特許第5955779号(P5955779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955779ポリエーテルブロックコポリマーおよびそれから得られる組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955779
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ポリエーテルブロックコポリマーおよびそれから得られる組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 65/28 20060101AFI20160707BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20160707BHJP
   C08G 18/42 20060101ALI20160707BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   C08G65/28
   C08G18/48
   C08G18/42
   C09J175/04
【請求項の数】10
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-551591(P2012-551591)
(86)(22)【出願日】2011年2月1日
(65)【公表番号】特表2013-518954(P2013-518954A)
(43)【公表日】2013年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2011051355
(87)【国際公開番号】WO2011095469
(87)【国際公開日】20110811
【審査請求日】2014年1月30日
(31)【優先権主張番号】102010001470.2
(32)【優先日】2010年2月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】391008825
【氏名又は名称】ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン
【氏名又は名称原語表記】Henkel AG & Co. KGaA
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】ラース・ツァンダー
(72)【発明者】
【氏名】ウヴェ・フランケン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアーネ・クンツェ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・クレブス
(72)【発明者】
【氏名】ヨハン・クライン
【審査官】 渡辺 陽子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−511532(JP,A)
【文献】 特開2005−179567(JP,A)
【文献】 特開平03−265627(JP,A)
【文献】 特公昭45−038827(JP,B1)
【文献】 特開平05−271639(JP,A)
【文献】 特表2005−502753(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/004038(WO,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1986599(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第100999573(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0071254(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0187136(US,A1)
【文献】 特表2013−509476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00−67/04
C08G 18/00−18/87
C08G 71/00−71/04
C08G 81/00−85/00
C08F 251/00−283/00
C08F 283/02−289/00
C08F 291/00−297/08
C08L 1/00−101/14
C08K 3/00−13/08
C09J 1/00−5/10
C09J 9/00−201/00
C08F 251/00−283/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式:B−(A−OH)〔式中、nは2または3であり、ブロックAは、ポリオキシプロピレン単位から構成され、中心ブロックBは、ポリオキシエチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、またはポリウレタン単位から構成される〕
で示され、ポリオキシプロピレン単位Aおよび中心ブロックBが、それぞれ、2.5未満の多分散性PD(Mw/Mn)を有するポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項2】
ポリオキシプロピレン単位Aおよび中心ブロックBが、それぞれ、1.0〜2.0の多分散性PD(Mw/Mn)を有する、請求項1に記載のポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項3】
nが2である、請求項1または2に記載のポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項4】
ポリエーテルブロックコポリマーが、4,00040,000g/mol(ダルトン)の数平均分子量を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項5】
中心ブロックBがDMC触媒作用、1以上のホスファセンおよび/またはポルフィリン誘導体による触媒作用、あるいはアルカリ金属触媒作用によりプロポキシ化された、請求項1〜のいずれかに記載のポリエーテルブロックコポリマー。
【請求項6】
少なくとも1種の請求項1〜のいずれかに記載のポリエーテルブロックコポリマーと、ポリオキシプロピレンおよび/または請求項1〜のいずれかに記載のポリエーテルブロックコポリマー内の中心ポリマーブロックBを構成する前記ポリマーの1つを含有する少なくとも1つのポリマー配列を含む少なくとも1種の成分と、少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネートとの反応生成物
【請求項7】
少なくとも
a)一般式:B−(A−OH)〔式中、nは2または3であり、ブロックAは、ポリオキシプロピレン単位から構成され、中心ブロックBはポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステル単位から構成される〕
で示され、ポリオキシプロピレン単位Aおよび中心ブロックBが、それぞれ、2.5未満の多分散性PD(Mw/Mn)を有するポリエーテルブロックコポリマー、
b)少なくとも1種のポリカルボン酸、少なくとも1種のC〜C12アルカンジオール、および少なくとも1種のポリオールから作られる少なくとも1つのヒドロキシ官能性ブロックコポリエステルであって、該ポリオールがポリオキシプロピレンおよび/または前記ポリエーテルブロックコポリマー内の中心ポリマーブロックBを構成する前記ポリマーの1つを含有する少なくとも1つのポリマー配列を含むヒドロキシ官能性ブロックコポリエステルと、
c)全成分のNCO/OHモル比に基づき、化学量論的に過剰量で用いられる少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネート
の反応生成物
【請求項8】
反応させる成分全体で、ASTM D4671の方法を用いて測定した末端不飽和が、0.07meq/g未満である、請求項またはに記載の反応生成物
【請求項9】
請求項6〜8のいずれかに記載の少なくとも1つの反応生成物を含む調製物。
【請求項10】
組み立て結合、面結合および/またはコーティングのための反応性溶融接着剤としての請求項に記載の調製物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定のポリエーテルブロックコポリマー、そのポリエーテルブロックコポリマーに基づく組成物、そのポリエーテルブロックコポリマーまたはそこから製造される組成物を含む調製物、ならびに、このポリエーテルブロックコポリマーおよび調製物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシ基を含むポリマーまたはオリゴマーの反応生成物、例えば、化学量論的に過剰量のジ−若しくはポリイソシアネート(これらはその後イソシアネート末端を有するいわゆるポリウレタンプレポリマーとして存在する)との反応生成物は、例えば、封止剤、コーティング材または接着剤として様々な分野で有用である。
【0003】
多くの用途のために、これらの組成物は溶剤を含まず、高粘度および/またはペースト状である。これらは、室温または、50〜100℃のわずかな上昇温度下で加工される。
【0004】
これらの組成物が室温で固体であり、水分除去を伴う加熱時に溶融性である場合、反応性溶融接着剤として使用することができる。したがって、この発明の一成分反応性溶融接着剤は、室温で固体であり、その溶融状態の接着剤として使用される水分硬化性または水分架橋性接着剤である。このような接着剤の例として、そのポリマー成分がウレタン基および反応性イソシアネート基を含むポリウレタン溶融接着剤を挙げることができる。基材上への塗布による溶融物の冷却、および基材部での溶融物のさらなる冷却は、はじめに溶融接着剤の急速な物理的硬化を生じてその固化をもたらし、その後、依然として存在する反応性基と周囲環境中の水分とが化学反応して、架橋した非溶融性接着剤を生じる。イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーに基づく反応性溶融接着剤は、例えば、H.F.HuberおよびH.Muellerによる「Shaping Reactive Hotmelts Using LMW Copolyesters」 Adhesives Age、11月、1987年、第32〜35頁に記載されている。
【0005】
積層接着剤は、その構造において反応性溶融接着剤と同じであっても、有機溶媒の溶液の一成分系として用いてもよい。別の実施態様は、1つの成分のポリマー成分がウレタン基ならびに反応性イソシアネート基を含み、第2の成分がヒドロキシ基、アミノ基、エポキシ基および/またはカルボキシル基を有するポリマーまたはオリゴマーを含む、溶剤含有若しくは溶剤非含有のポリウレタンに基づく二成分系から構成される。これらの二成分系において、イソシアネート基含有成分および第2成分は、通常、混合および分散系により塗布の直前に混合される。
【0006】
反応性ポリウレタン組成物に基づく接着剤、封止剤またはコーティング剤は、非常に高い性能プロファイルで注目されている。したがって、近年、これらの接着剤、封止剤およびコーティング剤に対する数多くの新たな用途が利用できるようになった。このような接着剤および/または封止剤用の組成物は、非常に多くの特許文献または他の文献から既知である。
【0007】
国際特許出願第99/28363号は、室温で固体であり、かつ水分架橋を具現化した、ポリウレタンプレポリマーに基づく溶融接着組成物に関する。この接着組成物は、第1ポリイソシアネートと、エチレン性不飽和モノマーを包含し、活性ヒドロキシ基を含む低分子量ポリマーとの反応の反応生成物と一緒に、ポリエーテルジオール、ポリエーテルトリオール、ポリエステルポリオール、芳香族ポリオール、およびそれらの混合物の群からの少なくとも1つのポリオールに由来する遊離イソシアネート基を有する少なくとも1つのポリウレタンプレポリマーと、少なくとも1つの第2のポリイソシアネート、ならびに任意に種々の添加剤の生成物とを含む。
【0008】
欧州特許出願第0205846号は、ヒドロキシ基をポリマーへ移動させることができる過酸、ヒドロペルオキシド、またはアゾ化合物の群に由来する開始剤の存在下での重合による、または、UV照射の作用による重合による、アクリレートに基づくヒドロキシ−テレケリックポリマーの製造を記載し、好適には、過酸化水素が挙げられ、同時に一般式HO−A−S−B−OHのヒドロキシ基含有調整剤が存在する。この文献の教示によると、イソシアネート末端基含有プレポリマーを製造するような方法で、ヒドロキシ−テレケリックポリマーをジイソシアネートと反応させることができる。欧州特許出願第0205846号によれば、これらのNCO−含有プレポリマーに基づく調製物は、接着剤および封止剤として適している。
【0009】
欧州特許出願第0455400号は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの混合物および、接着剤としてのその使用を記載する。第1プレポリマーはポリヘキサメチレンアジペートに基づき、第2プレポリマーはポリテトラメチレンエーテルグリコールに基づく。2つのプレポリマーは、好ましくは少なくとも部分的に非相溶性であると考えられる。この接着剤は、多くの基材、特にプラスチックに対して良好な接着性を有すると考えられる。
【0010】
国際特許出願第92/13017号は、イソシアネート末端ポリウレタンプレポリマーの混合物を記載する。第1プレポリマーは、主に半結晶性ポリエステルとポリイソシアネートの反応生成物である。このポリエステルは、2〜10個のメチレン基を有するジオールと2〜10個のメチレン基を有するジカルボン酸の反応生成物である。ジオールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、およびそれらの混合物であってよい。ジカルボン酸は、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸およびそれらの混合物であってよい。1,6−ヘキサンジオールとアジピン酸のポリエステルが好ましい。第2プレポリマーは、ポリテトラメチレンエーテルとポリイソシアネートの反応混合物を含む。第3のプレポリマーは、非晶質ポリエステルとポリイソシアネートの反応混合物に基づく。この非晶質ポリエステルは、芳香族構造単位を含む。好ましいジオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、およびそれらの混合物を含む。ジカルボン酸は、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、テレフタルさんおよびそれらの混合物からなる群から選択される。この混合物は、アジピン酸、ジエチレングリコールおよびトリメチロールプロパンとポリイソシアネートの反応混合物から構成される第4のプレポリマーも含有し得る。この高分子量は、粘性および接着性を著しく高めると考えられる。高粘度は欠点である。この接着剤は、金属とポリスチレンまたはポリメチルメタクリレートなどのポリマー物質を良好に接着すると考えられる。
【0011】
国際特許出願第2001/046330号は、ポリイソシアネートとポリエステル−ポリエーテル共重合体の反応生成物を服務組成物、その製造方法および反応性溶融接着剤としてのその使用を記載する。この文献は、カルボキシル末端ポリエステルモジュールとポリエーテルポリオールからこれらの共重合体を製造することを提案する。これらの溶融接着剤は最新の接着剤(特に、溶融接着剤)の多くの技術的要求をすでに満たすが、それらは特定の分野で使用することができない。
【0012】
国際特許出願第2004/013199号は、芳香族ジカルボン酸に基づく、化学量論的に過剰のポリイソシアネートとヒドロキシ官能性ポリエステル−エーテルブロック共重合体との反応生成物、ポリイソシアネートとポリエステルポリオールの反応生成物および/または任意にポリイソシアネートとポリエーテルポリオールの反応生成物、ならびに任意に非反応性熱可塑性ポリマーを含むセグメント化ポリウレタン溶融接着剤組成物を記載する。第1の指定成分の導入は、接着組成物中の反応割合を増加させ、向上した耐熱性および耐加水分解性をもたらすが、同時に、ポリエステル−エーテル共重合体成分の融点を下げる。さらに、組成物中の成分の相溶性は向上すると考えられる。中心ブロックとそれに結合する少なくとも2つのポリオキシプロピレンブロックを有するポリエーテルブロック共重合体と、各成分の相溶性へのそれらの影響には対応していない。
【0013】
国際特許出願第91/15530号も、ポリオールとポリイソシアネートならびにポリエステル−ポリエーテル共重合体から構成されるポリイソシアネートプレポリマーを含み、後者は、環状成分および、短鎖アルキレン基または非晶質長鎖ポリエーテル単位からなるエーテル単位のアルコール成分を含むウレタンホットメルト接着剤を記載する。ポリエステル−ポリエーテル共重合体の導入は、これに基づき形成されるホットメルト接着剤および封止剤に対するより高い水蒸気透過性をもたらし、より厚い接着フィルムを形成できることに加えて、いくつかのさらなる利点を生じる。
【0014】
国際特許出願第2004/013199号および国際特許出願第91/15530号に記載されるようなブロックコポリエステルは、それらの融点以上の温度においてでさえも、イソシアネート末端プレポリマーと容易に混合できないことが知られている。相分離および/または領域分離がしばしば起こり、それはそのような組成物の加工を著しく難しくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際特許出願第99/28363号パンフレット
【特許文献2】欧州特許出願第0205846号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第0455400号明細書
【特許文献4】国際特許出願第92/13017号パンフレット
【特許文献5】国際特許出願第2001/046330号パンフレット
【特許文献6】国際特許出願第2004/013199号パンフレット
【特許文献7】国際特許出願第91/15530号パンフレット
【特許文献8】国際特許出願第2004/013199号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、特にポリウレタンに対する、接着剤、封止剤またはコーティング剤としての、特にホットメルト接着剤または封止剤としての使用に適する改善された反応性ポリマーおよび組成物への要求が存在する。使用する物質は、容易で経済的に入手できなけらばならない。
【0017】
したがって、本発明の課題は、それに基づき接着剤、封止剤および/またはコーティング物質を形成することができる組成物の製造のための成分を提供することである。前記成分は、反応前の組成物、完成したポリマー、完成した組成物のいずれにおいても他のポリマー成分との良好な混和性を示すことを意図し、それにより、分離プロセス(相分離および領域分離)を最小にする。この組成物から製造された接着剤または封止剤は、複数の基材に対する広い接着性を有し、硬化後に可能な限り高い強度を示すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
課題を本発明により達成する方法は、特許請求の範囲から収集することができる。実質的に、一般式B−(A−OH)n〔式中、nは2以上であり、ブロックAは、ポリオキシプロピレン単位から構成され、中心ブロックBは、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステル単位から構成される〕のポリエーテルブロックコポリマーを提供することにある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
好ましい実施態様において、nは10以下であり、特に6以下、特に好ましくは2または3である。
【0020】
「ブロックコポリマー」は、分子が直鎖結合ブロックで構成されているポリマーであると理解される。「ブロック」は、複数の個々の繰り返し単位を含み、隣接セグメント(ブロック)の特徴とは異なる少なくとも1つの構成的または構造的な特徴を含むポリマー分子のセグメントであるとされる。用語「ポリマー」、接頭辞「ポリ」により特徴付けられる化合物は、10より多い個々の繰り返し単位を含む化合物であると理解される。
【0021】
本発明のポリエーテルブロックコポリマーは、少なくとも2つのポリオキシプロピレンブロックAと中心ポリマーブロックBとから構成される。ポリマーブロックBは、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステル単位を含む。中心ポリマーブロックBは、好ましくは、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレートまたはポリウレタン単位から構成され、特に好ましくはポリオキシテトラメチレン(ポリ−THF)またはポリオキシエチレン単位から構成される。この種類のポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、例えば、ポリオキシプロピレンブロックAが重合する、少なくとも2つの末端ヒドロキシ基を有する少なくとも二官能性ポリマー化合物Bから製造することができる。
【0022】
ヒドロキシ官能性ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン、ポリブタジエン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリウレタンまたはポリエステル単位が、出発化合物Bとして特に適している。特に好ましくは少なくとも二官能性ポリマー化合物Bは、ヒドロキシ官能性ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリウレタン単位から構成され、非常に特に好ましくはヒドロキシ官能性ポリオキシテトラメチレンまたはポリオキシエチレン単位から構成される。
【0023】
ヒドロキシ官能性ポリオキシテトラメチレン(ポリテトラヒドロフランまたは「ポリ−THF」とも呼ばれる)は約800〜6000の範囲の分子量(本発明においては好ましくは800〜5000の分子量が好ましい)で、多数の製造業者から商業的に入手することができる。対応するヒドロキシ官能性ポリオキシエチレン(ポリエチレンオキシド)、ポリエステル、ポリブタジエンまたはポリイソプレンも、同様に商業的に入手できる。ポリエステルポリオールの中で、液体、ガラス様非晶質または結晶性ポリエステルが特に適している。これらは、例えば、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、3,3−ジメチルグルタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ダイマー脂肪酸などのジカルボン酸またはトリカルボン酸またはそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチルエングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、ダイマー脂肪アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの低分子量ジオール若しくはトリオールまたはそれらの混合物との縮合により製造できる。
【0024】
本発明に使用し得るポリエステルポリオールのさらなる群は、ε−カプロラクトンに基づくポリエステル(「ポリカプロラクトン」とも称される)である。
【0025】
しかしながら、油脂化学由来のポリエステルポリオールも使用される。そのようなポリオールは、例えば、少なくとも部分的にオレフィン性不飽和脂肪酸含有脂肪混合物のエポキシ化トリグリセリドの、1〜12個の炭素原子を有する1つ以上のアルコールを使用した完全な開環と、アルキル基中に1〜12個の炭素原子を有するアルキルエステルポリオールを生じるその後のトリグリセリド誘導体の部分的なトランスエステル化により製造される。さらなる適当なポリオールは、ポリカーボネートポリオールおよびダイマージオール(ヘンケル社)、ならびにヒマシ油およびその誘導体である。例えば、「Poly−bd」の商品名のもと入手し得るようなヒドロキシ官能性ポリブタジエンも本発明の組成物のポリオールとして使用することができ、またその水素化類似体も使用することができる。
【0026】
ポリアクリレートまたはポリメタクリレートは、一般に既知の方法に従って製造することができる。特に本発明に適するのは、例えば、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと、アクリル酸および/またはメタクリル酸のヒドロキシ官能性化合物、例えばヒドロキシ(メタ)アクリレートまたはヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートとのラジカル共重合により製造することができる直鎖若しくはわずかに架橋したアクリルエステルコポリオールポリオールである。この製造方法のため、これらのポリオール中のヒドロキシ基は、概して統計学的に配置され、それによりこれらのポリオールは、直鎖またはわずかに架橋し、平均OH価を有する。
【0027】
対応するポリアミド誘導体は、ヒドロキシカルボン酸の併用してジカルボン酸またはポリカルボン酸とジアミンを縮合すること(これ自体は既知である)により製造することができる。ヒドロキシ官能性ポリウレタンはジ−若しくはポリカルボン酸と化学量論上過剰量の1つ以上のポリオールとから既知の方法により製造することができる。
【0028】
好ましい出発ポリオールBは、500〜10000g/mol(ダルトン)の平均分子量を有する。この出発ポリオールBの平均分子量の範囲は、好ましくは1000〜4000ダルトンである。中心ブロックBは、好ましくはDMC触媒作用、1以上のホスファセンおよび/またはポルフィリン誘導体、あるいはアルカリ金属触媒、特にセシウム触媒を用いた触媒作用により、好ましくはDMC触媒作用によりプロポキシ化される。
【0029】
製造されるポリエーテルブロックコポリマーにおける特に有利な粘弾性は、出発ポリオールB上で重合する中心ブロックBとポリオキシプロピレンポリマーブロックAのいずれもが狭いモル質量分布およびそれによる低多分散性を有する場合に達成される。これは、例えば、いわゆる金属シアン化物(DMC)触媒をアルコキシ化触媒として使用することにより達成される。そのようなDMC触媒の例は、亜鉛ヘキサシアノコバルテート(II)、亜鉛ヘキサシアノフェレート(II)、亜鉛ヘキサシアノフェレート(III)、ニッケル(II)ヘキサシアノフェレートおよびコバルト(II)ヘキサシアノコバルテート(III)である。これらのDMC触媒は、文献に記載されている。
【0030】
本発明のポリオキシプロピレンブロックAの重合にとりわけ適するDMC触媒は、下記一般式を有するものである:
[M(CN)(A)]・w M・xHO・yL・zH (II)
〔式中、Mは、Zn(II)、Fe(II)、Co(II)、Ni(II)、Mn(II)、Cu(II)、Sn(II)、またはPb(II)から選択される少なくとも1つの二価の金属原子を示し、Mは、少なくとも1つの二価、三価、四価若しくは五価の金属Fe(II)、Fe(III)、Co(III)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ir(III)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)またはV(V)を表す。式中のMは、Mおよび/またはMであってよく、A、DおよびEは、それぞれ、アニオンを示し、それらは同じであっても異なっていてもよい。Lは、アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、アミド、ニトリル若しくはスルフィドまたはそれらの混合物から選択される溶媒リガンドである。aおよびdは式(II)中の二金属シアン化物部分のMおよびMの価に相当する数であり、eはMの価に相当する整数である。nおよびmは、HEの電気的中性を作る整数であり、wは0.1〜4の数であり、xは20までの数である。yは0.1〜6の数であり、zは0.1〜5の数である。
【0031】
本発明の重合によりポリオキシプロピレンポリマーブロックAへの添加に適しているものは、上述した種類の二金属シアン化物から構成されるDMC触媒複合体、有機配位剤、溶解性金属塩、ポリエーテルポリオールおよび有機ポリイソシアネートである。
【0032】
DMC触媒作用により達成し得る特に狭い分子量分布に加えて、この方法により製造されるポリエーテルブロックコポリマーは、達成し得るより高い平均分子量およびポリマー鎖の末端における非常に少ない二重結合でも注目される。ポリオキシプロピレン単位ブロックAと中心ブロックBは、一般に、2.5未満の、好ましくは1.0〜2.0の、特に好ましくは1.1〜1.5の多分散性
PD(Mw/Mn)を有する。
【0033】
構造B−(A−OH)の本発明のポリエーテルブロックコポリマーは、好ましくは4000〜40000g/mol(ダルトン)の分子量(Mn)およびDIN53783に従う3〜56mgKOH/g、好ましくは6〜20mgKOH/gのOH価を有する。
【0034】
また、本発明の主題は、構造B−(A−OH)の本発明の少なくとも1種のポリエーテルブロックコポリマーと、本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含む少なくとも1種の成分との反応により得られる組成物である。この種類の組み合わせにより、相分離および領域分離を抑制することができる。
【0035】
本発明によると、「物質条件において適合する」とは、関連ポリマー配列が、互いに同じように結合する同一のモノマーから構成されることを意味すると理解される。したがって、関連ポリマー配列は同一の化合物名を用いて呼ばれる。しかしながら、用語「物質条件において適合する」は、モノマーの数、特にモル質量に起因するパラメータを含まない。したがって、本発明の方法において、第2成分は、ポリオキシプロピレンおよび/または構造B−(A−OH)の本発明のポリエーテルブロックコポリマー内の中心ポリマーブロックBから形成される上述したポリマーの1つを含有することができ、このポリマー配列は確実に異なる分子量を示し得る。
【0036】
本発明によると、構造B−(A−OH)の本発明の少なくとも1つのポリエーテルブロック、本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含む少なくとも1種の成分と、全成分のNCO/OHモル比に基づき、化学量論的に過剰量で用いられる少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネートの反応により得られる組成物が好ましい。
【0037】
a)構造B−(A−OH)の本発明の少なくとも1つのポリエーテルブロック、b)少なくとも1種のポリカルボン酸、少なくとも1種の短鎖ジオール、および少なくとも1種のポリオールから作られる少なくとも1つのヒドロキシ官能性ブロックコポリエステルであって、ポリオールが本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含むヒドロキシ官能性ブロックコポリエステル、ならびにc)全成分のNCO/OHモル比に基づき、化学量論的に過剰量で用いられる少なくとも1つのジイソシアネートまたはポリイソシアネートの反応により得られる組成物が特に好ましい。この種類の組成物は、例えば、ホットメルト接着剤および/またはコーティング物質のベースとして特に適する。
【0038】
「ヒドロキシ官能性」は、関連成分が少なくとも2つの反応性OH基を有していることを意味すると理解される。
【0039】
反応させる成分全体で、ASTM D4671の方法を用いて測定した末端不飽和は、0.07meq/g未満の、特に0.04meq/g未満の、好ましくは0.02meq/g未満である。
【0040】
本発明において、適するポリイソシアネートは、トルイレンジイソシアネート(TDI)の全ての異性体、単一の異性体若しくは複数の異性体の混合物のいずれか、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメチレンジイソシアネート、およびそれらの混合物、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4,4’−ジシクロヘキシルメチレンジイソシアネート(H12MDI)、1−イソシアナトメチル−3−イソシアナト−1,5,5−トリメチルジイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、IPDI)、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート(HXDI)、1−メチル−2,4−ジイソシアナトシクロヘキサン、ヘキサン−1,6−ジイソシアネート(HDI)、m−若しくはp−テトラメチルキシレンジイソシアネート(m−TMXDI、p−TMXDI)、または前記ジイソシアネートの混合物からなる群から選択されるジイソシアネートである。ポリ−またはジ−イソシアネートを、1.05〜6:1(NCO/OH基のモル/モル比)の化学量論的に過剰量で使用することがより好ましい。
【0041】
反応終了後、過剰量のモノマーポリイソシアネートを、好ましくは蒸留、抽出、クロマトグラフィーまたは結晶化法を用いて反応混合物から除去する。特に好ましくは、残留モノマー若しくは残留モノマー混合物の除去は、薄膜蒸留、短経路蒸留により、任意に高真空下、または不活性ガスを逆流させることにより行い、0.1重量%未満の残留モノマー含量を達成する。上述した2以上の分離方法を使用することもできる。
【0042】
ブロックコポリエステルを製造するためのポリカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジ安息香酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、p−オキシ(p−カルボキシフェニル)安息香酸、エチレン−ビス(p−オキシ安息香酸)、エチレン−ビス−(p−安息香酸)、テトラメチレン−ビス(p−オキシ安息香酸)、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’−スルホニルジ安息香酸、インデンジカルボン酸、ならびにそれらの核置換誘導体、例えば、C1〜C10アルキル基、ハロゲンアルコキシ、またはアリール誘導体、p−(β−ヒドロキシエトキシ)安息香酸、またはそれらの混合物から選択される芳香族ジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸の割合がジカルボン酸混合物の少なくとも75重量%を占めることが好ましい。場合により、脂肪族または脂環式ジカルボン酸の一部を、ポリエステルエーテルブロックコポリマーを製造するために使用することもできる。
【0043】
C2〜C12アルカンジオール、好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールまたはそれらの混合物を、ブロックコポリエステルの短鎖ジオール化合物として好ましく使用する。
【0044】
ブロックコポリエステルを構成するために用いられ、本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含む少なくとも1つのポリオールは、好ましくは、「出発化合物B」として上述したポリマーに対応するポリオキシプロピレングリコールまたはポリマーであるが、それは分子量に関して適合する必要はない。しかしながら、また、ポリオールについて、「出発化合物B」に相対するただ唯一のポリマー配列を含むことができる。この種類の配列は、例えばブロックコポリマー構造内に存在することができ、本発明において、物質的におよびそれらの分子量において他のブロックは、構造B−(A−OH)の本発明のポリエーテルブロックコポリマーの成分と確実に異なってもよい。文言「物質的に」は、上述した意味において、モノマー化学的特性およびそれらの結合を包含するが、それらの数、それ故に分子量は包含しない。
【0045】
a)本発明の少なくとも1つのポリエーテルブロックコポリマー、b)少なくとも1種のポリカルボン酸、少なくとも1種の短鎖ジオール、および少なくとも1種のポリオールから作られる少なくとも1つのヒドロキシ官能性ブロックコポリエステルであって、ポリオールが本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含むヒドロキシ官能性ブロックコポリエステル、c)ポリカルボン酸および短鎖ジオールから作られる少なくとも一つのヒドロキシ官能性ポリエステル、およびd)全成分のNCO/OHモル比に基づき、化学量論的に過剰量で用いられる少なくとも1つのポリイソシアネートの反応により得られる組成物が特に好ましい。ポリカルボン酸および短鎖ジオールから作られるポリエステルの好ましい成分として、ブロックコポリエステルに関連して述べたものを適用する。
【0046】
本発明の組成物において、本発明のポリエーテルブロックコポリマーa)の中心ブロックBは、好ましくはポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチレン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、またはポリウレタン単位から構成される。特に好ましくは、本発明のポリエーテルブロックコポリマーa)の中心ブロックBは、ポリオキシテトラメチレン(ポリ−THF)またはポリオキシエチレン単位から構成される。この結果、適合構成要素としてポリオキシアルキレンを含む本発明の組成物を製造される。このような構造は、これにより製造される接着剤またはコーティング剤の軟性を有利に改善する。さらに、ポリオキシアルキレン構造はブロックコポリエステルの成分において使用されることが多いため、中心ブロックBのポリオキシアルキレン単位およびポリエーテルブロックコポリマーのブロックAのポリオキシプロピレン単位は、種々のブロックコポリエステルに使用する幅広いベースを作り出す。物質条件に適合する構造を作り出すための多数の能力が、それにより得られる。
【0047】
本発明の組成物は、反応性溶融接着剤および/またはコーティング物質として特によく適しており、製造中または最終生成物のいずれにおいても相分離および領域分離を示さない。
【0048】
本発明のさらなる主題は、一般構造B−(A−OH)の本発明の少なくとも1種のポリエーテルブロックコポリマーと、本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含む少なくとも1種の成分とを互いに反応させることを特徴とする組成物の製造方法である。
【0049】
本発明の方法の好ましい実施態様において、一般構造B−(A−OH)の本発明の少なくとも1種のポリエーテルブロックコポリマーと、本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含む少なくとも1種の成分と、全成分のNCO/OHモル比に基づき、化学量論的に過剰量で用いられる少なくとも1つのポリイソシアネートとを互いに反応させる。
【0050】
特に、少なくとも、a)構造B−(A−OH)の本発明の1つのポリエーテルブロック、b)少なくとも1種のポリカルボン酸、少なくとも1種の短鎖ジオール、および少なくとも1種のポリオールから作られる少なくとも1つのヒドロキシ官能性ブロックコポリエステルであって、ポリオールが本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含むヒドロキシ官能性ブロックコポリエステル、およびc)全成分のNCO/OHモル比に基づき、化学量論的に過剰量で用いられる少なくとも1つのポリイソシアネートとを互いに反応させる。本発明の方法に従い製造される組成物は、特にホットメルト接着剤および/またはコーティング物質に対するベースとして非常に適している。
【0051】
本発明の方法において、a)本発明の少なくとも1つのポリエーテルブロックコポリマー、b)少なくとも1種のポリカルボン酸、少なくとも1種の短鎖ジオール、および少なくとも1種のポリオールから作られる少なくとも1つのヒドロキシ官能性ブロックコポリエステルであって、ポリオールが本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含むヒドロキシ官能性ブロックコポリエステル、c)ポリカルボン酸および短鎖ジオールから作られる少なくとも一つのヒドロキシ官能性ポリエステル、およびd)全成分のNCO/OHモル比に基づき、化学量論的に過剰量で用いられる少なくとも1つのポリイソシアネートとを反応させることにより組成物を製造することが特に好ましい。ポリカルボン酸および短鎖ジオールから作られるポリエステルの好ましい成分として、ブロックコポリエステルに関連して述べたものを適用する。
【0052】
本明細書において記載する方法に代えて、前記方法を用いて得られる各組成物に代えて、本発明によれば、第1段階において、構造B−(A−OH)の本発明の1つのポリエーテルブロックと、NCO基とOH基のモル比に基づき化学量論的に過剰量の少なくとも1つのポリ−またはジイソシアネートを反応させることができる。それにより得られる生成物を、本発明の組成物を得るために、さらに上記実施態様に従って、ポリオールが本発明のポリエーテルブロックコポリマーの構造AまたはBに、物質条件において適合する少なくとも1つのポリマー配列を含む少なくとも1つの成分、および任意にさらなるジ−またはポリイソシアネートならびに別の成分と反応させる。
【0053】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つの本発明の組成物または本発明の方法により製造される組成物を含む調製物である。
【0054】
本発明の調製物は、本発明の組成物に加えて、この調製物に改善された弾力性、改善された弾性回復性、十分に長い加工時間、速い硬化時間、および低い残留粘性を与えるさらなる助剤および添加剤を含有することができる。中でも、助剤および添加剤は、例えば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、フィラー、反応性希釈剤、乾燥剤、粘着付与剤、およびUV安定剤、レオロジー助剤、着色顔料若しくは着色ペースト、および/または任意に少量の溶剤である。
【0055】
適当な可塑剤は、アジピン酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライイン酸エステル、安息香酸エステル、酪酸エステル、酢酸エステル、炭素数約8〜約44の高級脂肪酸の、OH基含有若しくはエポキシ化脂肪酸のエステル、脂肪酸エステルおよび脂肪、グリコール酸エステル、リン酸エステル,、フタル酸エステル、炭素数1〜12の直鎖若しくは分枝アルコール、プロピオン酸エステル、セバシン酸エステル、スルホン酸エステル(例えば、「Mesamoll」、アルキルスルホン酸フェニルエステル、Bayer社)、チオ酪酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、およびニトロセルロースおよびポリ酢酸ビニルに基づく、ならびに2以上のそれらの混合物である。アジピン酸と2−エチルヘキサノールの非対称エステル(Edenol DOA、Cognis Deutschland GmbH、デュッセルドルフ)、またはアビエチン酸も特に適する。
【0056】
中でも適するフタル酸エステルは、フタル酸ジオクチル(DOP)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソウンデシル(DIUP)、またはフタル酸ブチルベンジル(BBP)あるいはそれらの水素化誘導体;および、適するアジピン酸エステルは、アジピン酸(DOA)、アジピン酸ジイソデシル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチルまたはオレイン酸ブチルである。
【0057】
1価の直鎖状または分枝状C4-16アルコールの純粋または混合エーテル、あるいは該アルコールの2種以上の異なるエーテルの混合物、例えばジオクチルエーテル(Cetiol OEとして入手可能、Cognis Deutschland GmbH、デュッセルドルフ)も、可塑剤として適当である。
【0058】
末端キャップ化ポリエチレングリコール、例えばポリエチレングリコールのC1-4-アルキルエーテルまたはポリプロピレングリコールのC1-4-アルキルエーテル、特にジエチレングリコールおよびジプロピレングリコールのジメチルエーテルまたはジエチルエーテル、ならびにそれらの2種以上の混合物も可塑剤として適当である。
【0059】
可塑剤に関するさらなる詳細については、工業化学についての関連文献を参照する。
【0060】
可塑剤は、(組成物全体に基づいて)0〜40重量%、好ましくは0〜20重量%で製剤中に追加的に使用することができる。
【0061】
本発明の目的において、「安定剤」は、酸化防止剤、UV安定剤または加水分解安定剤として理解される。それらの例は、市販の通常の立体障害フェノールおよび/またはチオエーテルおよび/または置換ベンゾトリアゾール、例えばTinuvin 327(Ciba Specialty Chemicals)、および/またはヒンダードアミン光安定剤型(HALS型)のアミン、例えばTinuvin 770(Ciba Specialty Chemicals)である。本発明に関して、シリル基を有し、架橋または硬化の際に最終生成物中に組み込まれるUV安定剤を使用する場合が好ましい。この目的には、製品Lowilite 75、Lowilite 77(Great Lakes company、USA)が特に適当である。ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンゾエート、シアノアクリレート、アクリレート、立体障害フェノール、リンおよび/または硫黄を添加することもできる。本発明の製剤は、約2重量%以下、好ましくは約1重量%以下の安定剤を含有してよい。さらに、本発明の製剤は、約7重量%以下、特に約5重量%以下の酸化防止剤をさらに含有してよい。
【0062】
使用可能な触媒は、例えばNCO基の加水分解、および、得られたアミノ基となお存在するNCO基との続く縮合(架橋反応)を触媒することができるあらゆる既知化合物である。それらの例は、チタン酸塩、例えばテトラブチルチタネートおよびテトラプロピルチタネート、カルボン酸錫、例えばジブチル錫ジラウレート(DBTL)、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジエチルヘキサノエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジメチルマレエート、ジブチル錫ジエチルマレエート、ジブチル錫ジブチルマレエート、ジブチル錫ジイソオクチルマレエート、ジブチル錫ジトリデシルマレエート、ジブチル錫ジベンジルマレエート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、錫オクタノエート、ジオクチル錫ジステアレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジエチルマレエート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレエート、ジオクチル錫ジアセテート、および錫ナフテノエート;錫アルコキシド、例えばジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫ジフェノキシド、およびジブチル錫ジイソプロキシド;錫オキシド、例えばジブチル錫オキシドおよびジオクチル錫オキシド;ジブチル錫オキシドとフタル酸エステルとの反応生成物、ジブチル錫ビスアセチルアセトネート;有機アルミニウム化合物、例えばアルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、およびジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート;キレート化合物、例えばジルコニウムテトラアセチルアセトネートおよびチタンテトラアセチルアセトネート;オクタン酸鉛;アミン化合物またはそれらのカルボン酸塩、例えばブチルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、および1,8-ジアザビシクロ-(5,4,0)-ウンデセン-7(DBU)、またはモルホリン誘導体である。適当なモルホリノ化合物の具体例は、N-メチルモルホリン、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、ビス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)-(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)プロピル)アミン、トリス(2-(4-モルホリノ)ブチル)アミン、トリス(2-(2,6-ジメチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2,6-ジエチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、トリス(2-(2-メチル-4-モルホリノ)エチル)アミンまたはトリス(2-(2-エチル-4-モルホリノ)エチル)アミン、ジメチルアミノプロピルモルホリン、ビス-(モルホリノプロピル)メチルアミン、ジエチルアミノプロピルモルホリン、ビス-(モルホリノプロピル)エチルアミン、ビス-(モルホリノプロピル)プロピルアミン、モルホリノプロピルピロリドンまたはN-モルホリノプロピル-N'-メチルピペラジン、ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)またはジ-(2,6-ジメチルモルホリノエチル)エーテルである。触媒(複数の触媒の混合物であることが好ましい)は、製剤の総重量に基づいて0.01〜約5重量%の量で使用することが好ましい。
【0063】
本発明の製剤は、フィラーを追加的に含有することができる。本発明に関して、例えば白亜、石灰粉、沈降ケイ酸および/または焼成ケイ酸、ゼオライト、ベントナイト、炭酸マグネシウム、珪藻岩、アルミナ、粘土、タルク、酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛、砂、石英、フリント、マイカ、ガラス粉、ならびに他の粉砕鉱物物質が適当である。有機フィラー、特にカーボンブラック、グラファイト、木質繊維、木粉、おが屑、セルロース、綿、パルプ、木質チップ、切りわら、もみ殻、クルミ殻粉、および他の短繊維を用いることもできる。ガラス繊維、ガラスフィラメント、ポリアクリロニトリル、炭素繊維、ケブラー繊維、またはポリエチレン繊維などの短繊維も添加してよい。アルミニウム粉末もフィラーとして同様に適当である。
【0064】
沈降ケイ酸および/または焼成ケイ酸は、10〜90m/gのBET表面積を有することが有利である。それらを使用する際、沈降ケイ酸および/または焼成ケイ酸は、本発明の製剤の粘度を増加させないが硬化製剤の強化に寄与する。
【0065】
同様に、より高いBET表面積、有利に100〜250m/g、特に110〜170m/gを有する沈降ケイ酸および/または焼成ケイ酸をフィラーとして使用することが考えられる。より大きいBET表面積を有するために同じ効果(例えば硬化製剤の強化)をより少ない重量割合のケイ酸で達成することができる。したがって、他の要求の観点から本発明の製剤を改善するために、さらなる物質を使用することができる。
【0066】
さらに、鉱物シェルまたはプラスチックシェルを有する中空球は、フィラーとして適当である。これらは、例えばGlass Bubbles(登録商標)の商品名で市販されている中空ガラス球であり得る。プラスチック系中空球、例えばExpancel(登録商標)またはDualite(登録商標)は、例えば欧州特許第0520426号に記載されている。これらは、無機物質または有機物質からなり、それぞれ1mm以下、好ましくは500μm以下の直径を有する。
【0067】
製剤にチキソトロピー性を付与するフィラーは、多くの用途において好ましい。このようなフィラーはレオロジー助剤としても記載されており、例えば水素添加ヒマシ油、脂肪酸アミドまたはPVCなどの膨潤性プラスチックである。適当な分注装置(例えばチューブ)から組成物を容易に押し出すために、組成物は3000〜15,000、好ましくは40,000〜80,000mPas、または50,000〜60,000mPasの粘度を有する。
【0068】
フィラーは、製剤の総重量に基づいて0〜80重量%、好ましくは5〜60重量%の量で用いることが好ましい。
【0069】
適当な顔料の例は、二酸化チタン、酸化鉄またはカーボンブラックである。
【0070】
保存期間をさらに長くするために、水分の浸透に対して乾燥剤を使用し、本発明の製剤をさらに安定化することが有効である場合が多い。
【0071】
適当な接着促進剤は、いわゆる粘着付与剤であり、例えば炭化水素樹脂、フェノール樹脂、テルペン-フェノール性樹脂、レゾルシノール樹脂またはそれらの誘導体、変性樹脂酸、未変性樹脂酸、変性樹脂エステルまたは未変性樹脂エステル(アビエチン酸誘導体)、ポリアミン、ポリアミノアミド、無水物、および無水物含有コポリマーである。ポリエポキシド樹脂を少量添加することによっても、多くの基材における接着を改善することができる。したがって、微粉形態の700より大きい分子量を有する固形エポキシ樹脂をこのために使用することが好ましい。有機官能性シランも、接着促進剤として同様に適当であり、アミノアルキルアルコキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリアルコキシシラン、3-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、3-アミノプロピルトリアルコキシシラン、N-アミノエチル-3-アミノプロピルメチルジアルコキシシラン、フェニルアミノプロピルトリアルコキシシラン、アミノアルキルトリアルコキシジシラン、またはイソブチルメトキシシラン、ならびにビニルトリアルコキシシランの例を用いて本明細書に記載し得る。ここで、アルコキシ基は原則としてC1〜C4アルコキシ基である。粘着付与剤を接着促進剤として使用する場合、その種類および量は、接着剤/シーラント組成物および後に塗布する基材によって決まる。通例の粘着付与樹脂(粘着付与剤)、例えばテルペン-フェノール性樹脂または樹脂酸誘導体は、製剤の組成物全体に基づいて5〜20重量%の濃度で使用し、通例の接着促進剤、例えばポリアミン、ポリアミノアミド、有機官能性シラン、またはフェノール性樹脂またはレゾルシノール誘導体は、製剤の組成物全体に基づいて0.1〜10重量%の範囲で使用する。
【0072】
ホットメルト製剤、特に本発明の組成物に基づくホットメルト製剤は、非反応性熱可塑性ポリマーを含有することができる。使用可能な非反応性熱可塑性ポリマーは、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性ポリエステルブロックコポリマー、熱可塑性ポリエーテルアミド、またはエチレン性不飽和モノマーの低分子量ポリマーである。それらの具体例は、以下のモノマーの1種以上の(コ)ポリマーである:アクリル酸またはメタクリル酸のC〜C18アルキルエステル、アクリル酸、メタクリル酸、エチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ビニルエーテル、フマル酸アルキル、マレイン酸アルキル、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリルおよび/またはブタジエンまたはイソプレン、ならびに名称の最後がジエンのコポリマーの水素化生成物、例えばスチレン-エチレン-プロピレンまたはスチレン-エチレン-ブチレンジブロックコポリマーまたはトリブロックコポリマー。これらの熱可塑性物質は、通常、比較的低分子量を有する。本発明に関して「低分子量」は60,000未満の平均分子量を意味し、このような熱可塑性ポリマーの分子量は好ましくは10,000〜40,000である。ツェレビチノフ活性水素を実質的に含有しないあらゆる熱可塑性物質が、本発明の目的において「非反応性」である。
【0073】
溶融接着剤として適当な本発明の製剤は、粘着付与樹脂、例えばアビエチン酸、アビエチン酸エステル、テルペン樹脂、テルペン-フェノール性樹脂、ポリ-α-メチルスチレン、または脂肪族、芳香族または芳香族/脂肪族の炭化水素樹脂またはクマリン/インデン樹脂をさらに含有し得る。これらの粘着付与樹脂は、それらと任意に存在するジイソシアネートまたはポリイソシアネートとを反応させることにより溶融接着剤の結合剤マトリックス中に組み込むことができるように、活性水素原子を任意に含有してよい。それらの具体例は、アビエチン酸のヒドロキシ官能性エステルまたはヒドロキシ化テルペン-フェノール性樹脂である。さらなる溶融接着剤組成物に常套の成分は、フィラー(例えばケイ酸塩、タルク、炭酸カルシウム、粘度またはカーボンブラック)、チキソトロピー剤(例えばベントン、焼成ケイ酸、尿素誘導体、フィブリル化繊維またはパルプ短繊維)、着色ぺーストまたは顔料、または導電性添加剤、例えば導電性カーボンブラックまたは過塩素酸リチウムである。
【0074】
本発明の製剤の製造は既知の方法にしたがい、適当な分散装置、例えば高速ミキサー、ニーダー、遊星形ミキサー、遊星形ディゾルバー、密閉式ミキサー、いわゆる「バンバリー」ミキサー、二軸スクリュー押出機、および当業者に既知の同様の混合装置中で成分を均質混合することにより達成されることが好ましい。
【0075】
本発明の製剤の好ましい一態様は、
・本発明の組成物、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは20〜45重量%、
・非反応性熱可塑性ポリマー、0〜30重量%、好ましくは5〜15重量%、
・粘着付与樹脂、0〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、および
・任意に、フィラー、チキソトロピー剤、着色顔料、導電性添加剤、安定剤および老化防止剤ならびに接着促進添加剤の群から選択される、さらなる助剤および添加剤
を含有し、全製剤成分の合計が100重量%である。
【0076】
湿分硬化型接着剤および/または封止剤またはコーティング剤をこれらのプレポリマーと上記の助剤および添加剤とから製造できるように、本発明によりそれぞれ製造される本発明の組成物は、それぞれ周囲大気中の水分で硬化しポリマーを与えるプレポリマーを表すプレポリマーを含有することが好ましい。
【0077】
本発明のさらなる主題は、本発明の製剤の、特に組立て結合、面結合および/またはコーティング用の、反応性溶融接着剤としての使用である。本発明の製剤は、さらに、紙、プラスチックフィルム、金属箔、繊維製品、不織布、または他のウェブ形態材料(これに関し、上記他のウェブ形態材料は、任意に、印刷および/または塗装されていてよい)を組立て結合、面結合および/またはコーティングするための、一成分系または二成分系の溶媒不含有または溶媒含有貼合せ用接着剤として使用するのに適当である。
【0078】
原則として、本明細書中において上記に述べた全ての特徴、特に上記態様、割合範囲、成分、および好適および/または特別であるとして記載した本発明の主題の他の特徴は、考えられるあらゆる組合せで互いに矛盾することなく本発明において実施することができ、好適および/または特別であるとして特定した特徴の組合せも、同様に、好適および/または特別であると考えられる。
【0079】
以下の実施態様においては、本発明をさらに説明することを意図し、例の選択は本発明の主題の範囲を何ら限定するものではない。
【実施例】
【0080】
DMC触媒は、ShellによりUS4,477,589の実施例6に記載されるように、促進させた変法で製造する。
【0081】
〔(本発明による)ポリエーテルブロックコポリマー1:PPG-pTHF2000-PPGブロックコポリマー、m/w4000の製造〕
ポリ-THF(M2000)250gを2リットルの反応器中に準備し、一晩加熱した。次いで、混合物にDMC触媒200ppmを添加し、3回脱気し、プロピレンオキシド250gを110℃で4時間かけて添加した。添加後に撹拌を1時間続け、安定化用ラジカルスカベンジャー(例えばIrganox 1010)300ppmとともに混合物をデカントした。ポリエーテルブロックコポリマー1は、45℃の融解範囲において28のOH価を有する。
【0082】
〔(本発明による)ポリエーテルブロックコポリマー2:PPG-pTHF2000-PPGブロックコポリマー、m/w8000の製造〕
ポリ-THF(M2000)83gを2リットルの反応器中に準備し、一晩加熱した。次いで、混合物にDMC触媒200ppmを添加し、3回脱気し、プロピレンオキシド470gを110℃で4時間かけて添加した。添加後に撹拌を1時間続け、安定化用ラジカルスカベンジャー300ppmとともに混合物をデカントした。
【0083】
ポリエーテルブロックコポリマー2は、室温で12,800mPasの粘度で14のOH価を有する。
【0084】
〔ポリウレタンホットメルト〕
ホットメルト接着剤は、次のベース組成物に基づいて製剤化する(重量%にて表示):
40%α-メチルスチレン樹脂
10%ブロックコポリエステル(表1による)
10%エチルビニルアセテート(50%VAc)
15%ポリオール(表1による)
15%ヒドロキシ基含有脂肪族ポリエステル(Dynacoll 7360)
10%4,4'-メチレンビス(フェニルイソシアネート)(MDI)。
【0085】
【表1】
【0086】
表1から次のことが明らかである:ブロックコポリエステル中にポリマー配列を含有しないポリオールを用いると、分離現象が生じる。ここで、このことは、ブロックコポリエステルの融点より高い温度でさえ、ブロックコポリエステルはさらなる成分の混合物中に初めは非常にわずかに溶解するが、遅くともその融点未満の温度にすると再び沈殿する(相分離)。分離相の各領域は、完成したホットメルト接着剤中にも存在する。一方、本発明のポリエーテルブロックコポリマーを使用すると、成分は互いに非常に容易に溶解する。したがって、反応前、反応後のいずれにおいても、または、完成接着剤中においても分離が生じない。