特許第5955584号(P5955584)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955584新規化合物及び着色アルカリ現像性感光性組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955584
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】新規化合物及び着色アルカリ現像性感光性組成物
(51)【国際特許分類】
   C09B 23/00 20060101AFI20160707BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20160707BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20160707BHJP
   G02B 5/22 20060101ALI20160707BHJP
   H01L 51/50 20060101ALN20160707BHJP
   H05B 33/12 20060101ALN20160707BHJP
【FI】
   C09B23/00 LCSP
   G03F7/004 505
   G02B5/20 101
   G02B5/22
   !H05B33/14 A
   !H05B33/12 E
【請求項の数】8
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2012-39225(P2012-39225)
(22)【出願日】2012年2月24日
(65)【公開番号】特開2013-173850(P2013-173850A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2014年12月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000387
【氏名又は名称】株式会社ADEKA
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100143856
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 廣己
(72)【発明者】
【氏名】木村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】久保田 裕介
(72)【発明者】
【氏名】前田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】高日 俊輔
【審査官】 緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−063017(JP,A)
【文献】 特開2006−259558(JP,A)
【文献】 特開2003−076002(JP,A)
【文献】 特表2009−537458(JP,A)
【文献】 特開2007−017886(JP,A)
【文献】 特開平04−076535(JP,A)
【文献】 特開平02−225476(JP,A)
【文献】 米国特許第04948843(US,A)
【文献】 米国特許第03073699(US,A)
【文献】 特開平11−246627(JP,A)
【文献】 特表2014−528098(JP,A)
【文献】 特開2013−029760(JP,A)
【文献】 特開2002−069109(JP,A)
【文献】 特開2009−086299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 23/00
G02B 5/20
G02B 5/22
G03F 7/004
H01L 51/50
H05B 33/12
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表されるシアニン化合物。
【化1】
(式中、環A及び環A’は、ベンゼン環又はナフタレン環を表し、
1及びR1’は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は下記一般式(II)で表される置換基を表し
1及びX1’は、酸素原子、硫黄原子、−CR5152又は炭素原子数3〜6のシクロアルカン−1,1−ジイル基を表し、
51及びR52は、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキル基又は下記一般式(II)で表される置換基を表し、
及びY’は、下記一般式(III)で表される置換基を表し、
1、Z2及びZ3、水素原子を表し
記R1及びR1’におけるアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく
は0〜を表し、
r及びr’は、0又は環及び環’において置換可能なR1又はR1’の数を表し、
Anq-はq価のアニオンを表し、qは1又は2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す
【化2】
(式中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、
2は、単結合、二価の炭素原子数1〜35の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、
上記X2における脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、−O−、−OCO−、−COO−、−NH−、芳香族炭化水素基又はこれらを組み合わせた結合基で中断されていてもよく、
aは、1〜6の数である。)
【化3】
(式中、R2及びaは、上記一般式(II)と同じであり、
2’は、二価の炭素原子数1〜35の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、
2’’は、単結合、二価の炭素原子数1〜35の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、
2’とX2’’の合計の炭素原子数が0〜34である。)
【請求項2】
上記一般式(I)中のAnq-で表されるq価のアニオンが、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオンであることを特徴とする請求項1に記載のシアニン化合物。
【請求項3】
上記一般式(I)で表されるシアニン化合物が、下記一般式(IV)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載のシアニン化合物。
【化4】
(式中、R1、R1’、X1、Y、Y’、Z1、Z2、Z3、s、Anq-、r、r’、
q及びpは、上記一般式(I)と同じである。)
【請求項4】
請求項1〜の何れか1項に記載のシアニン化合物を少なくとも一種含有する染料(A)、エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を含有する着色アルカリ現像性感光性組成物。
【請求項5】
上記エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性樹脂(B)が、下記一般式(V)で表されることを特徴とする請求項4に記載の着色アルカリ現像性感光性組成物。
【化5】
(式中、X11は水素原子又はメチル基を表し、Y11は、下記一般式(1)で表される二価の結合基であり、R11は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
上記R11におけるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されていてもよく、上記R11におけるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−、又はこれらの基を複数組み合わせた基で中断されていてもよく、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、0.1≦t≦0.65、0.3≦m≦0.8、0≦n≦0.2であり、t+m+n=1である。)
【化6】
(式中、X2は、−CR2021−、−NR20−、二価の炭素原子数1〜35の鎖状炭化水素基、二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基又は二価の炭素原子数6〜35の芳香族炭化水素基で表される基を表し、R20及びR21は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−SO2−、−SO−、−NR10−又は−PR10−を表し、R10は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
上記R20、R21及びR10におけるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されていてもよく、上記R20、R21及びR10におけるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−、又はこれらの基を複数組み合わせた基で中断されていてもよい。但し、上記一般式(1)で表される基の炭素原子数は1〜35の範囲内である。)
【請求項6】
更に無機色材又は有機色材の一種以上(D)を含有する請求項4又は5に記載の着色アルカリ現像性感光性組成物。
【請求項7】
請求項4〜6の何れか1項に記載の着色アルカリ現像性感光性組成物の硬化物。
【請求項8】
請求項7記載の硬化物を少なくとも一部に具備してなる表示デバイス用カラーフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望の色相に設計され、耐溶剤性を向上させた染料及び該染料に好適な新規の化合物に関する。更には、該染料を用いた、エネルギー線により重合可能な着色感光性組成物及び該着色感光性組成物を用いたカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の光に対して強度の大きい吸収を有する化合物は、CD−R、DVD−R、DVD+R、BD−R等の光学記録媒体の記録層や、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ等の画像表示装置の光学要素として用いられている。
【0003】
液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、蛍光表示管、電界放射型ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置用の光学フィルタにおいては、300〜1100nmの波長の光を吸収する各種化合物が、光吸収剤として用いられている。
これらの光吸収剤には、光吸収が特別に急峻であること、即ちλmaxの半値幅が小さいこと、また光や熱等により機能が失われないことが求められている。
【0004】
主として液晶表示装置(LCD)に用いられる光学フィルタには、カラーフィルタがある。カラーフィルタには、一般的にRGBの3原色が用いられてきたが、単独の色材では純粋なRGBの色相を持たせることは困難であり、複数の色材を用いて純粋なRGBの色相に近づける努力がなされてきた。そのため、RGBではなく、黄色、橙色、紫色等の色材も必要とされている。
カラーフィルタに用いられる光吸収剤には、耐熱性の高さにより有機及び/又は無機顔料が用いられてきたが、顔料であるため表示装置としての輝度を低下させてしまうという問題があり、光源の輝度を高めることでこの問題を解決してきた。しかし、低消費電力化の流れに伴い、染料を用いたカラーフィルタの開発が盛んになっている。
【0005】
さらに近年では、固体撮像素子に使用されるカラーフィルタにおいて、画質向上の観点から、着色パターンの薄膜化が要求されており、薄膜化するためには色濃度の点から染料濃度を高める必要がある。また、染料のモル吸収光係数が低い場合にも、多量の染料を添加する必要がある。
しかし、染料濃度を高めると、成膜後に形成画素からの色素の溶出や析出が見られることや、成膜後に加熱処理(ポストべーク)を施した場合に、隣接画素間や積層構造中の上下層間で混色が生じやすいことが問題となっている。
【0006】
特許文献1〜3には、重合性官能基を有する染料を用いた着色感光性樹脂組成物が開示されている。
しかし、これらの文献に記載の着色感光性樹脂組成物は、耐溶剤性の点で満足できるものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−026515号公報
【特許文献2】特開2003−076002号公報
【特許文献3】特開2011−063017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、耐溶剤性に優れる染料及び該染料に好適な新規の化合物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記染料を用いた着色アルカリ現像性感光性組成物を提供することにある。また、本発明の別の目的は、上記着色アルカリ現像性感光性組成物を用いた光学フィルタ、特に輝度を低下させず、液晶表示パネル等の画像表示装置に好適なカラーフィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造を有するシアニン化合物が、着色アルカリ現像性感光性組成物中において耐溶剤性に優れることを知見し、また、上記着色アルカリ現像性感光性組成物が、光学フィルタ(特にカラーフィルタ)の輝度を低下させず、液晶表示パネル等の画像表示装置用カラーフィルタに好適であることを知見し、本発明に到達した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、下記一般式(1)で表されるシアニン化合物を提供するものである。
【0011】
【化1】
(式中、環A及び環A’は、ベンゼン環又はナフタレン環を表し、
1及びR1’は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は下記一般式(II)で表される置換基を表し
1及びX1’は、酸素原子、硫黄原子、−CR5152又は炭素原子数3〜6のシクロアルカン−1,1−ジイル基を表し、
51及びR52は、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキル基又は下記一般式(II)で表される置換基を表し、
及びY’は、下記一般式(III)で表される置換基を表し、
1、Z2及びZ3、水素原子を表し
記R1及びR1’におけるアルキル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよく
は0〜を表し、
r及びr’は、0又は環及び環’において置換可能なR1又はR1’の数を表し、
Anq-はq価のアニオンを表し、qは1又は2を表し、pは電荷を中性に保つ係数を表す
【0012】
【化2】
(式中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、
2は、単結合、二価の炭素原子数1〜35の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、
上記X2における脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基は、−O−、−OCO−、−COO−、−NH−、芳香族炭化水素基又はこれらを組み合わせた結合基で中断されていてもよく、
aは、1〜6の数である。)
【化2A】
(式中、R2及びaは、上記一般式(II)と同じであり、
2’は、二価の炭素原子数1〜35の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、
2’’は、単結合、二価の炭素原子数1〜35の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基又は二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、
2’とX2’’の合計の炭素原子数が0〜34である。)
【0013】
また、本発明は、上記一般式(I)で表されるシアニン化合物を少なくとも一種含有する染料(A)、エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)を含有する着色アルカリ現像性感光性組成物を提供するものである。
【0014】
また、本発明は、上記着色アルカリ現像性感光性組成物の硬化物、該硬化物を用いてなる表示デバイス用カラーフィルタを提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、特定の構造を有するシアニン化合物を含有する着色アルカリ現像性感光性組成物は耐溶剤性に優れるものである。また、その硬化物は、表示デバイス用カラーフィルタに好適なものである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明について、好ましい実施形態に基づき説明する。
【0017】
先ず、本発明のシアニン化合物について説明する。本発明のシアニン化合物は、上記一般式(I)で表される新規の化合物であり、その構造中に、上記一般式(II)で表される置換基を有するものである。
【0018】
上記一般式(I)におけるR1、R1’、R51、R52、Z1、Z2及びZ3で表されるハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、
上記一般式(I)におけるR1、R1’、R51、R52、Z1、Z2、Z3、R及びR’で表される炭素原子数6〜30のアリール基としては、フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−iso−プロピルフェニル、4−iso−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、2,5−ジ−tert−ブチルフェニル、2,6−ジ−tert−ブチルフェニル、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニル、2,5−ジ−tert−アミルフェニル、2,5−ジ−tert−オクチルフェニル、2,4−ジクミルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、(1,1’−ビフェニル)−4−イル、2,4,5−トリメチルフェニル、フェロセニル等が挙げられ、
炭素原子数7〜30のアリールアルキル基としては、ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル、フェロセニルメチル、フェロセニルプロピル等が挙げられ、
炭素原子数1〜8のアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル、1−オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル等が挙げられる。
上記R1、R1’、R51、R52、Z1、Z2、Z3、R及びR’におけるアリール基、アリールアルキル基及びアルキル基は、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−SO3H、カルボキシル基、アミノ基、アミド基又はメタロセニル基で置換されていてもよく、上記R1、R1’、R51、R52、Z1、Z2、Z3、R及びR’におけるアリールアルキル基及びアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−N=CH−、二重結合又はこれらを組み合わせた結合基で中断されてもよく、これらの置換及び中断の数及び位置は任意である。
例えば、上記炭素原子数1〜8のアルキル基がハロゲン原子で置換された基としては、例えば、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ノナフルオロブチル等が挙げられ、
上記炭素原子数1〜8のアルキル基が、−O−で中断された基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、iso−プロピルオキシ、プロピルオキシ、ブチルオキシ、ペンチルオキシ、iso−ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ等のアルコキシ基や、2−メトキシエチル、2−(2−メトキシ)エトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、4−メトキシブチル、3−メトキシブチル等のアルコキシアルキル基等が挙げられ、
上記炭素原子数1〜8のアルキル基がハロゲン原子で置換され、且つ−O−で中断された基としては、例えば、クロロメチルオキシ、ジクロロメチルオキシ、トリクロロメチルオキシ、フルオロメチルオキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、ノナフルオロブチルオキシ等が挙げられる。
【0019】
上記一般式(I)において、R1及びR1’で表されるメタロセニル基としては、フェロセニル、ニッケロセニル、ジルコノセニル、チタノセニル、ハフノセニル等が挙げられる。
【0020】
上記一般式(I)において、R1同士、R1’同士、Z1及びZ3、並びに隣接するZ2同士が互いに形成し得る環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロへプタン環、ピペリジン環、ピペラジン環、ピロリジン環、モルフォリン環、チオモルフォリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、イミダゾール環、オキサゾール環、イミダゾリジン環、ピラゾリジン環、イソオキサゾリジン環、イソチアゾリジン環等が挙げられ、これらの環は他の環と縮合されていたり、置換されていたりしてもよい。
【0021】
上記一般式(I)において、X1及びX1’で表される炭素原子数3〜6のシクロアルカン−1,1−ジイル基としては、シクロプロパン−1,1−ジイル、シクロブタン−1,1−ジイル、2,4−ジメチルシクロブタン−1,1−ジイル、3,3−ジメチルシクロブタン−1,1−ジイル、シクロペンタン−1,1−ジイル、シクロヘキサン−1,1−ジイル等が挙げられる。
【0022】
上記一般式(I)において、Y、Y’及びY12で表される水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−SO3H基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基又はメタロセニル基で置換されてもよい炭素原子数6〜30のアリール基、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基及び炭素原子数1〜8のアルキル基としては、上記R1等の説明で例示したアリール基、アリールアルキル基、アルキル基及びこれらの基中の水素原子が、水酸基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、−SO3H基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基又はメタロセニル基で置換されているものが挙げられ、これらの置換基の位置及び数は制限されない。
また、これらのY、Y’、Y12中のアリールアルキル基及びアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−SO2−、−NH−、−N=CH−、−CH=N−、二重結合、又はこれらを組み合わせた結合基で中断されていてもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−プロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、iso−ブチル、アミル、iso−アミル、tert−アミル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、iso−ヘプチル、tert−ヘプチル、1−オクチル、iso−オクチル、tert−オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、iso−ノニル、デシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等のアルキル基;フェニル、ナフチル、2−メチルフェニル、3−メチルフェニル、4−メチルフェニル、4−ビニルフェニル、3−iso−プロピルフェニル、4−iso−プロピルフェニル、4−ブチルフェニル、4−iso−ブチルフェニル、4−tert−ブチルフェニル、4−ヘキシルフェニル、4−シクロヘキシルフェニル、4−オクチルフェニル、4−(2−エチルヘキシル)フェニル、4−ステアリルフェニル、2,3−ジメチルフェニル、2,4−ジメチルフェニル、2,5−ジメチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、3,4−ジメチルフェニル、3,5−ジメチルフェニル、2,4−ジ−tert−ブチルフェニル、シクロヘキシルフェニル等のアリール基;ベンジル、フェネチル、2−フェニルプロパン−2−イル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基等が、エーテル結合、チオエーテル結合等で中断されたもの、例えば、2−メトキシエチル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、2−ブトキシエチル、メトキシエトキシエチル、メトキシエトキシエトキシエチル、3−メトキシブチル、2−フェノキシエチル、3−フェノキシプロピル、2−メチルチオエチル、2−フェニルチオエチル等が挙げられる。
【0023】
上記一般式(I)におけるAnq-で表される陰イオンとしては、例えば、一価のものとして、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、フッ化物イオン等のハロゲン化物イオン;過塩素酸イオン、塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン等の無機系陰イオン;メタンスルホン酸イオン、ドデシルスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、トルエンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、ナフタレンスルホン酸イオン、ジフェニルアミン−4−スルホン酸イオン、2−アミノ−4−メチル−5−クロロベンゼンスルホン酸イオン、2−アミノ−5−ニトロベンゼンスルホン酸イオン、特開平10−235999、特開平10−337959、特開平11−102088、特開2000−108510、特開2000−168223、特開2001−209969、特開2001−322354、特開2006−248180、特開2006−297907、特開平8−253705号公報、特表2004−503379号公報、特開2005−336150号公報、国際公開2006/28006号公報等に記載されたスルホン酸イオン等の有機スルホン酸系陰イオン;オクチルリン酸イオン、ドデシルリン酸イオン、オクタデシルリン酸イオン、フェニルリン酸イオン、ノニルフェニルリン酸イオン、2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ホスホン酸イオン等の有機リン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、ビスパーフルオロブタンスルホニルイミドイオン、パーフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリス(フルオロアルキルスルホニル)カルボアニオン等が挙げられ、二価のものとしては、例えば、ベンゼンジスルホン酸イオン、ナフタレンジスルホン酸イオン等が挙げられる。また、励起状態にある活性分子を脱励起させる(クエンチングさせる)機能を有するクエンチャー陰イオンやシクロペンタジエニル環にカルボキシル基やホスホン酸基、スルホン酸基等の陰イオン性基を有するフェロセン、ルテオセン等のメタロセン化合物陰イオン等も、必要に応じて用いることができる。また、pは、分子全体で電荷が中性となるように選択される。
【0024】
上記のクエンチャー陰イオンとしては、例えば、特開昭60−234892号公報、特開平5−43814号公報、特開平5−305770号公報、特開平6−239028号公報、特開平9−309886号公報、特開平9−323478号公報、特開平10−45767号公報、特開平11−208118号公報、特開2000−168237号公報、特開2002−201373号公報、特開2002−206061号公報、特開2005−297407号公報、特公平7−96334号公報、国際公開98/29257号公報等に記載されたような陰イオンが挙げられる。
【0025】
上記一般式(I)におけるAnq-で表される陰イオンの中でも、入手の容易さ及び溶解性の点から、無機系陰イオン、有機スルホン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオンが好ましく、有機スルホン酸系陰イオン、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドイオンがより好ましい。
【0026】
上記一般式(I)で表されるシアニン化合物において、R1、R1'、R51、R52、Y、Y’、Y12及びZのうち少なくとも一つは、上記一般式(II)で表される置換基である。
【0027】
上記一般式(II)におけるR2で表されるハロゲン原子としては、上記一般式(I)で例示したハロゲン原子が挙げられる。
2で表される2価の置換基を有していてもよい炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ペンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基等が、−(OCOC(R2)=CH2aで置換されている基挙げられ、
2価の置換基を有していてもよい炭素原子数6〜35の芳香族炭化水素基としては、例えば、ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基等が−(OCOC(R2)=CH2aで置換されている基挙げられ、
2価の置換基を有していてもよい炭素原子数2〜35の複素環基としては、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等が−(OCOC(R2)=CH2aで置換されている基挙げられ、
上記脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基及び複素環基は、−O−、−S−、二重結合、−SO2−、−CO−、−OCO−、−COO−、−NHCO−、−CONH−、芳香族炭化水素基、複素環基又はこれらを組み合わせた基で中断されていてもよい。
【0028】
2で表される炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基、複素環基が有していてもよい置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、ブチル、第二ブチル、第三ブチル、イソブチル、アミル、イソアミル、第三アミル、シクロペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、1−メチルシクロヘキシル、ヘプチル、2−ヘプチル、3−ヘプチル、イソヘプチル、第三ヘプチル、n−オクチル、イソオクチル、第三オクチル、2−エチルヘキシル、ノニル、イソノニル、デシル等のアルキル基;メチルオキシ、エチルオキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、第二ブチルオキシ、第三ブチルオキシ、イソブチルオキシ、アミルオキシ、イソアミルオキシ、第三アミルオキシ、ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、イソヘプチルオキシ、第三ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、イソオクチルオキシ、第三オクチルオキシ、2−エチルヘキシルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ等のアルコキシ基;メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、第二ブチルチオ、第三ブチルチオ、イソブチルチオ、アミルチオ、イソアミルチオ、第三アミルチオ、ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、ヘプチルチオ、イソヘプチルチオ、第三ヘプチルチオ、n−オクチルチオ、イソオクチルチオ、第三オクチルチオ、2−エチルヘキシルチオ等のアルキルチオ基;ビニル、1−メチルエテニル、2−メチルエテニル、2−プロペニル、1−メチル−3−プロペニル、3−ブテニル、1−メチル−3−ブテニル、イソブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、シクロヘキセニル、ビシクロヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、デセニル、ぺンタデセニル、エイコセニル、トリコセニル等のアルケニル基;ベンジル、フェネチル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、スチリル、シンナミル等のアリールアルキル基;フェニル、ナフチル等のアリール基;フェノキシ、ナフチルオキシ等のアリールオキシ基;フェニルチオ、ナフチルチオ等のアリールチオ基;ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピペリジル、ピラニル、ピラゾリル、トリアジル、ピロリル、キノリル、イソキノリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、トリアゾリル、フリル、フラニル、ベンゾフラニル、チエニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、チアジアゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、2−ピロリジノン−1−イル、2−ピペリドン−1−イル、2,4−ジオキシイミダゾリジン−3−イル、2,4−ジオキシオキサゾリジン−3−イル等の複素環基;フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子;アセチル、2−クロロアセチル、プロピオニル、オクタノイル、アクリロイル、メタクリロイル、フェニルカルボニル(ベンゾイル)、フタロイル、4−トリフルオロメチルベンゾイル、ピバロイル、サリチロイル、オキザロイル、ステアロイル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル、カルバモイル等のアシル基;アセチルオキシ、ベンゾイルオキシ等のアシルオキシ基;アミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ブチルアミノ、シクロペンチルアミノ、2−エチルヘキシルアミノ、ドデシルアミノ、アニリノ、クロロフェニルアミノ、トルイジノ、アニシジノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ,ナフチルアミノ、2−ピリジルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、ホルミルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチル−メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ等の置換アミノ基;スルホンアミド基、スルホニル基、カルボキシル基、シアノ基、スルホ基、水酸基、ニトロ基、メルカプト基、イミド基、カルバモイル基、スルホンアミド基等が挙げられ、これらの基は更に置換されていてもよい。また、カルボキシル基及びスルホ基は塩を形成していてもよい。これらの置換基中の鎖状炭化水素は、−COO−、−O−、−OCO−、−NHCO−、−NH−、−CONH−で任意に中断されていてもよい。
【0029】
本発明に係る上記一般式(I)で表されるシアニン化合物の具体例としては、下記化合物No.1〜No.41が挙げられる。尚、以下の例示では、アニオンを省いたシアニンカチオンで示している。
【0030】
【化3】
【0031】
【化4】
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
上記一般式(I)で表されるシアニン化合物の中では、原料の入手の容易さ及び吸収波長特性の点から、sが0から2であるものが好ましい。
また、上記一般式(I)で表されるシアニン化合物の中では、以下のものも好ましい。
1及びR1’は、水素原子及び炭素原子数1〜8のアルキル基が好ましい。
1、Z2及びZ3は、水素原子が好ましい。
1は、−CR5152−であって、R51及びR52が、炭素原子数7〜30のアリールアルキル基、炭素原子数1〜8のアルキル基又は上記一般式(II)で表される基が好ましく、炭素原子数1〜8のアルキル基であるのが更に好ましい。
Y及びY’は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は上記一般式(II)で表される基が好ましく、下記一般式(III)で表される基がさらに好ましい。
【0038】
【化10】
(式中、R2及びaは、上記一般式(II)と同じであり、X2’及びX2’’は、それぞれ独立に、単結合、二価の炭素原子数1〜35の置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の置換基を有していてもよい複素環基を表し、
2’とX2’’の合計の炭素原子数が0〜34である。)
【0039】
上記一般式(III)におけるX2’及びX2’’で表される2価の置換基を有していてもよい炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の置換基を有していてもよい複素環基としては、上記一般式(II)におけるX2として例示した基等が挙げられる。
【0040】
また、下記一般式(IV)で表されるシアニン化合物は、原料の入手の容易さ及び吸収波長特性の点から特に好ましい。
【0041】
【化11】
(式中、R1、R1’、X1、Y、Y’、Z1、Z2、Z3、s、Anq-、r、r’、
q及びpは、上記一般式(I)と同じである。)
【0042】
上記一般式(IV)で表されるシアニン化合物の中では、以下のものが好ましい。
1及びR1’は、水素原子又は互いに結合してベンゼン環を形成するのが好ましく、
1、Z2及びZ3は、水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
1は、−O−,−S−、−CH2−、−C(CH32−が好ましく、−C(CH32−がさらに好ましい。
Y及びY’は、炭素原子数1〜8のアルキル基又は上記一般式(II)で表される基が好ましく、上記一般式(III)で表される基がさらに好ましい。
【0043】
上記一般式(III)におけるX2’及びX2’’としては、単結合又は二価の炭素原子数1〜35の脂肪族炭化水素基が好ましく、特に炭素原子数1〜10のアルキレン基が好ましい。
aとしては、1又は2が好ましい。
【0044】
上記一般式(I)で表されるシアニン化合物は、その製造方法は特に限定されず、周知一般の反応を利用した方法で得ることができ、例えば、特開2008−274230に記載されているルートの如く、該当する構造を有する化合物と、ブリッジ剤との反応により合成する方法あるいは特開2010−209191に記載されているルートの如く、該当する構造を有する化合物と、イミン誘導体との反応により合成する方法が挙げられる。
【0045】
上記一般式(I)で表されるシアニン化合物は、以下に説明する着色アルカリ現像性感光性組成物として用いられる他、ディスプレイや光学レンズに用いられる光学フィルタ、銀塩写真用感光材料、染物、塗料、光学記録色素等に用いられる。
【0046】
次に、本発明の着色アルカリ現像性感光性組成物(以下単に着色組成物ともいう)について説明する。
【0047】
本発明の着色組成物は、本発明のシアニン化合物を少なくとも一種含有する染料(A)(以下、染料(A)ともいう)、エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性樹脂(B)(以下、アルカリ現像性樹脂(B)ともいう)、及び光重合開始剤(C)、必要に応じて更に無機顔料又は有機顔料の一種以上(D)を含有する。
【0048】
本発明で用いられる染料(A)は、本発明のシアニン化合物を少なくとも一種含有していればよく、単独又は複数種を組み合わせて用いることができる。また、染料(A)には、本発明のシアニン化合物以外に公知の染料を用いることも可能である。公知の染料としては例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられ、これらは複数を混合して用いてもよい。
【0049】
本発明で用いられる染料(A)において、本発明のシアニン化合物の含有量は、好ましくは50〜100質量%、より好ましくは70〜100質量%である。シアニン化合物の含有量が50質量%より小さいと、溶媒への溶解性が低下したり、耐熱性が低下したりする場合がある。
【0050】
本発明の着色組成物において、上記染料(A)の含有量は、本発明の着色組成物中、好ましくは0.01〜50質量%、より好ましくは0.1〜30質量%である。染料(A)の含有量が0.01質量%より小さいと、本発明の硬化物において所望する濃度の色が得られない場合があり、50質量%より大きいと、着色組成物中で染料(A)の析出が起こる場合がある。
【0051】
<エチレン性不飽和結合を有するアルカリ現像性樹脂(B)>
本発明で用いられるアルカリ現像性樹脂(B)としては、エチレン性不飽和結合を有する限り、特に限定されず、従来、感光性組成物に用いられているものを用いることができるが、下記一般式(V)で表されるものが、現像性や耐熱性が高いので好ましい。
【0052】
【化12】
(式中、X11は水素原子又はメチル基を表し、Y11は、二価の結合基であり、R11は、炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
上記R11におけるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されていてもよく、上記R11におけるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−、又はこれらの基を複数組み合わせた基で中断されていてもよく、R12、R13及びR14は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基であり、0.1≦t≦0.65、0.3≦m≦0.8、0≦n≦0.2であり、t+m+n=1である。)
【0053】
上記一般式(V)におけるY11で表される二価の結合基としては、下記式(1)で表される構造が挙げられる。
【0054】
【化13】
(式中、X2は、−CR2021−、−NR20−、二価の炭素原子数1〜35の鎖状炭化水素基、二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素基、二価の炭素原子数6〜35の芳香族炭化水素基、二価の炭素原子数2〜35の複素環基、これらの基を複数組み合わせた基又は下記〔化14〕〜〔化16〕で表される基を表し、R20及びR21は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、Z1及びZ2は、それぞれ独立に、直接結合、−O−、−S−、−SO2−、−SO−、−NR10−又は−PR10−を表し、R10は、水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基を表し、
上記R20、R21及びR10におけるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されていてもよく、上記R20、R21及びR10におけるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−、又はこれらの基を複数組み合わせた基で中断されていてもよい。但し、上記一般式(1)で表される基の炭素原子数は1〜35の範囲内である。)
【0055】
【化14】
(式中、Z11は、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基により置換されてもよいフェニル基、炭素原子数1〜10のアルキル基若しくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基により置換されてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基、又は、水素原子を表し、Y1は炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のアルコキシ基、炭素原子数2〜10のアルケニル基又はハロゲン原子を表し、上記Y1におけるアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、dは0〜5の整数である。)
【0056】
【化15】
【0057】
【化16】
(式中、Y2及びZ12は、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数8〜20のアリールアルケニル基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数2〜20の複素環基、これらの基を複数組み合わせた基、又はハロゲン原子を表し、上記Y2及びZ12におけるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は不飽和結合、−O−又は−S−で中断されていてもよく、Z12は、隣接するZ12同士で環を形成していてもよく、eは0〜4の数を表し、fは0〜8の数を表し、gは0〜4の数を表し、hは0〜4の数を表し、gとhの数の合計は2〜4である。)
【0058】
上記一般式(II)におけるR11で表される炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、上記シアニン化合物の説明で例示したアリール基又はアリールアルキル基が挙げられる。
炭素原子数1〜20のアルキル基としては、上記シアニン化合物の説明で例示したアルキル基の他、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、イソトリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル等が挙げられる。
【0059】
上記一般式(1)において、X2で表される二価の炭素原子数1〜35の鎖状炭化水素基としては、メタン、エタン、プロパン、iso−プロパン、ブタン、sec−ブタン、tert−ブブタン、iso−ブタン、ヘキサン、2−メチルヘキサン、3−メチルヘキサン、ヘプタン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、iso−ヘプタン、tert−ヘプタン、1−メチルオクタン、iso−オクタン、tert−オクタン等が、Z1及びZ2で置換された基が挙げられ、
二価の炭素原子数3〜35の脂環式炭化水素としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、2,4−ジメチルシクロブタン、4−メチルシクロヘキサン等が、Z1及びZ2で置換された基等が挙げられ、
二価の炭素原子数6〜35の芳香族炭化水素としては、フェニレン、ナフチレン、ビフェニル等の基が、Z1及びZ2で置換された基等が挙げられ、
二価の炭素原子数3〜35の複素環としては、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ヘキサヒドロトリアジン、フラン、テトラヒドロフラン、クロマン、キサンテン、チオフェン、チオラン等が、Z1及びZ2で置換された基が挙げられ、これらの基は複数組み合わせられてもよい。
【0060】
上記一般式(1)におけるR20、R21及びR10で表される炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基又は炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、上記シアニン化合物の説明で例示したアルキル基、アリール基、アリールアルキル基が挙げられ、
上記R20、R21及びR10におけるアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基は、ハロゲン原子、水酸基又はニトロ基で置換されていてもよく、上記R20、R21及びR10におけるアルキル基及びアリールアルキル基中のメチレン基は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−NH−、又はこれらの基を複数組み合わせた基で中断されていてもよく、これらの置換位置及び中断位置は特に制限されない。
【0061】
上記〔化14〕で表される基におけるZ11で表される炭素原子数1〜10のアルキル基若しくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基により置換されてもよい炭素原子数3〜10のシクロアルキル基としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロへプチル、シクロオクチル等及びこれらの基が炭素原子数1〜10のアルキル基若しくは炭素原子数1〜10のアルコキシ基で置換された基等が挙げられ、
1で表される炭素原子数1〜10のアルキル基及びハロゲン原子としては、上記シアニン化合物の説明で例示したアルキル基及びハロゲン原子等が挙げられ、
炭素原子数1〜10のアルコキシ基としては、メチルオキシ、エチルオキシ、プロポキシ、iso−プロポキシ、ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、iso−ブチルオキシ、アミルオキシ、iso−アミルオキシ、tert−アミルオキシ、ヘキシルオキシ、2−ヘキシルオキシ、3−ヘキシルオキシ、シクロヘキシルオキシ、1−メチルシクロヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、2−ヘプチルオキシ、3−ヘプチルオキシ、iso−ヘプチルオキシ、tert−ヘプチルオキシ、1−オクチルオキシ、iso−オクチルオキシ、tert−オクチルオキシ等が挙げられ、
炭素原子数2〜10のアルケニル基としては、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、2−オクテニル等が挙げられ、
上記Y1におけるアルキル基、アルコキシ基及びアルケニル基はハロゲン原子で置換されていてもよく、その置換位置は制限されない。
【0062】
上記〔化16〕で表される基におけるハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6〜20のアリール基、ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数7〜20のアリールアルキル基としては、上記シアニン化合物の説明で例示したアルキル基、アリール基及びアリールアルキル基及びこれらの基がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、
ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基としては、フェニルオキシ、ナフチルオキシ、2−メチルフェニルオキシ、3−メチルフェニルオキシ、4−メチルフェニルオキシ、4−ビニルフェニルオキシ、3−iso−プロピルフェニルオキシ、4−iso−プロピルフェニルオキシ、4−ブチルフェニルオキシ、4−iso−ブチルフェニルオキシ、4−tert−ブチルフェニルオキシ、4−ヘキシルフェニルオキシ、4−シクロヘキシルフェニルオキシ、4−オクチルフェニルオキシ、4−(2−エチルヘキシル)フェニルオキシ、2,3−ジメチルフェニルオキシ、2,4−ジメチルフェニルオキシ、2,5−ジメチルフェニルオキシ、2,6−ジメチルフェニルオキシ、3,4−ジメチルフェニルオキシ、3,5−ジメチルフェニルオキシ、2,4−ジ−tert−ブチルフェニルオキシ、2,5−ジ−tert−ブチルフェニルオキシ、2,6−ジ−tert−ブチルフェニルオキシ、2,4−ジ−tert−ペンチルフェニルオキシ、2,5−ジ−tert−アミルフェニルオキシ、4−シクロヘキシルフェニルオキシ、2,4,5−トリメチルフェニルオキシ、フェロセニルオキシ等の基及びこれらの基がハロゲン原子で置換された基が挙げられ、
ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数6〜20のアリールチオ基としては、上記ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の酸素原子を硫黄原子に置換した基等が挙げられ、
ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数8〜20のアリールアルケニル基としては、上記ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数6〜20のアリールオキシ基の酸素原子をビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル、2−ペンテニル、2−オクテニル等のアルケニル基で置換した基等が挙げられ、
ハロゲン原子で置換されてもよい炭素原子数2〜20の複素環基としては、ピリジン、ピラジン、ピペリジン、ピペラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ヘキサヒドロトリアジン、フラン、テトラヒドロフラン、クロマン、キサンテン、チオフェン、チオラン等の基及びこれらの基がハロゲン原子で置換された基等が挙げられる。
【0063】
上記アルカリ現像性樹脂(B)は、酸価が好ましくは10〜200mg/KOH、さらに好ましくは30〜150mg/KOHである。酸価が10mg/KOH未満であると、アルカリ現像性が十分に得られない場合があり、200mg/KOHより大きいと、樹脂の製造が困難である恐れがある。
【0064】
本発明の着色組成物において、上記アルカリ現像性樹脂(B)の含有量は、本発明の着色組成物中、30〜99質量%、特に60〜95質量%が好ましい。上記アルカリ現像性樹脂(B)の含有量が30質量%より小さいと、硬化物の力学的強度が不足しクラックが入ったり、現像不良が起こったりする場合があり、99質量%より大きいと、露光による硬化が不十分になりタックが発生したり、現像時間が長くなり硬化部分もアルカリで膜やられを起こしたりする場合がある。
【0065】
<光重合開始剤(C)>
上記光重合開始剤(C)としては、従来既知の化合物を用いることが可能であり、例えば、ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、1−ベンジル−1−ジメチルアミノ−1−(4'−モルホリノベンゾイル)プロパン、2−モルホリル−2−(4'−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、チオキサントン、1−クロル−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾインブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ナフチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,2−ビス(2−クロロフェニル)−4,5,4’,5’−テトラフェニル−1−2’−ビイミダゾール、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、過酸化ベンゾイル等が挙げられ、市販品としては、N−1414、N−1717、N−1919、PZ−408、NCI−831、NCI−930((株)ADEKA社製)、IRGACURE369、IRGACURE907、IRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02(BASF(株)社製)等が挙げられる。
【0066】
上記光重合開始剤(C)の中でも、感度及び色調の点から、2−モルホリルー2− (4’−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパン、9−n−ブチルー3,6−ビス(2’−モルホリノイソプチロイル)カルバゾールが好ましく、2−モルホリルー2− (4’−メチルメルカプト)ベンゾイルプロパンがさらに好ましい。
【0067】
本発明の着色組成物において、上記光重合開始剤(C)の含有量は、本発明の着色組成物中、0.1〜30質量%、特に0.5〜10質量%が好ましい。上記光重合開始剤(C)の含有量が0.1質量%より小さいと、露光による硬化が不十分になる場合があり、30質量%より大きいと、樹脂組成物中に開始剤(C)が析出する場合がある。
【0068】
<無機色材又は有機色材(D)>
本発明の着色組成物には、更に無機色材又は有機色材(D)を含有させてもよい。これらの色材は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0069】
上記無機色材又は有機色材(D)としては、例えば、ニトロソ化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、キサンテン化合物、キノリン化合物、アントラキノン化合物、クマリン化合物、フタロシアニン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、キナクリドン化合物、アンタンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、ジケトピロロピロール化合物、チオインジゴ化合物、ジオキサジン化合物、トリフェニルメタン化合物、キノフタロン化合物、ナフタレンテトラカルボン酸;アゾ染料、シアニン染料の金属錯体化合物;レーキ顔料;ファーネス法、チャンネル法、サーマル法によって得られるカーボンブラック、或いはアセチレンブラック、ケッチェンブラック又はランプブラック等のカーボンブラック;上記カーボンブラックをエポキシ樹脂で調整、被覆したもの、上記カーボンブラックを予め溶媒中で樹脂で分散処理し、20〜200mg/gの樹脂を吸着させたもの、上記カーボンブラックを酸性又はアルカリ性表面処理したもの、平均粒径が8nm以上でDBP吸油量が90ml/100g以下のもの、950℃における揮発分中のCO、CO2から算出した全酸素量が、カーボンブラックの表面積100m2当たり9mg以上であるもの;黒鉛、黒鉛化カーボンブラック、活性炭、炭素繊維、カーボンナノチューブ、カーボンマイクロコイル、カーボンナノホーン、カーボンエアロゲル、フラーレン;アニリンブラック、ピグメントブラック7、チタンブラック;疎水性樹脂、酸化クロム緑、ミロリブルー、コバルト緑、コバルト青、マンガン系、フェロシアン化物、リン酸塩群青、紺青、ウルトラマリン、セルリアンブルー、ピリジアン、エメラルドグリーン、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、合成鉄黒、アンバー等の無機顔料又は有機顔料を用いることができる。
【0070】
上記無機色材又は有機色材(D)としては、市販の顔料を用いることもでき、例えば、ピグメントレッド1、2、3、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48、49、88、90、97、112、119、122、123、144、149、166、168、169、170、171、177、179、180、184、185、192、200、202、209、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、254;ピグメントオレンジ13、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、65、71;ピグメントイエロー1、3、12、13、14、16、17、20、24、55、60、73、81、83、86、93、95、97、98、100、109、110、113、114、117、120、125、126、127、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、166、168、175、180、185;ピグメントグリ−ン7、10、36;ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:5、15:6、22、24、56、60、61、62、64;ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、50等が挙げられる。
【0071】
上記無機色材又は有機色材(D)としては、公知の染料を用いることも可能である。公知の染料としては例えば、アゾ染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料、トリアリールメタン染料、キサンテン染料、アリザリン染料、アクリジン染料スチルベン染料、チアゾール染料、ナフトール染料、キノリン染料、ニトロ染料、インダミン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料、シアニン染料等の染料等が挙げられる。
【0072】
本発明の着色組成物において、上記無機色材及び/又は有機色材(D)の含有量は、上記アルカリ現像性樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは0〜350質量部、より好ましくは0〜250質量部である。上記無機色材及び/又は有機色材(D)の350質量部を超える場合、本発明の着色組成物を用いた硬化物、特に、これを用いた表示デバイス用カラーフィルタの光透過率が低下し、表示デバイスの輝度が低下してしまう場合がある。
【0073】
<溶媒(E)>
本発明の着色組成物には、更に溶媒(E)を加えることができる。該溶媒としては、通常、必要に応じて上記の各成分(本発明のシアニン化合物からなる染料(A)等)を溶解又は分散しえる溶媒、例えば、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、ジエチルケトン、アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン等のケトン類;エチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、コハク酸ジメチル、テキサノール等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のセロソルブ系溶媒;メタノール、エタノール、イソ−又はn−プロパノール、イソ−又はn−ブタノール、アミルアルコール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノメチルアセテート、エチレングリコールモノエチルアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート(PGMEA)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、エトキシエチルプロピオネート等のエーテルエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等のBTX系溶媒;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒;テレピン油、D−リモネン、ピネン等のテルペン系炭化水素油;ミネラルスピリット、スワゾール#310(コスモ松山石油(株))、ソルベッソ#100(エクソン化学(株))等のパラフィン系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、トリクロロエチレン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒;クロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系溶媒;カルビトール系溶媒、アニリン、トリエチルアミン、ピリジン、酢酸、アセトニトリル、二硫化炭素、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、水等が挙げられ、これらの溶媒は1種又は2種以上の混合溶媒として使用することができる。これらの中でも、ケトン類、エーテルエステル系溶媒等、特にプロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、シクロヘキサノン等が、着色組成物においてレジストと光重合開始剤の相溶性がよいので好ましい。
【0074】
本発明の着色組成物において、上記溶媒(E)の使用量は、溶媒(E)以外の組成物の濃度が5〜30質量%になることが好ましい。溶媒(E)以外の組成物の濃度が5質量%より小さい場合、膜厚を厚くする事が困難となったり、所望の波長光を十分に吸収できない場合があり、30質量%を超える場合、組成物の析出による組成物の保存性が低下したり、粘度が向上してハンドリングが低下したりする場合がある。
【0075】
本発明の着色組成物には、更に無機化合物を含有させることができる。該無機化合物としては、例えば、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化カリウム、シリカ、アルミナ等の金属酸化物;層状粘土鉱物、ミロリブルー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、コバルト系、マンガン系、ガラス粉末、マイカ、タルク、カオリン、フェロシアン化物、各種金属硫酸塩、硫化物、セレン化物、アルミニウムシリケート、カルシウムシリケート、水酸化アルミニウム、白金、金、銀、銅等が挙げられ、これらの中でも、酸化チタン、シリカ、層状粘土鉱物、銀等が好ましい。本発明の着色組成物において、上記無機化合物の含有量は、上記エチレン性不飽和結合を有する重合性化合物100質量部に対して、好ましくは0.1〜50質量部、より好ましくは0.5〜20質量部であり、これらの無機化合物は1種又は2種以上を使用することができる。
【0076】
これら無機化合物は、例えば、充填剤、反射防止剤、導電剤、安定剤、難燃剤、機械的強度向上剤、特殊波長吸収剤、撥インク剤等として用いられる。
【0077】
本発明の着色組成物において、顔料及び/又は無機化合物を用いる場合、分散剤を加えることができる。該分散剤としては、顔料及び/又は無機化合物を分散又は安定化できるものであれば特に制限されず、市販の分散剤、例えばビックケミー社製、BYKシリーズ等を用いることができ、これらの中でも、塩基性官能基を有するポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタンからなる高分子分散剤、塩基性官能基として窒素原子を有し、窒素原子を有する官能基がアミン、及び/又はその四級塩であり、アミン価が1〜100mgKOH/gのものが好適に用いられる。
【0078】
また、本発明の着色組成物には、必要に応じて、p−アニソール、ハイドロキノン、ピロカテコール、t−ブチルカテコール、フェノチアジン等の熱重合抑制剤;可塑剤;接着促進剤;充填剤;消泡剤;レベリング剤;表面調整剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;分散助剤;凝集防止剤;触媒;効果促進剤;架橋剤;増粘剤等の慣用の添加物を加えることができる。
【0079】
本発明の着色組成物において、上記の染料(A)、アルカリ現像性樹脂(B)及び光重合開始剤(C)以外の任意成分(但し、無機色材又は有機色材(D)及び溶媒(E)は除く)の含有量は、その使用目的に応じて適宜選択され特に制限されないが、好ましくは、上記アルカリ現像性樹脂(B)の含有量100質量部に対して合計で50質量部以下とする。
【0080】
本発明の着色組成物においては、上記アルカリ現像性樹脂(B)と共に、他の有機重合体を用いることによって、本発明の着色組成物からなる硬化物の特性を改善することもできる。上記有機重合体としては、例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−エチルアクリレート共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、ABS樹脂、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ウレタン樹脂、ポリカーボネートポリビニルブチラール、セルロースエステル、ポリアクリルアミド、飽和ポリエステル、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられ、これらの中でも、ポリスチレン、(メタ)アクリル酸−メチルメタクリレート共重合体、エポキシ樹脂が好ましい。
他の有機重合体を使用する場合、その使用量は、上記アルカリ現像性樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは10〜500質量部である。
【0081】
本発明の着色組成物には、更に、不飽和結合を有するモノマー、連鎖移動剤、増感剤、界面活性剤、シランカプリング剤、メラミン化合物等を併用することができる。
【0082】
上記不飽和結合を有するモノマーとしては、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸ステアリル 、アクリル酸メトキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸亜鉛、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ターシャリーブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールFジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ビスフェノールZジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0083】
上記連鎖移動剤又は増感剤としては、一般的に硫黄原子含有化合物が用いられる。例えばチオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプト酪酸、N−(2−メルカプトプロピオニル)グリシン、2−メルカプトニコチン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)カルバモイル]プロピオン酸、3−[N−(2−メルカプトエチル)アミノ]プロピオン酸、N−(3−メルカプトプロピオニル)アラニン、2−メルカプトエタンスルホン酸、3−メルカプトプロパンスルホン酸、4−メルカプトブタンスルホン酸、ドデシル(4−メチルチオ)フェニルエーテル、2−メルカプトエタノール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール、1−メルカプト−2−プロパノール、3−メルカプト−2−ブタノール、メルカプトフェノール、2−メルカプトエチルアミン、2−メルカプトイミダゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプト−3−ピリジノール、2−メルカプトベンゾチアゾール、メルカプト酢酸、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプト化合物、該メルカプト化合物を酸化して得られるジスルフィド化合物、ヨード酢酸、ヨードプロピオン酸、2−ヨードエタノール、2−ヨードエタンスルホン酸、3−ヨードプロパンスルホン酸等のヨード化アルキル化合物、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、下記[化17]で表される化合物、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等の脂肪族多官能チオール化合物、昭和電工社製カレンズMT BD1、PE1、NR1等が挙げられる。
【0084】
【化17】
【0085】
上記界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等のフッ素界面活性剤、高級脂肪酸アルカリ塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等のアニオン系界面活性剤、高級アミンハロゲン酸塩、第四級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤、ポリエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド等の非イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等の界面活性剤を用いることができ、これらは組み合わせて用いてもよい。
【0086】
上記シランカップリング剤としては、例えば信越化学社製シランカップリング剤を用いることができ、その中でもKBE−9007、KBM−502、KBE−403等のイソシアネート基、メタクリロイル基、エポキシ基を有するシランカップリング剤が好適に用いられる。
【0087】
上記メラミン化合物としては、(ポリ)メチロールメラミン、(ポリ)メチロールグリコールウリル、(ポリ)メチロールベンゾグアナミン、(ポリ)メチロールウレア等の窒素化合物中の活性メチロール基(CH2OH基)の全部又は一部(少なくとも2つ)がアルキルエーテル化された化合物を挙げることができる。ここで、アルキルエーテルを構成するアルキル基としては、メチル基、エチル基又はブチル基が挙げられ、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよい。また、アルキルエーテル化されていないメチロール基は、一分子内で自己縮合していてもよく、二分子間で縮合して、その結果オリゴマー成分が形成されていてもよい。具体的には、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラブトキシメチルグリコールウリル等を用いることができる。これらのなかでも、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン等のアルキルエーテル化されたメラミンが好ましい。
【0088】
本発明の着色組成物は、スピンコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、カーテンコーター、各種の印刷、浸漬等の公知の手段で、ソーダガラス、石英ガラス、半導体基板、金属、紙、プラスチック等の支持基体上に適用することができる。また、一旦フィルム等の支持基体上に施した後、他の支持基体上に転写することもでき、その適用方法に制限はない。
【0089】
また、本発明の着色組成物を硬化させる際に用いられる活性光の光源としては、波長300〜450nmの光を発光するものを用いることができ、例えば、超高圧水銀、水銀蒸気アーク、カーボンアーク、キセノンアーク等を用いることができる。
【0090】
更に、露光光源にレーザー光を用いることにより、マスクを用いずに、コンピューター等のデジタル情報から直接画像を形成するレーザー直接描画法が、生産性のみならず、解像性や位置精度等の向上も図れることから有用であり、そのレーザー光としては、340〜430nmの波長の光が好適に使用されるが、アルゴンイオンレーザー、ヘリウムネオンレーザー、YAGレーザー、及び半導体レーザー等の可視から赤外領域の光を発するものも用いられる。これらのレーザーを使用する場合には、可視から赤外の当該領域を吸収する増感色素が加えられる。
【0091】
本発明の着色組成物(又はその硬化物)は、光硬化性塗料或いはワニス、光硬化性接着剤、プリント基板、或いはカラーテレビ、PCモニタ、携帯情報端末、デジタルカメラ等のカラー表示の液晶表示パネルにおけるカラーフィルタ、CCDイメージセンサのカラーフィルタ、プラズマ表示パネル用の電極材料、粉末コーティング、印刷インク、印刷版、接着剤、歯科用組成物、光造形用樹脂、ゲルコート、電子工学用のフォトレジスト、電気メッキレジスト、エッチングレジスト、液状及び乾燥膜の双方、はんだレジスト、種々の表示用途用のカラーフィルタを製造するための或いはプラズマ表示パネル、電気発光表示装置、及びLCDの製造工程において構造を形成するためのレジスト、電気及び電子部品を封入するための組成物、ソルダーレジスト、磁気記録材料、微小機械部品、導波路、光スイッチ、めっき用マスク、エッチングマスク、カラー試験系、ガラス繊維ケーブルコーティング、スクリーン印刷用ステンシル、ステレオリトグラフィによって三次元物体を製造するための材料、ホログラフィ記録用材料、画像記録材料、微細電子回路、脱色材料、画像記録材料のための脱色材料、マイクロカプセルを使用する画像記録材料用の脱色材料、印刷配線板用フォトレジスト材料、UV及び可視レーザー直接画像系用のフォトレジスト材料、プリント回路基板の逐次積層における誘電体層形成に使用するフォトレジスト材料或いは保護膜等の各種の用途に使用することができ、その用途に特に制限はない。
【0092】
本発明の着色組成物(又はその硬化物)は、カラーフィルタの画素を形成する目的で使用され、特に液晶表示パネル、有機EL等の画像表示装置用の表示デバイス用カラーフィルタを形成するための感光性組成物として有用である。
また、本発明の表示デバイス用カラーフィルタは、本発明の着色組成物の硬化物の他に、赤、緑、青、橙、紫及び黒の光学要素を有していてもよい。
【0093】
上記表示デバイス用カラーフィルタは、(1)本発明の着色組成物の塗膜を基板上に形成する工程、(2)該塗膜に所定のパターン形状を有するマスクを介して活性光を照射する工程、(3)露光後の被膜を現像液(特にアルカリ現像液)にて現像する工程、(4)現像後の該被膜を加熱する工程により好ましく形成される。また、本発明の着色組成物は、現像工程の無いインクジェット方式、転写方式の着色組成物としても有用である。
液晶表示パネルなどに用いるカラーフィルタの製造は、本発明又はそれ以外の着色組成物を用いて、上記(1)〜(4)の工程を繰り返し行い、2色以上のパターンを組み合わせて作成することができる。
【実施例】
【0094】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0095】
実施例1−1〜1−3は、本発明のシアニン化合物の合成例を示し、実施例2−1〜2−3は、本発明の着色アルカリ現像性感光性組成物の調製例を示し、比較例2−1〜2−3は、比較着色アルカリ現像性感光性組成物の調製例を示し、評価例1−1〜1−3では、実施例2−1〜2−3で得られた着色アルカリ現像性感光性組成物の耐アルカリ水溶液性及び耐溶剤性を評価し、比較評価例1−1〜1−3では、比較例2−1〜2−3で得られた比較着色アルカリ現像性感光性組成物の耐アルカリ水溶液性及び耐溶剤性を評価した。
【0096】
[実施例1−1]化合物No.16のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩の合成
下記式[化18]で表される化合物(S−1)2.00gを乾燥したテトラヒドロフラン10mlに溶解させ、ADEKA製アデカスタブBT−11(ジブチルスズジラウレート)0.005g及びブチルヒドロキシトルエン0.0002gを仕込み、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート1.01gをゆっくり滴下した後、室温で24時間撹拌した。この反応液を水200mlと酢酸エチル150mlを仕込んだ分液ろうとの中に注ぎよく振り混ぜた後、水層を廃棄した。残った有機層を水100mlで洗浄した後、エバポレーターで溶剤を留去した。残渣にヘキサン10mlを加えて析出した固体を回収し、乾燥させて1.99gの赤色固体を得た(収率:71%)。各種分析を行い、得られた赤色固体が、目的の化合物No.16のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩であることを確認した。分析結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0097】
【化18】
【0098】
[実施例1−2]化合物No.2のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩の合成
上記化合物(S−1)2.00gを乾燥したテトラヒドロフラン10mlに溶解させ、アデカスタブBT−11の0.005g、及びブチルヒドロキシトルエンの0.0002gを仕込み、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート1.37gをゆっくり滴下した後、室温で24時間撹拌した。この反応液を水200mlと酢酸エチル150mlを仕込んだ分液ろうとの中に注ぎよく振り混ぜた後、水層を廃棄した。残った有機層を水100mlで洗浄した後、エバポレーターで溶剤を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製後、ヘキサン30ml中、40℃で撹拌洗浄し、ろ過、乾燥させて赤色固体を1.16g得た(収率:34%)。各種分析を行い、得られた赤色固体が目的の化合物No.2のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩であることを確認した。分析結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0099】
[実施例1−3]化合物No.35のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩の合成
下記式[化19]で表される化合物(S−2)2.01gをジメチルアセトアミド45.3gに溶解させ、アデカスタブBT−11の0.035g及びブチルヒドロキシトルエン0.0007gを仕込み、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート2.15gをゆっくり滴下した後、70℃で2時間撹拌した。50℃に降温後、メタノール0.50mlを加えて30分撹拌した後、この反応液を水100mlとクロロホルム100mlを仕込んだ分液ろうとの中に注ぎよく振り混ぜ、水層を廃棄した。有機層を水100mlで2回洗浄した後、エバポレーターで溶剤を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル)で精製後、ヘキサン30mlで撹拌洗浄し、ろ過、乾燥して青色固体を2.16g得た。得られた青色固体のうち0.92gをクロロホルムに溶解し、水10gにカリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド0.51gを溶解させた水溶液を加えて30分撹拌した後、水層を廃棄した。同様の操作をもう一度繰り返し、有機層を水20mlで3度洗浄した。エバポレーターで溶剤を留去し、得られた粗生成物にメタノール10mlを加えて溶解させて水3.8gを滴下すると沈殿が生じた。上澄みをデカントし、沈殿をヘキサン20mlで洗浄し、乾燥させて0.56gの青色粉末状固体を得た。各種分析の結果、青色粉末状固体が、目的の化合物No.35のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩であることを確認した。分析結果を[表1]〜[表3]に示す。
【0100】
【化19】
【0101】
【表1】
【0102】
【表2】
【0103】
【表3】
【0104】
[実施例2−1]着色アルカリ現像性感光性組成物No.1の調製
<ステップ1>アルカリ現像性感光性組成物No.1の調製
(B)成分としてACA Z251(アクリル化アクリレート;ダイセルサイテック社製)を30.33g、(C)成分としてイルガキュア907(2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン;BASF社製)を1.93g、(E)成分としてPGMEAを36.60g及びシクロヘキサノンを20.08g、並びに、その他成分としてFZ2122(東レ・ダウコーニング社製)0.01g及びアロニックスM−450(東亜合成社製)11.04gを混合し、不溶物が無くなるまで撹拌し、アルカリ現像性感光性組成物No.1を得た。
(B)成分として用いたACA Z251は、上記一般式(V)において、X11が水素原子又はメチル基であり、Y11が上記一般式(1)で表される二価の結合基(X2は、1−メチル−2−ヒドロキシシクロヘキサンのジイル基であり、Z1及びZ2は直接結合である)であり、R11は炭素原子数1〜8のアルキル基であり、R12、R13及びR14はメチル基である樹脂である。
【0105】
<ステップ2>染料液No.1
(A)成分として実施例1−1で得られた化合物No.16のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩0.10g及びジメチルアセトアミドを1.90g加え、撹拌して溶解させて、染料液No.1とした。
【0106】
<ステップ3>着色アルカリ現像性感光性組成物No.1の調製
ステップ1で得られたアルカリ現像性感光性組成物No.1を5.0gとステップ2で得られた染料液No.1を1.0g、を混合して均一になるまで撹拌し、着色アルカリ現像性感光性組成物No.1を得た。
【0107】
[実施例2−2]着色アルカリ現像性感光性組成物No.2の調製
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物を実施例1−2で得られた化合物No.2のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩に変更した以外は実施例2−1と同様の手法で着色アルカリ現像性感光性組成物No.2を得た。
【0108】
[実施例2−3]着色アルカリ現像性感光性組成物No.3の調製
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物を実施例1−3で得られた化合物No.35のビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸塩に変更した以外は実施例2−1と同様の手法で着色アルカリ現像性感光性組成物No.3を得た。
【0109】
[比較例2−1]比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.1の調製
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物を下記[化20]に示す比較化合物C−1に変更した以外は実施例2−1と同様の手法で比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.1を得た。
【0110】
【化20】
【0111】
[比較例2−2]比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.2の調製
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物を下記[化21]に示す比較化合物C−2に変更した以外は実施例2−1と同様の手法で比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.2を得た。
【0112】
【化21】
【0113】
[比較例2−3]比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.3の調製
実施例2−1のステップ2における(A)成分の化合物を下記[化22]に示す比較化合物C−3に変更した以外は実施例2−1と同様の手法で比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.3を得た。
【0114】
【化22】
【0115】
[評価例1−1〜1−3及び比較評価例1−1〜1−3]
実施例2−1〜2−3で得られた着色アルカリ現像性感光性組成物No.1〜No.3及び比較例2−1〜2−3で得られた比較着色アルカリ現像性感光性組成物No.1〜No.3をガラス基板に410rpm×7秒の条件で塗工し、ホットプレートで乾燥(90℃、90秒)させた。得られた塗膜に超高圧水銀ランプで露光(150mJ/cm2)した後、アルカリ水溶液A(0.50重量%炭酸ナトリウム水溶液)、アルカリ水溶液B(0.10重量%水酸化カリウム水溶液)、イソプロピルアルコール、シクロヘキサノン、PGMEAにそれぞれ30秒浸漬した。その後、イオン交換水で洗浄乾燥し、各アルカリ水溶液及び溶剤に対する浸漬試験前後の色差(ΔEab*)を調べた。結果を[表4]に示す。
【0116】
【表4】
【0117】
上記結果より、染料として本発明のシアニン化合物を用いた着色アルカリ現像性感光性組成物は色差の変化が少なく、耐アルカリ水溶液性及び耐溶剤性が高いことは明らかである。
よって、本発明のシアニン化合物及びこれを染料として用いた本発明の着色アルカリ現像性感光性組成物は表示デバイス用カラーフィルタに有用である。