(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施例では、主に、半導体パターンの形状を評価する画像評価方法、装置、及びコンピュータープログラムにおいて、設計データと評価するパターンの2つのパターン形状を表示する表示部と、前記表示部をユーザーが目視して、パターン形状の評価値を入力する目視評価入力部と、前記2つのパターン形状を用いて複数の特徴量を算出する特徴量算出部と、前記目視評価値入力部の値と前記特徴量算出部の複数の特徴量を用いてパターン形状の評価値を計算する計算式を求めて、パターン形状の評価値を得る方法、装置、及びコンピュータープログラムについて説明する。
【0012】
上記構成によれば、目視評価に沿った欠陥の度合い、または良品らしさの評価値(スコア値)を自動的に得ることができ、プロセスやパターンによる欠陥、若しくは不良の判定閾値の変更が目視に沿って精度良く実現できる。
【0013】
以下に説明する実施例にて例示する画像評価装置は、2次元形状の画像について、良品らしさの目視による評価値と同等のスコア値を算出する手法、及び装置に関するものである。また、その具体的な一例として、設計データと濃淡画像から得る輪郭線データとから、良品らしさの目視による評価値と同等のスコア値を得るための算出式を求める。また、得た算出式を用いて評価する例を示す。また、良品らしさの目視による評価値をユーザーが設定する例を示す。
【0014】
また、設計データと濃淡画像から得る輪郭線データとから、特徴量を抽出する際に、パターンの部位毎に分けて特徴量を求め、各部位毎の特徴量と良品らしさの目視による評価値とから、部位毎にスコアを計算して、求めた部位毎のスコアを統合して、画像全体のスコアを求める例についても説明する。
【0015】
また、予め大きな欠陥、明らかな欠陥は検出し、スコア計算を行わないようにし、それ以外の画像データについてのみスコア計算を行う例についても説明する。
【0016】
上述の実施例によれば、目視評価と同等の良品らしさの判別が自動で行うことが可能となる。
【0017】
以下に、設計データと濃淡画像から得る輪郭線データとから、良品らしさの目視による評価値と同等のスコア値を得るための算出式を求め、求めた算出式を用いて画像を評価する機能を備えた装置、測定検査システムについて、図面を用いて説明する。より具体的には、測定装置の一種である測長用走査電子顕微鏡(Critical Dimension-Scanning Electron Microscope:CD−SEM)を含む装置、システムについて説明する。
【0018】
なお、以下の説明では、撮像装置として荷電粒子線装置を例示すると共に、その一態様として、SEMを用いた例を説明するが、これに限られることはなく、例えば試料上にイオンビームを走査して画像を形成する集束イオンビーム(Focused Ion Beam:FIB)装置を荷電粒子線装置として採用するようにしても良い。但し、微細化が進むパターンを高精度に測定するためには、極めて高い倍率が要求されるため、一般的に分解能の面でFIB装置に勝るSEMを用いることが望ましい。
【0019】
図18は、複数の測定、或いは検査装置がネットワークに接続された測定、検査システムの概略説明図である。当該システムには、主に半導体ウエハやフォトマスク等のパターン寸法を測定するCD−SEM2401、試料に電子ビームを照射することによって、画像を取得し当該画像と予め登録されている参照画像との比較に基づいて欠陥を抽出する欠陥検査装置2402がネットワークに接続された構成となっている。また、ネットワークには、半導体デバイスの設計データ上で、測定位置や測定条件等を設定する条件設定装置2403、半導体デバイスの設計データと、半導体製造装置の製造条件等に基づいて、パターンの出来栄えをシミュレーションするシミュレーター2404、及び半導体デバイスのレイアウトデータや製造条件が登録された設計データが記憶される記憶媒体2405が接続されている。
【0020】
設計データは例えばGDSフォーマットやOASISフォーマットなどで表現されており、所定の形式にて記憶されている。なお、設計データは、設計データを表示するソフトウェアがそのフォーマット形式を表示でき、図形データとして取り扱うことができれば、その種類は問わない。また、記憶媒体2405は測定装置、検査装置の制御装置、或いは条件設定装置2403、シミュレーター2404に内蔵するようにしても良い。なお、CD−SEM2401、及び欠陥検査装置2402には、それぞれの制御装置が備えられ、各装置に必要な制御が行われるが、これらの制御装置に、上記シミュレーターの機能や測定条件等の設定機能を搭載するようにしても良い。
【0021】
SEMでは、電子源より放出される電子ビームが複数段のレンズにて集束されると共に、集束された電子ビームは走査偏向器によって、試料上を一次元的、或いは二次元的に走査される。
【0022】
電子ビームの走査によって試料より放出される二次電子(Secondary Electron:SE)或いは後方散乱電子(Backscattered Electron:BSE)は、検出器により検出され、前記走査偏向器の走査に同期して、フレームメモリ等の記憶媒体に記憶される。このフレームメモリに記憶されている画像信号は、制御装置内に搭載された演算装置によって積算される。また、走査偏向器による走査は任意の大きさ、位置、及び方向について可能である。
【0023】
以上のような制御等は、各SEMの制御装置にて行われ、電子ビームの走査の結果、得られた画像や信号は、通信回線ネットワークを介して条件設定装置2403に送られる。なお、本例では、SEMを制御する制御装置と、条件設定装置2403を別体のものとして、説明しているが、これに限られることはなく、条件設定装置2403にて装置の制御と測定処理を一括して行うようにしても良いし、各制御装置にて、SEMの制御と測定処理を併せて行うようにしても良い。
【0024】
また、上記条件設定装置2403或いは制御装置には、測定処理を実行するためのプログラムが記憶されており、当該プログラムに従って測定、或いは演算が行われる。また、以下に説明する実施例では、条件設定装置2403に、必要な情報をオペレーターに知らせるための表示装置、入力装置、及び後述する演算式を作成する演算装置が設けられている例について説明するが、これに限られることなく、後述する処理を実行させるコンピュータープログラムを汎用のコンピューターの記憶媒体に記憶させた上で、後述する表示、入力処理、及び演算処理を行わせるようにしても良い。
【0025】
また、条件設定装置2403は、SEMの動作を制御するプログラム(レシピ)を、半導体の設計データに基づいて作成する機能が備えられており、レシピ設定部として機能する。具体的には、設計データ、パターンの輪郭線データ、或いはシミュレーションが施された設計データ上で所望の測定点、オートフォーカス、オートスティグマ、アドレッシング点等のSEMにとって必要な処理を行うための位置等を設定し、当該設定に基づいて、SEMの試料ステージや偏向器等を自動制御するためのプログラムを作成する。
【0026】
図19は、走査電子顕微鏡の概略構成図である。電子源2501から引出電極2502によって引き出され、図示しない加速電極によって加速された電子ビーム2503は、集束レンズの一形態であるコンデンサレンズ2504によって、絞られた後に、走査偏向器2505により、試料2509上を一次元的、或いは二次元的に走査される。電子ビーム2503は試料台2508に内蔵された電極に印加された負電圧により減速されると共に、対物レンズ2506のレンズ作用によって集束されて試料2509上に照射される。
【0027】
電子ビーム2503が試料2509に照射されると、当該照射個所から二次電子、及び後方散乱電子のような電子2510が放出される。放出された電子2510は、試料に印加される負電圧に基づく加速作用によって、電子源方向に加速され、変換電極2512に衝突し、二次電子2511を生じさせる。変換電極2512から放出された二次電子2511は、検出器2513によって捕捉され、捕捉された二次電子量によって、検出器2513の出力Iが変化する。この出力Iに応じて図示しない表示装置の輝度が変化する。例えば二次元像を形成する場合には、走査偏向器2505への偏向信号と、検出器2513の出力Iとの同期をとることで、走査領域の画像を形成する。また、
図19に例示する走査電子顕微鏡には、電子ビームの走査領域を移動する偏向器(図示せず)が備えられている。
【0028】
なお、
図19の例では試料から放出された電子を変換電極にて一端変換して検出する例について説明しているが、無論このような構成に限られることはなく、例えば加速された電子の軌道上に、電子倍像管や検出器の検出面を配置するような構成とすることも可能である。制御装置2514は、走査電子顕微鏡の各構成を制御すると共に、検出された電子に基づいて画像を形成する機能や、ラインプロファイルと呼ばれる検出電子の強度分布に基づいて、試料上に形成されたパターンのパターン幅を測定する機能を備えている。
【0029】
次に、画像認識を行うための画像評価装置1の一態様を説明する。画像評価装置1は、制御装置2514内に内蔵、或いは画像処理を内蔵された演算装置にて実行することも可能であるし、ネットワークを経由して、外部の演算装置(例えば条件設定装置2403)にて画像評価を実行することも可能である。
【0030】
図1は、設計データとSEM画像及びユーザーが設定する目視評価値に基づいて半導体パターンの良品らしさのスコア値を求めるための計算式を生成する画像評価装置1の一例を説明する図である。
【0031】
画像データ記憶部11には半導体パターンをSEMで撮影した画像(SEM像)の画像データが記憶されている。この画像データに対して輪郭線データ生成部12でパターンの輪郭線(2次元形状)データを得る。設計データ記憶部10には画像認識(マッチング)の対象となるSEM像のパターンに対応する設計データ(レイアウトデータ)が記憶されている。輪郭線データ生成部12で得た輪郭線データと、設計データ記憶部10のSEM像のパターンに対応する設計データから得たパターンの輪郭線(2次元形状)データを、表示部13に表示する。
【0032】
さらに、表示部13で表示された設計データから得た2次元形状データと、輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データをユーザーが目視で比較、確認し、設計データから得た2次元形状データを基準に良品らしさの目視評価値を目視評価値入力部14で入力する。一方、特徴量算出部15では設計データから得た2次元形状データと、輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データを比較して、それらの形状の差に基づいて複数の特徴量を得る。そして、スコア算出部16では、目視評価値入力部14で得た目視評価値と、特徴量算出部15で得た複数の特徴量を用いて、目視による良品らしさに沿ったスコア値を得るための計算式を得る。
【0033】
本実施例では、SEM画像について輪郭線化処理を行うことによって形成した輪郭線データを目視評価対象とする例について説明しているが、これに限られることはなく、例えばSEM画像を評価対象とするようにしても良い。SEM画像に基づいた評価を行った上で、輪郭線化を行い、当該輪郭線データを後述する演算式導出に用いるようにしても良い。
【0034】
ここでは、画像データ記憶部11の画像から輪郭線という形状データを得るために輪郭線データ生成部12を設けているが、例えば、画像データ記憶部11に予め輪郭線等の形状データを記憶していれば、輪郭線データ生成部12は設ける必要が無い。また、設計データは外部の記憶媒体2405から読み出すようにしても良い。また、輪郭線データ生成部12は、エッジ検出フィルタや、2値化して細線化フィルタを行う等、公知技術で実現できるため、説明は除く。SEMで撮影する画像は撮影条件や帯電による影響でホワイトバンド幅の変動や帯引き等が起こり、目視の濃淡画像の比較では小さな差分は判別が困難である。そのため、撮影条件による濃淡変動の影響が少ない輪郭線情報に変換して、比較することで差分を見易くする。
【0035】
表示部13には
図2に示すように設計データから得た2次元形状データの画像13Aとし、輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データの画像13Bとした場合、設計データから得た2次元形状データ13Aとパターンの輪郭線(2次元形状)データ13Bを重ねた画像13Cが表示される。2つの輪郭線を重ねて表示させて比較することで小さな形状の違いも目視で容易に確認ができる。
【0036】
図3に目視評価値入力部14の一例を示す。ここで5段階の評価値を入力する例を示す。
図2の設計データから得た2次元形状データの画像13Aの形状に、パターンの2次元形状データを重ねた画像について、左から出来栄えの悪いパターンを評価値1として、順に右方向へ評価値2〜5と出来栄えの良いパターンを示している。入力する目視評価値の基準はユーザーが決める。数値を入力する際、キーボードを目視評価値入力部14として数値を入力する、または表示部13に1から5の数値を表示させて目視評価値入力部14として、カーソルを移動させて対応する数値を入力することも考えられる。または、表示部13に目視評価値入力部(スライダー)141を表示させて1から5段階をスライドさせて設定することも考えられる。さらに、設定する数値は整数値ではなく、評価値3.8等の実数値を設定することも考えられる。また、ここでは評価値は1〜5の範囲で指定しているが、それに限らず、1〜10の範囲でもよいし、整数や実数で取りうる範囲で設定してよい。但し、パターンや形状の良品らしさの順に大きい値、若しくは、小さい値を設定する。パターンや形状の良品らしさの順に対応する複数の数値を用いる。
【0037】
また、目視評価値を入力する際に、予め断線、接触等の良品らしさの基準として、例えば、
図3に示すような、各断線、接触等に係る目視評価値1から目視評価値5までの一例の画像をユーザーが決めて、表示部3に表示して置き、目視評価値を入力する際に参考にすることが考えられる。表示する画像は設計データから得た輪郭線とその輪郭線を拡大縮小した画像を重ねた画像でもよいし、設計データから得た輪郭線とパターンの輪郭線を重ねた画像でもよい。また、パターンの輪郭線と設計データから得た輪郭線を用いてモーフィング等の処理を行って得た画像を用いることも考えられる。それらの画像をそれぞれの目視評価値の基準として登録することが考えられる。また、断線、接触だけでなくパターン崩れや、シュリンク等も同様に目視評価値1から目視評価値5までの一例の画像を表示することが考えられる。また、断線、接触、パターン崩れや、シュリンクのそれぞれの目視評価値の基準を表示すると見にくいので、目標評価値を入力するパターンに関係する例えば、断線に近いパターン画像の場合は断線のそれぞれの目視評価値の基準だけを表示させることも考えられる。その時は、断線、接触、パターン崩れ、シュリンクに対応するスイッチを押して表示させることが考えられる。また、
図20に示すように目視評価値を付けたパターンの画像に対してその目視評価値の対応がとれるようにすることが考えられる。また付けた目視評価値順に画像を並べて表示させて、目視評価値を付け終わった後の画像に対して目視評価値を見直すことが容易にできるようにすることも考えられる。
【0038】
図21は、目視評価値を選択するGUI(Graphical User Interface)画面の一例を示す図である。画面左側は目視評価対象となる輪郭線データ(Contour)、或いは電子顕微鏡画像(SEM image)が表示できるウィンドウと、ポインティングデバイスにて選択した輪郭線データ等の直線部位(Line)、端点部位(Line End)、コーナー(Corner)の設計データに基づく線分と輪郭線との間の距離等の特徴量を表示するウィンドウが設けられている。また、画面右側には目視評価値(ここではDefect Levelと表示)ごとに、個別のウィンドウが設けられている。左側のウィンドウから、ポインティングデバイス等を利用して、右側のウィンドウに輪郭線データを移動することによって、輪郭線データ等と目視評価値を関連付けて記憶できるようになっている。このように、目視評価値を数値として入力するのではなく、予め設定した各評価指標値を評価結果として選択することによって、数値入力に代えるようにしても良い。
【0039】
また、右側のウィンドウの欠陥レベルごとのウィンドウにはそれぞれ、選択済みの輪郭線データを表示する表示欄2101と、選択済みの輪郭線データのうち、代表的なデータを表示する表示領域2102が設けられている。
【0040】
表示領域2102には、例えば対象となる欠陥レベルの中で、平均値を持つ輪郭データや、選択した複数の輪郭線データの対応点間の差分から平均値を求め、当該平均値位置を繋ぎ合わせて作成した合成平均輪郭線等を表示する。このような表示を行うことによって、オペレーターは、過去の選択データを確認しつつ、欠陥レベルを判定することができるので、過去の選択との齟齬なく、新たな選択を行うことが可能となる。また、
図21に例示するように、各レベルの特徴量の最大値と最小値を示す輪郭データを併せて表示しておくようにすることによっても、オペレーターは過去の選択データを参照しつつ、新たな選択を行うことが可能となる。
【0041】
図4に特徴量算出部15の実施例を示す。設計データから得た2次元形状データと、パターンの2次元形状データを用いて直線検出部151で、直線の部位を検出し、その領域を記憶する。コーナー検出部152で、コーナーの部位を検出し、その領域を記憶する。さらに、端点検出部153で、端点の部位を検出し、その領域を記憶する。直線検出部151で記憶した直線部に相当する画像領域から特徴量算出部154で複数の特徴量を抽出する。また、コーナー検出部152で記憶したコーナー部に相当する画像領域について特徴量算出部155で複数の特徴量を抽出する。また、端点検出部153で記憶した端点部に相当する画像領域について特徴量算出部156で複数の特徴量を抽出する。直線検出部151、コーナー検出部152、端点検出部153では設計データの2次元形状データから
図5に示すような直線(a)、コーナー(b)、端点(ラインエンド)(c)、に相当する輪郭線の部位を検出する。各部位の検出は直線(a)、コーナー(b)、端点(c)の形状のテンプレートを用いてパターンマッチングで検出が可能である。ここではコーナーは直角としているが、設計データの2次元形状データが角の部分が丸くなっている場合は、角の部分が丸い形状のテンプレートを用いて検出する。また、検出する部位は直線とそれ以外の2つにしても効果がある。また、斜め線や、丸いパターンを検出する等、検出する部位を増やすことも考えられる。また、コーナーでも内側と外側で分けることも考えられる。領域はマッチングで位置を検出して、その検出位置を基準に予め定めた範囲、例えば周囲数十画素を部位の領域として記憶することが考えられる。予め定めた範囲はユーザーが自由に調整でき、また部位毎に変えることが考えられる。
【0042】
特徴量算出部154では
図6の(a)のように直線部位の画像領域内で、設計データから得た2次元形状データAと、パターンの2次元形状データBの形状の差を求める。まず、2つの2次元形状データの対応位置で重ねて2次元形状データAの各画素に対応する2次元形状データBの画素を求めて、その画素間の距離Lを求める。直線部位の画像領域の全輪郭画素で行っても良いし、間引いてもよい。複数点で求めたLの平均値、分散や標準偏差、最大値、最小値等、複数の特徴量を求める。
【0043】
特徴量算出部156でも
図6の(b)のように端点部位の画像領域内で、2次元形状データAの各画素に対応する2次元形状データBの画素間の距離Lを複数点で求め、Lの平均値、分散や標準偏差、最大値、最小値等、複数の特徴量を求める。
【0044】
特徴量算出部155も同様にコーナー部位の画像領域内でLの平均値、分散や標準偏差、最大値、最小値等、複数の特徴量を求める。
【0045】
例えば、
図7のように各部位で検出された場合、直線部は151a,152a,153a,154aの4つの領域を1つの領域として纏めて全領域で求めたLの平均値、その分散や標準偏差、最大値、最小値等の複数の特徴量を求める。
【0046】
また、コーナー部は15bの領域でLの平均値、分散や標準偏差、最大値、最小値等の複数の特徴量を求める。
【0047】
端点部は151c,152cの2つの領域を1つの領域として纏めてLの平均値、分散や標準偏差、最大値、最小値等の複数の特徴量を求める。ここで、各部位で複数領域を1つの領域に纏めて特徴量を求めるが、例えば、各部位の複数の領域毎に特徴量を求めて、平均化することも考えられる。また、複数の領域毎に求めた特徴量の最大値を選ぶことも考えられるし、最小値を選んでも良い。また、複数ある特徴量によって平均値、最大値、最小値と変えてもよい。例えば、平均値、分散や標準偏差は複数領域で求めた平均値、最大値は複数領域で求めた最大値、最小値は複数領域で求めた最小値とすることが考えられる。複数領域で求めた平均値を求める際は領域の面積または領域内の設計データから得た2次元形状データ(輪郭画素)数で重みを付けて加算し、平均を求めることも考えられる。
【0048】
図8にスコア計算式生成部の実施例を示す。計算式生成部161では直線部位の特徴量算出部で得た複数の特徴量とユーザーが入力した目視評価値を用いて、直線部位の複数の特徴量からユーザーが入力した目視評価値が得られるような計算式を生成する。
【0049】
計算式生成部162ではコーナー部位の特徴量算出部で得た複数の特徴量とユーザーが入力した目視評価値を用いて、コーナー部位の複数の特徴量からユーザーが入力した目視評価値が得られるような計算式を生成する。
【0050】
計算式生成部163では端点部位の特徴量算出部で得た複数の特徴量とユーザーが入力した目視評価値を用いて、端点部位の複数の特徴量からユーザーが入力した目視評価値が得られるような計算式を生成する。計算式を求める際は、設計データから得た2次元形状データと、パターンの2次元形状データを複数枚、用いて計算式を求める。
【0051】
計算式は回帰分析を用いて、ユーザーが入力した目視評価値を目的変数とし、部位で求めた複数の特徴量を説明変数として求めることができる。具体的には、複数の特徴量をX1,X2,X3とし、それぞれの重み(係数)W1,W2,W3とした場合、スコア値を求める計算式(式1)は、
スコア値=W1*X1+W2*X2+W3*X3 …式1
となる。また、それ以外にも線形計画法を用いて求めることが考えられる。
【0052】
以上で、目視評価値と同等のスコア値を得る計算式を求めることができる。
【0053】
図9を用いて、設計データとSEM画像及びユーザーの目視評価値に沿った半導体パターンの良品らしさのスコア値を算出する画像評価装置2の一例を説明する図である。
【0054】
画像データ記憶部21には半導体パターンをSEMで撮影した画像(SEM像)の画像データが記憶されている。この画像データに対して輪郭線データ生成部22でパターンの輪郭線(2次元形状)データを得る。設計データ記憶部20には画像認識(マッチング)の対象となるSEM像のパターンに対応する設計データ(レイアウトデータ)が記憶されている。特徴量算出部15では設計データから得た2次元形状データと、輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データを比較して、それらの形状の差に基づいて複数の特徴量を得る。そして、スコア算出部26では特徴量算出部25の複数の特徴量を用いて、目視による良品らしさに沿ったスコア値を得る。設計データ記憶部20、画像データ記憶部21、輪郭線データ生成部22、
図1で説明した内容と同じであるので、説明は除く。
【0055】
図10に特徴量算出部25の実施例の一例を示す。直線検出部251、コーナー検出部252、端点検出部253は
図4で説明した、直線検出部151、コーナー検出部152、端点検出部153と同様であるが、加えて直線検出部251、コーナー検出部252、端点検出部253部位毎に検出した領域内の設計データの2次元形状データの輪郭画素数を、それぞれaA,bA,cAとして出力する。また、aA,bA,cAの輪郭画素数を加算した値tAを加算部157で求める。ここでは設計データの2次元形状データの輪郭画素数としているが、検出した各部位の領域範囲の面積を用いることも考えられる。特徴量抽出部254,255,256は特徴量算出部154,155,156と同じである。
【0056】
スコア算出部26の実施例について
図11を用いて説明する。スコア算出部26では予めスコア算出部16の直線部位の計算式生成部161で求めた直線部位の計算式をスコア計算部261に格納し、コーナー部位の計算式生成部162で求めたコーナー部位の計算式をスコア計算部261に格納し、端点部位の計算式生成部163で求めた端点部位の計算式をスコア計算部263に格納しておく。そしてスコア計算部261では特徴量算出部25で得た直線部位の複数の特徴量aから格納している直線部位の計算式に基づいて直線部位のスコア値を計算する。同様にスコア計算部262では特徴量算出部25で得たコーナー部位の複数の特徴量bから格納しているコーナー部位の計算式に基づいてコーナー部位のスコア値を計算し、スコア計算部263では特徴量算出部25で得た端点部位の複数の特徴量cから格納している端点部位の計算式に基づいて端点部位のスコア値を計算する。そして、統合スコア算出部264では直線部、コーナー部、端点部で求めたスコア値に、部位それぞれの領域内の設計データから得た2次元形状データ(輪郭画素)数で重みを付けて加算して求める。また、面積で重みを付けて加算して求めることも考えられる。
【0057】
ユーザーが目視評価値を付ける際に、ここでは設定する評価値の範囲は1から5の範囲を設けているが、その場合、例えば、基準となる設計データの2次元形状データと一致するものを評価値5とし、目視で見て、パターンの断線、接触またはパターンが無い等、明らかな欠陥は評価1とすることが考えられる。また、どんなにパターンが基準から乖離して、大きな欠陥となっても評価値1以下の設定はしないようにすることが考えられる。その場合、スコア計算式を回帰式で求める際に、計算式の精度が悪くなる。
【0058】
例えば、
図13のように、目視評価値5から目視評価値1を結ぶ直線の延長線上に、目視評価値1よりも、さらに基準パターンの形状から乖離した画像が存在し、本来はそれらの画像について目視評価値1よりも小さい、0や−1等の値になる。しかし、今回、目視で判る欠陥はどんなに形状が崩れても、全て目視評価値1に置き換えてしまい、誤差Eが生じるため、回帰式を求める際に悪影響を与え、目視評価値の予測精度、つまり、目視と同等の評価値を得るためのスコア計算式の精度を低下させる場合がある。そこで、目視評価値1となる欠陥は除外して、目視評価値5〜2の範囲で回帰式を求めてスコア計算式を求める。もともと良否判定を行う閾値設定を行うために目視評価値と同等のスコア値を求めたいので、閾値から外れた明らかな欠陥についてはスコア値を求めてもメリットが無い。明らかな欠陥はスコア値を求めないと割り切って、それ以外の画像に絞って、スコア値を求めて算出精度を向上させる。
【0059】
上記、評価値1となるパターンの断線、接触またはパターンが無い等、明らかな欠陥を除外してスコア計算式を求める実施例を
図12に示す。画像データ記憶部11には半導体パターンをSEMで撮影した画像(SEM像)の画像データが記憶されている。この画像データに対して輪郭線データ生成部12でパターンの輪郭線(2次元形状)データを得る。設計データ記憶部10には画像認識(マッチング)の対象となるSEM像のパターンに対応する設計データ(レイアウトデータ)が記憶されている。輪郭線データ生成部12で得た輪郭線データと、設計データ記憶部10のSEM像のパターンに対応する設計データから得たパターンの輪郭線(2次元形状)データを、表示部13に表示する。さらに、表示部13で表示された設計データから得た2次元形状データと、輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データをユーザーが目視で比較、確認し、設計データから得た2次元形状データを基準に良品らしさの目視評価値を目視評価値入力部14で入力する。
【0060】
一方、特徴量算出部15では設計データから得た2次元形状データと、輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データを比較して、それらの形状の差に基づいて複数の特徴量を得る。
【0061】
また、欠陥判定部17で設計データから得たパターンの輪郭線(2次元形状)データと輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データと、目視評価値の情報からパターンの欠陥を判別する。欠陥判定部17で欠陥と判別した画像はスコア算出部16′の処理では用いずに、除外して、スコア値の計算式を求める。
図14に欠陥判定部17の実施例を示す。公差内外判定部171では、設計データから得たパターンの輪郭線データを基準にして、対応するパターンの輪郭線データの形状変化、画素位置が許容できる範囲(公差範囲)を求めて、輪郭線データ生成部12で得たパターンの輪郭線(2次元形状)データが公差範囲の外側に存在するかを判定し、外側にある場合は欠陥と判別する。公差範囲はユーザーが設定できる。
【0062】
識別部172では初めに目視評価値と、特徴量算出部15の複数の特徴量から、目視評価値1とそれ以外を区別する識別面を生成する。識別面を生成するのは、スコア計算式を求める前に行う。スコア計算式を求める際は、求めた識別面を用いて、特徴量算出部15の複数の特徴量から、識別面の内外に有るかを判別し、目視評価値1とそれ以外の目視評価値を区別する。この場合、目視評価値1と判別したときに欠陥と判別する。
【0063】
図15(a)に公差内外判定部171の例を示す。設計データの輪郭線Aについて拡大、縮小処理を行うことで公差範囲t1,t2を求められる。この公差範囲t1,t2の間からパターンの輪郭線Bが外れると欠陥と判別する。これは公知技術である。目視評価値1を識別する識別部172も公知技術で実現できる。
図15(b)のように目視評価値1及びそれ以外の目視評価値とその時の複数の特徴量X1,X2から目視評価値1を識別する境界面を作成する。SVM等のクラスタリング手法やニューロ等で学習する識別器を用いて実現できる。
【0064】
図16にスコア算出部16′の実施例を示す。計算式生成部161では直線部位の特徴量算出部で得た複数の特徴量とユーザーが入力した目視評価値を用いて、直線部位の複数の特徴量からユーザーが入力した目視評価値が得られるような計算式を生成する。
【0065】
計算式生成部162ではコーナー部位の特徴量算出部で得た複数の特徴量とユーザーが入力した目視評価値を用いて、コーナー部位の複数の特徴量からユーザーが入力した目視評価値が得られるような計算式を生成する。
【0066】
計算式生成部163では端点部位の特徴量算出部で得た複数の特徴量とユーザーが入力した目視評価値を用いて、端点部位の複数の特徴量からユーザーが入力した目視評価値が得られるような計算式を生成する。計算式を求める際は、設計データから得た2次元形状データと、パターンの2次元形状データを複数枚、用いて計算式を求める。
【0067】
加算部165′では欠陥判定部17の公差内外判定部171の出力17aと識別部172の出力17bから、欠陥かどうかを判別する。例えば、どちらかで欠陥として出力されていれば加算部165′は、欠陥として出力し、計算式生成部161′,162′,163′では、対応する目視評価値入力部14及び特徴量算出部の出力を除外して計算式を求める。また、公差内外判定部171の出力17aと識別部172の出力17bが共に欠陥と判定された場合に加算部165′で欠陥とすることも考えられる。
【0068】
画像データ記憶部21、輪郭線データ生成部22、設計データ記憶部20、特徴量算出部25は
図9で説明したので説明は省く。欠陥判定部27では欠陥判定部17と同様に、公差内外判定部171でパターンが公差範囲外に有るか否かで欠陥を判別する。また、識別部172で求めていた目視評価値1及びそれ以外の目視評価値との境界面を用いて、特徴量算出部25から得た複数の特徴量が境界面の内外に有るかを判断して、目視評価値1に相当するか否かを判別し、目視評価値1に相当する場合は欠陥と判別する。スコア算出部26′では欠陥判定部27の結果により、スコア値として特定の固定値を出力する。
【0069】
スコア算出部26′の実施例を
図17に示す。
図11で説明したスコア算出部26と異なるのは加算部256が加わり、統合スコア算出部264′が異なる。加算部265は欠陥判定部27の公差内外判定部271の出力27aと識別部272の出力27bから、欠陥かどうかを判別する。例えば、どちらかで欠陥として出力されていれば加算部165′は、欠陥として出力し、統合スコア算出部246′では、スコア値として特定の固定値を出力する。特定の固定値は、通常のスコア値とは区別できるような例えば、実際には出力されない値にしておくことが考えられる。
【0070】
以上は画像評価方法について述べたが、この方法を用いて画像処理装置を作ることが考えられる。また、この画像処理装置を含む半導体検査装置を構成しても良い。
【0071】
また、ソフト処理で行う際、パソコンを用いてソフト処理をしてもいいし、LSIに組み込んでハード処理で行ってもいい。