特許第5953733号(P5953733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5953733
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】固形農薬製剤
(51)【国際特許分類】
   A01N 25/12 20060101AFI20160707BHJP
   A01N 25/08 20060101ALI20160707BHJP
   A01N 51/00 20060101ALI20160707BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   A01N25/12
   A01N25/08
   A01N51/00
   A01P7/04
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-277190(P2011-277190)
(22)【出願日】2011年12月19日
(65)【公開番号】特開2013-126962(P2013-126962A)
(43)【公開日】2013年6月27日
【審査請求日】2014年10月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨
(74)【代理人】
【識別番号】100151909
【弁理士】
【氏名又は名称】坂元 徹
(72)【発明者】
【氏名】津田 尚己
(72)【発明者】
【氏名】水谷 基文
【審査官】 鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第1996/038039(WO,A1)
【文献】 特開2011−006396(JP,A)
【文献】 特開平05−331011(JP,A)
【文献】 特開2004−210661(JP,A)
【文献】 Water Air Soil Pollut,2009年,V202,P3-12
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N 25/12
A01N 25/08
A01N 51/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃における水溶解度が5重量%以下であり、かつ、土壌吸着定数Kocが50以上である農薬有効成分と、活性炭とを含有し、該農薬有効成分がクロチアニジン及び/又はイミダクロプリドである、以下の条件(1)および条件(2)を満たす固形農薬製剤。
条件(1):以下の式の値が0.0001以上0.004未満である。
該農薬有効成分含有量(g)/{該活性炭含有量(g)×該活性炭の比表面積(m2/g)}
条件(2):密度が0.8(g/cm3)以上である。
【請求項2】
条件(1)の式の値が0.0002以上0.004未満である請求項1記載の固形農薬製剤。
【請求項3】
条件(1)の式の値が0.0002以上0.002未満である請求項1記載の固形農薬製剤。
【請求項4】
硫酸バリウムを含有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の固形農薬製剤。
【請求項5】
農薬有効成分がクロチアニジンである請求項1〜4のいずれか一項に記載の固形農薬製剤。
【請求項6】
粒剤である請求項1〜のいずれか一項に記載の固形農薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農薬有効成分及び活性炭を含有する固形農薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
農薬活性成分と活性炭とを含有する農薬製剤は例えば特許文献1〜4に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭56−169601
【特許文献2】特開昭61−197503
【特許文献3】特開平5−331011
【特許文献4】特開2000−143402
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、水田において農薬有効成分の農薬活性が十分に発揮される固形農薬製剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従来より農薬有効成分を含有する多くの固形農薬製剤が開発され、使用されている。しかしながら、これらの固形農薬製剤は水田等に施用されたとき農薬有効成分の種類によっては所望の農薬活性が得られない場合があった。
そこで本発明者らは種々検討した結果、農薬有効成分と活性炭とをある条件を満たすよう含有させた固形農薬製剤が水田に施用されたときに十分な農薬活性を発揮することを見出した。
本発明を以下に示す。
【0006】
[1]
20℃における水溶解度が5重量%以下であり、かつ、土壌吸着定数Kocが50以上である農薬有効成分と、活性炭とを含有し、以下の条件(1)および条件(2)を満たす固形農薬製剤(以下、本発明製剤と記す。)。
条件(1):以下の式の値が0.0001以上0.004未満である。
該農薬有効成分含有量(g)/{該活性炭含有量(g)×該活性炭の比表面積(m2/g)}
条件(2):密度が0.8(g/cm3)以上である。
【0007】
[2]
条件(1)の式の値が0.0002以上0.004未満である上記項[1]記載の固形農薬製剤。
【0008】
[3]
条件(1)の式の値が0.0002以上0.002未満である上記項[1]記載の固形農薬製剤。
【0009】
[4]
硫酸バリウムを含有する上記項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の固形農薬製剤。
【0010】
[5]
農薬有効成分がクロチアニジン及び/又はイミダクロプリドである上記項[1]〜[4]のいずれか一項に記載の固形農薬製剤。
【0011】
[6]
農薬有効成分がクロチアニジンである上記項[1]〜[4]のいずれか一項に記載の固形農薬製剤。
【0012】
[7]
粒剤である上記項[1]〜[6]のいずれか一項に記載の固形農薬製剤。
【発明の効果】
【0013】
本発明製剤は水田に施用された後沈降する沈降性製剤であり、水溶解度が比較的低く、土壌に吸着し易い農薬有効成分を含有していても水田中で農薬活性が十分発揮される製剤である。光に分解され易い農薬有効成分を含有する固形農薬製剤は水田に施用された後農薬活性を発揮する前に農薬有効成分が分解されてしまい所望の農薬活性が得られないことがあるが、本発明製剤はそのような光に分解され易い農薬有効成分を含有している場合はその光分解が軽減され、その結果十分な農薬活性を発揮・持続する優れた製剤である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明製剤は特定の農薬有効成分を含有する。本発明製剤に用いられる農薬有効成分は20℃における水溶解度が5重量%以下であり、かつ、土壌吸着定数Kocが50以上である。該農薬有効成分の中では20℃における水溶解度が1重量%以下であるもの、及び/又は、土壌吸着定数Kocが80以上であるものが好ましい。尚、土壌吸着定数Kocはその上限は特に限定されないが、通常4000以下である。
尚、土壌吸着定数Kocとは化学物質の土壌吸着性を示す数値の一種であり、単位土壌量当りの薬剤吸着量を土壌と平衡状態にある土壌溶液中の薬剤濃度で除した値である土壌吸着係数Kdを土壌中の有機炭素含有率で除した値であり、土壌に吸着する強弱を表す数値である。The Pesticide manual等に記載されている。
【0015】
該農薬有効成分としては例えば、クロチアニジン、イミダクロプリド、アセタミプリド、チアクロプリド、チアメトキサム、スルホキサフロール、フルピラジフロン、フィプロニル、エチプロール、シアントラニリプロール、スピノサド、スピネトラム、ピメトロジン、プロベナゾール、ピロキロン、オリサストロビン、アゾキシストロビン、チオファネートメチル、トリシクラゾール、ジクロシメット、イソチアニル、カルプロパミド、チフルザミド、フラメトピル、ペンフルフェン等が挙げられる。
【0016】
本発明製剤は活性炭を含有する。本発明製剤において用いられる活性炭としては、以下のものが挙げられる。
体積平均粒径:通常0.1μm〜500μm、好ましくは1μm〜200μm、より好ましくは、2μm〜150μm
かさ密度:通常0.1〜0.9g/cm3
比表面積:通常500〜2000(m2/g)、好ましくは、800〜1600(m2/g)
【0017】
本発明製剤は、以下の条件(1)および条件(2)を満たす。
条件(1):以下の式で算出される値が0.0001以上0.004未満である。
該農薬有効成分含有量(g)/{該活性炭含有量(g)×該活性炭の比表面積(m2/g)}
条件(2):密度が0.8(g/cm3)以上である。
【0018】
本発明における活性炭の比表面積は比表面積測定機を用いて測定することができる。比表面積測定機としては、例えば、Nova e、Autosorb iQ、PoreMaster、Quadrasorb SI、Aquadyne DVS(全てスペクトリス株式会社製)、SA3100(ベックマンコールター社製)、Adsotrac DN−04(日機装株式会社製)、トライスター3020II(島津製作所製)等の機器が挙げられる。
【0019】
本発明製剤の中では条件(1)の値が0.0002以上0.004未満であるものが好ましく、0.0002以上0.002未満であるものがより好ましい。
【0020】
本発明製剤の密度は0.8(g/cm3)以上である。
本発明製剤の密度は、本発明製剤の中から無作為に100個抽出し、それぞれについて重量と体積とを測定して該重量を該体積で除することにより本発明製剤1個の密度を算出し、それらの平均値を求めることにより確認することができる。尚、本発明製剤の体積はノギスを用いて長さを測定して算出することができる。
本発明製剤の密度はその上限は特に限定されないが、通常2.0(g/cm3)以下である。また本発明製剤の密度は0.8〜1.5(g/cm3)の範囲が好ましい。
【0021】
本発明には必要に応じて、以下の農薬有効成分も含有させることができる。
(1)フェノキシ脂肪酸系除草性化合物[MCP、MCPB、フェノチオール(phenothio1)、メコプロップ(mecoprop)、フルロキシピル(fluroxypyr)、トリクロピル(triclopyr)、クロメプロップ(clomeprop)、ナプロアニリド(naproanilide)等]、
(2)安息香酸系除草性化合物[2,3,6−TBA、クロピラリド(clopyralid)、ピクロラム(picloram)、アミノピラリド(aminopyralid)、キンクロラック(quinclorac)、キンメラック(quinmerac)等]、
(3)尿素系除草性化合物[ジウロン(diuron)、リニュロン(linuron)、クロルトルロン(chlortoluron)、イソプロツロン(isoproturon)、フルオメツロン(fluometuron)、イソウロン(isouron)、テブチウロン(tebuthiuron)、メタベンズチアズロン(methabenzthiazuron)、クミルロン(cumy1uron)、ダイムロン(daimuron)、メチルダイムロン(methyl−daimuron)等]、
(4)トリアジン系除草性化合物[アメトリン(ametoryn)、シアナジン(cyanazine)、シマジン(simazine)、プロパジン(propazine)、シメトリン(simetryn)、ジメタメトリン(dimethametryn)、プロメトリン(prometryn)、メトリブジン(metribuzin)、トリアジフラム(triaziflam)、アトラジン(atrazine)等]、
(5)ビピリジニウム系除草性化合物[パラコート(paraquat)、ジクワット(diquat)等]、
(6)ヒドロキシベンゾニトリル系除草性化合物[ブロモキシニル(bromoxynil)、アイオキシニル(ioxynil)等]、
(7)ジニトロアニリン系除草性化合物[ペンディメタリン(pendimethalin)、プロジアミン(prodiamine)、トリフルラリン(trifluralin)等]、
(8)有機リン系除草性化合物[アミプロホスメチル(amiprofos−methyl)、ブタミホス(butamifos)、ベンスリド(bensu1ide)、ピペロホス(piperophos)、アニロホス(anilofos)、グルホシネート(glufosinate)、ビアラホス(bialaphos)等]、
(9)カーバメート系除草性化合物[ジアレート(di−allate)、トリアレート(tri−allate)、EPTC、ブチレート(butylate)、ベンチオカーブ(benthiocarb)、エスプロカルブ(esprocarb)、モリネート(molinate)、ジメピペレート(dimepiperate)、スエップ(swep)、クロルプロファム(chlorpropham)、フェンメディファム(phenmedipham)、フェニソファム(phenisopham)、ピリブチカルブ(pyributicarb)、アシュラム(asulam)等]、
(10)酸アミド系除草性化合物[プロパニル(propanil)、プロピザミド(propyzamide)、ブロモブチド(bromobutide)、エトベンザニド(etobenzanid)等]、
(11)クロロアセトアニリド系除草性化合物[アラクロール(alachlor)、ブタクロール(butachlor)、ジメテナミド(dimethenamid)、プロパクロール(propachlor)、メタザクロール(metazachlor)、プレチラクロール(pretilachlor)、テニルクロール(theny1ch1or)、ペトキサミド(pethoxamid)、アセトクロール(acetochlor)、メトラクロール(metolachlor)等]、
(12)ジフェニルエーテル系除草性化合物[アシフルオルフェン(acifluorfen−sodium)、ビフェノックス(bifenox)、オキシフルオルフェン(oxyfluorfen)、ラクトフェン(lactofen)、フォメサフェン(fomesafen)、クロメトキシニル(chlomethoxyni1)、アクロニフェン(aclonifen)等]、
(13)環状イミド系除草性化合物[オキサジアゾン(oxadiazon)、シニドンエチル(cinidon−ethyl)、カルフェントラゾンエチル(carfentrazone−ethyl)、スルフェントラゾン(surfentrazone)、フルミクロラックペンチル(flumiclorac−pentyl)、ピラフルフェンエチル(pyraflufen−ethyl)、オキサジアルギル(oxadiargy1)、ペントキサゾン(pentoxazone)、フルチアセットメチル(fluthiacet−methyl)、ブタフェナシル(butafenacil)、ベンズフェンジゾン(benzfendizone)等]、
(14)ピラゾール系除草性化合物[ベンゾフェナップ(benzofenap)、ピラゾレート(pyrazo1ate)、ピラゾキシフェン(pyrazoxyfen)、トプラメゾン(topramezone)、ピラスルホトール(pyrasulfotole)等]、
(15)トリケトン系除草性化合物[イソキサフルトール(isoxaflutole)、ベンゾビシクロン(benzobicyclon)、スルコトリオン(sulcotrione)、メソトリオン(mesotrione)、テンボトリオン(tembotrione)、テフリルトリオン(tefuryltrione)等]、
(16)アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草性化合物[シハロホップブチル(cyhalofop−butyl)、ジクロホップメチル(diclofop−methyl)、フェノキサプロップエチル(fenoxaprop−ethyl)、フルアジホップブチル(fluazifop−butyl)、ハロキシホップメチル(haloxyfop−methyl)、キザロホップエチル(quizalofop−ethyl)、メタミホップ(metamifop)等]、
(17)トリオンオキシム系除草性化合物[アロキシジム(alloxydim−sodium)、セトキシジム(sethoxydim)、ブトロキシジム(butroxydim)、クレソジム(clethodim)、クロプロキシジム(cloproxydim)、シクロキシジム(cycloxydim)、テプラロキシジム(tepraloxydim)、トラルコキシジム(tralkoxydim)、プロフォキシジム(profoxydim)等]、
(18)スルホニル尿素系除草性化合物[クロルスルフロン(chlorsulfuron)、スルホメツロンメチル(sulfometuron−methyl)、メトスルフロンメチル(metsu1furon−methy1)、トリベニュロンメチル(tribenuron−methyl)、トリアスルフロン(triasulfuron)、ベンスルフロンメチル(bensulfuron−methy1)、チフェンスルフロンメチル(thifensulfuron−methyl)、ピラゾスルフロンエチル(pyrazosulfuron−ethy1)、プリミスルフロンメチル(primisulfuron−methyl)、ニコスルフロン(nicosulfuron)、アミドスルフロン(amidosulfuron)、シノスルフロン(cinosulfuron)、イマゾスルフロン(imazosulfuron)、リムスルフロン(rimsulfuron)、ハロスルフロンメチル(ha1osulfuron−methy1)、プロスルフロン(prosulfuron)、エタメトスルフロンメチル(ethametsulfuron−methyl)、トリフルスルフロンメチル(triflusulfuron−methyl)、フラザスルフロン(flazasulfuron)、シクロスルファムロン(cyc1osulfamuron)、フルピルスルフロン(flupyrsulfuron)、スルホスルフロン(sulfosu1furon)、アジムスルフロン(azimsulfuron)、エトキシスルフロン(ethoxysulfuron)、オキサスルフロン(oxasulfuron)、ヨードスルフロンメチルナトリウム(iodosulfuron−methyl−sodium)、フォラムスルフロン(foramsulfuron)、メソスルフロンメチル(mesosulfuron−methyl)、トリフロキシスルフロン(trifloxysulfuron)、トリトスルフロン(tritosulfuron)、オルソスルファムロン(orthosulfamuron),フルセトスルフロン(flucetosulfuron)、メタゾスルフロン(metazosulfuron)、プロピリスルフロン(propyrisulfuron)等]、
(19)イミダゾリノン系除草性化合物[イマザメタベンズメチル(imazamethabenz−methyl)、イマザメタピル(imazamethapyr)、イマザモックス(imazamox)、イマザピル(imazapyr)、イマザキン(imazaquin)、イマゼタピル(imazethapyr)等]、
(20)スルホンアミド系除草性化合物[フルメトスラム(flumetsulam)、メトスラム(metosulam)、ジクロスラム(diclosulam)、フロラスラム(florasulam)、ペノキススラム(penoxsulam)、ピロキススラム(pyroxsulam)等]、
(21)ピリミジニルオキシ安息香酸系除草性化合物[ピリチオバックナトリウム(pyrithiobac−sodium)、ビスピリバックナトリウム(bispyribac−sodium)、ピリミノバックメチル(pyriminobac−methy1)、ピリベンゾキシム(pyribenzoxim)、ピリフタリド(pyriftalid)、ピリミスルファン(pyrimisulfan)等]、
(22)その他の系統の除草性化合物[ベンタゾン(bentazon)、ブロマシル(bromacil)、ターバシル(terbacil)、クロルチアミド(chlorthiamid)、イソキサベン(isoxaben)、ジノセブ(dinoseb)、アミトロール(amitrole)、シンメチリン(cinmethylin)、トリジファン(tridiphane)、ダラポン(da1apon)、ジフルフェンゾピルナトリウム(diflufenzopyr−sodium)、ジチオピル(dithiopyr)、チアゾピル(thiazopyr)、フルカルバゾンナトリウム(flucarbazone−sodium)、プロポキシカルバゾンナトリウム(propoxycarbazone−sodium)、メフェナセット(mefenacet)、フルフェナセット(flufenacet)、フェントラザミド(fentrazamide)、カフェンストロール(cafenstrole)、インダノファン(indanofan)、オキサジクロメホン(oxaziclomefone)、ベンフレセート(benfuresate)、ACN、ピリデート(pyridate)、クロリダゾン(chloridazon)、ノルフルラゾン(norflurazon)、フルルタモン(flurtamone)、ジフルフェニカン(diflufenican)、ピコリナフェン(picolinafen)、ベフルブタミド(beflubutamid)、クロマゾン(clomazone)、アミカルバゾン(amicarbazone)、ピロキサスルホン(pyroxasulfone)、チエンカルバゾンメチル(thiencarbazone−methyl)、フェンクロラゾールエチル(fenchlorazole−ethyl)、マレイン酸ヒドラジン(maleic hydrazide)、フルミオキサジン(flumioxazin)、アザフェニジン(azafenidin)、イプフェンカルバゾン(ipfencarbazone)、フェノキサスルホン(fenoxasulfone)等]。
植物生長調節剤の有効成分として、例えば、ヒメキサゾール(hymexazol)、パクロブトラゾール(paclobutrazol)、ウニコナゾール−P(uniconazole−P)、イナベンフィド(inabenfide)、プロヘキサジオンカルシウム(prohexadione−calcium)等。
【0022】
本発明製剤は必要に応じて更に界面活性剤、固体担体、結合剤、安定化剤、顔料等の製剤用助剤を本発明の効果に影響を及ぼさない範囲にて含有することができる。また、これら製剤用助剤はそれぞれ1種のみで用いてもよく、また2種以上で用いてもよい。
【0023】
かかる界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルフェノールホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルモノ脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレングリコールモノ脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、高級脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アルキロールアミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤;
ドデシルアミン塩酸塩等のアルキルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、ジアルキルモルホリニウム塩等のアルキル四級アンモニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ポリアルキルビニルピリジニウム塩等のカチオン性界面活性剤;
パルミチン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルカルボン酸ナトリウム等のエーテルカルボン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム等の高級脂肪酸のアミノ酸縮合物、
高級アルキルスルホン酸塩、ラウリン酸エステルスルホン酸塩等の高級脂肪酸エステルスルホン酸塩、
ジオクチルスルホサクシネート等のジアルキルスルホコハク酸塩、
オレイン酸アミドスルホン酸塩等の高級脂肪酸アミドスルホン酸塩、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジイソプロピルナフタレンスルホン酸塩等のアルキルアリールスルホン酸塩、
アルキルアリールスルホン酸塩のホルマリン縮合物、
ペンタデカン−2−サルフェート等の高級アルコール硫酸エステル塩、
ジポリオキシエチレンドデシルエーテルリン酸エステル等のポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、
スチレン−マレイン酸共重合体等のアニオン性界面活性剤;
ポリカルボン酸等が挙げられる。
【0024】
本発明製剤において、界面活性剤の合計含有量は、通常は0.1〜5.0重量%であり、好適には0.5〜3.0重量%である。
【0025】
かかる固体担体としては鉱物質担体が挙げられる、鉱物質担体としては、例えば、カオリナイト、ディッカナイト、ナクライト、ハロサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザータイト、アンチコライト、アメサイト等の蛇紋石、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト、ハイデライト等のスメクタイト、パイロフィライト、タルク、蝋石、白雲母、フェンジャイト、セリサイト、イライト等の雲母、クリストバライト、クォーツ等のシリカ、アタパルジャイト、セピオライト等の含水珪酸マグネシウム、ドロマイト、炭酸カルシウム微粉末等の炭酸カルシウム、ギプサム、石膏等の硫酸塩鉱物、硫酸バリウム(重晶石等)、酸化鉄、ゼオライト、沸石、凝灰石、バーミキュライト、ラポナイト、軽石、珪藻土、酸性白土、活性白土などが挙げられる。
【0026】
本発明製剤において、固体担体の合計含有量は、通常は10〜90重量%であり、好適には15〜70重量%である。
【0027】
本発明製剤の剤型としては、粒剤、水和剤、顆粒水和剤、ジャンボ剤等が挙げられる。
【0028】
粒剤である本発明製剤(以下、本発明粒剤と記す。)は、例えば、農薬有効成分、活性炭、界面活性剤、固体担体、水及び必要に応じて他の成分の混合物を混練し、得られた混練物を造粒し、その造粒物を乾燥し、必要に応じて解砕、篩分、整粒等を行うことにより製造される。上記混合物の調製方法としては、農薬有効成分、活性炭、界面活性剤、固体担体、その他の製剤用助剤を含有する混合物に水を加える方法や、農薬有効成分、活性炭および固体担体等を含有する粉体混合物と界面活性剤および水等を含有する練合用液体とをそれぞれ調製した後、該粉体混合物と該練合用液体とを混合する方法が挙げられる。
【0029】
混練する際には混練機を用いてもよく、該混練機としては、ニーダー、ナウターミキサー、レディゲミキサー等が挙げられる。
【0030】
混練物を造粒する方法としては、例えば押出造粒機を用いた押出造粒法が挙げられる。本発明粒剤の製造における押出造粒法は、押出造粒法として通常の方法で行うことができる。押出造粒には、通常0.5〜2.0mmφ、好ましくは0.7〜1.5mmφの孔を有するスクリーンを用いて行われる。押出造粒された後の造粒物は、通常30〜90℃、好ましくは50〜80℃で乾燥される。押出造粒で製造された本発明粒剤は、その粒長が通常0.5〜6.0mm、好ましくは0.7〜4.0mmの範囲である。該押出造粒機としては、スクリュー型押出造粒機、ロール型押出造粒機、ディスクペレッター型押出造粒機、ペレットミル型押出造粒機、バスケット型押出造粒機、プレード型押出造粒機、オシレーティング型押出造粒機、ギア式押出造粒機、及びリングダイス式押出造粒機が挙げられる。押出造粒機として具体的には例えばツインドームグラン、ドームグラン、バスケットリューザー、ペレッターダブル(全て、株式会社ダルトン商品名)、畑式造粒機(株式会社畑鉄工所商品名)が挙げられる。
【0031】
解砕及び整粒の方法としては、例えばマルメライザー(株式会社ダルトン)により押出造粒したものを湿式整粒する方法、及び乾燥した粒をピンミル等の解砕機により乾式整粒する方法が挙げられる。
【実施例】
【0032】
次に、実施例を示す。尚、本発明は本実施例に限定されるものではない。
まず、製剤例を示す。尚、製剤例において使用されたものは特に断りのない限り同一名称のものは前述したものと同じものである。
また、製剤例、比較製剤例において得られた粒剤について、式
該農薬有効成分含有量(g)/{該活性炭含有量(g)×該活性炭の比表面積(m2/g)}
で算出された値を「粒剤のパラメーター」と記す。
【0033】
製剤例1
クロチアニジン原末(クロチアニジン68.6%およびクレーS(株式会社勝光山鉱業所製クレー)31.4%を含有)7.35g、KD−PWSP(株式会社ユーイーエス製活性炭)2.5g、クニゲルV1(クニミネ工業株式会社製ベントナイト)13g、重晶石(ネオライト興産株式会社製)25.9gをポリ袋内で混合し、粉体混合物を得た。
次にトキサノンGR−31A(三洋化成工業株式会社製ポリカルボン酸)1g、ネオコールSW−CP(第一工業製薬株式会社製ジアルキルスルホコハク酸塩)0.25g、イオン交換水5.25gを混合し、練合用液体を得た。
上記粉体混合物と練合用液体とを混合し、よく混練した。得られた混練物を直径1.0mmのステンレス製スクリーンより押し出し、80℃で乾燥し、クロチアニジンを10%含有する粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.0016
粒剤の密度:1.08(g/cm3
【0034】
製剤例2
製剤例1における重晶石をクレーSに変更した以外は、製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.0016
粒剤の密度:0.91(g/cm3
【0035】
製剤例3
製剤例1におけるクロチアニジン原末7.35g、KD−PWSP 2.5g、クニゲルV1 13g、重晶石 25.9g、トキサノンGR−31A 1g、ネオコールSW−CP 0.25g、イオン交換水5.25gをそれぞれ、イミダクロプリド(和光純薬工業株式会社製)0.5g、KD−PWSP 0.3g、クニゲルV1 1.3g、重晶石2.78g、トキサノンGR−31A 0.1g、ネオコールSW−CP 0.013g、イオン交換水0.71gに変え、製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.0016
粒剤の密度:0.92(g/cm3
【0036】
製剤例4
製剤例1におけるKD−PWSP 2.5gおよび重晶石25.9gに代えてクラレコールPK−D(クラレケミカル株式会社製活性炭) 1gおよび重晶石27.4gを使用した以外は製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.0033
粒剤の密度:0.91(g/cm3
【0037】
製剤例5
製剤例1におけるKD−PWSP 2.5g、重晶石25.9gおよびイオン交換水5.25gに代えてKD−PWSP 5g、重晶石23.4gおよびイオン交換水8.7gを使用した以外は製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.0008
粒剤の密度:0.9(g/cm3
【0038】
製剤例6
製剤例1におけるKD−PWSP 2.5g、重晶石25.9gおよびイオン交換水5.25gに代えてKD−PWSP 20g、重晶石8.4gおよびイオン交換水8.7gを使用した以外は製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.00020
粒剤の密度:0.89(g/cm3
【0039】
比較製剤例1
クロチアニジン原末7.35g、マイクロスフィアーF−30E(松本油脂製薬株式会社製)40g、クニゲルV1 13g、クレーS 24.4gをポリ袋内で混合し粉体混合物を得た。
次にトキサノンGR−31A 1g、ネオコールSW−CP 0.25g、イオン交換水8.75gを混合し練合用液体を得た。
得られた粉体混合物と練合用液体をよく混練した。
得られた混練物を直径1.0mmのステンレス製スクリーンより押し出し、80℃で乾燥し、クロチアニジンを10%含有する粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;なし
粒剤の密度:0.60(g/cm3
【0040】
比較製剤例2
製剤例1の活性炭を使用せず、重晶石の量を28.4gに変更した以外は製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;なし
粒剤の密度:1.09(g/cm3
【0041】
比較製剤例3
比較製剤例1においてKD−PWSP(活性炭;株式会社ユーイーエス製)2.5gを粉体混合物に追加使用し、クレーSの量を21.9gに変更した以外は、比較製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.0016
粒剤の密度:0.62(g/cm3
【0042】
比較製剤例4
製剤例2においてクレーSの量を27.4gに、KD−PWSPの量を1gに変更した以外は、製剤例2と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.004
粒剤の密度:0.92(g/cm3
【0043】
比較製剤例5
製剤例1におけるクロチアニジン原末7.35g、KD−PWSP 2.5g、クニゲルV1 13g、重晶石 25.9g、トキサノンGR−31A 1g、ネオコールSW−CP 0.25g、イオン交換水5.25gをそれぞれ、ジノテフラン(和光純薬製)0.17g、KD−PWSP 0.08g、クニゲルV1 0.43g、重晶石 0.96g、トキサノンGR−31A 0.03g、ネオコールSW−CP 0.01g、 イオン交換水0.12gに変え、製剤例1と同様の方法で粒剤を得た。
粒剤のパラメーター;0.0016
粒剤の密度:0.92(g/cm3
【0044】
比較製剤例6
製剤例1におけるKD−PWSP 2.5g、重晶石25.9gおよびイオン交換水5.25gに代えてクラレコールPDX−2(クラレケミカル株式会社製活性炭)1g、重晶石27.4gおよびイオン交換水8.7gを使用した以外は製剤例1と同様の方法で粒剤を調製した。
粒剤のパラメーター;0.0056
粒剤の密度:0.91(g/cm3
【0045】
次に試験例を示す。
試験例1
高さ8.5cm、直径5.5cmガラスシャーレに滅菌土壌69gを入れ、イオン交換水170gを注いだ。その後、上記製剤例、比較製剤例により得られた粒剤(試験製剤)17mgをガラスシャーレに加えた。当該ガラスシャーレを耐光試験機(Q−SUN;Q−Lab社製)に入れ、試験温度;34℃、放射強度;0.68(w/m2) at 340nm でキセノン光を照射した。照射48時間経過したガラスシャーレ内に残存するクロチアニジンの量をHPLC法で分析し、クロチアニジンの残存率を確認した。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】
試験例2
高さ8.5cm、直径5.5cmガラスシャーレに滅菌土壌69gを入れ、イオン交換水170gを注いだ。その後、上記製剤例、比較製剤例により得られた粒剤(試験製剤)17mgをガラスシャーレに加えた。当該ガラスシャーレを耐光試験機(Q−SUN;Q−Lab社製)に入れ、試験温度;34℃、放射強度;0.68(w/m2) at 340nm でキセノン光を照射した。照射96時間経過したガラスシャーレ内に残存する農薬有効成分(クロチアニジン、イミダクロプリド又はジノテフラン)の量をHPLC法で分析し、農薬有効成分の残存率を確認した。結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
試験例3(効力試験)
水田に水稲の苗を移植し、その直後、試験製剤を500g/10aの割合で水田に散布した。該苗を生育させ移植49日後にイネドロオイムシによる食害度を求めた。食害度は以下の方法により決定した。
<食害度決定方法>
調査日に試験製剤を散布した稲100株を任意に抽出し、各稲株についてイネドロオイムシによる食害程度を目視観察して以下に示す5段階の食害程度で評価し、各食害程度の稲株数をそれぞれA、B、C、D、Eとし、下式を用いて食害度を算出した。
食害程度
食害なし・・・・・・・・・・・・・・・・(株数:A)
1株全葉の食害面積率 5%以下・・・・(株数:B)
1株全葉の食害面積率 6〜20%・・・(株数:C)
1株全葉の食害面積率 21〜40%・・・(株数:D)
1株全葉の食害面積率 41%以上 ・・・(株数:E)

食害度={(4E+3D+2C+B)/4×100}×100

結果を表3に示す。
【0050】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明製剤は水田に施用された後農薬有効成分が光に分解されにくく、農薬活性が十分発揮される優れた製剤である。