(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0004】
電気的制御複屈折の原理、ECB(electrically controlled birefringence:電気的制御複屈折)効果またはDAP(deformation of aligned phases:配向層の変形)効果は、1971年に初めて記載された(M.F.SchieckelおよびK.Fahrenschon、「Deformation of nematic liquid crystals with vertical orientation in electrical fields」、Appl.Phys.Lett.19巻(1971年)、3912頁(非特許文献1))。その後、J.F.Kahn(Appl.Phys.Lett.20巻(1972年)、1193頁(非特許文献2))およびG.LabrunieおよびJ.Robert(J.Appl.Phys.44巻(1973年)、4869頁(非特許文献3))による報文が続いた。
【0005】
J.RobertおよびF.Clerc(SID 80 Digest Techn.Papers(1980年)、30頁(非特許文献4))、J.Duchene(Displays 7巻(1986年)、3頁(非特許文献5))およびH.Schad(SID 82 Digest Techn.Papers(1982年)、244頁(非特許文献6))による報文において、ECB効果に基づく高度情報ディスプレイ素子中での使用に適するものとするためには、高い値の弾性定数の比K
3/K
1、高い値の光学異方性Δn、および−0.5以下の値の誘電異方性Δεを液晶相が有していなければならないことが示された。ECB効果に基づく電気光学的ディスプレイ素子はホメオトロピックなエッジ配向を有している(VA技術、即ち、垂直配向(vertically aligned))。また、誘電的に負の液晶媒体も、所謂IPSまたはFFS効果を使用するディスプレイにおいて使用できる。
【0006】
ECB効果を使用するディスプレイは、所謂VAN(vertically aligned nematic:垂直配向ネマチック)ディスプレイとして、例えば、MVA(multi−domain vertical alignment:マルチドメイン垂直配向、例えば:Yoshide、H.ら、論文3.1:「MVA LCD for Notebook or Mobile PCs(以下省略)」SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第6〜9頁(非特許文献7)およびLiu、C.T.ら、論文15.1:「A 46−inch TFT−LCD HDTV Technology(以下省略)」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第750〜753頁(非特許文献8))、PVA(patterned vertical alignment:パターン化垂直配向、例えば:Kim、Sang Soo、論文15.4:「Super PVA Sets New State−of−the−Art for LCD−TV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第760〜763頁(非特許文献9))、ASV(advanced super view:先進スーパーヴュー、例えば:Shigeta、MitzuhiroおよびFukuoka、Hirofumi、論文15.2:「Development of High Quality LCDTV」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第754〜757頁(非特許文献10))モードにおいて、現在のところ最も重要な液晶ディスプレイの3種類のより最近のタイプの1つとして、特にテレビ用途向けとして、IPS(in−plane switching:面内スイッチング)ディスプレイ(例えば:Yeo、S.D.、論文15.3:「An LC Display for the TV Application」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book II、第758および759頁(非特許文献11))および長く知られているTN(twisted nematic:ツイストネマチック)ディスプレイに加えて、確立されてきた。その技術は、一般的な形で、例えば、2004年6月のSoukにおけるSIDセミナーにおいて、セミナーM−6:「Recent Advances in LCD Technology」、セミナー講義ノート、M−6/1〜M−6/26(非特許文献12)およびMiller、Ian、SIDセミナー 2004、セミナーM−7:「LCD−Television」、セミナー講義ノート、M−7/1〜M−7/32(非特許文献13)において比較されている。オーバードライブによるアドレス方法、例えば:Kim、Hyeon Kyeongら、論文9.1:「A57−in.Wide UXGA TFT−LCD for HDTV Application」、SID 2004 International Symposium、Digest of Technical Papers、XXXV、Book I、第106〜109頁(非特許文献14)によって、近年のECBディスプレイの応答時間は既に著しく改良されてきたが、ビデオに対応できる応答時間を達成することは、特に中間階調のスイッチングにおいて、依然として未だに満足いくほどには解決されていない問題である。
【0007】
この効果を電気光学的ディスプレイ素子中で工業的に応用するには、多数の要求を満足するLC相が必要となる。ここで特に重要なものは、水分、空気、および熱、赤外線、可視および紫外領域の放射、直流および交流電界などの物理的影響に対する化学的安定性である。
【0008】
更に、工業的に使用できるLC相は、適切な温度範囲内での液晶中間相および低粘度を有することが要求される。
【0009】
液晶中間相を有する現在までに開示された一連の化合物には、単一の化合物で、これら全ての要求を満たすものは含まれていない。従って、LC相として使用できる物質を得るためには、一般に、2〜25種類、好ましくは3〜18種類の化合物の混合物を調製する。しかしながら、著しく負の誘電異方性および適切な長期安定性を有する液晶材料がこれまで入手できなかったため、この方法では最適な相を容易に調製することは不可能であった。
【0010】
マトリックス液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ:matrix liquid−crystal display)は既知である。個々のピクセルをそれぞれスイッチングするために使用できる非線形素子は、例えば、アクティブ素子(即ち、トランジスター)である。なお、用語「アクティブマトリクス」を使用し、2つのタイプに区別できる:
1.基板としてのシリコンウエハー上のMOS(metal oxide semiconductor:金属酸化物半導体)トランジスター、
2.基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(TFT:thin−film transistor)。
【0011】
タイプ1の場合、使用される電気光学的効果は、通常、動的散乱またはゲスト−ホスト効果である。基板材料として単結晶シリコンを使用すると、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立て品の場合であっても接続部での問題が生じるため、ディスプレイの大きさが制限される。
【0012】
好適であり、より有望なタイプ2の場合、使用される電気光学的効果は、通常、TN効果である。
【0013】
2つの技術に区別される:例えば、CdSeなどの化合物半導体を含むTFT、または、多結晶またはアモルファスシリコンを基礎とするTFTである。後者の技術について、世界的に集中した研究がなされている。
【0014】
TFTマトリクスはディスプレイの一方のガラス板の内面に適用される一方で、他方のガラス板は、その内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極の大きさと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。また、この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも拡張でき、このディスプレイにおいては、フィルター素子がスイッチ可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置されている。
【0015】
これまでに開示されたTFTディスプレイは、通常、透過に対して直交した偏光板を備えるTNセルとして作動し、バックライトで照らされる。
【0016】
MLCディスプレイとの用語は、本明細書において、集積非線形素子を備える任意のマトリクスディスプレイ、即ち、アクティブマトリクスに加えて、バリスターまたはダイオード(MIM、即ち、metal−insulator−metal:金属−絶縁体−金属)などのパッシブ素子を備えるディスプレイも包含する。
【0017】
このタイプのMLCディスプレイは、テレビ用途(例えば、ポケットテレビ)、または、自動車または航空機内での高度情報ディスプレイに特に適している。コントラストの角度依存性および応答時間に関する問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、また、液晶混合物の比抵抗が十分に高くないことに起因する問題もある[TOGASHI、S.、SEKIGUCHI、K.、TANABE,H.、YAMAMOTO、E.、SORIMACHI、K.、TAJIMA、E.、WATANABE、H.、SHIMIZU、H.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、A210〜288、「Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings」、第141ff頁、パリ(非特許文献15);STROMER、M.、Proc.Eurodisplay、第84巻、1984年9月、「Design of Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal Displays」、第145ff頁、パリ(非特許文献16)]。抵抗の低下に伴い、MLCディスプレイのコントラストが劣化する。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命にわたって低下するので、ディスプレイが長期の動作期間で許容される抵抗値を有するためには、高い(初期)抵抗が非常に重要である。
【0018】
これまでに開示されたMLC−TNディスプレイの不具合は、それらの比較的低いコントラスト、比較的高い視野角依存性、および、これらのディスプレイにおいて中間階調を生じさせることが困難なことである。
【0019】
よって、非常に高い比抵抗を有すると同時に、広い動作温度範囲、短い応答時間および低い閾電圧を有しており、これらのおかげで各種の中間階調を生成することができるMLCディスプレイが引き続き強く要求されている。
【0020】
特に、テレビ用途のためには、短い応答時間を達成することが非常に重要である。これを達成するために、ECBまたはVA用途において使用される誘電的に中性な化合物は、特に下式の化合物である。特に低い回転粘度および非常に良好な溶解性によって際立っているからである。
【0021】
【化2】
式中、R
1は、HまたはCH
3である。
【0022】
LCDテレビ用途においては、長時間にわたってディスプレイをアドレスした場合、例えば、画像の固着、即ち、画像の明らかな「焦げ付き」などの信頼性に関する問題が頻繁に発生する。
【0023】
この問題は、テレビ受像機を長時間にわたって動作した後にのみ頻繁に発生する。その原因は、しばしば、バックライトに対して長時間曝露されるのと同時に、動作温度が上昇し、その結果、ディスプレイ内において依然として未解明のプロセス、例えば、配向層と液晶混合物との間の相互作用が起こり得ると考えられている。液晶混合物の側としては、画像が固着する問題が発生する原因として、例えば、上述の頻繁に使用される中性のアルケニル化合物が考えられている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
VA混合物における式Iの化合物の使用は、例えば、欧州特許第0 474 062号明細書(特許文献1)、米国特許第6,066,268号明細書(特許文献2)、特開平11−228966号公報(特許文献3)、特開平11−236567号公報(特許文献4)、欧州特許第1 106 671号明細書(特許文献5)、米国特許出願公開第2005/0230661号公報(特許文献6)より既知である。先行技術とは対照的に、本発明による負の誘電異方性の混合物の考え方は、中性のアルケニル化合物が存在していないにも関わらず、短い応答時間と同時に、良好な低温安定性によって際立っている。
【0030】
よって、本発明は、式Iの少なくとも1種類の化合物を含む液晶媒体に関する。
【0031】
好ましくは、本発明による混合物は、60℃以上、好ましくは65℃以上、特には70℃以上の透明点を有する非常に広いネマチック相範囲、容量閾値に対する非常に好ましい値、保持率に対する比較的高い値と同時に、−30℃および−40℃における非常に良好な低温安定性、ならびに、非常に低い回転粘度および短い応答時間を示す。更に、本発明による混合物は、回転粘度γ
1の改良に加え、応答時間を改良するための弾性定数K
33の増加が観測され、混合物は改善された信頼性ある挙動を示すと言う事実によって際立っている。
【0032】
本発明による混合物の幾つかの好ましい実施形態を下に示す。
【0033】
a)式IにおけるR
1およびR
1*は、直鎖状のアルキル、特に、C
2H
5、n−C
3H
7、n−C
4H
9、更に、n−C
5H
11、n−C
6H
13を表す。特に好ましくは、R
1はn−C
3H
7を表し、R
1*はCH
3、C
2H
5またはn−C
3H
7を表す。
【0034】
b)1種類、2種類、3種類または4種類以上、好ましくは、1種類、2種類または3種類の式Iの化合物を含む液晶媒体。
【0035】
c)混合物全体における式Iの化合物の割合が3重量%以上、好ましくは、10重量%以上、特に好ましくは、15重量%以上である液晶媒体。3〜50%、好ましくは、25〜35%の1種類以上の式Iの化合物を含む液晶媒体が特に好ましい。aが0である式Iの化合物は、好ましくは、15〜35%の量で混合物中に存在する。aが1である式Iの化合物は、好ましくは、3〜30%の量で混合物中に存在する。
【0036】
d)式Iの好ましい化合物は、式I−1〜I−6の化合物である:
【0037】
【化4】
本発明による混合物は、好ましくは、式I−1および/またはI−2の化合物を、好ましくは、5〜30%の量で含む。
【0038】
本発明による媒体は、特に好ましくは、式I−1および/または式I−2の三環式化合物を、式I−3〜I−6の1種類以上の二環式化合物と組み合わせて含む。式I−3〜I−6の二環式化合物より選択される1種類以上の化合物と組み合わせた式I−1および/または式I−2の化合物の総割合は、好ましくは、5〜40%、非常に特に好ましくは、15〜35%である。
【0039】
非常に特に好ましい混合物は、化合物I−1およびI−3を含む:
【0040】
【化5】
化合物I−1およびI−3は、混合物全体を基礎として、好ましくは、15〜35%、特に好ましくは、15〜25%、特に好ましくは、18〜22%の濃度において、混合物中に存在する。
【0041】
非常に特に好ましい混合物は、化合物I−2およびI−3を含む:
【0042】
【化6】
化合物I−2およびI−3は、混合物全体を基礎として、好ましくは、15〜35%、特に好ましくは、15〜25%、特に好ましくは、18〜22%の濃度において、混合物中に存在する。
【0043】
非常に特に好ましい混合物は、以下の3種類の化合物を含む:
【0044】
【化7】
化合物I−1、I−2およびI−3は、混合物全体を基礎として、好ましくは、15〜35%、特に好ましくは、15〜25%、特に好ましくは、18〜22%の濃度において、混合物中に存在する。
【0045】
e)式IIA、IIBおよびIICの化合物群より選択される1種類以上の化合物を追加的に含む液晶媒体:
【0046】
【化8】
式中、
R
2A、R
2BおよびR
2Cは、それぞれ互いに独立に、H、15個までのC原子を有するアルキル基を表し、該基は無置換であるか、CNまたはCF
3で一置換されているか、または、ハロゲンで少なくとも一置換されており、ただし加えて、これらの基における1個以上のCH
2基は、O原子が互いに直接連結しないようにして、−O−、−S−、
【0047】
【化9】
−C≡C−、−CF
2O−、−OCF
2−、−OC−O−または−O−CO−で置き換えられていてもよく、
L
1〜4は、それぞれ互いに独立に、FまたはClを表し、
Z
2およびZ
2’は、それぞれ互いに独立に、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CH=CHCH
2O−を表し、
pは、1または2を表し、
qは、0または1を表し、および
vは、1〜6を表す。
【0048】
式IIAおよびIIBの化合物において、Z
2は同一または異なる意味のいずれを有していてもよい。式IIBの化合物において、Z
2およびZ
2’は同一または異なる意味のいずれを有していてもよい。
【0049】
式IIA、IIBおよびIICの化合物において、R
2A、R
2BおよびR
2Cは、それぞれ好ましくは、1〜6個のC原子を有するアルキル、特に、CH
3、C
2H
5、n−C
3H
7、n−C
4H
9、n−C
5H
11を表す。
【0050】
式IIAおよびIIBの化合物において、L
1、L
2、L
3およびL
4は、好ましくは、L
1=L
2=FおよびL
3=L
4=F、更に、L
1=FおよびL
2=Cl、L
1=ClおよびL
2=F、L
3=FおよびL
4=Cl、L
3=ClおよびL
4=Fを表す。式IIAおよびIIBにおいて、Z
2およびZ
2’は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、単結合、更に、−C
2H
4−架橋を表す。
【0051】
式IIBにおいてZ
2が−C
2H
4−の場合、Z
2’は、好ましくは、単結合であり、Z
2’が−C
2H
4−の場合、Z
2は、好ましくは、単結合である。式IIAおよびIIBの化合物において、(O)C
vH
2v+1は、好ましくは、OC
vH
2v+1、更に、C
VH
2v+1を表す。式IICの化合物において、(O)C
vH
2v+1は、好ましくは、C
VH
2v+1を表す。式IICの化合物において、L
3およびL
4は、それぞれ好ましくは、Fを表す。
【0052】
式IIA、IIBおよびIICの好ましい化合物を下に示す:
【0060】
【化17】
式中、alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0061】
本発明による特に好ましい混合物は、式IIA−2、IIA−8、IIA−14、IIA−29、IIA−35、IIB−2、IIB−11、IIB−16およびIIC−1の1種類以上の化合物を含む。混合物全体における式IIAおよび/またはIIBの化合物の割合は、好ましくは、少なくとも20重量%である。
【0062】
本発明による特に好ましい媒体は、式IIC−1の化合物を、好ましくは、3重量%より多く、特に、5重量%より多く、特に好ましくは、5〜25重量%の量で含む:
【0063】
【化18】
式中、alkylおよびalkyl
*は上で示される意味を有する。
【0064】
f)式IIIの1種類以上の化合物を追加的に含む液晶媒体:
【0065】
【化19】
式中、
R
31およびR
32は、それぞれ互いに独立に、12個までのC原子を有する直鎖状のアルキル、アルコキシアルキルまたはアルコキシ基を表し、および
【0066】
【化20】
Z
3は、単結合、−CH
2CH
2−、−CH=CH−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−C
4H
8−、−CF=CF−を表す。
【0067】
式IIIの好ましい化合物を下に示す:
【0068】
【化21】
式中、
alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表す。
【0069】
本発明による媒体は、好ましくは、式IIIaおよび/または式IIIbの少なくとも1種類の化合物を含む。
【0070】
混合物全体における式IIIの化合物の割合は、好ましくは、少なくとも5重量%である。
【0071】
g)下式の化合物を、好ましくは、20重量%未満、特に、10重量未満の総量で追加的に含む液晶媒体:
【0072】
【化22】
下の化合物を含む本発明による混合物が更に好ましい:
【0073】
【化23】
h)下式の1種類以上の四環式化合物を追加的に含む液晶媒体:
【0074】
【化24】
式中、
R
7〜10は、それぞれ互いに独立に、請求項2においてR
2Aに示される意味の1つを有し、および
wおよびxは、それぞれ互いに独立に、1〜6を表す。
【0075】
i)式Y−1〜Y−6の1種類以上の化合物を追加的に含む液晶媒体:
【0076】
【化25】
式中、R
14〜R
19は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基を表し;zおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6を表し;xは、0、1、2または3を表す。
【0077】
本発明による媒体は、特に好ましくは、式Y−1の1種類以上の化合物を好ましくは5重量%以上の量で含む。
【0078】
j)式T−1〜T−20の1種類以上のフッ素化されたターフェニル類を追加的に含む液晶媒体:
【0081】
【化28】
式中、
Rは1〜7個のC原子を有する直鎖状のアルキルまたはアルコキシ基を表し、mは1〜6である。
【0082】
Rは、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシを表す。
【0083】
本発明による媒体は、好ましくは、式T−1〜T−20のターフェニル類を、2〜30重量%、特に5〜20重量%の量で含む。
【0084】
式T−1、T−2およびT−20の化合物が特に好ましい。これらの化合物において、Rは、好ましくは、それぞれ1〜5個のC原子を有するアルキル、更に、アルコキシを表す。
【0085】
混合物のΔn値が0.1以上に意図されている場合、ターフェニル類が、好ましくは、本発明による混合物において用いられる。好ましい混合物は、化合物群T−1〜T−20より選択される1種類以上のターフェニル化合物を2〜20重量%で含む。
【0086】
k)式B−1〜B−3の1種類以上のビフェニル類を追加的に含む液晶媒体:
【0087】
【化29】
式中、
alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、および
alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。
【0088】
混合物全体における式B−1〜B−3のビフェニル類の割合は、好ましくは、少なくとも3重量%、特に5重量%以上である。
【0089】
式B−1〜B−3の化合物のなかでも、式B−2の化合物が特に好ましい。
【0090】
特に好ましいビフェニル類は以下である:
【0091】
【化30】
式中、alkyl
*は、1〜6個のC原子を有するアルキル基を表す。本発明による媒体は、特に好ましくは、式B−1aおよび/またはB−2cの1種類以上の化合物を含む。
【0092】
l)式Z−1〜Z−7の少なくとも1種類の化合物を含む液晶媒体:
【0093】
【化31】
式中、Rおよびalkylは上で示される意味を有する。
【0094】
m)式O−1〜O−18の少なくとも1種類の化合物を含む液晶媒体:
【0096】
【化33】
式中、R
1およびR
2は、R
2Aに示される意味を有する。R
1およびR
2は、好ましくは、それぞれ互いに独立に、直鎖状のアルキルを表す。
【0097】
好ましい媒体は、式O−1、O−3、O−4、O−9、O−13、O−14、O−15、O−16、O−17および/またはO−18の1種類以上の化合物を含む。
【0098】
n)本発明による好ましい液晶媒体は、例えば、式N−1〜N−5の化合物などのテトラヒドロナフチルまたはナフチル単位を含有する1種類以上の物質を含む:
【0099】
【化34】
式中、R
1NおよびR
2Nは、それぞれ互いに独立に、R
2Aに示される意味を有し、好ましくは、直鎖状のアルキル、直鎖状のアルコキシまたは直鎖状のアルケニルを表し、および
Z
1およびZ
2は、それぞれ互いに独立に、−C
2H
4−、−CH=CH−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
3O−、−O(CH
2)
3−、−CH=CHCH
2CH
2−、−CH
2CH
2CH=CH−、−CH
2O−、−OCH
2−、−COO−、−OCO−、−C
2F
4−、−CF=CF−、−CF=CH−、−CH=CF−、−CF
2O−、−OCF
2−、−CH
2−または単結合を表す。
【0100】
o)好ましい混合物は、式BCのジフルオロジベンゾクロマン化合物、式CRのクロマン類、式PH−1およびPH−2のフッ素化フェナントレン類、式BFのフッ素化ジベンゾフラン類の群より選択される1種類以上の化合物を含む:
【0101】
【化35】
式中、
R
B1、R
B2、R
CR1、R
CR2、R
1、R
2は、それぞれ互いに独立に、R
2Aの意味を有し、cは0、1または2である。
【0102】
本発明による混合物は、好ましくは、式BC、CR、PH−1、PH−2および/またはBFの化合物を、3〜20重量%の量、特に3〜15重量%の量で含む。式BCおよびCRの特に好ましい化合物は、化合物BC−1〜BC−7およびCR−1〜CR−5である:
【0104】
【化37】
式中、
alkylおよびalkyl
*は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル基を表し、および
alkenylおよびalkenyl
*は、それぞれ互いに独立に、2〜6個のC原子を有する直鎖状のアルケニル基を表す。
【0105】
式BC−2の1種類、2種類または3種類の化合物を含む混合物が、非常に特に好ましい。
【0106】
p)好ましい混合物は、式Inの1種類以上のインダン化合物を含む:
【0107】
【化38】
式中、
R
11、R
12、R
13は、それぞれ互いに独立に、1〜6個のC原子を有する直鎖状のアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキルまたはアルケニル基を表し、
R
12およびR
13は、ハロゲン、好ましくはFを追加的に表し、
【0108】
【化39】
を表し、
iは、0、1または2を表す。
【0109】
式Inの好ましい化合物は、下に示される式In−1〜In−16の化合物である:
【0111】
【化41】
式In−1、In−2およびIn−3の化合物が特に好ましい。
【0112】
本発明による混合物において、式Inおよびサブ式In−1〜In−16の化合物は、好ましくは5重量%以上、特に5〜30重量%、非常に特に好ましくは5〜25重量%の濃度で用いる。
【0113】
q)好ましい混合物は、式L−1〜L−11の1種類以上の化合物を追加的に含む:
【0115】
【化43】
式中、
R、R
1およびR
2は、それぞれ互いに独立に、請求項2においてR
2Aに示される意味を有し、alkylは1〜6個のC原子を有するアルキル基を表す。sは1または2を表す。
【0116】
特に好ましいのは式L−1およびL−4であり、特にL−4の化合物である。
【0117】
式L−1〜L−11の化合物は、好ましくは5〜50重量%、特に5〜40重量%、非常に特に好ましくは10〜40重量%の濃度で用いる。
【0118】
非常に特に好ましい実施形態を下に示す。
【0119】
本発明による媒体は、式I−1〜I−6の化合物群より選択される少なくとも3種類の化合物を、好ましくは、8〜50%の量で含む:
【0120】
【化44】
本発明による媒体は、式I−1および/またはI−2の化合物:
【0121】
【化45】
を、下式の1種類以上の化合物と組み合わせて含む:
【0122】
【化46】
特に好ましい混合の考え方を下に示す:(使用される頭字語は表Aにおいて説明されている。ここで、nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6を表す)。
【0123】
本発明による混合物は、好ましくは、
・CPY−n−Om、特に、CPY−2−O2、CPY−3−O2および/またはCPY−5−O2を、混合物全体を基礎として、好ましくは5%より多く、特に10〜30%の濃度で、
および/または
・CY−n−Om、好ましくは、CY−3−O2、CY−3−O4、CY−5−O2および/またはCY−5−O4を、混合物全体を基礎として、好ましくは5%より多く、特に15〜50%の濃度で、
および/または
・CCY−n−Om、好ましくは、CCY−4−O2、CCY−3−O2、CCY−3−O3および/またはCCY−5−O2を、混合物全体を基礎として、好ましくは5%より多く、特に10〜30%の濃度で、
および/または
・CLY−n−Om、好ましくは、CLY−2−O4、CLY−3−O2および/またはCLY−3−O3を、混合物全体を基礎として、好ましくは5%より多く、特に10〜30%の濃度で、
および/または
・CK−n−F、好ましくは、CK−3−F、CK−4−Fおよび/またはCK−5−Fを、混合物全体を基礎として、好ましくは5%より多く、特に5〜25%の濃度で、
で含み、
ただし、本発明による液晶混合物における全てのメソゲン化合物の割合は100%以下である。
【0124】
更に、以下の混合の考え方を含む本発明による混合物が好ましい(nおよびmは、それぞれ互いに独立に、1〜6を表す。):
・CPY−n−OmおよびCY−n−Omを、混合物全体を基礎として、好ましくは、10〜80%の濃度で、
および/または
・CPY−n−OmおよびCK−n−Fを、混合物全体を基礎として、好ましくは、10〜70%の濃度で、
および/または
・CPY−n−OmおよびCK−n−FおよびCLY−n−Omを、混合物全体を基礎として、好ましくは、10〜80%の濃度で、ただし、本発明による液晶混合物における全てのメソゲン化合物の割合は100%以下である。
【0125】
本発明は、更に、請求項1〜9のいずれか一項に記載される液晶媒体を誘電体として含有することを特徴とし、ECB、IPSまたはFFS効果を基礎としてアドレスするアクティブマトリクスを有する電気光学的ディスプレイに関する。
【0126】
本発明による液晶媒体は、好ましくは−20℃以下〜70℃以上、特に好ましくは−30℃以下〜80℃以上、非常に特に好ましくは−40℃以下〜90℃以上のネマチック相を有する。
【0127】
本明細書において、表現「ネマチック相を有する」は、一方で、対応する温度における低温においてスメクチック相および結晶化が確認されず、他方で、ネマチック相から加熱しても依然として透明化が起きないという意味を有する。低温における検討は対応する温度において流動粘度計中で行なわれ、電気光学的な使用に対応する層厚を有する試験用セル中において少なくとも100時間保存して確認する。対応する試験用セル中において−20℃の温度における保存安定性が1000時間以上の場合、媒体はこの温度において安定であるとする。−30℃および−40℃の温度において、対応する時間は、それぞれ500時間および250時間である。高温においては、毛細管中で従来法によって透明点を測定する。
【0128】
液晶混合物は、好ましくは、少なくとも60Kのネマチック相範囲と、20℃において最大で30mm
2・s
−1の流動粘度ν
20を有する。
【0129】
液晶混合物における複屈折率Δnの値は、一般に、0.07〜0.16の間、好ましくは、0.08〜0.12の間である。
【0130】
本発明による液晶混合物は、−0.5〜−8.0、特に−3.0〜−6.0のΔεを有し、ただしΔεは誘電異方性を表す。20℃における回転粘度γ
1は、好ましくは、165mPa・s以下、特に140mPa・s以下である。
【0131】
本発明による液晶媒体は、閾電圧(V
0)について比較的低い値を有する。それらは、好ましくは1.7V〜3.0V、特に好ましくは2.75V以下、非常に特に好ましくは2.4V以下の範囲内である。
【0132】
本発明においては、用語「閾電圧」は、他に明示しない限り、フレデリックス閾値としても知られる容量閾値(V
0)に関する。
【0133】
加えて、本発明による液晶媒体は、液晶セル中において、特にディスプレイバックライトに曝された後に電圧保持率に対して高い値を有する。
【0134】
一般に、低いアドレス電圧または閾電圧を有する液晶媒体は、より高いアドレス電圧または閾電圧を有するものよりも低い電圧保持率を示し、逆もそうである。
【0135】
本発明において、用語「誘電的に正の化合物」はΔε>1.5を有する化合物を表し、用語「誘電的に中性の化合物」は−1.5≦Δε≦1.5を有するものを表し、用語「誘電的に負の化合物」はΔε<−1.5を有するものを表す。本明細書において、化合物の誘電異方性は10%の化合物を液晶ホストに溶解して決定され、それぞれの場合で20μmの層厚でホメオトロピックおよびホモジニアス表面配向を有する少なくとも1つの試験用セル中で1kHzにおいて、結果として得られる混合物のキャパシタンスを決定する。測定電圧は典型的には0.5V〜1.0Vであるが、検討されるそれぞれの液晶混合物の容量閾値よりも常に低くする。
【0136】
本発明において示される全ての温度の値は℃である。
【0137】
本発明による混合物は、例えば、VAN、MVA、(S)−PVEおよびASVなどの全てのVA−TFT用途に適切である。それらは、更に、負のΔεを有するIPS(in−plane switching:面内スイッチング)およびFFS(fringe field switching:フリンジ場スイッチング)用途に適切である。
【0138】
本発明によるディスプレイにおけるネマチック液晶混合物は、一般に、それ自身、1種類以上の個々の化合物から成る2種類の成分AおよびBを含む。
【0139】
成分Aは著しい負の誘電異方性を有し、ネマチック相へ−0.5以下の誘電異方性を与える。式Iの1種類以上の化合物に加え、成分Aは、好ましくは、式IIA、IIBおよび/またはIICの化合物、更に、式IIIの化合物を含む。
【0140】
成分Aの割合は、好ましくは、45〜100%の間、特に60〜100%の間である。
【0141】
成分Aのためには、−0.8以下のΔεの値を有する1種類(またはそれ以上)の個々の成分(1種類または複数種類)が好ましくは選択される。混合物全体における割合Aが小さくなるほど、この値をより負としなければならない。
【0142】
成分Bは明瞭なネマトゲン性、および、20℃において30mm
2・s
−1以下、好ましくは25mm
2・s
−1以下の流動粘度を有する。
【0143】
成分Bにおける特に好ましい個々の化合物は、20℃において18mm
2・s
−1以下、好ましくは12mm
2・s
−1以下の流動粘度を有する非常に低粘度のネマチック液晶である。
【0144】
成分Bはモノトロピック性またはエナンチオトロピック性のネマチックであり、スメクチック相を有さず、液晶混合物において非常に低い温度までスメクチック相の発生を防止することができる。例えば、高いネマトゲン性の各種材料をスメクチック液晶混合物に加える場合、達成されるスメクチック相の抑制の程度を通して、これらの材料のネマトゲン性を比較できる。
【0145】
多数の適切な材料が文献より当業者に知られている。式IIIの化合物が特に好ましい。
【0146】
加えて、また、これらの液晶相は18種類を超える成分、好ましくは18〜25種類の成分を含むこともある。
【0147】
式Iの1種類以上の化合物に加え、相は、好ましくは4〜15種類、特に5〜12種類、特に好ましくは10種類未満の式IIA、IIBおよび/またはIICおよび任意成分としてIIIの化合物を含む。
【0148】
式Iの化合物および式IIA、IIBおよび/またはIICおよび任意成分としてIIIの化合物に加え、他の構成成分も、また、例えば、混合物全体の45%まで、しかし、好ましくは35%まで、特に10%までの量で存在してもよい。
【0149】
他の構成成分は、好ましくは、ネマチックまたはネマトゲン性の物質、特に、アゾキシベンゼン類、ベンジリデンアニリン類、ビフェニル類、ターフェニル類、安息香酸フェニルまたはシクロヘキシル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルまたはシクロヘキシル類、フェニルシクロヘキサン類、シクロヘキシルビフェニル類、シクロヘキシルシクロヘキサン類、シクロヘキシルナフタレン類、1,4−ビスシクロヘキシルビフェニル類またはシクロヘキシルピリミジン類、フェニルまたはシクロヘキシルジオキサン類、ハロゲン化されていてもよいスチルベン類、ベンジルフェニルエーテル類、トラン類および置換桂皮酸エステル類に分類される既知の物質より選択される。
【0150】
このタイプの液晶相の構成成分として適する最も重要な化合物は、式IVで特徴付けることができる:
【0151】
【化47】
式中、LおよびEは、それぞれ、1,4−二置換ベンゼンおよびシクロヘキサン環、4,4’−二置換ビフェニル、フェニルシクロヘキサンおよびシクロへキシルシクロヘキサン構造、2,5−二置換ピリミジンおよび1,3−ジオキサン環、2,6−二置換ナフタレン、ジおよびテトラヒドロナフタレン、キナゾリンおよびテトラヒドロキナゾリンにより形成される群からの炭素またはヘテロ環式環構造を表し、
Gは、−CH=CH−、−N(O)=N−、−CH=CQ−、−CH=N(O)−、−C≡C−、−CH
2−CH
2−、−CO−O−、−CH
2−O−、−CO−S−、−CH
2−S−、−CH=N−、−COO−Phe−COO−、−CF
2O−、−CF=CF−、−OCF
2−、−OCH
2−、−(CH
2)
4−、−(CH
2)
3O−またはC−C単結合であり、Qはハロゲン、好ましくは塩素または−CNを表し、R
20およびR
21は、それぞれ、18個までの、好ましくは8個までの炭素原子を有するアルキル、アルケニル、アルコキシ、アルコキシアルキルまたはアルコキシカルボニルオキシを表し、あるいは、これらの基の1つは、CN、NC、NO
2、NCS、CF
3、SF
5、OCF
3、F、ClまたはBrを表す。
【0152】
これらの化合物の殆どにおいて、R
20およびR
21は互いに異なっており、これらの基の1つは、通常、アルキルまたはアルコキシ基である。また、提案された置換基の他に変種も一般的である。多くのそのような物質またはそれらの混合物も商業的に入手できる。全てのこれらの物質は、文献より既知の方法によって調製できる。
【0153】
また、当業者には言うまでもなく、本発明によるVA、IPSまたはFFS混合物は、例えば、H、N、O、ClおよびFが対応する同位体で置き換えられた化合物を含んでも構わない。
【0154】
更に、例えば、米国特許第6,861,107号明細書で開示される通りの重合性化合物、いわゆる反応性メソゲン(RM:reactive mesogen)を、混合物を基礎として好ましくは0.12〜5重量%、特に好ましくは0.2〜2重量%の濃度で、本発明による混合物に加えてもよい。また、これらの混合物は、例えば、米国特許第6,781,665号明細書に記載される通りの開始剤を含んでもよい。開始剤、例えば、Ciba社製Irganox−1076を、好ましくは、重合性化合物を含む混合物に0〜1%の量で加える。このタイプの混合物は、反応性メソゲンの重合が液晶混合物中において起こるよう意図されている所謂ポリマー安定化VAモード(PS−VA:polymer−stabilised VA)用に使用できる。このための前提条件は、液晶混合物自身が重合性成分を一切含んでいないことである。適切な重合性化合物は、例えば、表Dに列記されている。
【0155】
本発明による混合物は、更に、例えば、安定剤、抗酸化剤、UV吸収剤、ナノ粒子、ミクロ粒子などの従来の添加剤を含んでも構わない。
【0156】
本発明による液晶ディスプレイの構造は、例えば、欧州特許出願公開第0 240 379号公報に記載される通りの通常の構成に対応する。
【0157】
以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を説明することを意図している。上および下において、パーセントのデータは重量パーセントを表し、全ての温度は摂氏度で示されている。
【0158】
式IIAおよび/またはIIBおよび/またはIICの化合物、式Iの1種類以上の化合物に加え、本発明による混合物は、好ましくは、下に示す表Aからの1種類以上の化合物を含む。
【0159】
以下の略称を使用する:
(n、m、z:それぞれ互いに独立に、1、2、3、4、5または6;(O)C
mH
2m+1はOC
mH
2m+1またはC
mH
2m+1を意味する)。
【0175】
本発明によって使用できる液晶混合物は、それ自体従来の様式で調製される。一般に、より少量で使用される成分の所望の量を、主要な組成を構成する成分中で、有利には昇温して溶解する。また、有機溶媒、例えば、アセトン、クロロホルムまたはメタノール中の成分の溶液を混合し、完全に混合後に、例えば、蒸留によって溶媒を再び除去することも可能である。
【0176】
適切な添加剤を利用することで、本発明による液晶相を、例えば、これまで開示されてきたECB、VAN、IPS、GHまたはASM−VA LCDディスプレイ等の任意のタイプにおいて用いることができるように改変できる。
【0177】
また、誘電体は、例えば、UV吸収剤、抗酸化剤、ナノ粒子およびフリーラジカル補足剤などの当業者に既知で文献に記載される更なる添加剤を含んでも構わない。例えば、0〜15%の多色性色素、安定化剤またはキラルドーパントを加えることができる。本発明による混合物に適切な安定剤は、特に、表Bに列記されるものである。
【0178】
例えば、0〜15%の多色性色素を加えることができ、更に、導電性塩、好ましくは、4−ヒドロキシ安息香酸エチルジメチルドデシルアンモニウム、テトラフェニルボラン酸テトラブチルアンモニウムまたはクラウンエーテル類の錯塩(例えば、Hallerら、Mol.Cryst.Liq.Cryst.24巻、249〜258頁(1973年)参照)を、導電性を改良するために添加することができ、または、誘電異方性、粘度および/またはネマチック相の配向を改変するための物質を加えることもできる。このタイプの物質は、例えば、ドイツ国特許出願公開第22 09 127、22 40 864、23 21 632、23 38 281、24 50 088、26 37 430および28 53 728号公報に記載されている。
【0179】
表Bに、本発明による混合物に添加できる可能なドーパントを示す。混合物がドーパントを含む場合、0.01〜4重量%、好ましくは0.1〜1.0重量%の量で用いる。
【0182】
例えば、混合物の総量を基礎として10重量%まで、好ましくは0.01〜6重量%、特に0.1〜3重量%の量で、本発明による混合物に添加できる安定剤を下で表Cに示す。好ましい安定剤は、特に、BHT誘導体、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−アルキルフェノール類およびTinuvin770である。
【0188】
PS−VA用途における本発明による混合物の使用に適する反応性メソゲンを下で表Dに示す。
【0190】
以下の例は、本発明を制限することなく、本発明を説明することを意図している。上および下において、
V
0は20℃における容量閾電圧(V)を表し、
Δnは20℃および589nmで測定される光学異方性を表し、
Δεは20℃および1kHzでの誘電異方性を表し、
cl.p.は透明点(℃)を表し、
K
1は20℃における「スプレイ」変形の弾性定数(pN)を表し、
K
3は20℃における「ベンド」変形の弾性定数(pN)を表し、
γ
1は20℃で測定される回転粘度(mPa・s)を表し、磁界中での回転法で決定され、
LTSは低温安定性(ネマチック相)を表し、試験用セル中で決定される。
【0191】
閾電圧の測定用に使用されるディスプレイは、20μm離れている2枚の平坦で平行な外板と、液晶のホメオトロピック配向をもたらすSE−1211(日産化学社製)の配向層が外板の内側上にオーバーレイされた電極層とを有している。
【0192】
他に明言しない限り、本出願における全ての濃度は対応する混合物または混合物成分に関する。全ての物理的特性は、「メルク液晶、液晶の物理的特性」1997年11月刊、ドイツ国メルク社に記載される通りに決定され、他に明らかに示さない限り、20℃の温度を適用する。
【実施例】
【0193】
<混合物例>
<例1>
【0194】
【表24】
【0195】
<例2>
【0196】
【表25】
【0197】
<例3>
【0198】
【表26】
【0199】
<例4>
【0200】
【表27】
【0201】
<例5>
【0202】
【表28】
【0203】
<例6>
【0204】
【表29】
【0205】
<例7>
【0206】
【表30】
【0207】
<例8>
【0208】
【表31】
【0209】
<例9>
【0210】
【表32】
【0211】
<例10>
【0212】
【表33】
【0213】
<例11>
【0214】
【表34】
【0215】
<例12>
【0216】
【表35】
【0217】
<例13>
【0218】
【表36】
【0219】
<例14>
【0220】
【表37】
【0221】
<例15>
【0222】
【表38】
【0223】
<例16>
【0224】
【表39】
【0225】
<例17>
【0226】
【表40】
【0227】
<例18>
【0228】
【表41】
【0229】
<例19>
【0230】
【表42】
【0231】
<例20>
【0232】
【表43】
【0233】
<例21>
【0234】
【表44】
【0235】
<例22>
【0236】
【表45】
【0237】
<例23>
PS−VA混合物を調製するために、例1による99.8%の混合物を下式の0.2%の重合性化合物と混合する。
【0238】
【化48】
【0239】
<例24>
PS−VA混合物を調製するために、例15による99.8%の混合物を下式の0.2%の重合性化合物と混合する。
【0240】
【化49】