(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基板を棚状に保持するための基板保持具と基板収納部との間で基板搬送機構により基板が搬送される基板搬送領域と、縦型の反応管に対して基板保持具が搬入出される保持具待機領域と、が互いに前後方向に隣接し、前記基板搬送領域及び保持具待機領域に亘って左右方向の一方側から他方側に向かう気流の層流を形成するために、前記一方側及び他方側に、夫々ガス吐出口及びガス吸い込み口が設けられた縦型熱処理装置において、
前記ガス吸い込み口は、
前記保持具待機領域に臨むように設けられ、前記基板搬送機構により基板の搬送が行われるとき及び前記反応管から搬出された基板を冷却するときのいずれにおいても開いた状態にある待機領域用のガス吸い込み口と、
前記待機領域用のガス吸い込み口に対して前記基板搬送領域側に設けられ、基板搬送領域に気流の層流を形成するための基板搬送領域用のガス吸い込み口と、
前後方向で見て、前記待機領域用のガス吸い込み口と前記基板搬送領域用のガス吸い込み口との間に設けられた補助ガス吸い込み口と、を含み、
前記基板搬送領域用のガス吸い込み口及び前記補助ガス吸い込み口を開閉するための開閉機構と、
前記基板搬送機構により基板の搬送が行われる時には、前記補助ガス吸い込み口を閉じると共に基板搬送領域用のガス吸い込み口を開き、前記反応管から搬出された基板を冷却する時には、前記補助ガス吸い込み口を開くと共に基板搬送領域用のガス吸い込み口を閉じるように前記開閉機構を制御する制御部と、を備えたことを特徴とする縦型熱処理装置。
基板を棚状に保持するための基板保持具と基板収納部との間で基板搬送機構により基板が搬送される基板搬送領域と、縦型の反応管に対して基板保持具が搬入出される保持具待機領域と、が互いに前後方向に隣接し、前記基板搬送領域及び保持具待機領域に亘って左右方向の一方側から他方側に向かう気流の層流を形成するために、前記一方側及び他方側に、夫々ガス吐出口及びガス吸い込み口が設けられた縦型熱処理装置を運転する方法において、
前記ガス吸い込み口として、前記保持具待機領域に臨むように設けられた待機領域用のガス吸い込み口と、前記待機領域用のガス吸い込み口に対して前記基板搬送領域側に設けられ、基板搬送領域に気流の層流を形成するための基板搬送領域用のガス吸い込み口と、前後方向で見て、前記待機領域用のガス吸い込み口と前記基板搬送領域用のガス吸い込み口との間に設けられた補助ガス吸い込み口と、を用い、
前記基板搬送機構により基板の搬送が行われる時には、前記待機領域用のガス吸い込み口を開いた状態とし、前記基板搬送領域用のガス吸い込み口を開いた状態とし、前記補助ガス吸い込み口を閉じた状態とし、
前記反応管から搬出された基板を冷却する時には、前記待機領域用のガス吸い込み口を開いた状態とし、前記基板搬送領域用のガス吸い込み口を閉じた状態とし、前記補助ガス吸い込み口を開いた状態とし、
こうして前記基板搬送領域用のガス吸い込み口及び前記補助ガス吸い込み口の開閉を制御することにより、基板搬送領域及び前記保持具待機領域の各々に形成される前記層流のガス流量を調整することを特徴とする縦型熱処理装置の運転方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の縦型熱処理装置に係る実施の形態の一例について、
図1〜
図10を参照して説明する。始めにこの縦型熱処理装置の概要について簡単に説明すると、この装置は、
図1に示すように、多数枚のウエハWを棚状に積載するウエハボート1と、このウエハボート1を気密に収納して熱処理を行う反応管2とを備えている。また、このウエハボート1にウエハWを移載するためのウエハトランスファーアーム3が設けられており、このアーム3によってウエハWが搬送される基板搬送領域10a及び反応管2の下方側においてウエハボート1が待機する保持具待機領域10bに対して、清浄ガスによる気流を形成している。そして、アーム3が昇降動作を行っても、当該アーム3を昇降させるための昇降軸であるボールネジ4からパーティクルが飛散しないように、あるいは飛散が抑えられるように、前記気流の形成される位置を切り替え自在に構成している。尚、実際にはウエハボート1よりもアーム3が装置の正面側に配置されているが、以降の説明では、図示の都合上、ウエハボート1とアーム3との並びを「前後方向(ウエハボート1が手前側、アーム3が奥側)」、このウエハボート1からアーム3を見た時における前後方向に水平に直交する方向を「左右方向」と呼ぶこととする。
【0014】
先ず、この装置の全体の構成について簡単に説明すると、ウエハボート1に対してウエハWを移載するための保持具待機領域10bの上方側には、既述の反応管2が配置されており、この保持具待機領域10bの奥側(
図1中X方向)には基板搬送領域10aが隣接している。この基板搬送領域10aの奥側には、FOUP11の搬送及び保管を行うための作業エリア12が設けられている。即ち、この作業エリア12には、装置の外部の図示しない搬送機構によってFOUP11が載置される載置部21と、この載置部21に載置されたFOUP11を当該作業エリア12における既述のアーム3に近接するトランスファーステージ22に移載するキャリア搬送機23とが設けられている。そして、ウエハWが取り出されて空になったFOUP11については、載置部21の上方側の保管部24にて保管され、処理が終わったウエハWについては元のFOUP11に戻されて装置から搬出されるように構成されている。この例では、トランスファーステージ22は、互いに上下に離間するように2カ所に設けられている。
【0015】
図1中25は装置の外壁部をなす筐体であり、26は筐体25に設けられたドアである。作業エリア12と基板搬送領域10aとの間における壁面部は、筐体25の一部をなしており、これら作業エリア12と基板搬送領域10aとの間を区画すると共に、当該壁面部に設けられたシャッター27によりウエハWの搬送を行う搬送口(開口部)28を開閉自在に構成されている。尚、保持具待機領域10bの上方には、反応管2内のウエハWを例えば600℃に加熱するためのヒータや、反応管2の下端開口部の炉口を開閉するための開閉機構、更には反応管2内に処理ガス(成膜ガス)を供給するためのガス供給系などが設けられているが、
図1では簡略化して描画している。また、作業エリア12については、
図1以外では描画を省略する。
【0016】
続いて、基板搬送領域10a及び保持具待機領域10bにおける各部のレイアウトについて詳述する。これら領域10a、10bには、既述のように奥側から手前側に向かってアーム3及びウエハボート1がこの順番で並んでいる。平面で見た時にアーム3に対して一方側(
図2中左側)に外れた領域には、
図1及び
図2に示すように、当該アーム3を昇降させるために、ウエハボート1の長さ方向に沿って上下方向に伸びる昇降軸であるボールネジ4が配置されている。このボールネジ4は、例えば装置の床面5の下方側に設けられた駆動部4aにより、例えば900rpm〜1300rpmの回転数で鉛直軸周りに回転自在に構成されると共に、アーム3に向かって水平に伸びる板状の支持部3aの一端側を貫通するように配置されている。尚、既述の
図1は、ボールネジ4が見えるように、当該ボールネジ4を側方側(シャッター27側)にずらして描画している。また、ボールネジ4の上端部には、当該ボールネジ4を鉛直軸周りに回転自在に支持するために、例えば図示しない軸受け部などが設けられている。
【0017】
前記支持部3aの他端側は、当該支持部3aが後述の局所排気ダクト50に接触しないように、即ち当該局所排気ダクト50においてガスを取り込むためのガス吸い込み口53をボールネジ4の手前側及び右側に近接して配置できるように、平面で見た時にボールネジ4から奥側に伸び出すと共に、アーム3に向かって直角に屈曲している。この支持部3aにおいて前記直角に屈曲した部分の背面側(筐体25側)には、
図7に示すように、アーム3がボールネジ4と共に鉛直軸周りに回転することを規制して昇降させるために、当該筐体25に上下方向に沿って形成されたレール3bに嵌合するガイド部3cが形成されている。
【0018】
アーム3は、
図3に示すように、ウエハWを下方側から各々支持する5枚のピック(基板保持部)31と、これらピック31を進退自在に保持する進退部(搬送基体)32と、を備えており、この進退部32を支持するベース部33の下方側に設けられた回転機構33aによって鉛直軸周りに回転自在に構成されている。そして、この回転機構33aには、既述の支持部3aの他端側が接続されており、ボールネジ4が鉛直軸周りに回転すると、当該支持部3aと共にアーム3が例えば0.4m/s〜0.6m/sの昇降速度で昇降するように構成されている。アーム3の昇降ストロークは、例えば1.5mとなっている。尚、このアーム3には、当該アーム3にて発生するパーティクルを局所排気ダクト50側に排気するために、フィルタの組み合わされた排気ユニットが設けられているが、ここでは図示を省略している。
【0019】
ウエハボート1は、
図1に示すように、多数枚例えば100枚のウエハWを棚状に収納できるように構成されており、反応管2内に挿入されて熱処理が行われる上方位置と、アーム3によってウエハWが移載される下位置との間において、図示しない昇降機構により昇降自在になっている。このウエハボート1におけるウエハWの載置される領域の高さ寸法は、例えば1mとなっている。
図2中1aは、ウエハボート1を昇降させるための昇降機構である。
【0020】
そして、基板搬送領域10a及び保持具待機領域10bでは、既述のボールネジ4が配置された一方側(左側)の領域に対して、当該領域に対向する他方側(右側)の領域から水平方向に向かう層流のガス流が前後方向に亘って、且つ当該ボールネジ4(ウエハボート1)の長さ方向に亘って形成されるように構成されている。具体的には、各領域10a、10bにおける右側には、
図2に示すように、当該領域10a、10bに対して清浄気体例えば大気(空気)あるいはN
2(窒素)ガスを供給するために、フィルタ(濾材)35が組み合わされた箱形のガス供給部34が前後方向に互いに離間するように例えば2カ所に設けられている。これらガス供給部34の下端部は、
図6に概略的に示すように、後述のファン42によって気体が循環する循環流を各領域10a、10bに形成するために、ガスの流入口をなすように各々開口している。尚、清浄気体として窒素ガスを用いるにあたり、実際には筐体25内の雰囲気に当該清浄気体を供給するための供給管と、当該雰囲気を排気するための排気管とが装置に設けられているが、ここでは描画を省略している。
【0021】
これらガス供給部34における左側の側面には、当該ガス供給部34に通流する気体からパーティクルを除去するために、既述のフィルタ35がウエハボート1の長さ方向に亘って且つ前後方向に沿って各々形成されている。従って、ガス供給部34では、フィルタ35を介して清浄気体が各領域10a、10bに供給されるように構成されている。
【0022】
ここで、既述の2つのガス供給部34のうち
図2中手前側(ウエハボート1側)のガス供給部34及び奥側(アーム3側)のガス供給部34に夫々「第1」及び「第2」を付して、これら2つのガス供給部34、34のレイアウトについて以下に説明する。第1のガス供給部34に対して対向するように、ウエハボート1の左側には2つのガス回収ダクト36、36が配置されており、また第2のガス供給部34に対向するように、アーム3の左側には同様に2つのガス回収ダクト36、36が配置されている。こうして筐体25の内部には、4つのガス回収ダクト36が配置されている。
【0023】
各々のガス回収ダクト36は、高さ方向における長さ寸法が例えば1.7m程度となるように形成されると共に、内部領域が中空の概略箱形形状となるように構成されている。そして、ガス回収ダクト36における右側の壁面部には、ガス供給部34から各領域10a、10bに供給される気体を取り込むためのガス吸い込み口37がウエハボート1の長さ方向に沿って形成されている。これら4つのガス回収ダクト36について、手前側から奥側に向かって夫々「36a」、「36b」、「36c」及び「36d」の符号を付すと、既述のウエハボート1を昇降させるための昇降機構1aは、ガス回収ダクト36a、36b間に配置されている。
【0024】
ガス吸い込み口37は、
図2などでは簡略化しているが、
図4に示すように、第1のガス供給部34側且つウエハボート1側を向くように形成されている。また、ガス吸い込み口37は、上下方向における気体の取り込み量を揃えるために、上方側から下方側に向かう程数量が少なくなっており、また左右に2列に形成されている。尚、これらガス回収ダクト36a〜36dにおける各領域10a、10b側には、気体を通流させるためのスリット状のガス通流口が縦横に多数形成された金属板からなる図示しないメカカバーが配置されているが、図示を省略している。
【0025】
そして、各々のガス回収ダクト36は、下端部が各々開口してガスの吹き出し口をなしており、これらガスの吹き出し口に連通するように、床面5の下方側には、ガス循環路41が配置されている。即ち、このガス循環路41は、床面5の下方側にて右側と左側との間で水平に伸びると共に、これら右側の端部及び左側の端部が各々開口する概略箱形形状をなしている。このガス循環路41は、手前側と奥側との2カ所に設けられており、始めに手前側のガス循環路41について説明すると、当該ガス循環路41の左側の開口部は、ガス回収ダクト36a、36bの下端側開口部と各々気密に接続されている。また、この手前側のガス循環路41の右側の開口部が第1のガス供給部34に向かって伸び出している。このガス循環路41の内部には、
図6に模式的に示すように、例えば板状の金属板を互いに平行に離間させて配置させた熱交換器41aが収納されており、ガス回収ダクト36a、36bから流入した気体を冷却できるように構成されている。また、このガス循環路41には、当該ガス循環路41に流入する気体によって昇温した熱交換器41aを冷却するために、チラーなどの冷却装置から伸びる冷却管(いずれも図示せず)が接続されている。
【0026】
前記手前側のガス循環路41の右側の開口部と、第1のガス供給部34の下端側開口部との間には、気体を送風するための送気機構をなすファン(詳しくはシロッコファンが収納されたファンユニット)42が気密に設けられている。そして、このファン42によってガス供給部34の下端開口部に対して気体を供給すると、この気体は、
図6に概略的に示すように、ガス供給部34に設けられたフィルタ35によってパーティクルが除去されて、保持具待機領域10bに向かって高さ方向に亘って吐出されて水平流となる。次いで、この水平流は、ガス回収ダクト36a、36bに流入して、ガス循環路41を介して冷却されながら当該ファン42に戻されていく。こうしてガス供給部34、保持具待機領域10b、ガス回収ダクト36a、36b、ガス循環路41及びファン42を介して循環流が形成される。従って、これら2つのガス回収ダクト36a、36bに対して、循環路41、ファン42及び第1のガス供給部34を共通化して設けていると言える。このファン42は、保持具待機領域10bにおけるガス流が層流となるように、即ちパーティクルを巻き上げないように、例えば0.2m/s〜0.5m/sもの極めて遅い流速となるように駆動条件(回転羽の回転数など)が調整されている。これらガス供給部34、ファン42、ガス循環路41及びガス回収ダクト36a、36bによって層流形成部が構成される。
【0027】
続いて、第2のガス供給部34及び奥側のガス循環路41について説明する。この第2のガス供給部34についても、既述の第1のガス供給部34と同様に、当該第2のガス供給部34に対向するように2つのガス回収ダクト36c、36dが配置されると共に、床面5の下方側には、これら第2のガス供給部34及び2つのガス回収ダクト36c、36dにて共用されるガス循環路41及びファン42が設けられている。第2のガス供給部34における2つのガス回収ダクト36c、36dは、ボールネジ4を介して互いに前後方向に離間するように配置されている。これら2つのガス回収ダクト36c、36dのうち手前側のガス回収ダクト36cは、第2のガス供給部34に対して、ウエハボート1における奥側の部位を介して対向するように配置されている。また、これらガス回収ダクト36c、36dのうち奥側のガス回収ダクト36dは、アーム3により筐体25内にウエハWが搬出される領域を介して第2のガス供給部34に対向するように配置されている。
【0028】
ここで、ボールネジ4と当該ボールネジ4よりも手前側(ウエハボート1側)のガス回収ダクト36cとの間には、
図1〜
図5などに示すように、当該ボールネジ4から発生する有機物やパーティクルを吸引するために、ボールネジ4の長さ方向に沿うように気体のガス吸い込み口53の形成された局所排気ダクト(掃気ダクト)50が配置されている。即ち、この局所排気ダクト50は、ガス回収ダクト36cに隣接すると共に、ボールネジ4の置かれた領域を囲むように、平面で見た時に当該領域が矩形に窪んで概略L字型をなしている。言い換えると、局所排気ダクト50は、平面で見た時に、一端側が筐体25に接触するように配置されており、他端側がガス供給部34に向かって右側に伸び出すと共に、ボールネジ4とガス供給部34との間の領域において奥側に向かって直角に屈曲して延伸している。従って、局所排気ダクト50は、
図3に示すように、ウエハボート1からボールネジ4を見た時に、当該局所排気ダクト50によってボールネジ4が長さ方向に沿って覆われるように配置されている。尚、
図3は、局所排気ダクト50を一部切り欠いて描画している。
【0029】
局所排気ダクト50の下端部は、
図5に示すように、ガス回収ダクト36a〜36dと同様に開口すると共に、第2のガス供給部34におけるガス循環路41の開口端に対して気密に接続されている。従って、第2のガス供給部34に対向する2つのガス回収ダクト36c、36dに加えて、局所排気ダクト50についても、当該第2のガス供給部34から供給される気体を排気(回収)する役割を持っていると言える。即ち、局所排気ダクト50は、第2のガス供給部34に対して、当該局所排気ダクト50の前後両側のガス回収ダクト36c、36dと共通化して設けられている。この局所排気ダクト50においてボールネジ4を臨む側壁のうち左右方向に伸びる面と、当該面に直角な面を夫々第1の壁面部51及び第2の壁面部52と呼ぶと、
図7に示すように、これら壁面部51、52とボールネジ4との間の離間寸法d1、d2は、ボールネジ4から発生した有機物やパーティクルの飛散を抑えるために、例えば10mm〜50mmもの小さな寸法に設定されている。
【0030】
前記第1の壁面部51及び第2の壁面部52には、
図4に示すように、上下方向に伸びるスリット状のガス吸い込み口53がボールネジ4の長さ方向に亘って且つ水平方向に沿って複数箇所例えば2カ所に配置されている。こうしてガス吸い込み口53は、ボールネジ4側を向くように各々形成されている。
ここで、第2のガス供給部34に対向するガス回収ダクト36c、36dのうち手前側のガス回収ダクト36cにおいてガスの層流を形成するための部材(当該第2のガス供給部34、ガス回収ダクト36c、ファン42及びガス循環路41)を第1の層流形成部と呼ぶこととする。また、局所排気ダクト50を介してガスの層流を形成するための部材(当該局所排気ダクト50、第2のガス供給部34、ファン42及びガス循環路41)を第2の層流形成部と呼ぶこととすると、この例では、これら第1の層流形成部及び第2の層流形成部のファン42及びガス循環路41が共通化されていると言える。
【0031】
局所排気ダクト50の第2の壁面部52における奥側の部位には、ボールネジ4から発生する有機物やパーティクルがアーム3側に向かって飛散することを抑制するために、当該ボールネジ4の長さ方向に沿って伸びる概略板状の覆い部材54が設けられている。具体的には、この覆い部材54は、
図7に示すように、平面で見た時に基端部が前記奥側の部位からアーム3側に向かって伸び出すと共に、左側に向かって直角に屈曲している。従って、ボールネジ4からアーム3側を見ると、局所排気ダクト50及び覆い部材54は、アーム3により搬送されるウエハWから当該ボールネジ4ができるだけ見えないように配置されている。
【0032】
ここで、局所排気ダクト50と、この局所排気ダクト50に隣接するガス回収ダクト36cとの長さ方向における途中部位には、
図8に示すように、これら局所排気ダクト50とガス回収ダクト36との一方のガス流路を遮断する時は他方のガス流路を開放するように構成された共通の切り替えバルブ60が開閉機構として配置されている。具体的には、この切り替えバルブ60は、水平に伸びる回動軸61と、この回動軸61から各々垂直に伸びると共に、互いに直角となるように形成された2枚の板状の開閉弁62とを備えている。
【0033】
そして、局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとの間の壁面部には、これらダクト50、36c間が連通するように開口部63が形成されており、前記回動軸61は、この開口部63において前記壁面部に沿うように配置されている。前記2枚の開閉弁62、62のうち、基板搬送領域10a側から見た時の左側の開閉弁62は、ガス回収ダクト36cの横断面形状に倣うように、即ち当該横断面を塞ぐように形成されている。また、2枚の開閉弁62、62のうち右側の開閉弁62は、局所排気ダクト50における横断面を塞ぐように形成されている。
【0034】
前記回動軸61には、
図1に示すように、当該回動軸61を水平軸周りに回転させるためのアクチュエータなどの駆動機構64が接続されている。基板搬送領域10aから見た時に、この駆動機構64を介して回動軸61を時計周り(右回り)に回転させると、
図9に示すように、ガス回収ダクト36cにおけるガス流路が開放され、局所排気ダクト50におけるガス流路が閉止(遮断)される。一方、回動軸61を反時計周りに回転させると、
図10に示すように、ガス回収ダクト36cのガス流路が閉止されると共に、局所排気ダクト50のガス流路が開放される。従って、ガス回収ダクト36cにおけるガス吸い込み口37及び局所排気ダクト50におけるガス吸い込み口53は、開閉弁62、62にガス流路が塞がれる位置よりも上方側だけに形成されている。
【0035】
図8中65は、ダクト50、36cの内壁面に沿うように形成された支持部材であり、各々のダクト50、36cのガス流路を塞ぐ時には、開閉弁62の周縁部を受け止めるように構成されている。尚、これら開閉弁62、62のうち例えば左側(ガス回収ダクト36c側)の開閉弁62は、当該ダクト36cのガス流路を開放する時(回動軸61により回動して垂直姿勢を取る時)に、ダクト50、36c間の壁面部に沿って起立するように、回動軸61側の基端部に対して先端側の部位が当該壁面部を避けるように屈曲している。従って、ダクト50、36cの一方を閉止すると共に他方を開放した時に、開口部63を介してこれらダクト50、36c間で気流が形成されることが抑制される。
【0036】
この縦型熱処理装置には、装置全体の動作のコントロールを行うために制御信号を出力するコンピュータからなる制御部71が設けられている。この制御部71のメモリ内には、反応管2内に処理ガスを供給して熱処理を行うための熱処理プログラム71aと、既述の切り替えバルブ60を切り替えるためのバルブ切り替えプログラム71bとが格納されている。熱処理プログラム71aは、ウエハボート1が気密に収納された反応管2内に対して、例えば成膜ガスなどの処理ガスを供給しながら、真空雰囲気において成膜処理や酸化処理などの熱処理を行うためのものである。バルブ切り替えプログラム71bは、後で詳述するように、アーム3が駆動する時には局所排気ダクト50を開放し、アーム3が駆動しない時(熱処理後のウエハWを冷却する時)は局所排気ダクト50を閉止してガス回収ダクト36cを開放するように構成されている。これらプログラム71a、71bは、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの記憶媒体である記憶部72から制御部71内にインストールされる。
【0037】
次に、この装置の作用について説明する。始めに、この装置において多数枚のウエハWに対して順次熱処理を連続して行っている中で、処理済みのウエハWが全て元のFOUP11に戻されて、ウエハボート1は反応管2の下方位置において空の状態(ウエハWが積載されていない状態)になっているものとする。この時、反応管2の下端開口部である炉口は、図示しない蓋体により気密に閉じられている。また、ウエハボート1は、アーム3がアクセス可能な温度例えば300℃以下の低温となっている。そして、第1の供給部34及び第2のガス供給部34によって、各領域10a、10bに向かう極微速の層流が高さ方向に亘って且つ前後方向に亘って形成されている。具体的には、第1の供給部34から保持具待機領域10bに供給される気流は、当該第1の供給部34に対向するガス回収ダクト36a、36bによって回収されて、ガス循環路41及びファン42を介して循環流が形成されている。また、第2のガス供給部34に対向するガス回収ダクト36c、36d、局所排気ダクト50のうち、奥側のガス回収ダクト36dと、切り替えバルブ60によって開放されているガス回収ダクト36c及び局所排気ダクト50のいずれか一方のガス流路とによって、同様に第2のガス供給部34を介して循環流が形成されている。
【0038】
先ず、アーム3を駆動させる前に、切り替えバルブ60によって、局所排気ダクト50を開放すると共に、当該局所排気ダクト50に隣接するガス回収ダクト36cを遮断する。このように切り替えバルブ60を切り替えると、
図11に示すように、遮断されたガス回収ダクト36cに向かう水平流のうち大部分が局所排気ダクト50によって取り込まれて(吸引されて)いく。こうして第2のガス供給部34に対向する領域10a、10bでは既述のように層流が維持されながら、局所排気ダクト50では、ボールネジ4が配置された領域を局所的に大流量で流れる気流が形成される。従って、ボールネジ4の周囲の領域では、局所的に負圧となる。尚、
図11以降については、昇降機構1aについて記載を省略しており、また各ガス回収ダクト36a〜36dのレイアウトなどを模式的に描画している。
【0039】
次いで、キャリア搬送機23を介してトランスファーステージ22にFOUP11を載置すると共に、シャッター27を開放して、搬送口28を介してアーム3によって例えば5枚のウエハWを基板搬送領域10a側に取り出す。具体的には、各々のウエハWよりも僅かに下方位置においてピック31をFOUP11内に進入させて、次いで僅かにピック31を上昇させてウエハWを受け取り、続いてピック31を後退させる。そして、ピック31の進行方向がウエハボート1側を向くように当該ピック31を反転させ、このウエハボート1におけるウエハWの保持位置に対応する位置までアーム3を上昇または下降させる。その後、FOUP11からのウエハWの取り出し順序とは逆の順序でピック31を動作させ、ウエハボート1にウエハWを移載する。
【0040】
このウエハWの搬入工程において、アーム3が昇降する時、既述のようにボールネジ4が鉛直軸周りに回転するので、
図12に示すように、ボールネジ4の遠心力により、ボールネジ4に塗布された有機物などの潤滑油(オイル)が例えばパーティクルとして飛散しようとする。しかし、局所排気ダクト50に隣接するガス回収ダクト36cを遮断して当該局所排気ダクト50に流入するガス流量を稼いでいる。そのため、アーム3の昇降速度が0.6m/sもの高速であっても、即ちボールネジ4の回転数が900rpm程度であっても、ボールネジ4から発生するパーティクルは、周囲への飛散が抑えられて、第2のガス供給部34から通流する気体と共に局所排気ダクト50によって吸引されていく。一方、基板搬送領域10aでは、第2のガス供給部34から局所排気ダクト50に近接する領域までは既述のように層流が形成されていることから、例えばアーム3にパーティクルが付着していたとしても、当該パーティクルの巻き上げが抑えられる。
【0041】
こうしてFOUP11から残りのウエハWを同様に5枚ずつウエハボートに対して移載すると共に、FOUP11が空になると別のFOUP11がトランスファーステージ22に載置されて、ウエハボート1に例えば100枚程度のウエハWが積載されるまで、ウエハWの移載作業が繰り返される。尚、ウエハWを搬入する工程は、後述するように処理済みのウエハWを搬出する工程に続いて行われる。そのため、切り替えバルブ60は、実際にはウエハWを搬入する時既に以上説明したように局所排気ダクト50及びガス回収ダクト36cを夫々開放及び遮断しているが、ここでは切り替えバルブ60を切り替えたものとして説明している。
【0042】
続いて、ウエハWの移載作業が終了すると、ウエハWに対して熱処理が行われる。即ち、ウエハボート1を反応管2に気密に挿入した後、反応管2の炉口を気密に塞ぐ。次いで、反応管2内を真空雰囲気に設定しながら、図示しないヒーターにより例えば600℃程度に加熱された各々のウエハWに対して処理ガスを供給する。このようにウエハWに対して熱処理を行っている時には、
図13に示すように、アーム3が駆動しておらず、従ってボールネジ4の回転に伴うパーティクルについても発生していない。そこで、切り替えバルブ60を切り替えて、局所排気ダクト50を遮断すると共に、当該局所排気ダクト50に隣接するガス回収ダクト36cを開放する。
【0043】
しかる後、ウエハWに対する熱処理が終了すると、反応管2の炉口である下端開口部を気密に塞いでいた図示しない蓋体を側方側に退避させると共に、ウエハボート1を保持具待機領域10bに向かって下降させる。ウエハWに対して既述のように高温の熱処理が行われており、従って保持具待機領域10bに下降して来たウエハボート1やウエハWについても依然として高温となっている。しかし、局所排気ダクト50を遮断していることから、第2のガス供給部34から吐出される気流のうち局所排気ダクト50に向かう流量の大部分が当該局所排気ダクト50に隣接するガス回収ダクト36cに向かって通流していく。
【0044】
ここで、高温のウエハボート1が下降する時、保持具待機領域10bは常温となっており、ウエハボート1との温度差が大きい。そのため、ウエハボート1やウエハWの熱により、保持具待機領域10bでは上昇気流が形成されようとする。即ち、ガス供給部34からガス回収ダクト36a〜36dに向かう既述の層流が乱されようとする。しかし、ウエハボート1を介してガス供給部34とガス回収ダクト36a〜36dとを左右に対向させて配置していることから、保持具待機領域10bでは、清浄気体が層流で水平方向に向かうラミナーフローが高さ方向に亘って且つ前後方向に亘って維持される。こうして局所排気ダクト50の分だけ大流量の気流が保持具待機領域10bに供給されることも加わって、ウエハボート1及びウエハWは熱交換器41aを介して通流する清浄気体により速やかに冷却されていく。
【0045】
一方、ウエハWに対して施された処理によっては、ウエハボート1やウエハWに付着した付着物が浮遊する場合もある。しかし、上で述べたラミナーフローによって、別のパーティクルが巻き上がることが抑制されながら、大気中に浮遊したパーティクルについては清浄気体の循環流によって排気され、ガス供給部34に設けられたフィルタ35によって除去される。
【0046】
次いで、アーム3がアクセスできる程度の温度にウエハボート1及びウエハWが降温すると、切り替えバルブ60によって局所排気ダクト50を開放すると共に、ウエハボート1への搬入動作とは逆の搬出動作により、処理済みのウエハWをアーム3を用いて順次FOUP11に搬入する。この搬出工程においても、ボールネジ4において発生するパーティクルは、局所排気ダクト50によって排気され、基板搬送領域10aへの飛散が抑制される。
【0047】
図14は、以上説明した気流の切り替えとアーム3の駆動とのタイミングを纏めて示したものであり、第2のガス供給部34から領域10a、10bに供給される気体の流量については、未処理のウエハWを搬入する時から処理済みのウエハWを搬出する時までに亘ってある一定の値となっている。一方、局所排気ダクト50については、アーム3が駆動する時(ウエハWの搬入出時)にON(開放)され、それ以外の熱処理時や冷却時にはOFF(遮断)されている。従って、この局所排気ダクト50の開閉に伴って開閉されるガス回収ダクト36cについては、
図15に示すように、局所排気ダクト50が遮断されると開放され、局所排気ダクト50が開放されると遮断される。
【0048】
上述の実施の形態によれば、各領域10a、10bに対して層流を形成して、パーティクルの巻き上げを抑制しながら、ウエハWを冷却するように構成している。そして、アーム3が駆動する時には、ガス回収ダクト36cを閉止して局所排気ダクト50側を回り込む気流の流量を稼いでいる。また、処理済みの高温のウエハWを冷却する時は、局所排気ダクト50を遮断してウエハボート1側に向かう気流を増やしている。そのため、ウエハWの冷却時には層流を形成しながら、アーム3が駆動する時にボールネジ4から発生するパーティクルについて基板搬送領域10a側への飛散を抑制できるので、ウエハWの汚染を抑えることができる。従って、ボールネジ4が置かれる雰囲気を局所的に排気するにあたり、排気ユニットを別途設けなくても、局所排気ダクト50及び切り替えバルブ60を配置しただけで済む。そして、この局所排気ダクト50を配置した領域は、ボールネジ4が置かれている領域であり、いわばデッドスペースとなっている。そのため、装置の大型化を抑えながら、ボールネジ4からパーティクルが飛散することを抑制できる。また、既述のようにパーティクルの飛散を抑制しながらも高速でアーム3を昇降させることができ、またウエハWの冷却時には既述のラミナーフローを確保して(ウエハWの熱による上昇気流の発生を抑制して)、ウエハWを速やかに冷却できるので、スループットを向上させることができる。
【0049】
また、ボールネジ4に対して局所排気ダクト50の壁面部51、52を既述のように近接させているので、当該ボールネジ4からパーティクルが飛散してしまう前に吸引することができるし、更にボールネジ4が置かれる領域を局所的に負圧にしやすくなる。従って、パーティクルの飛散を良好に抑制できる。
更に、切り替えバルブ60を局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとで共用しているため、当該切り替えバルブ60を駆動するための駆動機構64が一つで済む。更にまた、これら局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとを互いに近接させているため、ダクト50、36cの一方を遮断した時、他方のダクト50、36cに気流が向かいやすくなる。即ち、第2のガス供給部34から吐出する気流が通流する3つのガス流路(2つのガス回収ダクト36c、36d及び局所排気ダクト50)のうち一つのガス流路を遮断すると、当該一つのガス流路に向かって通流する気流は、他の2つのガス流路のうち前記一つのガス流路に近接するガス流路に流れようとする。従って、これらダクト50、36cを互いに近接させることにより、ダクト50、36cの一方を遮断した時に他方のダクト50、36cに向かう気流について、ダクト50、36cを互いに離間させた場合と比べて、多くの流量を確保できる。
【0050】
ここで、局所排気ダクト50から取り込む気体には、既述のようにボールネジ4から発生したパーティクルが含まれている。そこで、装置の外部における工場の排気ラインに向かって一端側が伸びる図示しない排気路の他端側を局所排気ダクト50の下端側開口部に気密に接続し、局所排気ダクト50から取り込む気体についてはガス供給部34に循環させないようにしても良い。このように、ガス回収ダクト36cを介して形成される循環流に対して、局所排気ダクト50用の排気流を別に形成することにより、ガス供給部34に設けられたフィルタ35の長寿命化を図ることができる。この場合には、前記排気ラインに排気された気体に相当する流量の分だけ、図示しない供給路から装置内に気体が取り込まれる。
【0051】
局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとを切り替えるための機構としては、以上の実施の形態では切り替えバルブ60を例に挙げたが、例えば
図16に示すように、これら局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとを個別に各々開閉する開閉弁81、81を開閉機構として設けても良い。この場合においても、既述の例と同様に、ウエハWを冷却する時には局所排気ダクト50が遮断されると共にガス回収ダクト36cが開放され、アーム3が駆動する時には局所排気ダクト50及びガス回収ダクト36cが夫々開放及び遮断される。
【0052】
更に、
図16のように局所排気ダクト50及びガス回収ダクト36cに個別に開閉弁81を設ける場合には、これら局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとを互いに離間させても良い。
図17は、このように開閉弁81が各々設けられた局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとを互いに離間させた例を示しており、第2のガス供給部34は、3つのガス回収ダクト36b〜36dと局所排気ダクト50に共通化して設けられている。そして、第2のガス供給部34が受け持つ3つのガス回収ダクト36b〜36dのうち奥側のガス回収ダクト36dと中央のガス回収ダクト36cとの間に、ボールネジ4及び局所排気ダクト50が配置されている。また、局所排気ダクト50と、手前側のガス回収ダクト36bとには、各々開閉弁81が設けられている。この場合においても、開閉弁81が設けられたガス回収ダクト36bは、第2のガス供給部34に対して、ウエハボート1を介して対向するように配置されている。従って、
図17の構成においても、以上説明した例と同様の作用及び効果が得られる。
【0053】
また、ウエハWを冷却する時において、局所排気ダクト50を遮断してウエハボート1側を通流するガス量を増やしたが、ウエハWを冷却する時には、局所排気ダクト50及びガス回収ダクト36c(36b)を各々開放するようにしても良い。具体的には、
図18に示すように、ガス回収ダクト36cに開閉弁81を設けておき、アーム3が駆動する時には当該開閉弁81によりガス回収ダクト36cを遮断する。一方、ウエハWを冷却する時には、
図19に示すように、開閉弁81によりガス回収ダクト36cを開放して、これらガス回収ダクト36c及び局所排気ダクト50により層流を形成しても良い。この場合においても、ウエハWを冷却する時には層流を形成しながら、アーム3の駆動時におけるパーティクルの飛散を抑制できる。
【0054】
更にまた、
図20は、局所排気ダクト50について、平面で見た時にL字型に構成することに代えて、箱形に形成した例を示している。この場合においても、ガス吸い込み口53は、ボールネジ4の長さ方向に沿うように形成されると共に、ボールネジ4を向くように配置される。
【0055】
また、開閉弁81を用いる場合には、この開閉弁81によりガス流路が開閉されるガス回収ダクト36cと、当該ガス回収ダクト36cに隣接する局所排気ダクト50とについて、循環路41やファン42を共通化せずに、これらガス回収ダクト36c及び局所排気ダクト50毎に個別に設けても良い。この場合には、ガス回収ダクト36c及び局所排気ダクト50の夫々のガス循環路41、41間の壁面部に図示しないバルブにより互いのガス流路を開閉自在な開口部を設けておき、開閉弁81によりガス回収ダクト36cのガス流路が遮断される時、これらガス循環路41、41間を連通させても良い。更に、複数設けられたガス回収ダクト36a〜36dのうち一つを遮断するようにしたが、これら複数のガス回収ダクト36a〜36dに各々開閉弁81を設けておき、アーム3が駆動する時は、2つ以上のガス回収ダクト36a〜36dを遮断しても良い。
【0056】
更に、局所排気ダクト50とガス回収ダクト36cとの流路の切り替えを行うにあたり、当該ダクト50、36cの横断面を遮断する水平姿勢と、ダクト50、36cを開放する垂直姿勢と、の間で切り替え自在に構成された切り替えバルブ60を用いたが、水平方向にスライドする機構を用いても良い。即ち、これらダクト50、36cの横断面を互いに同じ形状にすると共に、一方のダクト50(36c)を遮断すると共に他方のダクト36c(50)を開放した水平位置から、他方のダクト36c(50)を遮断すると共に一方のダクト50(36c)を開放した位置に水平方向にスライドする機構を用いても良い。この場合には、ダクト50、36cにおける例えば装置の外壁側の側面には、当該スライドする機構を支持して水平方向に移動させるための支持部が挿入される。
【0057】
また、アーム3を昇降させる昇降軸としては、ボールネジ4に代えて、例えばベルトコンベアなどを用いても良い。更に、縦型熱処理装置として、ウエハボート1を昇降させる構成について説明したが、アーム3の側方側(例えば右側)に当該ウエハボート1を載置するための領域を設けておき、この領域においてウエハWの受け渡しを行う構成であっても良い。
【実施例】
【0058】
以上説明した局所排気ダクト50を設けた効果について、既述の
図1〜
図10に示した装置を用いて実験を行った結果を説明する。実験は、
図21に模式的に示すように、装置内部(各領域10a、10b)をX−Y−Z方向に複数のラインにより区画して、これらラインの各々の交点においてアーム3を駆動させた時に発生するパーティクルの数量を計測した。比較例として、切り替えバルブ60を設けずに、また局所排気ダクト50として
図20に示す形状に構成して実験を行った結果を示す。尚、
図21では、装置を簡略化して示している。
この結果、本発明の装置では、領域10a、10bではパーティクルの発生は確認されなかった。一方、比較例では、例えば500個程度のパーティクルが発生していた。