(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
前記圧子を前記試料の表面に押し付けることにより、当該試料の表面に前記くぼみを形成させるくぼみ付け手段と、
前記くぼみ付け手段により前記圧子が前記試料の表面に押し付けられた状態で当該試料の表面に形成されている加圧状態のくぼみの面積を算出する第1の面積算出手段と、
撮像手段を制御して前記試料の表面を撮像させ、当該試料の表面の画像データを取得させる撮像制御手段と、
前記圧子を前記試料の表面から退避させた後に前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、当該試料の表面に残るくぼみの面積を算出する第2の面積算出手段と、
前記第1の面積算出手段により算出された加圧状態のくぼみの面積と、前記第2の面積算出手段により算出されたくぼみの面積と、に基づいて前記試料の弾性指標値を算出する弾性指標値算出手段と、
前記試料の表面に残るくぼみに基づいて前記試料の硬さ値を算出する硬さ値算出手段と、
前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、前記試料の表面の画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え、
前記表示制御手段は、前記弾性指標値算出手段により算出された前記試料の弾性指標値と、前記硬さ値算出手段により算出された前記試料の硬さ値と、を前記表示手段に表示させるとともに、前記第1の面積算出手段により算出された加圧状態のくぼみの面積に基づいて、前記圧子が押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの形を、前記試料の表面の画像上のくぼみに重ねて表示させることを特徴とする硬さ試験機。
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機の硬さ試験方法において、
前記圧子を前記試料の表面に押し付けることにより、当該試料の表面に前記くぼみを形成させるくぼみ付け工程と、
前記くぼみ付け工程で前記圧子が前記試料の表面に押し付けられた状態で当該試料の表面に形成されている加圧状態のくぼみの面積を算出する第1の面積算出工程と、
撮像手段を制御して前記試料の表面を撮像させ、当該試料の表面の画像データを取得させる撮像制御工程と、
前記圧子を前記試料の表面から退避させた後に前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、当該試料の表面に残るくぼみの面積を算出する第2の面積算出工程と、
前記第1の面積算出工程で算出された加圧状態のくぼみの面積と、前記第2の面積算出工程で算出されたくぼみの面積と、に基づいて前記試料の弾性指標値を算出する弾性指標値算出工程と、
前記試料の表面に残るくぼみに基づいて前記試料の硬さ値を算出する硬さ値算出工程と、
前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、前記試料の表面の画像を表示手段に表示させる表示制御工程と、
を含み、
前記表示制御工程は、前記弾性指標値算出工程で算出された前記試料の弾性指標値と、前記硬さ値算出工程で算出された前記試料の硬さ値と、を前記表示手段に表示させるとともに、前記第1の面積算出工程で算出された加圧状態のくぼみの面積に基づいて、前記圧子が押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの形を、前記試料の表面の画像上のくぼみに重ねて表示させることを特徴とする硬さ試験方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の硬さ試験機では、試料から圧子を引き抜いた後に残るくぼみの対角線長さに基づいて硬さ値を測定するので、例えば、弾性特性が異なる試料同士であっても同じ硬さ値が測定される場合がある。
従って、従来の硬さ試験機では、弾性特性を判別することができないという問題が生じていた。
【0007】
本発明は、試料毎の弾性特性の違いを判別することが可能な硬さ試験機、及び硬さ試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機において、
前記圧子を前記試料の表面に押し付けることにより、当該試料の表面に前記くぼみを形成させるくぼみ付け手段と、
前記くぼみ付け手段により前記圧子が前記試料の表面に押し付けられた状態で当該試料の表面に形成されている加圧状態のくぼみの面積を算出する第1の面積算出手段と、
撮像手段を制御して前記試料の表面を撮像させ、当該試料の表面の画像データを取得させる撮像制御手段と、
前記圧子を前記試料の表面から退避させた後に前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、当該試料の表面に残るくぼみの面積を算出する第2の面積算出手段と、
前記第1の面積算出手段により算出された加圧状態のくぼみの面積と、前記第2の面積算出手段により算出されたくぼみの面積と、に基づいて前記試料の弾性指標値を算出する弾性指標値算出手段と、
前記試料の表面に残るくぼみに基づいて前記試料の硬さ値を算出する硬さ値算出手段と、
前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、前記試料の表面の画像を表示手段に表示させる表示制御手段と、
を備え
、
前記表示制御手段は、前記弾性指標値算出手段により算出された前記試料の弾性指標値と、前記硬さ値算出手段により算出された前記試料の硬さ値と、を前記表示手段に表示させるとともに、前記第1の面積算出手段により算出された加圧状態のくぼみの面積に基づいて、前記圧子が押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの形を、前記試料の表面の画像上のくぼみに重ねて表示させることを特徴とする。
【0011】
請求項
2に記載の発明は、
試料台に載置された試料の表面に圧子により所定の試験力を負荷してくぼみを形成させ、当該くぼみの寸法を計測することにより試料の硬さを測定する硬さ試験機の硬さ試験方法において、
前記圧子を前記試料の表面に押し付けることにより、当該試料の表面に前記くぼみを形成させるくぼみ付け工程と、
前記くぼみ付け工程で前記圧子が前記試料の表面に押し付けられた状態で当該試料の表面に形成されている加圧状態のくぼみの面積を算出する第1の面積算出工程と、
撮像手段を制御して前記試料の表面を撮像させ、当該試料の表面の画像データを取得させる撮像制御工程と、
前記圧子を前記試料の表面から退避させた後に前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、当該試料の表面に残るくぼみの面積を算出する第2の面積算出工程と、
前記第1の面積算出工程で算出された加圧状態のくぼみの面積と、前記第2の面積算出工程で算出されたくぼみの面積と、に基づいて前記試料の弾性指標値を算出する弾性指標値算出工程と、
前記試料の表面に残るくぼみに基づいて前記試料の硬さ値を算出する硬さ値算出工程と、
前記撮像手段により取得された画像データに基づいて、前記試料の表面の画像を表示手段に表示させる表示制御工程と、
を含
み、
前記表示制御工程は、前記弾性指標値算出工程で算出された前記試料の弾性指標値と、前記硬さ値算出工程で算出された前記試料の硬さ値と、を前記表示手段に表示させるとともに、前記第1の面積算出工程で算出された加圧状態のくぼみの面積に基づいて、前記圧子が押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの形を、前記試料の表面の画像上のくぼみに重ねて表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、試料の硬さ値を算出するだけでなく、試料の弾性指標値を算出することができることとなって、試料毎の弾性特性の違いを判別することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、
図1におけるX方向を左右方向とし、Y方向を前後方向とし、Z方向を上下方向とする。また、X−Y面を水平面とする。
【0015】
硬さ試験機100は、例えば、圧子14a(
図3参照)の平面形状が矩形状に形成されたビッカース硬さ試験機であり、
図1〜
図4に示すように、試験機本体10と、制御部6と、操作部7と、モニタ8と、圧子軸変位検出部9と、を備えて構成されている。
【0016】
試験機本体10は、
図2に示すように、試料Sの硬さ測定を行う硬さ測定部1と、試料Sを載置する試料台2と、試料台2を移動させるXYステージ3と、試料Sの表面に焦点を合わせるためのAFステージ4と、試料台2(XYステージ3、AFステージ4)を昇降する昇降機構部5と、を備えて構成されている。
【0017】
硬さ測定部1は、
図3に示すように、試料Sの表面を照明する照明装置11と、試料Sの表面を撮像するCCDカメラ12と、圧子14aを備える圧子軸14と対物レンズ15を備え、回転することにより圧子軸14と対物レンズ15との切り替えが可能なターレット16と、を備えて構成されている。
【0018】
照明装置11は、光を照射することにより試料Sの表面を照明するものであり、照明装置11から照射される光は、レンズ1a、ハーフミラー1d、ミラー1e、及び対物レンズ15を介して試料Sの表面に到達する。
【0019】
CCDカメラ12は、試料Sの表面から対物レンズ15、ミラー1e、ハーフミラー1d、ミラー1g、及びレンズ1hを介して入力された反射光に基づき、当該試料Sの表面や圧子14aにより試料Sの表面に形成されるくぼみを撮像して画像データを取得し、複数フレームの画像データを同時に蓄積、格納可能なフレームグラバ17を介して、制御部6に出力する。
即ち、CCDカメラ12は、本発明の撮像手段として機能する。
【0020】
圧子軸14は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動される負荷機構部(図示省略)により、試料台2に載置された試料Sに向けて移動され、先端部に備えた圧子14aを試料Sの表面に所定の試験力で押し付ける。本実施形態では、圧子14aとして、ビッカース用の四角錐圧子(対面角が136±0.5°)を使用する。
【0021】
対物レンズ15は、それぞれ異なる倍率からなる集光レンズであって、ターレット16の下面に複数保持されており、ターレット16の回転により試料Sの上方に配置されることで、照明装置11から照射される光を一様に試料Sの表面に照射させる。
【0022】
ターレット16は、下面に圧子軸14と複数の対物レンズ15を取り付け可能に構成されるとともに、Z軸方向を中心に回転することにより、圧子軸14及び複数の対物レンズ15の中の何れか一つを試料Sの上方に配置可能なように構成されている。即ち、圧子軸14を試料Sの上方に配置することで試料Sの表面にくぼみを形成することができ、対物レンズ15を試料Sの上方に配置することで形成されたくぼみを観察することができるようになっている。
【0023】
試料台2は、上面に載置される試料Sを、試料固定部2aで固定する。
XYステージ3は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動する駆動機構部(図示省略)により駆動され、試料台2を圧子14aの移動方向(Z方向)に垂直な方向(X,Y方向)に移動させる。
AFステージ4は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動され、CCDカメラ12が撮像した画像データに基づき試料台2を微細に昇降させ、試料Sの表面に焦点を合わせる。
昇降機構部5は、制御部6が出力する制御信号に応じて駆動され、試料台2(XYステージ3、AFステージ4)をZ方向に移動させることで、試料台2と対物レンズ15との間の相対距離を変化させる。
【0024】
操作部7は、キーボード71と、マウス72と、を備えて構成されており、硬さ試験を行う際のユーザによる入力操作を実行させる。そして、操作部7により所定の入力操作がなされると、その入力操作に応じた所定の操作信号が制御部6に出力される。
具体的には、操作部7は、キーボード71やマウス72を介して、くぼみの合焦位置を決定する条件をユーザに選択させることができる。
また、操作部7は、ユーザに、試料台2(昇降機構部5及びAFステージ4)の移動する範囲(試料台2と対物レンズ15との間の相対距離の範囲)を指定させることができる。
また、操作部7は、ユーザに、当該硬さ試験機100による硬さ試験を実施する際の試験条件値を入力させることができる。入力された試験条件値は、制御部6に送信される。ここで、試験条件値とは、例えば、試料Sの材質、圧子14aにより試料Sに負荷される試験力(N)、対物レンズ15の倍率、等の値である。
また、操作部7は、ユーザに、くぼみの合焦位置の決定を手動で行う手動モード又は自動で行う自動モードの何れかを選択させることができる。
【0025】
モニタ8は、例えば、LCDなどの表示装置により構成されており、操作部7において入力された硬さ試験の設定条件、硬さ試験の結果、及びCCDカメラ12が撮像した試料Sの表面や試料Sの表面に形成されるくぼみの画像等を表示する。
即ち、モニタ8は、本発明の表示手段として機能する。
【0026】
圧子軸変位検出部9は、例えば、所定の間隔の目盛が刻まれて圧子軸14に備えられたスケールと、そのスケールの目盛を光学的に読み取るリニアエンコーダと、からなり、圧子軸14が試料Sにくぼみを形成する際に移動した変位量、即ち、試料Sに圧子14aが押し込まれた進入量を検出し、その検出した変位量に基づく圧子軸変位信号を制御部6に出力する。
【0027】
制御部6は、
図4に示すように、CPU(Central Processing Unit)61と、RAM(Random Access Memory)62と、記憶部63と、を備えて構成され、記憶部63に記憶された所定のプログラムが実行されることにより、所定の硬さ試験を行うための動作制御等を行う機能を有する。
【0028】
CPU61は、記憶部63に格納された処理プログラム等を読み出して、RAM62に展開して実行することにより、硬さ試験機100全体の制御を行う。
【0029】
RAM62は、CPU61により実行された処理プログラム等を、RAM62内のプログラム格納領域に展開するとともに、入力データや上記処理プログラムが実行される際に生じる処理結果等をデータ格納領域に格納する。
【0030】
記憶部63は、例えば、プログラムやデータ等を記憶する記録媒体(図示省略)を有しており、この記録媒体は、半導体メモリ等で構成されている。また、記憶部63は、CPU61が硬さ試験機100全体を制御する機能を実現させるための各種データ、各種処理プログラム、これらプログラムの実行により処理されたデータ等を記憶する。
【0031】
次に、本実施形態に係る硬さ試験機100の動作について、
図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、試料Sに対する圧子14aのアプローチ処理を行う(ステップS1)。具体的には、CPU61は、ターレット16の回転により対物レンズ15が試料Sの上方に配置された状態で、試料Sの表面の所定領域が対物レンズ15の真下に位置するようにXYステージ3を移動させる。次に、CPU61は、硬さ測定部1のCCDカメラ12によって得られる画像データに基づいてAFステージ4を昇降させ、試料Sの表面に対する自動合焦を行う。そして、CPU61は、ターレット16の回転により圧子軸14が試料Sの上方に配置された状態で、当該圧子軸14を先端部に備えられた圧子14aが試料Sの表面に接触するまで移動させる。
【0032】
次に、試料Sに対して試験力を負荷する処理を行う(ステップS2:くぼみ付け工程)。具体的には、CPU61は、試料Sの表面に圧子14aを所定の試験力になるまで徐々に力を加えながら押し付けていき、試料Sの表面に加圧状態のくぼみを形成させる。そして、CPU61は、試料Sに対して圧子14aを所定の試験力で押し付けた状態を保持させる。
【0033】
次に、ステップS2で試料Sに対して所定の試験力で圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの面積を算出する(ステップS3:第1の面積算出工程)。具体的には、CPU61は、圧子軸変位検出部9により検出された試料Sに対する圧子14aの進入量hに基づいて、加圧状態のくぼみの一辺の長さDを算出する(
図6(A)及び
図6(B)参照)。ここで、加圧状態のくぼみの一辺の長さDは、数式2で算出することができる。
[数式2]
D=tan(136°/2)×h×2
そして、CPU61は、ビッカース用の圧子14aにより形成される加圧状態のくぼみの平面形状が正方形であることに鑑みて、算出された加圧状態のくぼみの一辺の長さDを平方し、当該加圧状態のくぼみの面積M1(=D×D)を算出する。
即ち、CPU61は、圧子14aが試料Sの表面に押し付けられた状態で当該試料Sの表面に形成されている加圧状態のくぼみの面積M1を算出する本発明の第1の面積算出手段として機能する。
【0034】
次に、試料Sに押し付けられている圧子14aを、所定の待機位置に退避させる処理を行う(ステップS4)。具体的には、CPU61は、試料Sの表面に圧子14aを押し付けた状態から圧子軸14を徐々にZ方向上方に引き上げていき、所定の待機位置まで退避させた後、当該待機位置で待機させる。これにより、試料Sの表面にくぼみを形成させる。
即ち、CPU61は、圧子14aを試料Sの表面に押し付けることにより、当該試料Sの表面にくぼみを形成させる本発明のくぼみ付け手段として機能する。
【0035】
次に、ステップS4で圧子14aが引き上げられた後に試料Sの表面に残るくぼみの面積を算出する(ステップS5:撮像制御工程、第2の面積算出工程)。具体的には、CPU61は、ターレット16の回転により対物レンズ15が試料Sの上方に配置された状態で、CCDカメラ12により試料Sの表面を撮像させて画像データを取得させる。そして、CPU61は、取得された画像データを解析して試料Sの表面に形成されたくぼみの対角線長さを計測し、当該計測された対角線長さに基づいてくぼみの面積M2を算出する。
即ち、CPU61は、CCDカメラ12を制御して試料Sの表面を撮像させ、当該試料Sの表面の画像データを取得させる本発明の撮像制御手段として機能する。
また、CPU61は、CCDカメラ12により取得された画像データに基づいて、圧子14aを試料Sの表面から退避させた後に当該試料Sの表面に残るくぼみの面積M2を算出する本発明の第2の面積算出手段として機能する。
【0036】
次に、試料Sの弾性指標値を算出する(ステップS6:弾性指標値算出工程)。具体的には、CPU61は、ステップS5で算出された試料Sの表面に残るくぼみの面積M2を、ステップS3で算出された圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの面積M1で除することにより、試料Sの弾性指標値A(=M2/M1)を算出する。
即ち、CPU61は、ステップS3で算出された圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの面積M1と、ステップS5で算出された試料Sの表面に残るくぼみの面積M2と、に基づいて試料Sの弾性指標値Aを算出する本発明の弾性指標値算出手段として機能する。
【0037】
次に、試料Sの硬さ値を算出する(ステップS7:硬さ値算出工程)。具体的には、CPU61は、ステップS5で画像データを解析することにより計測されたくぼみの対角線長さに基づいて、試料Sの硬さ値HV(=0.1891F/d
2)を算出する。
即ち、CPU61は、試料Sの表面に残るくぼみに基づいて試料Sの硬さ値HVを算出する本発明の硬さ値算出手段として機能する。
【0038】
次に、試料Sの弾性指標値Aをモニタ8に表示させる(ステップS8)。具体的には、CPU61は、ステップS6で算出された試料Sの弾性指標値Aをモニタ8に表示させる。
【0039】
次に、所定の試験力で圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみの形を、試料Sの表面の画像上のくぼみに重ねてモニタ8に表示させる(ステップS9)。具体的には、CPU61は、
図7に示すように、ステップS5で取得された画像データに基づいて、圧子14aが引き上げられた後に試料Sの表面に残されたくぼみK1を含む試料Sの表面の画像をモニタ8に表示させるとともに、ステップS3で取得された加圧状態のくぼみの情報(一辺の長さDや面積M1等)に基づいて、所定の試験力で圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみK2の形を、上記試料Sの表面の画像上に重ねて表示させる。これにより、ユーザは、試料Sの表面に残されたくぼみK1と圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみK2とを視覚的に比較することができるので、くぼみの弾性変形の様子を容易に認識することができる。
即ち、CPU61は、CCDカメラ12により取得された画像データに基づいて、試料Sの表面の画像をモニタ8に表示させる本発明の表示制御手段として機能し、ステップS3で算出された加圧状態のくぼみの面積M1に基づいて、圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみK2の形を、試料Sの表面の画像上のくぼみK1に重ねて表示させる。
【0040】
次に、試料Sの硬さ値HVをモニタ8に表示させる(ステップS10)。具体的には、CPU61は、ステップS7で算出された試料Sの硬さ値HVをモニタ8に表示させる。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る硬さ試験機100によれば、圧子14aを試料Sの表面に押し付けることにより、当該試料Sの表面にくぼみを形成させるくぼみ付け手段(CPU61)と、くぼみ付け手段により圧子14aが試料Sの表面に押し付けられた状態で当該試料Sの表面に形成されている加圧状態のくぼみの面積M1を算出する第1の面積算出手段(CPU61)と、CCDカメラ12を制御して試料Sの表面を撮像させ、当該試料Sの表面の画像データを取得させる撮像制御手段(CPU61)と、圧子14aを試料Sの表面から退避させた後にCCDカメラ12により取得された画像データに基づいて、当該試料Sの表面に残るくぼみの面積M2を算出する第2の面積算出手段(CPU61)と、第1の面積算出手段により算出された加圧状態のくぼみの面積M1と、第2の面積算出手段により算出されたくぼみの面積M2と、に基づいて試料Sの弾性指標値Aを算出する弾性指標値算出手段(CPU61)と、試料Sの表面に残るくぼみに基づいて試料Sの硬さ値HVを算出する硬さ値算出手段(CPU61)と、を備えるので、試料Sの硬さ値HVを算出するだけでなく、試料Sの弾性指標値Aを算出することができることとなって、試料毎の弾性特性の違いを判別することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る硬さ試験機100によれば、CCDカメラ12により取得された画像データに基づいて、試料Sの表面の画像をモニタ8に表示させる表示制御手段(CPU61)を更に備え、表示制御手段は、弾性指標値算出手段により算出された試料Sの弾性指標値Aと、硬さ値算出手段により算出された試料Sの硬さ値HVと、をモニタ8に表示させるので、ユーザは試料Sの弾性指標値Aと硬さ値HVとを容易に認識することができる。
【0043】
また、本実施形態に係る硬さ試験機100によれば、表示制御手段は、第1の面積算出手段により算出された加圧状態のくぼみの面積M1に基づいて、圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみK2の形を、試料Sの表面の画像上のくぼみK1に重ねて表示させるので、ユーザは、試料Sの表面に残されたくぼみK1と圧子14aが押し付けられた状態における加圧状態のくぼみK2とを視覚的に比較することができることとなって、くぼみの弾性変形の様子を容易に認識することができる。
【0044】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0045】
例えば、上記実施形態では、
図5のステップS6で試料Sの弾性指標値Aを算出した後、ステップS7で試料Sの硬さ値HVを算出するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、ステップS6の処理とステップS7の処理の順番を入れ替えるようにしてもよい。また、例えば、ステップS7の処理を、試料Sの硬さ値HVをモニタ8に表示させるステップS10の処理の直前に行うようにしてもよい。また、例えば、試料Sの硬さ値HVを算出してモニタ8に表示した後に、試料Sの弾性指標値Aを算出してモニタ8に表示させるようにしてもよいし、算出された硬さ値HVと弾性指標値Aをモニタ8に同時に表示させるようにしてもよい。
即ち、弾性指標値Aと硬さ値HVを算出する順序は順不同であり、弾性指標値A及び硬さ値HVは、算出後であれば任意のタイミングでモニタ8に表示させることが可能である。
【0046】
また、上記実施形態では、試料Sの弾性指標値Aや硬さ値HVをモニタ8に表示させる(
図5のステップS8及びステップS10参照)ことにより、ユーザに報知させるようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、音声を出力可能なスピーカ等を設けるようにし、算出された試料Sの弾性指標値Aや硬さ値HVを当該スピーカから音声出力させるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、硬さ試験機100としてビッカース硬さ試験機を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。圧子の形状が既知のものであればいかなる硬さ試験機に適用してもよく、例えば、ダイヤモンド長四角錘による圧子を備えるヌープ硬さ試験機等に適用することも可能である。
【0048】
その他、硬さ試験機100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。