(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の液処理装置の一例であるレジスト塗布装置1について、
図1の斜視図と、
図2の縦断側面図とを参照しながら説明する。レジスト塗布装置1は、既述のスピンコーティングによりウエハWにレジスト膜を形成する。そして、前記ウエハWに処理を行わない検査時には、後述の冶具を用いることで、前記ウエハWに処理を行う際に吐出されるレジスト液の量が測定され、この吐出量が適切でない場合には補正されるように構成されている。
【0012】
レジスト塗布装置1は、カップユニット11とノズルユニット31とを備えている。カップユニット11は、ウエハWの裏面中央部を吸着して水平に保持する基板保持部であるスピンチャック12を備え、スピンチャック12は垂直に伸びる回転軸13を介して回転機構14と接続されている。回転機構14はモータ等の回転駆動源を備えており、所定の速度でスピンチャック12を回転させることができる。
【0013】
スピンチャック12の下方には円形のリング状の仕切り板15が設けられている。仕切り板15の周縁部側は断面が山形の液ガイド部16を形成している。この液ガイド部16の外周縁から下方に向かって垂直壁17が形成されている。また、仕切り板15を貫通して、当該仕切り板15の周方向に3本の昇降ピン18が設けられている。昇降ピン18は昇降機構19により昇降自在に構成されている
【0014】
スピンチャック12の周囲には、当該スピンチャック12を囲むようにして上方側が開口したカップ体21が設けられており、カップ体21の側周面上端側は内側に傾斜した傾斜部を形成している。カップ体21の底部側には、上方が開口した環状の凹部を形成する液受け部22が設けられている。液受け部22は、前記垂直壁17が入り込むことにより、ウエハWの周縁下方側に全周に亘って外側領域と内側領域とに区画されている。前記外側領域の底部には貯留したレジスト液などの液を排出する排液口23が設けられている。前記内側領域には、底部より上方に向かって伸びる排気管24が設けられており、当該排気管24により、カップ体21内が排気される。
【0015】
次に、ノズルユニット31について説明する。ノズルユニット31は、駆動機構32と、アーム33と、ノズル保持部41と、を備えている。駆動機構32は、
図1に示すガイド34に沿って横方向に移動自在に構成されている。アーム33は、その基端側が前記駆動機構32に接続されており、その先端側には前記ノズル保持部41が設けられている。アーム33は、前記ガイド34に直交するように水平に伸びており、また駆動機構32により昇降自在に構成される。
【0016】
ノズル保持部41は角型に形成され、その下方には処理液吐出部をなす10本のレジスト液吐出ノズル42A〜42Jと、1本のシンナー吐出ノズル42Kと、が設けられている。これら吐出ノズル42A〜42Kは、ノズル保持部41の移動方向に沿って横方向に配列され、各々下方に向けて液を吐出する。
図1、
図2では、吐出ノズル42A〜42Kのうち一部のノズルについては図示を省略している。
【0017】
吐出ノズル42A〜42Kには、処理液であるレジスト液またはシンナーを供給する処理液供給管43A〜43Kの一端が各々接続されている。処理液供給管43A〜43Kの他端は、処理液供給機構44A〜44Kに各々接続されている。各処理液供給機構44A〜44Kは、吐出ノズル42A〜42Kに供給される処理液が貯留される貯留部と、この貯留部の処理液を吐出ノズル42へと圧送するポンプと、を備えている。処理液供給機構44A〜44Jの前記貯留部にはレジスト液が貯留され、これらのレジスト液の種類は互いに異なっている。処理液供給機構44Kの貯留部にはシンナーが貯留されている。以降、処理液供給機構44A〜44Jをレジスト液供給機構44A〜44J、処理液供給機構44Kをシンナー供給機構44Kとする。
【0018】
前記ポンプは、例えばダイアフラムポンプである。つまりダイアフラムの一面側が処理液の流路を形成し、他面側が流体の供給及び排出が行われるチャンバに面する。処理液の吐出時には、前記チャンバ内に前記流体が供給されて、その圧力が上昇し、前記流路が狭窄されるようにダイアフラムが撓み、処理液が下流側へ圧送される。即ち、前記圧力が高いほど、流路の狭窄度合が大きくなり、当該ポンプが接続される吐出ノズル42から吐出される処理液の量が多くなる。このように吐出を行う際における、予め設定された前記チャンバ内の圧力をポンプの設定圧力とする。レジスト液供給機構44A〜44Jの各ポンプの動作は、後述の制御部5により制御され、前記ポンプの設定圧力は、これらレジスト液供給機構44A〜44Jごとに、個別に設定される。
【0019】
図3に示すように、アーム33の下側には撮像部であるカメラ35が設けられている。後述するようにレジスト液吐出ノズル42A〜42Jから測定用冶具6の凹部61にレジスト液が供給されたときに、この凹部61内のレジスト液を撮像できるように、カメラ35のレンズの光軸36は斜め下方に向けられ、水平面と所定の角度Aをなしている。カメラ35は、前記撮像により得られた画像データを制御部5へと送信する。
【0020】
図1に示すように、前記カップ体21の外側にはカップ状の待機部37が設けられている。各吐出ノズル42A〜42Kにより、ウエハWに処理を行わないときには、前記ノズル保持部41がこの待機部37に位置して待機する。
【0021】
図1〜
図3には測定用冶具6を示している。この測定用冶具6はレジスト液の吐出量の測定に用いる冶具であり、ウエハWと同様に図示しない基板搬送機構により、レジスト塗布装置1に搬送される。この測定用冶具6は、例えばウエハWと同じ直径を有する円板状に形成されている。ウエハWとの形状の差異として、測定用冶具6の表面には凹部61が設けられている。
図4に示すようにこの凹部61には、各レジスト液吐出ノズル42A〜42Jからレジスト液45が吐出され、当該レジスト液45が貯留される。この凹部61へのレジスト液45の吐出量は、例えばウエハWに処理を行う際に吐出するように設定されている目標値となるようにレジスト液45の吐出が行われる。
【0022】
凹部61は例えば10個設けられ、各吐出ノズル42A〜42Jのレジスト液は、互いに異なる凹部61に貯留される。凹部61は、その頂点が下方に向いた直円錐状に形成されている。この凹部61の表面は、後述するように容易にレジスト液45の除去を行うために、例えばテトラフルオロエチレンからなる撥水性の被膜によりコーティングされている。
図2には鎖線の矢印の先に、円錐の頂点を通る垂直平面に沿って切断した凹部61の縦断側面を示している。図中、このように断面で見た円錐の側面と円錐の底面とのなす角をθとして示している。
【0023】
図5の最上段に、一例としてレジスト液吐出ノズル42Jから凹部61に吐出されたレジスト液45を示している。凹部61内に着液したレジスト液45は、吐出圧により凹部61内で飛散する。レジスト液吐出ノズル42Jからのレジスト液45の吐出が停止すると、レジスト液45の液面は安定し、凹部61の側面に付着したレジスト液45は重力により側面を滑り落ちて、下方に向けて集まる。そして、レジスト液45は凹部61の形状に従って概ね円錐状の液溜まりを形成する。
図5の上から2段目に、そのようにレジスト液45の液溜まりが形成された凹部61を示しており、
図5の上から3段目に当該液溜まりとなったレジスト液45を示している。
【0024】
前記レジスト液45の液溜まりの形状を詳しく述べると、逆円錐の底面が、レジスト液45の表面張力によって上方へ向けてドーム型に若干盛り上がった形状となっている。
図5の最下段にはこの液溜まりについて、凹部61の側面に接する当該液溜まりの上端を通過する水平面に沿って二分割して示している。このように分割された液溜まりを下層部46、上層部47とする。制御部5は、これら下層部46、上層部47の夫々の体積V1、V2を算出し、各算出した体積V1、V2を合計して、凹部61に吐出されたレジスト液45の量Vを算出する。下層部46は、図に示すように凹部61とその各面が相似の逆円錐である。上層部47は、回転楕円体を、その切断面が円となるように平面に沿って二等分したうちの一つである半楕円体であるものとみなして、その体積V2を算出する。
【0025】
制御部5による下層部46の体積V1の算出方法を、
図6を用いて説明する。
図6の上段にはカメラ35により取得された凹部61の3つの画像を例示しており、夫々異なる量のレジスト液45が貯留されている。制御部5は、画像中のレジスト液45の識別を容易にするために、取得した画像を二値化処理する。
図6の中段には、上段の各画像をそのように二値化処理したものを示している。二値化処理によって画像中のレジスト液45が黒く表され、測定用冶具6の表面は白く表される。ただし図示の便宜上、
図6中段ではそのように黒くなったレジスト液45を比較的濃いグレースケールで示している。
【0026】
このように二値化処理された画像中のレジスト液45は、横方向に長い概ね楕円形となる。制御部5は、この画像のレジスト液45について、横方向の一端と他端との間の長さ2rを算出し、さらにその1/2の値であるrを算出する。
図6中、下段は、前記レジスト液45の液溜まりの下層部46の側面の模式図を示している。この模式図に示すように前記rは、下層部46である円錐の底面の半径である。また、制御部5には、
図2で示した角θの値が予め記憶されている。これらrとθとに基づいて、制御部5は下記の式1により下層部46の体積V1を算出する。式1中hは、下層部46の高さである。
V1=1/3πr
2h=1/3πr
2・r・tanθ・・・式1
【0027】
図7上段は、
図6の上段と同じ互いに異なる量のレジスト液45が貯留された3つの凹部61の画像を示しており、
図7の中段は
図6の中段と同じく、前記3つの画像を二値化処理して得られる画像を示している。
図7の下段には、
図7上段のように各量のレジスト液45が貯留される場合に、仮に、貯留されたレジスト液45の前記上層部47を横から撮像し、前記二値化処理を行ったとして得られる画像を示している。この
図7の下段に示すように凹部61に貯留されるレジスト液45の量によって、上層部47の高さnは異なる。また、カメラ35は凹部61を斜め上から撮像するので、前記上層部47を撮像することになるが、そのような方向から撮像しているため、取得される
図7中段のレジスト液45の画像の上下の幅mは、
図7の下段の上層部47の高さnとは異なる。
【0028】
制御部5は、上層部47の体積V2を演算するために、前記画像の上下の幅mから、上層部47の高さnを算出する。
図8を参照しながら、この高さnの算出方法について説明する。
図8の上段は、カメラ35により撮像され、二値化処理したレジスト液45の画像である。
図8の中段は、前記上段のレジスト液45の画像について、説明のために補助線62、63を付したものである。鎖線で示す前記補助線62は、画像中のレジスト液45一端の点P1と他端の点P2とを通過するように横方向に引かれた直線である。点P1、P2間の長さは前記2rである。この補助線62により、レジスト液45の外形線が上下に2分割されているものとし、分割された下側の外形線を64、上側の外形線を65とする。そして、点線で示す前記補助線63は、補助線62に対して外形線65と対称になるように引かれた曲線である。即ち、レジスト液45の画像の左右中央における補助線62と外形線64との間隔h1と、補助線62と補助線63との間隔h2とは互いに等しい。
【0029】
補助線63と外形線64とに囲まれる領域は、レジスト液45が表面張力を持たないとした場合の液面、つまり既述の下層部46の円錐の底面である。即ち、レジスト液45の画像中、
図8の下段に斜線を付して示した外形線65と補助線63とに囲まれる領域が、前記上層部47に相当する。つまり、図中にh3として示す、レジスト液45の画像の左右中央における外形線65と補助線63との間隔が、
図7の下段で説明した上層部47の高さnに相当する。なお、h1+h2(=h1)+h3=画像中のレジスト液45の上下の幅mである。この間隔h3は、前記nに対応する他、
図3で説明したカメラ35の光軸36の角度Aにも対応する。
【0030】
制御部5は上記のように画像を二値化処理した後、その画像から間隔h1、h2、h3を順次算出し、然る後、前記高さn=k・h3を演算して前記nを算出する。kは間隔h3を高さnに変換するために、前記角度Aに応じて予め設定された係数である。このように上層部47の高さnを算出した後、下記の式2により上層部47の体積V2を算出する。そして、上記のように体積V1+V2を演算し、この演算値をレジスト液45の吐出量Vとして決定する。
V2=4/3πr
2n・1/2=2/3πr
2n・・・式2
【0031】
続いて
図9を参照して、コンピュータであり、データ処理部及び吐出量補正機構を構成する制御部5について説明する。制御部5は、プログラム格納部51、CPU52を備えており、これらがバス53に接続されている。また、カメラ35、回転機構14、駆動機構32、レジスト液供給機構44A〜44J、シンナー供給機構44Kなどの既述のレジスト塗布装置1の各部が、バス53に接続されている。
図9ではこれらの各部について、レジスト液供給機構44A〜44J、カメラ35以外の図示を省略している。プログラム格納部51は、コンピュータ記憶媒体、例えばフレキシブルディスク、コンパクトディスク、ハードディスク、MO(光磁気ディスク)及びメモリーカードなどにより構成されている。このような記憶媒体に格納された状態で、当該記憶媒体に格納されたプログラム54が、制御部5にインストールされる。
【0032】
プログラム54は、上記の回転機構14、駆動機構32、レジスト液供給機構44A〜44J及びシンナー供給機構44Kなどのレジスト塗布装置1の各部に制御信号を送信して、その動作を制御する。そして、プログラム54には、上記のレジスト液の吐出量の測定、後述のレジスト液の吐出量の補正及び後述のウエハWへのレジスト塗布処理における各動作が行えるように命令(各ステップ)が組み込まれている。CPU52は、そのように制御信号を出力するために各種の演算を実行する。
【0033】
また、制御部5には、画像記憶部55、ポンプの圧力記憶部56、目標吐出量記憶部57及び相関関係記憶部58が接続され、これらがバス53に接続されている。画像記憶部55には、カメラ35により取得される上記の画像データが記憶される。この記憶された画像データについて、
図6〜
図8で説明した処理が行われ、レジスト液45の吐出量Vが算出される。ポンプの圧力記憶部56には、レジスト液供給機構44A〜44Jについて、上記のようにレジスト液45を吐出する際のポンプの設定圧力が夫々個別に記憶されている。このポンプの設定圧力は、制御部5により変更自在である。
【0034】
目標吐出量記憶部57には、ウエハWに処理を行う際に吐出されるレジスト液の量の目標値が記憶されている。上記の圧力記憶部56に記憶されるポンプの設定圧力は、各レジスト吐出ノズル42A〜42Jからの吐出量が、この目標値になるように設定された圧力である。
【0035】
相関関係記憶部58には、レジスト液の吐出量のずれと、圧力補正値との相関関係が記憶されている。前記吐出量のずれは、目標吐出量記憶部に記憶される前記レジスト液の吐出量の目標値−上記の画像データから算出される吐出量Vである。この例では、前記相関関係は比例関係であるものとして図中に表している。
【0036】
図10〜
図16を用いて、レジスト塗布装置1においてレジスト液の吐出量の測定及び補正が行われる工程を、順に説明する。先ず、図示しない基板搬送機構により、レジスト塗布装置1の外部から測定用冶具6が、レジスト塗布装置1に搬送され、その裏面中央部がスピンチャック12に受け渡されて保持される。このように保持されたときに各凹部61が所定の位置に位置するように、例えば、測定用冶具6は予め所定の向きに向けられた状態で前記基板搬送機構により搬送される。そして、待機部37からノズル保持部41が測定用冶具6上に移動し、当該レジスト液吐出ノズル42Aが、一の凹部61の上方に位置して停止する(
図10)。
【0037】
前記レジスト液吐出ノズル42Aが接続されるレジスト液供給機構44Aのポンプの圧力が、圧力記憶部56に記憶された設定圧力となり、レジスト液吐出ノズル42Aから凹部61内にレジスト液45が吐出される(
図11)。吐出開始から所定の時間経過後、前記レジスト液45の吐出が停止する。そして、吐出停止から所定の時間が経過して凹部61内のレジスト液45の液面が安定すると、カメラ35により当該凹部61が撮像され、取得された画像データが制御部5の画像記憶部55に記憶される。この記憶された画像データに基づいて、既述したようにレジスト液45の液溜まりの下層部46の体積V1、上層部47の体積V2が算出され、吐出量V=V1+V2が算出される(
図12)。
【0038】
そして、前記レジスト液の吐出量の目標値−前記吐出量V=前記吐出量のずれが算出される。この吐出量のずれが予め設定された許容範囲から外れている場合は、相関関係記憶部58に記憶された相関関係から、前記吐出量のずれに対応する圧力補正値が読み出される。そして、ポンプの圧力記憶部56に記憶されている前記供給機構44Aの設定圧力に、読み出された圧力補正値が加算され(補正値が負の値の場合は設定圧力から減算されることになる)、前記設定圧力が更新される。前記吐出量のずれが許容範囲に収まっている場合は、前記圧力補正値の読み出し及びこの補正値による設定圧力の補正が行われない。
【0039】
然る後、ノズル保持部41が横方向に移動し、レジスト液吐出ノズル42Aがレジスト液の吐出を行った位置に、レジスト液吐出ノズル42Bが位置して停止する。また、このノズル保持部41の移動に並行して、測定用冶具6が時計回りに回転し、この回転方向においてレジスト液45が貯留された凹部61に隣接する凹部61が、レジスト液吐出ノズル42Bの下方に位置して停止する。そして、この凹部61にレジスト液吐出ノズル42Bからレジスト液45が吐出され(
図13)、レジスト液吐出ノズル42Aから凹部61にレジスト液45を吐出した場合と同様に、凹部61の撮像、レジスト液45の吐出量Vの演算が順次行われる。そして、この吐出量Vから算出される前記吐出量のずれが許容範囲から外れている場合には、レジスト液吐出ノズル42Bに接続されるレジスト液供給機構44Bのポンプの設定圧力の補正が行われる。
【0040】
その後も、ノズル保持部41の移動によるレジスト液吐出ノズル42の位置合わせ、及び測定用冶具6の回転による凹部61の位置合わせが行われ、例えばレジスト液吐出ノズル42C、42D、42E・・・の順、つまりレジスト液吐出ノズル42の符号に付しているアルファベット順に、ノズルから凹部61へのレジスト液45の吐出が行われる。そして、各レジスト液吐出ノズル42から凹部61へのレジスト液45の吐出後は、カメラ35による凹部61の撮像、レジスト液45の吐出量Vの演算が行われる。そして、吐出量Vから得られる吐出量のずれが許容範囲から外れている場合には、吐出を行ったレジスト液吐出ノズル42に接続される供給機構44について、ポンプの設定圧力の補正が行われる。そして、最後のレジスト液吐出ノズル42Jから吐出されたレジスト液45について吐出量Vが演算され、さらに前記吐出量のずれが許容範囲から外れた場合にはポンプの設定圧力の補正が行われると、シンナー吐出ノズル42Kが測定用冶具6の中心部上に位置する(
図14)。
【0041】
前記測定用冶具6の中心部に、シンナー吐出ノズル42Kからシンナー49が吐出されると共に、測定用冶具6が回転する。遠心力により、シンナー49が測定用冶具6の周縁部へと広がり、凹部61内のレジスト液45を凹部61内から押し出し、ウエハWの外側へと押し流して除去する(
図15)。シンナー49の吐出が停止されると、測定用冶具6の回転により測定用冶具6のシンナー49が振り切られて、測定用冶具6から除去され、当該測定用冶具6が乾燥される(
図16)。然る後、測定用冶具6の回転が停止する。
【0042】
上記のノズル保持部41が測定用冶具6上に移動してから、シンナー49が振り切られて測定用冶具6が乾燥されるまでの一連の工程を1回目の調整工程とすると、1回目の調整工程終了後、この1回目の調整工程と同様の2回目の調整工程が行われる。即ち、レジスト液吐出ノズル42及び凹部61の位置合わせ、レジスト液吐出ノズル42から凹部61へのレジスト液45の吐出、カメラ35による凹部61の撮像、レジスト液45の吐出量Vの演算が順次行われる。
【0043】
2回目の調整工程における各レジスト液吐出ノズル42A〜42Bのレジスト液45の吐出も、ポンプの設定圧力が圧力記憶部56に記憶されている設定圧力にされることで行われる。即ち、1回目の調整工程で設定圧力の補正を行っているポンプについては、そのように補正を行った設定圧力とされてレジスト液45の吐出が行われる。また、この2回目の調整工程においても、前記吐出量のずれが許容範囲に収まっていない場合は、前記設定圧力の補正が行われる。そして、この2回目の調整工程において、測定用冶具6の回転によるシンナーの振り切りが行われると、ノズル保持部41は待機部37に戻り、前記回転の停止が終了すると、基板搬送機構により測定用冶具6はレジスト塗布装置1から搬出される。
【0044】
このようにレジスト液の吐出量の測定及び補正が行われると、ウエハWに対してレジスト塗布処理が行われる。
図17〜
図19を適宜参照しながらウエハWへの処理を説明する。前記基板搬送機構により、ウエハWがレジスト塗布装置1に搬送され、測定用冶具6と同様に、その裏面中央部がスピンチャック12に受け渡されて保持される。そして、ノズル保持部41が待機部37からウエハW上に移動し、ウエハWの中心部にシンナー49が供給されると、当該シンナー49は、ウエハWの回転の遠心力により周縁部へ広げられる(
図17)。
【0045】
そして当該ウエハWについて処理を行うように予め設定されたレジスト液吐出ノズル42、この例では42JがウエハWの中心部上に移動し、当該レジスト液吐出ノズル42Jに接続されたレジスト液供給機構44のポンプの圧力が、ポンプの圧力記憶部56に記憶されている設定圧力となり、レジスト液45がウエハWの中心部に吐出される(
図18)。つまり上記の1回目及び2回目の調整工程で、設定圧力の補正を行っているポンプについては、そのように補正を行った設定圧力とされて、レジスト液45の吐出が行われる。そして、目標値である吐出量のレジスト液45がウエハWに吐出されると、レジスト液45の吐出が停止する。吐出されたレジスト液45は遠心力によりウエハWの周縁部に広がり、このレジスト液45から所望の膜厚のレジスト膜が形成される(
図19)。ウエハWの回転が停止し、基板搬送機構によりウエハWがレジスト塗布装置1から搬出される。
【0046】
このレジスト塗布装置1によれば、測定用冶具6の凹部61にレジスト液吐出ノズル42A〜42Jからレジスト液45を吐出し、この吐出されたレジスト液45をカメラ35により撮像して画像データを取得し、この画像データに基づいて前記レジスト液45の吐出量を算出している。従って、作業員が前記レジスト液吐出ノズル42A〜42Jから吐出されるレジスト液45をメスシリンダなどの容器に受けて、測定を行う必要が無い。従って、前記容器からの液はねによりレジスト液が作業員にかかることや、装置1の各部に作業員が触れたり押されたりすることによって、負傷することを防ぐことができる。それ故に、安全に前記吐出量の測定を行うことができる。また、レジスト塗布装置1では、測定された吐出量に基づいて、吐出量が目標値となるように自動でポンプの設定圧力が変更され、吐出量が補正される。従って、装置1のオペレータの手間を軽減することができる。
【0047】
さらにこのレジスト塗布装置1では、レジスト液45の液溜まりについて、表面張力により盛り上がって形成される上層部47を半楕円体として、その体積を算出している。このように上層部47についても体積の算出を行うことで、より精度高く吐出量を測定することができる。また、測定用冶具6において、凹部61は周方向に複数設けられている。従って、一の凹部61に一のレジスト液吐出ノズル42からレジスト液45を吐出した後、スピンチャック12の回転により、速やかに他の凹部61を他のレジスト液吐出ノズル42の下方に移動させることができる。従って、吐出量の測定を速やかに行うことができる。
【0048】
図20には測定用冶具の他の例である測定用冶具7を示している。この測定用冶具7は凹部61の代わりに凹部71を備えており、凹部71は、その頂点を下方に向けた四角錐状に形成されている。この四角錘は直錘である。このように凹部の形状の違いを除いて、測定用冶具7は、測定用冶具6と同様に構成される。
【0049】
図21の上段には、レジスト液吐出ノズル42Jからレジスト液45を凹部71に吐出している様子を示している。レジスト液45の吐出停止後、凹部71内で飛散したレジスト液45は、凹部61に吐出されたレジスト液45と同様に、重力により凹部71の側面を伝わって下方へ向かって流れ、
図21の中段に示すように液溜まりを形成する。
図21の下段にはカメラ35により撮像され、二値化処理された前記レジスト液45の画像を示している。
【0050】
この実施形態では、上記のように表面張力による液面の盛り上がりが無いものと見なしてレジスト液45の体積Vの演算を行う。即ち、前記液溜まりは凹部71と、その各面が相似形である四角錐になるものと見なして演算を行う。前記二値化処理された画像から、制御部5は、液溜まりの四角錐の底面の各辺の長さx、yを求める。
【0051】
ところで、
図22には凹部71の側面を示している。前記体積Vを算出するためには、
図22に示す液溜まりの高さzを算出することが必要である。上記のように、液溜まりは四角錐であると見なしているため、この高さzと、前記四角錘の底面の各辺x、yの長さとの間には対応関係があり、x及びyが大きくなるにつれ、zも大きくなる。制御部5には予めこの対応関係が記憶され、上記のようにx、yが算出されると、制御部5はこのxまたはyからzについて算出できるように構成される。そして、これらx、y、zが算出されると、制御部5は、下記の式3により液溜まりの体積V、即ち吐出量を算出する。
V=1/3xyz・・・式3
【0052】
図23には前記凹部71の変形例である凹部72を示している。この凹部72は、凹部71と同じく、その頂点を下方に向けた四角錐として形成されている。この凹部72は正四角錐として形成され、この四角錐の底面は正方形をなす。この凹部72において4つの側面のうちの1つは目盛形成面73として構成され、横方向に沿って形成された目盛74が、上下方向に多数配列されるように設けられている。これら目盛74は例えば等間隔に形成され、最上部の目盛74は凹部72の縁に形成される。制御部5には例えば隣接する目盛74の間隔の長さが予め記憶されている。
【0053】
制御部5には、凹部72について、四角錐の頂点から底面の一辺の中央までの長さBが予め記憶されている。また、
図24は目盛形成面73に向かって見た凹部72の縦断側面図である。図中、四角錐の底面と側面とのなす角をCとして示しており、この角Cの値も予め制御部5に記憶されている。
【0054】
図25上段には、凹部72にレジスト液45が吐出される様子を示し、
図25中段には前記レジスト液45の液面が安定し、カメラ35により撮像される状態を示している。この例でもレジスト液45の表面張力を考慮せず、レジスト液45の液溜まりの各面は凹部72の各面と相似形の四角錘となるものと見なす。レジスト液45の液面より下方の目盛74は、レジスト液45の色により隠されて撮像されない。取得された画像について制御部5は、液面上に露出している目盛74の数と、上記のように予め記憶された目盛74同士の間隔とに基づき、
図25中段に示す、凹部72の側面に沿ったレジスト液45の液面から凹部72の上縁までの長さDを算出する。
【0055】
図25の下段には、前記レジスト液45の液溜まりを含む凹部72の縦断側面を概略的に示している。制御部5は、前記液溜まりの頂点から底面の一辺の中央までの長さE=B−Dを算出する。そして、この長さEと上記の角Cとに基づいて、F=E・cosC、G=E・sinCを算出する。前記Fは、前記液溜まりの四角錘における底面の一辺の長さの1/2であり、Gは前記四角錘の高さである。そして、下記の式4より、前記液溜まりの体積V、即ちレジスト液吐出ノズル42の吐出量を算出する。
V=1/3(2F)
2G=4/3・E
3(cosC)
2・sinC・・・式4
【0056】
図26上段には、凹部72の変形例を示している。凹部72の4つの側面のうち、目盛形成面73以外の3つの側面は、黒色に形成され、測定用冶具7の表面において、凹部72の外側も黒色に形成されている。ただし、図が見にくくなることを防ぐために、図中ではこれらの各部を黒色として示す代わりに、比較的濃いグレースケールで示している。目盛形成面73については、例えば白色の面に黒色の目盛74が形成されている。
【0057】
図26の中段には、既述のようにレジスト液45が吐出されて、当該レジスト液45の液面が安定した状態の凹部72の上面を示している。この凹部72をカメラ35で撮像して、二値化を行うと、前記凹部の3つの面及び凹部72の外側と同様、レジスト液45は黒色となる。従って、画像中、レジスト液45の液面上の目盛形成面73だけが白色となる。それによって、制御部5は、この露出した目盛形成面73と、目盛形成面73の目盛74とを正確性高く識別できるので、
図25中に示した液面から凹部72の縁部までの長さDを、より確実に測定することができる。
【0058】
図27に示すように、前記円錐型の凹部61に目盛74を形成してもよい。この例では目盛74は、凹部61の周に沿ってリング状に形成されている。この
図27の凹部61によりレジスト液の吐出量の測定を行う場合は、例えば凹部72により測定を行う場合と同様に、上記の表面張力による液面の盛り上がり、即ち前記上層部47が形成されないものとし、凹部72内のレジスト液の体積を求める場合と略同様に、レジスト液の体積を算出する。具体的には、画像を取得して、この目盛74により、凹部61内のレジスト45の液面と凹部61の縁部までの長さJ(
図28参照)を求め、それによってレジスト液45の液溜まりの円錐の頂点から底面の端部までの長さを求める。そしてこの長さから、上記の下層部46の体積V1をレジスト液45の吐出量Vとして算出する。制御部5には、このように吐出量Vを算出するために、予め
図2の角θと、凹部61の円錐の頂点から底面の端部までの長さとが記憶されているものとする。
【0059】
このようにレジスト液の吐出量Vを求める場合、制御部5が目盛74を識別できれば、凹部61内には目盛74以外のマークが付されていてもよい。
図29に示す例では、凹部61の中心から凹部61の縁へ放射状に広がる多数の線が凹部61の側壁に設けられている。
【0060】
ところで、例えば上記のように凹部61や凹部71、72に目盛74を形成する場合、各目盛74と各凹部に収納される液量との対応関係を予め制御部5に記憶させ、この対応関係により吐出量の測定を行ってもよい。具体的には、レジスト液45が吐出された凹部61をカメラ35により撮像する。そして制御部5は、画像中のレジスト液45において、凹部61の側壁に接している箇所の上端、つまり、上記の下層部46の上端に一致または近接する目盛74を検出する。前記対応関係から、この検出した目盛74に対応する値を読み出し、その値をレジスト液45の吐出量とする。即ち、レジスト液45の吐出量は、上記のように円錐や四角錘の体積を求めるように演算を行って取得することに限られない。
【0061】
また、上記のように吐出量の目標値と実際の吐出量Vとの間にずれが検出されたときに、ポンプの設定圧力を変更して、吐出量の補正を行うことには限られない。例えば、前記ポンプとレジスト液吐出ノズル42との間に設けられる図示しないバルブの開閉時間を制御し、それによってノズルからレジスト液が吐出される時間を制御して、吐出量の補正を行うようにしてもよい。
【0062】
上記の各凹部は冶具に設けることに限られず、レジスト塗布装置1の構成部品に設けてもよい。
図30にはスピンチャック12の表面に凹部61を設けた例を示している。この場合も、測定用冶具6を用いる場合と同様に、上記の調整工程が行われる。
【0063】
また、凹部は錐体状に形成することには限られず、例えば側面が垂直である円形または角形の凹部としてもよい。ただし、そのような構成と比べて、凹部61、71、72のように錐体とすると、凹部内の底面と側面との間で角部が形成されることが抑えられる。それによって、洗浄液であるシンナーによりレジスト液45を除去する際に、当該角部にてシンナーが滞留することが抑えられ、凹部内の表面に沿ってシンナーが流れやすくなる。そのため、凹部内にレジスト液45が残ることが抑えられる。特に凹部61のように円錐状に凹部を形成した場合、レジスト液の残留が抑えられることが、実験により確認されている。
【0064】
また、カメラ35を設ける位置も上記の例には限られず、
図31には、カップ体21の外側にカメラ35を設けた例を示している。この例ではカメラ35の光軸36が水平方向に向けられ、カップ体21に設けられた透光部81を介して測定用冶具6を側方から撮像できるように構成されている。図中82はシャッタであり、汚れを防ぐために撮像時以外にはカップ体21の内側にて透光部81を遮蔽する。測定用冶具6は例えば透明な部材により構成され、図中、点線の矢印の先に示すように、撮像を行い、凹部61内のレジスト液45の液溜まりの側面の画像を取得することができる。この画像から、制御部5は、下層部46及び上層部47の底面の半径r、下層部46の高さh、上層部47の高さnを算出し、上記の式1、式2よりレジスト液の吐出量Vを算出する。図中75は、下層部46及び上層部47を区画する仮想線である。
【0065】
例えば、測定用冶具6の凹部を、その側面が垂直で、その底面が水平な円形として、このように側方から撮像を行う。そして、画像から下層部46の高さh、上層部47の高さnを検出し、下層部46の体積V1、上層部47の体積V2を算出してもよい。ただし、このように凹部を形成した場合、前記下層部46は円柱状となるため、そのような円柱の体積をV1として算出する。
【0066】
本発明をレジスト塗布装置1に適用した例について説明してきたが、本発明は、レジスト液を塗布する装置に適用することに限られない。例えば、レジスト液の代わりに反射防止膜形成用の処理液を塗布する処理液塗布装置に適用することができる。また、レジスト液の代わりに例えばレジスト膜の表面を保護するための保護膜形成用の処理液を塗布する処理液塗布装置に適用される。また、レジスト塗布装置1において、シンナーについてもレジスト液と同様に吐出量の測定及び補正を行ってもよい。また、複数枚のウエハWを貼り合わせるために、ウエハWに接着剤を塗布する装置にも本発明を適用することができる。
【0067】
図32〜
図34に、塗布、現像装置9を示す。この塗布、現像装置9には、前記レジスト塗布装置1、反射防止膜形成用の処理液塗布装置、保護膜形成用の処理液塗布装置に夫々対応するレジスト塗布モジュール、反射防止膜形成用塗布モジュール、保護膜形成用塗布モジュールが設けられている。
図33、34、35は夫々当該塗布、現像装置9の平面図、斜視図、概略縦断側面図である。この塗布、現像装置9は、キャリアブロックD1と、処理ブロックD2と、インターフェイスブロックD3と、を直線状に接続して構成されている。インターフェイスブロックD3にはさらに露光装置D4が接続されている。以降の説明では、ブロックD1〜D3の配列方向を前後方向とする。キャリアブロックD1は、ウエハWを複数枚含むキャリアC1を塗布、現像装置9内に搬入出する役割を有し、キャリアC1の載置台91と、開閉部92と、開閉部92を介してキャリアC1からウエハWを搬送するための移載機構93とを備えている。
【0068】
処理ブロックD2は、ウエハWに液処理を行う第1〜第6の単位ブロックE1〜E6が下から順に積層されて構成されている。説明の便宜上ウエハWに下層側の反射防止膜を形成する処理を「BCT」、ウエハWにレジスト膜を形成する処理を「COT」、露光後のウエハWにレジストパターンを形成するための処理を「DEV」と夫々表現する場合がある。この例では、
図33に示すように下からBCT層、COT層、DEV層が2層ずつ積み上げられている。同じ単位ブロックにおいて互いに並行してウエハWの搬送及び処理が行われる。
【0069】
ここでは単位ブロックのうち代表してCOT層E3を、
図32を参照しながら説明する。キャリアブロックD1からインターフェイスブロックD3へ向かう搬送領域94の左右の一方側には棚ユニットUが前後方向に複数配置され、他方側には前記レジスト塗布モジュールCOT、保護膜形成用塗布モジュールITCが前後方向に配設されている。レジスト塗布モジュールCOTは、1つのノズルユニット31に対してカップユニット11が2つ設けられることを除いて、レジスト塗布装置1と同様に形成される。保護膜形成用塗布モジュールITCは、既述の処理液の違いを除いて、レジスト塗布モジュールCOTと同様の構成とされる。棚ユニットUは、加熱モジュールを備えている。前記搬送領域94には、ウエハWの搬送機構である搬送アームF3が設けられている。
【0070】
他の単位ブロックE1、E2、E5及びE6は、ウエハWに供給する処理液が異なることを除き、単位ブロックE3、E4と同様に構成される。単位ブロックE1、E2は、レジスト塗布モジュールCOTの代わりに前記反射防止膜形成用塗布モジュールを備え、単位ブロックE5、E6は、現像モジュールを備える。
図34では各単位ブロックE1〜E6の搬送アームはF1〜F6として示している。これらの搬送アームFは、レジスト塗布装置1で説明した基板搬送機構に相当する。
【0071】
処理ブロックD2におけるキャリアブロックD1側には、各単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT1と、タワーT1に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構である受け渡しアーム95とが設けられている。タワーT1は、互いに積層された複数のモジュールにより構成されており、単位ブロックE1〜E6の各高さに設けられるモジュールは、当該単位ブロックE1〜E6の各搬送アームF1〜F6との間でウエハWを受け渡すことができる。これらのモジュールとしては、実際には各単位ブロックの高さ位置に設けられた受け渡しモジュールTRS、ウエハWの温度調整を行う温調モジュールCPL、複数枚のウエハWを一時的に保管するバッファモジュール、及びウエハWの表面を疎水化する疎水化処理モジュールなどが含まれている。説明を簡素化するために、前記疎水化処理モジュール、温調モジュール、前記バッファモジュールについての図示は省略している。
【0072】
インターフェイスブロックD3は、単位ブロックE1〜E6に跨って上下に伸びるタワーT2、T3、T4を備えており、タワーT2とタワーT3に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構であるインターフェイスアーム96と、タワーT2とタワーT4に対してウエハWの受け渡しを行うための昇降自在な受け渡し機構であるインターフェイスアーム97と、タワーT2と露光装置D4の間でウエハWの受け渡しを行うためのインターフェイスアーム98が設けられている。
【0073】
タワーT2は、受け渡しモジュールTRS、露光処理前の複数枚のウエハWを格納して滞留させるバッファモジュール、露光処理後の複数枚のウエハWを格納するバッファモジュール、及びウエハWの温度調整を行う温調モジュールなどが互いに積層されて構成されているが、ここでは、バッファモジュール及び温調モジュールの図示は省略する。この塗布、現像装置9においては、ウエハWが載置される場所をモジュールと記載する。なお、タワーT3、T4にも夫々モジュールが設けられているが、ここでは説明を省略する。
【0074】
この塗布、現像装置9及び露光装置D4からなるシステムのウエハWの搬送経路について説明する。ウエハWは、キャリアC1から移載機構93により、処理ブロックD2におけるタワーT1の受け渡しモジュールTRS0に搬送される。この受け渡しモジュールTRS0からウエハWは、単位ブロックE1、E2に振り分けられて搬送される。例えばウエハWを単位ブロックE1に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE1に対応する受け渡しモジュールTRS1(搬送アームF1によりウエハWの受け渡しが可能な受け渡しモジュール)に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。またウエハWを単位ブロックE2に受け渡す場合には、タワーT1の受け渡しモジュールTRSのうち、単位ブロックE2に対応する受け渡しモジュールTRS2に対して、前記TRS0からウエハWが受け渡される。これらのウエハWの受け渡しは、受け渡しアーム95により行われる。
【0075】
このように振り分けられたウエハWは、TRS1(TRS2)→反射防止膜形成用塗布モジュール→加熱モジュール→TRS1(TRS2)の順に搬送され、続いて受け渡しアーム95により単位ブロックE3に対応する受け渡しモジュールTRS3と、単位ブロックE4に対応する受け渡しモジュールTRS4とに振り分けられる。
【0076】
このようにTRS3、TRS4に振り分けられたウエハWは、TRS3(TRS4)→レジスト塗布モジュールCOT→加熱モジュール→保護膜形成用塗布モジュールITC→加熱モジュール→タワーT2の受け渡しモジュールTRSの順で搬送される。前記受け渡しモジュールTRSに搬送されたウエハWは、インターフェイスアーム96、98により、タワーT3を介して露光装置D4へ搬入される。露光後のウエハWは、インターフェイスアーム96、97によりタワーT2、T4間を搬送されて、単位ブロックE5、E6に対応するタワーT2の受け渡しモジュールTRS5、TRS6に夫々搬送される。然る後、加熱モジュール→現像モジュール→加熱モジュール→タワーT1の受け渡しモジュールTRSに搬送された後、移載機構93を介してキャリアC1に戻される。
【0077】
上記のようにウエハWの搬送及び処理が行われていないときに、ウエハWの代わりに上記の測定用冶具6を格納したキャリアC1が、キャリアブロックD1に搬入される。そして測定用冶具6は、例えば移載機構93→受け渡しモジュールTRS0→受け渡しアーム95→受け渡しモジュールTRS1→搬送アームA1→反射防止膜形成用塗布モジュールBCT→搬送アームA1→受け渡しモジュールTRS1→受け渡しアーム95→受け渡しモジュールTRS2→搬送アームA2→反射防止膜形成用塗布モジュールBCT→搬送アームA2→受け渡しモジュールTRS2の順で搬送される。
【0078】
その後、測定用冶具6は、受け渡しアーム95→受け渡しモジュールTRS3→搬送アームA3→レジスト塗布モジュールCOT→搬送アームA3→保護膜形成用塗布モジュールITC→搬送アームA3→受け渡しモジュールTRS3→受け渡しアーム95→受け渡しモジュールTRS4→搬送アームA4→レジスト塗布モジュールCOT→搬送アームA4→保護膜形成用塗布モジュールITC→搬送アームA4→受け渡しモジュールTRS4→受け渡しアーム95→受け渡しモジュールTRS0→移載機構93の順で搬送されて、キャリアC1に戻される。
【0079】
即ち、単位ブロックE1〜E4の反射防止膜形成用塗布モジュールBCT、レジスト塗布モジュールCOT及び保護膜形成用塗布モジュールITCに、測定用冶具6が搬送される。これら、搬送先のモジュールでは、レジスト塗布装置1で説明したように測定用冶具6を用いて、処理液供給部ごとに各処理液の吐出量の測定及び吐出量の調整が行われる。そして、測定及び吐出量の調整後、塗布、現像装置9における上記のウエハWの搬送及び処理が再開される。
【0080】
測定用冶具6はウエハWと同様の外形を有するように構成されるので、このように搬送アームF1〜F4により単位ブロックD1〜E4を搬送され、前記測定及び調整を行うことができる。それによって、各モジュールに作業員が測定用冶具6を搬送する手間が省ける。従って、効率よく前記測定及び調整を行うことができる。測定用冶具6は、例えばタワーT1〜T4に格納部を設け、当該格納部から各モジュールに搬送されるようにしてもよい。