特許第5955785号(P5955785)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955785レベリング剤を含有する金属電解めっき用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955785
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】レベリング剤を含有する金属電解めっき用組成物
(51)【国際特許分類】
   C25D 3/38 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   C25D3/38 101
【請求項の数】18
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2012-557558(P2012-557558)
(86)(22)【出願日】2011年3月17日
(65)【公表番号】特表2013-522468(P2013-522468A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】EP2011054077
(87)【国際公開番号】WO2011113908
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年3月13日
(31)【優先権主張番号】10156915.0
(32)【優先日】2010年3月18日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/315,051
(32)【優先日】2010年3月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】レーゲル‐ゲプフェルト,コルネリア
(72)【発明者】
【氏名】レーテル,ロマン ベネディクト
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】エムネット,ヒャーロッテ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,ディーター
【審査官】 向井 佑
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−048646(JP,A)
【文献】 特開昭51−104442(JP,A)
【文献】 特開2001−003191(JP,A)
【文献】 特開2003−082493(JP,A)
【文献】 特開2009−114548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 3/00〜 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属イオン源と少なくとも一種のポリアルキレンイミン骨格を持つ添加物又は該添加物のポリアルキレンイミン骨格中に存在するアミノ基がプロトン化若しくは四級化されたものとを含む組成物であって、
前記ポリアルキレンイミン骨格は、末端アミノ基を持ち、二級及び三級アミノ基を通して連結された飽和炭化水素鎖であり、
前記プロトン化若しくは四級化は、前記アミノ基のアルキル化、アルケニル化又はアルキニル化であり、
前記金属イオン源は銅イオン源であり、該ポリアルキレンイミン骨格の分子量Mwが300g/mol〜1000000g/molであり、該骨格中のN水素原子がポリオキシアルキレン基で置換され、該ポリオキシアルキレン基のオキシアルキレン単位の平均数がN−H単位当り1.5〜10である組成物。
【請求項2】
上記ポリオキシアルキレン基中のオキシアルキレン単位の平均数がN−H単位当り2〜8である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
上記少なくとも一種の添加物が、式L1:
【化1】
[式中、Rは、直鎖状のC−Cアルカンジイルと分岐状のC−Cアルカンジイルから選ばれ、
は、分岐による前記ポリアルキレンイミン骨格の鎖構造の延長部であり、
は、前記ポリアルキレンイミン骨格中の前記二級アミノ基のN水素原子の一部が置換された基であるとともに、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリール及びこれらの混合物から選ばれ、
は、式−(RO)のポリオキシアルキレン単位であり、
は、各々のnに対して独立して、エタンジイル、1,2−プロパンジイル、(2−ヒドロキシメチル)エタンジイル、1,2−ブタンジイル、2,3−ブタンジイル、2−メチル−1,2−プロパンジイル(イソブチレン)、1−ペンタンジイル、2,3−ペンタンジイル、2−メチル−1,2−ブタンジイル、3−メチル−1,2−ブタンジイル、2,3−ヘキサンジイル、3,4−ヘキサンジイル、2−メチル−1,2−ペンタンジイル、2−エチル−1,2−ブタンジイル、3−メチル−1,2−ペンタンジイル、1,2−デカンジイル、4−メチル−1,2−ペンタンジイル、(2−フェニル)エタンジイルから選ばれ、
は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、あるいはアリールであり、
pは、整数であり
qとnとmとoは、整数であり、(q+n+m+o)は10〜24000である]
で表されるポリアルキレンイミンであるか、又はそのアミノ基のプロトン化若しくは四級化により得られる誘導体であり、
前記式L1で表される添加物における前記ポリオキシアルキレン基のオキシアルキレン単位の平均数がN−H単位当り1.5〜10である請求項1又は2に記載の組成物。
請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
Rが、エタンジイル及び1,2−プロパンジイルから選ばれる請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
が、エタンジイル及び1,2−プロパンジイルから選ばれる請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
が水素である請求項3〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
pが2〜5である請求項3〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
pが2〜3である請求項3〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
q+n+m+oが15〜10000である請求項3〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
q+n+m+oが20〜5000である請求項3〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
q+n+m+oが25〜65または1000〜1800である請求項3〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
oが0である請求項3〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
さらに一種以上の加速剤を含む請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
さらに一種以上の抑制剤を含む請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に規定された組成物を金属含有層を析出させる浴中で使用する方法。
【請求項16】
a)請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物を含む金属めっき浴を基材と接触させる工程、
b)該基材上に金属の層を析出させるために十分な期間、該基材に電流密度を印加する工程からなる基材上に金属層を析出させる方法。
【請求項17】
上記基材が、マイクロメートル又はサブマイクロメートルサイズの深さの空隙を有する構造物を含み、
上記析出が該マイクロメートル又はサブマイクロメートルサイズの深さの空隙を有する構造物を充填するために行われる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
上記マイクロメートル又はサブマイクロメートルサイズの深さの空隙を有する構造物が、1〜1000nmの大きさ及び/又は4以上のアスペクト比を有する請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ビア孔や溝などの微小構造物の銅電解めっきでの充填は、半導体製造プロセスに必須の要素である。電解めっき浴中に添加物として有機物質が存在することが、基材表面上に均一な金属を付着させるのに、またボイドやしわなどの欠陥を防ぐのに極めて重要であることがわかっている。
【0002】
添加物の一種が、いわゆるレベラーである。レベラーは、充填された物体上に実質的に平面状の表面を与えるのに使われる。文献には、いろいろ異なるレベリング化合物が記載されている。多くの場合、レベリング化合物は、Nを含む、必要なら置換された及び/又は四級化されたポリマーであり、例えばポリエチレンイミンやポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン(スルホン化された)、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン−コ−ホルムアルデヒド)(US2004/0187731)、アミンとエピクロロヒドリンの反応生成物(US6610192)、アミンとエピクロロヒドリンとポリアルキレンオキシドの反応生成物(EP1371757A1)、アミンとポリエポキシド(EP1619274A2)、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール(US2003/0168343A1)、ポリビニルピロリドン(US6024857)、ポリアルカノールアミン(未公開欧州特許出願No.08172330.6)の反応生成物、ポリアミノアミド(未公開US仮出願特許No.61/264705)である。
【0003】
ポリアルキレンイミンとその誘導体は、金属電解めっきにおいて何十年にもわたり広く使用されている。US05972192A1とWO00163016A1には、ポリエチレンイミンそのものの利用が開示されている。EP01054080A2とUS4376685には、アルキル化ポリアルキレンイミンが開示されている。EP01118696A1には、ポリエチレンイミンとポリベンジルエチレンイミンが開示されている。US4110176A1には、ポリアルキレンイミンを、二個の窒素原子に対して1〜2当量の(即ち、N−H当り0.5〜1当量の)エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはグリシジルエーテルで四級化した反応生成物が開示されている。
【0004】
US2003/0168343A1には、塩化ベンジルをヒドロキシエチルポリエチレンイミンと、塩化ベンジルをポリエチレンイミンと、また1−クロロメチルナフタレンをヒドロキシエチルポリエチレンイミンと反応させて製造されたサブミクロンサイズの構造物用のレベラーが開示されている。これらの反応生成物は、それぞれベンジルヒドロキシエチルポリエチレンイミンと、ベンジルポリエチレンイミン、メチルナフチルヒドロキシエチルポリエチレンイミンである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】US2004/0187731
【特許文献2】US6610192
【特許文献3】EP1371757A1
【特許文献4】EP1619274A2
【特許文献5】US2003/0168343A1
【特許文献6】US6024857
【特許文献7】US05972192A1
【特許文献8】WO00163016A1
【特許文献9】EP01054080A2
【特許文献10】US4376685
【特許文献11】EP01118696A1
【特許文献12】US4110176A1
【特許文献13】US2003/0168343A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れたレベリング性を持つ銅電解めっき添加物を提供することであり、特に、限定されないがボイドなどの欠陥を実質的に形成することなく、金属電解めっき浴、好ましくは銅電解めっき浴を用いて、実質的に平面的な銅層を形成し、且つナノメートルスケール及びマイクロメートルスケールの構造物(features)を充填できるレベリング剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに、ポリアルコキシ化ポリアルキレンイミンとその誘導体が、優れた性能を示す、特に空隙が30nm未満である基材に優れた性能を示す金属電解めっき浴、特に銅電解めっき浴中の添加物として、特にレベリング剤として使用できることが明らかとなった。
【0008】
したがって、本発明は、一種の金属イオン源と少なくとも一種のポリアルキレンイミン骨格をもつ添加物とからなる組成物であって、該ポリアルキレンイミン骨格の分子量Mwが300g/mol〜1000000g/molであり、主鎖中のN水素原子がポリオキシアルキレン基で置換され、該ポリオキシアルキレン基中のオキシアルキレン単位の平均数がN−H単位当り1.5〜10である組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】半導体集積回路基材上への銅電着の一般的なプロセスを説明するための概略断面図である。
図2】半導体集積回路基材上への銅電着の一般的なプロセスを説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書において、「平均アルコキシル化度」または「平均アルコキシル化数」は、ポリオキシアルキレン単位で平均したN−H基当りのアルコキシ基R−Oの数1〜pを意味し、例えば数字2は、ポリマー中にN−H基当り2個のアルコキシ基があることを意味する。
【0011】
本発明の組成物を電解めっきに使用すると、オーバーめっきの少ない、特に隆起の少ない析出金属層、特に析出銅層を得ることができることがわかった。非常に広い範囲のいろいろな空隙径(径:≦130nm〜2μm)の空隙を示す基材上でも、本発明で得られる金属層は実質的に平面状である。また、本発明により、ボイドなどの欠陥を実質的に含まない金属層を構造物中に与えることができることがわかった。
【0012】
本発明の薬剤/添加物は、シリコン貫通電極(TSV)での銅電解めっきにさらに好ましく用いることができる。このような電極は、通常数μm〜100μmの径をもち、少なくとも4、場合によっては10の大きなアスペクト比をもつ。
【0013】
また、本発明の薬剤/添加物は、バンプ形成プロセス用の、通常50〜100μmの高さと直径を持つ銅ピラーの製造などのボンディング技術で好ましく使用でき、またマイクロビアめっき技術またはスルーホール技術を用いるプリント基板上への高密度接続子の形成などの回路基板技術で、あるいは他の電子回路の実装プロセスで好ましく使用できる。
【0014】
このレベリング効果のもう一つの大きな長所は、析出後の作業で除く必要のある材料の量が減ることである。例えば、下にある構造物を露出させるために化学機械研磨(CMP)が用いられる。本発明の一定レベルでの析出は、析出金属量の減少につながり、したがって後のCMPでの除去量の減少につながる。除去する金属の量が減少し、またより重要なことに、CMP運転に必要な時間が減少する。材料除去操作もまたより温和となり、このため所要時間が減少するとともに、この材料除去操作で欠陥が発生しにくくなる。
【0015】
先行技術の添加物とは対照的に、本発明の添加物は、1.5〜10と高い平均アルコキシル化度でポリアルコキシ化されている。
【0016】
低アルコキシル化度は、添加物中での高窒素含量につながる。
【0017】
特に何らかの理論にこだわるのではないが、一方では、マイクロメートルまたはナノメートルサイズの構造物を含む基材上で優れたレベリング性能を発揮させるためには、添加物中の窒素含量が十分に高いことが必要であると考えられている。他方、添加物中の窒素含量が高すぎると、サブミクロン構造物中に、特にサブ100ナノメートル構造物中にボイドなどの欠陥形成が起こる。
【0018】
高アルコキシル化度は、添加物の低窒素含量につながる。平均アルコキシル化度が1.5〜10であるポリアルキレンポリアミンが、低窒素含量にも関わらず良いレベリング性能を示し、このような添加物が、新たな加わった欠陥のない、特に100nm径以下の空隙中に新たな欠陥のない金属析出物を与えると考えられている。
【0019】
上記ポリオキシアルキレン基中のオキシアルキレン単位の平均数は、好ましくはN−H単位当り2〜8であり、好ましくは2〜5、最も好ましくは2〜3である。
【0020】
本発明の一つの好ましい実施様態においては、この添加物が、式1のポリアルキレンイミン:
【化1】
【0021】
またはこの化合物のプロトン化または四級化で得られる誘導体である。
【0022】
なお、式中、
Rは、直鎖状のC2−アルカンジイル、分岐状のC3−アルカンジイル、およびこれらの混合物から選ばれ、
は、ポリアルキレンイミン骨格から分岐した基であり、
は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリール及びこれらの混合物から選ばれ、
は、式−(RO)PRのポリオキシアルキレン単位であり、
は、各nに対して独立して、エタンジイル、1,2−プロパンジイル、(2−ヒドロキシメチル)エタンジイル、1,2−ブタンジイル、2,3−ブタンジイル、2−メチル−1,2−プロパンジイル(イソブチレン)、1−ペンタンジイル、2,3−ペンタンジイル、2−メチル−1,2−ブタンジイル、3−メチル−1,2−ブタンジイル、2,3−ヘキサンジイル、3,4−ヘキサンジイル、2−メチル−1,2−ペンタンジイル、2−エチル−1,2−ブタンジイル、3−メチル−1,2−ペンタンジイル、1,2−デカンジイル、4−メチル−1,2−ペンタンジイル、(2−フェニル)エタンジイル及びこれらの混合物から選ばれ、
は、それぞれ独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリール及びこれらの混合物であり、
pは、1.5〜10の数であり、
qとnとmとoは整数であり、(q+n+m+o)は10〜24000である。
【0023】
好ましくは、Rはエタンジイルである、即ち、ポリアルキレンイミン骨格はポリエチレンイミンから形成される。
【0024】
好ましくは、Rは、エタンジイルまたはエタンジイルと1,2−プロパンジイルの組合せから選ばれる。Rがエタンジイルの場合、基Rは、ポリアルキレンイミン骨格をエチレンオキシドと反応させて得られる。Rがプロパンジイルの場合、基Rは、ポリアルキレンイミン骨格をエチレンオキシドとプロピレンオキシドと、混合物としてあるいは一つずつ反応させて得られる。
【0025】
好ましくは、Rは水素である。
【0026】
好ましくは、pは2〜5であり、特に2〜3である。
【0027】
好ましくは、q+n+m+oは15〜10000であり、特に20〜5000である。より好ましくは、q+n+m+oは25〜65であり、あるいは1000〜1800である。好ましくは、oは0である。好ましくは、qとnとmは、それぞれ1:3〜3:1の比率であり、より好ましくは1:2〜2:1の比率である。
【0028】
好ましくは、上記金属イオンが銅イオンを含む。
【0029】
本発明の他の実施様態では、上述のポリアルコキシ化ポリアルキレンイミンが、金属含有層を析出させるため浴中で使用される。
【0030】
本発明のもう一つの実施様態は、基材に上述のめっき液を接触させて基材上に金属層を析出させ、この基材に電流をかけて基材上に金属層を析出させる方法である。この方法は、マイクロメートル及び/又はサブマイクロメートルサイズの構造物を含む基材上に金属層、特に銅層を析出させるのに特に有用である。
【0031】
強いレベリング性能のため、本発明の添加物はレベリング剤またはレベラーともよばれる。本発明の添加物はサブミクロンサイズの構造物の電解めっきにおいて強いレベリング性を示すが、本発明の添加物の用途と性能は、そのレベリング性に限定されるものではなく、例えばシリコン貫通電極(TSV)の形成などの他の金属めっき用途やそれ以外の目的にも有利に使用できる。
【0032】
本明細書において、「構造物」は、溝やビアなど(特に、これらに限定されるのではない)の基材上の幾何構造物(形状)をいう。「空隙」は、ビアや溝などの窪んだ構造物を言う。
【0033】
本明細書において、特記しない場合、「めっき」は、金属電解めっきをいう。本明細書を通じて、「析出」と「めっき」は同義に用いられる。「アルキル」は、C〜C30アルキルを意味し、直鎖状、分岐状及び環状アルキルを含む。「置換アルキル」は、アルキル基上の1個以上の水素が他の置換基で、例えば、特に限定されないがシアノ、ヒドロキシ、ハロ、(C1−)アルコキシ、(C1−)アルキルチオ、チオール、ニトロ等で置換されたものである。本明細書において、「アリール」は、脂環芳香族系及び複素芳香族系をいい、例えば、特に限定されないがフェニル、ナフチルなどをいう。「置換アリール」は、アリール環上の1個以上の水素が、1個以上の置換基で、例えば、特に限定されないがシアノ、ヒドロキシ、ハロー、(C1−)アルコキシ、(C1−)アルキル、(C2−)アルケニル、(C1−)アルキルチオ、チオール、ニトロ等で置換されていることを意味する。本明細書において、「アルキルアリール」は、アルキル置換された脂環芳香族系と複素芳香族系を含み、例えば、特に限定されないがベンジル、ナフチルメチルなどである。本明細書において、「ポリマー」は、一般的には、少なくとも2種の単量体単位を含むいずれかの化合物を意味する。即ち、ポリマーには二量体や三量体、オリゴマー、高分子量ポリマーが含まれる。
【0034】
本明細書において、「促進剤」は電解めっき浴のめっき速度を増加させる有機添加物をいう。本明細書中では、「促進剤」と「加速剤」は同義で用いられている。文献では、この促進剤成分が「光沢剤」または「増白剤」と呼ばれることもある。「サプレッサー」は、電解めっき浴のめっき速度を低下させる有機化合物をいう。本明細書中では、「サプレッサー」と「抑制剤」は同義で用いられている。「レベラー」は、実質的に平面的な金属層を与えることのできる有機化合物をいう。本明細書中では、「レベラー」と「レベリング剤」と「レベリング添加物」が同義で用いられている。
【0035】
本発明は、ナノメートル及び/又はマイクロメートルスケールの構造物を有する基材上に形成された金属めっき層、特に銅めっき層であって、金属層のオーバーめっきが少なく、すべての構造物に新たな形成されたボイドがほとんどない、好ましくは実質的にボイドを含まないものを提供する。「オーバーめっき」は、構造物の密度が高い領域上に起こる、構造物を含まないか、少なくとも比較的少数の構造物を含む領域に較べてより厚い金属析出をいう。
【0036】
なお「構造物の密度が高い領域」は、比較的に大きな距離で空隙を含む領域と較べて、隣接する構造物間の距離が小さい領域を意味する。「距離が小さい」は、2μm未満の距離を意味し、好ましくは1μm未満、さらに好ましくは500nm未満の距離を意味する。構造物のない領域、あるいは比較的少数の構造物を含む領域のめっき厚とこのような構造物の密度の高い領域のめっき厚の差を、「段高」または「隆起」とよぶ。
【0037】
電子機器の製造、例えば集積回路の製造には、適当な基材が使用される。このような基材は通常、様々な大きさの多数の構造物、特に空隙を含んでいる。特に好適な基材は、ナノメートルスケールの空隙を持つもの、あるいはマイクロメートルスケールの空隙を持つものである。
【0038】
本発明は、金属電解めっき浴、好ましくは銅電解めっき浴に、実質的に平面的な銅層を与え、実質的に、例えば特に限定されないがボイドのような欠陥を形成することなくナノメートルスケール及びマイクロメートルスケールの構造物を充填できる一種以上の添加物を併用して達成される。
【0039】
これらの本発明の添加物(レベリング剤ともいう)は、ポリアルキレンイミン骨格を一種以上のアルキレンオキシドと反応させて製造される。
【0040】
ポリアルキレンポリアミン骨格は、末端アミノ基をもち、二級及び三級アミノ基を通して連結された飽和炭化水素鎖を意味するものとする。もちろん、異なるポリアルキレンポリアミン骨格を相互に混合して用いることもできる。
【0041】
これらのポリアミン骨格は一般式L2aをもつ:
【化2】
【0042】
続く修飾の前のこの骨格は、R「結合」単位で連結した一級、二級、および三級アミン窒素原子を含んでいる。これらの骨格は、実質的に三種の単位からなり、これらが鎖に沿ってランダムに分布していてもよい。
【0043】
ポリアルキレンイミン骨格を形成する単位は、主骨格の末端といずれかの側鎖の末端にあり、修飾後に、その2個の水素原子がそれぞれ5〜10アルキレンオキシ単位で、例えばエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位及びこれらの混合物で置換される次式の一級アミン単位:

[H2N−R]−及び−NH2

及び、修飾後にその水素原子が1.5〜10個のアルキレンオキシ単位、例えばエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、ブチレンオキシ単位及びこれらの混合物で置換される次式の二級アミン単位:
【化3】
及び主骨格鎖と側鎖の分岐点である次式の三級アミン単位:
【化4】
である。なお、Aは分岐による鎖構造の延長部である。この三級アミン単位は交換可能な水素原子を持たないため、ポリオキシアルキレン単位による置換で修飾されない。この分岐のため、qが1より大きくなることがある。
【0044】
ポリアミン骨格の形成中に、環化が起こることがある。したがって、ポリアルキレンイミン骨格混合物中には一定量の環状ポリアミンが存在する。環状アルキレンイミンの一級及び二級アミン単位のそれぞれは、直鎖状及び分岐状のポリアルキレンイミンと同様に、ポリオキシアルキレン単位の付加による修飾を受ける。
【0045】
Rは、C2−直鎖状アルカンジイル、C3−分岐状アルカンジイル及びこれらの混合物である。分岐状アルキレンは、1,2−プロピレンであることが好ましい。最も好ましくは、Rはエチレンである。好ましい本発明のポリアルキレンイミンは、R単位が同一である骨格、例えば全ての単位がエチレンである骨格をもつ。最も好ましい骨格は、R基のすべてがエチレン単位であるものである。
【0046】
ポリアルキレンポリアミン骨格の分子量Mwの下限は、一般的には約300g/molであり、好ましくは約600g/mol、より好ましくは約1000g/molである。分子量Mwの上限は、一般的には約1000000g/molであり、好ましくは750000g/mol、より好ましくは200000g/mol、最も好ましくは100000g/molである。ポリエチレンイミン骨格の好ましい分子量の一例は、2000g/molである。ポリエチレンイミン骨格の好ましい分子量のもう一つの例は、60000g/molである。
【0047】
好ましい分子量を達成するのに必要な添字nとmとoの値は、骨格を構成するR基により変化する。qとnとmとoの合計は、好ましくは10〜24000であり、より好ましくは15〜10000、最も好ましくは20〜5000である。二つの特に好ましい範囲は、25〜65と1000〜1800である。例えばRがエタンジイルの場合、一つの骨格単位は平均で43g/molとなり、Rがヘキサンジイルの場合、一つの骨格単位は平均で99g/molとなる。
【0048】
本発明のポリアミンは、例えば、二酸化炭素や重亜硫酸ナトリウム、硫酸、過酸化水素、塩酸、酢酸などの触媒の存在下でエチレンイミンを重合して製造される。これらのポリアミン骨格の具体的な製造方法が米国特許2,182,306、米国特許3,033.746、米国特許2,208,095、米国特許2,806,839、米国特許2,553,696に開示されている。
【0049】
また、ポリアルキレンイミン骨格は、基Aで置換されていてもよい。Aは、一般的にはアルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリール及びこれらの混合物から選ばれる。しかしながら、さらなる修飾のために無置換のポリアルキレンイミンの使用が好ましい。
【0050】
本発明のポリアルキレンポリアミン骨格は、各N−H単位水素が式−(RO)Hのポリオキシアルキレン単位による置換で修飾されている。なお式中、Rは、それぞれ独立して、エタンジイル、1,2−プロパンジイル、(2−ヒドロキシメチル)エタンジイル、1,2−ブタンジイル、2,3−ブタンジイル、2−メチル−1,2−プロパンジイル(イソブチレン)、1−ペンタンジイル、2,3−ペンタンジイル、2−メチル−1,2−ブタンジイル、3−メチル−1,2−ブタンジイル、2,3−ヘキサンジイル、3,4−ヘキサンジイル、2−メチル−1,2−ペンタンジイル、2−エチル−1,2−ブタンジイル、3−メチル−1,2−ペンタンジイル、1,2−デカンジイル、4−メチル−1,2−ペンタンジイル、(2−フェニル)エタンジイル及びこれらの混合物から選ばれる。
【0051】
一般的にはpは1.5〜10であり、好ましくは2〜8、より好ましくは2〜5、最も好ましくは2〜3である。
【0052】
一般的には、このアルコキシル化は、各アルキレンオキシドをポリエチレンイミンと反応させて行われる。ポリアルキレンオキシド単位の合成は、当業界の熟練者には既知である。包括的な詳細が、ウルマン工業化学辞典(第6版、電子版)の「ポリオキシアルキレン」に与えられている。2種以上の異なるアルキレンオキシドを使用する場合、形成されるポリオキシアルキレン基は、ランダムコポリマーであっても、グラディエントコポリマーまたはブロックコポリマーであってもよい。
【0053】
ポリマー骨格中のN−H単位のアルキレンオキシド単位での修飾は、例えば多くて80重量%の水の存在下で約25〜約150℃の温度で攪拌器を備えたオートクレーブ中で、まずポリマー、好ましくはポリエチレンイミンを、一種以上のアルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシド、またはこれらの混合物と反応させて行われる。反応の第一の工程では、アルキレンオキシドが、ポリアルキレンイミンのN−H−基のほぼ全ての水素原子がヒドロキシアルキル基に変換されてモノアルコキシル化ポリアルキレンポリアミンを与えるような量で加えられる。次いで水がオートクレーブから除かれる。塩基性触媒、例えばナトリウムメチラート、カリウムtert−ブチルラート、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウムまたはアルカリ性イオン交換体を、アルコキシル化の第一工程で得られる付加生成物に対して0.1〜15重量の量で添加した後、残りの量のアルキレンオキシドを第一工程の反応生成物に加え、ポリマーのN−H基当り1.5〜10個の、好ましくは2〜5個、最も好ましくは2〜3個のアルキレンオキシド単位を有するポリアルコキシ化されたポリアルキレンイミンを得る。第二の工程は、例えば約60〜約150℃の温度で行われる。アルコキシル化の第二工程を、キシレンまたはトルエンなどの有機溶媒中で行ってもよい。正確で定量的なアルキレンオキシドの添加のために、アルコキシル化の前に、ポリアルキレンポリアミンの一級と二級アミン基の数を測定することが推奨される。
【0054】
ポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミンは、必要なら他の工程でさらに官能化されてもよい。このさらなる官能化で、ポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミンの性質を変化させることができる。このために、ポリオキシアルキルル化ポリアルキレンイミン中に存在するヒドロキシル基及び/又はアミノ基が、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基と反応する試薬で変換される。これにより官能化ポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミンが生成する。
【0055】
例えばポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミン中に存在するアミノ基をプロトン化したり、適当なアルキル化剤で官能化することができる。適当なアルキル化剤の例は、活性ハロゲン原子をもつ有機化合物、例えば上記のアラルキルハライドや、アルキルやアルケニル、アルキニルハライドである。また、アルキルスルフェートやアルキルスルトン、エポキシドなどの化合物も使用できる。そのようなアルキル化剤の例としては、ベンジルクロライド、プロパンスルトン、ジメチルスルフェート、(3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロライド等があげられる。ジメチルスルフェート及び/又はベンジルクロライドの使用が好ましい。
【0056】
ポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミンの末端ヒドロキシル基は、一般式−(RO)の基(式中、Rはいずれの所望の基である)を形成する適当な誘導体化剤と反応させることができる。官能化の種類は最終用途による。官能化剤によっては鎖末端を疎水化したり、より強く親水化したりすることができる。
【0057】
末端ヒドロキシル基を、例えば硫酸またはその誘導体でエステル化し、末端硫酸基をもつ生成物を形成することもできる。同様に、リン酸、亜リン酸、ポリリン酸、POClまたはP10で、末端リン基をもつ生成物を得ることができる。
【0058】
また、末端OH基をエーテル化し、エーテル末端のポリアルコキシ基を形成してもよい。この場合、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、またはアリール基である。Rは、メチル、エチルまたはベンジルであることが好ましい。
【0059】
一種以上のレベリング剤を使用してもよいことは当業界の熟練者には明白であろう。2種以上のレベリング剤を使用する場合、少なくとも一種のレベリング剤は、本明細書記載のポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミンまたはその誘導体である。上記めっき組成物中で一種のポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミンレベリング剤のみを使用することが好ましい。
【0060】
適当な他のレベリング剤としては、以下の例には限定されないが、例えば、一種以上のポリアルカノールアミンとその誘導体、ポリエチレンイミンとその誘導体、四級化ポリエチレンイミン、ポリアミノアミドとその誘導体、ポリグリシン、ポリ(アリルアミン)、ポリアニリン、ポリウレア、ポリアクリルアミド、ポリ(メラミン−コ−ホルムアルデヒド)、アミンとエピクロロヒドリンの反応生成物、アミンとエピクロロヒドリンとポリアルキレンオキシドの反応生成物、アミンとポリエポキシドとの反応生成物、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン、またはこれらのコポリマー、ニグロシン、ペンタメチルパラローザニリン・ハロゲン酸塩、ヘキサメチルパラローザニリン・ハロゲン酸塩、または式N−R−S(式中、Rは置換アルキル、無置換アルキル、置換アリールまたは無置換アリールである)の官能基を持つ化合物があげられる。通常、このアルキル基は、(C1−)アルキルであり、好ましくは(C1−)アルキルである。一般に、このアリール基には、(C6−20)アリールが、好ましくは(C6−10)アリールが含まれる。
【0061】
このようなアリール基が、さらに硫黄や窒素、酸素などのヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0062】
このアリール基はフェニルまたはナフチルであることが好ましい。式N−R−Sの官能基を持つ化合物は、一般的には既知であり、一般的には市販されており、さらに精製することなく使用できる。
【0063】
このようなN−R−S官能基をもつ化合物中では、硫黄(S)及び/又は窒素(N)がこのような化合物に単結合で結合していても、二重結合で結合していてもよい。硫黄がこのような化合物に単結合で結合している場合、この硫黄は、例えば、特に限定されないが水素、(C1−12)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C6−20)アリール、(C1−12)アルキルチオ、(C2−12)アルケニルチオ、(C6−20)アリールチオなどの他の置換基を有している。同様に、窒素は、例えば、特に限定されないが水素、(C1−12)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C7−10)アリール等の一個以上の置換基を有している。このN−R−S官能基は、非環式状であっても環状であってもよい。環状のN−R−S官能基をもつ化合物には、窒素または硫黄を、あるいは窒素と硫黄の両方を環系内に持つものが含まれる。
【0064】
一般に、電解めっき浴中のレベリング剤の総量は、めっき浴の総重量に対して0.5ppm〜10000ppmである。本発明のレベリング剤は、通常めっき浴の総重量に対して約0.1ppm〜約1000ppmの量で使用され、より多くは通常1〜100ppmで使用されるが、より多量あるいは少量で使用されることもある。
【0065】
本発明の電解めっき浴は、一種以上の任意の添加物を含むことができる。このような任意の添加物としては、以下の例には限定されないが、例えば、促進剤やサプレッサー、界面活性剤などがあげられる。このようなサプレッサーや促進剤は、一般的には公知である。使用するサプレッサー及び/又は促進剤の種類と量は、当業界の熟練者には明白であろう。
【0066】
Cuめっきされた金属に所望の表面仕上を与えるために、極めていろいろな添加物が通常浴中で使用できる。通常それぞれ所望の機能を持つ一種以上の添加物が使用される。電解めっき浴が、一種以上の促進剤、サプレッサー、ハライドイオン源、細粒化剤及びこれらの混合物を含むことが好ましい。電解めっき浴が、本発明のレベリング剤に加えて、促進剤とサプレッサーの両方を含むことが最も好ましい。本電解めっき浴中でさらに他の添加物を適当に使用することもできる。
【0067】
本発明においてはいずれの促進剤も好適に使用できる。本発明で有用な促進剤としては、例えば、以下の例には限定されないが、一個以上の硫黄原子を含む化合物とスルホン酸/ホスホン酸あるいはその塩があげられる。
【0068】
一般的に好ましい促進剤は、一般構造MA3A−RA1−(S)a−RA2をもつ:
なお、
−Mは、水素またはアルカリ金属(好ましくはNaまたはK)であり
−XはP又はSであり、
−a=1〜6
−RA1は、C1−アルキル基またはヘテロアルキル基、アリール基または複素芳香族の基から選ばれ、ヘテロアルキル基は、一個以上のヘテロ原子(N、S、O)と1−12個の炭素をもつ。脂環式アリール基は、フェニルやナフチルなどの典型的なアリール基である。複素芳香族基は、また適当なアリール基であり、1個以上のN、OまたはS原子と1〜3個の非縮合環または縮合環をもつ。
−RA2は、Hまたは(−S−RA1’XA'OA')から選ばれ、RA1'は、RA1と同一であっても異なっていてもよい。
【0069】
より具体的には、有用な促進剤として以下の式の化合物があげられる:
A3S−RA1−SH
A3S−RA1−S−S−RA1'−SOA'
A3S−Ar−S−S−Ar−SO3A'
【0070】
なお、RA1は上述通りであり、Arはアリールである。
【0071】
特に好ましい加速剤は以下のものである:
SPS:ビス−(3−スルホプロピル)−ジスルフィド二ナトリウム塩
MPS:3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩
【0072】
単独であるいは混合物中で使用される他の促進剤の例としては、特に以下のものに限定されるのではないが、MES(2−メルカプトエタンスルホン酸、ナトリウム塩);DPS(N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(3−スルホプロピルエステル)、ナトリウム塩);UPS(3−[(アミノ−イミノメチル)−チオ]−1−プロピルスルホン酸);ZPS(3−(2−ベンズチアゾリルチオ)−1−プロパンスルホン酸、ナトリウム塩);3−メルカプト−プロピルスルホン酸−(3−スルホプロピル)エステル;メチル−(ω−スルホプロピル)−ジスルフィド、二ナトリウム塩;メチル−(ω−スルホプロピル)−トリスルフィド、二ナトリウム塩があげられる。
【0073】
このような促進剤は、通常めっき浴の総重量に対して約0.1ppm〜約3000ppmの量で使用される。特に好適な本発明で有用な促進剤の量は、1〜500ppmであり、特に2〜100ppmである。本発明ではいずれの抑制剤も好ましく用いられる。本発明で有用な抑制剤には、以下の例には限定されないが、例えば、高分子物質、特にヘテロ原子置換を含むもの、特に酸素置換を含むものが含まれる。この抑制剤はポリアルキレンオキシドであることが好ましい。適当な抑制剤には、ポリエチレングリコールコポリマーが、特にポリエチレングリコールポリプロピレングリコールコポリマーが含まれる。適当なサプレッサー中のエチレンオキシドとプロピレンオキシドの配列は、ブロックでもよいし、グラディエントまたはランダムであってもよい。このポリアルキレングリコールは、ブチレンオキシドなどの他のアルキレンオキシド構成単位を含んでいてもよい。適当なサプレッサーの平均分子量は約2000g/molより大きいことが好ましい。適当なポリアルキレングリコールの出発分子は、メタノールやエタノール、プロパノール、n−ブタノールなどのアルキルアルコール、フェノールやビスフェノールなどのアリールアルコール、ベンジルアルコールなどのアルキルアリールアルコール、グリコールやグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのポリオール出発物質、サッカロースなどの炭水化物、アルキルアミン及び、アニリンやトリエタノールアミン、エチレンジアミン等のアリールアミンなどのアミン及びオリゴアミン、アミド、ラクタム、イミダゾールなどの複素環式アミン、カルボン酸である。必要ならポリアルキレングリコールサプレッサーが、スルフェート、スルホネート、アンモニウムなどのイオン基で官能化されていてもよい。
【0074】
本発明のレベラーと併用するのに特に有用な抑制剤は、以下のものである:
(a)少なくとも3個の活性アミノ官能基をもつアミン化合物を、欧州特許出願No.9157540.7に記載のような、エチレンオキシドとC及びCアルキレンオキシドから選ばれる少なくとも一種の化合物の混合物と反応させて得られる抑制剤。
【0075】
このアミン化合物は、ジエチレントリアミンと3−(2−アミノエチル)アミノプロピルアミン、3,3’−イミノジ(プロピルアミン)、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン1トリエチレンテトラアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンから選ばれることが好ましい。
【0076】
(b)活性アミノ官能基をもつアミン化合物を、エチレンオキシドと、C及びCアルキレンオキシドから選ばれる少なくとも一種の化合物との混合物と反応させて得られる抑制剤であって、6000g/mol以上の分子量Mwを持ち、欧州特許出願No.09157542.3に記載のようにエチレンC及び/又はCアルキレンランダムコポリマーを形成するものである抑制剤。
【0077】
(c)少なくとも3個の活性アミノ官能基をもつアミン化合物を、エチレンオキシドとC及びCアルキレンオキシドから選ばれる少なくとも一種の化合物とに、混合物としてあるいは個別に反応させて得られる抑制剤であって、欧州特許出願No.09157543に記載のように6000g/mol以上の分子量Mwをもつもの。
【0078】
このアミン化合物は、エチレンジアミンと1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ネオペンタンジアミン、イソホロンジアミン、4,9−ジオキサデカン−1,12−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、トリエチレングリコールジアミン、ジエチレントリアミン、(3−(2−アミノエチル)アミノ)プロピルアミン、3,3’−イミノジ(プロピルアミン)、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンから選ばれることが好ましい。
【0079】
(d)式S1の化合物から選ばれる抑制剤:
【化5】
【0080】
式中、RS1基は、それぞれ独立してエチレンオキシドと少なくとも一種の他のC〜Cアルキレンオキシドのコポリマーで、ランダムコポリマーであるものから選ばれ、欧州特許出願No.09005106.1に記載のように、RS2基は、それぞれ独立してからRS1またはアルキルから選ばれ、XとYは独立してスペーサー基であり、各繰返単位のXは独立して、C〜CアルキレンとZ−(O−Zから選ばれる(式中、Z基は、それぞれ独立してC〜Cアルキレンから選ばれ、sは0以上の整数であり、tは1以上の整数である)。
【0081】
スペーサー基のXとYは独立して、また各繰返単位のXは、独立してC〜Cアルキレンから選ばれることが好ましい。XとYは独立して、また繰返単位のXが独立して、エチレン(−C−)またはプロピレン(−C−)から選ばれることが最も好ましい。
【0082】
が、C〜Cアルキレンから選ばれることが好ましく、エチレンまたはプロピレンから選ばれることが最も好ましい。
【0083】
sは、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜5、最も好ましくは1〜3の整数である。tは、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくは1〜5、最も好ましくは1〜3の整数である。
【0084】
他の好ましい実施様態においては、このC〜Cアルキレンオキシドが、プロピレンオキシド(PO)から選ばれる。この場合には、活性アミノ官能基から出発してEO/POコポリマー側鎖が生成する。
【0085】
エチレンオキシドと他のC〜Cアルキレンオキシドのコポリマー中のエチレンオキシド含量は、一般的には約5重量%から約95重量%であり、好ましくは約30重量%〜約70重量%、特に好ましくは約35重量%〜約65重量%である。
【0086】
式(S1)の化合物は、アミン化合物を一種以上のアルキレンオキシドと反応させて製造される。このアミン化合物は、エチレンジアミンと1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、ネオペンタンジアミン、イソホロンジアミン、4,9−ジオキサデカン−1,12−ジアミン、4,7,10−トリオキサトリデカン−1,13−ジアミン、トリエチレングリコールジアミン、ジエチレントリアミン、(3−(2−アミノエチル)アミノ)プロピルアミン、3,3’−イミノジ(プロピルアミン)、N,N−ビス(3−アミノプロピル)メチルアミン、ビス(3−ジメチルアミノプロピル)アミン、トリエチレンテトラアミン、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミンから選ばれることが好ましい。
【0087】
式S1の抑制剤の分子量Mwが約500g/mol〜約30000g/molであってもよい。この分子量Mwは、好ましくは約6000g/mol以上であるべきで、好ましくは約6000g/mol〜約20000g/mol、より好ましくは約7000g/mol〜約19000g/mol、最も好ましくは約9000g/mol〜約18000g/molである。この抑制剤中のアルキレンオキシド単位の総量は、好ましくは約120〜約360であり、好ましくは約140〜約340、最も好ましくは約180〜約300である。
【0088】
抑制剤中のアルキレンオキシド単位の典型的な総量は、約110エチレンオキシド単位(EO)と10プロピレンオキシド単位(PO)であってもよいし、約100EOと20PO、約90EOと30PO、約80EOと40PO、約70EOと50PO、約60EOと60PO、約50EOと70PO、約40EOと80PO、約30EOと90PO、約100EOと10ブチレンオキシド(BO)単位、約90EOと20BO、約80EOと30BO、約70EOと40BO、約60EOと50BO、あるいは約40EOと60BO〜約330EOと30PO単位、約300EOと60PO、約270EOと90PO、約240EOと120PO、約210EOと150PO、約180EOと180PO、約150EOと210PO、約120EOと240PO、約90EOと270PO、約300EOと30ブチレンオキシド(BO)単位、約270EOと60BO、約240EOと90BO、約210EOと120BO、約180EOと150BO、あるいは約120EOと180BOであってもよい。
【0089】
(e)US仮出願特許No.61/229803に記載のように、式(S2)Z(OH)の少なくとも一種のポリアルコールに由来する多価アルコール縮合化合物を、少なくとも一種のアルキレンオキシドと縮合反応させてポリオキシアルキレン側鎖をもつ多価のアルコール縮合物を形成して得られる抑制剤(式中、uは3〜6の整数であり、Xは、u価の3〜10個の炭素原子をもつ直鎖又は分岐鎖の脂肪族または脂環式基で、置換であっても無置換であってもよい基である)。
【0090】
好ましいポリアルコール縮合物は、以下の化合物から選ばれる:
【化6】
【0091】
式中、Zは、d価の1〜10個の炭素原子を持つ直鎖又は分岐鎖の脂肪族または脂環式基であり、置換されていても未置換でもよく、aは2〜50の整数であり、bは、各ポリマー繰り返し単位dで同一であっても異なっていてもよく1〜30の整数であり、cは2〜3の整数であり、dは1〜6の整数である。最も好ましいポリアルコールは、グリセロール縮合物及び/又はペンタエリスリトール縮合物である。
【0092】
(f)US仮出願No.61/229809に記載のように、少なくとも5個のヒドロキシル官能基を持つ多価アルコールを少なくとも一種のアルキレンオキシドと反応させてポリオキシアルキレン側鎖を持つ多価アルコールとして得られる抑制剤。好ましいポリアルコールは、式(S3a)または(S3b)で表わされる鎖状又は環状の単糖アルコールである:

HOCH2−(CHOH)v−CH2OH (S3a)
(CHOH)w (S3b)
【0093】
式中、vは3〜8の整数であり、wは5〜10の整数である。最も好ましい単糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、リビトール、イノシトールである。他の好ましいポリアルコールは、式(S4a)または(S4b)の単糖である:

CHO−(CHOH)x−CH2OH(S4a)
CH2OH−(CHOH)y−CO−(CHOH)z−CH2OH(S4b)
【0094】
式中、xは4〜5の整数であり、yとzは整数であり、y+zは3または4である。最も好ましい単糖アルコールは、アルトース、アロース、アルトロース、ガラクトース、グルコース、グロース、イドース、マンノース、タロース、グルコヘプトース、マンノヘプトースまたはケトース、フルクトース、プシコース、ソルボース、タガトース、マンノヘプツロース、セドヘプツロース、タロヘプツロース、アロヘプトースから選ばれる。
【0095】
これらは、シードのオーバハング問題に対応できる特に効果的で強固な抑制剤であり、シード層が不均一であっても実質的に無欠陥の溝充填を与える。
【0096】
サプレッサーを使用する場合、これらは通常、浴重量に対して約1〜約10,000ppmの範囲の量で、好ましくは約5〜約10,000ppmの範囲の量で存在する。
【0097】
金属イオン源は、電解めっき浴中にめっき用の金属イオンを十分な量で放出できるものなら、即ち、少なくとも部分的に電解めっき浴に可溶であるならいずれの化合物であってもよい。金属イオン源がめっき浴中に可溶であることが好ましい。適当な金属イオン源は金属塩であり、例えば、以下の例には限定されないが、金属硫酸塩、金属ハロゲン化物、金属酢酸塩、金属硝酸塩、金属フルオロホウ酸塩、金属アルキルスルホン酸塩、金属アリールスルホン酸塩、金属スルファミン酸塩、金属グルコン酸塩などが挙げられる。金属が銅であることが好ましい。金属イオン源が、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅、クエン酸銅、硝酸銅、フルオロホウ酸銅、メタンスルホン酸銅、フェニルスルホン酸銅、あるいはp−トルエンスルホン酸銅であることがさらに好ましい。硫酸銅五水和物とメタンスルホン酸銅が特に好ましい。このような金属塩は一般的に市販されており、さらに精製することなく使用できる。
【0098】
金属電解めっきに加えて、これらの組成物を金属含有層の無電解めっきに使用することができる。これらの組成物は特に、Ni、Co、Mo、W及び/またはReを含むバリアー層の形成に使用できる。この場合、金属イオンに加えて、III族及びV族の他の元素、特にBとPが無電解めっき用組成物中に存在していてもよく、したがってこれらが金属と共に共析出してもよい。
【0099】
この金属イオン源は、基材上に電解めっきを行うのに十分な金属イオンを提供できるなら、いずれの量で本発明に用いてもよい。適当な金属イオン金属源としては、以下の例には限定されないが、例えば、スズ塩や銅塩等があげられる。金属が銅である場合は、銅塩がめっき液中に通常約1〜約300g/lの範囲の量で存在している。もちろん、金属塩の混合物を本発明により電気めっきしてもよい。したがって本発明により、最大で約2重量%のスズを含む銅スズ合金のような合金を、めっき処理に好ましく用いることができる。このような混合物中の各金属塩の量は、めっき処理する具体的な合金により決まり、当業界の熟練者には明白である。
【0100】
一般に、本金属電解めっき組成物は、金属イオン源と少なくとも一種のレベリング剤(L1)に加えて、電解質、即ち酸性またはアルカリ性電解質と、一種以上の金属イオン源と、必要ならハライドイオンと、また必要なら他の促進剤及び/又はサプレッサーのような添加物を含むことが好ましい。このような浴は、通常水溶液である。水は広い範囲の量で存在しうる。蒸留水や脱イオン水、水道水などいずれの種類の水も使用可能である。
【0101】
これらの成分をどのような順序で混合して本発明の電解めっき浴を製造してもよい。浴容器に先ず金属塩や水、電解質、任意のハライドイオン源などの無機成分を入れ、次いでレベリング剤や促進剤、サプレッサー、界面活性剤などの有機成分を入れることが好ましい。
【0102】
通常本発明のめっき浴は、10〜65℃のどの温度ででも使用でき、より高温でも使用できる。めっき浴温度は10〜35℃であることが好ましく、より好ましくは15〜30℃である。
【0103】
適当な電解質としては、例えば、特に限定されないが、硫酸や酢酸、ホウフッ素酸、メタンスルホン酸やエタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのアルキルスルホン酸、フェニルスルホン酸やトルエンスルホン酸などのアリールスルホン酸、スルファミン酸、塩酸、リン酸、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシドがあげられ、好ましくはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドや水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどがあげられる。酸は通常約1〜約300g/Lの範囲の量で存在し、アルカリ性電解質は通常約0.1〜約20g/Lの量で、あるいはそれぞれpH8〜13を与える量で、より多くはpH9〜12を与える量で存在している。
【0104】
このような電解質は、さらに塩化銅または塩酸中の塩素イオンなどのハライドイオンの供給源を含んでいてもよい。例えば、約0〜約500ppmと広い範囲のハライドイオン濃度を、本発明で用いることができる。通常このめっき浴中のハライドイオン濃度は、約10〜約100ppmの範囲である。この電解質は硫酸またはメタンスルホン酸であることが好ましく、硫酸またはメタンスルホン酸と塩素イオン源の混合物であることがさらに好ましい。
【0105】
本発明で有用な酸とハライドイオン源は、一般的には市販されており、さらに精製することなく使用できる。
【0106】
半導体集積回路基材上への銅電着の一般的なプロセスを図1図2に示すが、本発明はこれらに制限されるのではない。
【0107】
図1aに、銅層2aでシードされた誘電体基材1を示す。図1bでは、誘電体基材1上に電着により銅層2’が析出させられている。基材1の溝2cが充填され、全体の構造化基材の上に銅2bのオーバーめっき(「被り(overburden)」とも呼ばれる)が形成されている。このプロセス中で、必要なら熱処理後に、図1cに示されるようにこの銅の被り2bを化学機械平面化(CMP)で取り除く。
【0108】
レベリング剤の効果は、一般的には図2aと図2bに記述される。レベリング剤がないと、析出の結果、高いa/b比率(>>1)が、いわゆる隆起が発生する。これ対して、このa/b比率をできる限り1に近い値に低下させることをめざしている。
【0109】
本発明の一つの具体的な長所は、オーバーめっきが、特に隆起が少なくなるか、実質的になくなることである。このようにオーバーめっきが低下すると、続く化学機械的平面化(CMP)プロセス中で、特に半導体の生産中で金属除去、例えば銅除去に使われる時間と労力が小さくなる。本発明のもう一つの長所は、単一基材内で広範囲の空隙サイズが充填され、比率a/bが1.5以下、好ましくは1.2以下、最も好ましくは1.1以下である実質的に平坦な表面が形成されることである。したがって、本発明は、様々な空隙サイズの空隙をもつ基材、例えば0.01〜100μmあるいはこれより大きなサイズの空隙をもつ基材を均等に充填するのに特に好適である。
【0110】
このレベリング効果のもう一つの大きな長所は、析出後の操作で除去する材料がより少なくなることである。下層の構造物を露出させるのに、例えば化学機械的平面化(CMP)が用いられる。本発明の均一高での析出は、析出に必要な金属の量の低下につながり、このためCMPによる除去量の低減につながる。削り落とす金属の量が低下し、より意義があることには、CMP運転に必要な時間が短縮する。またこの材料除去操作がより温和となるため、所要時間が短縮するとともに、材料除去操作での欠陥の発生頻度が低下する。
【0111】
本発明により、金属、特に銅が、金属析出物内に実質的にボイドを形成することなく空隙に析出される。なお、「実質的にボイドを形成することなく」は、めっきを施した空隙の95%にボイドがないことを意味する。めっき処理を施した空隙にボイドがないことが好ましい。
【0112】
通常、基材を本発明のめっき浴に接触させて基材を電気めっきする。基材は、通常カソードとして働く。めっき浴はアノードを含み、これは可溶性であったり不溶性であったりする。必要ならカソードとアノードが膜で分離されていてもよい。通常、カソードに電位が加えられる。十分な電流密度が印加され、基材上に所望の厚みの金属層、例えば銅層が形成されるまで十分な時間めっきが行われる。適当な電流密度は特に限定されないが、例えば1〜250mA/cmの範囲である。通常、集積回路の製造で銅析出に用いられる場合、この電流密度は1〜60mA/cmの範囲である。具体的な電流密度は、めっきされる基材や選ばれるレベリング剤などによる。このような電流密度の選択は、当業界の熟練者の能力内に納まるものである。印加する電流は、直流(DC)であっても、パルス電流(PC)、パルス逆電流値(PRC)または他の適当な電流であってもよい。
【0113】
一般に、本発明を集積回路の製造に使用されるウエハーなどの基材上に金属を析出させるのに用いる場合、めっき浴を使用中に攪拌する。本発明ではいずれの適当な攪拌方法を使用してもよく、このような方法は公知である。適当な攪拌方法は特に限定されず、例えば不活性ガスまたは空気による攪拌や工作物の攪拌、衝撃による攪拌などが挙げられる。このような方法は当業界の熟練者には公知である。本発明をウエハーなどの集積回路基材のめっきに用いる場合は、このウエハーを1〜150rpmで回転させ、回転しているウエハーにめっき液を例えばポンプにより吹き付けて接触させてもよい。めっき浴の流動が所望の金属層を与えるのに充分であるなら、このウエハーを回転させる必要はない。
【0114】
本発明により、金属層内に実質的にボイドを形成することなく、金属、特に銅が析出させられる。「実質的にボイドを形成することなく」は、めっきを施した空隙の95%がボイドを含まないことを意味する。めっきした空隙がボイドを含まないことが好ましい。
【0115】
これまで半導体の製造について本発明の方法を一般的に説明したが、本発明は、高反射率を示す実質的にレベルの揃ったあるいは平面的な銅層が望ましい電解プロセスや、オーバーめっきが少なく実質的にボイドを含まない小型の金属充填構造物が望ましい電解プロセスで有用であることは明らかであろう。このようなプロセスにはプリント基板の製造が含まれる。例えば、本めっき浴は、プリント配線基板上のビアやパッドまたはトレースのめっきに、またウエハーのバンプめっきに有用であろう。他の適当なプロセスは、実装及びインタコネクトの製造である。したがって、適当な基材には、リードフレームやインタコネクト、プリント配線基板等が含まれる。
【0116】
半導体基板めっき用のめっき装置はよく知られている。めっき装置は、適当な材料からなる、例えばプラスチックまたは他の電解めっき液に不活性な材料からなるCu電解質収納用の電解めっきタンクをもっている。特にウエハーめっきの場合には、このタンクが円筒形をしていてもよい。カソードはタンク上部に水平に設けられるが、これは溝やビア孔などの開口部をもついずれかの種類の基材、例えばシリコンウエハーであってもよい。このウエハー基材は、通常Cuまたは他の金属からなるシード層で覆われており、この上でめっきが始まるようになっている。Cuシード層を、化学蒸着(CVD)で形成しても、真空下での物理蒸着(PVD)等で形成してもよい。ウエハーのめっきのためにはアノードもまた丸型であることが好ましく、タンクの下部に水平に設置されてアノードとカソードの間に空間が形成されていることが好ましい。このアノードは通常可溶性アノードである。
【0117】
これらの浴添加物は、いろいろなツール製造業者で開発中の膜技術と組み合わせると有用である。このシステムでは、アノードが有機浴添加物から膜により分離される。アノードと有機浴添加物の分離の目的は、有機浴添加物の酸化を最小限にするためである。
【0118】
カソード基材とアノードは、配線で電気的に連結されており、またそれぞれが整流器(電源)に連結されている。直流またはパルス流用のカソード基材は、正味で負電荷を持つ。このため溶液中のCuイオンがカソード基材で還元され、カソード表面にCu金属めっきを形成する。アノードでは酸化反応が起こる。タンク中でカソードとアノードを水平に設置しても垂直に設置してもよい。
【0119】
本発明は、金属層、特に銅層をいろいろな基材上に、特にいろいろなサイズの空隙を持つ基材上に形成するのに有用である。例えば、本発明は、小径のビア孔や溝などの空隙をもつ、半導体装置等の集積回路基材上に銅を析出させるのに特に好適である。ある実施様態においては、本発明により半導体装置がめっきされる。このような半導体装置としては、以下の例には限定されないが、例えば、集積回路の製造に用いられるウエハーがあげられる。
【0120】
これまで半導体の製造について本発明の方法を一般的に説明してきたが、本発明は、高反射率を示す、実質的に高さの揃ったあるいは平面的な銅層が求められるいずれの電解プロセスででも有用であることは明らかであろう。したがって、適当な基材には、リードフレームやインタコネクト、プリント配線基板等が含まれる。
【0121】
特記しない場合、全ての%やppmなどの値は、それぞれの組成物の総重量に対する重量を意味する。全ての引用文書を、参考文献として採用する。
【0122】
以下の実施例により本発明を説明するが、これらは本発明の範囲を制限するものではない。
【実施例】
【0123】
レベラーの例の構造的特性を表1に示す。試験した全てのレベラーのポリアルキレンポリアミン骨格は、いずれの場合も、BASF社のポリエチレンイミンである。使用したポリエチレンイミンは、一級アミン基と二級アミン基と三級アミン基をほぼ均等に含んでいる。したがって、ポリエチレンイミン骨格の一つのN−H単位は、平均分子量の43g/molに相当すると考えた。代表的なポリマー骨格の分子量を表1の第二欄に示す。実施例1〜5のポリアルキレンイミンは、エチレンオキシドで(ポリ)アルコキシル化されている。各ポリマー骨格のN−H単位あたりのエチレンオキシド単位の数を第三欄に示す。比較例4のレベラーは、モノエトキシ化されているのみである(p=1)。実施例3のポリアルコキシ化ポリアルキレンポリアミンは、ジメチルスルフェートを用いて全ての窒素原子を四級化することでさらに官能化されている(表1の欄4)。表2の最後の欄には、どのレベラーが無欠陥の充填性を与えるか(+)、又はスーパーフィル(superfill)機構を阻害するか(−)についてまとめる。この充填試験は、実施例12〜17に詳細に説明されている。
【0124】
【表1】
【0125】
アミン価は、DIN53176によりポリマーの酢酸溶液を過塩素酸で滴定して決定した。
【0126】
H−NMRスペクトルは、テトラメチルシランのピークを内標準として400MHzのスペクトル計を用いて記録した。
【0127】
実施例1
ポリエチレンイミン、BASF社のルパソルPR8515(652g)と水(108.2g)を80℃の2lのオートクレーブに入れ、反応器を2barで窒素で3回置換させた。次いで、120℃でエチレンオキシド(600g)を少しずつ5時間かけて添加した。反応を完了させるため、混合物を4時間、同温度で後反応させ、40℃まで冷却した。この反応混合物を60℃で窒素でストリップさせ、次いで揮発性化合物を60℃、200mbarでロータリーエバポレーターを用いて除いた。黄色の粘稠な液体が、中間生成物(1355g)として、カールフィッシャー滴定による水分率が7.6重量%で、アミン価が8.94mmol/gである水溶液として観察された。
【0128】
この中間生成物(180g)と水酸化カリウム水溶液(濃度:50重量パーセント;0.2g)と水(30ml)を超音波により均一に混合し、次いでこの混合物を2lのオートクレーブに入れた。この反応混合物を120℃で加熱し、一定速度の窒素流(0.5m−N/h)で2時間パージした。残留する水は、10mbar未満で3時間かけて除いた。次いでこの反応器を、5barsで3回窒素パージした。次いでエチレンオキシド(77.9g)を、120℃で少しずつ1時間かけて添加した。反応を完了させるため、この混合物を同温度で6時間後反応させ、次いで40℃に冷却した。この反応混合物を窒素でストリップし、次いで水(150ml)で希釈した。レベラーL1が、カールフィッシャー滴定による水分率が32.7重量%である暗褐色水溶液(366.9g)として得られた。
H−NMR(DO):δ=3.72(m, 6H, −CHO−)、2.73(m, 6H, −CHN−) ppm. アミン価:4.64mmol/g.
【0129】
実施例2
無水のヒドロキシエチル化ポリエチレンイミン、BASF社製ルパソルSC−61B(100.5g)を水で希釈し、超音波で均一に混合して水溶液(150ml)を得た。次いで水酸化カリウム(濃度:50重量パーセント;0.4g)を加え、混合物を一夜混合した。
【0130】
次いでこの溶液を2lのオートクレーブに入れた。この反応混合物を120℃に加熱し、一定速度の窒素流(0.5m−N/h)で2時間パージした。次いでこの反応器を5barsで3回窒素パージした。次いで、120℃でエチレンオキシド(53.6g)を少しずつ5時間かけて添加した。反応を完了させるため、混合物を同温度で後反応させた。100℃で1〜3mbarでロータリーエバボレータを用いて揮発性化合物を除いた。生成物は、褐色の高度に粘稠な液体(154.9g)であった。
H−NMR(CDCl):δ=3.58 (m, 6H, −CHO−), 2.64(m, 6H, −CHN−)ppm
アミン価:7.0mmol/g.
【0131】
実施例3
実施例2で合成した化合物(20.0g)と水(153g)を250mlのフラスコに入れ、室温でジメチルスルフェートをこの溶液中に滴下した。反応混合物を室温で22時間攪拌し、さらに100℃で6.5時間加熱した。得られた褐色溶液のアミン価は0mmol/gであり、ポリアルコキシ化ポリエチレンイミン出発原料中に存在する全てのアミン原子が完全に四級化されたことを示した。この生成物の水溶液の水分率は77.3%であった。
【0132】
比較例4:
BASF社製ヒドロキシエチル化ポリエチレンイミン、ルパソルSC−61B
【0133】
実施例5:
BASF社製ポリエチレンイミンルパソルG100(1001g;水分率:50重量%)を80℃の2lのオートクレーブに入れた。この反応混合物を100℃で加熱し、一定速度の窒素流(0.25m−N/h)で3時間パージした。次いでエチレンオキシド(460.8g)を120℃で少しずつ5時間10分かけて加えた。反応を完了させるため、この混合物を同温度で2時間後反応させ、40℃に冷却した。この反応混合物を80℃で窒素でパージし、次いで、揮発性化合物を、60℃、200mbarでロータリーエバボレータを用いて除いた。黄色の粘稠な液体が、中間生成物(1360g)として、水分率が31%である水溶液として得られた。
【0134】
この中間生成物(70.7g)と水酸化カリウム水溶液(濃度:50重量%;0.2g)と水(10g)を2lのオートクレーブに入れた。この反応器を、5bar、120℃で、3回窒素パージした。次いで、この反応混合物を一定速度の窒素流(0.5m−N/h)で1時間パージした。残存量の水は、真空下(10mbar未満)でさらに2時間かけて除いた。さらに、5bars、120℃で反応器を3回窒素パージした。次いでエチレンオキシド(106.7g)を120℃で少しずつ10時間かけて添加した。反応を完了させるため、混合物を同温度で一夜、後反応させた。室温まで冷却後、水を加えた。揮発性有機化合物をロータリーエバボレータで除いた。最終生成物は、水分率が32.8%の暗褐色水溶液(141.1g)であった。
アミン価:2.60mmol/g
H−NMR(DO):δ=3.72 (m, 18H, −CHO−)、2.73 (m, 6H, −CHN−)ppm
【0135】
比較例6
40g/lの銅(硫酸銅として)と10g/lの硫酸、0.050g/lの塩素イオン(HClとして)、0.100g/lのEO/POコポリマーサプレッサー、0.028g/lのSPS、蒸留水を混合して銅めっき浴を調整した。このEO/POコポリマーサプレッサーの分子量は5000g/モル未満であり、末端ヒドロキシル基を持っていた。
【0136】
溝、いわゆるトレンチを有するSKWアソシエート社製構造化シリコンウエハー上に、電気めっきで銅層を形成した。これらのラインは、幅が130nm〜数ミクロンの範囲で変化し、深さが約250nmであり、距離が130nm〜数ミクロンの範囲で変化した。このようなウエハー基材を25℃で上記めっき浴と接触させて、−5mA/cmの直流を120秒間、次いで−10mA/cmの直流を60秒間印加した。
【0137】
このようにして電気めっきされた銅層の形状を、ビーコ・インストルメンツ社製Dektak3を用いて検査した。130nmの構造物サイズの場合、ワイヤの一領域を走査し、非構造化領域と構造化領域間の高さの差を測定した。
【0138】
レベリング剤を含まないめっき浴を用いた結果を図4aに示す。
【0139】
実施例7
実施例6の方法を繰り返した。ただし本例では、1ml/lの、実施例1の活性レベリング剤を1重量%で含むストック水溶液をめっき浴に加えた。
【0140】
実施例6のウエハー基材上に銅層を電気めっきした。このように電気めっきされた銅層の形状を、実施例6に記載の方法で測定した。
【0141】
本発明のレベリング剤を含むめっき浴を用いた結果を図4bに示す。幅が0.130μmで距離が0.130μmであるトレンチの断面方向の形状スキャン(図4b)は、先行技術(図4a)と較べると隆起の低下が大きいこと示している。測定値を表2に示す。
【0142】
実施例8
実施例6を繰り返した。ただし本例では、1ml/lの、1重量%の実施例2の活性レベリング剤を含むストック水溶液をめっき浴に加えた。
【0143】
実施例6のウエハー基材上に銅層を電気めっきした。このように電気めっきされた銅層の形状を、実施例6に記載の方法で測定した。
【0144】
表2から分るように、形状測定で得られた値は、レベリング剤を含まない実施例6と比較すると隆起が大きく低下していることを示している。
【0145】
実施例9
実施例6の方法を繰り返した。ただし本例では、1ml/lの、実施例3の活性レベリング剤を1重量%で含むストック水溶液をめっき浴に加えた。
【0146】
実施例6のウエハー基材上に銅層を電気めっきした。このように電気めっきされた銅層の形状を、実施例6に記載の方法で測定した。
【0147】
表2から分るように、形状測定で得られた値は、レベリング剤を含まない実施例6と比較すると隆起が大きく低下していることを示している。
【0148】
実施例10
実施例6の方法を繰り返した。ただし本例では、1ml/lの、実施例4の活性レベリング剤を1重量%で含むストック水溶液をめっき浴に加えた。
【0149】
実施例6のウエハー基材上に銅層を電気めっきした。このように電気めっきされた銅層の形状を、実施例6に記載の方法で測定した。
【0150】
表2から分るように、形状測定で得られた値は、レベリング剤を含まない実施例6と比較すると隆起が大きく低下していることを示している。
【0151】
実施例11
実施例6の方法を繰り返した。ただし本例では、1ml/lの、実施例5の活性レベリング剤を1重量%で含むストック水溶液をめっき浴に加えた。
【0152】
このように電気めっきされた銅層の形状を、実施例6に記載の方法で測定した。本発明のレベリング剤を含むめっき浴を用いた結果を図4bに示す。
【0153】
表2から分るように、形状測定で得られた値は、レベリング剤を含まない実施例6と比較すると隆起が大きく低下していることを示している。
【0154】
本発明のポリエチレンイミンの図3に示すサブ50ナノメートル構造物中への充填性能への影響をFIB/SEM調査するために、以下の節に記載のいろいろなめっき浴を用いる電解めっきを行った。使用した銅シード層を有するウエハー基材の構造物サイズは、溝開口部の幅が15.6〜17.9nmで、溝の1/2高さでの幅が34.6〜36.8nmで、深さが176.4nmであった。
【0155】
比較例12
蒸留水と40g/lの銅(硫酸銅として)、10g/lの硫酸、0.050g/lの塩素イオン(HClとして)、0.028g/lのSPS、2.00ml/lの、分子量Mwが13000g/モル未満で末端ヒドロキシル基をもつEO/POコポリマーサプレッサーの5.3重量%の蒸留水溶液とを混合して、めっき浴を調整した。
【0156】
図3に示される形状の銅シード層をもつウエハー基材上に、25℃で−5mA/cmの直流を3秒間印加しながら、このウエハー基材を上記めっき浴に接触させて銅層を電気めっきした。このように電気めっきされた銅層を切断し、SEM検査にかけた。
【0157】
その結果を図5に示す。ボイドやしわなどの欠陥を示さない充填溝のSEM像が示されている。溝開口部の直下まで溝が充填されているため、ボトムアップ充填が明確に示されている。
【0158】
実施例13
実施例12の方法を繰り返した。ただし本例では、0.625ml/lの、実施例1の1重量%ポリエチレンイミン水溶液をめっき浴に加えた。
【0159】
本発明の実施例1で調整したレベリング剤を含むめっき浴を使った結果を図6に示す。これらの溝は、ボイドやしわのような欠陥を示すことなく充填され、レベリング剤による溝充填に干渉がまったくなかったことを示している。
【0160】
実施例14
実施例12の方法を繰り返した。ただし本例では、0.625ml/lの、実施例2の1重量%ポリエチレンイミン水溶液をめっき浴に加えた。
【0161】
本発明の実施例2で調整したレベリング剤を含むめっき浴を使った結果を図7に示す。これらの溝は、ボイドやしわのような欠陥を示すことなく充填され、レベリング剤による溝充填に干渉がまったくなかったことを示している。
【0162】
実施例15
実施例12の方法を繰り返した。ただし本例では、0.625ml/lの、実施例3の1重量%ポリエチレンイミン水溶液をめっき浴に加えた。
【0163】
本発明の実施例3で調整したレベリング剤を含むめっき浴を使った結果を図8に示す。これらの溝は、ボイドやしわのような欠陥を示すことなく充填され、レベリング剤による溝充填に干渉がまったくなかったことを示している。
【0164】
比較例16
実施例12の方法を繰り返した。ただし本例では、0.625ml/lの、実施例4の1重量%ポリエチレンイミン水溶液をめっき浴に加えた。
【0165】
本発明の実施例4で調整したレベリング剤を含むめっき浴を使った結果を図9に示す。充填溝は、ボイド形成を示している。この結果は、このレベラーが強く溝充填に干渉していることを示す。
【0166】
実施例17
実施例12の方法を繰り返した。ただし本例では、0.625ml/lの、実施例5の1重量%ポリエチレンイミン水溶液をめっき浴に加えた。
【0167】
本発明の実施例5で調整したレベリング剤を含むめっき浴を使った結果を図10に示す。これらの溝は、ボイドやしわのような欠陥を示すことなく充填され、レベリング剤による溝充填に干渉がまったくなかったことを示している。
【0168】
【表2】
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9
図10