(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
アルコールベースのエポキシ化合物(B)が、エポキシ基を1分子中に2つ以上、水酸基を1分子中に1つ以上有し、且つ重量平均分子量3000以下であるエポキシ化合物ある請求項1記載の1又は2記載のドライラミネーション用接着剤組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に用いるポリオレフィン樹脂としては、例えば、水酸基含有ポリオレフィン樹脂
、酸基含有ポリオレフィン樹脂
が挙げられる。
【0009】
前記水酸基含有ポリオレフィン樹脂としては、ポリオレフィン樹脂を後述する水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、あるいは、水酸基含有ビニルエーテルでグラフト変性あるいは共重合化して得られる。前記ポリオレフィン樹脂としては、炭素数2〜8のオレフィンの単独重合体や共重合体、炭素数2〜8のオレフィンと他のモノマーとの共重合体を挙げることができる。具体的には、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン樹脂などのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ4−メチルペンテン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(α−メチルスチレン)、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・ブテン−1共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン・へキセン共重合体などのα―オレフィン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などを挙げることができる。更に、これらポリオレフィンを塩素化した塩素化ポリオレフィンも使用することができる。
【0010】
前記水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸ヒドロキエチル;(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸グリセロール;ラクトン変性(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール等が挙げられ、前記水酸基含有ビニルエーテルとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル等が挙げられる。
【0011】
これらの水酸基を含有するポリオレフィン樹脂としては、例えば、三井化学(株)製、「ユニストール」などが市販されている。
【0012】
酸基含有ポリオレフィン樹脂とは、ポリオレフィン樹脂をアクリル酸等のカルボキシル基含有エチレン性不飽和化合物、(無水)マレイン酸等のα,β−不飽和カルボン酸(無水物)等をグラフト変性あるいは共重合化して得られる。またポリオレフィン樹脂としては、前述の水酸基含有ポリオレフィン樹脂の製造の際に用いられる樹脂と同様なものが使用できる。
【0014】
前記の
水酸基含有のポリオレフィン樹脂、及び酸基含有ポリオレフィン樹脂は、
それぞれ単独で用いても、複数種類を用いてもよい。
【0015】
前記の
水酸基含有のポリオレフィン樹脂、及び酸基含有ポリオレフィン樹脂(A)は、重量平均分子量5,000〜500,000を満たすこと、好ましくは重量平均分子量10,000〜400,000であることが、金属箔やプラスチックフィルムとの接着性、耐電解液性に優れる点でより好ましい。上記した分子量の水酸基を含有する樹脂は、有機溶剤に溶解する上、同溶液の流動性を大きくは損なうことなく、際立った金属箔やプラスチックフィルムとの接着性や耐電解液性を発現する。
【0016】
前記の
水酸基含有のポリオレフィン樹脂、及び酸基含有ポリオレフィン樹脂(A)は、プラスチックフィルムや金属箔の様な可とう性の基材上で密着性に優れる塗膜を形成させる為に、ガラス転移温度−40〜100℃を満たすこと、特に、ガラス転移温度−30〜90℃であることがより好ましい。上記したガラス転移温度の水酸基を含有する樹脂は、基材と接着性、耐電解液性をバランスよく満たすことができる。
【0017】
前記
水酸基含有のポリオレフィン樹脂、及び酸基含有ポリオレフィン樹脂としては、樹脂の酸価が1〜200mgKOH/gの酸基を含有する
酸基含有ポリオレフィン樹脂
および水酸基価が1〜200mgKOH/gの水酸基を含有する
水酸基含有ポリオレフィン樹脂であることが好ましい。
【0018】
本発明に用いるアルコールベースのエポキシ化合物(B)としては、アルコール性水酸基とエピハロヒドリンとの反応によって得られるものが挙げられる。これらの例としては、脂肪族多価アルコール、又は脂肪族多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物のポリグリシジルエーテルを用いることができる。脂肪族エポキシの例として、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルなどが挙げられる。更に
、ビスフェノールのアルキレンオキサイド付加物のグリシジルエーテル類等が挙げられる。
【0019】
前記の化合物の中でも、粘度が低い点から、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテルが好ましい。更に、エポキシ樹脂中の不純物塩素量を軽減したものが好ましい。脂肪族エポキシの市販品には、例えば、共栄社化学(株)製エポライト100MF(トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル)、ナガセケムテックス(株)製EX−321L(トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル)がある。
【0020】
前記ポリオレフィン樹脂とアルコールベースのエポキシ化合物(B)との配合比率は、ポリオレフィン樹脂(A)100重量部に対して、アルコールベースのエポキシ化合物(B)を0.01〜30重量部の割合で配合することが好ましい。
【0021】
前記イソシアネート化合物(c2)は、使用される用途によって適宜選択すれば良い。例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートのアダクト体、これらのポリイソシアネートのビュレット体、または、これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)などが挙げられる。
【0022】
前記水酸基を含有するポリオレフィン樹脂の場合、ポリイソシアネート化合物(C)との配合割合は、水酸基を含有する樹脂(A)の固形分水酸基当量(a)とポリイソシアネート化合物(c)の固形分イソシアネート当量(c)の当量比〔(a)/(c)〕が0.01〜5、好ましくは、0.1〜2.0であることが好ましい。
【0023】
本発明のラミネート積層体用接着剤組成物、特に上記した主剤には、粘度調整の観点から、そこに含める原料との反応性を有さず、原料を溶解する有機溶剤を含有させることが出来る。具体的には、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルシクロヘキサン等の前記炭化水素系溶剤の水添物、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族系炭化水素等が挙げられる。
【0024】
本発明のラミネート積層体用接着剤組成物には、必要であれば、その他の添加剤などを含有させてもよい。添加剤としては、フィルムやコーティング膜などを形成する樹脂組成物に一般に使用されている添加剤などが挙げられる。添加剤としては、例えば、レベリング剤;コロイド状シリカ、アルミナゾルなどの無機微粒子;ポリメチルメタクリレート系の有機微粒子;消泡剤;タレ性防止剤;シランカップリング剤;粘性調整剤;紫外線吸収剤;金属不活性化剤;過酸化物分解剤;難燃剤;補強剤;可塑剤;潤滑剤;防錆剤;蛍光性増白剤;無機系熱線吸収剤;防炎剤;帯電防止剤;脱水剤;湿潤分散剤などが挙げられる。
【0025】
本発明のラミネート積層体用接着剤組成物は、通常、硬化剤であるポリイソシアネート化合物以外の各成分をあらかじめ配合した主剤プレミックスを調製しておき、これとポリイソシアネート化合物とを混合して調製することが出来る。
【0026】
本発明のラミネート積層体用接着剤組成物は、種々の基材に塗布して乾燥することで、基材上に密着性のある硬化塗膜を積層することが出来る。基材への塗布量は、特に制限されるものではないが、例えば、1〜20g/m
2、中でも3〜10g/m
2の範囲から選択することが、少量で優れた耐候性等が付与できる点で好ましい。この塗布には、例えば、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、リバースコーター、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター等を用いることが出来る。
【0027】
また、本発明のラミネート積層体用接着剤組成物を塗布した積層体は、作成後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、室温〜100℃で、12〜240時間の間であり、この間に硬化反応が進行する。
【0028】
この際の基材としては、例えば、紙、オレフィン系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ塩化ビニル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、カーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂やポリエステル系樹脂から得られた合成樹脂フィルム、銅箔、アルミニウム箔の様な金属箔等を挙げることが出来る。基材の厚みは、特に制限されるものではなく、例えば、10〜400μmから選択出来るが、本発明のラミネート積層体用接着剤組成物は、少量の塗布かつ低温短時間の乾燥で、基材に反りやヘタリ等、何ら影響を与えることなく優れた密着性を奏し、優れた耐候性を付与出来ることから、20〜100μmで軟化温度180℃以下の基材への適用が最適である。
【0029】
本発明の積層体は、本発明のラミネート用接着剤組成物を、アルミニウム箔等の金属層とポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンシート、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルなどの1種または数種のプラスチック層とを張り合わせて得られるものである。
【0030】
そして、本発明のラミネート用接着剤組成物は、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族系炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素等の適当な溶剤または分散剤に任意の割合で溶解/分散させて、ロールコート法、グラビアコート法、バーコート法等の周知の塗布方法を用いて金属箔に塗布、乾燥することにより接着層を形成することができる。
【0031】
本発明のラミネート用接着剤組成物の乾燥塗布重量は0.5〜20.0g/m2の範囲内が好ましい。0.5g/m2 を下回ると連続均一塗布性に難点が生じ、一方、20.0g/m2を越えると塗布後における溶剤離脱性も低下し、作業性が著しく低下する上に残留溶剤の問題が生じる。
【0032】
前記金属箔の一方に本発明のラミネート用接着剤組成物を塗工後、プラスチック層を重ねてドライラミネーション(乾式積層法)により貼り合わせることで、本発明の積層体が得られる。ラミネートロールの温度は室温〜120℃程度、圧力は、1〜300kg/cm2程度が好ましい。
また、本発明の積層体は、作成後エージングを行うことが好ましい。エージング条件は、室温〜100℃で、12〜240時間の間であり、この間に接着強度が生じる。
【0033】
本発明の積層体は、一次または二次電池の電解液封止フィルムまたは電極部保護フィルムとして使用できるが、この場合プラスチック層側に極性有機溶媒および/または塩類等と接触させて使用する。特に極性有機溶媒および塩を含む非水電解質と接触させる状態で使用することにより、特に非水電解質電池、固体電池等の二次電池電解液封止フィルムまたは二次電池電極部保護フィルムとして好適に使用することができる。この場合、プラスチック層が対向するように折り重ねてヒートシールすることにより、電池用封止袋として使用することができる。本発明で用いている接着剤はヒートシール性に優れるため、非水電解質の漏洩を防止し、電池として長期使用が可能になる。
【0034】
前記極性有機溶媒としては、非プロトン性の極性溶媒、例えばアルキルカーボネート、エステル、ケトンなどがあげられる。具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラハイドロフラン、2−メチルテトラハイドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、メチルフォーメート、4−メチル−1,3−ジオキソメチルフォーメート、メチルアセテート、メチルプロピオネートなどが挙げられる。
【0035】
塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩があげられる。電池用としてはLiPF6、LiBF4、Li−イミド等のリチウム塩が一般的に使用される。
【0036】
非水電解質は環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、それらの混合物等の非プロトン性極性有機溶媒に前記アルカリ金属塩が0.5〜3mmol溶解したものである。
【0037】
本発明の積層体は前記極性溶媒および/または塩類、特にそれらの混合物である非水電解質と接触する状態で使用しても金属層、接着層、プラスチック層の層間剥離を生じることなく、長期にわたって使用することができる。
【0038】
本発明の電池は前記積層体からなる電池電解液封止フィルムまたは電池電極部保護フィルムを有する電池である。本発明の電池は、上記フィルムが層間剥離を生じず、しかも非水電解質の漏洩を防止することができるので、電池として長期間安定して使用することができる。
【0039】
以上の通り、本発明の積層体は、金属層とプラスチック層との接着力に優れるとともに極性有機溶媒または塩に対する耐久力に優れ、非水電解質等と接触しても層間剥離を生じることがない。このため、このような積層体を電池電解液封止フィルムまたは電池電極部保護フィルムとして用いた電池、および二次電池電解液封止フィルムまたは二次電池電極部保護フィルムとして用いた二次電池は、長期間安定して使用することができる。
【0040】
以下に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。尚、実施例中の「部」は、重量基準である。
【0041】
本発明に用いる水酸基を含有する樹脂(A)の数平均分子量は、ゲルパーミッションクロマトグラフ(GPC)を用い、下記の条件により求めた
測定装置;東ソー株式会社製 HLC−8220
検出器;RI(示差屈折計)
測定条件;カラム温度 40℃ 溶媒 テトラヒドロフラン
また、本発明に用いる水酸基を含有する樹脂(A)のガラス転移温度は、下記の条件により求めた。
【0042】
測定装置;セイコー電子工業株式会社製 DSC220C
測定方法;DSC(示差走査熱量分析)法
【0043】
本発明のラミネート接着剤の密着性等の評価は下記の方法で行った。得られた結果を表1、2に示す。
【0044】
基材:ポリオレフィンフィルム「ZK−93KM」70μm(東レフィルム加工株式会社製)およびアルミニウム箔
塗布:バーコーター
乾燥条件:80℃、60秒 エージング条件:40℃、3日
塗布量:5g/m2(ドライ)
接着強度:株式会社エー・アンド・ディー製テンシロン試験 15mm幅 180°剥離強度
耐電解質性:エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/1/1
25℃−14日間浸漬後の接着強度保持率
○:90%以上、△:90〜70%、×:70%以下
【0047】
前記表中で用いた各種原料は、下記のものを用いた。
ユニストール P−901(三井化学株式会社製)水酸基含有ポリオレフィン樹脂、固形分水酸基価50mgKOH/g 加熱残分20%
ユニストール P−902(三井化学株式会社製)酸基含有ポリオレフィン樹脂、固形分酸価55mgKOH/g 加熱残分22%
ユニストール P−801(三井化学株式会社製)水酸基含有ポリオレフィン樹脂、固形分水酸基価40mgKOH/g 加熱残分16%
キュアゾール 2E4MZ(四国化成工業株式会社製)イミダゾール 不揮発分100%
デナコール EX−321(ナガセケムテックス株式会社製)エポキシ樹脂、エポキシ当量140 不揮発分100%
エピクロン 860(DIC株式会社製)ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量240 不揮発分100%
ルプラネートM20S(BASF社製)ポリイソシアネート化合物、NCO%31.0 不揮発分100%
デスモジュールN3800(住化バイエルウレタン株式会社製)ポリイソシアネート化合物、NCO%10.9 不揮発分100%