特許第5955850号(P5955850)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955850半導体処理のためのヒータゾーンを伴った加熱板、基板サポートアセンブリ、加熱板を作成する方法、加熱板の各ヒータゾーンを作成する方法、及び加熱板の層を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955850
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】半導体処理のためのヒータゾーンを伴った加熱板、基板サポートアセンブリ、加熱板を作成する方法、加熱板の各ヒータゾーンを作成する方法、及び加熱板の層を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20160707BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20160707BHJP
   C23C 16/46 20060101ALI20160707BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   H01L21/302 101G
   H01L21/31 Z
   C23C16/46
   H05B3/74
【請求項の数】18
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-538777(P2013-538777)
(86)(22)【出願日】2011年10月31日
(65)【公表番号】特表2013-545310(P2013-545310A)
(43)【公表日】2013年12月19日
(86)【国際出願番号】US2011058590
(87)【国際公開番号】WO2012064543
(87)【国際公開日】20120518
【審査請求日】2014年10月20日
(31)【優先権主張番号】12/943,492
(32)【優先日】2010年11月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592010081
【氏名又は名称】ラム リサーチ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】特許業務法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シング・ハーミート
【審査官】 正山 旭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−524885(JP,A)
【文献】 米国特許第06740853(US,B1)
【文献】 特開2007−081160(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0029244(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/034895(WO,A1)
【文献】 特開平11−265931(JP,A)
【文献】 米国特許第06558508(US,B1)
【文献】 特開2004−152913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
C23C 16/46
H01L 21/31
H05B 3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体処理装置のなかで半導体基板を支持するために使用される基板サポートアセンブリの一部を形成するように構成される独立制御可能な熱ゾーンを備える加熱板であって、
電気絶縁層と、
複数のヒータゾーンであって、絶縁体と導体との複合体で作成された1つ以上のヒータ素子をそれぞれ含み、それぞれのヒータゾーンは電力供給ライン及び電力戻りラインに電気的に接続され、前記電気絶縁層全域にわたって横方向に分布され複数のヒータゾーンと、
前記電力供給ラインは、前記複数のヒータゾーンのうち少なくとも2つのヒータゾーンに電気的に接続された第1の導電性電力供給ラインと、前記複数のヒータゾーンのうち少なくとも2つのヒータゾーンに電気的に接続された第2の導電性電力供給ラインとを含
前記電力戻りラインは、前記複数のヒータゾーンのうち少なくとも2つのヒータゾーンに電気的に接続された第1の導電性電力戻りラインと、前記複数のヒータゾーンのうち少なくとも2つのヒータゾーンに電気的に接続された第2の導電性電力戻りラインとを含
前記電力供給ライン又は前記電力戻りラインの総数は、前記複数のヒータゾーンの総数未満である、加熱板。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記絶縁体と導体との複合体は、Al23、SiO2、Y23、Si34、及びAlNからなる群より選択される1つ以上の絶縁体材料と、Al、Cu、Mo、W、Au、Ag、Pt、Pd、C、MoSi2、WC、及びSiCからなる群より選択される1つ以上の導体材料とを含む、加熱板。
【請求項3】
請求項2に記載の加熱板であって、
前記絶縁体と導体との複合体は、23Wとを含み、Al23は30wt%以下である、加熱板。
【請求項4】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記複数のヒータゾーンは、
(a)各ータゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ4つ以下の大きさであるように、
(b)各ータゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ2つ以下の大きさであるように、又は
(c)各ータゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ1つ以下の大きさであるように、
サイズを決定される、加熱板。
【請求項5】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記複数のヒータゾーンは、
(a)各ータゾーンが、0.1〜1cm2の面積であるように、
(b)各ータゾーンが、1〜3cm2の面積であるように、
(c)各ータゾーンが、3〜15cm2の面積であるように、又は
(d)各ータゾーンが、15〜100cm2の面積であるように、
サイズを決定される、加熱板。
【請求項6】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記加熱板は、100〜1000のータゾーンを含み、
各ヒータ素子は、蛇行形状を有する、加熱板。
【請求項7】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記電気絶縁層は、ポリマ材料、又はセラミック材料を含む、加熱板。
【請求項8】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記電力供給ラインは、前記複数のヒータゾーンのうちのそれぞれ異なるグループのヒータゾーンに接続され、各前記電力戻りラインは、前記複数のヒータゾーンのうちのそれぞれ異なるグループのヒータゾーンに接続される、加熱板。
【請求項9】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記複数のヒータゾーンの総面積は、前記加熱板の上側表面の50〜99%である、加熱板。
【請求項10】
請求項1に記載の加熱板であって、
前記複数のヒータゾーンは、矩形格子、六角形格子、又は同心円に配置され、
前記複数のヒータゾーンは、最小で幅1ミリメートル、最大で幅10ミリメートルの隙間によって互いに隔てられる、加熱板。
【請求項11】
基板サポートアセンブリであって、
前記基板サポートアセンブリ上に半導体基板を静電的にクランプするように構成された少なくとも1つの静電クランプ電極を含む静電チャック(ESC)と、
請求項1に記載の加熱板と、
熱障壁層によって前記加熱板の下側に取り付けられた冷却板と、
を備える、基板サポートアセンブリ。
【請求項12】
請求項11に記載の基板サポートアセンブリであって、更に、
前記加熱板の前記複数のヒータゾーンの上方又は下方に配置された少なくとも1つの一次ヒータ層であって、前記加熱板の前記複数のヒータゾーン、前記電力供給ライン、及び前記電力戻りラインから電気的に絶縁され、前記半導体基板の平均温度制御を提供する少なくとも1つのヒータを含む、少なくとも1つの一次ヒータ層を備え、
前記複数のヒータゾーンは、前記半導体基板の処理中における、前記半導体基板の半径方向及び方位角方向の温度分布制御を提供する、基板サポートアセンブリ。
【請求項13】
請求項12に記載の基板サポートアセンブリであって、
前記一次ヒータ層は、少なくとも100Wで通電される2つ以上の一次ヒータを含み、
前記複数のヒータゾーンは、10W/cm2未満で通電される、基板サポートアセンブリ。
【請求項14】
請求項1に記載の加熱板の各ヒータゾーンを作成する方法であって、
絶縁体粉末及び導体粉末を液体と混ぜてスラリ状にすることと、
前記スラリを前記電気絶縁層上にスクリーン印刷することと、
前記スラリを焼結させることと、
を備える、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、
前記液体は、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、水、鉱油、及びそれらの混合からなる群より選択される、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、
前記粉末は、0.2〜20ミクロンの粒子サイズを有する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の加熱板の層を製造するための方法であって、
セラミック粉末と、結合剤と、液体との混合を加圧してシート状にすることと、
前記シートを乾燥させることと、
前記シートに穴を開けることによって前記シート内にビアを形成することと、
前記シート上に前記電力供給ライン及び前記電力戻りラインを形成することと、
スラリ状の絶縁体粉末及び導体粉末をスクリーン印刷する又は噴き付けることによって前記ヒータ素子を形成することと、
前記シートを揃えることと、
焼結によって前記シートを接合し、前記電気絶縁層を形成することと、
スラリ状の導体粉末によって前記ビアを満たすことと、
を備える、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記電力供給ライン及び前記電力戻りラインは、スラリ状の導電粉末をスクリーン印刷すること、事前にカットされた金属箔を押し付けること、又はスラリ状の導電粉末を噴き付けることによって形成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
半導体技術の世代が下るにつれて、基板直径の増大及びトランジスタサイズの縮小が進む傾向があり、その結果、基板処理では、よりいっそう高い精度及び再現性が必要とされる。シリコン基板などの半導体基板材料は、真空チャンバの使用を伴う技術によって処理される。これらの技術は、電子ビーム蒸着などの非プラズマ応用はもちろん、スパッタリング蒸着、プラズマ強化式化学気相成長(PECVD)、レジスト剥離、及びプラズマエッチングなどのプラズマ応用も含む。
【0002】
現在利用可能なプラズマ処理システムは、精度及び再現性の向上への高まる必要性に見舞われている半導体製造ツールの1つである。プラズマ処理システムのための測定基準は、1つは、均一性の向上であり、これは、半導体基板表面上における処理結果の均一性はもちろん、名目上同じ入力パラメータによって処理される一連の基板の処理結果の均一性も含む。基板上における均一性は、継続的な向上を望まれている。これは、なかでも特に、均一性、一貫性、及び自己診断を向上されたプラズマチャンバを必要とする。
【発明の概要】
【0003】
本明細書で説明されるのは、半導体処理装置のなかで半導体基板を支持するために使用される基板サポートアセンブリのための加熱板であり、該加熱板は、電気絶縁層と、少なくとも第1、第2、第3、及び第4のヒータゾーンを含むヒータゾーンであって、絶縁体と導体との複合体で作成された1つ以上のヒータ素子をそれぞれ含み、電気絶縁層全域にわたって横方向に分布され、半導体基板上における空間的温度分布を調整するように動作可能である、平面ヒータゾーンと、電力供給ラインであって、少なくとも、第1及び第2の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第1の導電性電力供給ラインと、第3及び第4の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第2の導電性電力供給ラインとを含む、電力供給ラインと、電力戻りラインであって、少なくとも、第1及び第の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第1の導電性電力戻りラインと、第及び第4の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第2の導電性電力戻りラインとを含む、電力戻りラインと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】平面ヒータゾーンの配列を伴った加熱板を組み込まれ、静電チャック(ESC)も含む、基板サポートアセンブリの概略断面図である。
【0005】
図2】基板サポートアセンブリに組み込むことができる加熱板のなかの平面ヒータゾーン配列への電力供給ライン及び電力戻りラインの電気的接続を示した図である。
【0006】
図3】加熱板を組み込まれ、更に一次ヒータ層も含む、基板サポートアセンブリの概略断面図である。
【0007】
図4】本明細書で説明される加熱板を伴った基板サポートアセンブリを含むことができる、代表的なプラズマ処理チャンバの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
基板上における望ましい微小寸法(CD)均一性を達成するために半導体処理装置のなかで基板の温度を半径方向及び方位角方向に沿って制御することが、よりいっそう求められている。温度の僅かな変化でさえ、CDに対して許容不可能な影響を及ぼすことがあり、これは、半導体製造プロセスのなかでCDが100nm以下に近づくにつれて、ますます顕著になる。
【0009】
基板サポートアセンブリは、基板を支持する、基板温度を調整する、及び無線周波数電力を供給するなどの、処理中における多岐にわたる機能用に構成することができる。基板サポートアセンブリは、処理中に基板サポートアセンブリ上に基板を静電的にクランプするのに有用である静電チャック(ESC)を含むことができる。ESCは、可調整式のESC(T−ESC)であってよい。T−ESCは、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,847,014号及び第6,921,724号に記載されている。基板サポートアセンブリは、セラミック製の基板ホルダと、流体冷却ヒートシンク(以下、冷却板と呼ぶ)と、段階的な半径方向の温度制御を実現するための複数の同心平面ヒータゾーンとを含むことができる。通常、冷却板は、−20〜80℃に維持される。ヒータは、間に断熱材層を挟んだ状態で、冷却板上に位置付けられる。ヒータは、基板サポートアセンブリの支持表面を、冷却板温度よりも約0〜90℃高い温度に維持することができる。複数の平面ヒータゾーン内におけるヒータ電力を変更することによって、基板サポートの温度分布を変化させることができる。更に、平均の基板サポート温度は、冷却板温度よりも約0〜90℃高い動作範囲内で段階的に変化させることができる。半導体技術の進歩に伴ってCDが縮小するにつれて、方位角方向における温度の僅かなばらつきが、ますます大きな課題になる。
【0010】
温度の制御は、幾つかの理由で容易な作業ではない。第1に、熱源及びヒートシンクの場所や、媒質の動き、材料、及び形状などの多くの要因が、熱伝達に影響を及ぼす恐れがある。第2に、熱伝達は、動的なプロセスである。問題とされているシステムが熱平衡にない限り、熱伝達が生じ、温度分布及び熱伝達が時間とともに変化する。第3に、プラズマ処理ではもちろん常に存在するプラズマなどの非平衡現象は、実際のプラズマ処理装置の熱伝達挙動の理論的予測を、たとえ不可能ではないにせよ非常に困難にする。
【0011】
プラズマ処理装置のなかの基板温度分布は、プラズマ密度分布、RF電力分布、並びにチャックのなかの各種の加熱素子及び冷却素子の詳細構造などの多くの要因によって影響されるので、基板温度分布は、均一でないことが多く、少数の加熱素子及び冷却素子によって制御することが困難である。この欠陥は、基板全体における処理速度の不均一性、及び基板上におけるデバイスダイの微小寸法の不均一性につながる。
【0012】
温度制御の複雑な性質を鑑みると、装置が望ましい空間的及び時間的な温度分布を能動的に形成及び維持すること、並びにCD均一性に影響を及ぼすその他の有害因子を打ち消すことを可能にするために、基板サポートアセンブリには、複数の独立制御可能平面ヒータゾーンを組み入れることが有利だと考えられる。
【0013】
本明細書で説明されるのは、半導体処理装置のなかの基板サポートアセンブリのための加熱板であり、該加熱板は、導体と絶縁体との複合体で形成されたヒータ素子を含む複数の独立制御可能平面ヒータゾーンを有する。この加熱板は、拡大縮小可能な多重化レイアウトで配置された平面ヒータゾーンと、電力供給ライン及び電力戻りライン(総称して電力ライン)とを含む。平面ヒータゾーンの電力を調整することによって、処理中における温度分布を、半径方向及び方位角方向の両方に形作ることができる。更なる詳細は、参照によって本明細書に開示内容を組み込まれる公開された共同所有の米国特許出願第2011/092072号に開示されている。この加熱板は、主に、プラズマ処理装置について説明されているが、プラズマを使用しないその他の半導体処理装置に使用することもできる。
【0014】
この加熱板のなかの平面ヒータゾーンは、好ましくは、例えば、矩形格子、六角形格子、有極配列、同心円、又は任意の望ましいパターンなどの既定のパターンに配置される。各平面ヒータゾーンは、任意の適切なサイズであってよく、1つ以上のヒータ素子を有することができる。平面ヒータゾーンが通電されるときは、そのなかの全てのヒータ素子が通電され、平面ヒータゾーンが通電されないときは、そのなかの全てのヒータ素子が通電されない。電気的接続の数を最少に抑えるために、電力供給ライン及び電力戻りラインは、各電力供給ラインがそれぞれ異なるグループの平面ヒータゾーンに接続され、各電力戻りラインがそれぞれ異なるグループの平面ヒータゾーンに接続されるように配置され、各平面ヒータゾーンは、特定の電力供給ラインに接続されたグループの1つ及び特定の電力戻りラインに接続されたグループの1つに属する。同じ電力供給ラインと電力戻りラインとのペアに接続される平面ヒータゾーンは、2つとして存在しない。平面ヒータゾーンは、この平面ヒータゾーンが接続されている電力供給ラインと電力戻りラインとのペアに電流を流れさせることによって作動させることができる。ヒータ素子の電流密度は、好ましくは10W/cm2未満であり、より好ましくは5W/cm2未満である。一実施形態では、各平面ヒータゾーンは、半導体基板上に製造されているデバイスダイ4つ以下、若しくは半導体基板上に製造されているデバイスダイ2つ以下、若しくは半導体基板上に製造されているデバイスダイ1つ以下である、又は基板上のデバイスダイに対応するように面積にして16〜100cm2、1〜15cm2、又は2〜3cm2、又は0.1〜1cm2である。加熱板は、100〜1000の平面ヒータゾーンなどのように、任意の適切な数の平面ヒータゾーンを含むことができる。ヒータ素子の厚さは、2マイクロメートルから1ミリメートルに及ぶことができ、好ましくは5〜80マイクロメートルである。平面ヒータゾーン及び/又は電力供給ラインと電力戻りラインとの間の空間を可能にするために、平面ヒータゾーンの総面積は、基板サポートアセンブリの上側表面の面積の99%以下であってよく、例えば同面積の50〜99%である。電力供給ライン又は電力戻りラインは、平面ヒータゾーンどうしの間の1〜10mmに隙間に配することができる、又は電気絶縁層によって平面ヒータゾーンの面から隔てられた別の面内に配することができる。大電流を運ぶため及びジュール加熱を減らすためには、電力供給ライン及び電力戻りラインは、好ましくは、空間が許す限り広く作成される。電力ラインが平面ヒータゾーンと同じ面内にある一実施形態では、電力ラインの幅は、好ましくは0.3mmから2mmの間である。電力ラインが平面ヒータゾーンと異なる面上にある別の実施形態では、電力ラインの幅は、平面ヒータゾーンと同程度に大きくてよく、例えば300mmチャックの場合は、幅は、1〜2インチ(約2.54〜5.08センチ)であることができる。好ましくは、電力供給ライン及び電力戻りラインの材料は、Cu、Al、W、Inconel(登録商標)、又はMoなどの、低抵抗性の材料である。
【0015】
従来の抵抗ヒータ素子は、通常は、Al、Cu、W、Inconel(登録商標)、及びMoなどの、低抵抗性の導電体で作成された蛇行線路を含む。一定の入力電圧Vのもとでは、抵抗ヒータ素子の加熱電力Pは、Rをその電気抵抗としたときに、V2/Rである。Rは、ρを蛇行線路の形成材料の電気抵抗とし、L、W、及びTをそれぞれ蛇行線路の総長(すなわち、蛇行線路をたどることによって測定された長さ)、幅、及び厚さとしたときに、(ρ・L)/(W・T)として表すことができる。蛇行線路の幾何学的因子L、W、及びTは、抵抗ヒータ素子が閉じ込められている平面ヒータゾーンの物理的大きさによる制約を受ける。Lは、平面ヒータゾーンにおける利用可能面積ゆえの上限を有し、W及びTは、製造技術ゆえの下限を有する。したがって、Rは上限を有し、Pは下限を有する。電力密度要件(好ましくは10W/cm2未満、より好ましくは5W/cm2)を満たすことは、ますます困難である。本明細書で以下で説明されるように、電気抵抗ρの増大が、この問題を軽減することができる。
【0016】
図1は、電気絶縁層103を有する加熱板の一実施形態を含む基板サポートアセンブリを示している。層103は、ポリマ材料、又は無機材料、又は酸化シリコン、又はアルミナ、イットリア、窒化アルミニウムなどのセラミック、又はその他の適切な材料で作成された、1枚以上の層を有することができる。基板サポートアセンブリは、更に、(a)DC電圧によって層103の表面に基板を静電クランプするために層103に埋め込まれる少なくとも1つのESC(静電クランプ)電極102(例えば単極又は双極)と、(b)熱障壁層107と、(c)冷却剤を流すための流路106を内包する冷却板105とを含む。明瞭さを期するために、電力供給ライン及び電力戻りラインは示されていない。
【0017】
図2に示されるように、各平面ヒータゾーン101は、電力供給ライン201のうちの1本と、電力戻りライン202のうちの1本とに接続される。同じ電力供給ライン201と電力戻りライン202とのペアを共有する平面ヒータゾーン101は、2つとして存在しない。適切な電気的切り替え構成によって、電力供給ライン201と電力戻りライン202とのペアを電源(不図示)に接続し、それによって、この電力ラインのペアに接続された平面ヒータゾーンのみを通電することが可能である。各平面ヒータゾーンの時間平均加熱電力は、時間領域多重化によって個々に調整することができる。異なるヒータゾーン間の相互干渉を阻止するためには、(図2に示されるように)各ヒータゾーンとそれに接続された電力供給ラインとの間に、又は各ヒータゾーンとそれに接続された電力戻りラインとの間に(不図示)、整流器250(例えばダイオード)を直列につなぐことができる。整流器は、加熱板内に又は任意の適切な位置に物理的に位置付けることができる。或いは、固体スイッチなどの任意の電流遮断構成を使用することが可能である。
【0018】
各平面ヒータゾーン101は、絶縁体と導体との複合体で作成された少なくとも1つのヒータ素子を含む。一実施形態では、絶縁体と導体との複合体は、Al23、SiO2、Y23、Si34、AlNからなる群より選択される1つ以上の絶縁体材料と、Al、Cu、Mo、W、Au、Ag、Pt、Pd、C、MoSi2、WC、SiCからなる群より選択される1つ以上の導体材料とを含む。絶縁体と導体との複合体は、絶縁体粉末及び導体粉末(好ましくは0.2〜20ミクロンの粒子サイズを有する)を適切な液体(例えばメタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、水、鉱油、又はそれらの混合)と混ぜてスラリ状にし、該スラリをスクリーン印刷して焼結させることによって作成することができる。好ましい一実施形態では、絶縁体と導体との複合体は、30wt%以下のAl23と、それに見合うWとを含む。
【0019】
加熱板の層103は、好ましくはセラミックで作成される。加熱板は、セラミック粉末と、結合剤と、液体との混合を加圧してシート状にすることと、それらのシートを乾燥させることと、それらのシートに穴を開けることによってシート内にビアを形成することと、スラリ状の導電粉末(例えばW、WC、ドープSiC、又はMoSi2)をスクリーン印刷する、事前にカットされた金属箔を押し付ける、スラリ状の導電粉末を噴き付ける、又はその他の任意の適切な技術を使用することによってシート上に電力供給ライン及び電力戻りラインを形成することと、スラリ状の絶縁体粉末及び導体粉末をスクリーン印刷する又は噴き付けることによってヒータ素子を形成することと、シートを揃えることと、焼結によってシートを接合して層103を形成することと、スラリ状の導体粉末によってビアを満たすことと、を含む代表的な方法によって作成することができる。シートは、厚さが約0.3mmであってよい。
【0020】
図3は、更に一次ヒータ層601も含む、図1の基板サポートアセンブリを示している。好ましくは、一次ヒータ層601は、少なくとも2つの個別制御高電力ヒータを含む。一次ヒータの電力は、100〜10000Wであり、好ましくは1000〜5000Wである。一次ヒータは、矩形格子、同心環状ゾーン、放射状ゾーン、又は環状ゾーンと放射状ゾーンとの組み合わせとして配置することができる。一次ヒータは、平均温度の変更、半径方向温度分布の調整、又は基板上における段階的温度制御に使用することができる。一次ヒータは、熱障壁層107の上方にあり、ヒータゾーン101の上方又は下方に位置付けることができる。
【0021】
プラズマ処理チャンバがどのように動作するかの概観として、図4は、チャンバ713を含み、そのなかに上方シャワーヘッド電極703及び基板サポートアセンブリ704を配された、プラズマ処理チャンバの概略を示している。基板712が、取り込み口711を通して取り込まれ、基板サポートアセンブリ704上に搭載される。ガスライン709は、上方シャワーヘッド電極703にプロセスガスを供給し、該電極703は、そのプロセスガスをチャンバ内に送り込む。ガスライン709には、ガス源708(例えば、適切なガス混合を供給する質量流コントローラ)がつながれる。上方シャワーヘッド電極703には、RF電源702がつながれる。動作にあたっては、基板712と上方シャワーヘッド電極703との間の空間内でプロセスガスを活性化させてプラズマにするために、チャンバは、真空ポンプ710によって排気され、基板サポートアセンブリ704のなかで上方シャワーヘッド電極703と下方電極との間にRF電力が容量結合される。プラズマは、基板712上の層内にデバイスダイ特徴をエッチングするために使用することができる。基板サポートアセンブリ704は、本明細書で説明されるような加熱板を含む。上述のように、プラズマ処理チャンバの詳細な設計が可変である一方で、RF電力は基板サポートアセンブリ704を通じてプラズマに結合されることが理解されるべきである。
【0022】
基板サポートアセンブリの製造に使用するための適切な絶縁材料及び導電材料の例は、参照によって本明細書に開示内容を組み込まれる同一出願人による米国特許第6,483,690号に開示されている。
【0023】
加熱板、加熱板を製造する方法、及び加熱板を含む基板サポートアセンブリが、それらの特定の実施形態を参照にして詳細に説明されてきたが、当業者ならば、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正が加えられることが可能であること、並びに均等物が用いられることが可能であることが明らかである。
本発明は、以下の適用例を含む。
[適用例1]
半導体処理装置のなかで半導体基板を支持するために使用される基板サポートアセンブリのための加熱板であって、
電気絶縁層と、
少なくとも第1、第2、第3、及び第4の平面ヒータゾーンを含む平面ヒータゾーンであって、絶縁体と導体との複合体で作成された1つ以上のヒータ素子をそれぞれ含み、前記電気絶縁層全域にわたって横方向に分布され、前記半導体基板上における空間的温度分布を調整するように動作可能である、平面ヒータゾーンと、
電力供給ラインであって、少なくとも、前記第1及び第2の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第1の導電性電力供給ラインと、前記第3及び第4の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第2の導電性電力供給ラインとを含む、電力供給ラインと、
電力戻りラインであって、少なくとも、前記第1及び第2の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第1の導電性電力戻りラインと、前記第3及び第4の平面ヒータゾーンに電気的に接続された第2の導電性電力戻りラインとを含む、電力戻りラインと、
を備える、加熱板。
[適用例2]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記絶縁体と導体との複合体は、Al23、SiO2、Y23、Si34、及びAlNからなる群より選択される1つ以上の絶縁体材料と、Al、Cu、Mo、W、Au、Ag、Pt、Pd、C、MoSi2、WC、及びSiCからなる群より選択される1つ以上の導体材料とを含む、加熱板。
[適用例3]
適用例2に記載の加熱板であって、
前記絶縁体と導体との複合体は、30wt%以下のAl23と、それに見合うWとを含む、加熱板。
[適用例4]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記平面ヒータゾーンは、
(a)各平面ヒータゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ4つ以下の大きさであるように、
(b)各平面ヒータゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ2つ以下の大きさであるように、
(c)各平面ヒータゾーンが、前記半導体基板上に製造されているデバイスダイ1つ以下の大きさであるように、又は
(d)各平面ヒータゾーンが、前記半導体基板上のデバイスダイのサイズ及び前記半導体基板の全体サイズに対応するようにスケール調整されるように、
サイズを決定される、加熱板。
[適用例5]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記平面ヒータゾーンは、
(a)各平面ヒータゾーンが、0.1〜1cm2であるように、
(b)各平面ヒータゾーンが、1〜3cm2であるように、
(c)各平面ヒータゾーンが、3〜15cm2であるように、又は
(d)各平面ヒータゾーンが、15〜100cm2であるように、
サイズを決定される、加熱板。
[適用例6]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記加熱板は、100〜1000の平面ヒータゾーンを含み、
各ヒータ素子は、蛇行形状を有する、加熱板。
[適用例7]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記電気絶縁層は、ポリマ材料、セラミック材料、ガラス繊維複合材料、又はそれらの組み合わせを含む、加熱板。
[適用例8]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記電力供給ライン及び前記電力戻りラインの総数は、前記平面ヒータゾーンの総数以下である、加熱板。
[適用例9]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記平面ヒータゾーンの総面積は、前記加熱板の上側表面の50〜99%である、加熱板。
[適用例10]
適用例1に記載の加熱板であって、
前記平面ヒータゾーンは、矩形格子、六角形格子、又は同心円に配置され、
前記平面ヒータゾーンは、最小で幅1ミリメートル、最大で幅10ミリメートルの隙間によって互いに隔てられる、加熱板。
[適用例11]
基板サポートアセンブリであって、
前記基板サポートアセンブリ上に半導体基板を静電的にクランプするように構成された少なくとも1つの静電クランプ電極を含む静電チャック(ESC)と、
適用例1に記載の加熱板と、
熱障壁層によって前記加熱板の下側に取り付けられた冷却板と、
を備える、基板サポートアセンブリ。
[適用例12]
適用例11に記載の基板サポートアセンブリであって、更に、
前記加熱板の前記平面ヒータゾーンの上方又は下方に配置された少なくとも1つの一次ヒータ層であって、前記加熱板の前記平面ヒータゾーン、前記電力供給ライン、及び前記電力戻りラインから電気的に絶縁され、前記半導体基板の平均温度制御を提供する少なくとも1つのヒータを含む、少なくとも1つの一次ヒータ層を備え、
前記平面ヒータゾーンは、前記半導体基板の処理中における、前記半導体基板の半径方向及び方位角方向の温度分布制御を提供する、基板サポートアセンブリ。
[適用例13]
適用例12に記載の基板サポートアセンブリであって、
前記一次ヒータ層は、少なくとも100Wで通電される2つ以上の一次ヒータを含み、
前記平面ヒータゾーンは、10W/cm2未満で通電される、基板サポートアセンブリ。
[適用例14]
適用例1に記載の加熱板を作成する方法であって、
絶縁体粉末及び導体粉末を液体(例えばメタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、水、鉱油)と混ぜてスラリ状にすることと、
前記スラリを前記電気絶縁層上にスクリーン印刷することと、
前記スラリを焼結させることと、
を備える、方法。
[適用例15]
適用例14に記載の方法であって、
前記液体は、メタノール、エタノール、アセトン、イソプロピルアルコール、水、鉱油、及びそれらの混合からなる群より選択される、方法。
[適用例16]
適用例14に記載の方法であって、
前記粉末は、0.2〜20ミクロンの粒子サイズを有する、方法。
[適用例17]
適用例1に記載の加熱板を製造するための方法であって、
セラミック粉末と、結合剤と、液体との混合を加圧してシート状にすることと、
前記シートを乾燥させることと、
前記シートに穴を開けることによって前記シート内にビアを形成することと、
前記シート上に前記電力供給ライン及び前記電力戻りラインを形成することと、
スラリ状の絶縁体粉末及び導体粉末をスクリーン印刷する又は噴き付けることによって前記ヒータ素子を形成することと、
前記シートを揃えることと、
焼結によって前記シートを接合し、前記電気絶縁層を形成することと、
スラリ状の導体粉末によって前記ビアを満たすことと、
を備える、方法。
[適用例18]
適用例17に記載の方法であって、
前記電力供給ライン及び前記電力戻りラインは、スラリ状の導電粉末をスクリーン印刷すること、事前にカットされた金属箔を押し付けること、又はスラリ状の導電粉末を噴き付けることによって形成される、方法。
[適用例19]
適用例11に記載の基板サポートアセンブリを含むプラズマ処理チャンバのなかで半導体基板をプラズマ処理するための方法であって、
(a)前記処理チャンバのなかに半導体基板を取り込み、前記半導体基板を前記基板サポートアセンブリ上に位置決めすることと、
(b)微小寸法(CD)均一性に影響を及ぼす処理条件を補う温度分布を決定することと、
(c)前記基板サポートアセンブリを使用して前記半導体基板を加熱し、前記温度分布に一致させることと、
(d)前記ヒータゾーンの独立制御加熱によって前記温度分布を制御しつつ、プラズマを点火させて前記半導体基板を処理することと、
(e)前記処理チャンバから前記半導体基板を取り出し、異なる半導体基板でステップ(a)〜(e)を繰り返すことと、
を備える、方法。
図1
図2
図3
図4