(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第一光学パターンと第二光学パターンとが形成された第一部材、及び前記第一部材のうち光の入射面に対して反対の面側に配置され磁気パターンが形成された第二部材、を有し回転移動する移動部と、
前記移動部に対向して配置され、前記第一光学パターンを介した光を検出する複数の受光素子を有する第一光検出部と、前記第二光学パターンを介した光を検出する複数の受光素子を有する第二光検出部と、前記磁気パターンによる磁場を検出する磁場検出部とがチップ基板に実装されている位置情報検出部とを備え、
前記第二光学パターンは、前記移動部の径方向に関して、第一光学パターンよりも内側に形成され、
前記第二部材は、前記移動部の径方向に関して、その径が前記第一部材の径よりも小さく形成され、
前記チップ基板において、前記磁場検出部は前記移動部の径方向に関して前記第一光検出部よりも内周側であり、前記第二光検出部より外周側に配置されるエンコーダ。
前記第二部材の径は、前記移動部の径方向に関して、その径が前記移動部の中心軸と前記第一光学パターンとの距離よりも小さく形成される請求項1に記載のエンコーダ。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第一実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第一実施形態を説明する。
図1(a)は、本実施形態に係るエンコーダ及び駆動装置の構成を示す図である。
図1(a)に示すように、駆動装置MTRは、例えば円柱状に形成された回転軸(移動部材)SFと、当該回転軸SFを周方向に回転させる駆動部BDと、回転軸SFの回転情報を検出するエンコーダECとを有している。
【0013】
以下、各図の説明においてはXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。本実施形態では、回転軸SFの中心軸方向がZ方向と設定されている。また、
図2以降において、Z軸に垂直な平面をXY平面とし、XY平面上の一方向をX方向とし、XY平面上で当該X方向に直交する方向をY方向とする。
【0014】
エンコーダECは、回転部(移動部)RT及び検出部(位置情報検出部)SRを有している。回転部RTは、駆動装置MTRの回転軸SFに固定されており、回転軸SFと一体的に回転する。回転部RTは、円盤部材(第一部材)D及び磁石部材(第二部材)Mを有している。
【0015】
磁石部材Mは、円盤状に形成された永久磁石である。磁石部材Mは、回転軸SFを挿入する軸挿入部330を有している。軸挿入部330は、磁石部材MのZ方向視中央部に形成されている。軸挿入部330は、例えばZ方向視で円形に形成されている。軸挿入部330は、磁石部材Mの−Z側の面(第一面)Maと+Z側の面(第二面)Mbとを貫通して形成されている。このため、磁石部材Mは、Z方向視で円環状に形成されている。換言すれば、磁石部材Mは、軸挿入部330の部分に空洞を含んだ中空状に形成されている。
【0016】
軸挿入部330の径は、回転軸SFの径とほぼ同一となっている。磁石部材Mのうち軸挿入部330に面する内周面330aは、回転軸SFが軸挿入部330に挿入された状態において、回転軸SFの外周面に固定されている。なお、内周面330aと回転軸SFの外周面との間が例えば不図示の接着剤などを介して一体的に接着された構成であっても構わない。また、内周面330aと回転軸SFの外周面とにそれぞれねじ山が形成され、磁石部材Mと回転軸SFとを螺合させて接合する構成であっても構わない。
【0017】
磁石部材Mの第一面Maには、所定の磁気パターン334が形成されている。
図1(b)は、エンコーダECの回転部RTの構成を示す平面図である。磁気パターン334は、磁石部材Mの外周側領域と内周側領域とに区画されており、外周側領域及び内周側領域が円周方向にそれぞれ2つの領域に区画されている。当該磁気パターン334は、隣接する領域が異なる磁極となるように形成されている。
【0018】
図1(b)に示す例においては、磁石部材Mの図中左半分のうち外周側はN極、図中左半分のうち内周側はS極、図中右半分のうち外周側はS極、図中右半分のうち内周側はN極、にそれぞれ形成されている。磁石部材Mのうち磁気パターン334が形成された第一面Maは、検出部SRに向けられている。
【0019】
図1(a)及び
図1(b)に示すように、円盤部材Dは、磁石部材Mの第一面Maに配置されている。円盤部材Dは、磁石部材Mとの間で接着剤(不図示)などを介して接合されている。したがって、磁石部材Mは、回転部Rとの間で一体的に形成されている。円盤部材Dは、Z方向視で磁石部材Mと同一の寸法に形成されている。磁石部材Mと円盤部材Dとは、中心軸を共有している。
【0020】
円盤部材Dは、金属(例えばSUS)やガラスなどを用いて形成されている。円盤部材Dの構成材料としてSUSなどの剛性の高い材料を用いることで、耐変形性などに優れた回転部RTが形成される。回転部RTの構成材料として、他の材料を用いても勿論構わない。
【0021】
円盤部材Dの−Z側の面(第一面)Daには、パターン形成部321が設けられている。円盤部材Dは、当該パターン形成部321が検出部SRに向けられている。円盤部材Dの+Z側の面(第二面)Dbは、回転軸SFの端部に当接されている。なお、第二面Dbと回転軸SFとの間が不図示の接着剤などを介して接合された構成であっても構わない。
【0022】
また、第二面と回転軸SFとが接合されている場合、回転軸SFの外周面と磁石部材Mの内周面330aとが接合されていない状態であっても構わない。本実施形態では円盤部材Dと磁石部材Mとが接合されているため、円盤部材D及び磁石部材Mのうち少なくとも一方が回転軸SFに接合されていれば良い。
【0023】
パターン形成部321は、円盤部材Dの第一面Daの端部(例、周縁部)に円環状に設けられている。パターン形成部321には、光反射パターン324が形成されている。光反射パターン324は、例えば円盤部材Dの外周に沿って円環状に形成されている。
【0024】
図1(b)に示すように、例えば、光反射パターン324は、インクリメンタルパターン324a及びアブソリュートパターン324bを有している。インクリメンタルパターン324aは、光反射パターン324のうち円盤部材Dの径方向の外側に形成されている。アブソリュートパターン324bは、光反射パターン324のうち円盤部材Dの径方向の内側に形成されている。なお、光反射パターン324は、インクリメンタルパターン324a及びアブソリュートパターン324bのうち一方が原点パターンである構成でもよい。
【0025】
図1(a)に示すように、検出部SRは、筐体341、位置情報検出センサ100及びバイアス磁石342を有している。位置情報検出センサ100は、上記の光反射パターン324へ向けて光を射出すると共に、当該光反射パターン324を介した光を検出する。また、位置情報検出センサ100は、磁石部材Mの磁気パターン334による磁場を検出する。
【0026】
バイアス磁石342は、磁気パターン334による磁場との間で合成磁場を形成する磁石である。バイアス磁石342を構成する材料として、例えばサマリウム・コバルトなどの磁力の大きい希土類磁石などが挙げられる。
【0027】
本実施形態では、円盤部材Dのうち光反射パターン324が形成された面(第一面Da)が位置情報検出センサ100に向けられており、位置情報検出センサ100からの光が第一面Daに入射される。また、磁石部材Mは、円盤部材Dを挟んで位置情報検出センサ100に対向して設けられている。本実施形態における磁石部材Mは、円盤部材Dの第一面Daの少なくとも一部である入射面に対して反対の面(第二面Db)側に配置されている。
【0028】
図2は、位置情報検出センサ100の構成を示す平面図である。
図2に示すように、位置情報検出センサ100は、平面視で矩形に形成されたチップ基板10に光検出部20及び磁場検出部30が実装された構成である。したがって、位置情報検出センサ100は、光検出部20及び磁場検出部30がワンチップ上に実装された構成である。光検出部20は、上記光反射パターン324を介した光を検出する。磁場検出部30は、上記磁気パターン334による磁場を検出する。
【0029】
チップ基板10は、基材11、処理回路12、電極13及び発光部14を有している。基材11は、例えばシリコンなどの半導体材料を用いて形成されており、Z方向視で矩形の板状に形成されている。処理回路12は、基材11の内部に形成されている。処理回路12は、光検出部20及び磁場検出部30によって検出された情報を処理する。
【0030】
電極13は、チップ基板10と外部(例、外部コントローラ)との間で信号の入出力を行う。電極13は、チップ基板10のうち+X側の辺及び−X側の辺に沿って複数配置されている。電極13は、処理回路12や発光部14、光検出部20などに接続される第一電極13aと、磁場検出部30に接続される第二電極13bとを有する。第一電極13a及び第二電極13bは、Y方向に一列に配置されている。第一電極13a及び第二電極13bは、図中一点鎖線で示すリード線などを介して外部の電極に電気的に接続されている。第二電極13bは、チップ基板10の+Z側の面と−Z側の面とを貫通して形成されている。
【0031】
発光部14は、上記の光反射パターン324に照射する光を射出する。発光部14は、Z方向視でチップ基板10の中央部に配置されている。発光部14は、発光素子14a、接続部14b及びカソード電極14cを有しており、他に不図示のアノード電極を有している。発光素子14aは、例えば光反射パターン324のインクリメンタルパターン324aへ向けた光及びアブソリュートパターン324bへ向けた光、の二つのレーザ光を射出する。接続部14bとカソード電極14cとの間は、例えばリード線などによって接続されている。
【0032】
光検出部20は、光パターンを介した光を受光する。光検出部20は、第一受光部21及び第二受光部22を有する。第一受光部21は、光反射パターン324のうちインクリメンタルパターン324aを検出する。第一受光部21は、発光部14及び光検出部20の+Y側に配置されている。第二受光部22は、光反射パターン324のうちアブソリュートパターン324bを検出する。第二受光部22は、発光部14及び光検出部20の−Y側に配置されている。したがって、第一受光部21及び第二受光部22は、発光部14及び光検出部20をY方向に挟んで配置されている。
【0033】
第一受光部21及び第二受光部22は、それぞれ複数の受光素子23を有している。受光素子23としては、例えばフォトダイオードなどが用いられている。受光素子23は、基材11のうち−Y側の辺及び+Y側の辺に沿って配置されている。受光素子23は、光パターンの形状に対応する形状に形成されている。受光素子23の数については、光パターンの構成に応じて適宜変更することができる。
【0034】
磁場検出部30は、磁気パターンによる磁場を検出する。磁場検出部30は、発光部14及び光検出部20から外れた位置に配置されている。磁場検出部30は、チップ基板10の−Z側(後述の基材11の第二面11b)に配置されている。
【0035】
図3は、チップ基板10を−Z側から見たときの構成を示す図である。
図3に示すように、磁場検出部30は、第一検出部31及び第二検出部32を有する。第一検出部31は、チップ基板10の中央部よりも−X側に配置されている。第二検出部32は、チップ基板10の中央部よりも+X側に配置されている。第一検出部31及び第二検出部32は、チップ基板10の中央部を挟む位置に配置されている。なお、第一検出部31及び第二検出部32は、チップ基板10の中央部に配置されてもよいし、チップ基板10の端部に配置されてもよい。
【0036】
第一検出部31及び第二検出部32は、磁性薄膜33を有している。磁性薄膜33は、例えば金属配線などによって形成された直交する2つの繰り返しパターンを有している。磁性薄膜33は、接続配線34によって第三電極13cに接続されている。第三電極13cは、第二電極13bに接続されている。第三電極13cは、Z方向視で第二電極13bに重なる位置に配置されている。
【0037】
磁場検出部30のうち第一検出部31及び第二検出部32に設けられる磁性薄膜33は、上記のバイアス磁石342との間で磁気抵抗素子として機能する。すなわち、磁気パターン334による磁場とバイアス磁石342による磁場との合成磁場の方向が磁性薄膜33の繰り返しパターンに流れる電流の方向の垂直方向に近くなると電気抵抗が低下する。磁性薄膜33は、この電気抵抗の低下を利用して磁気パターン334による磁場の方向を電気信号に変換するようになっている。
【0038】
図4は、
図2におけるA1−A5(A1−A2−A3−A4−A5)断面に沿った構成を左右方向に展開したときの構成を示す図である。
図4に示すように、チップ基板10のうち基材11の+Z側の第一面11aには、絶縁層15、受光素子23、保護層16及び電極13が順に積層されている。
【0039】
絶縁層15は、例えばSiO
2などを用いて形成されている。受光素子23は、絶縁層15上に形成されており、保護層16によって覆われている。保護層16は、例えばSiNやSiO
2などを用いて形成されている。保護層16上には、第一電極13a及び第二電極13bが形成されている。第一電極13aは、不図示の配線を介して受光素子23に接続されている。
【0040】
チップ基板10のうち基材11の第二面11bには、シールド層17、絶縁層18、磁性薄膜33、保護層19及び第三電極13cが順に積層されている。シールド層17は、例えばアルミニウムなどの金属を用いて形成されている。シールド層17は、上記の所定の磁気パターンによる磁場以外の磁場のうち少なくとも一部を遮蔽し、磁性薄膜33から出力される電気信号のノイズを低下させる機能を有する。
【0041】
絶縁層18は、例えばSiO2などを用いて形成されている。保護層19は、例えばSiNやSiO2などを用いて形成されている。磁場検出部30の磁性薄膜33及び接続配線34は、絶縁層18上に形成されており、保護層19によって覆われている。
【0042】
保護層19上には、第三電極13cが形成されている。第三電極13cは、配線34を介して磁性薄膜33に接続されている。チップ基板10にはスルーホールHが形成されている。第三電極13cは、スルーホールHを埋めるように形成された貫通部13dを介して第二電極13bに接続されている。接続配線34は、貫通部13dに接続されている。
【0043】
図5は、チップ基板10の回路構成の一例である制御回路CCを示すブロック図である。
図5に示すように、チップ基板10には、第一検出部31及び第二検出部32の磁性薄膜33に接続されたコンパレータ35が設けられている。コンパレータ35は、処理回路12に接続されている。コンパレータ35は、磁場検出部30において検出された検出信号(MAn、MAp、MBn、MBp)を受信する。そして、コンパレータ35は、2値化した多回転信号MA及びMBを生成し、その多回転信号MA及びMBを処理回路12に送信する。
【0044】
また、チップ基板10には、インクリメンタルパターンを検出する第一受光部21の受光素子23に接続されたアンプ24及びコンパレータ26と、アブソリュートパターンを検出する第二受光部22の受光素子23に接続されたアンプ25及びコンパレータ27とが形成されている。コンパレータ26は、第一受光部21において検出され、アンプ24によって増幅された検出信号を受信する。そして、コンパレータ26は、2値化したインクリメンタル信号INCを生成し、そのインクリメンタル信号INCを処理回路12に送信する。コンパレータ27は、第二受光部22において検出され、アンプ25によって増幅された検出信号を受信する。そして、コンパレータ27は、2値化したアブソリュート信号ABSを生成し、そのアブソリュート信号ABSを処理回路12に送信する。
【0045】
処理回路12は、コンパレータ35から受信した多回転信号MA及びMBに基づき多回転情報MTを生成し、コンパレータ26から受信した内挿用のインクリメンタル信号INCとコンパレータ27から受信したアブソリュート信号ABSとに基づき一回転情報STを生成する。例えば、処理回路12は、外部コントローラCONTからの要求などによって、多回転情報MTと一回転情報STとを含む位置情報を外部コントローラCONTへシリアル方式で出力する。処理回路12は、第一電極13aに接続されている。上記位置情報は、第一電極13aを介して外部コントローラCONTに出力される。なお、本実施形態における制御回路CCは、アンプ24及び25、コンパレータ26及び27、コンパレータ35、処理回路12、を有する構成であるが、例えば処理回路12を有していない構成でもよい。また、本実施形態における一回転情報STは、絶対位置情報であるが、相対位置情報でも構わない。
【0046】
次に、第一検出部31及び第二検出部32と回転軸SFとの位置関係について説明する。
図6は、検出部SRの構成を示す図である。
【0047】
図6に示すように、回転軸SFの中心軸方向視(Z方向視)において、回転軸SFの中心軸CからセンサSR(例、位置情報検出センサ100)側へY方向に平行に伸びる基準線分SG0を0°とし、この基準線分SG0と、Z方向視において中心軸Cから第一検出部31へ向けて伸びる第一線分SG1とで形成される角度をθ1とし、上記基準線分SG0と、Z方向視において中心軸Cから第二検出部32へ向けて伸びる第二線分SG2とで形成される角度をθ2とすると、第一検出部31及び第二検出部32は、0°<θ1<90°、かつ、0°<θ2<90°を満たすように配置されている。
【0048】
本実施形態では、一例として、θ1+θ2=90°となるように第一検出部31及び第二検出部32が配置されている。なお、基準線分SG0の端部は、回転軸SFの中心軸Cに限られず、他の位置(例、光反射パターン324の中心軸)であっても構わない。
【0049】
また、中心軸Cから第一検出部31までの距離である第一線分SG1の長さをL1とし、中心軸Cから第二検出部32までの距離である第二線分SG2の長さをL2とし、第一線分SG1と第二線分SG2とで形成される角度をθ3とし、第一検出部31と第二検出部32との距離をL3とすると、第一検出部31及び第二検出部32は、
(L3)
2=(L1)
2+(L2)
2−2・L1・L2・cosθ3
(0°<θ3<180°)
を満たすように配置されている。
【0050】
なお、L1=L2である場合、第一検出部31及び第二検出部32は、中心軸Cを中心とする同じ円の円周上に配置されていることになる。この場合において、当該円の半径をRとし、上記角度θ3によって規定される円弧の長さをRaとすると、第一検出部31及び第二検出部32は、
Ra=2πR×(θ3/360°)
(0°<θ3<180°)
を満たすように配置されている。
【0051】
次に、上記のように構成された位置情報検出センサ100、エンコーダEC及び駆動装置MTRの製造方法を説明する。
まず、処理回路12、アンプ24及び25、コンパレータ26、27及び35が形成された基材11の第一面11a上に絶縁層15を形成する。なお、基材11に上記の処理回路12、アンプ24及び25、コンパレータ26、27及び35を形成する工程を行っても構わない。絶縁層15を形成した後、当該絶縁層15上に例えばスパッタリング法やフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いて受光素子23及び不図示の配線をパターニングする。
【0052】
受光素子23及び不図示の配線を形成した後、当該受光素子23を含む絶縁層15上に保護層16を形成する。保護層16を形成した後、当該保護層16上に第一電極13a及び第二電極13bをパターニングする。この段階では、第一電極13a及び第二電極13bは、保護層16上に積層させた状態である。
【0053】
次に、基材11の第二面11b上にシールド層17を形成する。シールド層17を形成した後、当該シールド層17上に絶縁層18を形成する。絶縁層18を形成した後、絶縁層18上に例えばスパッタリング法やフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いて磁性薄膜33及び接続配線34を形成する。この場合、第一検出部31の磁性薄膜33と第二検出部32の磁性薄膜33とを同一工程で形成する。磁性薄膜33を形成した後、当該磁性薄膜33を含む絶縁層18上に保護層19を形成する。
【0054】
次に、保護層19の表面から第二電極13bの底部までの部分に、例えばエッチング法などを用いてスルーホールHを形成する。当該スルーホールHは、保護層19、絶縁層18、シールド層17、基材11、絶縁層15及び保護層16を貫通して形成される。スルーホールHは、接続配線34の一部が露出するように形成される。
【0055】
次に、スルーホールHの内部に貫通部13dを形成する。当該貫通部13dは、スルーホールHに露出している接続配線34に接続される。貫通部13dを形成した後、当該貫通部13dに重なるように、例えば第三電極13cをパターニングする。その後、保護層16上に発光部14を配置させることにより、位置情報検出センサ100が形成される。
【0056】
形成された位置情報検出センサ100は、検出部SRの筐体341に搭載される。一方、検出部SRを形成する工程とは別に、回転部RTを形成する。その後、上記回転部RTを回転軸SFに固定させると共に、検出部SRを駆動部BDに取り付けることにより、回転軸SFにエンコーダECが取り付けられた駆動装置MTRが完成する。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、磁気パターン334を有する単一部材として形成され、光反射パターン324を有する回転部RTと、光反射パターン324を介した光を検出する光検出部20と磁気パターン334による磁場を検出する磁場検出部30とがチップ基板10に実装されている位置情報検出センサ100とを備えることとしたので、小型で検出信頼性の高いエンコーダECを提供することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、製造工程において、磁場検出部30と光検出部20とを同一のチップ基板10に実装できるので、製造コストを低減できる。また、本実施形態によれば、アンプ(例、アンプ24及び25)やコンパレータ(例、コンパレータ26、27及び35)のような複数の機能をチップ基板10に内蔵できるため、耐ノイズ性能が向上する。
【0059】
例えば、本実施形態における位置情報検出センサ100は、アンプ(例、アンプ24及び25)やコンパレータ(例、コンパレータ26、27及び35)のような複数の機能をチップ基板10に内蔵することによって互いをつなぐラインの長さを短くできるため、磁場検出部30とコンパレータ35とをつなぐライン、アンプ(例、アンプ24及び25)とコンパレータ(例、コンパレータ26及び27)とをつなぐライン、や光検出部30とアンプ(例、アンプ24及び25)とをつなぐライン等を、小型化やバックアップ時を考慮して、微小ラインで形成することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、回転軸SFと、当該回転軸SFを回転させる駆動部BDと、回転軸SFに固定され当該回転軸SFの回転情報を検出するエンコーダECとを備え、当該エンコーダとして、上記のエンコーダECが用いられているので、回転制御に優れた駆動装置MTRを提供することができる。
【0061】
[第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態を説明する。
図7は、一例として第一実施形態〜第三実施形態に記載の駆動装置MTRを備えるロボット装置RBTの一部(ハンドロボットの指部分の先端)の構成を示す図である。なお、上記実施形態に記載の駆動装置MTRは、ロボット装置RBTのアーム部を駆動する駆動部として用いてもよい。
【0062】
図7に示すように、ロボット装置RBTは、末節部101、中節部102及び関節部103を有しており、末節部101と中節部102とが関節部103を介して接続された構成になっている。関節部103には軸支持部103a及び軸部103bが設けられている。軸支持部103aは中節部102に固定されている。軸部103bは、軸支持部103aによって固定された状態で支持されている。
【0063】
末節部101は、接続部101a及び歯車101bを有している。接続部101aには、関節部103の軸部103bが貫通した状態になっており、当該軸部103bを回転軸として末節部101が回転可能になっている。この歯車101bは、接続部101aに固定されたベベルギアである。接続部101aは、歯車101bと一体的に回転するようになっている。
【0064】
中節部102は、筐体102a及び駆動装置MTRを有している。駆動装置MTRは、上記実施形態に記載の駆動装置MTRを用いることができる。駆動装置MTRは、筐体102a内に設けられている。駆動装置MTRには、回転軸部材104aが取り付けられている。回転軸部材104aの先端には、歯車104bが設けられている。この歯車104bは、回転軸部材104aに固定されたベベルギアである。歯車104bは、上記の歯車101bとの間で噛み合った状態になっている。なお、回転軸部材104aに直接ギアが形成された構成であっても構わない。
【0065】
上記のように構成されたロボット装置RBTは、駆動装置MTRの駆動によって回転軸部材104aが回転し、当該回転軸部材104aと一体的に歯車104bが回転する。歯車104bの回転は、当該歯車104bと噛み合った歯車101bに伝達され、歯車101bが回転する。当該歯車101bが回転することで接続部101aも回転し、これにより末節部101が軸部103bを中心に回転する。
【0066】
このように、本実施形態によれば、小型で回転特性の高い駆動装置MTRを搭載することにより、軽量で機動性の高いロボット装置RBTが提供される。
【0067】
[位置情報検出センサの他の構成例(1)]
図8は、位置情報検出センサ200の構成を示す図である。
図8に示すように、位置情報検出センサ200においては、チップ基板10のうち同一面(例、+Z側の面)に光検出部20と磁場検出部30とが設けられている。なお、Z方向視における位置は、第一実施形態と同様に、第一検出部31と第二検出部32とで光検出部20及び発光部14を挟む位置に設けられている。
【0068】
また、本実施形態における第一検出部31(61)と第二検出部32(62)とは、第一受光部21(41)、第二受光部22(42)及び発光部14(54)のうち少なくとも2つがチップ基板に並んで配置される一方向と直交する方向に沿って配置されてもよいし、第一受光部21(41)、第二受光部22(42)及び発光部14(54)のうち少なくとも2つがチップ基板に並んで配置される一方向に沿って配置されてもよい(後述の
図10、
図15など)。
【0069】
図9は、
図8におけるB1−B5(B1−B2−B3−B4−B5)断面に沿った構成を左右方向に展開したときの構成を示す図である。
図9に示すように、チップ基板10のうち基材11の+Z側の第一面11aには、シールド層17、絶縁層15、受光素子23、磁性薄膜33、保護層16及び電極13が順に積層されている。本実施形態では、シールド層17が第一面11a上に設けられており、絶縁層15はシールド層17上に設けられている。
【0070】
受光素子23及び磁性薄膜33は、絶縁層15上に形成されており、保護層16によって覆われている。保護層16上には、第一電極13a及び第二電極13bが形成されている。第一電極13aは、不図示の配線を介して受光素子23に接続されている。第二電極13bは、接続配線34(
図8参照)を介して第二電極13bに接続されている。
【0071】
次に、上記のように構成された位置情報検出センサ200の製造方法を説明する。
まず、基材11の第一面11a上にシールド層17を形成し、当該シールド層17上に絶縁層15を形成する。
【0072】
絶縁層15を形成した後、当該絶縁層15上に例えばスパッタリング法やフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いて受光素子23及び不図示の配線をパターニングする。受光素子23及び不図示の配線を形成した後、絶縁層15上に例えばスパッタリング法やフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いて磁性薄膜33及び接続配線34を形成する。
【0073】
絶縁層15上に受光素子23及び磁性薄膜33を形成した後、これら受光素子23及び磁性薄膜33を含む絶縁層15上に保護層16を形成する。したがって、本実施形態では、受光素子23及び磁性薄膜33を被う保護層16を一工程で形成することができる。
【0074】
保護層16を形成した後、当該保護層16上に第一電極13a及び第二電極13bをパターニングする。この場合、受光素子23の不図示の配線に接続されるように第一電極13aを形成すると共に、磁性薄膜33の接続配線34に接続されるように第二電極13bを形成する。第一電極13a及び第二電極13bは同一層に形成されるため、第一電極13a及び第二電極13bを同一工程で形成することができる。その後、保護層16上に発光部14を配置させることにより、位置情報検出センサ200が形成される。
【0075】
以上のように、この構成によれば、光検出部20と磁場検出部30とがチップ基板10の同一面に設けられているため、両者をチップ基板10の異なる面に形成する場合に比べて製造工程をさらに短縮することができる。
【0076】
[位置情報検出センサの他の構成例(2)]
図10は、位置情報検出センサ300の構成を示す図である。
図10に示すように、位置情報検出センサ300においては、チップ基板10に発光部14が設けられていない構成となっている。また、位置情報検出センサ300は、第一受光部21と第二受光部22とがY方向に沿って隣接して配置されている。
【0077】
このような構成の位置情報検出センサ300は、例えば光学パターンとして光透過型のパターンを有するエンコーダに取り付けて用いることができる。なお、上記実施形態における構成に比べてインクリメンタルパターンとアブソリュートパターンとの間隔を狭くすることができるため、回転部RTをさらに小型化することができる。
【0078】
[位置情報検出センサの他の構成例(3)]
図11は、位置情報検出センサ400の構成を示す平面図である。
図11に示すように、位置情報検出センサ400は、光検出部40が実装された第一チップ50と、磁場検出部60が実装された第二チップ70とを有している。
【0079】
第一チップ50及び第二チップ70は、それぞれ外形が矩形の板状に形成され、チップ基板を構成している。第一チップ50と第二チップ70とは、互いに第一面50f及び第一面70fを対向させた状態で接合(チップオンチップ接合:
図12等参照)されている。第二チップ70は、複数、例えば2つ設けられている。2つの第二チップ70は、第一チップ50の第一面50fのうち異なる領域に接合されている。本実施形態においては、第一チップ50と第二チップ70とは、フリップチップ実装によってチップオンチップ接合されている。
【0080】
光検出部40は、第一チップ50の第一面50fに実装されている。したがって、第二チップ70は、第一チップ50のうち光検出部40が実装される実装面に接合されている。光検出部40は、上記第一実施形態に記載の光反射パターン324を介した光を検出する。第二チップ70に実装された磁場検出部60は、上記第一実施形態に記載の磁気パターンに334よる磁場を検出する。
【0081】
第一チップ50は、基材51、処理回路52、電極53、発光部54及び第一接続端子55を有している。基材51は、例えばシリコンなどの半導体材料を用いて形成されており、Z方向視で矩形の板状に形成されている。処理回路52は、基材51の内部に形成されている。処理回路52は、光検出部40及び磁場検出部60によって検出された情報を処理する。
【0082】
電極53は、第一チップ50と外部(例、外部コントローラ)との間で信号の入出力を行う。電極53は、第一チップ50のうち+X側の辺及び−X側の辺に沿って複数配置されている。電極53は、処理回路52や発光部54、光検出部40などに接続される第一電極53aと、磁場検出部60に接続される第二電極53bとを有する。第一電極53a及び第二電極53bは、Y方向に一列に配置されている。第一電極53a及び第二電極53bは、図中一点鎖線で示すリード線などを介して外部の電極に電気的に接続されている。
【0083】
発光部54は、上記の光パターンに照射する光を射出する。発光部54は、Z方向視で第一チップ50の中央部に配置されている。発光部54は、発光素子54a、接続部54b及びカソード電極54cを有しており、他に不図示のアノード電極を有している。発光素子54aは、一方向又は複数方向に向けてレーザ光を射出可能に形成されている。接続部54bとカソード電極54cとの間は、例えばリード線などによって接続されている。
【0084】
光検出部40は、光パターンを介した光を受光する。光検出部40は、第一受光部41及び第二受光部42を有する。第一受光部41は、上記光反射パターン324のうちインクリメンタルパターン324aを検出する。第一受光部41は、発光部54及び光検出部40の+Y側に配置されている。第二受光部42は、光反射パターン324のうちアブソリュートパターン324bを検出する。第二受光部42は、発光部54及び光検出部40の−Y側に配置されている。したがって、第一受光部41及び第二受光部42は、発光部54及び光検出部40をY方向に挟んで配置されている。
【0085】
第一受光部41及び第二受光部42は、それぞれ複数の受光素子43を有している。受光素子43としては、例えばフォトダイオードなどが用いられている。受光素子43は、基材51のうち−Y側の辺及び+Y側の辺に沿って配置されている。受光素子43は、光パターンの形状に対応する形状に形成されている。受光素子43の数については、光パターンの構成に応じて適宜変更することができる。
【0086】
第二チップ70は、基材71及び第二接続端子75を有している。第二接続端子75は、基材71の第一面71aに複数設けられている。複数の第二接続端子75のそれぞれは、上記第一接続端子55のそれぞれに重なるように配置されている。第一チップ50と第二チップ70との間では、例えば異方性導電材料などの導電膜を介して第一接続端子55と第二接続端子75とが接続されている。
【0087】
磁場検出部60は、2つの第二チップ70のうち一方の第二チップ70Aに形成された第一検出部61と、他方の第二チップ70Bに形成された第二検出部62とを有する。第二チップ70は、第一チップ50の中央部よりも−X側に配置されている。第二チップ70Bは、第一チップ50の中央部よりも+X側に配置されている。したがって、これら第二チップ70A及び70Bに実装された第一検出部61及び第二検出部62は、第一チップ50の中央部を挟む位置に配置されている。なお、第一検出部61及び第二検出部62は、第一チップ50の中央部に配置されてもよいし、第一チップ50の端部に配置されてもよい。
【0088】
第一検出部61及び第二検出部62は、磁性薄膜63を有している。磁性薄膜63は、例えば金属配線などによって形成された直交する2つの繰り返しパターンを有している。磁性薄膜63は、配線64によって第二電極53bに接続されている。第二接続端子65は、第一チップ50側の第一接続端子55を介して第二電極53bに接続されている。
【0089】
図12は、
図11におけるC1−C5(C1−C2−C3−C4−C5)断面に沿った構成を左右方向に展開したときの構成を示す図である。
図12に示すように、第一チップ50のうち基材51の+Z側の第一面51aには、絶縁層57、受光素子43、保護層56及び電極53が順に積層されている。
【0090】
絶縁層57は、例えばSiO
2などを用いて形成されている。受光素子43は、絶縁層57上に形成されており、保護層56によって覆われている。保護層56は、例えばSiNやSiO
2などを用いて形成されている。保護層56上には、第一電極53a及び第二電極53bが形成されている。第一電極53aは、不図示の配線を介して受光素子43に接続されている。
【0091】
第二チップ70のうち基材71の第一面71aには、シールド層77、絶縁層78、磁性薄膜63、保護層79及び第二接続端子75が順に積層されている。シールド層77は、例えばアルミニウムなどの金属を用いて形成されている。シールド層77は、上記の所定の磁気パターンによる磁場以外の磁場のうち少なくとも一部を遮蔽し、磁性薄膜63から出力される電気信号のノイズを低下させる機能を有する。
【0092】
絶縁層78は、例えばSiO
2などを用いて形成されている。保護層79は、例えばSiNやSiO
2などを用いて形成されている。磁性薄膜63及び配線64は、絶縁層78上に形成されており、保護層79によって覆われている。保護層79上には、第二接続端子75が形成されている。第二接続端子75は、導電性接着剤80を介して第一接続端子55に接続されている。また、当該導電性接着剤80は、第一チップ50と第二チップ70とを固定させる機能を有する。
【0093】
次に、上記のように構成された位置情報検出センサ400の製造方法を説明する。
はじめに、光検出部40が実装された第一チップ50を形成する。まず、処理回路52、アンプ44及び45、コンパレータ46、47及び66が形成された基材51の第一面51a上に絶縁層57を形成する。なお、基材51に上記の処理回路52、アンプ44及び45、コンパレータ46、47及び66を形成する工程を行っても構わない。
【0094】
絶縁層57を形成した後、当該絶縁層57上に例えばスパッタリング法やフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いて受光素子43及び不図示の配線をパターニングする。受光素子43及び不図示の配線を形成した後、当該受光素子43を含む絶縁層57上に保護層56を形成する。
【0095】
保護層56を形成した後、当該保護層56上に第一電極53a、第二電極53b、第一接続端子55及び配線64をパターニングする。このように、第一チップ50の表面の配線層が同一工程で形成されるため、効率的に第一チップ50が製造される。
【0096】
次に、磁場検出部60が実装された第二チップ70を形成する。本実施形態で用いられる2つの第二チップ70は、同一の工程で形成される。以下、1つの第二チップ70の製造工程を代表させて説明する。まず、基材71の第一面71a上にシールド層77を形成する。シールド層77を形成した後、当該シールド層77上に絶縁層78を形成する。絶縁層78を形成した後、絶縁層78上に例えばスパッタリング法やフォトリソグラフィ法、エッチング法を用いて磁性薄膜63を形成する。磁性薄膜63を形成した後、当該磁性薄膜63を含む絶縁層78上に保護層79を形成する。保護層79を形成した後、当該保護層79上に第二接続端子75を形成する。
【0097】
次に、光検出部40が実装された第一チップ50に、磁場検出部60が実装された第二チップ70を接合する。この工程では、第一チップ50の第一接続端子55と、第二チップ70の第二接続端子75との間に固化された導電性接着剤80を挟み、熱圧着法などによって導電性接着剤80を溶解させることで第一接続端子55と第二接続端子75とを当該導電性接着剤80によって接着する。これにより、第一接続端子55と第二接続端子75とが電気的に接続されると共に、第一チップ50と第二チップ70とが固定される。以上の工程を経て、位置情報検出センサ400が形成される。
【0098】
上記構成によれば、光学パターンを介した光を検出する光検出部40が実装された第一チップ50と、当該第一チップ50との間で互いに表面を対向させた状態で接合され、磁気パターンによる磁場を検出する磁場検出部60が実装された第二チップ70とを備えるので、両者をそれぞれ別々の位置に実装する場合に比べて、小型化が可能となる。
【0099】
[位置情報検出センサの他の構成例(4)]
図13は、位置情報検出センサ500の構成を示す平面図である。
図14は、位置情報検出センサ500の構成を示す側面図である。
図13及び
図14に示すように、位置情報検出センサ500は、第二チップ70がワイヤー90を用いて第一チップ50にチップオンチップ接合されている。他の構成については、上記の位置情報検出センサ400とほぼ同一である。本実施形態においては、第一チップ50と第二チップ70とは、ベアチップ実装によってチップオンチップ接合されている。
【0100】
第二チップ70には、図中+Z側の面の4つの角部に1つずつ第二接続端子75が設けられている。第一チップ50には、第二チップ70の4つの角部からずれた位置に1つずつ第一接続端子55が設けられている。第二チップ70の各角部に対応する位置に配置される第一接続端子55と第二接続端子75とは、ワイヤー90を介してそれぞれ接続されている。第一接続端子55は配線64を介して例えば第二電極53bに接続されている。本実施形態においては、第二チップ70は、第一チップ50のうち光検出部40が実装される実装面である第一面50fに接合されている。
【0101】
上記構成によれば、第一チップ50と第二チップ70とがワイヤー90を用いて接合された構成においては、第一チップ50と第二チップ70とをそれぞれ別々の位置に実装する場合に比べて、小型化が可能となる。
【0102】
[位置情報検出センサの他の構成例(5)]
図15は、本実施形態に係る位置情報検出センサ600の構成を示す平面図である。
図16は、位置情報検出センサ600の構成を示す側面図である。
図15及び
図16に示すように、位置情報検出センサ600は、上記位置情報検出センサ400の構成と対比して、第二チップ70のうち磁場検出部60が実装される実装面である第一面70fに第一チップ50がチップオンチップ接合された構成である点で異なっている。本実施形態においては、第一チップ50と第二チップ70とは、ベアチップ実装によってチップオンチップ接合されている。
【0103】
第一チップ50には、光検出部40が実装されている。加えて、第一チップ50には、処理回路52、発光部54及び第一接続端子55が設けられている。処理回路52及び発光部54については、第一実施形態とほぼ同一の構成となっている。第一接続端子55は、第一チップ50の+Z側の面の4つの角部に1つずつ設けられている。第一接続端子55は、不図示の配線を介して光検出部40の受光素子43に接続されている。
【0104】
第二チップ70には、磁場検出部60が実装されている。加えて、第二チップ70には、電極73及び第二接続端子75が設けられている。電極73は、第二チップ70と外部(例、外部コントローラ)との間で信号の入出力を行う。電極73は、第二チップ70のうち+X側の辺及び−X側の辺に沿って複数配置されている。電極73は、第一チップ50に接続される第一電極73aと、磁場検出部60に接続される第二電極73bとを有する。第一電極73a及び第二電極73bは、Y方向に一列に配置されている。第一電極73a及び第二電極73bは、図中一点鎖線で示すリード線などを介して外部の電極に電気的に接続されている。
【0105】
第二接続端子75は、第一チップ50の4つの角部からずれた位置に1つずつ設けられている。これらの第二接続端子75と、第一チップ50の各角部に対応する位置に配置される第一接続端子55とは、ワイヤー90を介してそれぞれ接続されている。第二接続端子75は配線64を介して例えば第二電極53bに接続されている。
【0106】
このように、本実施形態によれば、第二チップ70のうち磁場検出部60が実装される実装面である第一面70fに第一チップ50が接合された構成において、第一チップ50と第二チップ70とをそれぞれ別々の位置に実装する場合に比べて、小型化が可能となる。
【0107】
[位置情報検出センサの他の構成例(6)]
図17は、位置情報検出センサ700の構成を示す図である。
図17に示すように、位置情報検出センサ700は、位置情報検出センサ400に比べて、第一チップ50のうち光検出部40が実装される実装面である第一面50fとは反対側の第二面50gに第二チップ70が実装される構成である点で異なっている。
【0108】
このような構成であっても、位置情報検出センサ700の小型化が可能となる。なお、
図17では、導電性接着剤80を介して第二チップ70が第一チップ50に接合された構成が示されているが、これに限られることは無く、ワイヤーなどを介して第二チップ70が第一チップ50に接合された構成であっても構わない。
【0109】
[位置情報検出センサの他の構成例(7)]
図18は、位置情報検出センサ800の構成を示す図である。
図18に示すように、位置情報検出センサ800は、位置情報検出センサ400に比べて、第二チップ70のうち磁場検出部60が実装される実装面である第一面70fとは反対側の第二面70gに第一チップ50が実装される構成である点で異なっている。
【0110】
このような構成であっても、位置情報検出センサ800の小型化が可能となる。なお、
図18では、ワイヤー90を介して第一チップ50が第二チップ70に接合された構成が示されているが、これに限られることは無く、導電性接着剤などを介して第一チップ50が第二チップ70に接合された構成であっても構わない。
【0111】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記の位置情報検出センサ400の説明においては、第一チップ50に発光部54及び光検出部40が設けられる光反射型の構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、第一チップ50に発光部54が設けられていない構成としても構わない。このような構成の位置情報検出センサは、例えば光学パターンとして光透過型のパターンを有するエンコーダに取り付けて用いることができる。また、例えば、
図10や
図15のように第一検出部31(61)と第二検出部32(62)とが、第一受光部21(41)、第二受光部22(42)及び発光部14(54)のうち少なくとも2つがチップ基板に並んで配置される一方向に沿って配置された場合、磁場検出部30(60)と磁気パターン334との間のギャップをさらに小さくすることができるため、磁場検出部30(60)は磁気パターン334による磁場をさらに高精度に検出できる。
【0112】
また、上記説明において、光検出部において一回転情報が検出され、磁場検出部において多回転情報が検出される構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、光検出部において多回転情報が検出され、磁場検出部において一回転情報が検出される構成であっても構わない。また、上記実施形態における第一検出部61及び第二検出部62は、MRセンサで構成されているが、GIGセンサ、GMRセンサやホール素子のようなセンサで構成されてもよい。
【0113】
また、上記実施形態においては、駆動装置MTRが回転軸SFを回転させる構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、駆動装置MTRが移動部を直線状又は曲線状に移動させる構成であっても、同様の説明が可能である。
【0114】
また、上記実施形態においては、Z方向視において磁石部材Mの径と円盤部材Dの径とが同一となるように形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
例えば、
図19に示すように、磁石部材Mの径が円盤部材Dの径よりも小さく形成されており、磁石部材Mと円盤部材Dとの間に段差が形成された構成であっても構わない。また、図示を省略するが、磁石部材Mの径が円盤部材Dの径よりも大きく形成された構成であっても構わない。
【0115】
また、上記実施形態においては、軸挿入部330が磁石部材Mの第一面Maと第二面Mbとを貫通して形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
例えば、
図20に示すように、軸挿入部330が磁石部材Mの第二面Mbに形成された凹部330bを有する構成であっても構わない。この場合、回転軸SFの構成としては、磁石部材Mのうち凹部330bの底部及び側部のうち少なくとも一部に接合された構成とすることができる。
【0116】
この構成では、磁気パターン334の形成される領域が円形となるため、N極とS極とを半分ずつ形成する単純なパターンとすることができる。また、この構成により、磁石部材Mと円盤部材Dとが回転軸SFと一体的に回転することになる。
【0117】
また、上記実施形態においては、軸挿入部330の径が回転軸SFの径とほぼ同一となるように形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
例えば、
図21に示すように、軸挿入部330の径が回転軸SFの径よりも大きく、内周面330aが回転軸SFの外周面と離れた構成であっても構わない。
図21に示す構成においては、円盤部材Dと磁石部材Mとが一体的に接合されており、円盤部材Dの第二面Daに凹部320aが形成されている。凹部320aは、回転軸SFの外周面とほぼ等しい径を有している。回転軸SFは、当該凹部320aに挿入された状態で固定されている。
【0118】
このように、円盤部材Dと磁石部材Mとが一体的に接合されている場合、回転軸SFは円盤部材Dと磁石部材Mとのうち少なくとも一方に固定されていれば良い。したがって、円盤部材D及び磁石部材Mの構成の選択肢が広がることになる。
【0119】
また、上記実施形態においては、円盤部材Dの第二面Dbが平坦に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。
例えば、
図22に示すように、円盤部材Dの第二面Dbに溝部Dcが形成されており、当該溝部Dcに磁石部材Mが配置された構成であっても構わない。この構成により、磁石部材Mを磁場検出部30により近づけることができる。したがって、本実施形態における溝部Dcは、磁石部材Mと場検出部30との間のギャップ(例、スラスト方向のギャップ)を調整する作用を有する。磁場検出部30は磁気パターン334による磁場をさらに高精度に検出することができる。
【0120】
また、上記実施形態においては、円盤部材Dと磁石部材Mとを不図示の接着剤などによって直接接着させる構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、円盤部材Dと磁石部材Mとの間に不図示の介挿部材を挿入させる構成であっても構わない。例えば、介挿部材95は、磁性体などが挙げられる。介挿部材を用いる場合、回転軸SFを当該介挿部材に接合させた構成とすることができる。この構成においては、円盤部材D及び磁石部材Mは、介挿部材を介して回転軸SFに接合されることになる。