(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プライマー処理した基体上に、ラジカル重合性樹脂組成物を塗布、硬化した下層(i)を設け、前記下層(i)上に、ウレタン樹脂組成物を塗布、硬化した上層(ii)を設けた複合被覆構造体であって、
前記ラジカル重合性樹脂組成物が、数平均分子量が3,500〜7,000であるポリエステルポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)とを反応させてイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C)を得、次いで水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(D)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)、及び分子量が200〜500であるラジカル重合性不飽和単量体(2)を含有するものであり、
前記ウレタン樹脂組成物が、天然油及び/又はその誘導体(E)、及びポリイソシアネート(F)を含有するものであることを特徴とする複合被覆構造体。
前記ラジカル重合性樹脂組成物における、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)と前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)との質量割合が、(1)/(2)=20/80〜70/30である請求項1に記載の複合被覆構造体。
前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)が、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる1種以上である請求項1に記載の複合被覆構造体。
【発明を実施するための形態】
【0012】
まず、本発明で用いる基体について説明する。
【0013】
前記基体は、例えば、セメントコンクリート、アスファルトコンクリート、石綿スレート、ALC板、ポリカーボネート板、プラスチック、木質物、金属等が挙げられる。これらの基体は、単独で用いても2種以上を併用して構成されたものを用いてもよい。また、前記基体の表面の形状は球面、曲面、延長面、平面、斜面等いずれでもよい。なかでも、本発明の複合被覆構造体は道路用舗装材や道路用防水材、床材等に特に好適に使用することができるため、前記基体としては、セメントコンクリート、アスファルトコンクリートが好ましい。
【0014】
また、前記基体はプライマー処理することが必要である。前記プライマー処理を施さない場合には、後述する下層(i)と基体との間の層間接着性が不良となり、下地ひび割れ追従性や防水性が不良となる。
【0015】
前記プライマーは、ウレタン系、エポキシ系、ビニルエステル系、不飽和ポリエステル系、アクリル系等のいずれも公知のプライマーが挙げられる。
【0016】
次に、下層(i)に用いられるラジカル重合性樹脂組成物について説明する。
【0017】
前記ポリエステルポリオール(A)は、多塩基酸と多価アルコールとを反応させて得られるものである。
【0018】
前記多塩基酸は、例えば、シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アコニット酸、テトラヒドロフタル酸、ノルボルネンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、グルタル酸、3−メチル−2−ペンテン・二酸、2−メチル−2−ペンテン・二酸、コハク酸、セバシン酸、ドデカン二酸、アジピン酸、アゼライン酸、2−エチルヘキサン酸、シス−3−メチル−4−シクロへキセン−シス−1,2−ジカルボン酸、シス−3−メチル−4−シクロへキセン−シス−1,2−ジカルボン酸の無水物等の脂肪族ポリカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸等の芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。これらの多塩基酸は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、下層の引張り伸び率を向上できる観点から、ジカルボン酸を用いることが好ましく、脂肪族ジカルボン酸をがより好ましく、アジピン酸、コハク酸、セバシン酸が特に好ましい。
【0019】
前記多塩基酸成分中における脂肪族ジカルボン酸の使用割合としては、下層の引張り伸び率を向上できる観点から、好ましくは20〜100モル%、さらに好ましくは50〜100モル%、特に好ましくは90〜100モル%である。
【0020】
前記多価アルコールは、2個以上の水酸基を有するものであり、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール、シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,3−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、シクロオクタン−1,4−ジオール、2,5−ノルボルナンジオール等の脂環式ジオール、p−キシレンジオール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,5−ナフタレンジオール等の芳香族ジオール、グリセリン、トリメチロ−ルプロパン、1,2,6−ヘキサントリオ−ル等のトリオール等が挙げられる。これらの多価アルコールは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、下層に柔軟性を付与できる観点から、脂肪族ジオールを用いることが好ましい。
【0021】
前記ポリエステルポリオール(A)は、前記多塩基酸と前記多価アルコールとを従来公知の方法で重縮合反応させて得られる。前記重縮合反応は、例えば、前記多塩基酸と前記多価アルコールとを反応容器に仕込み、必要に応じてキシレン等の高沸点溶剤、エステル化触媒を添加し、脱水縮合させることにより、エステル化反応を進行させる方法が挙げられる。前記重縮合反応の反応温度は反応性制御の観点から、140〜240℃、好ましくは170〜230℃であり、反応時間は10〜25時間、好ましくは15〜23時間である。
【0022】
前記エステル化触媒は、例えば、硫酸、塩酸、リン酸等の鉱酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のアレーンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、スズテトラエチレート、ブチルスズマレート、ジメチルスズオキサイド、ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド等のスズ化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、四塩化チタン等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。
【0023】
前記エステル化触媒の使用量は、反応性制御で前記多塩基酸と前記多価アルコールとの合計質量に対して、0.001〜0.1質量%であることが好ましく、0.001〜0.05質量%であることがより好ましい。
【0024】
前記ポリエステルポリオール(A)は、数平均分子量が2,500〜7,000であることが必須である。前記ポリエステルポリオールの数平均分子量が2,500を下回る場合は、下層の引張り伸び率が十分でないため複合被覆構造体の下地ひび割れ追従性及び防水性が不良となり、また、7,000を超える場合は、粘度上昇によりゲル化が起こりやすくなり、製造安定性が著しく悪化する等の問題点がある。なお、前記ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量は、ポリスチレンを分子量標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(GPC法)により求めた値を示す。また、前記ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量としては、特に被覆構造体の下地ひび割れ追従性をより向上できる観点から、3,500〜7,000がより好ましく、更に好ましくは4,000〜7,000、特に好ましくは4,500〜6,500である。
【0025】
また、前記ポリエステルポリオール(A)としては、下層の引張り物性をより向上できる観点から、酸価が0.0〜1.0mgKOH/gであることがより好ましく、0.20〜0.80mgKOH/gであることが特に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオール(A)の酸価は、JIS K1557−5の電位差滴定法に準拠して測定を行った値である。
【0026】
また、前記ポリエステルポリオール(A)としては、下層の引張り物性をより向上できる観点から、水酸基価が10〜200mgKOH/gであることが好ましく、10〜50mgKOH/gであることがさらに好ましく、10〜40mgKOH/gであることが特に好ましい。なお、前記ポリエステルポリオール(A)の水酸基価は、JIS K0070の中和滴定法に準拠して測定を行った値である。
【0027】
また、本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲であれば、前記ポリエステルポリオール(A)に他のポリオールを併用しても良い。
【0028】
前記他のポリオールは、例えば、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリエーテルポリオール等のポリオールが挙げられる。
【0029】
前記ポリイソシアネート(B)は、分子中にイソシアネート基を2個以上有するものであり、例えば、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂肪族環式構造含有ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、メチレンジフェニルジシソシアネートのホルマリン縮合体、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのカルボジイミド変性体等の芳香族系ポリイソシアネート等が挙げられる。これらのポリイソシアネートは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらの中でも、引張り物性や反応性の観点からジイソシアネートが好ましい。
【0030】
前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(D)は、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリル化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、下層の常温での硬化性及び皮膚刺激性をより向上できる観点から、水酸基を有するメタクリル酸アルキルエステルが好ましく、2−ヒドロキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
【0031】
なお、本発明において、「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートとアクリレートの一方又は両方をいい、「(メタ)アクリロイル基」とは、メタクリロイル基とアクリロイル基の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル酸」とは、メタクリル酸とアクリル酸の一方又は両方をいい、「(メタ)アクリル化合物」とは、アクリル化合物とメタクリル化合物の一方又は両方をいう。
【0032】
次に、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)の製造方法について説明する。
【0033】
前記ポリエステルポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)との反応は、前記ポリエステルポリオール(A)の有する水酸基と前記ポリイソシアネート(B)の有するイソシアネート基との当量割合[イソシアネート基/水酸基]が2.2/1.0〜1.8/1.0の範囲で行うことが好ましく、2.1/1.0〜1.9/1.0の範囲がより好ましい。また、前記ポリエステルポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)との反応は、50〜100℃の条件下で概ね30分〜8時間程度行うことが好ましい。
【0034】
前記ポリエステルポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)との反応で得られるイソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C)と、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物(D)との反応は、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマーの残存イソシアネート基と前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物の有する水酸基との当量割合[残存イソシアネート基/水酸基]が0.8/1.0〜1.2/1.0の範囲であることが好ましい。
【0035】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)としては、その末端部の全てが、前記水酸基を有する(メタ)アクリル化合物由来の(メタ)アクリロイル基であることが好ましく、実質的にイソシアネート基が残存していないことが好ましい。
また、前記イソシアネート基末端ウレタンプレポリマー(C)と前記水酸基を有する(メタ)アクリロイル化合物(D)との反応は、50〜120℃の条件下で概ね30分〜5時間程度行うことが好ましい。
【0036】
また、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)を製造する際には、必要に応じて三級アミン触媒や有機金属系触媒を用いてもよい。
【0037】
前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)は、必要に応じて重合禁止剤等のその他の添加剤を含有してもよい。
【0038】
前記重合禁止剤は、例えば、トリハイドロキノン、トルハイドロキノン、14−ナフトキノン、パラベンゾキノン、ハイドロキノン、ベンゾキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−tert−ブチルカテコール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール等が挙げられ、これらの重合禁止剤は単独で用いても2種以上を併用してもよい。前記重合禁止剤の使用量は、前記ポリエステルポリオール(A)と前記ポリイソシアネート(B)と前記水酸基を有する(メタ)アクリロイル化合物(D)との合計質量に対して、0.005〜0.1質量%であることが好ましく、0.01〜0.1質量%であることがより好ましい。
【0039】
以上のようにして得られるウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)の数平均分子量は、引張り物性等の観点から、2,000〜8,000が好ましく、3,000〜7,000がより好ましい。なお、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)の数平均分子量は、前記ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量と同様の測定条件により得られた数平均分子量を示す。
【0040】
次に、本発明で用いる分子量が200〜500であるラジカル重合性不飽和単量体(2)について説明する。
【0041】
前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)は、(メタ)アクリル基を1個有する単量体を用いることが好ましく、例えば、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのラジカル重合性不飽和単量体は単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、分子量が200〜400であるものがより好ましく、引張り物性や臭気、安全性の観点からジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、更に下層の常温での硬化性及び皮膚刺激性をより向上できる観点から、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレートが特に好ましい。
【0042】
また、前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)として、上記の分子量を外れるものを使用した場合には、低臭性や下地ひび割れ追従性が十分とはならない。
なお、前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)の分子量は、構造式から計算される値を示す。なお、構造式から分子量が計算できない場合には、前記ポリエステルポリオール(A)の数平均分子量と同様の測定条件により得られた数平均分子量を示す。
【0043】
また、前記ラジカル重合性樹脂組成物における前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)と前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)との質量割合は、下層の引張り伸び率、下地ひび割れ追従性を更に向上できる観点から、(1)/(2)=20/80〜70/30であることが好ましく、20/80〜50/50がより好ましく、20/80〜40/60が特に好ましい。
【0044】
また、前記ラジカル重合性樹脂組成物としては、下層の常温での硬化性をより向上できる観点から、硬化剤(4)及び硬化促進剤(5)を更に含有していることが好ましい。
【0045】
前記硬化剤(4)は、有機過酸化物であり、例えば、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系、ジアルクルパーオキサイド系、ケトンパーオキサイド系、パーオキシケタール系、アルキルパーエステル系、パーカーボネート系等の公知慣用のものが挙げられる。これらの有機過酸化物は、養生条件等により適宜選択される。
【0046】
前記硬化剤(4)の使用量としては、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)と前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)との合計質量に対し、下層の常温での硬化特性の観点から0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
【0047】
前記硬化促進剤(5)は、前記硬化剤(4)の有機過酸化物をレドックス反応によって分解し、活性ラジカルの発生を容易にする作用のある物質であり、例えば、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、オクチル酸バナジウム、ナフテン酸銅、ナフテン酸バリウム等の金属石鹸類、バナジウムアセチルアセテート、コバルトアセチルアセテート、鉄アセチルアセトネート等の金属キレート類、アニリン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−トルイジンのエチレンオキサイド付加物、N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−[N,N−ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ]ベンズアルデヒド、4−(N−メチル−N−ヒドロキシエチルアミノ)ベンズアルデヒド、N,N−ビス(2−ヒドロキシプロピル)−p−トルイジン、N−エチル−m−トルイジン、トリエタノールアミン、m−トルイジン、ジエチレントリアミン、ピリジン、フェニリモルホリン、ピペリジン、N,N−ビス(ヒドロキシエチル)アニリン、ジエタノールアニリン等のN,N−置換アニリン、N,N−置換−p−トルイジン、4−(N,N−置換アミノ)ベンズアルデヒド等のアミン類が挙げられる。これらの硬化促進剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0048】
前記硬化促進剤(5)の使用量としては、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂(1)と前記ラジカル重合性不飽和単量体(2)との合計質量に対し、0.05〜5質量%、好ましくは、0.5〜3質量%であることが好ましい。
【0049】
また、前記ラジカル重合性樹脂組成物には、上記したもの以外に、各種の添加剤、例えば、充填材、紫外線吸収剤、顔料、増粘剤、低収縮剤、老化防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、補強材等を含有してもよい。
【0050】
次に、上層(ii)に用いられるウレタン樹脂組成物について説明する。
【0051】
前記天然油及び/又はその誘導体(E)は、例えば、ひまし油、大豆油、やし油、アマニ油、桐油等の天然油、及びそれらの誘導体が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上を併用してもよい。これらのなかでも、下層(i)との層間接着性が良好となる観点から、ひまし油及びその誘導体が好ましい。
【0052】
前記天然油の誘導体は、例えば、天然油とグリセロール等の多価アルコールとのエステル交換反応物、天然油の重合体、天然油のエポキシ化合物、天然油のジシクロペンタジエン付加物等が挙げられる。好ましくは、ひまし油の誘導体であり、ひまし油とグリセロール多価アルコールとのエステル交換反応物、ひまし油の重合体、ひまし油のジシクロペンタジエン付加物、ひまし油のエポキシ化合物、ひまし油のハロゲン化物等が挙げられる。
これらの中でも、下層(i)との層間接着性が良好となる観点から、ひまし油のエポキシ化合物がより好ましく、ビスフェノール型エポキシ化合物と脂肪酸との反応物が特に好ましい。なお、前記多価アルコールは、前記ポリエステルポリオール(A)の原料である多価アルコールと同様のものを用いることができる。
【0053】
前記ビスフェノール型エポキシ化合物は、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS等とエピクロルヒドリンとを反応させて得られる化合物が挙げられる。
【0054】
前記脂肪酸は、エチレン性不飽和結合を有する炭素数10〜25の脂肪酸が好ましく、リシノール酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等のひまし油脂肪酸、大豆油脂肪酸等が挙げられる。なかでも、リシノール酸が好ましい。
【0055】
また、ビスフェノール型エポキシ化合物と脂肪酸との反応比率は、複合被覆構造体の機械物性等の観点から、当量比で[エポキシ基/カルボキシル基]が、1/1〜1/0.7の範囲が好ましく、1/0.95〜1/0.9がより好ましい。
【0056】
また、前記ウレタン樹脂組成物に用いられるポリイソシアネート(F)は、前記ウレタン(メタ)アクリレート樹脂に用いられる前記ポリイソシアネート(B)と同様のものを用いることができる。
【0057】
前記天然油及び/又はその誘導体(E)と前記ポリイソシアネート(B)との配合比率は、複合被覆構造体の機械物性等の観点から、当量比で[イソシアネート基/水酸基]が、0.7〜1.5の範囲が好ましい。
【0058】
前記ウレタン樹脂組成物は、前記天然油及び/又はその誘導体(E)と前記ポリイソシアネート(B)以外にも、充填材、紫外線吸収剤、顔料、増粘剤、低収縮剤、老化防止剤、可塑剤、骨材、難燃剤、安定剤、補強材、チキソ付与剤、レべリング剤、シランカップリング剤、吸湿剤等を含有してもよい。
【0059】
次に、本発明の複合被覆構造体について説明する。
【0060】
本発明の複合被覆構造体の各層の好ましい厚みは、下地ひび割れ追従性等の観点から、前記下層(i)が0.05〜3.0mm/m
2であり、前記上層(ii)が0.05〜5.0mm/m
2である。また、プライマー層の好ましい厚みは0.005〜3.0mm/m
2である。各層に用いる樹脂の塗布量はこれらの厚みとなるように塗布することが好ましい。
【0061】
なお、各層に用いる樹脂を塗布する方法は、例えば、刷毛、金鏝、レーキ等を用いて塗布する方法が挙げられる。
【0062】
前記下層(i)及び上層(ii)の硬化は常温で行われる。前記下層(i)の硬化時間は約30分〜1時間であり、前記上層(ii)の硬化時間は約10〜12時間である。
【0063】
また、本発明の複合被覆構造体は、少なくとも基体/プライマー層/下層(i)/上層(ii)を順次有しているが、使用目的によっては、前記上層(ii)の上に仕上げ層やトップコート層が積層されていてもよい。
【実施例】
【0064】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0065】
[合成例1]
<ポリエステルポリオール(A−1)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、アジピン酸531質量部、3−メチルペンタンジオール469質量部を仕込み、その全仕込み量に対して、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.003質量%添加し、220℃で20時間反応させ、ポリエステルポリオール(A−1)を得た。得られたポリエステルポリオール(A−1)の酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は37mgKOH/g、数平均分子量は3,000であった。
【0066】
[合成例2]
<ポリエステルポリオール(A−2)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、アジピン酸539質量部、3−メチルペンタンジオール461質量部を仕込み、その全仕込み量に対して、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.003質量%添加し、220℃で20時間反応させ、ポリエステルポリオール(A−2)を得た。得られたポリエステルポリオール(A−2)の酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は22.6mgKOH/g、数平均分子量は5,000であった。
【0067】
[合成例3]
<ポリエステルポリオール(A−3)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口及び還流冷却器を備えた四つ口フラスコに、アジピン酸541質量部、3−メチルペンタンジオール459質量部を仕込み、その全仕込み量に対して、エステル化触媒としてテトライソプロピルチタネートを0.003質量%添加し、220℃で20時間反応させ、ポリエステルポリオール(A−3)を得た。得られたポリエステルポリオール(A−3)の酸価は0.5mgKOH/g、水酸基価は19mgKOH/g、数平均分子量は6,000であった。
【0068】
[合成例4]
<ウレタンメタクリレート樹脂(1−1)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート122質量部とイソホロンジイソシアネート28質量部と合成例1で得られたポリエステルポリオール(A−1)2000質量部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が1.60となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを130質量部加え、更に90℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、トルハイドロキノン0.05質量%、ターシャリーブチルカテコール0.025質量%添加し、ウレタンメタクリレート樹脂(1−1)を得た。
【0069】
[合成例5]
<ウレタンメタクリレート樹脂(1−2)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート120質量部とイソホロンジイソシアネート27質量部と合成例2で得られたポリエステルポリオール(A−2)2000質量部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が1.59となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを129質量部加え、更に90℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、トルハイドロキノン0.05質量%、ターシャリーブチルカテコール0.025質量%添加し、ウレタンメタクリレート樹脂(1−2)を得た。
【0070】
[合成例6]
<ウレタンメタクリレート樹脂(1−3)の合成>
温度計、攪拌機、不活性ガス導入口、空気導入口及び還流冷却器を備えた1リットルの四つ口フラスコにトリレンジイソシアネート118質量部とイソホロンジイソシアネート26質量部と合成例3で得られたポリエステルポリオール(A−3)2000質量部を仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間反応させた。NCO%が1.64となり60℃まで冷却し、次いで2−ヒドロキシエチルメタクリレートを129質量部加え、更に90℃にて3時間反応させた。NCO%が0.1%以下になったことを確認した後、全仕込み量に対して、トルハイドロキノン0.05質量%、ターシャリーブチルカテコール0.025質量%添加し、ウレタンメタクリレート樹脂(1−3)を得た。
【0071】
[合成例7]
<ひまし油及びその誘導体(E−1)の合成>
エピクロルヒドリンとビスフェノールAの反応物(「エピクロン850」、エポキシ当量188、DIC社製)40質量部と、ひまし油脂肪酸(「COFA」、豊国製油社製)60質量部とを、トリフェニルホスフィン0.2質量部の存在下に、窒素バブリングしながら110℃で15時間反応させて酸価0.1、水酸基当量265のエポキシエステル化合物を得た。次いで、該エポキシエステル化合物48質量部と、ひまし油(「ひまし油LAV」、水酸基当量350、伊藤製油社製)52質量部を混合して、水酸基当量309の
ひまし油及びその誘導体(E−1)を得た。
【0072】
[
参考例1]
スレート板にウレタン樹脂プライマー(「プライアディックT−120−35」、DIC社製)0.15kg/m
2を塗布し、乾燥させた。次いで、合成例4で得られたウレタンメタクリレート樹脂(1−1)50質量部をフェノキシエチルメタクリレート50質量部に溶解し、6%ナフテン酸コバルト0.4質量部、N,N−ジメチルパラトルイジン−2−エチレンオキサイド付加物0.4質量部、過酸化ベンゾイル40%懸濁液(「ナイパーNS」、日油社製)2質量部を添加し、混合したものを1.0kg/m
2の塗布厚みで塗布し、硬化させることで下層を形成した。
次いで、合成例7で得られたひまし油及びその誘導体(E−1)100質量部、炭酸カルシウム(「NS−200」、日東粉化工業社製)40質量部、活性アルミナ(「BK−112」、住友化学工業社製)50質量部、顔料10質量部をプラネタリーミキサーにて真空脱泡しながら均一混合したコンパウンドとクルードMDI(「ミリオネートMR−200」、日本ポリウレタン社製)を当量比で[イソシアネート基/水酸基]=1.15として十分に均一混合させ、前記下層上に1.0kg/m
2塗布し、硬化させることによって上層を形成し、複合被覆構造体を得た。
【0073】
[実施例
1〜
2]
用いるウレタンメタクリレート樹脂の種類を表1に示すように変更した以外は、
参考例1と同様にして複合被覆構造体を得た。
【0074】
[比較合成例1]
温度計、撹拌機、ガス導入口、及び還流冷却器を備えた5リットルの四つ口フラスコに、エピクロン830(:エピクロルヒドリンとビスフェノールFの反応物、数平均分子量344、DIC社製)2970質量部、メタクリル酸1456質量部、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール1.55質量部、トリエチルアミン13.3質量部を仕込み、窒素/空気(流量比1/1)混合気流下90℃まで昇温し、2時間反応させた。次いで、反応温度を105℃まで昇温させ、30時間反応を続け、酸価8.87、エポキシ当量23900のエポキシメタクリレート樹脂(x−1)を得た。
【0075】
[比較合成例2]
温度計、撹拌機、不活性ガス導入口、及び還流冷却器を備えた2リットルの四つ口フラスコに、ジエチレングリコール576質量部、無水フタル酸285質量部、無水マレイン酸81質量部、ピペリレン・無水マレイン酸付加物457質量部を200℃で10時間脱水縮合させて酸価10.2の空乾性ポリエステル樹脂(X−2)を得た。
【0076】
[比較合成例3]
数平均分子量2,000のポリブチレンエーテルジオール600質量部、数平均分子量3,000のポリプロピレンエーテルトリオール400質量部に2,4−トリレンジイソシアネート191.4質量部、すなわちNCO/OHの当量比2.2にて窒素気流下で80℃にて15時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が4.26%のポリイソシアネート化合物(X−3)を得た。
【0077】
[比較合成例4]
ポリエチレンプロピレンエーテルトリオール(数平均分子量4,800、オキシエチレン鎖の含有量14%)500質量部と数平均分子量2,000のポリプロピレンエーテルジオール500質量部を混合してオキシエチレン鎖の平均含有量7.5%、平均官能基数2.29、数平均分子量2,820のポリオールを得た。更にヘキサメチレンジイソシアネート143.3質量部、すなわちNCO/OHの当量比2.1にて窒素気流下で80℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させNCO%が3.29%、1分子当たりの末端NCO基数2.29のポリイソシアネート化合物を得た。次いで、該ポリイソシアネート化合物140.8質量部と2−イソプロピル−3−(2−ヒドロキシエチル)1,3−オキサゾリジン15.9質量部、すなわちNCO/OHの当量比1.1にて窒素気流下で60℃にて48時間フラスコ中で撹拌しながら反応させ、オキサゾリジン基を有するウレタン化合物(X−4)を得た。
【0078】
[比較例1]
スレート板上にウレタン樹脂系プライマー(「プライアディックT−120−35」、DIC社製)を0.15kg/m
2塗布し、乾燥させた。次いで、比較合成例1で得られたエポキシメタクリレート樹脂(x−1)40質量部、比較合成例2で得られた空乾性ポリエステル樹脂(X−2)10質量部、フェノキシエチルメタクリレート50質量部に溶解させた樹脂組成物100質量部に対して、8%オクチル酸コバルト1質量部、融点が130、135、140、145°Fのパラフィンワックスの2種等量混合物0.1質量部、メチルエチルケトンパーオキサイド2質量部を添加、撹拌しラジカル硬化性樹脂組成物を得て、1.0kg/m
2の塗布厚みで塗布、硬化させ下層を形成した。
次いで、合成例7で得られたひまし油及びその誘導体(E−1)100質量部、炭酸カルシウム(「NS−200」、日東粉化工業社製)40質量部、活性アルミナ(「BK−112」、住友化学工業社製)50質量部、顔料10質量部をプラネタリーミキサーにて真空脱泡しながら均一混合したコンパウンドとクルードMDI(「ミリオネートMR−200」、日本ポリウレタン社製)を当量比で[イソシアネート基/水酸基]=1.15として十分に均一混合させ、前記下層上に1.0kg/m
2塗布し、硬化させることによって上層を形成し、複合被覆構造体を得た。
【0079】
[比較例2]
スレート板上にウレタン樹脂系プライマー(「プライアディックT−120−35」、DIC社製)を0.15kg/m
2塗布し、乾燥させた。
次いで、密閉型プラネタリーミキサー中に120℃で5時間減圧乾燥し、水分を0.05%以下に調整した炭酸カルシウム(「NS−200」、日東粉化社製)320質量部、120℃で5時間減圧乾燥し、水分を0.1%以下に調整した脂肪酸処理炭酸カルシウム(「ハクエンカCCR」、白石カルシウム社製)30質量部、キシレン80質量部、ジオクチルフタレート(DOP)90質量部、テレフタル酸とDOPを質量比で1:1でロールミキサーを用いて予め混合したペースト10質量部、サリチル酸0.6質量部及び比較合成例3で得られたポリイソシアネート化合物(X−3)290質量部、比較合成例4で得られたオキサゾリジン基を有するウレタン化合物(X−4)210質量部を加え均一に混合した後、60トールの減圧下で脱泡して樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物を1.0kg/m
2の塗布厚みで塗布、硬化させ下層を形成した。
次いで、合成例7で得られたひまし油及びその誘導体(E−1)100質量部、炭酸カルシウム(「NS−200」、日東粉化工業社製)40質量部、活性アルミナ(「BK−112」、住友化学工業社製)50質量部、顔料10質量部をプラネタリーミキサーにて真空脱泡しながら均一混合したコンパウンドとクルードMDI(「ミリオネートMR−200」、日本ポリウレタン社製)を当量比で[イソシアネート基/水酸基]=1.15として十分に均一混合させ、前記下層上に1.0kg/m
2塗布し、硬化させることによって上層を形成し、複合被覆構造体を得た。
【0080】
[数平均分子量の測定方法]
合成例で用いたポリエステルポリオールの数平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により、下記の条件で測定した。
【0081】
測定装置:高速GPC装置(東ソー株式会社製「HLC−8220GPC」)
カラム:東ソー株式会社製の下記のカラムを直列に接続して使用した。
「TSKgel G5000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G4000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G3000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
「TSKgel G2000」(7.8mmI.D.×30cm)×1本
検出器:RI(示差屈折計)
カラム温度:40℃
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0mL/分
注入量:100μL(試料濃度0.4質量%のテトラヒドロフラン溶液)
標準試料:下記の単分散ポリスチレンを用いて検量線を作成した。
【0082】
(単分散ポリスチレン)
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−1000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−2500」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン A−5000」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−1」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−2」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−4」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−10」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−20」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−40」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−80」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−128」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−288」
東ソー株式会社製「TSKgel 標準ポリスチレン F−550」
【0083】
[下地ひび割れ追従性の評価方法]
長さ(300mm)方向の中間位置の幅方向に深さ5mmのノッチを入れた厚み8mm、幅100mm、長さ300のスレート板の中心位置に、幅50mm、長さ200mmのサイズに実施例及び比較例と同様に、プライマー層、下層、上層を形成し、その後20℃で7日間養生したものを試験体として、引張り試験(試験温度20℃、引張り速度2mm/分)を行い、破断時の伸び(mm)を測定し、以下のように評価した。
「◎」:破断時の伸びが、6.0mm以上
「○」:破断時の伸びが、4.0mm以上6.0mm未満
「×」:破断時の伸びが、4.0mm未満
【0084】
[常温での速硬化性の評価方法]
実施例及び比較例において、下層用の樹脂組成物を25℃条件で塗布、放置してから、下層表面が指触によりタックフリーが確認できるまでの時間を測定した。
【0085】
【表1】
【0086】
本発明の複合被覆構造体である実施例1〜
2のものは、下地ひび割れ追従性に優れていることが分かった。
一方、比較例1は、下層にエポキシメタクリレート樹脂と空乾性ポリエステル樹脂を用いたものであるが、下地ひび割れ追従性が不十分であることが分かった。
また、比較例2は、下層にポリイソシアネート化合物とオキサゾリジン基を有するウレタン化合物を用いた湿気硬化性組成物を用いたものであるが、常温での速硬化性が著しく不良であることが分かった。