(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
液体吸収性素材が積層されてなる積層体を前記積層体の厚さ方向に圧縮して吸収体を製造する装置であって、
搬送方向に沿って送り込まれる前記積層体を、互いの外周面で挟圧しながら前記搬送方向に送り出すように回転する一対の回転部材と、
前記一対の回転部材のうちの少なくとも一方の回転部材の前記外周面に突出して設けられた複数の線状の突部と、を有し、
前記複数の線状の突部のうちで、前記回転部材の回転軸に沿うCD方向に隣り合う突部同士は、前記CD方向に関して挟まれた領域を前記外周面に区画し、
区画された前記領域は、前記回転部材の回転方向の上流側に向かうに従って前記CD方向の大きさが小さくなった先細り形状の領域部分を有し、
前記先細り形状の領域部分の先端部において、前記隣り合う突部同士は、互いの間に隙間を介して対向していることを特徴とする吸収性物品に係る吸収体の製造装置である。
【0012】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、吸収性物品に係る積層体を圧縮する際に生じ得るハードスポットを、上記の隙間に基づいて抑制することができる。ここで、上記の隙間に基づいてハードスポットを抑制可能な理由については、次のような仮説が挙げられる。
先ず、先細り形状の領域部分の先端部では、突部同士の間に隙間が存在している。よって、積層体において当該領域部分に対応する部分が一対の回転部材同士の間の間隙を通過する際に当該領域部分の先端部に集積される空気や液体吸収性素材は、先端部に封じ込められずに、順次同先端部の上記隙間から上流側へと抜けていくことができる。そして、これにより、高圧の圧縮空気が先端部の液体吸収性素材を過度に圧縮したり、或いは、先端部に高い密度で液体吸収性素材が集積された状態で同液体吸収性素材が圧縮される事態は有効に抑制されて、その結果、ハードスポットの形成を抑制可能となる。
また、先細り形状の領域部分の先端部に上記の隙間を有していると、同先端部に集積された液体吸収性素材が突部によって圧縮される際に、一部の液体吸収性素材は、突部同士の間の上記隙間に入り込んで、圧縮を免れることができる。よって、このことも、ハードスポットの形成の抑制に寄与しているものと考えられる。
なお、これらの理由は、あくまで仮説であるが、先端部の上記隙間によってハードスポットの形成が抑制されることは、本願発明者らによって確認されている。
【0013】
かかる記載の吸収性物品に係る吸収体の製造装置であって、
前記液体吸収性素材は、液体吸収性樹脂粒状物を有し、
前記隙間の前記CD方向の大きさは、前記液体吸収性樹脂粒状物が前記隙間を前記回転方向に通過可能な大きさに設定されているのが望ましい。
【0014】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、液体吸収性素材は、液体吸収性樹脂粒状物を有している。そして、かかる液体吸収性樹脂粒状物は、液体吸収性素材の中でも硬い素材の部類に属しているため、先細り形状の領域部分の先端部に集積されると、ハードスポットがより形成され易くなる。しかし、この点につき、上記構成によれば、先細り形状の領域部分の先端部での突部同士の間の隙間の大きさは、液体吸収性樹脂粒状物が通過可能な大きさに設定されている。よって、当該液体吸収性樹脂粒状物は、速やかに隙間を通過して上流側に移動したり、或いは、速やかに隙間に入り込んで突部による圧縮を免れたりすることができて、その結果として、液体吸収性樹脂粒状物起因のハードスポットの形成が有効に抑制される。
【0015】
かかる吸収性物品に係る吸収体の製造装置であって、
前記一対の回転部材は、それぞれ断面円形形状のロールであり、
前記ロール同士が最も接近する最接近位置よりも前記回転方向の上流側の位置において、前記先細り形状の前記領域部分の全域が前記積層体に覆われるような大きさに、当該領域部分の前記回転方向の大きさは設定されているのが望ましい。
【0016】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、ロール同士が最も接近する最接近位置よりも回転方向の上流側の位置において、上記の先細り形状の領域部分の全域が積層体に覆われるような大きさに、当該領域部分の回転方向の大きさは設定されている。よって、積層体において上記の先細り形状の領域部分に対応する部分の液体吸収性素材が、一対の回転部材によって圧縮される際に、当該液体吸収性素材が回転方向の上流側に移動して逃げてしまうことを、上記の突部は有効に規制し得る。そして、これにより、積層体において先細り形状の領域部分に対応する部分を、回転部材の外周面によって確実に圧縮することができる。
【0017】
かかる吸収性物品に係る吸収体の製造装置であって、
前記複数の線状の突部のうちの幾つかの突部は、互いに協同して、実質的に閉じた領域を前記外周面に区画し、
前記実質的に閉じた領域を区画する場合の前記隙間とは、
前記厚さ方向に圧縮後の前記積層体において前記隙間に対応する部分の厚さが、前記外周面によって圧縮される部分の厚さよりも小さくなるような隙間であり、
前記一対の回転部材は、それぞれ断面円形形状のロールであり、
前記ロール同士が最も接近する最接近位置よりも前記回転方向の上流側の位置において、前記実質的に閉じた領域の全域が前記積層体に覆われるような大きさに、当該実質的に閉じた領域の前記回転方向の大きさは設定されているのが望ましい。
【0018】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、ロール同士が最も接近する最接近位置よりも回転方向の上流側の位置において、上記の実質的に閉じた領域の全域が積層体に覆われるような大きさに、当該実質的に閉じた領域の回転方向の大きさは設定されている。よって、積層体において上記の実質的に閉じた領域に対応する部分の液体吸収性素材が、一対の回転部材によって圧縮される際に、当該液体吸収性素材が回転方向の上流側に移動して逃げてしまうことを上記突部によって有効に規制することができる。そして、これにより、積層体において実質的に閉じた領域に対応する部分を、回転部材の外周面によって確実に圧縮することができる。
【0019】
かかる吸収性物品に係る吸収体の製造装置であって、
前記突部は、前記回転方向に進むに従って前記CD方向の位置が変化した波状突部とされており、
前記波状突部は、前記CD方向の一方側に飛び出した山部と、前記CD方向の他方側に飛び出した谷部とを有し、
前記CD方向に隣り合う前記波状突部同士は、一方の波状突部における山部と他方の波状突部における谷部とで最も接近しており、最も接近した位置に前記隙間が存在しているのが望ましい。
【0020】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、突部は波状突部とされており、CD方向に隣り合う波状突部同士は、一方の波状突部における山部と他方の波状突部における谷部とで最も接近している。よって、隣り合う波状突部同士の間に、前述の先細り形状の領域部分を確実に形成可能となる。
【0021】
かかる吸収性物品に係る吸収体の製造装置であって、
前記隙間の前記CD方向の大きさは、0.5mm〜2.0mmであり、
前記外周面からの前記突部の突出高さは、0.3mm〜0.7mmであり、
前記突部の前記CD方向の大きさは、1.0mm〜1.5mmであるのが望ましい。
【0022】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、上記の隙間のCD方向の大きさ、突部の突出高さ、及び突部のCD方向の大きさをそれぞれ上記の各範囲から選択して設定しているので、ハードスポットの形成を抑制しつつ、積層体を確実に圧縮可能となる。
【0023】
かかる吸収性物品に係る吸収体の製造装置であって、
前記積層体は、被覆シートによって被覆されているのが望ましい。
【0024】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、積層体は被覆シートで被覆されている。よって、積層体の圧縮時に起こり得る液体吸収性素材の飛散を防ぐことができる。
また、同圧縮時に、上記の先細り形状の領域部分の先端部に液体吸収性素材や空気が集積されると、当該先端部に高い圧力が作用して被覆シートが破れる恐れがあるが、この点についても、前述のように、上記の集積は、突部同士の間の上記隙間によって有効に抑制される。よって、被覆シートの破れも有効に抑制される。
【0025】
かかる吸収性物品に係る吸収体の製造装置であって、
前記被覆シートは、熱可塑性の接着剤で前記積層体に接合されており、
前記回転部材を加熱するヒーターを有するのが望ましい。
【0026】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造装置によれば、圧縮時に被覆シートから染みだした接着剤が回転部材の外周面に付着する恐れがある。しかし、ここで、上記構成によれば、回転部材を加熱するヒーターを有している。よって、かかる加熱によって、回転部材の外周面の接着剤を軟化させて同外周面から分離させることができて、これにより、同外周面への接着剤の堆積を有効に防ぐことができる。
【0027】
また、
液体吸収性素材が積層されてなる積層体を前記積層体の厚さ方向に圧縮して吸収体を製造する方法であって、
搬送方向に沿って前記積層体を搬送することと、
前記搬送することによって前記搬送方向に沿って送り込まれる前記積層体を、回転する一対の回転部材の互いの外周面で挟圧しながら前記搬送方向に送り出すことと、を有し、
前記一対の回転部材のうちの少なくとも一方の回転部材の外周面には、複数の線状の突部が突出して設けられており、
前記複数の線状の突部のうちで、前記回転部材の回転軸に沿うCD方向に隣り合う突部同士は、前記CD方向に関して挟まれた領域を前記外周面に区画し、
区画された前記領域は、前記回転部材の回転方向の上流側に向かうに従って前記CD方向の大きさが小さくなった先細り形状の領域部分を有し、
前記先細り形状の領域部分の先端部において、前記隣り合う突部同士は、互いの間に隙間を介して対向していることを特徴とする吸収性物品に係る吸収体の製造方法である。
【0028】
このような吸収性物品に係る吸収体の製造方法によれば、吸収性物品に係る積層体を圧縮する際に生じ得るハードスポットを、上記の隙間に基づいて抑制することができる。あお、上記の隙間に基づいてハードスポットを抑制可能な理由については、既に述べているので、その説明については省略する。
【0029】
===本実施形態===
本実施形態の吸収性物品に係る吸収体1kの製造装置は、吸収性物品の一例としての使い捨ておむつの吸収体1kの製造に供される。
図2Aは、吸収体1kの概略平面図であり、
図2Bは、
図2A中のB−B断面図である。なお、
図2B中では、吸収体1kに形成されたエンボス凹部Eを不図示としている。
図2A及び
図2Bに示すように、吸収体1kは、液体吸収性素材としてのパルプ繊維及び高吸収性ポリマー(以下、SAPと言う)が平面視略矩形状に積層されてなる積層体3kと、かかる積層体3kの外周を略全周に亘って被覆する液透過性の被覆シート5kと、を有している。なお、積層体3kには、パルプ繊維等の液体吸収性繊維物やSAP等の液体吸収性樹脂粒状物以外の液体吸収性素材が、上記の液体吸収性繊維物又は液体吸収性樹脂粒状物の代わりに、或いはこれらに追加されて混合されていても良い。かかる積層体3kの坪量は、例えば150〜350(g/m
2)の範囲に設定される。
【0030】
また、この例では、被覆シート5kにティッシュペーパーを用いているが、何等これに限らず、例えば、不織布等の他の液透過性シートを用いても良い。不織布としては、エアスルー不織布、スパンポンド不織布、SMS(スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド)不織布等を例示できる。また、ティッシュペーパー及び不織布のどちらの場合も、好ましい坪量の範囲として10〜30(g/m
2)を例示できる。
【0031】
なお、かかる吸収体1kには、吸収体1kの肌側面(おむつの着用時に着用者の肌側に対向すべき面)に複数の線状のエンボス凹部E,E…が圧縮形成されている。この例では、
図2Aに示すように、複数の線状のエンボス凹部E,E…は、互いに協同して肌側面に略菱形状の格子状パターンを形成しており、つまり複数の略菱形状の閉領域A1r,A1r…を区画しているが、何等これに限らない。
【0032】
このような吸収体1kは、製造ラインにおいて、次のようにして製造される。
図3A乃至
図3Dは、吸収体1kの製造過程のイメージ図である。なお、
図3Aは概略平面図であり、
図3B、
図3C、及び
図3Dは、それぞれ、
図3A中のB−B断面図、同C−C断面図、及び同D−D断面図である。また、
図4は、製造ラインの概略側面図である。
なお、以下の説明では、製造ラインにおいて、吸収体1kに係る中間製品1mの搬送方向のことを「MD方向」とも言い、かかるMD方向と直交する方向のことを「CD方向」とも言う。また、CD方向のことを「左右方向」とも言う。ちなみに、後述することからわかるように、この製造工程の大半においては、当該中間製品1mの状態は、MD方向に連続した連続体となっている。そして、同中間製品1mの幅方向は概ねCD方向と平行であり、また、同中間製品1mの厚さ方向は、MD方向及びCD方向の両者と直交している。なお、中間製品1mの厚さ方向は、吸収体1kの厚さ方向と同義である。
【0033】
図3A及び
図4に示すように、製造ラインは、積繊装置10と、接着剤塗布装置20と、被覆装置30と、プレス装置40と、カッター装置50とを有する。各装置10,20…同士の間には、必要に応じて搬送コンベアや搬送ローラー等の搬送機構60,60…が配置されており、かかる搬送機構60,60…は、各装置10,20…間の中間製品1mの受け渡しに供される。かかる搬送機構60,60…のうちで搬送コンベア(不図示)は、駆動周回する無端ベルトの外周面を搬送面とするものを基本構成とする。但し、場合によっては、同搬送面に吸着機能を付帯させることで中間製品1mを吸着させながら搬送するものであっても良いし、或いは、2つの無端ベルトを上下に対向配置して当該無端ベルト同士で中間製品1mを若干挟圧しながら搬送するものであっても良い。
【0034】
<<<積繊装置10>>>
積繊装置10は、MD方向に連続してなる積層体3kの連続体3(以下、単に積層体3とも言う)を最初の中間製品1mとして生成する装置10である。詳しくは、
図4に示すように、同装置10は、CD方向を向いた回転軸C11回りに連続回転する回転ドラム11と、回転ドラム11の外周面11sに向けて液体吸収性素材を散布供給する供給ダクト13と、を有する。供給ダクト13は、回転ドラム11の回転方向Dc11の所定位置に配置されている。また、回転ドラム11の外周面11sには、回転方向Dc11に沿って無端状の溝部11tが同回転方向Dc11の全長に亘って形成されている。なお、この例では、上記のように、吸収体1kの平面形状が略矩形形状であることから、溝部11tの形状は、CD方向の大きさが回転方向Dc11の全長に亘って略一定の帯状とされている。但し、何等これに限らず、吸収体1kの平面形状に応じて溝部11tの形状は適宜変更され得る。例えば、吸収体1kの平面形状が略砂時計形状の場合には、溝部11tの形状は、当該略砂時計形状が回転方向Dc11に連続して繰り返し並んだような形状となる。また、同溝部11tの底面11tbには、液体吸収性素材を吸着するための複数の吸気孔(不図示)が回転方向Dc11の全長に亘って設けられている。
よって、
図4に示すように、溝部11tにおいて供給ダクト13の位置を通過する部分には、順次、液体吸収性素材としてパルプ繊維とSAPとの混合物が積層されて、これにより、溝部11tにはMD方向に連続する積層体3が生成される。そして、かかる積層体3は、回転方向Dc11の所定位置P11outを離型位置P11outとして溝部11tから離型される。
【0035】
一方、同
図5に示すように、当該離型位置P11outには、MD方向を搬送方向としてキャリアシート5が、MD方向に連続する連続シートの形態で供給されている。よって、回転ドラム11から離型された積層体3は、かかるキャリアシート5の上面に載置されて、かかる載置後には、積層体3は、キャリアシート5と一体となってMD方向の下流の接着剤塗布装置20に送られる。なお、当該キャリアシート5は、
図3Bの吸収体1kにおいては被覆シート5kになる。
【0036】
<<<接着剤塗布装置20>>>
図3Aに示すように、接着剤塗布装置20は、この後になされる被覆処理の下準備としてキャリアシート5のCD方向の少なくとも各端部5e,5eに対して、熱可塑性の接着剤の一例としてホットメルト接着剤を塗布する。そして、同接着剤が塗布されたキャリアシート5は、上面に積層体3を載置した状態のまま、MD方向の下流の被覆装置30へと送られる。なお、接着剤の塗布対象は、何等キャリアシート5の上記各端部5e,5eに限るものではない。例えば、積層体3の上面3suに塗布しても良く、この例では、同積層体3の上面3suにも塗布している。かかる接着剤塗布装置20は、周知構成のため、これ以上の説明については省略する。
【0037】
<<<被覆装置30>>>
被覆装置30は、キャリアシート5で積層体3を被覆する装置30である。詳しくは、同装置30は、接着剤塗布装置20よりもMD方向の下流の位置において、CD方向に並んで配された一対の折り曲げガイド部材(不図示)を有する。そして、同キャリアシート5が同折り曲げガイド部材の位置を通過する際に、同ガイド部材によって、キャリアシート5のCD方向の各端部5e,5eが徐々に上方へと持ち上げられながらCD方向の内方へと折り曲げられて、これにより、MD方向に連続する積層体3の上面3suは、
図4Cに示すように、同シート5のCD方向の各端部5e,5eで覆われた状態にされる。そして、当該端部5e,5e同士は上下に重ね合わせられるとともに、同端部5e,5eに予め塗布されたホットメルト接着剤によって接合され、更に、積層体3の上面3suに予め塗布されたホットメルト接着剤によってもキャリアシート5は積層体3に接合され、これにより、キャリアシート5で被覆された状態に積層体3は固定される。そして、このようにして生成された被覆体1rは、MD方向に連続した状態で、MD方向の下流のプレス装置40に送られる。
【0038】
<<<プレス装置40>>>
プレス装置40は、被覆体1rを厚さ方向たる上下方向に圧縮する装置40である。詳しくは、同装置40は、
図4に示すように、一対の回転部材の一例として上下一対のロール41a,41bと、被覆体1rの圧縮時に同ロール41a,41bに作用する圧縮力の反力を受けるためのハウジング43と、を有する。
【0039】
上下一対のロール41a,41bは、それぞれ、CD方向を法線方向とする断面形状が正円形状の部材である。そして、各ロール41a,41bは、それぞれハウジング43に設けられた不図示の軸受けによって支持されており、これにより、CD方向に平行な回転軸C41a,C41b回りに回転可能である。また、上記軸受けを介してハウジング43に支持されることで、上下一対のロール41a,41bの外周面41as,41bs同士の間の間隙G41の大きさは、ほぼ所定値に固定されている。更に、駆動源としてのサーボモータによって各ロール41a,41bは上記回転軸C41a,C41b回りに駆動回転する。すなわち、同回転軸C41a,C41bと直交する方向を、回転方向Dc41a,Dc41bとして駆動回転する。よって、上下一対のロール41a,41bの外周面41as,41bs同士の間の間隙G41に送り込まれた被覆体1rは、当該間隙G41を通過してMD方向の下流に送り出される。
【0040】
ここで、
図5の概略斜視図に示すように、上ロール41aの外周面41asには、複数の線状の突部42,42…が設けられており、他方、下ロール41bの外周面41bsは、線状の突部42,42…の無い平滑面とされている。よって、これら一対のロール41a,41bの外周面41as,41bs同士の間を被覆体1rが通過する際に、同被覆体1rは、厚さ方向たる上下方向に圧縮されるが、このときには、同被覆体1rにおいて上ロール41aの線状の突部42が対向しない部分1rn(
図2A)については、上ロール41aの外周面41asによって小さな圧縮量で圧縮され、他方、上ロール41aの線状の突部42が対向する部分1rc(
図2A)については、突部42によって上記の小さな圧縮量よりも大きな圧縮量で圧縮される。そして、当該線状の突部42によって大きな圧縮量で圧縮された部分1rcが、前述のエンボス凹部Eとなり、また、エンボス凹部Eの周囲には、小さな圧縮量で圧縮された部分1rnが略平坦な状態で存在している(
図2A)。そして、かような圧縮処理を行うことにより、被覆体1r内の積層体3の剛性は高められて、その結果、おむつの着用時に起こり得る吸収体1k内の積層体3kの型くずれや千切れが防止される。
【0041】
なお、各ロール41a,41bは、ぞれぞれ、自身41a,41bを加熱する不図示のヒーターを内蔵していても良い。そして、かかるヒーターを有していれば、ロール41a,41bの外周面41as,41bsへのホットメルト接着剤の堆積を有効に防ぐことができる。詳しくは次の通りである。前述したように、キャリアシート5のCD方向の各端部5e,5eや積層体3の上面3suには、ホットメルト接着剤が塗布されているが、プレス装置40のロール41a,41bで被覆体1rを圧縮する際に、かかる接着剤が厚さ方向に染み出して、ロール41a,41bの外周面41as,41bsに付着する恐れがある。この点につき、ロール41a,41bを加熱すれば、ロール41a,41bの外周面41as,41bsの接着剤を軟化させて同外周面41as,41bsから分離させることができて、その結果、同外周面41as,41bsへの接着剤の堆積を有効に防ぐことができる。
【0042】
図6乃至
図7Bは、上ロール41aの外周面41asに設けられた線状の突部42,42…の説明図である。
図6は、MD方向の上流側から見た上ロール41aの概略正面図である。また、
図7Aは、上ロール41aの外周面41asを平面上に展開しつつ一部を拡大して示した拡大展開図であり、
図7Bは、
図7A中のB−B断面図である。
【0043】
図6に示すように、本実施形態では、上ロール41aの外周面41asに設けられる複数の線状の突部42,42…の一例として、回転方向Dc41aの全周に亘って延びた無端状の波状突部42,42…を、CD方向に複数並んで有している。そして、
図7Aに示すように、各波状突部42,42…は、それぞれ、回転方向Dc41aに進むに従ってCD方向の位置が規則的に変化したものに形成されている。詳しくは、各波状突部42,42…は、CD方向の右側に飛び出した山部42mと左側に飛び出した谷部42vとを有した部分42uを単位波状部分42uとして有し、かかる単位波状部分42uが、回転方向Dc41aに複数繰り返して設けられた無端状のものとなっている。
【0044】
また、同
図7Aに示すように、CD方向に隣り合う波状突部42,42同士は、上ロール41aの外周面41asに略閉じた領域A42,A42…(「実質的に閉じた領域」に相当)を区画している。すなわち、この例では、CD方向に隣り合う波状突部42,42同士が、一方の波状突部42の山部42mと他方の波状突部42の谷部42vとで最も接近するように配置されることにより、上ロール41aの外周面41asには、MD方向を対角方向の長軸とし、CD方向を対角方向の短軸とした略菱形の略閉領域A42,A42…が区画されている。
【0045】
ここで、かかる略菱形の略閉領域A42が外周面41asに区画されている場合には、プレス装置40による圧縮処理によって、被覆体1rにハードスポットが形成される恐れがある。すなわち、当該略閉領域A42は、
図7Aに示すように、回転方向Dc41aの上流側の半部A42puに、ロール41aの回転方向Dc41aの上流側に向かうに従ってCD方向の大きさが小さくなった先細り形状の領域部分A42pu(
図7A中、ドット模様で示す領域を参照)を有している。
そのため、
図1B及び
図1Cを参照して既述のように、上下一対のロール41a,41b同士の間の間隙G41を被覆体1rがMD方向の下流側に通過する過程で、被覆体1r内の空気や液体吸収性素材の一部が、
図7A中の矢印に示すように上ロール41aの回転方向Dc41aの上流側に押し流されながら、先細り形状の領域部分42puの上流側の先端部PA42puの方へと移動されて、その結果、上記の先細り形状の領域部分42puの上流側の先端部PA42puに、空気や液体吸収性素材が集積される。そして、かかる空気や液体吸収性素材の分布密度が高い状態で、被覆体1rにおいて上記先端部PA42puに対応する部分が上記突部42によって圧縮されるため、空気の圧縮度合いが大きくなって高圧になることや、液体吸収性素材の密集度合いが高いことに起因して、当該部分は、他の部分と比べて大幅に硬くなり、その結果、被覆体1rにハードスポットが形成され易くなる。
【0046】
しかしながら、この点につき、本実施形態では、
図7Aに示すように、CD方向に隣り合う波状突部42,42同士は、先細り形状の領域部分A42puの先端部PA42puにおいて、互いの間に隙間G42を介して対向している。よって、被覆体1rにおいて当該領域部分A42puに対応する部分が一対のロール41a,41b同士の間の間隙G41を通過する際に、当該領域部分A42puの先端部PA42puに集積される空気や液体吸収性素材は、当該先端部PA42puに封じ込められずに、順次同先端部PA42puの上記隙間G42から更に上流側へと抜けていくことができる。そして、これにより、高圧の圧縮空気が先端部PA42puの液体吸収性素材を過度に圧縮したり、或いは、先端部PA42puに高い密度で液体吸収性素材が集積された状態で同液体吸収性素材が圧縮される事態は有効に回避されて、その結果、ハードスポットの形成を抑制可能となる。
また、先細り形状の領域部分A42puの先端部PA42puに上記隙間G42を有していると、同先端部PA42puに集積された液体吸収性素材が上記の波状突部42によって圧縮される際に、一部の液体吸収性素材は、波状突部42,42同士の間の上記隙間G42に入り込んで、圧縮を免れる。よって、このことも、ハードスポットの形成の抑制に有効に寄与し得るものと推察される。
【0047】
ここで、この例では、当該隙間G42のCD方向の大きさLG42を、SAPが同隙間G42を回転方向Dc41aに通過可能な大きさに設定している。例えば、当該隙間G42の大きさLG42を、被覆体1rに含まれるSAPの粒径の平均値よりも大きな値に設定しているか、或いは、被覆体1rに含まれるSAPの粒径の最大値(SAPの形状が、球体で無い場合には、その外形寸法の最大値)よりも大きな値に設定している。よって、かかる隙間G42は、空気の通過だけでなく、SAPの通過も効果的に許容するため、SAPの集積起因のハードスポットについても有効に抑制可能となる。なお、SAPの粒径の代表例としては、例えば、100ミクロン〜800ミクロンを例示できる。そのため、上記隙間G42のCD方向の大きさLG42を0.5mm〜2.0mmの範囲から選択すると良く、より望ましくは、1.0mm〜2.0mmの範囲から選択すると良く、この例では、1.0mmとしている。
【0048】
また、
図7Bに示すように、上ロール41aの外周面41asからの波状突部42の突出高さL42hについては、例えば0.3mm〜0.7mmの範囲から選択されると良く、他方、波状突部42のCD方向の大きさL42wについては、例えば1.0mm〜1.5mmの範囲から選択されると良いが、何等これに限らない。
【0049】
更に、
図7Aに示すように、略菱形の略閉領域A42の長軸たる回転方向Dc41aの大きさLA42aについては、例えば20mm〜40mmの範囲から選択され、他方、同略閉領域A42の短軸たるCD方向の大きさLA42wについては、上記の回転方向Dc41aの大きさLA41aよりも小さい値である条件下で、例えば15mm〜30mmの範囲から選択される。
【0050】
また、
図6に示すように、この例では、複数の波状突部42,42…は、何れも回転方向Dc41aの全周に亘って連続した無端状に形成されている。よって、上ロール41aにおける回転方向Dc41aの全ての位置について、被覆体1rには同数の波状突部42,42…が当接する。そのため、被覆体1rを圧縮するための線圧(CD方向に単位長さ当たりの圧縮力(N/m))の変動を抑制することができて、これにより、圧縮後の被覆体1rの厚さ寸法のばらつきを抑制可能となる。
【0051】
更に、
図7Bに示すように、この例では、波状突部42の断面形状(波状突部42が無端状に延びる方向を法線方向とする断面での形状)は、略矩形形状とされているが、何等これに限らない。例えば、略台形形状とされていても良い。また、この例では、波状突部42は、平坦な頂面42tを有し、そして、かかる頂面42tの各縁部42te,42teは、R面取り(丸み面取り)されているが、何等これに限らない。例えば、C面取り(45°面取り)されていても良いし、面取りされていなくても良い。
【0052】
また、
図7Aの例では、波状突部42のうちで山部42mと谷部42vとを繋ぐ部分42jは、直線状とされているが、何等これに限らない。例えば、曲線状であっても良い。更に、同
図7Aの例では、山部42m及び谷部42vは、それぞれ曲線状に湾曲されて形成されていたが、何等これに限らない。例えば、多角形状に屈曲されていても良い。但し、山部42m及び谷部42vについては、曲線状に湾曲されている方が、波状突部42が被覆体1rに当たった際の被覆シート5の破れを有効に抑制可能となる。
【0053】
ところで、前述したように、上ロール41aの外周面41asには、波状突部42,42同士によって略菱形の略閉領域A42,A42…が区画されている(
図7A)。そして、ここでは、かかる略菱形の領域A42のことを「略閉領域」、すなわち、「実質的に閉じた領域」と言っているが、その理由は次の通りである。
先ず、
図7Aに示すように、かかる略菱形の領域A42を区画する波状突部42,42同士の間には、上記の隙間G42が存在しているので、当該略菱形の領域A42は、完全には閉じた状態にはなっていない。しかし、上記隙間G42は、当該領域A42の輪郭の全長と比べれば、ごくわずかである。すなわち、隙間G42の両脇に位置する一方の波状突部42の山部42mと他方の波状突部42の谷部42vとは、互いが被覆体1rに形成するエンボス凹部E,E同士が連結して形成されるくらいに近接している。
図8は、かかるエンボス凹部E,E同士の連結状態の説明図であり、
図2中のVIII−VIII断面図である。なお、同
図8中には、エンボス凹部E,Eの拡大図も併記している。
図8に示すように、被覆体1rにおいて上記の隙間G42に対応する部分1rpG42には、高さの低い丘状の突出部P1rpG42が存在しているが、かかる突出部P1rpG42はエンボス凹部E,E同士の間を完全に仕切る高さのものではなく、当該隙間G42に対応する部分1rpG42は、全体として厚さ方向にへこんでいる。すなわち、当該隙間G42に対応する部分1rpG42は、被覆体1rにおけるエンボス凹部E以外の部分1rnよりも厚さ方向にへこんでいる。よって、上記の近接された波状突部42,42同士によれば、被覆体1rには略菱形の閉領域A1r(
図2及び
図8を参照)が形成されることから、ここでは、かかる波状突部42,42同士によって上ロール41aの外周面41asに区画された領域A42のことを、「略閉領域」と呼んでいる。
【0054】
そして、以上のことから、上ロール41aの外周面41asに略閉領域A42を形成する場合の上記隙間G42のことを、次のように定義することができる。すなわち、当該略閉領域A42を形成する場合の隙間G42と言うのは、厚さ方向に圧縮後の被覆体1r(
図8)において上記の隙間G42に対応する部分1rpG42の厚さt1rpG42が、同被覆体1rにおいて上ロール41aの外周面41asによって圧縮される部分1rnの厚さt1rnよりも小さくなるような隙間G42である、と定義することができる。例えば、
図9のように、厚さ方向に圧縮後の被覆体1rにおいて上記の隙間G42に対応する部分1rpG42の厚さt1rpG42が、被覆体1rにおいて上ロール41aの外周面41asによって圧縮される部分1rnの厚さt1rn以上になる場合には、当該隙間G42は、「略閉領域A42を形成する場合の隙間G42」には該当しない。しかし、
図8の拡大図のように、厚さ方向に圧縮後の被覆体1rにおいて上記の隙間G42に対応する部分1rpG42の厚さt1rpG42が、被覆体1rにおいて上ロール41aの外周面41asによって圧縮される部分1rnの厚さt1rn未満になる場合には、当該隙間G42は、上記の「略閉領域A42を形成する場合の隙間G42」に該当する。
【0055】
なお、このような略閉領域A42が上ロール41aの外周面41asに形成されていれば、上ロール41aで被覆体1rが圧縮される際に、当該液体吸収性素材が回転方向Dc41aの上流側に移動して逃げてしまうことを上記の波状突部42,42によって有効に規制することができる。よって、被覆体1rにおいて略閉領域A42に対応する部分を、上ロール41aの外周面41asによって確実に圧縮することができる。
【0056】
ここで、かかる規制をより確実なものにする観点からは、略閉領域A42の寸法を、次のようにすると良い。
図10は、その説明図であって、プレス装置40の概略側面図である。なお、同
図10では、上ロール41aの外周面41asに設けられる波状突部42,42…を不図示としている。
【0057】
すなわち、同
図10に示すように、上下一対のロール41a,41b同士が最も接近する最接近位置Pc41よりも回転方向Dc41aの上流側の位置Pu41において、上記の略閉領域A42の全域が被覆体1rに覆われるような大きさに、略閉領域A42の回転方向Dc41aの大きさLA42a(
図7A)を設定すると良い。
別の表現で言えば、
図10に示す上ロール41aの外周面41asの被覆体1rへの接触弧長L41a、すなわち、上記の最接近位置Pc41よりも上流側において被覆体1rに接触する外周面41asの回転方向Dc41aの長さL41aの方を、略閉領域A42の回転方向Dc41aの大きさLA42a(
図7A)よりも大きくしていると良い。
【0058】
そして、このようになっていれば、被覆体1rにおいて上記の略閉領域A42に対応する部分の液体吸収性素材が、上下一対のロール41a,41b同士によって圧縮される際に、当該液体吸収性素材が回転方向Dc41aの上流側に移動して逃げてしてしまうことを、波状突部42,42…によって有効に規制することができる。そして、これにより、被覆体1rにおいて略閉領域A42に対応する部分を、上ロール41aの外周面41asで確実に圧縮することができる。
【0059】
また、上記の寸法関係を達成することが困難な場合には、次のようにしても良い。すなわち、ロール41a,41bに係る上記の最接近位置Pc41よりも回転方向Dc41aの上流側の位置Pu41において、前述の先細り形状の領域部分A42puの全域が被覆体1rに覆われるような大きさに、当該領域部分A42puの回転方向Dc41aの大きさLA42pu(
図7A)を設定するだけでも良い。別の表現で言えば、
図10に示す上ロール41aの外周面41asの被覆体1rへの接触弧長L41aを、上記の先細り形状の領域部分A42puの回転方向Dc41aの大きさLA42pu(
図7A)よりも大きくしていると良い。そして、このようにした場合でも、上述の規制効果を効果的に享受することができる。
【0060】
<<<カッター装置50>>>
図3A及び
図4に示すように、カッター装置50は、プレス装置40から送られる圧縮済みの被覆体1rを、吸収体1kに対応する長さで切断する装置50である。詳しくは、この装置50は、例えば回転する上下一対のロール51a,51bを有する。上ロール51aは、外周面51asにカッター刃52を有するカッターロール51aである。また、下ロール51bは、カッター刃52を受けるアンビルロール51bであり、平滑な外周面51bsを有している。そして、かかるカッターロール51a及びアンビルロール51bにあっても、駆動源としての不図示のサーボモータによって駆動回転されているが、その際には、適宜なコントローラ(不図示)によって同モータは位置制御されている。よって、被覆体1rにおいて吸収体1k,1k同士の境界位置BL1kに相当する位置がカッター装置50を通過する際に、当該境界位置BL1kにカッター刃52が当たるようにカッターロール51aは駆動回転されて、これにより、被覆体1rの下流端部が分断されて吸収体1kが生成される。そして、生成された吸収体1kは更にMD方向の下流へと送られて、おむつの別の部品に組み付けられる。
【0061】
===その他の実施の形態===
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。例えば、以下に示すような変形が可能である。
【0062】
上述の実施形態では、
図5に示すように、プレス装置40の上ロール41aの外周面41asに線状の突部42,42…を設け、下ロール41bの外周面41bsを突部42の無い平滑面としていたが、何等これに限らない。すなわち、下ロール41bの外周面41bsに線状の突部42,42…を設け、上ロール41aの外周面41asを線状の突部42の無い平滑面としても良い。また、場合によっては、上ロール41a及び下ロール41bの両方の各外周面41as,41bsにそれぞれ線状の突部42,42…を設けても良い。なお、この場合には、上ロール41aの各突部42と下ロール41bの各突部42とは、圧縮時に、互いの頂面42t,42t同士が対向するように対応付けられて配されている。
【0063】
上述の実施形態では、
図5に示すように、一対の回転部材の一例として、一対のロール41a,41bを例示したが、何等これに限らない。例えば、上下一対の無端ベルト(不図示)であっても良い。詳しくは、各無端ベルトは、CD方向に平行な回転軸回りに駆動回転する少なくとも一対のローラーに掛け回されており、これにより、各無端ベルトは、それぞれ所定の周回軌道を駆動周回する。そして、これら無端ベルト同士の間を搬送路として被覆体1rが、MD方向に沿って搬送される過程で、これら無端ベルト同士によって被覆体1rを厚さ方向に圧縮しても良い。なお、ここで、上側の無端ベルトの外周面にも、前述と同構成の波状突部42,42…が設けられている。すなわち、CD方向に隣り合う波状突部42,42同士は、CD方向に関して挟まれた略菱形の略閉領域A42を無端ベルトの外周面に区画し、そして、当該略閉領域A42は、同無端ベルトの周回方向(回転方向に相当)の上流側に向かうに従ってCD方向の大きさが小さくなった先細り形状の領域部分A42puを有し、更に、先細り形状の領域部分A42puの先端部PA42puにおいて、隣り合う波状突部42,42同士は、互いの間に隙間G42を介して対向している。従って、かかる一対の無端ベルトを有した構成の場合にも、上述の一対のロール41a,41bの構成(
図5)の場合と同様に、ハードスポットの形成を抑制できる。
【0064】
上述の実施形態では、上ロール41aの外周面41asに突出して設けられた線状の突部42の一例として、
図6の波状突部42を例示したが、何等これに限らない。例えば、
図11のような形態の突部42a,42a…としても良い。なお、
図11では、上ロール41aの外周面41asを平面上に展開しつつその一部を拡大して示している。
詳説すると、同
図11の例では、上ロール41aの外周面41asに、線状の突部として直線状の突部42a,42a…が設けられている。そして、各突部42a,42a…の長手方向は、それぞれ、回転方向Dc41aから傾いている。また、CD方向に隣り合う突部42a,42a…同士は、互いの長手方向が平行とされているとともに、これら突部42a,42a…は、CD方向に所定ピッチP42aで並んで設けられており、これにより、これら突部42a,42a…の一群は、突部列G42aをなしている。また、回転方向Dc41aに隣り合う突部列G42a,G42a同士は、回転方向Dc41aに関して互いに逆に傾いており、更に、回転方向Dc41aに隣り合う突部列G42a,G42a同士は、回転方向Dc41aに関してオーバーラップして設けられている。
よって、この
図11の例にあっても、CD方向に隣り合う直線状の突部42a,42a同士が互いに協同して、CD方向に関して挟まれた領域A42aを上ロール41aの外周面41asに区画し、そして、区画された領域A42aが、上ロール41aの回転方向Dc41aの上流側に向かうに従ってCD方向の大きさが小さくなった先細り形状の領域部分A42apu(
図11中でドット模様で示す部分を参照)を有し、更に、先細り形状の領域部分A42apuの先端部PA42apuにおいて、CD方向に隣り合う直線状の突部42a,42a同士が、互いの間に隙間G42aを介して対向している。よって、
図11のような直線状の突部42a,42a…を有した装置構成も、本発明の範囲の概念に含まれる。ちなみに、この例では、直線状の突部42a,42a…を開示したが、突部42a,42a…の形状については、何等これに限らない。例えば、当該突部42a,42a…が、緩曲線等に基づいて曲線状に湾曲していても良いし、鈍角に基づいて多角形状に屈曲していても良いし、更には、波形に湾曲していても良い。
【0065】
上述の実施形態では、
図7Aに示すように、波状突部42の一例として、山部42mと谷部42vとを一つずつ有した単位波状部分42uが、回転方向Dc41aに繰り返されたものを例示した。すなわち、回転方向Dc41aに進むに従って突部42のCD方向の位置が規則的に変化した突部42を例示したが、何等これに限らない。例えば、突部42のCD方向の位置が、規則性を有さなくても良い。すなわち、突部42のCD方向の位置が、回転方向DC41asに進むに従ってランダムに変化した突部42であっても良い。
【0066】
上述の実施形態では、積層体3は被覆シート5によって被覆されていたが、何等これに限るものではなく、被覆シート5は無くても良い。そして、この場合には、プレス装置40の一対のロール41a,41bは、直接積層体3に接触してこれを圧縮することになる。
【0067】
上述の実施形態では、積繊装置10は、MD方向に連続した積層体3を生成していたが、何等これに限らない。すなわち、回転ドラム11の外周面11sに、吸収体1kに対応した平面形状たる略矩形形状の複数の凹部(不図示)を回転方向Dc11に並んで設け、且つ、各凹部の底面に複数の吸気孔を設けることによって、積繊装置10の段階で、吸収体1kに対応した単票状の積層体3を生成しても良い。そして、この場合には、前述したカッター装置50では、被覆シート5(キャリアシート5)のみを切断することになる。
【0068】
上述の実施形態では、排泄液等の液体を吸収する吸収性物品の一例としておむつを例示し、当該おむつの吸収体1kの製造装置及び製造方法について述べたが、吸収性物品は、何等これに限らない。例えば、生理用ナプキンであっても良いし、尿取りパッドであっても良い。