角を制御できるものが好ましい。
【0026】
また、上記の目的を解決するためのコンテナターミナルの制御方法は、コンテナを蔵置する蔵置レーンに隣接し、該蔵置レーンの長手方向に延在する往路及び復路と、
前記コンテナを搭載した状態で前記往路を自走してこの自走方向とは逆方向に前記コンテナを搭載しない状態で前記復路を自走する運搬台車とを備えるコンテナターミナルの制御方法において、
前記往路および前記復路の延在方向両外側にそれぞれが合流して延在する切換路と、前記往路および前記復路のそれぞれの合流位置に配置される分岐器とを備えていて、前記往路または前記復路のどちらか一方で自走不能となった前記運搬台車を、後追いの前記運搬台車が前記切換路に向けて押し、前記後追いの運搬台車が前記切換路に連接されている故障車用路に前記自走不能となった運搬台車を移動させて、その後
、前記後追いの運搬台車の自走方向が反転したときに、前記分岐器で前記切換路から
前記往路または前記復路の他方への走行路を形成する
ことを特徴とする。
【0027】
この方法によれば、往路と復路の延在方向に略直交する方向への運搬台車の移動を、分岐器で切換路までの走行路と、切換路からの走行路を形成し、運搬台車の自走方向を切換路で換えて、運搬台車が自走することで行うことができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、蔵置レーンに隣接する往路と復路との間の移動を、運搬台車の自走で行うことにより、往路と復路との間の移動を速やかに、且つ高度な操作を必要とせずに容易に行うことができ、コンテナを運搬する運搬台車が環状に自走することを可能にして、荷役効率を向上することができる。これにより、運搬台車に効率よくコンテナを運搬させることができるので、荷役効率を向上し、且つ消費電力を低減することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る実施の形態のコンテナターミナルについて、図面を参照しながら説明する。この実施の形態では、蔵置レーンが海陸方向に長手方向を有するコンテナターミナルを例に説明するが、本発明はこれに限定せず、例えば、蔵置レーンが海陸方向と直交する方向に長手方向を有するコンテナターミナルに適用することができる。なお、図面に関しては、構成が分かり易いように寸法を変化させており、各部材、各部品の板厚や幅や長さなどの比率も必ずしも実際に製造するものの比率とは一致させていない。
【0031】
まず、本発明に係る第1の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図1と
図2を参照しながら説明する。
図10に示す従来のコンテナターミナルの移載機に換えて、
図1に示すように、コンテナターミナル1は、蔵置レーン2に隣接し、カート(運搬台車)9が自走する往路11と復路12の両端部に切換路13aと13b、及び分岐器14aと14bを備え、往路11、復路12、切換路13aと13b、及び分岐器14aと14bから図中の矢印で示す環状路10を形成する。
【0032】
この環状路10とは、例えば、カート9が往路11を自走し、切換路13bと分岐器14bで往路11から復路12へ自走し、カート9が往路11を自走した方向とは逆向きに復路12を自走し、切換路13aと分岐器14aで復路12から往路11へ自走する走行路のことであり、蔵置レーン2に隣接する双方向(図中の時計回り、又は反時計回り)の環状路である。
【0033】
このコンテナターミナル1のカート9は、無人の運搬台車であり、また、往路11又は復路12を海から陸へ向かう方向に、及び陸から海へ向かう方向に、つまり双方向に自走可能な運搬台車である。このカート9は、例えば、一つのコンテナCを一台で搭載できるものを用いることができるが、好ましくは、コンテナCの両端部を二台で保持して運搬することができるものがよい。
【0034】
この実施の形態では、コンテナCの両端部を二台で保持して運搬するカート9を用いて説明する。このカート9は、全長が短く、且つ自重が軽いため、コンテナ運搬の効率を向上すると共に、消費電力を低減することができる。
【0035】
往路11と復路12を、蔵置レーン2の長手方向、つまり海陸方向に延在し、往路11を蔵置レーン2側に配置し、且つ往路11と復路12とを略平行に配置する。この往路11は、カート9が二台一組になりコンテナCを運搬する走行路であり、復路12は、カート9がコンテナCを運搬せず一台ずつ自走する走行路である。
【0036】
このコンテナターミナル1は、
図2に示すように、切換路13と分岐器14(切換路13aと13b、分岐器14aと14bは構成が同一になるため、以下切換路13、分岐器14で統一する)の他に、切換路13の延長に故障車用路15、カート用センサ(運搬台車用センサ)16、及び制御装置17を備える。
【0037】
分岐器14は、トングレール21aと21b、リードレール22aと22b、ウイングレール23aと23b、ノーズ(フログや轍叉ともいう)24、ガードレール25aと25b、及び転轍機26を備える。
【0038】
この分岐器14は、制御装置17が転轍機26を動作させて、トングレール21aと21b、及びリードレール22aと22bの位置を動かすことによって、往路11又は復路12から切換路13に、若しくは切換路13から往路11又は復路12にカート9の走行路を切り換える分岐器である。この実施の形態では、所謂両開き分岐器を例に説明するが、例えば、振り分け分岐器や、往路11又は復路12のどちらか一方を直線で形成する片開き分岐器を用いることもでき、分岐器の種類は限定しない。
【0039】
転轍機26は、トングレール21aとトングレール21bのどちらか一方が切換路13と接触するときに、もう一方を接触しない位置に動かして、カート9の走行路を切り換えるものであり、制御装置17により正位と反位を切り換え可能な発条転轍機を用いると、走行路の切り換え制御を容易にすることができる。
【0040】
例えば、コンテナターミナル1の荷役作業が搬出作業の場合は、環状路10は、図中の右回りとなり、搬出作業が完了するまでカート9の移動は、往路11から復路12の一方向となる。よって、転轍機26を所謂発条転轍機で形成すると、その搬出作業中に進路が原則的に正位(実施の形態では、切換路15から復路12)に固定され、カート9は正位方向だけに通行可能であり、反位(実施の形態では、往路11から切換路15)側からのカート9は車輪によってトングレール21aと21bを押し広げて通過でき、通過後はスプリングなどの付勢部材によって自動的に正位へ戻ることができ、ポイント操作が不要である。
【0041】
上記の構成によれば、切換路13と分岐器14でカート9を往路11から復路12に、又は復路12から往路11に、カート9の自走により移動することができる。これにより、カート9を持ち上げる、又は吊り上げることがないので、車輪と走行路との位置合わせをすることなく、容易な制御で往路11と復路12との移動を行うことができる。
【0042】
故障車用路15は、切換路13の延長上に配置する。この故障車用路15は、往路11と復路12の両端部のそれぞれに、少なくとも一つ設けるとよい。また、この故障車用路15は、往路11と復路12と同様のレールで形成する。
【0043】
カート用センサ16は、切換路13に設けて、カート9を検知することができればよく、周知の技術のセンサを用いることができる。例えば、映像でカート9を検知するセンサやカート9側に設けた発信機と連動して検知するセンサでもよい。
【0044】
制御装置17は、電気回路によってコンテナターミナル1の制御を担当している電気的な制御を総合的に行うマイクロコントローラであり、カート用センサ16が検知する信号に基づいてカート9の駆動装置(図示しない)と、転轍機26の駆動を制御している。この制御装置17は、例えば荷役作業を管理する管理棟などに設けてもよい。
【0045】
次に、カート9が往路11と復路12との間で移動するときのコンテナターミナル1の制御方法について、
図3を参照しながら説明する。なお、ここでは、カート9が往路11を海側か陸側に自走し、復路12を陸側から海側に自走するときの移動を例に説明するが、カート9が逆向きに自走するときの移動も同様の動作であるため、省略する。なお、転轍機26は、発条転轍機であって、制御装置17により往路11から切換路13を反位とし、切換路13から復路12を正位とするように設定されているものとする。
【0046】
まず、往路11を海側から陸側に自走していたカート9が分岐器14に進入する(ステップS1)。次に、
図3の(a)に示すように、カート9の車輪が正位の状態のトングレール21aと21b、及びリードレール22aと22bを押し広げる(ステップS2)。このとき、カート9の車輪の内側に設けたフランジ(図示しない)により、トングレール21bとリードレール22bを押し広げる。同時に、転轍機26を介してトングレール21aとリードレール22aも押し広げ、切換路13に進入する。
【0047】
次に、
図3の(b)に示すように、カート用センサ16が、カート9を検知する(ステップS3)と、次に、制御装置17が、カート9を停止する(ステップS4)。このとき、転轍機26は、スプリングなどの付勢力により動作して、トングレール21aと21b、及びリードレール22aと22bを正位の状態に戻す(ステップS5)。
【0048】
次に、制御装置17が、カート9の自走方向を転換し、陸側から陸側の自走させる(ステップS6)。次に、
図3の(c)に示すように、分岐器14が正位の状態であるため、カート9が切換路15から復路12に進入し(ステップS7)、完了する。
【0049】
この動作によれば、往路11を自走していたカート9が分岐器14を通過後に、切換路13でカート9の自走方向を逆方向に転換し、転轍機26により切換路13から復路12に走行路を切り換えることができるので、往路11と復路12との移動をカート9の自走により行うことができる。
【0050】
これにより、カート9の車輪と走行路のレールとは常に接触した状態を保持するので、車輪ごとカート9を持ち上げる、又は吊り上げて移動する方法に比べ、移動が速く、且つカート9の車輪と往路11又は復路12のレールとの位置合わせを行う必要がない。加えて、別途移載装置などを設ける必要がなく、さらに、カート9を持ち上げたまま移動することがないので、消費される電力を低減することができる。
【0051】
切換路13にカート9が進入した際に、カート9に電力を給電するように構成すると、往路11と復路12の両端部でカート9へ給電することができる。この給電方法は例えば、非接触給電やパンダグラフなどの接触式給電などを用いることができる。
【0052】
次に、上記の動作を往路11と復路12の両端部で行う第1の実施の形態のコンテナターミナル1の動作について、
図1を参照しながら説明する。このコンテナターミナル1は、カート9の走行路を、往路11、復路12、切換路13aと13b、及び分岐器14aと14bからなる環状路10にすることで、蔵置レーン2内のコンテナCの運搬を円滑に効率よく行うことができる。
【0053】
例えば、カート9が海側受渡領域3の受渡架台5からコンテナCを受け取り、どちらか一方のヤードクレーン6まで運搬する場合は、カート9は環状路10を右回りに自走する。詳しくは、カート9は、往路11を海側から陸側に向かって自走し、ヤードクレーン6にコンテナCを渡した後に、切換路13bと分岐器14bで、往路11から復路12へ移動し、復路11を陸側から海側に向かって自走して戻る。
【0054】
このとき、往路11では、カート9が海側から陸側へ自走して、復路12へと移動し、一方、復路12でも、カート9が陸側から海側へ自走し、往路11へと戻るため、複数のカート9が環状路10を循環するため、カート9の待機時間が少なく、次々にコンテナCを運搬することができる。
【0055】
ヤードクレーン6からコンテナCを受け取り、陸側受渡領域4の受渡架台5まで運搬する場合は、まずカート9が復路12を陸側から海側へ自走し、切換路13aと分岐器14aで復路12から往路11へ移動し、往路11を海側から陸側へ自走し、ヤードクレーン6からコンテナCを受け取り、陸側受渡領域4の受渡架台5まで運搬する。
【0056】
逆に、陸側受渡領域の受渡架台5からコンテナを受け取る場合と、ヤードクレーン6からコンテナCを受け取り、海側受渡領域3の受渡架台5まで運搬する場合は、カート9は前述と逆向き、つまり環状路10を左回りに自走する。
【0057】
上記のように切換路13と分岐器14で往路11から復路12に、又は復路12から往路11に移動し、カート9の走行路を環状路10にすることができので、カート9が次々にコンテナCを運搬することができる。
【0058】
よって、蔵置レーン2を跨ぎ、蔵置レーン2の長手方向に移動するヤードクレーン6にはコンテナCの吊り上げ下げを担当させ、カート9には蔵置レーン2内でのコンテナCの運搬を担当させることができるので、蔵置レーン2内のコンテナCの運搬を効率良く行うことができ、且つ次々にコンテナCを運搬することができる。これにより、コンテナターミナル1の荷役効率を向上することができる。
【0059】
加えて、往路11と復路12の両端部に円環状の走行路を設けた場合と比べて、往路11と復路12との間の間隔を狭くすることができるので、コンテナターミナル1内に配置することができる蔵置レーン2の数を増やすことができる。
【0060】
この実施の形態では、上記の切換路13と分岐器14以外は、周知の技術のコンテナターミナルを用いることができる。また、往路11と復路12との間にヤードクレーン6の一方の走行路6bを配置すると、蔵置レーン2、往路11、ヤードクレーンの一方の走行路6b、及び復路12の順に並べることができ、配置スペースを小さくすることができる。これにより、複数の蔵置レーン2の並べた場合に、隣接する蔵置レーン2の間隔を短くすることができ、より多くの蔵置レーン2を設置することができる。この配置は、上記の配置に限定しない。例えば、蔵置レーン2、ヤードクレーン6の一方の走行路6b、往路11、及び復路12の順でもよい。
【0061】
また、分岐器14のノーズ24を可動式にすると、ノーズ24とリードレール22aとの間、又はノーズ24とリードレール22bとの間の隙間を無くすことができ、隙間を走行することに発生する衝撃を低減することができる。
【0062】
加えて、転轍機26を、電気転轍機で形成する場合は、カート用センサ16に加えて、往路11から分岐器14への進入口、復路12から分岐器14への進入口にもセンサを設け、各センサの検知する信号によって、電気転轍機を制御すると、三つのセンサで、カート9の走行状態(例えば、往路11から切換路13に進入するなど)を把握し、その状態に合せて転轍機を制御することができる。
【0063】
次に、故障車用路15へ自走不能なカート9aを運ぶ動作について、
図4を参照しながら説明する。ここで自走不能なカートをカート9a、自走可能なカートをカート9bとする。また、故障車用路15に自走不能なカート9aを検知する故障車用センサ18を備える。この実施の形態では往路11上で自走不能になったカート9aを故障車用路15へ進入させる動作を例に説明するが、本発明はこれに限定せず、復路12で自走不能になったカートにも適用することができる。
【0064】
まず、
図4の(a)に示すように、往路11で自走不能になったカート9aを、自走可能で、カート9aを後追いするカート9bが、分岐器14へ向けて押して、自走する(ステップS11)。次に、カート9bがカート9aを押したまま、切換路13を超えて故障車用路15へ進入する(ステップS12)。
【0065】
次に、
図4の(b)に示すように、故障車用センサ18がカート9aを検知する(ステ
ップS13)と、次に、制御装置17がカート9bの自走方向を逆転し、陸側から海側へ自走させる(ステップS14)。次に、
図4の(c)に示すように、カート9bが切換路13から復路12に進入する(ステップS15)。
【0066】
この動作によれば、往路11又は復路12でカート9が故障してもコンテナターミナル1の荷役作業を止めることなく継続することができる。この故障車用路15をカート9aに電力を充電するよう構成すると、電力不足で自走不能になったカート9aに電力を供給して、自走可能にすることができる。
【0067】
次に、本発明に係る第2の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図5を参照しながら説明する。この実施の形態のコンテナターミナル30は、
図1に示すコンテナターミナル1のカート9に換えて、
図5の(a)に示す、カート31を備え、また、
図1に示す分岐器14に換えて、
図5の(b)に示す、分岐器40を備える。
【0068】
カート31は、
図5の(a)に示すように、基台32に、四つの走行装置33a〜33dを備える。この走行装置33aは、内側にフランジを有する車輪34a、駆動装置35a、及び操舵装置36aを備える。この操舵装置36aは制御装置17によって制御され、車輪34aに能動的に舵角を与えることができる。
【0069】
また、分岐器40は、
図5の(b)に示すように、ガードレール41、リードレール42aと42b、及びノーズ43を備える。加えて、このコンテナターミナル30は、往路11から分岐器40の進入口の近傍にカート用センサ16a、復路12から分岐器40の進入口の近傍にカート用センサ16b、及び切換路13にカート用センサ16cを備える。
【0070】
この第2の実施の形態のコンテナターミナルの動作について、
図6を参照しながら説明する。まず、往路11を海側から陸側に自走していたカート31をカート用センサ16aが検知する(ステップS21)。次に、
図6の(a)に示すように、制御装置17がカート30の走行速度を落とす(ステップS22)。このステップS2でカート31の走行速度を落とすと、カート31が分岐器40で脱輪することを防止することができる。若しくは、ノーズ43が可動式の場合は、このステップS2の代わりに、ノーズ43を可動するステップを行ってもよい。
【0071】
次に、前述同様、カート用センサ16cでカート9を検知し、制御装置17がカート31を停止してから、カート31の自走方向を転換する(ステップS33)。次に、切換路13から分岐器40に進入する(ステップS34)と、
図6の(b)に示すように、制御装置17が、操舵装置36a及び36bを動作して、車輪34a及び34bに舵角を与える(ステップS35)。このとき、車輪34aがリードレール42a上を、且つ車輪34bが復路12上を転動するように、舵角を設定する。
【0072】
次に、
図6の(c)に示すように、カート31の向きが復路12の方に向く(ステップS36)と、次に、制御装置17が、操舵装置36c及び36dを動作して、車輪34c及び34dに舵角を与える(ステップS37)。そのままカート31を自走させて、カート用センサ16bがカート31を検知する(ステップS38)と、次に、制御装置17がカート31の走行速度を元に戻す(ステップS39)と、この動作は完了する。
【0073】
この動作によれば、分岐器40に転轍機を備えずに、カート31に操舵装置36a〜36dを備えると、前述と同様に、カート31の自走により、カート31を往路11と復路12の間で移動することができる。
【0074】
次に、本発明に係る第3の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図7及び
図8を参照しながら説明する。第1の実施の形態のコンテナターミナル1の蔵置レーン2に加えて、
図7に示すように、搬入コンテナ領域2aと搬出コンテナ領域2bとを備え、往路11と復路12の両端部に加えて、その搬入コンテナ領域2aと搬出コンテナ領域2bとの境界の延長線2c上の近傍に中間分岐器50を備える。
【0075】
中間交差部50は、
図8に示すように、シーサスクロッシング50で形成され、このシーサスクロッシング50は、渡り線51、渡り線52、及びダイヤモンドクロッシング53を備える。渡り線51は、往路11との交差に分岐器60aと、復路12との交差に分岐器60bとを備え、渡り線52は、往路11との交差に分岐器60cと、復路12との交差に分岐器60dとを備える。
【0076】
分岐器60c(分岐器60a〜60dは同じ構成のため、ここでは分岐器60cを例に説明する)は、トングレール61aと61b、リードレール62aと62b、ウイングレール63aと63b、ノーズ64、ガイドレール65a〜65d、及び転轍機66を備える。動作は第1の実施の形態で説明した分岐器と同様のため、省略する。
【0077】
ダイヤモンドクロッシング53は、リードレール54a〜54d、ガイドレール55aと55b、及びノーズ56aと56bを備える。ノーズ56aと56bを可動式にすると、切れ目を無くすように移動して、衝撃を緩和することができる。
【0078】
この構成によれば、往路11を海側から陸側に自走していたカート9が、分岐器60aから渡り線51に進入し、ダイヤモンドクロッシング53を超えて、分岐器60bから復路12に進入し、そして自走方向を転換して、復路12を陸側から海側に自走することができる。
【0079】
次に、第3の実施の形態のコンテナターミナルの動作について、説明する。
図7に示すように、搬入コンテナ領域2aは、コンテナターミナル1の外部から外来シャーシ8が搬入し、船舶へ積み込まれるコンテナを配置する領域である。また、搬出コンテナ領域2bは、船舶から積み卸しされ、外来シャーシ8がコンテナターミナル1の外部へ搬出するコンテナを配置する領域である。蔵置レーン2の海側を搬入コンテナ領域2aと陸側を搬出コンテナ領域2bとに大まかに区別して配置することでより荷役効率を上げることができる。
【0080】
往路11と復路12の両端部以外に、中間分岐器50としてシーサスクロッシング50を備えると、そのシーサスクロッシング50を境にして、環状路10を、カート9が搬入コンテナ領域2a内を環状に自走する搬入環状路10aと、カート9が搬出コンテナ領域2b内を環状に自走する搬出環状路10bとに分割することができる。
【0081】
ただし、ヤードクレーン6の走行路6bがレールの場合は、
図8に示すように、シーサスクロッシング50と、ヤードクレーン6の走行路6bとが交差するため、ヤードクレーン6の走行路6bをシーサスクロッシング50との交差で途切れるように形成する。また、走行路6bがレール以外の場合は、接続路14cを地面に埋設するように形成すればよい。
【0082】
例えば、事前に外部から搬入されたコンテナを搬入コンテナ領域2aに、また外部へ搬出されるコンテナを搬出コンテナ領域2bに蔵置しておくと、船舶にコンテナを積み込む場合、又は外来シャーシ8で搬出する場合に、荷役作業は搬入コンテナ領域2a、又は搬出コンテナ領域2b内でそれぞれ行われるため、一方で作業が行われている場合に、もう一方では作業が行われていない。
【0083】
そこで、上記の構成によれば、船舶にコンテナを積み込む場合、又は外来シャーシ8で搬出する場合に、カート9が搬入環状路10a又は搬出環状路10bのどちらか一方を環状に自走することで、カート9の走行距離を短くすることができる。これにより、カート9が環状に走行する時間を短縮すると共に、カート9の台数を少なくすることができ、コンテナターミナル1のコストを低減することができる。
【0084】
上記の構成は、例えば、外部から搬入されたコンテナを搬入コンテナ領域2aに、また、船舶から積み卸しされたコンテナを搬出コンテナ領域2bに蔵置するときには、第1の実施の形態と同様の環状路10として用いることができる。
【0085】
また、この実施の形態では、中間分岐器50としてシーサスクロッシング50を用いたが、この中間分岐器50を渡り線51のみで形成してもよい。その場合、カート9の自走方向を逆転する回数が多くなるが、中間分岐器50の構成を単純にすることができるので、コストを低減することができる。
【0086】
次に、本発明に係る第4の実施の形態のコンテナターミナルについて、
図9を参照しながら説明する。このコンテナターミナル70は、第1の実施の形態のコンテナターミナルを海陸方向と直交する方向に並べて配置すると共に、蔵置レーン2cと蔵置レーン2dとの間に二つの往路71aと71bと共有の復路72を配置する構成である。また、このコンテナターミナル70は、往路71a及び71bと、復路72の両端部に切換路73aと73b、分岐器74aと74b、及び共有分岐器75を備える。
【0087】
この切換路73aと73b、及び分岐器74aと74bの構成は第1の実施の形態の切換路と分岐器と同様の構成であり、共有分岐器75は、両開き分岐器、又は振り分け分岐器で形成され、切換路73aと73bの両方から復路72への進入を可能とする。
【0088】
上記の構成によれば、復路72を共有することができるので、蔵置レーン2cと蔵置レーン2dとの間を狭くすることができる。これにより、多くの蔵置レーン2cと2dをコンテナターミナル70に設けることができる。