特許第5954405号(P5954405)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954405
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   B06B1/04 S
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-503830(P2014-503830)
(86)(22)【出願日】2013年3月4日
(86)【国際出願番号】JP2013055807
(87)【国際公開番号】WO2013133199
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2015年8月18日
(31)【優先権主張番号】特願2012-48275(P2012-48275)
(32)【優先日】2012年3月5日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 敏
【審査官】 服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平9−75847(JP,A)
【文献】 特開平6−35476(JP,A)
【文献】 特開平2−127696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路を収容する本体部と、
前記本体部に設けられ、所定方向に振動し、振動の周波数が可変である振動部と、
前記本体部のうちそれぞれ異なる部分に設けられ、それぞれが異なる周波数の振動に対して共振する複数の共振子と、
前記振動部の振動を複数の前記共振子に伝達する伝達部と
を備える電子機器。
【請求項2】
前記振動部を介して前記本体部に接続され、前記振動部の振動によって前記本体部に対して相対的に振動する可動部
を更に備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記本体部は、平面視において角部を有する形状に形成され、
複数の前記共振子は、前記本体部のうち前記角部に設けられている
請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記本体部は、平面視において矩形に形成され、
複数の前記共振子は、前記本体部のうち4つの角部に1つずつ設けられている
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記振動部は、平面視において前記本体部の重心位置に配置されている
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記伝達部は、平面視において十字型に形成されており、
複数の前記共振子は、前記伝達部のうち4つの端部にそれぞれ接続されている
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記振動部は、平面視において前記伝達部の中央部に接続されており、
複数の前記共振子は、前記振動部からの距離が等しくなる位置に配置されている
請求項6に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
本願は、2012年3月5日に出願された特願2012−48275号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯情報端末などの電子機器として、例えば特許文献1が知られている。特許文献1に示すような電子機器においては、ユーザに振動を検知させる構成が用いられる場合がある。
このような振動を発生させる振動発生装置として、例えば振動モーターが知られている。振動モーターとしては、例えば円筒型の回転子の先端に錘をつけ、モーターの回転により振動を発生させている構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−86089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の振動モーターでは、幅広い振動状態を再現することが困難であった。
【0005】
本発明の態様は、幅広い振動状態を再現することが可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第一の態様に従えば、電子回路を収容する本体部と、前記本体部に設けられ、所定方向に振動し、振動の周波数が可変である振動部と、前記本体部のうちそれぞれ異なる部分に設けられ、それぞれが異なる周波数の振動に対して共振する複数の共振子と、前記振動部の振動を複数の前記共振子に伝達する伝達部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の態様によれば、幅広い振動状態を再現することが可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態に係る電子機器の構成を示す斜視図。
図2図1におけるA−A断面に沿った構成を示す図。
図3】本実施形態に係る電子機器の一部の構成を示す平面図。
図4】本実施形態に係る共振子の構成を示す斜視図。
図5】本実施形態に係る電子機器の動作の様子を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子機器100の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、電子機器100は、矩形の板状に形成された本体部101と、本体部101に振動部16を介して接続された可動部102とを有する。また、本体部101には、複数の共振子103と、伝達部104とが設けられている。
【0010】
図2は、図1におけるA−A断面に沿った構成を示す図である。
図2に示すように、本体部101は、表示パネル10、第一ベース部11、第二ベース部12、バッテリー13、第一基板14、ボトムカバー15及び振動部16を有している。本体部101は、これらの各構成要素が積層された状態で組み立てられている。
【0011】
以下、本実施形態において、電子機器100の構成を説明するに当たり、XYZ直交座標系を用いる。XYZ直交座標系において、本体部101の各構成要素の積層方向をZ方向とする。また、Z方向に直交する平面をXY平面とし、XY平面において直交する方向をそれぞれX方向及びY方向とする。
【0012】
表示パネル10は、Z方向視で矩形に形成されている。表示パネル10は、−Z側の面が表示面10aとなっている。表示面10aには、静止画や動画などの画像が表示される。表示パネル10としては、例えば液晶表示パネルや、有機ELパネルなどが用いられる。表示パネル10の表示面10a上に、不図示のタッチパネル機構を設ける構成としても構わない。
【0013】
第一ベース部11は、表示パネル10を保持する。第一ベース部11は、Z方向視で矩形の枠状に形成されている。第一ベース部11は、表示パネル10の側部及び表示面10aの周縁部を囲うように形成されている。第二ベース部12は、第一ベース部11の+Z側に配置されている。第二ベース部12の一部は、第一ベース部11に支持されている。
【0014】
バッテリー13は、外形が矩形の板状に形成されている。バッテリー13は、電子機器100の各部に電力を供給する。バッテリー13は、不図示の配線を介して電子機器100の各部に接続されている。バッテリー13の+Z側の面13aは、平坦に形成されている。
【0015】
第一基板14は、バッテリー13が配置されるスペースを空けるように配置されている。第一基板14は、第二ベース部12に支持されている。第一基板14には、制御回路14aが形成されている。電子機器100は、制御回路14aによって各部が電気的に制御される構成となっている。
【0016】
ボトムカバー15は、矩形板状に形成されている。ボトムカバー15は、バッテリー13及び第一基板14の+Z側に配置され、バッテリー13及び第一基板14を被うように配置されている。ボトムカバー15の中央部には、円形の開口部15aが形成されている。開口部15aには、バッテリー13の+Z側の面13aが一部露出している。
【0017】
振動部16は、固定子16a、移動子16b及び駆動源16cを有する。固定子16aは、円筒状に形成されており、移動子16b及び駆動源16cを収容する。固定子16aは、ボトムカバー15の開口部15a内に配置されている。
【0018】
移動子16bは、Z方向に移動可能に設けられている。駆動源16cは、移動子16bに接続されており、移動子16bをZ方向に移動させる。駆動源16cとしては、ボイスコイルモーターが用いられている。
駆動源16cの動作は、上記の第一基板14に設けられた制御回路14aによって行われる。振動部16は、駆動源16cが移動子16bをZ方向に往復移動させることにより、移動子16bがZ方向に振動する構成である。
なお、制御回路14aは、移動子16bの往復の周波数を随時調整することができる。移動子16bの往復の周波数を調整することにより、振動部16において発生する振動の周波数を所望の値に設定することができる。例えば、振動部16において、90Hz〜120Hzの間で振動の周波数を設定可能である。
【0019】
可動部102は、筐体26を有している。筐体26は、本体部101の+Z側の面の一部を覆うように形成されている。筐体26は、振動部16の移動子16bに接続されている。したがって、筐体26は、移動子16bと一体的にZ方向に移動可能に設けられている。
移動子16bがZ方向に振動することにより、移動子16bの振動が筐体26に伝達され、筐体26がZ方向に振動する。
【0020】
複数の共振子103は、ボトムカバー15の+Z側の面15b上に配置されている。複数の共振子103は、各々設定された所定の周波数の振動に対して共振するように構成されている。複数の共振子103は、Z方向においてボトムカバー15と伝達部104との間に挟まれている。伝達部104は、振動部16の振動を複数の共振子103に伝達する。
【0021】
図3は、電子機器100を+Z側から見たときの構成を示す平面図である。但し、図3において、複数の共振子103及び伝達部104を判別しやすくするため、筐体26の図示を省略している。
図3に示すように、各共振子103は、平面視において本体部101の4つの角部に1つずつ配置されている。振動部16は、平面視において本体部101の重心位置、すなわち本体部101の中心部に配置されている。
【0022】
伝達部104は、平面視において十字型に形成されている。複数の共振子103は、伝達部104のうち4つの端部104a〜104dにそれぞれ接続されている(共振子103a〜共振子103d)。共振子103a〜共振子103dは、それぞれ振動部16からの距離が等しくなるように配置されている。
【0023】
なお、共振子103a〜共振子103dは、それぞれ共振する周波数が異なるように設定されている。共振子103a〜共振子103dは、互いに異なる共振周波数を有する。
例えば、共振子103aの共振周波数は90Hzに設定されており、共振子103bの共振周波数は100Hzに設定されており、共振子103cの共振周波数は110Hzに設定されており、共振子103dの共振周波数は120Hzに設定されている。
【0024】
図4は、1個の共振子103の構成を示す斜視図である。
図4に示すように、共振子103(103a〜103d)は、容器31、第一バネ部材32、錘33及び第二バネ部材34を有している。共振子103a〜共振子103dのそれぞれにおいて、共振周波数が上記周波数となるように第一バネ部材32及び第二バネ部材34のバネ定数や錘33の質量が設定されている。
【0025】
この構成において、例えば移動子16bが図2に示す状態から+Z方向に移動する場合には、図5に示すように、筐体26は移動子16bの移動に伴って+Z方向へ移動する。
したがって、本体部101と可動部102との間が広がることになり、本体部101と可動部102との間で相対的な移動が行われたことになる。
【0026】
また、図5に示す状態から移動子16bが−Z方向に移動し、図2に示す状態に戻ると、筐体26は移動子16bの移動に伴って−Z方向へ移動する。この場合にも、本体部101と可動部102との間で相対的な移動が行われたことになる。このように、移動子16bの移動(振動)によって可動部102が本体部101に対して振動する。
【0027】
移動子16bが移動する場合、この移動により振動部16において発生する振動は、固定子16a及び伝達部104を介して、各共振子103a〜103dに伝達される。
ここで、振動部16の振動の周波数が90Hzである場合、共振周波数が90Hzである共振子103aが共振する。なお、このとき他の共振子103b〜103dは共振しない。このため、本体部101の4つの角部のうち共振子103aが配置された角部において局所的に振動が発生する。
【0028】
また、振動部16の振動の周波数が100Hzである場合、共振周波数が100Hzである共振子103bが共振する。なお、他の共振子103a、103c、103dは共振しない。このため、本体部101の4つの角部のうち共振子103bが配置された角部において局所的に振動が発生する。
【0029】
同様に、振動部16の振動の周波数が110Hzである場合、共振周波数が110Hzである共振子103cが共振する。なお、他の共振子103a、103b、103dは共振しない。このため、本体部101の4つの角部のうち共振子103cが配置された角部において局所的に振動が発生する。
【0030】
同様に、振動部16の振動の周波数が120Hzである場合、共振周波数が120Hzである共振子103dが共振する。なお、他の共振子103a〜103cは共振しない。このため、本体部101の4つの角部のうち共振子103dが配置された角部において局所的に振動が発生する。
【0031】
更には、振動部16の振動の周波数を、例えば90Hz、100Hz、110Hz、120Hzと周期的に変化させることにより、本体部101のうち局所的に振動が発生する部分を反時計回りに移動させることができる。周波数の大きさと順序を適宜組み合わせることで、局所的に振動を発生させる部分を所望の位置に移動させることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態によれば、制御回路14aを収容する本体部101と、本体部101に設けられ所定方向に振動し振動の周波数が可変である振動部16と、本体部101のうちそれぞれ異なる部分に設けられ、それぞれが異なる周波数の振動に対して共振する複数の共振子103と、振動部16の振動を複数の共振子103に伝達する伝達部104とを備える。
これにより、振動部16において発生させる振動を、各共振子103の共振周波数に対応させることで、各共振子103を個別に共振させることができ、本体部101において局所的に振動を発生させることができる。これにより、幅広い振動状態を再現することが可能となる。
【0033】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
例えば、上記実施形態においては、振動部16が平面視において伝達部104の中央部に接続された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば振動部16が伝達部104のうち中央部から外れた位置に接続されていても構わない。これにより、一層多様な振動状態を再現することができる。
【0034】
また、上記実施形態では、振動部16からの距離が等しくなる位置に複数の共振子103が配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば、共振子103ごとに振動部16からの距離が異なるように配置されていても構わない。また、一部の共振子103について振動部16からの距離が等しくなるように配置されていても構わない。
【0035】
また、上記実施形態においては、伝達部104が平面視で十字型に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば伝達部104が平面視において円形や三角形、四角形などの多角形、又は他の平面形状を有する構成であっても構わない。
【0036】
また、上記実施形態においては、本体部101が平面視で矩形に形成された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無い。例えば本体部101が平面視において円形に形成された構成や三角形、十字型など他の平面形状を有する構成であっても構わない。
【0037】
また、上記実施形態においては、複数の共振子103a〜103dが本体部101の4つの角部に1つずつ配置された構成を例に挙げて説明したが、これに限られることは無く、例えば4つの角部に複数個ずつ配置された構成であっても構わない。また、本体部101の角部に限られず、他の部位に共振子103が設けられていても構わない。
【0038】
また、電子機器100において、可動部102が設けられていない構成であっても、本発明の適用は可能である。
【符号の説明】
【0039】
16…振動部 16a…固定子 16b…移動子 16c…駆動源 26…筐体 31…容器 32…第一バネ部材 33…錘 34…第二バネ部材 100…電子機器 101…本体部 102…可動部 103…共振子 103a〜103d…共振子 104…伝達部 104a〜104d…端部。
図1
図2
図3
図4
図5