特許第5953113号(P5953113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ディスコの特許一覧

<>
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000002
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000003
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000004
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000005
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000006
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000007
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000008
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000009
  • 特許5953113-被加工物の分割方法 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953113
(24)【登録日】2016年6月17日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】被加工物の分割方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/301 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   H01L21/78 X
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-113023(P2012-113023)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-239663(P2013-239663A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年4月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】服部 篤
(72)【発明者】
【氏名】川口 吉洋
【審査官】 内田 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−19531(JP,A)
【文献】 特開2007−173587(JP,A)
【文献】 特開2005−109044(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/301
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割起点が形成された被加工物と、該被加工物に貼着されたエキスパンドシートと、該エキスパンドシートの外周が貼着される環状フレームと、からなる被加工物ユニットの該被加工物側を表面とし該エキスパンドシート側を裏面とし、該被加工物を該分割起点に沿って分割して複数のチップを形成するとともに形成された該チップ間の間隔を維持する被加工物の分割方法であって、
前記エキスパンドシートを拡張し、前記被加工物を前記分割起点から分割して複数のチップを形成するとともに形成された該チップ間に間隔を形成する拡張ステップと、
該拡張ステップを実施した後、該拡張ステップで前記エキスパンドシートが拡張されて形成された余剰分を前記被加工物の外周と前記環状フレームの内周との間で前記被加工物ユニットの裏面側に隆起させる余剰分隆起ステップと、
該余剰分隆起ステップを実施した後、前記被加工物ユニットの裏面側に隆起させた前記余剰分を前記環状フレームの裏面側に圧着することで前記チップ間の間隔を維持する圧着ステップと、
を備えることを特徴とする被加工物の分割方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状フレームに貼着されたエキスパンドシートを拡張することにより該エキスパンドシートに貼着され分割起点が形成されている板状の被加工物を分割起点に沿って分割し、複数のチップを得る被加工物の分割方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス製造工程においては、円板状の半導体ウェーハの表面に格子状の分割予定ラインによって多数の矩形領域を区画し、これら矩形領域の表面にICやLSI等の電子回路を形成し、次いで裏面を研削した後に研磨するなど必要な処理をしてから、分割予定ラインに沿ってウェーハを個々の矩形領域に分割し、多数の半導体チップを得ている。このようにして得られた半導体チップは、裏面にエポキシ樹脂等からなる厚さが例えば数μm〜100μm程度のDAF(Die Attach Film)と称されるダイボンディング用のフィルム状接着剤が貼着され、このDAFを介して、半導体チップを支持するダイボンディングフレームに対し加熱することによりボンディングされる。
【0003】
一方、上記半導体ウェーハ等の板状の被加工物を分割する方法としては、被加工物の分割予定ラインに沿ってフルカットで切断する他に、分割予定ラインに沿って強度を低下させた分割起点を形成してから被加工物に外力を付与して被加工物を割断するといった方法も採用されてきている。分割起点は、切削ブレードで切削したりレーザビームを照射したりして形成した溝が挙げられる。また、近年では、透過性を有するレーザビームを被加工物の内部に照射して改質層を形成し、この改質層を起点として被加工物を分割するといった方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1に記載される分割方法においては、分割起点が形成された被加工物に、環状フレームに貼着されたエキスパンドシートを貼着して被加工物を環状フレームを介して支持可能なものとし、エキスパンドシートを拡張することで被加工物に外力を付与して多数のチップに分割している。エキスパンドシートは、環状フレームと被加工物とを、被加工物の表面と直交する方向に相対的に離間するように動かすことにより拡張され、分割された個々のチップ間には間隔が形成された状態となる。
【0005】
ここで、環状フレーム内のエキスパンドシートを拡張したままであると、エキスパンドシートには弛みすなわち余剰分が生じているためハンドリングの際などにおいて隣り合うチップどうしが接触し、チップに欠けなどの損傷が生じるおそれがある。そこで、上記特許文献1に記載される分割方法においては、エキスパンドシートにおける被加工物の外周縁と環状フレームの内周縁との間の領域を加熱して収縮させることでエキスパンドシートの余剰分を実質的に除去し、チップ間の間隔を維持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−206136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、エキスパンドシートの種類によっては、加熱しても充分に収縮せず、チップ間の間隔を維持することができない場合がある。チップ間に充分な間隔が形成されないと、上記のようにハンドリングの際などにおいてチップどうしが接触して損傷するおそれが生じる。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その主たる課題は、エキスパンドシートの種類によらず、被加工物を分割して形成したチップ間の間隔を維持してチップが損傷するおそれを低減することができる被加工物の分割方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の被加工物の分割方法は、分割起点が形成された被加工物と、該被加工物に貼着されたエキスパンドシートと、該エキスパンドシートの外周が貼着される環状フレームと、からなる被加工物ユニットの該被加工物側を表面とし該エキスパンドシート側を裏面とし、該被加工物を該分割起点に沿って分割して複数のチップを形成するとともに形成された該チップ間の間隔を維持する被加工物の分割方法であって、前記エキスパンドシートを拡張し、前記被加工物を前記分割起点から分割して複数のチップを形成するとともに形成された該チップ間に間隔を形成する拡張ステップと、該拡張ステップを実施した後、該拡張ステップで前記エキスパンドシートが拡張されて形成された余剰分を前記被加工物の外周と前記環状フレームの内周との間で前記被加工物ユニットの裏面側に隆起させる余剰分隆起ステップと、該余剰分隆起ステップを実施した後、前記被加工物ユニットの裏面側に隆起させた前記余剰分を前記環状フレームの裏面側に圧着することで前記チップ間の間隔を維持する圧着ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、拡張ステップでエキスパンドシートを拡張して被加工物をチップに分割した後、拡張により形成されたエキスパンドシートの余剰分を、余剰分隆起ステップで被加工物ユニットの裏面側に隆起させ、この隆起させた余剰分を圧着ステップで被加工物ユニットの裏面側に圧着することにより、エキスパンドシートの余剰分が実質的に除去される。余剰分を圧着するため、加熱によって収縮しにくいエキスパンドシートでも余剰分を除去することができ、よってチップ間の間隔を維持することが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、エキスパンドシートの種類によらず、被加工物を分割して形成したチップ間の間隔を維持してチップが損傷するおそれを低減することができる被加工物の分割方法が提供されるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係る分割方法で分割加工される半導体ウェーハ(被加工物)を備えたウェーハユニット(被加工物ユニット)の、(a)斜視図、(b)断面図である。
図2】一実施形態の分割方法が実施される分割装置にウェーハユニットをセットした状態を示す側断面図である。
図3】同分割方法の拡張ステップを示す側断面図である。
図4】同分割方法の余剰分隆起ステップを示す側断面図である。
図5】余剰分隆起ステップで形成した表面側の余剰分を裏面側に突出させる方法の一例を示す側断面図である。
図6】同突出させる方法の他の例を示す側断面図である。
図7】同分割方法の圧着ステップを示す側断面図である。
図8】同分割方法の余剰分隆起ステップの他の方法を示す側断面図である。
図9図8の方法で裏面側に突出された余剰分を圧着する圧着ステップを示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、一実施形態に係るウェーハユニット(被加工物ユニット)5を示している。ウェーハユニット5は、分割加工が施されるデバイス用ウェーハ(被加工物)1と、ウェーハ1に貼着されたエキスパンドシート11と、エキスパンドシート11の外周が貼着された環状フレーム10とから構成される。
【0014】
[1]ウェーハユニット
ウェーハ1は、厚さが例えば数百μm程度の円板状の半導体ウェーハ等である。ウェーハ1には格子状の分割予定ライン2によって複数の矩形領域3が設定されており、これら矩形領域3の表面1a側に、例えばICやLSIからなる電子回路が形成されている。
【0015】
ウェーハ1の裏面1bには環状フレーム10に貼着された円形状のエキスパンドシート11が貼着され、ウェーハ1は表面1a側が露出した状態とされる。そして、エキスパンドシート11の外周が環状フレーム10に貼着されてウェーハユニット5が構成される。環状フレーム10はステンレス等の剛性を有する金属板等からなるもので、ウェーハ1は、環状フレーム10およびエキスパンドシート11を介してハンドリングされる。
【0016】
エキスパンドシート11は、常温では伸縮性を有し、かつ、所定温度(例えば70℃程度)以上に加熱されると収縮する特性を有する基材の片面に、粘着層が形成されたものが用いられる。基材としては、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリオレフィン等の合成樹脂シートが挙げられる。ウェーハ1と環状フレーム10は、片面の粘着層に貼着される。ウェーハ1は、環状フレーム10の円形状の内周縁10aに対し同心状に配設され、ウェーハ1の外周縁1cと環状フレーム10の内周縁10aとの間には、エキスパンドシート11の環状領域11aが形成される。
【0017】
図1(b)に示すように、ウェーハ1の内部には、分割予定ライン2に沿って改質層4が予め形成されている。改質層4は透過性を有する所定波長のパルスレーザビームをウェーハ1の内部に集光点を合わせて照射することにより形成される。改質層4はウェーハ1の他の部分と比較して強度が低下しており、分割起点となる。
【0018】
なお、本実施形態ではウェーハ1の分割予定ライン2に沿った分割起点を改質層4としているが、分割起点は改質層4に限られず、切削ブレードで切削したりレーザビームを照射したりして形成した溝等であってもよい。
【0019】
[2]分割装置
次に、上記ウェーハ1を改質層4を分割起点として分割予定ライン2に沿って分割し、複数のチップを形成するとともに形成されたチップ間の間隔を維持する一実施形態の分割方法を説明する。一実施形態では、図2に示す分割装置20を用いてウェーハ1を分割する。まず、この分割装置20の構成を説明する。
【0020】
分割装置20は、ウェーハ1が載置されるテーブル30と、テーブル30の周囲に配設された環状フレーム10が載置される環状の昇降テーブル40と、テーブル30上に負圧を発生させるための吸引源50とを備えている。
【0021】
テーブル30は、円筒枠体31の内部の上端部に、円板状の底板32上に支持された状態で多孔質体からなる円板状の吸引部33が固定された構成を有する。吸引部33の上面がウェーハ支持面331となっており、ウェーハ支持面331は、ウェーハ1よりも径が大きく、かつ、環状フレーム10の内径よりも小さい径に設定されている。吸引部33の支持面331と円筒枠体32の上面とは、面一に構成されている。
【0022】
底板32の中心には、吸引部33に連通する吸引通路321が貫通形成されており、この吸引通路321には、配管51を介して、空気を吸引する真空ポンプ等からなる吸引源50が接続されている。また、配管51の途中には開閉バルブ52が介在されている。開閉バルブ52を開いて吸引源50が運転されると吸引部33内が負圧となり、支持面331に載置されるウェーハ1が支持面331に吸引保持される。
【0023】
昇降テーブル40はテーブル30の周囲にテーブル30と同心状に、かつ、昇降可能に配設されており、シリンダ本体451からピストンロッド452が上方に延びる複数のシリンダ45のピストンロッド452の伸縮により昇降する。シリンダ45は、エア圧や油圧を用いた流体圧シリンダが用いられる。昇降テーブル40には複数の可動式のクランプ41が取り付けられており、これらクランプ41によって、昇降テーブル40に載置された環状フレーム10が押さえつけられて固定状態となる。
【0024】
[3]分割方法
次いで、上記分割装置20を用いて行う一実施形態の分割方法を説明する。
【0025】
(1)拡張ステップ
図2に示すように、分割装置20の昇降テーブル40の高さ位置をテーブル30と同じとし、ウェーハユニット5を、エキスパンドシート11を下側に配した状態で、ウェーハ1をテーブル30の支持面331に同心状に載置するとともに、環状フレーム10を昇降テーブル40上に載置する。この状態で、円筒枠体31の外周縁は、エキスパンドシート11の環状領域11aの中間部分に位置する。次いで、クランプ41によって環状フレーム10を昇降テーブル40に固定してから、図3に示すように各シリンダ45のピストンロッド452を縮小して昇降テーブル40を下降させる。
【0026】
昇降テーブル40が下降すると、エキスパンドシート11は径方向外側に拡張される。エキスパンドシート11の拡張に伴い、ウェーハ1には径方向外側に引っ張られる外力が付与され、改質層4を起点としてウェーハ1は分割予定ライン2に沿って割断される。すなわちウェーハ1は、各矩形領域3に分割されて複数のチップ3Aに個片化される。各チップ3Aの間には、エキスパンドシート11の拡張により間隔が形成される。
【0027】
(2)余剰分隆起ステップ
ウェーハ1が複数のチップ3Aに分割されたら、開閉バルブ52を開くとともに吸引源50を運転し、各チップ3Aをエキスパンドシート11ごとテーブル30の支持面331に吸引保持する。これにより、チップ3Aは支持面331にチップ3A間の間隔が保持された状態で固定された状態となる。この状態から、図4に示すように、各シリンダ45のピストンロッド452を伸長して昇降テーブル40をテーブル30と同じ高さに戻す。
【0028】
この動作により、チップ3Aに分割されたウェーハ1の外周縁1cと環状フレーム10の内周縁10aとの間の距離が縮まるので、この間のエキスパンドシート11の環状領域11aの拡張状態が解除される。このため図4に示すようにエキスパンドシート11の環状領域11aには余剰分11bが生じ、その余剰分11bはウェーハユニット5の表面5a側すなわち上側に隆起して互いに重なった状態に形成される。
【0029】
(3)圧着ステップ
次に、上方に隆起した余剰分11bをウェーハユニット5の裏面5b側すなわち下側に裏返してウェーハユニット5の裏面5b側に隆起させ、その余剰分11bを環状フレーム10の裏面側に圧着させる。
【0030】
余剰分11bをウェーハユニット5の裏面5b側に隆起させるには、例えば図5に示すように上記吸引源50から分岐させた吸引経路53の先端に取り付けたエア吸引ノズル61を余剰分11bの下側に位置付けて余剰分11bを吸引する方式が挙げられる。また、図6に示すように、余剰分11bの上方に位置付けたエア噴出ノズル62から下方の余剰分11bにエアを噴出し、エア圧で余剰分11bを裏面5b側に隆起させる方式も可能である。
【0031】
上記のような方法でウェーハユニット5の裏面5b側に余剰分11bを隆起させたら、図7に示すように余剰分11bを環状フレーム10側に倒し、環状フレーム10に貼着されている部分のエキスパンドシート11に圧着させる。この場合は、エア噴出ノズル62から噴出させたエア圧で余剰分11bを環状フレーム10側に倒し、その状態を保持して、下側から昇降可能とされたヒータ70を上昇させて、加熱状態のヒータ70を余剰分11bに押し付け、余剰分11bを環状フレーム10の裏面側のエキスパンドシート11に折りたたんだ状態として圧着する。余剰分11bが圧着されたらヒータ70を下降させ、処理が完了となる。
【0032】
ヒータ70の加熱温度は、例えば130〜140℃程度に設定される。また、エキスパンドシート11に接触するヒータ70の圧着面は、圧着後にエキスパンドシート11から剥離しやすいようにコーティング(例えばタフラムコーティング、「タフラム」は商標)が施されたり、微小な凹凸が形成されたりしたものとすることが好ましい。
【0033】
図7に示した圧着ステップの方法は一例であり、この他には、図8に示すようにウェーハユニット5の表面5a側のエア噴出ノズル62から噴出するエアの方向を外周側に傾斜させることにより、余剰分11bを環状フレーム10の裏面側に斜めに隆起させ、この状態を保持して、図9に示すようにヒータ70で余剰分11bを環状フレーム10の裏面に押し付けて圧着する方法でも可能である。
【0034】
余剰分11bを環状フレーム10の裏面側に向けて斜めに隆起させる方法としては、表面5a側に隆起させた余剰分11bを適宜な道具を用いて裏面側に押し込んだり、上記エア吸引ノズル61を用いて吸引したりする方法を用いてもよい。このように余剰分11bを環状フレーム10の裏面側に向けて斜めに隆起させ圧着する方法では、余剰分11bの裏面側への隆起と圧着とを一連の動作で円滑に進めることができるといった利点がある。
【0035】
上記圧着ステップは、エキスパンドシート11の環状領域11aの複数箇所に対して、順次行うか、または同時に行う。圧着箇所は2箇所でもよいが、円周等分の複数箇所が好ましく、例えば4〜8箇所を圧着する。
【0036】
圧着ステップを終えたら、チップ3Aに分割されたウェーハ1のテーブル30への吸引保持を解除し、クランプ41による環状フレーム10の固定を解除すると、環状フレーム10をハンドリングしてウェーハ1を搬出することができる。拡張されたエキスパンドシート11にあっては、環状領域11aに形成された余剰分11bの複数箇所を環状フレーム10の裏面側に圧着することで、環状フレーム10の内側でのテンションが維持され、したがってチップ3A間の間隔が維持され、チップ3Aどうしが接触することが起こらない。
【0037】
[4]作用効果
上記実施形態によれば、ウェーハ1を複数のチップ3Aに分割した後、ウェーハ1をテーブル30に吸引保持した状態で、昇降テーブル40を下降させてエキスパンドシート11を拡張してウェーハ1を複数のチップ3Aに分割している。そして、エキスパンドシート11の拡張を解除して形成されたエキスパンドシート11の余剰分11bの複数箇所をウェーハユニット5の裏面5a側に隆起させ、隆起した余剰分11bを裏面側に圧着することにより、余剰分11bが実質的に除去され、これにより環状フレーム10内のエキスパンドシート11のテンションが維持される。
【0038】
このような方法により、加熱によって収縮しにくいエキスパンドシート11であっても余剰分11bを除去することができ、よってチップ3A間の間隔を維持することが可能となる。その結果、ハンドリング時においてチップ3Aどうしの接触が起こらず、チップ3Aが損傷するおそれが低減する。
【符号の説明】
【0039】
1…ウェーハ(被加工物)
3A…チップ
4…改質層(分割起点)
5…ウェーハユニット(被加工物ユニット)
5a…ウェーハユニットの表面
5b…ウェーハユニットの裏面
10…環状フレーム
11…エキスパンドシート
11b…余剰分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9