特許第5955961号(P5955961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955961N−置換1H−ピラゾール5−カルボニルクロリド化合物を製造するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955961
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】N−置換1H−ピラゾール5−カルボニルクロリド化合物を製造するための方法
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/04 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   C07D401/04
【請求項の数】17
【全頁数】62
(21)【出願番号】特願2014-524392(P2014-524392)
(86)(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公表番号】特表2014-521712(P2014-521712A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】EP2012065648
(87)【国際公開番号】WO2013024007
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年8月4日
(31)【優先権主張番号】11177494.9
(32)【優先日】2011年8月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/522,746
(32)【優先日】2011年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508020155
【氏名又は名称】ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100125508
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 愛
(74)【代理人】
【識別番号】100180862
【弁理士】
【氏名又は名称】花井 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】ケルバー,カルステン
(72)【発明者】
【氏名】デシュムク,プラサント
(72)【発明者】
【氏名】カイザー,フローリアン
(72)【発明者】
【氏名】ラック,ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】フラッセット,ティモ
(72)【発明者】
【氏名】ビーチ,ジェマ
(72)【発明者】
【氏名】コルデス,マルクス
【審査官】 伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−500373(JP,A)
【文献】 特開2007−182422(JP,A)
【文献】 Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters,2005年,15,pp.4898-4906
【文献】 Chin. J. Chem.,2010年,28,pp.1757-1760
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAPLUS/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中、R1は、水素、ハロゲン、シアノ、-SF5、CBrF2、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル(最後に記載の6個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-Si(Rf)2Rg、-ORb、-SRb、-S(O)mRb、-S(O)nN(Rc)Rd、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は芳香族複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環から選択され;
R2は、それぞれ独立に、ハロゲン、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル(最後に記載の6個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-Si(Rf)2Rg、-ORb、-SRb、-S(O)mRb、-S(O)nN(Rc)Rd、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
Raは、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ-C1〜C6-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、-Si(Rf)2Rg、-ORb、-SRb、-S(O)mRb、-S(O)nN(Rc)Rd、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
或いは、同一原子に結合した2個の基Raは一緒に、=CRhRi、=NRc1、=NORb及び=NNRc1から選択される基を形成し、
或いは、2個の基Raは、それらが結合している炭素原子と一緒に、3、4、5、6、7又は8員の、飽和若しくは部分不飽和の炭素環、又は環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む複素環を形成し;
1個を超えるRaの場合、Raは、同一であっても、異なっていてもよく;
Rbは、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルホニルから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ及びC1〜C6-フルオロアルコキシからなる群から選択される1、2若しくは3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
1個を超えるRbの場合、Rbは、同一であっても、異なっていてもよく;
Rc、Rdは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、シアノ、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニルから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ及びC1〜C6-フルオロアルコキシから選択される1、2若しくは3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
或いは、Rc及びRdは、それらが結合している窒素原子と一緒に、環員として、N、O及びSから選択される1又は2個のさらなるヘテロ原子を含んでもよい3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環を形成し、複素環は、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C1〜C4-アルコキシ及びC1〜C4-フルオロアルコキシから選択される1、2、3又は4個の置換基を有していてもよく;
Rc1は、水素であり、又はRcに対して示された意味のうちの一つを有し;
Rd1は、水素であり、又はRdに対して示された意味のうちの一つを有し;
Reは、ハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C4-アルコキシから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルホニル、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく、並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ及びC1〜C6-フルオロアルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
1個を超えるReの場合、Reは、同一であっても、異なっていてもよく;
Rf、Rgは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、C1〜C4-アルキル、C3〜C6-シクロアルキル、C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキル、フェニル及びベンジルからなる群から選択され;
Rh、Riは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、水素、ハロゲン、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-フルオロアルキルから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニル、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、(C1〜C6-アルコキシ)カルボニル、(C1〜C6-アルキル)アミノ及びジ-(C1〜C6-アルキル)アミノからなる群から選択される1、2又は3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
mは、1又は2であり、数個の出現の場合、mは同一であっても異なっていてもよく;
nは、0、1又は2であり、数個の出現の場合、nは同一であっても異なっていてもよく;
rは、0、1、2、3又は4である]
のN-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物を製造するための方法であって、
i)式(II)
【化2】
[式中、可変であるR1、R2及びrは、それぞれ上に定義した通りである]
の化合物を炭素若しくは窒素結合リチウムを有するリチウム-有機塩基又は炭素結合マグネシウムを有するマグネシウム-有機塩基から選択される塩基で脱プロトン化するステップと、
ii)ステップ(i)で得られた生成物を、ホスゲン又はトリクロロメチルクロロホルミエートであるホスゲン等価物からなる群から選択される試薬と反応させることによってそれをクロロカルボニル化させて式(I)の化合物を得るステップと
を含む方法。
【請求項2】
R1が、ハロゲン、C1〜C4-フルオロアルキル、CBrF2、C1〜C4-アルコキシ及びC1〜C4-フルオロアルコキシ-C1〜C4-アルキルから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1が、ハロゲン、CF3、CHF2、CBrF2及びメトキシから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
rが1であり、
R2が、式(I)の化合物のピリジル部分の3位に位置する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
rが1であり、
R2が、ハロゲン及びCF3から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
塩基が、アルキルマグネシウムハロゲン化物及びアリールマグネシウムハロゲン化物から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
塩基が、C1〜C6-アルキルマグネシウムハロゲン化物及びC5〜C6-シクロアルキルマグネシウムハロゲン化物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
塩基が、式(II)の化合物より過剰に使用される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式IIの化合物が、式(III)の化合物を塩基の存在下で
式(IV)
【化3】
[式中、R1、R2及びrは、請求項1で定義された通りであり、
Yは、ハロゲン、C1〜C3-アルコキシ、C1〜C3-アルキルチオ、C1〜C3-ハロアルコキシ、C1〜C3-ハロアルキルチオ、-S(O)Rb、-S(O)2Rb、-OS(O)Rb、-OS(O)2Rb及び-NO2から選択され、Rbは、請求項1で定義された通りである]
の化合物と反応させることによって得られる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
Yが、塩素である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
塩基が、アルカリ金属及びアルカリ土類金属炭酸塩から選択される、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
式(IV)の化合物が、式(V)
【化4】
[式中、R1aは、ハロゲン、シアノ及び-SF5を除き、請求項1でR1に対して示された意味のうちの一つを有し、
Zは、O又はSであり、
R8は、C1〜C6-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C1〜C6-ハロアルキル及びC1〜C6-シクロハロアルキルからなる群から選択される]
の化合物をヒドラジン、又はその塩若しくはその水和物と反応させることによって得られる、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
ZがOであり、
R8が、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル及びsec-ブチルからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
式(VI)
【化5】
[式中、R1、R2及びrは、それぞれ、請求項1〜5のいずれか一項で定義された通りであり、R3及びR4は、独立に、ハロゲン、シアノ、アジド、ニトロ、-SCN、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-ハロアルキニル(最後に記載の8個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい);-Si(Rf)2Rg、-ORb1、-OS(O)nRb1、-SRb1、-S(O)mRb1、-S(O)nN(Rc1)Rd1、-N(Rc1)Rd1、-N(Rc1)C(=O)Ra、-C(=O)Ra、-C(=O)ORb1、-C(=S)Ra、-C(=S)ORb1、-C(=NRc1)Ra、-C(=N-ORb1)H、-C(=N-N(Rc1)Rd1)H、-C(=O)N(Rc1)Rd1、-C(=S)N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
或いは、基R4及びR4aは、一緒に、
-CH2CH2CH2CH2-、-CH=CH-CH=CH-、-N=CH-CH=CH-、-CH=N-CH=CH-、
-N=CH-N=CH-、-OCH2CH2CH2-、-OCH=CHCH2-、-CH2OCH2CH2-、
-OCH2CH2O-、-OCH2OCH2-、-CH2CH2CH2-、-CH=CHCH2-、-CH2CH2O-、
-CH=CHO-、-CH2OCH2-、-CH2C(=O)O-、-C(=O)OCH2-、-O(CH2)O-、
-SCH2CH2CH2-、-SCH=CHCH2-、-CH2SCH2CH2-、-SCH2CH2S-、
-SCH2SCH2-、-CH2CH2S-、-CH=CHS-、-CH2SCH2-、-CH2C(=S)S-、
-C(=S)SCH2-、-S(CH2)S-、-CH2CH2NRj-、-CH2CH=N-、-CH=CH-NRj-、
-CH=N-NRj-、-OCH=N-及び-SCH=N-、から選択される基であってよく、したがって、それらが結合している炭素原子と一緒に、5又は6員環を形成し、上記の基の水素原子は、ハロゲン、メチル、ハロメチル、ヒドロキシル、メトキシ及びハロメトキシから選択される1個以上の置換基によって置換されていてもよく、又は上記の基の1個以上のCH2基は、C=O基によって置換されていてもよく;
R3a及びR4aは、独立に、水素及びR3及びR4に対して示された意味のうちの一つから選択され;またR4aは、基R4と一緒に上に定義された基の1個であってよく;
R5は、水素、シアノ、C1〜C10-アルキル、C1〜C10-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-ハロアルケニル、C2〜C10-アルキニル、C2〜C10-ハロアルキニル(最後に記載の8個の基は、場合により、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-N(Rc1)Rd1、-Si(Rf)2Rg、-ORb1、-SRb1、-S(O)mRb1、-S(O)nN(Rc1)Rd1、-C(=O)Ra、-C(=O)ORb1、-C(=O)N(Rc1)Rd1、-C(=S)Ra、-C(=S)ORb1、-C(=S)N(Rc1)Rd1、-C(=NRc1)Ra、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
R6及びR7は、互いに独立に、水素、C1〜C10-アルキル、C1〜C10-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-ハロアルケニル、C2〜C10-アルキニル、C2〜C10-ハロアルキニル(最後に記載の8個の基は、場合により、1個以上の基Raによって置換されていてもよい)からなる群から選択され;
或いは、R6及びR7は一緒に、それらが結合している硫黄原子と一緒になって、3、4、5、6、7、8、9又は10員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和環を形成するC2〜C7-アルキレン、C2〜C7-アルケニレン又はC6〜C9-アルキニレン鎖を表し、C2〜C7-アルキレン鎖中の1〜4個のCH2基又はC2〜C7-アルケニレン鎖中のCH2若しくはCH基の任意の1〜4個又はC6〜C9-アルキニレン鎖中のCH2基の任意の1〜4個は、C=O、C=S、O、S、N、NO、SO、SO2及びNHから独立に選択される1〜4個の基によって置換されていてもよく、C2〜C7-アルキレン、C2〜C7-アルケニレン又はC6〜C9-アルキニレン鎖中の炭素及び/又は窒素原子は、ハロゲン、シアノ、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-ハロアルキルチオ、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-ハロアルキニルからなる群から独立に選択される1〜5個の置換基によって置換されていてもよく;1個を超える置換基が存在する場合、前記置換基は、互いに同一であっても、異なっていてもよく;
Ra、Rc1、Rd1、Re、Rf、Rg、m及びnは、請求項1で定義された通りであり;
Rb1は、水素であり、又は請求項1でRbに対して示された意味のうちの一つを有し;
Rjは、水素、シアノ、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-ハロアルキニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルからなる群から選択され;
tは、0又は1である]
のスルフィミン化合物を製造するための方法であって、
請求項1〜13のいずれか一項の方法によって式(I)の化合物を提供するステップと、
続いて、iii)式(I)の化合物を式(VII)
【化6】
[式中、可変であるR3、R3a、R4、R4a、R5、R6、R7及びtはそれぞれ、上に定義した通りである]
の化合物と塩基の存在下で反応させて、式VIの化合物を得るステップと
を含む方法。
【請求項15】
R3a及びR4aが、両方とも水素であり、R3及びR4が独立に、ハロゲン、シアノ、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-ハロアルキルからなる群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
R3が、ハロゲン、メチル及びハロメチルから選択され、
R4が、ハロゲン、シアノ、メチル及びハロメチルから選択される、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
tが、0であり、
R6及び7が、互いに独立に、C1〜C6-アルキルから選択され、又はR6及び7が、一緒になって、それらが結合している硫黄原子と一緒に4、5、6又は7員飽和環を形成するC3〜C6-アルキレン鎖を表す、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、N-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物を製造するための方法に関する。それはまた、有用な殺有害生物剤(pesticide)であるアントラニルアミド誘導体を製造するためのその酸塩化物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
N-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物、詳細には、置換1-ピリジン-2-イル-1H-ピラゾール5-カルボニルクロリドは、芳香族アミノ基に1-ピリジン-2-イル-1H-ピラゾール5-イル-カルボニル置換基を有するアントラニルアミド誘導体用の重要な前駆体である。かかる化合物は、殺有害生物剤として、特に殺虫剤として使用され、例えば、国際公開第01/70671号、国際公開第03/015518号、国際公開第03/016284号、国際公開第03/016300号、国際公開第03/024222号、国際公開第06/000336号、国際公開第06/068669号、国際公開第07/043677号及び国際公開第08/130021号に開示されている。
【0003】
置換1-ピリジン-2-イル-1H-ピラゾール5-カルボニルクロリドを調製するために、国際公開第07/043677号及び国際公開第08/130021号に記載の方法が、有用であることが判明した。その方法は、1-ピリジン-2-イル-1H-ピラゾール化合物をN-ブチルリチウム又はリチウムジイソプロイルアミドのいずれかで脱プロトン化し、次いで、生成リチウム化種を二酸化炭素と反応させて対応するカルボン酸となし、次いで、これを塩化チオニルや塩化オキサリルなどの脱水性塩素化剤を使用して塩素化して対応する酸塩化物を得ることに基づく。中間体としてすべてピラゾール5-カルボン酸の形成を必要とする類似の合成経路が、例えば、Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii 1975年、3、392〜395頁;Heterocycles 1985年、23、943〜951頁;Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 2005年、15、4898〜4906頁;国際公開第06/000336号;国際公開第06/068669号;Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 2007年、17、6274〜6279頁;Bioorganic&Medicinal Chemistry、2008年、16、3163〜3170頁;Organic Reactions 1979年、26;Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 2008年18、4438〜4441頁及び国際公開第08/011131号に記載されている。
【0004】
しかし、従来技術のこうした手順には、数種の制約があるために、工業規模の生産に適したものはほとんど存在しない。例えば、リチウムブチルリチウム、フェニルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドなどの高反応性有機リチウム塩基をピラゾールの脱プロトン化に適用すると、特に大規模で実施する場合に合成で潜在的に有害なステップが出現する。さらには、こうした有機リチウム塩基は、非常に高価であり、反応温度が非常に低いことが必要であるために、それ自体が過剰なエネルギーコストをもたらす。加えて、すべての合成ステップで多大な時間及びエネルギーが消費され、材料の損失がもたらされるので、公知の手順で必要とされている4ステップより少ないステップで1-ピリジン-2-イル-1H-ピラゾール化合物を対応するピラゾール5-カルボン酸塩化物に転換することが非常に望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第01/70671号
【特許文献2】国際公開第03/015518号
【特許文献3】国際公開第03/016284号
【特許文献4】国際公開第03/016300号
【特許文献5】国際公開第03/024222号
【特許文献6】国際公開第06/000336号
【特許文献7】国際公開第06/068669号
【特許文献8】国際公開第07/043677号
【特許文献9】国際公開第08/130021号
【特許文献10】国際公開第06/000336号
【特許文献11】国際公開第06/068669号
【特許文献12】国際公開第08/011131号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Khimiya Geterotsiklicheskikh Soedinenii 1975年、3、392〜395頁
【非特許文献2】Heterocycles 1985年、23、943〜951頁
【非特許文献3】Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 2005年、15、4898〜4906頁
【非特許文献4】Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 2007年、17、6274〜6279頁
【非特許文献5】Bioorganic&Medicinal Chemistry、2008年、16、3163〜3170頁
【非特許文献6】Organic Reactions 1979年、26
【非特許文献7】Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters 2008年18、4438〜4441頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、N-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物を製造するための及びそれに由来するアントラニルアミドのピラゾールカルボキサミドを製造するための方法を提供することであった。こうした方法は、実施が簡単で、必要なステップ数が3以下であり、工業規模の生産に適していなければならない。加えて、安価で、且つ反応が選択的でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本目的は以下で詳細に説明される方法によって実現される。本発明の第1の態様は、
式(I)
【化1】
【0009】
[式中、R1は、水素、ハロゲン、シアノ、-SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、CBrF2、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル(最後に記載の6個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-Si(Rf)2Rg、-ORb、-SRb、-S(O)mRb、-S(O)nN(Rc)Rd、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は芳香族複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環から選択され;
R2は、それぞれ独立に、ハロゲン、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル(最後に記載の6個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-Si(Rf)2Rg、-ORb、-SRb、-S(O)mRb、-S(O)nN(Rc)Rd、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
Raは、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ-C1〜C6-アルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、-Si(Rf)2Rg、-ORb、-SRb、-S(O)mRb、-S(O)nN(Rc)Rd、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
或いは、同一原子に結合した2個の基Raは一緒に、=CRhRi、=NRc1、=NORb及び=NNRc1から選択される基を形成し、
或いは、2個の基Raは、それらが結合している炭素原子と一緒に、3、4、5、6、7又は8員の、飽和若しくは部分不飽和の炭素環、又は環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む複素環を形成し;
1個を超えるRaの場合、Raは、同一であっても、異なっていてもよく;
Rbは、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルホニルから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ及びC1〜C6-フルオロアルコキシからなる群から選択される1、2又は3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
1個を超えるRbの場合、Rbは、同一であっても、異なっていてもよく;
Rc、Rdは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、シアノ、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニルから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ及びC1〜C6-フルオロアルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
或いは、Rc及びRdは、それらが結合している窒素原子と一緒に、環員として、N、O及びSから選択される1又は2個のさらなるヘテロ原子を含んでもよい3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環を形成し、複素環は、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C1〜C4-アルコキシ及びC1〜C4-フルオロアルコキシから選択される1、2、3又は4個の置換基を有していてもよく;
Rc1は、水素であり、又はRcに対して示された意味のうちの一つを有し;
Rd1は、水素であり、又はRdに対して示された意味のうちの一つを有し;
Reは、ハロゲン、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C4-アルコキシから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニル、C1〜C6-フルオロアルキルスルホニル、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ及びC1〜C6-フルオロアルコキシから選択される1、2又は3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
1個を超えるReの場合、Reは、同一であっても、異なっていてもよく;
Rf、Rgは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、C1〜C4-アルキル、C3〜C6-シクロアルキル、C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキル、フェニル及びベンジルからなる群から選択され;
Rh、Riは、相互に独立に及びそれぞれの出現において独立に、水素、ハロゲン、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-フルオロアルケニル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-フルオロシクロアルキル(最後に記載の6個の基は、場合により、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-フルオロアルキルから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-フルオロアルキルチオ、C1〜C6-アルキルスルフィニル、C1〜C6-アルキルスルホニル、-Si(Rf)2Rg、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、非置換であっても、部分ハロゲン化若しくは全ハロゲン化されてもよく並びに/又はC1〜C6-アルキル、C1〜C6-フルオロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-フルオロアルコキシ、(C1〜C6-アルコキシ)カルボニル、(C1〜C6-アルキル)アミノ及びジ-(C1〜C6-アルキル)アミノからなる群から選択される1、2又は3個の置換基を有していてもよい)からなる群から選択され;
mは、1又は2であり、数個の出現の場合、mは同一であっても異なっていてもよく;
nは、0、1又は2であり、数個の出現の場合、nは同一であっても異なっていてもよく;
rは、0、1、2、3又は4である]
のN-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物を製造するための方法であって、
i)式(II)
【化2】
【0010】
[式中、可変であるR1、R2及びrは、それぞれ上に定義した通りである]
の化合物を炭素若しくは窒素結合リチウムを有するリチウム-有機塩基又は炭素結合マグネシウムを有するマグネシウム-有機塩基から選択される塩基で脱プロトン化するステップと、
ii)ステップ(i)で得られた生成物を、ホスゲン又はホスゲン等価物からなる群から選択される試薬と反応させることによってそれをクロロカルボニル化させて式(I)の化合物を得るステップと
を含む方法に関する。
【0011】
本発明の前述の方法は、従来技術の方法の前述の欠点を克服するので、一連の利点と関連する。例えば、本発明による方法によって、N-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物の調製を事実上1ステップで実施することが可能になる。その理由は、反応ステップi)の後に得られる脱プロトン化中間体は、前処理又は精製なしで式(I)の生成物にin-situで転換されるからである。また、転換の完了後、酸塩化物Iは、望ましくない副生物を除去するための結晶化及び溶媒蒸発を含めた簡単なプロトコルの手段によって容易に単離し、精製することができる。さらには、脱プロトン化ステップは、好ましくは、安価なグリニャール試薬を用いて実施され、これによって、工業規模で安全に且つ円滑に実施できる穏やかな温度での選択的且つ高収率の転換が可能になる。
【0012】
本発明の第2の態様は、
式(VI)
【化3】
【0013】
[式中、R1、R2及びrは、それぞれ、本明細書及び特許請求の範囲で定義された通りであり、
R3及びR4は、独立に、ハロゲン、シアノ、アジド、ニトロ、-SCN、SF5、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-ハロアルキニル(最後に記載の8個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、
Ra、-Si(Rf)2Rg、-ORb1、-OS(O)nRb1、SRb1、-S(O)mRb1、-S(O)nN(Rc1)Rd1
-N(Rc1)Rd1、-N(Rc1)C(=O)Ra、-C(=O)Ra、-C(=O)ORb1、-C(=S)Ra、-C(=S)ORb1
-C(=NRc1)Ra、-C(=N-ORb1)H、-C(=N-N(Rc1)Rd1)H、-C(=O)N(Rc1)Rd1、-C(=S)N(Rc1)Rd1
フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
或いは、基R4及びR4aは、一緒に、
-CH2CH2CH2CH2-、-CH=CH-CH=CH-、-N=CH-CH=CH-、-CH=N-CH=CH-、
-N=CH-N=CH-、-OCH2CH2CH2-、-OCH=CHCH2-、-CH2OCH2CH2-、
-OCH2CH2O-、-OCH2OCH2-、-CH2CH2CH2-、-CH=CHCH2-、-CH2CH2O-、
-CH=CHO-、-CH2OCH2-、-CH2C(=O)O-、-C(=O)OCH2-、-O(CH2)O-、
-SCH2CH2CH2-、-SCH=CHCH2-、-CH2SCH2CH2-、-SCH2CH2S-、
-SCH2SCH2-、-CH2CH2S-、-CH=CHS-、-CH2SCH2-、-CH2C(=S)S-、
-C(=S)SCH2-、-S(CH2)S-、-CH2CH2NRj-、-CH2CH=N-、-CH=CH-NRj-、
-CH=N-NRj-、-OCH=N-及び-SCH=N-、から選択される基であってよく、したがって、それらが結合している炭素原子と一緒に、5又は6員環を形成し、上記の基の水素原子は、ハロゲン、メチル、ハロメチル、ヒドロキシル、メトキシ及びハロメトキシから選択される1個以上の置換基によって置換されていてもよく、又は上記の基の1個以上のCH2基は、C=O基によって置換されていてもよく;
R3a及びR4aは、独立に、水素及びR3及びR4に対して示された意味のうちの一つから選択され;またR4aは、基R4と一緒に上に定義された基の1個であってよく;
R5は、水素;シアノ;C1〜C10-アルキル、C1〜C10-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-ハロアルケニル、C2〜C10-アルキニル、C2〜C10-ハロアルキニル(最後に記載の8個の基は、場合により、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-N(Rc1)Rd1、-Si(Rf)2Rg、-ORb1、-SRb1、-S(O)mRb1、-S(O)nN(Rc1)Rd1、-C(=O)Ra、-C(=O)ORb1、-C(=O)N(Rc1)Rd1、-C(=S)Ra、-C(=S)ORb1、-C(=S)N(Rc1)Rd1、-C(=NRc1)Ra、フェニル(フェニルは1、2、3、4又は5個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1個以上の基Reによって置換されていてもよい複素環からなる群から選択され;
R6及びR7は、互いに独立に、水素、C1〜C10-アルキル、C1〜C10-ハロアルキル、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C10-アルケニル、C2〜C10-ハロアルケニル、C2〜C10-アルキニル、C2〜C10-ハロアルキニル(最後に記載の8個の基は、場合により、1個以上の基Raによって置換されていてもよい)からなる群から選択され;
或いは、R6及びR7は一緒に、それらが結合している硫黄原子と一緒に、3、4、5、6、7、8、9又は10員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和環を形成するC2〜C7-アルキレン、C2〜C7-アルケニレン又はC6〜C9-アルキニレン鎖を表し、C2〜C7-アルキレン鎖中の1〜4個のCH2基又はC6〜C7-アルケニレン鎖中のCH2若しくはCH基の任意の1〜4個又はC6〜C9-アルキニレン鎖中のCH2基の任意の1〜4個は、C=O、C=S、O、S、N、NO、SO、SO2及びNHから独立に選択される1〜4個の基によって置換されていてもよく、C2〜C7-アルキレン、C2〜C7-アルケニレン又はC6〜C9-アルキニレン鎖中の炭素及び/又は窒素原子は、ハロゲン、シアノ、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C1〜C6-アルキルチオ、C1〜C6-ハロアルキルチオ、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-ハロアルキニル;からなる群から独立に選択される1〜5個の置換基によって置換されていてもよく;1個を超える置換基が存在する場合、前記置換基は、互いに同一であっても、異なっていてもよく;
Ra、Rc1、Rd1、Re、Rf、Rg、m及びnは、本明細書及び特許請求の範囲で定義された通りであり;
Rb1は、水素であり、又は本明細書及び特許請求の範囲でRbに対して示された意味のうちの一つを有し;
Rjは、水素、シアノ、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C1〜C6-アルコキシ、C1〜C6-ハロアルコキシ、C3〜C8-シクロアルキル、C3〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニル、C2〜C6-アルキニル、C2〜C6-ハロアルキニル及びC3〜C8-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルからなる群から選択され;
tは、0又は1である]
のスルフィミン化合物を製造するための方法であって、
本明細書及び特許請求の範囲で定義された方法によって式(I)の化合物を提供するステップと、続いて、
iii)式(I)の化合物を式(VII)
【化4】
【0014】
[式中、可変であるR3、R3a、R4、R4a、R5、R6、R7及びtはそれぞれ、上に定義した通りである]
の化合物と塩基の存在下で反応させて式VIの化合物を得るステップと
を含む方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の文脈では、一般的に使用される用語はそれぞれ、以下のように定義される:
接頭語CX〜Cyは、特定の場合における可能な炭素原子の数を指す。
【0016】
「ハロゲン」という用語は、それぞれの場合に、フッ素、臭素、塩素又はヨウ素、詳細には、フッ素、塩素又は臭素を指す。
【0017】
「部分的に又は完全にハロゲン化された」という用語は、所与の基の水素原子の1個以上、例えば、1、2、3、4若しくは5個又は全部が、ハロゲン原子、詳細には、フッ素又は塩素によって置き換えられたことを意味すると受け取られる。
【0018】
本明細書で使用される「アルキル」という用語(及びアルキル基を含む他の基のアルキル部分、例えば、アルコキシ、アルキルカルボニル、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル及びアルコキシアルキルにおいて)は、それぞれの場合、通常炭素原子1〜10個、しばしば炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個、詳細には炭素原子1〜3個を有する直鎖又は分枝アルキル基を指す。アルキル基の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、2-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、1-メチルブチル、2-メチルブチル、3-メチルブチル、2,2-ジメチルプロピル、1-エチルプロピル、n-ヘキシル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、1-メチルペンチル、2-メチルペンチル、3-メチルペンチル、4-メチルペンチル、1,1-ジメチルブチル、1,2-ジメチルブチル、1,3-ジメチルブチル、2,2-ジメチルブチル、2,3-ジメチルブチル、3,3-ジメチルブチル、1-エチルブチル、2-エチルブチル、1,1,2-トリメチルプロピル、1,2,2-トリメチルプロピル、1-エチル-1-メチルプロピル、1-エチル-2-メチルプロピル、n-ヘプチル、1-メチルヘキシル、2-メチルヘキシル、3-メチルヘキシル、4-メチルヘキシル、5-メチルヘキシル、1-エチルペンチル、2-エチルペンチル、3-エチルペンチル、n-オクチル、1-メチルオクチル、2-メチルヘプチル、1-エチルヘキシル、2-エチルヘキシル、1,2-ジメチルヘキシル、1-プロピルペンチル及び2-プロピルペンチルである。
【0019】
本明細書で使用される「アルキレン」(又はアルカンジイル)という用語は、それぞれの場合、炭素主鎖の任意の位置にある1個の水素原子がさらなる1個の結合部位によって置き換えられ、したがって2価部分を形成する、上に定義されたアルキル基を指す。
【0020】
本明細書で使用される「ハロアルキル」(及びハロアルキル基を含む他の基、例えば、ハロアルコキシ及びハロアルキルチオのハロアルキル部分において)という用語は、それぞれの場合、通常炭素原子1〜10個、しばしば炭素原子1〜6個を有する直鎖又は分枝アルキル基を指し、この基の水素原子は、ハロゲン原子によって部分的又は全体的に置換されている。好ましいハロアルキル部分は、C1〜C4-ハロアルキルから、より好ましくはC1〜C2-ハロアルキルから、より好ましくはハロメチルから、詳細には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチルなどのC1〜C2-フルオロアルキルから選択される。
【0021】
本明細書で使用される「フルオロアルキル」(及びフルオロアルコキシ、フルオロアルキルチオ、フルオロアルキルスルフィニル及びフルオロアルキルスルホニルのフルオロアルキル単位において)という用語は、それぞれの場合、通常炭素原子1〜10個、しばしば炭素原子1〜6個、詳細には炭素原子1〜4個を有する直鎖又は分枝アルキル基を指し、この基の水素原子は、フッ素原子によって部分的又は全体的に置換されている。その例は、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、2-フルオロエチル、2,2-ジフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、3,3,3-トリフルオロプロパ-1-イル、1,1,1-トリフルオロプロパ-2-イル、ヘプタフルオロイソプロピル、1-フルオロブチル、2-フルオロブチル、3-フルオロブチル、4-フルオロブチル、4,4,4-トリフルオロブチル、フルオロ-tert-ブチルなどである。
【0022】
本明細書で使用される「シクロアルキル」(及びシクロアルキル基を含む他の基、例えば、シクロアルコキシ及びシクロアルキルアルキルのシクロアルキル部分において)という用語は、それぞれの場合、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキシル、ビシクロ[3.1.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル及びビシクロ[2.2.2]オクチルなど、通常炭素原子3〜10個、炭素原子3〜8個、又は炭素原子3〜6個を有する一又は二環式の脂環式基を指す。
【0023】
本明細書で使用される「ハロシクロアルキル」(及びハロシクロアルキル基を含む他の基、例えば、ハロシクロアルキルメチルのハロシクロアルキル部分において)という用語は、それぞれの場合、通常炭素原子3〜10個、炭素原子3〜8個又は炭素原子3〜6個を有する一又は二環式の脂環式基を指し、少なくとも1個、例えば、1、2、3、4又は5個の水素原子が、ハロゲン、詳細にはフッ素又は塩素によって置換されている。例は、1-及び2-フルオロシクロプロピル、1,2-、2,2-及び2,3-ジフルオロシクロプロピル、1,2,2-トリフルオロシクロプロピル、2,2,3,3-テトラフルオロシクロプロピル、1-及び2-クロロシクロプロピル、1,2-、2,2-及び2,3-ジクロロシクロプロピル、1,2,2-トリクロロシクロプロピル、2,2,3,3-テトラクロロシクロプロピル、1-、2-及び3-フルオロシクロペンチル、1,2-、2,2-、2,3-、3,3-、3,4-、2,5-ジフルオロシクロペンチル、1-、2-及び3-クロロシクロペンチル、1,2-、2,2-、2,3-、3,3-、3,4-、2,5-ジクロロシクロペンチルなどである。
【0024】
本明細書で使用される「フルオロシクロアルキル」という用語は、1個以上のハロゲン原子がフッ素原子である、上で定義されたハロシクロアルキル基を指す。
【0025】
本明細書で使用される「アルケニル」という用語は、それぞれの場合、通常2〜10個、好ましくは2〜4個の炭素原子を有する一不飽和炭化水素基、例えば、ビニル、アリル(2-プロペン-1-イル)、1-プロペン-1-イル、2-プロペン-2-イル、メタリル(2-メチルプロパ-2-エン-1-イル)、2-ブテン-1-イル、3-ブテン-1-イル、2-ペンテン-1-イル、3-ペンテン-1-イル、4-ペンテン-1-イル、1-メチルブタ-2-エン-1-イル、2-エチルプロパ-2-エン-1-イルなどを指す。
【0026】
本明細書で使用される「アルケニレン」(又はアルケンジイル)という用語は、それぞれの場合、炭素主鎖の任意の位置にある1個の水素原子がさらなる1個の結合部位によって置き換えられ、したがって2価部分を形成する、上に定義されたアルケニル基を指す。
【0027】
「ハロゲンによって置換されていてもよいアルケニル」としても表すことができる、本明細書で使用される「ハロアルケニル」という用語、及びハロアルケニルオキシ、ハロアルケニルカルボニルなどにおけるハロアルケニル部分は、炭素原子2〜10個(「C2〜C10-ハロアルケニル」)又は2〜6個(「C2〜C6-ハロアルケニル」)と任意の位置の二重結合とを有する不飽和直鎖又は分枝炭化水素基を指し、こうした基の水素原子の一部又は全部は、上記のハロゲン原子、詳細には、フッ素、塩素及び臭素によって置換されており、例えば、クロロビニル、クロロアリルなどが挙げられる。
【0028】
本明細書で使用される「フルオロアルケニル」という用語は、1個以上のハロゲン原子がフッ素原子である、上に定義されたハロアルケニル基を指す。
【0029】
本明細書で使用される「アルキニル」という用語は、炭素原子通常2〜10個、しばしば2〜6個、好ましくは2〜4個と任意の位置の1個又は2個の三重結合とを有する不飽和直鎖又は分枝炭化水素基、例えば、エチニル、プロパルギル(2-プロピン-1-イル)、1-プロピン-1-イル、1-メチルプロパ-2-イン-1-イル)、2-ブチン-1-イル、3-ブチン-1-イル、1-ペンチン-1-イル、3-ペンチン-1-イル、4-ペンチン-1-イル、1-メチルブタ-2-イン-1-イル、1-エチルプロパ-2-イン-1-イルなどを指す。
【0030】
本明細書で使用される「アルキニレン」(又はアルキンジイル)という用語はそれぞれの場合、炭素主鎖の任意の位置にある1個の水素原子がさらなる1個の結合部位によって置き換えられ、したがって2価部分を形成する、上に定義されたアルキニル基を指す。
【0031】
「ハロゲンによって置換されていてもよいアルキニル」としても表される、本明細書で使用される「ハロアルキニル」という用語は、通常炭素原子3〜10個、しばしば2〜6個、好ましくは炭素原子2〜4個と任意の位置の1個又は2個の三重結合(上記したように)とを有する不飽和直鎖又は分枝炭化水素基を指し、こうした基の水素原子の一部又は全部は、上記のハロゲン原子、詳細には、フッ素、塩素及び臭素によって置き換えられる。
【0032】
本明細書で使用される「アルコキシ」という用語は、それぞれの場合、酸素原子を介して分子の残余と結合する通常炭素原子1〜10個、しばしば炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個を有する直鎖又は分枝アルキル基を指す。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソ-プロポキシ、n-ブチルオキシ、2-ブチルオキシ、イソ-ブチルオキシ、tert-ブチルオキシなどである。
【0033】
本明細書で使用される「ハロアルコキシ」という用語はそれぞれの場合、この基の水素原子がハロゲン原子、詳細にはフッ素原子によって部分的に又は全体的に置き換えられる、炭素原子1〜10個、しばしば炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個、好ましくは炭素原子1〜3個を有する、上で定義された直鎖又は分枝アルキル基を指す。好ましいハロアルコキシ部分として、C1〜C4-ハロアルコキシ、詳細にはハロメトキシ、及びまた詳細には、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、1-フルオロエトキシ、2-フルオロエトキシ、2,2-ジフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、2-クロロ-2-フルオロエトキシ、2-クロロ-2,2-ジフルオロ-エトキシ、2,2-ジクロロ-2-フルオロエトキシ、2,2,2-トリクロロエトキシ、ペンタフルオロエトキシなどのC1〜C2-フルオロアルコキシなどが挙げられる。
【0034】
本明細書で使用される「アルコキシ-アルキル」という用語は、それぞれの場合、通常炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個を含むアルキルを指し、1個の炭素原子は、上に定義されたように通常炭素原子1〜10個、しばしば1〜6個、詳細には1〜4個を含むアルコキシ基を有する。例は、CH2OCH3、CH2-OC2H5、n-プロポキシメチル、CH2-OCH(CH3)2、n-ブトキシメチル、(1-メチルプロポキシ)-メチル、(2-メチルプロポキシ)メチル、CH2-OC(CH3)3、2-(メトキシ)エチル、2-(エトキシ)エチル、2-(n-プロポキシ)-エチル、2-(1-メチルエトキシ)-エチル、2-(n-ブトキシ)エチル、2-(1-メチルプロポキシ)-エチル、2-(2-メチルプロポキシ)-エチル、2-(1,1-ジメチルエトキシ)-エチル、2-(メトキシ)-プロピル、2-(エトキシ)-プロピル、2-(n-プロポキシ)-プロピル、2-(1-メチルエトキシ)-プロピル、2-(n-ブトキシ)-プロピル、2-(1-メチルプロポキシ)-プロピル、2-(2-メチルプロポキシ)-プロピル、2-(1,1-ジメチルエトキシ)-プロピル、3-(メトキシ)-プロピル、3-(エトキシ)-プロピル、3-(n-プロポキシ)-プロピル、3-(1-メチルエトキシ)-プロピル、3-(n-ブトキシ)-プロピル、3-(1-メチルプロポキシ)-プロピル、3-(2-メチルプロポキシ)-プロピル、3-(1,1-ジメチルエトキシ)-プロピル、2-(メトキシ)-ブチル、2-(エトキシ)-ブチル、2-(n-プロポキシ)-ブチル、2-(1-メチルエトキシ)-ブチル、2-(n-ブトキシ)-ブチル、2-(1-メチルプロポキシ)-ブチル、2-(2-メチル-プロポキシ)-ブチル、2-(1,1-ジメチルエトキシ)-ブチル、3-(メトキシ)-ブチル、3-(エトキシ)-ブチル、3-(n-プロポキシ)-ブチル、3-(1-メチルエトキシ)-ブチル、3-(n-ブトキシ)-ブチル、3-(1-メチルプロポキシ)-ブチル、3-(2-メチルプロポキシ)-ブチル、3-(1,1-ジメチルエトキシ)-ブチル、4-(メトキシ)-ブチル、4-(エトキシ)-ブチル、4-(n-プロポキシ)-ブチル、4-(1-メチルエトキシ)-ブチル、4-(n-ブトキシ)-ブチル、4-(1-メチルプロポキシ)-ブチル、4-(2-メチルプロポキシ)-ブチル、4-(1,1-ジメチルエトキシ)-ブチルなどである。
【0035】
本明細書で使用される「フルオロアルコキシ-アルキル」という用語は、それぞれの場合、上で定義された通常炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個を含むアルキルを指し、1個の炭素原子は、上に定義されたようにフルオロアルコキシ基を有し、上に定義されたように通常炭素原子1〜10個、しばしば1〜6個、詳細には1〜4個を含む。例は、フルオロメトキシメチル、ジフルオロメトキシメチル、トリフルオロメトキシメチル、1-フルオロエトキシメチル、2-フルオロエトキシメチル、1,1-ジフルオロエトキシメチル、1,2-ジフルオロエトキシメチル、2,2-ジフルオロエトキシメチル、1,1,2-トリフルオロエトキシメチル、1,2,2-トリフルオロエトキシメチル、2,2,2-トリフルオロエトキシメチル、ペンタフルオロエトキシメチル、1-フルオロエトキシ-1-エチル、2-フルオロエトキシ-1-エチル、1,1-ジフルオロエトキシ-1-エチル、1,2-ジフルオロエトキシ-1-エチル、2,2-ジフルオロエトキシ-1-エチル、1,1,2-トリフルオロエトキシ-1-エチル、1,2,2-トリフルオロエトキシ-1-エチル、2,2,2-トリフルオロエトキシ-1-エチル、ペンタフルオロエトキシ-1-エチル、1-フルオロエトキシ-2-エチル、2-フルオロエトキシ-2-エチル、1,1-ジフルオロエトキシ-2-エチル、1,2-ジフルオロエトキシ-2-エチル、2,2-ジフルオロエトキシ-2-エチル、1,1,2-トリフルオロエトキシ-2-エチル、1,2,2-トリフルオロエトキシ-2-エチル、2,2,2-トリフルオロエトキシ-2-エチル、ペンタフルオロエトキシ-2-エチル、などである。
【0036】
本明細書で使用される「アルキルチオ」(またアルキルスルファニル又はアルキル-S-)という用語はそれぞれの場合、アルキル基中の任意の位置で硫黄原子を介して結合する、炭素原子1〜10個を通常含み、しばしば炭素原子1〜6個を、好ましくは炭素原子1〜4個を含む、上で定義された直鎖又は分枝飽和アルキル基を指す。例は、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、イソ-プロピルチオ、n-ブチルチオ、2-ブチルチオ、イソ-ブチルチオ、tert-ブチルチオなどである。
【0037】
本明細書で使用される「ハロアルキルチオ」という用語は、水素原子がフッ素、塩素、臭素及び/又はヨウ素によって部分的に又は完全に置換される、上で定義されたアルキルチオ基を指す。例は、フルオロメチルチオ、ジフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、1-フルオロエチルチオ、2-フルオロエチルチオ、2,2-ジフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、2-クロロ-2-フルオロエチルチオ、2-クロロ-2,2-ジフルオロ-エチルチオ、2,2-ジクロロ-2-フルオルエチルチオ、2,2,2-トリクロロエチルチオ、ペンタフルオロエチルチオなどである。
【0038】
「アルキルスルフィニル」及び「S(O)n-アルキル」(nは1である)は、等価であり、本明細書では、スルフィニル[S(O)]基を介して結合した、上で定義されたアルキル基を指す。例えば、「C1〜C6-アルキルスルフィニル」という用語は、スルフィニル[S(O)]基を介して結合した、上で定義されたC1〜C6-アルキル基を指す。例は、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、n-プロピルスルフィニル、1-メチルエチルスルフィニル(イソプロピルスルフィニル)、ブチルスルフィニル、1-メチルプロピルスルフィニル(sec-ブチルスルフィニル)、2-メチルプロピルスルフィニル(イソブチルスルフィニル)、1,1-ジメチルエチルスルフィニル(tert-ブチルスルフィニル)、ペンチルスルフィニル、1-メチルブチルスルフィニル、2-メチルブチルスルフィニル、3-メチルブチルスルフィニル、1,1-ジメチルプロピルスルフィニル、1,2-ジメチルプロピルスルフィニル、2,2-ジメチルプロピルスルフィニル、1-エチルプロピルスルフィニル、ヘキシルスルフィニル、1-メチルペンチルスルフィニル、2-メチルペンチルスルフィニル、3-メチルペンチルスルフィニル、4-メチルペンチルスルフィニル、1,1-ジメチルブチルスルフィニル、1,2-ジメチルブチルスルフィニル、1,3-ジメチルブチルスルフィニル、2,2-ジメチルブチルスルフィニル、2,3-ジメチルブチルスルフィニル、3,3-ジメチルブチルスルフィニル、1-エチルブチルスルフィニル、2-エチルブチルスルフィニル、1,1,2-トリメチルプロピルスルフィニル、1,2,2-トリメチルプロピルスルフィニル、1-エチル-1-メチルプロピルスルフィニル及び1-エチル-2-メチルプロピルスルフィニルである。
【0039】
「アルキルスルホニル」及び「S(O)n-アルキル」(nが2である)は、等価であり、本明細書では、スルホニル[S(O)2]基を介して結合した、上で定義されたアルキル基を指す。例えば、「C1〜C6-アルキルスルホニル」は、スルホニル[S(O)2]基を介して結合した、上で定義されたC1〜C6-アルキル基を指す。例は、メチルスルホニル、エチルスルホニル、n-プロピルスルホニル、1-メチルエチルスルホニル(イソプロピルスルホニル)、ブチルスルホニル、1-メチルプロピルスルホニル(sec-ブチルスルホニル)、2-メチルプロピルスルホニル(イソブチルスルホニル)、1,1-ジメチルエチルスルホニル(tert-ブチルスルホニル)、ペンチルスルホニル、1-メチルブチルスルホニル、2-メチルブチルスルホニル、3-メチルブチルスルホニル、1,1-ジメチルプロピルスルホニル、1,2-ジメチルプロピルスルホニル、2,2-ジメチルプロピルスルホニル、1-エチルプロピルスルホニル、ヘキシルスルホニル、1-メチルペンチルスルホニル、2-メチルペンチルスルホニル、3-メチルペンチルスルホニル、4-メチルペンチルスルホニル、1,1-ジメチルブチルスルホニル、1,2-ジメチルブチルスルホニル、1,3-ジメチルブチルスルホニル、2,2-ジメチルブチルスルホニル、2,3-ジメチルブチルスルホニル、3,3-ジメチルブチルスルホニル、1-エチルブチルスルホニル、2-エチルブチルスルホニル、1,1,2-トリメチルプロピルスルホニル、1,2,2-トリメチルプロピルスルホニル、1-エチル-1-メチルプロピルスルホニル及び1-エチル-2-メチルプロピルスルホニルである。
【0040】
本明細書で使用される「アルキルアミノ」という用語は、それぞれの場合、基-NHRを指し、Rは、通常炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個を有する直鎖又は分枝アルキル基である。アルキルアミノ基の例は、メチルアミノ、エチルアミノ、n-プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n-ブチルアミノ、2-ブチルアミノ、イソ-ブチルアミノ、tert-ブチルアミノなどである。
【0041】
本明細書で使用される「ジアルキルアミノ」という用語は、それぞれの場合、基-NRR'を指し、R及びR'は、互いに独立に通常炭素原子1〜6個、好ましくは炭素原子1〜4個を有する直鎖又は分枝アルキル基である。ジアルキルアミノ基の例は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、ジブチルアミノ、メチルエチルアミノ、メチルプロピルアミノ、メチルイソプロピルアミノ、メチルブチルアミノ、メチルイソブチルアミノ、エチルプロピルアミノ、エチルイソプロピルアミノ、エチルブチルアミノ、エチルイソブチルアミノなどである。
【0042】
基中の接尾語「-カルボニル」は、それぞれの場合、基が、カルボニルC=O基を介して分子の残余と結合していることを示す。これは、例えば、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル及びハロアルコキシカルボニルにおいてそうである。
【0043】
本明細書で使用される「アリール」という用語は、炭素原子6〜14個を有する一、二又は三環芳香族炭化水素基を指す。その例として、フェニル、ナフチル、フルオレニル、アズレニル、アントラセニル及びフェナントレニルが挙げられる。アリールは、好ましくは、フェニル又はナフチル、特にフェニルである。
【0044】
本明細書で使用される「3、4、5、6、7又は8員飽和炭素環」という用語は、単環式の全飽和炭素環を指す。かかる環の例として、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどが挙げられる。
【0045】
「3、4、5、6、7又は8員部分不飽和炭素環」及び「5又は6員部分不飽和炭素環」という用語は、単環で1個以上の不飽和度を有する炭素環を指す。かかる環の例として、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテンなどが挙げられる。
【0046】
本明細書で使用される「環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6又は7員飽和、部分不飽和、又は完全不飽和複素環」(「完全不飽和/全不飽和」として「芳香族」も挙げられる)という用語は、飽和、部分不飽和、又は全不飽和(芳香族を含めた)である単環基を指す。複素環は、炭素環員を介して又は窒素環員を介して分子の残余に結合することができる。
【0047】
3、4、5、6又は7員飽和複素環の例として、オキシラニル、アジリジニル、アゼチジニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、ピロリジン-2-イル、ピロリジン-3-イル、ピラゾリジン-3-イル、ピラゾリジン-4-イル、ピラゾリジン-5-イル、イミダゾリジン-2-イル、イミダゾリジン-4-イル、オキサゾリジン-2-イル、オキサゾリジン-4-イル、オキサゾリジン-5-イル、イソオキサゾリジン-3-イル、イソオキサゾリジン-4-イル、イソオキサゾリジン-5-イル、チアゾリジン-2-イル、チアゾリジン-4-イル、チアゾリジン-5-イル、イソチアゾリジン-3-イル、イソチアゾリジン-4-イル、イソチアゾリジン-5-イル、1,2,4-オキサジアゾリジン-3-イル、1,2,4-オキサジアゾリジン-5-イル、1,2,4-チアジアゾリジン-3-イル、1,2,4-チアジアゾリジン-5-イル、1,2,4-トリアゾリジン-3-イル、1,3,4-オキサジアゾリジン-2-イル、1,3,4-チアジアゾリジン-2-イル、1,3,4-トリアゾリジン-2-イル、2-テトラヒドロピラニル、4-テトラヒドロピラニル、1,3-ジオキサン-5-イル、1,4-ジオキサン-2-イル、ピペリジン-2-イル、ピペリジン-3-イル、ピペリジン-4-イル、ヘキサヒドロピリダジン-3-イル、ヘキサヒドロピリダジン-4-イル、ヘキサヒドロピリミジン-2-イル、ヘキサヒドロピリミジン-4-イル、ヘキサヒドロピリミジン-5-イル、ピペラジン-2-イル、1,3,5-ヘキサヒドロトリアジン-2-イル及び1,2,4-ヘキサヒドロトリアジン-3-イル、モルホリン-2-イル、モルホリン-3-イル、チオモルホリン-2-イル、チオモルホリン-3-イル、1-オキソチオモルホリン-2-イル、1-オキソチオモルホリン-3-イル、1,1-ジオキソチオモルホリン-2-イル、1,1-ジオキソチオモルホリン-3-イル、アゼパン-1-、-2-、-3-又は-4-イル、オキセパン-2-、-3-、-4-又は-5-イル、ヘキサヒドロ-1,3-ジアゼピニル、ヘキサヒドロ-1,4-ジアゼピニル、ヘキサヒドロ-1,3-オキサゼピニル、ヘキサヒドロ-1,4-オキサゼピニル、ヘキサヒドロ-1,3-ジオキセピニル、ヘキサヒドロ-1,4-ジオキセピニルが挙げられる。
【0048】
3、4、5、6又は7員部分不飽和複素環の例として、2,3-ジヒドロフル-2-イル、2,3-ジヒドロフル-3-イル、2,4-ジヒドロフル-2-イル、2,4-ジヒドロフル-3-イル、2,3-ジヒドロチエン-2-イル、2,3-ジヒドロチエン-3-イル、2,4-ジヒドロチエン-2-イル、2,4-ジヒドロチエン-3-イル、2-ピロリン-2-イル、2-ピロリン-3-イル、3-ピロリン-2-イル、3-ピロリン-3-イル、2-イソオキサゾリン-3-イル、3-イソオキサゾリン-3-イル、4-イソオキサゾリン-3-イル、2-イソオキサゾリン-4-イル、3-イソオキサゾリン-4-イル、4-イソオキサゾリン-4-イル、2-イソオキサゾリン-5-イル、3-イソオキサゾリン-5-イル、4-イソオキサゾリン-5-イル、2-イソチアゾリン-3-イル、3-イソチアゾリン-3-イル、4-イソチアゾリン-3-イル、2-イソチアゾリン-4-イル、3-イソチアゾリン-4-イル、4-イソチアゾリン-4-イル、2-イソチアゾリン-5-イル、3-イソチアゾリン-5-イル、4-イソチアゾリン-5-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-1-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-2-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-3-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-4-イル、2,3-ジヒドロピラゾール-5-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-1-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-3-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-4-イル、3,4-ジヒドロピラゾール-5-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-1-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-3-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-4-イル、4,5-ジヒドロピラゾール-5-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-2-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-3-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-4-イル、2,3-ジヒドロオキサゾール-5-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-2-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-3-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-4-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-5-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-2-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-3-イル、3,4-ジヒドロオキサゾール-4-イル、2-、3-、4-、5-又は6-ジ-又はテトラヒドロピリジニル、3-ジ-又はテトラヒドロピリダジニル、4-ジ-又はテトラヒドロピリダジニル、2-ジ-又はテトラヒドロピリミジニル、4-ジ-又はテトラヒドロピリミジニル、5-ジ-又はテトラヒドロピリミジニル、ジ-又はテトラヒドロピラジニル、1,3,5-ジ-又はテトラヒドロトリアジン-2-イル、1,2,4-ジ-又はテトラヒドロトリアジン-3-イル、2,3,4,5-テトラヒドロ[1H]アゼピン-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-又は-7-イル、3,4,5,6-テトラヒドロ[2H]アゼピン-2-、-3-、-4-、-5-、-6-又は-7-イル、2,3,4,7-テトラヒドロ[1H]アゼピン-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-又は-7-イル、2,3,6,7-テトラヒドロ[1H]アゼピン-1-、-2-、-3-、-4-、-5-、-6-又は-7-イル、テトラヒドロオキセピニル、例えば2,3,4,5-テトラヒドロ[1H]オキセピン-2-、-3-、-4-、-5-、-6-又は-7-イル、2,3,4,7-テトラヒドロ[1H]オキセピン-2-、-3-、-4-、-5-、-6-又は-7-イル、2,3,6,7-テトラヒドロ[1H]オキセピン-2-、-3-、-4-、-5-、-6-又は-7-イル、テトラヒドロ-1,3-ジアゼピニル、テトラヒドロ-1,4-ジアゼピニル、テトラヒドロ-1,3-オキサゼピニル、テトラヒドロ-1,4-オキサゼピニル、テトラヒドロ-1,3-ジオキセピニル及びテトラヒドロ-1,4-ジオキセピニルが挙げられる。
【0049】
3、4、5、6又は7員完全不飽和(芳香族を含めた)複素環は、例えば、5又は6員全不飽和(芳香族を含めた)複素環である。例は、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、4-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、4-イソチアゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、1,3,4-トリアゾール-2-イル、2-ピリジニル、3-ピリジニル、4-ピリジニル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル及び2-ピラジニルである。
【0050】
本明細書で使用される「環員としてN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1、2又は3個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む3、4、5、6、7又は8員飽和、又は部分不飽和炭素環、又は複素環」という用語は、完全不飽和環系を除く、上で定義したようにN、O、S、NO、SO及びSO2から選択される1〜3個のヘテロ原子を場合により含む飽和又は不飽和3〜8員環系を指す。
【0051】
式(I)、(II)、(VI)及び(VII)の化合物の変形形態の好ましい実施形態に関して以下になされる所見は、式(I)の化合物及び本発明による方法に関して、その化合物単独で、及び好ましくは相互に組み合わせた場合にあてはまる。
【0052】
式(I)、(II)及び(VI)の化合物では、R1は、好ましくは、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、CBrF2、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C6-フルオロシクロアルキル、C2〜C4-アルケニル、C2〜C4-フルオロアルケニル(最後に記載の6個の基は、1、2又は3個の基Raで置換されていてもよい)、-ORb、-SRb、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む5又は6員の飽和、部分飽和又は芳香族複素環であって1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい複素環から選択される。
【0053】
より好ましくは、R1は、ハロゲン、C1〜C4-フルオロアルキル、CBrF2、C1〜C4-アルコキシ及びC1〜C4-フルオロアルコキシ-C1〜C4-アルキルから選択され、特にハロゲン、CF3、CHF2、CBrF2及びメトキシから、具体的にはCF3及びCHF2から選択される。
【0054】
式(I)、(II)及び(VI)の化合物では、R2は、好ましくは、それぞれ独立に、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C6-フルオロシクロアルキル、C2〜C4-アルケニル、C2〜C4-フルオロアルケニル(最後に記載の6個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-ORb、-SRb、-N(Rc1)Rd1、フェニル(フェニルは1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を含む5又は6員の飽和、部分不飽和若しくは完全不飽和複素環であって1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい複素環から選択される。
【0055】
より好ましくは、R2は、それぞれ独立に、ハロゲン及びハロメチルから、詳細には、ハロゲン及びCF3から選択され、具体的にはR2は、塩素である。
【0056】
式(I)、(II)及び(VI)の化合物では、rは、好ましくは、1、2又は3、特に好ましくは、1である。rが1である場合、R2は、好ましくは、式I又はIIの化合物のピリジル部分の3位に位置する、すなわち、ピラゾール結合に対してオルトにあるピリジル部分の環炭素原子と結合している。
【0057】
式(VI)及び(VII)の化合物では、R3及びR4は、好ましくは、互いに独立に、ハロゲン、シアノ、ニトロ、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C8-ハロシクロアルキル、C2〜C4-アルケニル、C2〜C4-ハロアルケニル(最後に記載の6個の基は、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-ORb1、-OS(O)nRb1、SRb1、-N(Rc1)Rd1、-C(=O)Ra、フェニル(フェニルは1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい複素環から選択される。
【0058】
より好ましくは、R3及びR4は、独立に、ハロゲン、シアノ、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキルから選択される。特に好ましいR3は、ハロゲン、メチル及びハロメチル、具体的には、塩素、臭素、メチル、CF3及びCHF2から選択され、R4は、ハロゲン、シアノ、メチル及びハロメチル、具体的には、塩素、臭素、シアノ、CF3及びCHF2から選択される。
【0059】
式(VI)及び(VII)の化合物では、R3a及びR4aは、好ましくは、互いに独立に、水素、及びR3とR4に対して上で示された好ましい意味のものから選択される。
【0060】
より好ましくは、R3a及びR4aは、両方が水素である。
【0061】
したがって、式(VI)の特に好ましい化合物は、式(VIa)のものであり、式(VII)の特に好ましい化合物は、式(VIIa)のものである:
【化5】
【0062】
[式中、可変であるR3、R4、R5、R6、R7、r及びtは、上で定義された意味、詳細には、好ましいとして記載の意味を有する]。
【0063】
式(VI)及び(VII)の化合物では、R5は、好ましくは、水素、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C6-ハロシクロアルキル(最後に記載の4個の基は、場合により、1個以上の基Raで置換されていてもよい)、-C(=O)Ra、フェニル(フェニルは1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい)、並びに環員としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環であって1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい複素環から選択される。
【0064】
より好ましくは、それぞれのR5は、水素、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル及び-C(=O)-C1〜C4-アルキル、詳細には、水素、C1〜C3-アルキル及びハロメチルから選択され、具体的には、R5は、水素である。
【0065】
式(VI)及び(VII)の化合物では、R6及びR7は、好ましくは、互いに独立に、水素、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6-ハロシクロアルキル、C2〜C4-アルケニル、C2〜C4-ハロアルケニル(最後に記載の6個の基は、場合により、1個以上の基Raによって置換されていてもよい)から選択され;
或いは、R6及びR7は一緒に、それらが結合している硫黄原子と一緒に、5又は6員の飽和又は部分不飽和環を形成するC4〜C5-アルキレン又はC4〜C5-アルケニレン鎖を表し、C4〜C5-アルキレン鎖中のCH2基の1個又はC4〜C5-アルケニレン鎖中のCH2若しくはCH基の1個は、O、S及びN及びNHから独立に選択される基によって置換されていてもよく、C4〜C5-アルキレン又はC4〜C5-アルケニレン鎖中の炭素及び/又は窒素原子は、ハロゲン、シアノ、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルコキシから独立に選択される1又は2個の置換基によって置換されていてもよい。
【0066】
より好ましくは、R6及びR7は、独立に、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキルから選択され、又はR6及びR7は一緒になって、それらが結合している硫黄原子と一緒に5又は6員環を形成するC4〜C5-アルキレン鎖を表す。特に好ましいR6及びR7はそれぞれ、C1〜C4-アルキルであり、又は一緒になって、それらが結合している硫黄原子と一緒に5又は6員環を形成するC4〜C5-アルキレン鎖を表す。具体的には、R6及びR7はそれぞれ、メチル、イソプロピル又はエチルであり、又は一緒になってそれらが結合している硫黄原子と一緒に5員環を形成するブチレン鎖を表す。
【0067】
本文脈では、可変であるRa、Rb、Rc、Rd、Rb1、Rc1、Rd1、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、t、m及びnは、互いに独立に、好ましくは以下の意味の一つを有する:
Raは、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6-フルオロシクロアルキル、C2〜C4-アルケニル、C2〜C4-フルオロアルケニル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-アルキルチオ、アミノ、ジ-(C1〜C4-アルキル)-アミノ、フェニル及び環員としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環から選択され、フェニル及び複素環は、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C5〜C6-シクロアルキル及びC5〜C6-フルオロシクロアルキルから選択される1、2又は3個の基によって置換されていてもよい。
【0068】
より好ましくは、Raは、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-フルオロアルキル、C1〜C4-アルコキシ、ジ-(C1〜C4-アルキル)-アミノ、フェニル及び環員としてN、O及びSから選択される1又は2個のヘテロ原子を含む5又は6員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環から選択され、詳細にはC1〜C3-アルキル及びC1〜C2-フルオロアルキル及びC1〜C2-アルコキシから選択される。
【0069】
Rbは、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C6-フルオロシクロアルキル、C1〜C4-アルコキシ-C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルコキシ-C1〜C4-アルキル、フェニル-C1〜C4-アルキル、フェノキシ-C1〜C4-アルキル及びピリジル-C1〜C4-アルキル(最後に記載の3個の基中のフェニル及びピリジルは、場合により、ハロゲン、置換基C1〜C4-アルキル、C1〜C2-フルオロアルキル、C1〜C4-アルコキシ及びC1〜C2-フルオロアルコキシから選択される1又は2個の基を有していてもよい)から選択される。
【0070】
より好ましくはRbは、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル及びベンジルから選択され、詳細にはC1〜C3-アルキル、C1〜C2-フルオロアルキル及びベンジルから選択される。
【0071】
Rc、Rdは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C6-フルオロシクロアルキル(最後に記載の4個の基は、場合により、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-フルオロアルコキシ、C1〜C4-アルキルチオ、C1〜C4-フルオロアルキルチオから選択される1個又は2個の基を有していてよい)、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C2-フルオロアルキル、C1〜C4-アルコキシ及びC1〜C2-フルオロアルコキシから選択される1又は2個の置換基を有していてもよい)から選択され、又はRc及びRdは、それらが結合していている窒素原子と一緒に、環員として、N、O及びSから選択される1個のさらなるヘテロ原子を含んでよい5又は6員の飽和、部分不飽和又は完全不飽和複素環を形成し、複素環は、ハロゲン、C1〜C4-アルキル及びC1〜C4-フルオロアルキルから選択される1又は2個の置換基を有してもよい。
【0072】
より好ましくはRc、Rdは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル及びベンジルから選択され、又はRc及びRdは、それらが結合していている窒素原子と一緒に、5又は6員の飽和又は部分不飽和複素環を形成する。詳細には、Rc及びRdは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、C1〜C3-アルキル、C1〜C2-フルオロアルキル、ベンジルであり、又はそれらが結合していている窒素原子と一緒に、ピロリジン又はピペリジン環を形成する。
【0073】
Rb1は、水素であり、又はRcに対して示された好ましい意味の一つを有する。
【0074】
Rc1は、水素であり、又はRcに対して示された好ましい意味の一つを有する。
【0075】
Rd1は、水素であり、又はRdに対して示された好ましい意味の一つを有する。
【0076】
Reは、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C2〜C4-アルケニル、C2〜C4-フルオロアルケニル(最後に記載の4個の基は、場合により、C1〜C2-アルコキシを有していてもよい)、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-フルオロアルコキシ、フェニル、ベンジル、ピリジル及びフェノキシ(最後に記載の4個の基は、ハロゲン、C1〜C2-アルキル及びC1〜C2-フルオロアルキルから選択される1及び2個の置換基を有していてもよい)から選択される。
【0077】
より好ましくは、Reは、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C1〜C4-アルコキシ及びC1〜C4-フルオロアルコキシから、詳細にはC1〜C3-アルキル、C1〜C2-フルオロアルキル、C1〜C2-アルコキシ、C1〜C2-フルオロアルコキシから選択される。
【0078】
Rf、Rgは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、C1〜C4-アルキル、C5〜C6-シクロアルキル、C1〜C2-アルコキシ-C1〜C2-アルキル、フェニル及びベンジルから選択される。
【0079】
より好ましくは、Rf、Rgは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、C1〜C4-アルキル、C5〜C6-シクロアルキル、ベンジル及びフェニルから、詳細にはC1〜C3-アルキル、ベンジル及びフェニルから選択される。
【0080】
Rh、Riは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、水素、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-フルオロアルキル、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C6-フルオロシクロアルキル(最後に記載の4個の基は、場合により、C1〜C3-アルキル及びC1〜C3-フルオロアルキルから選択される1又は2個の基を有していてもよい)、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-フルオロアルコキシ、フェニル、ピリジル及びフェノキシから選択される。
【0081】
より好ましくは、Rh、Riは、互いに独立に及びそれぞれの出現において独立に、水素、C1〜C3-アルキル及びC1〜C2-フルオロアルキルから選択される。
【0082】
Rjは、水素、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル、C1〜C4-アルコキシ、C1〜C4-ハロアルコキシ、C5〜C6-シクロアルキル、C5〜C6-ハロシクロアルキル、C2〜C4-アルケニル、C2〜C4-ハロアルケニル、C2〜C4-アルキニル、C2〜C5-ハロアルキニル及びC5〜C6-シクロアルキル-C1〜C2-アルキルから選択される。
【0083】
より好ましくは、Rjは、C1〜C4-アルキル、詳細にはメチルである。
【0084】
tは、0又は1である。より好ましくは、tは、0である。
【0085】
mは、1又は2であり、数個の出現の場合、mは、同一であっても異なっていてもよい。より好ましくは、mは、2である。
【0086】
nは、1又は2であり、数個の出現の場合、nは、同一であっても異なっていてもよい。より好ましくは、nは、2である。
【0087】
N-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物Iを製造するための本発明の第1の態様による本方法のステップ(i)の転換は、化合物IIのピラゾール環の5位にある炭素原子を脱プロトン化するステップ、すなわち、前記位置にあるプロトンを引抜くステップである。この変換は、適切な反応条件を使用して、好ましくは溶媒中で及び不活性雰囲気下で、化合物IIを含む出発化合物と塩基とを接触させることによって実施される。
【0088】
本発明による方法のステップ(i)の脱プロトン化反応では、アルキルリチウム、詳細にはn-ブチルリチウム、リチウムジアルキルアミド、詳細にはリチウムジイソプロピルアミド、及びアルキル及びシクロアルキルマグネシウムハロゲン化物、例えばイソプロピルマグネシウムクロリドなど、リチウム-有機及びマグネシウム-有機化合物から選択される、詳細には炭素若しくは窒素結合リチウムを有するリチウム-有機塩基及び炭素結合マグネシウムを有するマグネシウム-有機塩基から選択される任意の塩基を使用することができる。
【0089】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の方法のステップ(i)の塩基は、C1〜C6-アルキルマグネシウムハロゲン化物及びC5〜C6-シクロアルキルマグネシウムハロゲン化物から選択され、より好ましくは、C1〜C4-アルキルマグネシウム塩化物、C1〜C4-アルキルマグネシウム臭化物、C5〜C6-シクロアルキルマグネシウム塩化物及びC5〜C6-シクロアルキルマグネシウム臭化物から選択され、詳細には、メチルマグネシウム塩化物、エチルマグネシウム塩化物、n-プロピルマグネシウム塩化物、イソプロピルマグネシウム塩化物、メチルマグネシウム臭化物、エチルマグネシウム臭化物、n-プロピルマグネシウム臭化物、イソプロピルマグネシウム臭化物から選択される。
【0090】
ステップ(i)で用いられる塩基は、一般に、それぞれの場合、式(II)の化合物1モルに対して0.8〜3.5モル、より好ましくは、1.0〜3.0モル、詳細には、1.01〜2.5モル、特に、1.1〜2.2モルの量で使用される。
【0091】
本発明の方法のステップ(i)の本発明の特に好ましい実施形態によれば、マグネシウム-有機塩基は、それぞれの場合、式(II)の化合物1モルに対して通常1.0〜3.5モル、より好ましくは、1.3〜3.0モル、詳細には、1.5〜2.5モル、特に1.7〜2.2モルの量で使用される。
【0092】
ステップ(i)の脱プロトン化は、通常、非プロトン性有機溶媒中で実施される。本発明での適切な非プロトン性有機溶媒として、例えば、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルイソブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル及びtert-ブチルエチルエーテルなどの脂肪族C2〜C6-エーテル、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン及びジオキサンなどの脂環式C3〜C6エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン及びオクタン、及びまた石油エーテルなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン及びシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン及びメシチレンなどの芳香族炭化水素、又はこうした溶媒の相互の混合物が挙げられる。
【0093】
ステップ(i)の転換用の溶媒は、好ましくは、脂肪族及び脂環式エーテルから、特にC2〜C6-脂肪族エーテル及びC4〜C6脂環式エーテル又はその混合物から選択される。特に好ましくは、THFが溶媒として使用される。同様に特に好ましくは、ジメトキシエタンが溶媒として使用される。化合物(II)が、反応容器内で溶媒中に最初から存在し、また塩基が溶媒中に添加される場合、好ましくは、同じ溶媒、詳細には、THF又はジメトキシエタンが、それぞれの場合使用される。
【0094】
本発明による方法のステップ(i)で使用される溶媒の全量は、通常、化合物IIの1モルに対して500〜6000gの範囲、好ましくは、1000〜5000gの範囲である。
【0095】
基本的に無水である、つまり、水含量が1000ppm未満、特に100ppm以下である溶媒を使用することが好ましい。
【0096】
一般に、ステップ(i)の反応は、撹拌され、冷却装置を備えた密閉又は開放反応容器を用いて温度制御下で実施される。
【0097】
ステップ(i)の反応に対する適切な温度プロフィルは、数種の因子、例えば、用いる化合物IIの反応性及び選択する塩基の型によって決定され、個別の場合について当業者により例えば簡単な予備試験によって決定することができる。一般に、ステップ(i)の脱プロトン化は、-70〜+100℃、詳細には、-50〜+50℃の範囲の温度で実施される。
【0098】
反応体は、原理的に、任意の所望の順序で互いに接触することができる。例えば、化合物IIは、場合により溶媒に溶解して又は分散形態で最初に装入することができ、次いで、塩基が場合により溶媒に溶解して又は分散形態で添加され、又は逆に、塩基は場合により溶媒に溶解して又は分散して最初に装入し、化合物IIと混合することができる。或いは、2種の反応体はまた、反応容器に同時に添加することもできる。
【0099】
最初に、好ましくは溶媒中にある化合物IIを装入し、次いで、個々の場合の反応条件に応じて、詳細には、使用する特定の塩基に応じて、-70〜30℃の範囲、好ましくは、-50〜25℃の範囲の温度に反応混合物を調整することが適切であることが判明した。その後に、場合により溶媒中の塩基を、段階的に、連続的に又は一度にのいずれかで添加し、可能であれば同じ温度で、高温で又は徐々に昇温する温度で一定期間反応を続行する。
【0100】
本発明の特に好ましい実施形態により、マグネシウム-有機塩基が、ステップ(i)の転換用に使用される場合、化合物II及び塩基は、通常-30〜35℃、好ましくは、-20〜30℃、詳細には、-10〜25℃の範囲の設定温度、又は周囲温度で接触させる。その後、転換は、通常、設定温度で、又は下方限界及び上方限界として-20〜35℃、好ましくは、-15〜30℃、詳細には、-5〜25℃の範囲の設定温度を有する温度勾配又は周囲温度を適用することによってのいずれかで続行される。
【0101】
本発明の方法のステップ(i)の転換で得られた反応生成物は、通常、予備作業なしで本発明の第1の態様による方法のステップ(ii)の転換を受ける。この目的のために、通常、ステップ(i)の転換が完了した後に得られた反応混合物は、ステップ(ii)の転換に直接導入される。
【0102】
式(I)のN-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物を製造するための本発明の第1の態様による方法のステップ(ii)における転換は、本方法のステップ(i)で得られた中間生成物のクロロカルボニル化である。この転換は、化合物IIに由来する中間体のピラゾール環の5位にある脱プロトン化炭素原子上におけるクロロカルボニル部分ClC(O)+の親電子攻撃を含む。前記親電子攻撃は、クロロカルボニル基の共有結合、及びその結果としてN-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物Iの形成をもたらす。この反応は、好ましくは溶媒中で及び不活性雰囲気下で、適切な反応条件を使用してステップ(i)で得られた中間体をホスゲン又はホスゲン等価物と接触させることによって実施される。
【0103】
適切なホスゲン等価物は、詳細にはジホスゲン(つまり、トリクロロメチルクロロホルミエート)などのクロロカルボニル部分を有する化合物である。しかし、ホスゲンは、ステップ(ii)のクロロカルボニル化試薬として好ましい。
【0104】
反応体は、原理的に、任意の所望の順序で互いに接触させることができる。例えば、ステップ(i)の脱プロトン化から生成する中間生成物を含むステップ(i)から得られた反応混合物は、場合により追加の溶媒と混合されて、最初に装入することができ、次いで、ホスゲン及びホスゲン等価物から選択された試薬は、場合により溶解又は分散形態で、添加され、又は、逆に、該試薬は、場合により溶媒に溶解されて又は分散形態で、最初に装入することができ、前記中間体と混合される。或いは、2種の反応体はまた、反応容器に同時に添加することもできる。
【0105】
ステップ(ii)のクロロカルボニル化が開始される前に、ステップ(i)の反応混合物が追加の溶媒と混合される場合、前記追加の溶媒は、非プロトン性溶媒であり、これは詳細には、本明細書で既に記載された非プロトン性有機溶媒から、特に、好ましいとして記載されたものから選択される。好ましくは、追加の溶媒は、基本的に無水である、つまり、それは、水含量が1000ppm未満、特に100ppm以下である。
【0106】
通常、ホスゲン又はホスゲン等価物は、既に記載された非極性で非プロトン性の有機溶媒から一般に選択される適切な溶媒に溶解又は分散されてステップ(ii)の反応内に導入される。
【0107】
本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(ii)のクロロカルボニル化は、ベンゼン、トルエン、キシレン又はメシチレン、詳細にはトルエンなどの芳香族炭化水素溶媒中にホスゲン又はホスゲン等価物を溶解した溶液を用いて実施される。ホスゲン溶液は、通常、濃度が3〜40重量%、好ましくは、10〜30重量%、特に約20重量%である。
【0108】
ステップ(ii)で用いられるクロロカルボニル化試薬、つまり、ホスゲン又はホスゲン等価物は、通常、それぞれの場合ステップ(i)に元から導入された式(II)の化合物1モルに対して0.5〜5モル、好ましくは、0.8〜4.0モル、より好ましくは、0.95〜2.5モル、詳細には、1.0〜2.2モルの量で使用される。
【0109】
一般に、ステップ(ii)の転換は、撹拌され、冷却装置を備えた密閉又は開放反応容器を用いて温度制御下で実施される。
【0110】
ステップ(ii)の反応に対する適切な温度プロフィルは、数種の因子、詳細には、ステップ(i)の脱プロトン化で使用された塩基の型、ステップ(i)で得られた中間体の反応性及び選択されるクロロカルボニル化試薬によって決定され、個別のそれぞれの場合について当業者により予備試験などの従来の手段によって決定することができる。一般に、反応は、-70〜+100℃、詳細には、-50〜+50℃の範囲の温度で実施される。
【0111】
しばしば、ステップ(i)を完了した後に得られる反応混合物は、必要なら-30〜50℃の範囲、好ましくは、-10〜25℃の範囲の温度に調整され、次いで、クロロカルボニル化試薬が、場合により溶媒に溶解されて添加される。反応は、可能であれば同じ温度で、或いは高温で又は徐々に昇温する温度で一定期間続行される。
【0112】
本発明の好ましい実施形態により、マグネシウム-有機塩基が、ステップ(i)の転換用に使用される場合、ステップ(i)からの中間体及び試薬は、ステップ(ii)で通常-30〜35℃、好ましくは、-10〜30℃、詳細には、-5〜25℃の範囲の設定温度、又は周囲温度で接触させる。その後、転換は、通常、設定温度で、又は下方限界及び上方限界として-10〜50℃、好ましくは、-5〜40℃、詳細には、0〜25℃の範囲の設定温度を有する温度勾配、又は周囲温度を適用することによってのいずれかで続行され、次いで場合により上限温度で反応を進行させる。
【0113】
生成物として式(I)のN-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物を含むステップ(ii)の転換後に得られる反応混合物は、通常、それを次の反応ステップに導入する前に後処理手順にかけられる。この後処理は、通常、類似の反応に対して適用可能であることが当技術分野で公知の非水性手段によって実施される。好ましくは、反応混合物は、通常脂肪族エーテル、非環式エーテル、芳香族炭化水素、詳細には、ジエチルエーテル又はトルエン、特に、トルエンである非極性で非プロトン性の溶媒と場合により混合した後に、存在する恐れのある固体をろ別することによって後処理される。存在する場合、ろ過された固体は、溶媒で洗浄され、合わせたろ液は、蒸発によって濃縮され、残渣は、通常前に使用したのと同じである非極性で非プロトン性の溶媒で抽出される。未溶解固体は再度ろ別され、溶媒で洗浄され、生成物は、蒸発を介して溶媒を除去することによって生成ろ液から単離される。このようにして得られた粗N-置換1H-ピラゾール5-カルボニルクロリド化合物Iは、本発明の第2の態様による方法のステップ(iii)で使用され、又は他の用途に送ることができる。或いは、それは、後の使用のために保持することもでき、又は予めさらに精製することもできる。さらなる精製のために、当業者に公知の1種以上の方法、例えば、再結晶、蒸留、昇華、ゾーン溶融、溶融結晶化又はクロマトグラフィーを使用することが可能である。しかし、後処理手順の直後に得られた原材料の形態で化合物IIを次の合成ステップにかけることが好ましい。
【0114】
式(II)の化合物は、例えば、国際公開第2003/015519号又は国際公開第2003/106427号から公知であり、又は、その化合物は、こうした特許又は国際公開第2008/126858号、国際公開第2008/126933号、国際公開第2008/130021号、国際公開第2007/043677号及びBioorganic and Medicinal Chemistry Letters 2005、15、4898〜4906頁に記載の方法と類似のものによって調製することができる。
【0115】
本発明のさらなる実施形態によれば、置換基R1の代わりに置換基R1aを有することによって式(II)の化合物とは異なる式(II')の化合物は、例えば、以下のスキーム1で示された反応順序によって調製することができる。
【化6】
【0116】
スキーム1では、可変であるr及びR2は、上に定義した通りである。可変であるZ、Y、R1a及びR8は、以下の意味を有する:
Zは、O又はSであり;
Yは、ハロゲン、C1〜C3-アルコキシ、C1〜C3-アルキルチオ、C1〜C3-ハロアルコキシ、C1〜C3-ハロアルキルチオ、-S(O)Rb、-S(O)2Rb、-OS(O)Rb、-OS(O)2Rb及び-NO2などの適切な脱離基であり、Rbは、上のRbに対して示された意味のうちの一つを有し、Rbは、詳細には、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル又はフェニルであり、このフェニルは、非置換であり、又はハロゲン及びC1〜C4-アルキルから選択される1、2又は3個の基を有し;
R1aは、ハロゲン、シアノ及び-SF5を除く、本明細書及び特許請求の範囲で定義されたR1に対して示された意味のうちの一つを有し;
R8は、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-シクロアルキル、C1〜C6-ハロアルキル及びC1〜C6-ハロシクロアルキルからなる群から選択される。
【0117】
スキーム1の反応は、可変であるr、Z、Y、R8、R1a及びR2それ自体、並びに詳細にはその組合せが以下の意味を有する場合に、特に首尾が良い:
rが、1であり;
Zが、Oであり;
Yが、ハロゲン、-S(O)2Rb又は-OS(O)Rbであり、Rbは上に定義した通りであり、Rbは詳細には、C1-C4-アルキルであり;
R8が、C1〜C6-アルキルであり;
R1aが、C1〜C4-フルオロアルキル、CBrF2及びCH2OCHF2などのC1〜C4-フルオロアルコキシアルキルからなる群から選択され、詳細には、CF3、CHF2、CBrF2及びCH2OCHF2からなる群から選択され;
R2が、ハロゲン及びC1〜C4-フルオロアルキルからなる群から選択され、詳細には、ハロゲン及びCF3からなる群から選択され、式IIIの化合物にとって特に好ましいのは、rが1であり、R2が置換基Yの結合点に関してオルト位に位置する場合である。この場合、R2は、詳細には、ハロゲン及びC1〜C4-フルオロアルキルからなる群から選択され、特にハロゲン及びCF3からなる群から選択され、より詳細にはR2は塩素である。
【0118】
したがって、第1ステップでは、スキーム1の方法は、式Vの化合物をヒドラジン又はヒドラジン水和物又はその塩と反応させるステップを含む。第2ステップでは、式IV'のこのようにして得られたピラゾール化合物は、ピリジン化合物IIIと反応させて式(II')の化合物が得られる。第1及び第2ステップの反応は、国際公開第2008/126858号、国際公開第2008/126933号、国際公開第2008/130021号、国際公開第2007/043677号及びBioorganic and Medicinal Chemistry Letters 2005、15、4898〜4906頁に記載の方法と類似のものによって調製することができる。
【0119】
したがって、スキーム1に示された第1反応によれば、式Vの化合物はヒドラジン又はヒドラジン水和物又はその塩と反応する。反応は、通常、溶媒中で式Vの化合物をヒドラジン又はヒドラジン水和物又はその塩と接触させることによって実施される。
【0120】
適切な溶媒としては、水及び極性でプロトン性の有機溶媒及びその混合物が挙げられる。スキーム1のステップ1で使用できる極性でプロトン性の適切な溶媒の例としては、詳細には、C1〜C4-アルカノール、C2〜C4-アルカンジオールなどのアルコール、例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコール、ジエチレングリコール又はトリエチレングリコールなどのジ-及びトリ-C2〜C3-アルキレンエーテル、モノ-C1〜C4-アルキルエーテル、詳細には、C2〜C4-アルカンジオールのモノメチルエーテル、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、又はモノ-C1〜C4-アルキルエーテル、詳細には、ジ-又はトリ-C2〜C3-アルキレンエーテルのモノメチルエーテル並びにその混合物である。好ましい有機溶媒は、C1〜C4-アルカノールの群から選択され、特に好ましいのはエタノールである。
【0121】
ヒドラジン又はヒドラジン塩は、好ましくは、式(V)の化合物1モル当たり、0.7〜10モル、好ましくは、0.9〜5モル、詳細には、1〜3モルの量で用いられる。
【0122】
酸の存在下でスキーム1の反応を実施するのが有利であることが判明した。酸は、触媒量又は化学量論量で使用してよい。塩基の量は、好ましくは、触媒量で、例えば、化合物Vの1モル当たり0.001〜0.2モルの量、詳細には、0.01〜0.1モルの量で使用することができる。適切な酸は、詳細には、塩酸、硫酸、硝酸などの強酸又はアルキルスルホン酸若しくはアリールスルホン酸などの有機スルホン酸である。
【0123】
スキーム1に示された第1反応による反応は、一般に、0〜150℃、好ましくは、10〜120℃の範囲の温度で実施される。原理的に、反応温度は、所与の反応圧において反応混合物の沸点と同じ高さであってよい。反応圧は、一般に、重要ではなく、0.9〜2バール、詳細には、0.9〜1.5バール、特に0.9〜1.1バールの範囲であってよい。
【0124】
このようにして得られたピラゾールは、従来の技法、例えば、蒸留又は抽出によって反応混合物から単離することができる。一般に、存在する場合、酸はピラゾール化合物を単離する前に中和される。
【0125】
スキーム1に示された第2反応によれば、式(III)の化合物は、ピラゾール化合物IVと反応する。化合物IVの量は、一般に、化合物IIIの1モル当たり0.8〜1.2モル、詳細には、0.9〜1.1モルである。
【0126】
反応は、通常、溶媒中で式(IV)の化合物を化合物IIIと接触させることによって実施される。本発明の特定の実施形態では、スキーム1に示された第2反応は、非プロトン性有機溶媒又は非プロトン性有機溶媒の混合物で実施される。適切な非プロトン性溶媒の例は、塩化メチレン、クロロホルム又は1,2-ジクロルエタンなどのハロゲン化アルカン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチルイソブチルエーテルなどの開鎖エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン又は2-メチルテトラヒドロフランなどの環式エーテル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの脂肪族カルボン酸のN,N-ジ-C1〜C4-アルキルアミド、N-メチルピロリジノンなどのN-C1〜C4-アルキルラクタム、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド、アセトニトリル又はプロピオニトリルなどのニトリル、及びピリジン、2,6-ジメチルピリジン又は2,4,6-トリメチルピリジンなどのピリジンである。好ましくは、反応は、極性で非プロトン性の溶媒で、詳細には、N,N-ジメチルホルムアミド又はN,N-ジメチルアセトアミドなどの脂肪族カルボン酸のN,N-ジ-C1〜C4-アルキルアミド及びN-メチルピロリジノンなどのN-C1〜C4-アルキルラクタムから選択される溶媒で実施される。
【0127】
塩基の存在下でスキーム1の第2反応を実施するのが有利であることが判明した。塩基は、触媒量、又は化学量論量で使用することができる。塩基の量は、好ましくは、少なくともほぼ化学量論量で、例えば、化合物IVの1モル当たり0.9〜5モルの量で、詳細には、1〜2モルの量で使用することができる。適切な塩基は、詳細には、オキソ塩基である。適切なオキソ塩基として、限定されないが、水酸化物、詳細にはアルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、炭酸塩、詳細にはアルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウム、炭酸水素塩、詳細にはアルカリ金属炭酸水素塩、例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウム、リン酸塩又はリン酸水素塩、詳細にはアルカリ金属リン酸塩又はリン酸水素塩、例えば、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム若しくはリン酸カリウム又はリン酸水素リチウム、リン酸水素ナトリウム若しくはリン酸水素カリウム、アルコキシド、詳細にはアルカリ金属アルコキシド、例えば、ナトリウムメトキシド若しくはカリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド若しくはカリウムエトキシド又はナトリウムtert-ブタノレ-ト若しくはカリウムtert-ブタノレ-ト、カルボン酸塩、詳細にはアルカリ金属カルボン酸塩、例えば、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム若しくはギ酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム若しくは酢酸カリウム又はプロピオン酸リチウム、プロピオン酸ナトリウム若しくはプロピオン酸カリウムが挙げられる。適切なアミン塩基として、限定されないが、アンモニア及び有機アミン、詳細には、脂肪族又は脂環式アミン、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン若しくはトリエチルアミン、ピペリジン及びN-メチルピペリジンなどの、ジ-C1〜C4-アルキルアミン、トリ-C1〜C4-アルキルアミン、C3〜C6-シクロアルキルアミン、C3〜C6-シクロアルキル-ジ-C1〜C4-アルキルアミン、又は環式アミンが挙げられる。好ましい塩基は、アルカリ金属炭酸塩、特に、ナトリウム、カリウム及びセシウム炭酸塩である。
【0128】
スキーム1に示された第2反応による反応は、一般に、50〜200℃、好ましくは、100〜180℃の範囲の温度で実施される。原理的に、反応温度は、所与の反応圧において反応混合物の沸点と同じ高さであってよい。反応圧は、一般に、重要ではなく、0.9〜2バール、詳細には、0.9〜1.5バール、特に0.9〜1.1バールの範囲であってよい。
【0129】
この反応で形成される式(II')の化合物は、好ましくは不溶性副生物を除去した後に、慣用的な方法によって、例えば、反応混合物からの蒸留又は結晶化又は沈殿によって反応混合物から単離することができる。式II'の化合物はまた、水を反応混合物に添加し、このようにして得られた混合物を適切な溶媒で抽出することによっても単離することができる。抽出の目的用として適切な溶媒は、基本的に、水と不混和性であり、十分な量の化合物II'を溶解することができる。溶媒を留去し、このようにして得られた残渣を水と混合し、このようにして得られた混合物を適切な溶媒で抽出することによって反応混合物を濃縮することも可能である。適切な溶媒の例は、アルカンなどの脂肪族炭化水素、例えば、ペンタン、ヘキサン又はヘプタン、シクロアルカンなどの脂環式炭化水素、例えば、シクロペンタン又はシクロヘキサン、塩化メチレン又はクロロホルムなどのハロゲン化アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル又はメチル-イソブチルエーテルなどの開鎖エーテル、又は酢酸エチル又はプロピオン酸エチルなどのエステルである。
【0130】
単離生成物II'は、例えば、結晶化又は蒸留によってさらに精製することができる。しかし、しばしば、生成物は、さらなる精製ステップを必要としない純度で既に得られている。
【0131】
式Vのビニル(チオ)エーテル化合物は、大量に市販されているか、又は当業者がよく知っている有機化学の標準方法を使用して容易に生成されるかのいずれかである。同様に、式(III)の化合物は、容易に入手でき、又は有機化学の日常的な方法に類似のものによって調製することもできる。
【0132】
式(IV)のスルフィミン化合物を製造するための本発明の第2の態様による方法のステップ(iii)では、式(VII)の化合物は、式(I)のピラゾール化合物と反応させて式(VI)の化合物をもたらす。ステップ(iii)の反応は、例えば、国際公開第2003/015519号、国際公開第2006/062978号、国際公開第2008/07158号又は国際公開第2009/111553号に記載されたように、カルボン酸塩化物と芳香族アミンの従来からのアミド化反応に類似のものによって実施することができる。驚くべきことに、基N=S(O)tR6R7は、アミド化反応を阻害しないのである。それどころか、式VIの化合物は、高収率且つ高純度で得ることができる。
【0133】
通常、式(VII)の化合物及び式(I)の化合物は、好ましくは、化学量論量又はほぼ化学量論量で用いられる。一般に、式(VII)の化合物と式(I)の化合物の相対モル比は、1.1:1〜1:2、好ましくは、1.1:1〜1:1.2、詳細には、1.05:1〜1:1.1の範囲である。
【0134】
塩基の存在下でステップ(iii)の反応を実施するのが有利であることが判明した。適切な塩基として、反応媒体に可溶性又は不溶性である塩基が挙げられる。塩基は、触媒量又は化学量論量で使用することができる。塩基の量は、好ましくは、式Iの化合物1モル当たり0.9〜2モル、詳細には、1〜1.8モルの範囲である。
【0135】
適切な塩基として、限定されないが、オキソ塩基及びアミン塩基が挙げられる。適切なオキソ塩基として、限定されないが、炭酸塩、詳細には、リチウム炭酸塩、ナトリウム炭酸塩又はカリウム炭酸塩などのアルカリ金属炭酸塩、リン酸塩、詳細には、リチウムリン酸塩、ナトリウムリン酸塩又はカリウムリン酸塩などのアルカリ金属リン酸塩が挙げられる。適切なアミン塩基として、限定されないが、第三級有機アミン、詳細には、脂肪族又は脂環式第三級アミン、例えば、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン又はキノリンなど、トリ-C1〜C4-アルキルアミン、C3〜C6-シクロアルキル-ジ-C1〜C4-アルキルアミン、第三級環式アミン及びピリジンが挙げられる。好ましい塩基は、リチウム、ナトリウム又はカリウム炭酸塩などのアルカリ金属炭酸塩、及び第三級アミン、詳細には、トリエチルアミン、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン又は2,4,6-トリメチルピリジンである。
【0136】
塩基に加えて又は塩基の代わりにアミド化触媒を使用することもできる。適切なアミド化触媒は、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン(4-DMAP)などのジアルキルアミノピリジンである。触媒は、通常、式(I)の化合物1モル当たり0.001〜1モル、詳細には、0.005〜0.2モル、特に、0.01〜0.1モルの量で用いられる。
【0137】
本発明の特定の実施形態では、ステップ(iii)の反応は、有機溶媒又は有機溶媒の混合物中で実施される。ステップ(iii)の反応を実施するための適切な溶媒は、好ましくは、非プロトン性溶媒及びその混合物である。非プロトン性溶媒の例は、アルカン、例えば、ペンタン、ヘキサン又はヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素、シクロアルカン、例えば、シクロペンタン又はシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム又は1,2-ジクロルエタンなどのハロゲン化アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチル-イソブチルエーテルなどの開鎖エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン又は2-メチルテトラヒドロフランなどの環式エーテル、アセトニトリル又はプロピオニトリルなどのニトリル、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン又は2,4,6-トリメチルピリジンなどの前記のピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの脂肪族カルボン酸のN,N-ジ-C1〜C4-アルキルアミド、及びN-メチルピロリジノンなどのN-C1〜C4-アルキルラクタムである。ステップ(iii)の反応を実施するための特に好ましい溶媒は、シクロヘキサン、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トルエン、ピリジン、テトラヒドロフラン及びN,N-ジメチルホルムアミド及びその混合物である。
【0138】
本発明の方法のステップ(iii)による反応は、一般に、-40〜+150℃、好ましくは、0〜110℃、より好ましくは、30〜80℃の範囲の温度で実施される。原理的に、反応温度は、所与の反応圧において反応混合物の沸点と同じ高さであってよいが、好ましくは、指示されたより低い値に保持される。反応圧は、一般に、重要ではなく、0.9〜2バール、詳細には、0.9〜1.5バール、特に0.9〜1.1バールの範囲であってよい。
【0139】
ステップ(iii)の反応は、上の反応条件下で式(VII)の化合物を適量の式(I)の化合物と反応させることによって実施される。反応は、例えば、以下の様式で実施することができる:適切な有機溶媒中の塩基及び式(VII)の化合物の溶液又は懸濁液は、適切な反応容器に装入される。この混合物に好ましくは有機溶媒中の溶液又は懸濁液として式(I)の化合物が添加される。式(I)の化合物の添加は、一度に又は好ましくは連続的に若しくは数個の部分で実施することができる。生成混合物に、所望であれば触媒を添加することができる。触媒は、そのまま(neat)で、適切な溶媒中の溶液で又は懸濁液としてのいずれかで添加することができる。
【0140】
ステップ(ii)の反応で形成された式(VI)の化合物は、慣用的な方法によって、例えば、ろ過又は水による抽出のいずれかによって反応混合物から塩基を除去し、次いで溶媒を留去することによる濃縮によって反応混合物から単離することができる。或いは、反応混合物は、水で希釈し、-30〜+30℃の温度まで冷却して溶媒又は溶媒混合物からアミド化合物を沈殿させことができる。沈殿したアミド化合物VIは、従来の手段、例えば、ろ過、遠心分離などによって液体反応混合物から分離することができる。式VIのアミド化合物はまた、反応混合物に水を添加し、このようにして得られた混合物を適切な溶媒で抽出することによって反応混合物から単離することもできる。抽出の目的のための適切な溶媒は、基本的に、水と不混和性であり、十分な量の化合物VIを溶解することができる。溶媒を留去し、このようにして得られた残渣を水と混合し、このようにして得られた混合物を適切な溶媒で抽出することによって反応混合物を濃縮することも可能である。適切な溶媒の例は、アルカン、例えば、ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロアルカン、例えば、シクロペンタン又はシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、塩化メチレン又はクロロホルムなどのハロゲン化アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル又はメチルイソブチルエーテルなどの開鎖エーテル、又は酢酸エチル又はプロピオン酸エチルなどのエステルである。
【0141】
式(VI)のこのようにして得られた化合物は、例えば、結晶化によって又はクロマトグラフィーによって又は組み合わせた手段によってさらに精製することができる。しかし、しばしば、生成物は、さらなる精製ステップを必要としない純度で既に得られている。
【0142】
本発明は、式(VII)の化合物を製造するための方法に関する。この方法は、以後、「方法VII」と命名される。第1の実施形態によれば、方法VIIは、式(VIII)の化合物を式(IX)の化合物と反応させるステップを含む。第2の実施形態によれば、方法VIIは、式(VIII)の化合物を式(X)の化合物と反応させるステップを含む。
【化7】
【0143】
[式中、R3、R4、R3a、R4a、R5、t、R6及びR7は、本明細書及び特許請求の範囲で定義された通りであり、A-は、水中で標準条件(298K;1.013バール)下で測定した場合、少なくとも10のpKBを有するアニオンの等価物である]。
【0144】
方法VIIにおける転換では、式(VIII)の化合物が特に好ましく、R3a及びR4aは両方とも水素であり、R5は、本明細書及び特許請求の範囲で定義された通りであり、R3は、本明細書及び特許請求の範囲で示された意味のうちの一つを有し、又は水素であり、R4は、本明細書及び特許請求の範囲で示された意味のうちの一つを有し、又は水素である。好ましくは、式(VIII)の基R3及びR4は、互いに独立に、水素、ハロゲン、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル及びシアノからなる群から選択され、R3及びR4が同一である、又は異なっていることが可能である。
【0145】
本発明の方法VIIでは、式(IX)及び(X)の化合物が好ましく、可変であるtは0であり、R6及びR7は、互いに独立に、本明細書で定義された意味のうちの一つを有する。
【0146】
本発明の方法VIIでは、式(IX)及び(X)の化合物がより好ましく、可変であるtは0であり、R6及びR7は、互いに独立に、C1〜C6-アルキル、C1〜C6-ハロアルキル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6-ハロシクロアルキル、C2〜C6-アルケニル、C2〜C6-ハロアルケニルからなる群から選択され、アルキル、アルケニル及びシクロアルキルは、場合により、1個以上、例えば1又は2個の基Raによって置換されていてもよく、Raは、上に定義された通りであり、詳細には、Raに対して上で示された好ましい意味のうちの一つを有する。式(IX)及び(X)の化合物が特に好ましく、可変であるtは0であり、R6及びR7は、互いに独立に、好ましくは、C1〜C6-アルキル、C3〜C6-シクロアルキル、C3〜C6-シクロアルキル及びC3〜C6-シクロアルキル-C1〜C4-アルキルからなる群から選択される。
【0147】
同様に式(IX)及び(X)の化合物が好ましく、可変であるtは0であり、R6及びR7は、一緒に、それらが結合している硫黄原子と一緒に、5、6又は7員の飽和又は部分不飽和環を形成するC4〜C6-アルキレン又はC4〜C6-アルケニレン基を表し、C4〜C6-アルキレン鎖中の1又は2個のCH2基又はC4〜C6-アルケニレン鎖中のCH2若しくはCH基の任意の1又は2個は、O、S、N及びNHからなる群から独立に選択される1又は2個の基によって置換されていてもよい。式(IX)及び(X)の化合物もまた特に好ましく、可変であるtは0であり、R6及びR7は、一緒に、それらが結合している硫黄原子と一緒に、5、6又は7員の飽和環を形成するC4〜C6-アルキレン基を表す。
【0148】
本発明の方法VIIでは、式(IX)及び(X)の化合物もまた好ましく、可変であるtは1であり、R6及びR7は、互いに独立に、本明細書で定義された意味のうちの一つ、詳細には、好ましいとして本明細書に記載の意味のうちの一つを有する。
【0149】
式(X)の化合物では、A-は、水中で標準条件(298K;1.013バール)下で測定した場合、少なくとも10のpKBを有するアニオンの等価物である。本文脈では、「等量」とは、電気的中性を実現するのに要するアニオン量を意味する。例えば、アニオンが1の負電荷を有する場合、当量は1であり、アニオンが2の負電荷を有する場合、当量は1/2である。適切なアニオンは、水中で標準条件(298K;1.013バール)下で測定した場合、少なくとも10、詳細には、少なくとも12の塩基性定数pKBを有するものである。適切なアニオンとしてSO42-、HSO4-、Cl-、ClO4-、BF4-、PF6-、HPO4-などの無機イオン、及びメチルスルホネート、トリフルオロメチルスルホネート、トリフルオロアセテート、フェニルスルホネート、トルエンスルホネート、メシチレンスルホネートなどの有機アニオンが挙げられる。
【0150】
方法VIIでは、式(IX)又は(X)の化合物はそれぞれ、通常、方法VIIで使用される式(XIII)の化合物1モル当たり0.9〜2モル、好ましくは、0.9〜1.5モル、より好ましくは、0.9〜1.2モル、詳細には、0.95〜1.1モルの量で用いられる。
【0151】
塩基の存在下で方法VIIの反応を実施するのが有利であることが判明した。適切な塩基として、反応媒体に可溶性又は不溶性である塩基が挙げられる。塩基は、触媒量又は化学量論量で使用することができる。塩基の量は、好ましくは、化合物VIIIの1モル当たり0.1〜2モル、詳細には、0.9〜1.5モルの範囲、又は化合物IX又はXの1モル当たり0.1〜2モル、詳細には、0.9〜1.5モルの範囲であってよい。特定の実施形態では、塩基は、詳細には、式(X)の化合物が使用される場合、化合物VIIIの1モル当たり、少なくとも0.9モル、詳細には、少なくとも1モル、例えば0.9〜2モル、詳細には、1〜1.5モルの量で使用される。
【0152】
適切な塩基として、限定されないが、オキソ塩基及びアミン塩基が挙げられる。適切なオキソ塩基として、限定されないが、本明細書の前のスキーム1の反応の文脈で記載のものが挙げられる。好ましい塩基は、オキソ塩基、詳細には、アルカリ金属アルカノレートとも命名されるアルカリ金属アルコキシド、特に、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブタノレート又はカリウムtert-ブタノレートなどのナトリウム及びカリウムアルカノレートである。オキソ塩基とアミン塩基の混合物もまた使用することができる。
【0153】
本発明の特定の実施形態では、方法VIIの反応は、有機溶媒又は有機溶媒の混合物中で実施される。反応VIIを実施するための適切な溶媒は、プロトン性又は非プロトン性溶媒及びその混合物であり、非プロトン性溶媒が好ましい。非プロトン性溶媒の例は、アルカン、例えば、ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロアルカン、例えば、シクロペンタン又はシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、塩化メチレン、クロロホルム又は1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチルイソブチルエーテルなどの開鎖エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン又は2-メチルテトラヒドロフランなどの環式エーテル、或いは、酢酸エチル又はプロピオン酸エチルなどのエステルである。適切な非プロトン性溶媒はまた、ピリジン、2,6-ジメチルピリジン又は2,4,6-トリメチルピリジンなどのピリジン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの脂肪族カルボン酸のN,N-ジ-C1〜C4-アルキルアミド、及びN-メチルピロリジノンなどのN-C1〜C4-アルキルラクタムであってよい。極性でプロトン性の溶媒の例は、メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールなどのC1〜C4-アルカノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールなどのC2〜C4-アルカンジオール、ジエチレングリコールなどのエーテルアルカノール、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド及びその混合物である。好ましくは、反応は、非プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒の混合物中で実施される。
【0154】
方法VIIによる反応は、一般に、-40〜+150℃、好ましくは、0〜110℃、より好ましくは、0〜80℃の範囲の温度で実施される。原理的に、反応温度は、所与の反応圧において反応混合物の沸点と同じ高さであってよいが、好ましくは、指示されたより低い値に保持される。反応圧は、一般に、重要ではなく、0.9〜2バール、詳細には、0.9〜1.5バール、特に0.9〜1.1バールの範囲であってよい。
【0155】
方法VIIの反応は、上の反応条件下で化合物VIIIを適量の式(IX)又は(X)の化合物と反応させることによって実施される。反応は、例えば、以下の様式で実施することができる:適切な有機溶媒中の式(VIII)の化合物の溶液又は懸濁液は、適切な反応容器に添加される。この混合物に好ましくは有機溶媒中の溶液又は懸濁液として式(IX)又は(X)の化合物が添加される。化合物IX又はXの添加は、一度に又は好ましくは連続的に又は数個の部分で実施することができる。生成混合物に、所望であれば塩基を添加することができる。塩基は、そのままで、溶液で又は適切な溶媒中の懸濁液としてのいずれかで添加することができる。塩基の添加は、一度に又は好ましくは連続的に又は数個の部分で実施することができる。化合物を添加し、所望であれば同時に塩基を添加することも可能である。
【0156】
方法VIIの反応で形成された式(VII)の化合物は、慣用的な方法によって、例えば、水を添加し、次いで適切な溶媒で抽出し、次いで溶媒を留去して濃縮することによって反応混合物から単離することができる。抽出の目的のための適切な溶媒は、基本的に、水と不混和性であり、式VIIの化合物VIを溶解することができる。例は、アルカン、例えば、ペンタン、ヘキサン若しくはヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロアルカン、例えば、シクロペンタン若しくはシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、塩化メチレン若しくはクロロホルムなどのハロゲン化アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン若しくはクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル若しくはメチルイソブチルエーテルなどの開鎖エーテル、又は酢酸エチル若しくはプロピオン酸エチルなどのエステルである。
【0157】
単離された生成物は、例えば、結晶化によって又はクロマトグラフィーによって又は組み合わせた手段によってさらに精製することができる。しかし、しばしば、生成物は、さらなる精製ステップを必要としない純度で既に得られている。
【0158】
式(IX)及び(X)の化合物は、従来技術から、例えば、国際公開第2007/006670号;国際公開第2008/141843号;Y.Tamuraら、Tetrahedron 1975、31、3035〜3040頁;Fujiiら、Heteroatom Chemistry 2004、15(3)、246〜250頁;Johnsonら、J.Org.Chem.1989、54、986〜988頁;Yoshimuraら、J.Org.Chem.1976、41、1728〜1733頁;Appelら、Chem.Ber.1962、95、849〜854頁、及びChem.Ber.1966、99、3108〜3117頁;又はYoungら、J.Org.Chem.1987、52、2695〜2699頁から公知であり、或いは、こうした化合物は、これらに記載の方法に類似のものによって、又は国際公開第2008/141843号、米国特許第6,136,983号及びそこに引用された文献に記載の方法に類似のものによって調製することもできる。
【0159】
式(X)の化合物を製造するための特定の適切な方法は、以下のスキーム2に記載されている。
【化8】
【0160】
スキーム2では、R6及びR7は、上に定義された通りである。Wは、OH、NH2、C1〜C4-アルキル、C1〜C4-ハロアルキル、アリール又は複素アリールなど、反応を妨害しない任意の基であってよく、最後の2個の基は、置換されていなくても、ハロゲン及びC1〜C4-アルキルから好ましくは選択される1、2又は3個の基Reによって置換されていてもよい。Wは、好ましくはOH、又は好ましくは、ハロゲン及びC1〜C4-アルキルから選択される1個以上の基によって場合により置換されているフェニルなどの芳香族基、例えば、フェニル、4-メチルフェニル又は2,4,6-トリメチルフェニルである。特定の実施形態では、WはOHである。
【0161】
スキーム2に示された第1反応によれば、式(XII)のスルホニルヒドロキシルアミンは、式(XI-1)のスルフィドと反応し、t=0である式Xの化合物に対応する式(X-1)の化合物をもたらす。反応は、式(XI)と(XII)の化合物を接触させることによって実施することができる。
【0162】
式(XII)の化合物は、好ましくは、式(XI-1)の化合物1モル当たり0.7〜1.1モル、好ましくは、0.8〜1.0モル、詳細には、0.85〜0.99モルの量で用いられる。
【0163】
塩基の存在下でスキーム2の第1反応を実施するのが有利であることが判明した。塩基は、触媒量又は化学量論量で使用することができる。塩基の量は、好ましくは、化合物IIの1モル当たり0.9〜2モル、詳細には、0.9〜1.5モルの範囲、又は化合物XIIの1モル当たり1.0〜1.2モルの範囲であってよい。
【0164】
適切な塩基として、詳細には、オキソ塩基が挙げられる。適切なオキソ塩基として、限定されないが、ステップ(iii)の反応の文脈で記載のものが挙げられる。好ましい塩基は、アルカリ金属アルコキシド、特に、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert-ブタノレート又はカリウムtert-ブタノレートなどのナトリウムアルカノレート及びカリウムアルカノレートである。
【0165】
本発明の特定の実施形態では、スキーム2に示された第1反応は、有機溶媒又は有機溶媒の混合物中で実施される。適切な溶媒は、限定されないが、極性でプロトン性又は非プロトン性溶媒及びその混合物であり、プロトン性溶媒が好ましい。極性で非プロトン性の溶媒の例は、塩化メチレン、クロロホルム若しくは1,2-ジクロロエタンなどのハロゲン化アルカン、クロロベンゼンなどのハロゲン化芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル若しくはメチルイソブチルエーテルなどの開鎖エーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン若しくは2-メチルテトラヒドロフランなどの環式エーテル、又は酢酸エチル若しくはプロピオン酸エチルなどのエステル、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどの脂肪族カルボン酸のN,N-ジ-C1〜C4-アルキルアミド、及びN-メチルピロリジノンなどのN-C1〜C4-アルキルラクタムである。極性でプロトン性の溶媒の例は、メタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールなどのC1〜C4-アルカノール、エチレングリコール又はプロピレングリコールなどのC2〜C4-アルカンジオール、及びジエチレングリコールなどのエーテルアルカノール、及びその混合物である。好ましくは、反応は、プロトン性溶媒又は非プロトン性溶媒を含むその混合物中で実施される。詳細には、溶媒は、C1〜C4-アルカノール又はC1〜C4-アルカノールの混合物である。
【0166】
スキーム2に示された第1反応による反応は、一般に、-50〜+20℃、好ましくは、-40〜10℃、より好ましくは、-40〜+5℃の範囲の温度で実施される。反応圧は、一般に、重要ではなく、0.9〜2バール、詳細には、0.9〜1.5バール、特に0.9〜1.1バールの範囲であってよい。
【0167】
スキーム2の第1反応は、上の反応条件下で化合物XI-1を適量の式XIIの化合物と反応させることによって実施される。反応は、例えば、以下の様式で実施することができる:適切な有機溶媒中の、場合により塩基を含む式(XI-1)の化合物の溶液又は懸濁液は、適切な反応容器に装入される。この混合物に好ましくは有機溶媒中の溶液又は懸濁液として化合物XIIが上の温度で添加される。化合物XIIの添加は、一度に又は好ましくは連続的に又は数個の部分で実施することができる。
【0168】
この反応で形成された式(X-1)の化合物は、慣用的な方法によって、例えば、好ましくは不溶性副生物を除去した後に反応混合物からの結晶化又は沈殿によって反応混合物から単離することができる。沈殿又は結晶化は、反応混合物の濃縮、反応混合物の冷却又は反応混合物への「貧溶媒(anti-solvent)」の添加によって達成することができる。貧溶媒は、有機溶媒であり、化合物X-1は、不溶性又は難溶性である。適切な貧溶媒として、限定されないが、アルカン、例えば、ペンタン、ヘキサン又はヘプタンなどの脂肪族炭化水素、シクロアルカン、例えば、シクロペンタン又はシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレン又はクロロベンゼンなどの芳香族炭化水素、ジエチルエーテル、メチル-tert-ブチルエーテル又はメチルイソブチルエーテルなどの開鎖エーテルが挙げられる。
【0169】
単離された生成物は、例えば、結晶化又は溶媒、例えばアセトニトリルを用いた粉砕によってさらに精製することができる。しかし、しばしば、生成物は、さらなる精製ステップを必要としない純度で既に得られている。
【0170】
tが1である式(X)の化合物(化合物X-2)は、例えば、Dillardら、Journal of Medicinal Chemistry 1980、23、717〜722頁によって記載されたような記載の方法と類似のもので適切な酸化剤を用いた酸化によって調製することができる。式(X-2)の化合物はまた、XI-1とXIIの反応で記載されたのと類似の反応条件下で化合物XII、詳細には、アミノキシスルホン酸NH2OSO3Hなどのアミノ化剤とスルホキシドXI-2を反応させることによって調製することもできる。
【0171】
式(VIII)の化合物は、従来技術、例えば、国際公開2003/016284号及びCoppola、Synthesis 1980、505〜536頁から公知であり、又はそこに記載の方法と類似のものによって調製することもできる。化合物VIIIはまた、スキーム3に示されたように、アントラニル酸誘導体XIIIをホスゲン、ジホスゲン(トリクロロメチルクロロホルメート)、トリホスゲン(ビス(トリクロロメチル)カーボネート)、ジアルキルカーボネート又はアルキルクロロホルメートなどのカルボン酸エステル又はその等価物と反応させることによって調製することもできる。
【化9】
【0172】
スキーム3では、R3、R4、R3a、R4a及びR5は、上で定義した通りである。L1は、ハロゲン、詳細には、塩素、C1〜C4-アルコキシ、詳細には、メトキシ又はエトキシ又はトリクロロメトキシである。L2は、ハロゲン、詳細には、塩素、トリクロロメトキシ、O-C(O)-Cl又はC1〜C4-アルコキシ、詳細には、メトキシ又はエトキシである。式C(O)L1L2の適切な化合物の例は、ホスゲン、ジホスゲン、トリホスゲン、メチル若しくはエチルクロロホルメート、ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートである。XIIIとC(O)L1L2の反応は、国際公開第2007/43677号に記載の方法と類似のものによって実施することができる。
【0173】
本明細書に記載の反応は、かかる反応の場合に慣用される反応容器で実施され、反応は、設定可能な連続式、半連続式又はバッチ式である。
【実施例】
【0174】
化合物は、例えば、高速液体クロマトグラフィー/質量分析法(HPLC/MS)の組合せによって、1H-NMRによって及び/又はその融点によって特性を評価することができる。以下の分析手順を用いた:
方法A:分析用HPLCカラム:独国Merck KgaA製のRP-18カラムChromolith Speed ROD。溶離:40℃5分間で比が5:95〜95:5の比であるアセトニトリル+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)/水+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)。
【0175】
方法B:分析用HPLCカラム:Phenomenex Kinetex 1.7μm XB-C18 100A;50×2.1mm;移動相:A:水+0.1%トリフルオロ酢酸(TFA);B:アセトニトリル+0.1%TFA;勾配:5〜100%のB(1.50分);100%のB(0.20分);流量: 60℃0.8〜1.0mL/分(1.50分)。
【0176】
MS法:ESIポジティブ
1H-NMR。テトラメチルシランに対する化学シフト(ppm)によって、その多重度によって及びその積分(所与の相対水素原子数)によって信号を特徴づける。信号の多重性を特徴づけるために以下の略語を使用する:m=多重線、q=四重線、t=三重線、d=二重線及びs=一重線。
【0177】
CombiSep製のCePro9600(商標)でキャピラリ電気泳動を介してlogPを決定した。
【0178】
出発材料
6,8-ジクロロ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン及び6-クロロ-8-メチル-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオンを国際公開第2007/43677号に従って調製した。
【0179】
S,S-ジイソプロピル-S-アミノスルホニウム2,4,6-トリメチルフェニルスルホナトをY.Tamuraら、Tetrahedron、1975、31、3035〜3040頁に従って調製した。
【0180】
[実施例P.1]
S,S-ジメチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=メチル、A-=1/2SO42-である化合物X)
ナトリウムメチレートをメタノール(60mL)に溶解した溶液(15.76gの30%メタノール溶液、87.54ミリモル、1.100当量)に対して、-5〜0℃でジメチルスルフィド(5.44g、6.40mL、87.6ミリモル、1.10当量)を添加した。この混合物に対して、ヒドロキシルアミン-O-スルホン酸(9.00g、79.6ミリモル)をメタノール(60mL)に溶解した事前冷却溶液(-20℃)を添加し、内部温度を-5〜0℃に保持した。室温で終夜撹拌した後、ろ過によってすべての固体を除去した。ろ液を真空で濃縮し、残渣をアセトニトリル(50mL)と粉砕して標題化合物(7.88g、39%)を得た。
【0181】
以下の化合物を実施例P.1と類似の方法によって調製した:
S,S-ジエチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=エチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-エチル-S-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=イソプロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ジイソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=イソプロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
テトラヒドロ-λ4-チオフェン-1-イルアミンメシチルスルホネート(t=0及びR6-R7=1,4-ブタンジイル、A-=2,4,6-トリメチルフェニルスルホネートである化合物X)をY.Tamuraら、Tetrahedron、1975、31、3035〜3040頁に従って調製した。
【0182】
テトラヒドロ-λ4-チオフェン-1-イルアミンスルフェート(t=0及びR6-R7=1,4-ブタンジイル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
λ4-1,3-ジチオラン-1-イルアミンスルフェート(t=0及びR6-R7=2-チアブタン-1,4-ジイル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
λ4-チアン-1-イルアミンスルフェート(t=0及びR6-R7=ペンタン-1,5-ジイル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(シクロプロピルメチル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=シクロプロピルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(2-シクロプロピルエチル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=2-シクロプロピルエチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(シクロブチルメチル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=シクロブチルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(シクロペンチルメチル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=シクロペンチルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-シクロプロピルメチル-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=シクロプロピルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-(2-シクロプロピルエチル)-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=2-シクロプロピルエチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-(2-シクロプロピルエチル)-S-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-プロピル、R7=2-シクロプロピルエチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-(1-シクロプロピルエチル)-S-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-プロピル、R7=1-シクロプロピルエチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-シクロブチルメチル-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=シクロブチルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-シクロペンチルメチル-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=シクロペンチルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-シクロプロピルメチル-S-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-プロピル、R7=シクロプロピルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-シクロブチルメチル-S-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-プロピル、R7=シクロブチルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-シクロペンチルメチル-S-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-プロピル、R7=シクロペンチチルメチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ジ-n-プロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=n-プロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-ビニル-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=ビニル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ジ-n-ブチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=n-ブチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ジ-n-ペンチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=n-ペンチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ジ-n-ヘキシルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=n-ヘキシル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(2-エチルヘキシル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=2-エチルヘキシル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(3-メチル-2-ブチル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=3-メチル-2-ブチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(3-メチル-1-ブチル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=3-メチル-1-ブチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(2-メチルプロピル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=2-メチルプロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-イソプロピル-S-メチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=メチル、R7=イソプロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-2-ブチル-S-メチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=メチル、R7=2-ブチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-3-メチル-2-ブチル-S-メチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=メチル、R7=3-メチル-2-ブチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-3-メチル-2-ブチル-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=3-メチル-2-ブチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-3-メチル-2-ブチル-S-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-プロピル、R7=3-メチル-2-ブチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S,S-ビス(2-ヒドロキシエチル)スルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=R7=2-ヒドロキシエチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-4-フルオロフェニル-S-メチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=メチル、R7=4-フルオロフェニル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-n-ペンチル-S-2-ヒドロキシエチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=n-ペンチル、R7=2-ヒドロキシエチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-エチル-S-シクロプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=エチル、R7=シクロプロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-2-プロピル-S-シクロプロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-プロピル、R7=シクロプロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-メチル-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=メチル、R7=エチル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-メチル-S-n-プロピルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=メチル、R7=n-プロピル、A-=1/2SO42-である化合物X)、
S-(2-クロロエチル-S-エチルスルフィニウムスルフェート(t=0及びR6=2-クロロエチル、R7=エチル、A-=1/2SO42-である化合物X)
[実施例P.2]
8-ブロモ-6-クロロ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン
2-アミノ-3-ブロモ-5-クロロ安息香酸(10.0g、39.9ミリモル)をジオキサン(170mL)に溶解した溶液に対して、15分間かけてホスゲン(トルエン中20%、42.0mL、79.9ミリモル)を添加した。反応を周囲温度で48時間撹拌し、次いで真空中で濃縮した。生成固体を破砕し、真空中でさらに乾燥して所望の生成物(12.6g、114%)を得、これをさらなる精製なしで次のステップで使用した。
【0183】
以下の化合物を実施例P.2に類似の方法によって調製した:
6,8-ジクロロ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6,8-ジブロモ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-ブロモ-8-クロロ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
8-ブロモ-6-クロロ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-クロロ-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-ブロモ-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-シアノ-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-クロロ-8-トリフルオロメチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
8-クロロ-6-トリフルオロメチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-ブロモ-8-トリフルオロメチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
8-ブロモ-6-トリフルオロメチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
8-クロロ-6-シアノ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-クロロ-8-メトキシ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-クロロ-8-シクロプロピル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-クロロ-8-エチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-ジフルオロメトキシ-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-シアノ-8-メトキシ-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-フルオロ-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-ヨード-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-ニトロ-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-(5-クロロ-2-チエニル)-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-(3-ピラゾール-1H-イル)-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-(3-イソオキサゾリル)-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-(ヒドロキシイミノメチル)-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-(メトキシイミノメチル)-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン、
6-(ジメチルヒドラゾノメチル)-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン及び
6-(2,2,2-トリフルオロエチルヒドラゾノメチル)-8-メチル-1H-ベンゾ[d][1,3]オキサジン-2,4-ジオン。
【0184】
[実施例P.3]
1-(3-クロロ-2-ピリジル)-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール
a)1,1,1-トリフルオロ-4-メトキシ-ブタ-3-エン-2-オンを2.71kg、エタノール2.44kg及び水3.10kgを反応容器に装入した。濃塩酸20ml及びヒドラジン水和物0.80kgを順次添加し、混合物を加熱して4時間還流した。混合物を放置冷却し、NaOH10%水溶液を添加して約pH4〜5まで中和した。次いで混合物を蒸発させた。トルエンを添加し、混合物を再度蒸発して純度85%超の粗3-トリフルオロメチルピラゾール2kgを得た。
【0185】
b)ステップa)で得た粗3-トリフルオロメチルピラゾール1.72kg(10.75モル)、2,3-ジクロロピリジン1.75kg(11.83モル)及びジメチルホルムアミド4.73kgを反応容器に装入した。炭酸カリウム2.97kg(21.50モル)を添加し、混合物を撹拌しながら120℃まで加熱し、さらに3時間120〜125℃に保持した。反応混合物を25℃まで冷却し、水20l中に注いだ。このようにして得られた混合物をtert-ブチルメチルエーテル5Lで2度抽出した。合わせた有機相を水4lで洗浄し、次いで蒸発して乾燥させた。トルエンを添加し、混合物を再度蒸発して乾燥した。これによって、標題化合物2.7kg(GCで測定した場合、純度は>75%;収率81.5%)を得た。生成物を蒸留によって精製することができる。
【0186】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ [デルタ] = 6.73 (d, 1H), 7.38 (d, 1H), 7.95 (m, 1H), 8.14 (m, 1H), 8.46 (m, 1H).
式(VII)の化合物の調製
[実施例P.4]
2-アミノ-5-クロロ-N-(ジメチル-(λ4-スルファニリデン)-3-メチル-ベンズアミド
6-クロロ-8-メチル-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(3.00g、12.8ミリモル)をジクロロメタン(40mL)に溶解した溶液に対して、ジメチルスルフィニウムスルフェート(2.25g、8.93ミリモル、0.70当量)及びカリウムtert-ブチレート(1.58g、14.0ミリモル、1.10当量)を室温で添加した。混合物を1.5時間撹拌し、それに水を添加し、層を分離した。水性層をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して標題化合物(2.63g、84%)を得た。
【0187】
HPLC-MSによる特性決定:1.855分、M=245.00.
[実施例P.5]
2-アミノ-5-クロロ-N-(ビス2-プロピル-λ4-スルファニリデン)-3-メチル-ベンズアミド
6-クロロ-8-メチル-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(3.00g、12.8ミリモル)をジクロロメタン(40mL)に溶解した溶液に対して、ビス-2-プロピルスルフィニウムスルフェート(3.76g、8.93ミリモル、0.70当量)及びカリウムtert-ブチレート(1.58g、14.0ミリモル、1.10当量)を室温で添加した。混合物を1.5時間撹拌し、それに水を添加し、層を分離した。水性層をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して標題化合物(2.89g、69%)を得た。
【0188】
UPLC-MSによる特性決定:1.004分、M=329.1;
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.04 (m, 12 H), 2.06 (s, 3H), 2.96 (m, 2H), 3.01 (m, 2H), 6.62 (br. s, 2H), 7.03 (s, 1H), 7.72 (s, 1H).
[実施例P.6a]
2-アミノ-5-クロロ-N-(ビス2-メチルプロピル-λ4-スルファニリデン)-3-メチル-ベンズアミド
6-クロロ-8-メチル-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(3.00g、12.8ミリモル)をジクロロメタン(40mL)に溶解した溶液に対して、ビス-2-メチルプロピルスルフィニウムスルフェート(3.76g、8.93ミリモル、0.70当量)及びカリウムtert-ブチレート(1.58g、14.0ミリモル、1.10当量)を室温で添加した。混合物を1.5時間撹拌し、それに水を添加し、層を分離した。水性層をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーで精製して標題化合物(2.89g、69%)を得た。
【0189】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.04 (m, 12 H), 2.06 (s, 3H), 2.96 (m, 2H), 3.01 (m, 2H), 6.62 (br. s, 2H), 7.03 (s, 1H), 7.72 (s, 1H).
[実施例P.6b]
2-アミノ-5-クロロ-N-(ビス2-メチルプロピル-λ4-スルファニリデン)-3-メチルベンズアミド
6-クロロ-8-メチル-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(12.17g、0.06ミリモル)を無水DMSO(100mL)に溶解した溶液に対して、ビス-2-メチルプロピルスルフィニウムスルフェート(14.56g、0.04モル、0.70当量)及びトリエチルアミン(9.19mL、6.67g、0.07モル、1.15当量)を室温で添加した。混合物を4.5時間撹拌し、次いで氷水に滴加した。混合物をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をエーテルと一緒に粉砕し、標題化合物(8.3g、46%)を得た。
【0190】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.04 (m, 12 H), 2.06 (s, 3H), 2.96 (m, 2H), 3.01 (m, 2H), 6.62 (br. s, 2H), 7.03 (s, 1H), 7.72 (s, 1H).
[実施例P.7]
2-アミノ-5-クロロ-N-(ジエチル-λ4-スルファニリデン)-3-メチル-ベンズアミド
6-クロロ-8-メチル-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(2g、0.01モル)を無水プロピレンカーボネート(30mL)に溶解した溶液に対して、ビス-2-エチルスルフィニウムスルフェート(2.04g、0.01モル、0.70当量)及びトリエチルアミン(1.38mL、1.0g、0.01モル、1.05当量)を室温で添加した。混合物を4.5時間撹拌し、次いで氷水に滴加した。混合物をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をエーテルと一緒に粉砕し、標題化合物(1.43g、55%)を得た。
【0191】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ[デルタ] = 1.39 (t, 6 H), 2.13 (s, 3H), 3.02 (q, 4H), 5.95 (br. S, 2H), 7.01 (s, 1H), 7.98 (s, 1H).
[実施例P.8]
2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ビス-2-メチルプロピル-λ4-スルファニリデン)-ベンズアミド
標題化合物を実施例P.7の方法に類似のものによって調製した。
【0192】
収率:60%
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.23 (d, 6H), 1.38 (d, 6H), 3.42 (m, 2H), 7.02 (br. s, 2H), 7.41 (s, 1H), 7.95 (s, 1H).
実施例P.4〜P.8に記載の方法によって、t=0及びR5=Hの場合の式VIIaの化合物である式VIIa-1の化合物P.9〜P.30を調製し、以下の表C.1に要約した:
【化10】
【表1】
【0193】
実施例P.4〜P.8に記載の方法によって、以下の表C.2に要約した式VIIa-1の化合物P.31〜P.165を調製することができる。
【0194】
表C.2では以下の略語を使用する:
mp:融点
R4-1:CH(=N-OCH3)
R4-2:3-ピラゾール1H-イル
R4-3:CH(=N-NHCH2CF3)
R4-4:CH[=N-N(CH3)2]
Me:メチル
OMe:メトキシ
Et:エチル
i-Pr:イソプロピル
i-Bu:イソブチル
3-Me-2-Bu:3-メチル-2-ブチル
3-Me-1-Bu:3-メチル-1-ブチル
n-Bu:n-ブチル
2-Bu:2-ブチル
n-Pe:n-ペンチル
n-Hex:n-ヘキシル
2-EtHex:2-エチルヘキシル
c-Pr:シクロプロピル
c-Bu:シクロブチル
c-Pe:シクロペンチル
2-Cl-5-Tp:2-クロロ-5-チオフェニル
4-F-Ph:4-フルオロフェニル
【表2】
【0195】
調製実施例
式(I)の化合物の調製(実施例S.1〜S.7)
[実施例S.1a]
2-(3-クロロピリジン-2-イル)-5-トリフルオロメチル-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
温度計、セプタム、窒素の入口及び撹拌棒を備えた反応容器で、1-(3-クロロ-2-ピリジル)-3-トリフロロメチル-1H-ピラゾール500mg(2.02ミリモル)を乾燥テトラヒドロフラン3mlに溶解した。容器を氷浴で冷却し、内部温度を約20℃に保持しつつ、シリンジによって、イソプロピルマグネシウムクロリドをテトラヒドロフランに溶解した2M溶液2.0mlを撹拌しながら滴加した。氷浴を取り除き、混合物を23℃でさらに20分間撹拌した。次いで、混合物を再度-5℃まで冷却し、ホスゲンをトルエンに溶解した20重量%溶液4.25mlを撹拌しながら滴加した。混合物を23℃で温め、23℃でさらに1時間撹拌した。このようにして得られた反応混合物を蒸発して乾燥し、トルエンに再溶解し、50℃でさらに30分間撹拌した。固体をろ過によって除去し、トルエンで洗浄した。合わせたろ液を蒸発して乾燥させて純度>85%(収率84.6%)の標題化合物0.53gを得た。
【0196】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ[デルタ] = 7.43-7.54 (m, 2H), 7.93 (d, 1H), 8.52 (m, 1H).
[実施例S.1b]
2-(3-クロロピリジン-2-イル)-5-トリフルオロメチル-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
温度計、セプタム、窒素の入口及び撹拌棒を備えた反応容器で、1-(3-クロロ-2-ピリジル)-3-メトキシ-1H-ピラゾール(2.00g、8.08ミリモル)を乾燥テトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、0℃まで冷却した。容器を氷浴で冷却し、内部温度を約5℃未満に保持しつつ、シリンジによって、イソプロピルマグネシウムクロリド(2Mテトラヒドロフラン溶液8.1mL、16ミリモル、2.0当量)を滴加した。この温度で3時間後、温度を0〜5℃未満に保持しつつ反応混合物を、ホスゲンをトルエン(13mL)に溶解した20重量%溶液の予備冷却溶液に滴下によって移した。15分後、氷浴を取り除き、このようにして得られた反応混合物を蒸発して乾燥し、ジクロロメタンに再溶解し、さらに5分間撹拌した。固体をろ過によって除去し、ジクロロメタンで洗浄した。合わせたろ液を蒸発して乾燥させて標題化合物(2.66g、106%)を得た。これをさらなる精製なしで次のステップで使用した。
【0197】
特性決定:
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ[デルタ] = 7.43-7.54 (m, 2H), 7.93 (d, 1H), 8.52 (m, 1H).
[実施例S.1C]
2-(3-クロロピリジン-2-イル)-5-トリフルオロメチル-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
温度計、セプタム、窒素の入口及び撹拌棒を備えた反応容器で、1-(3-クロロ-2-ピリジル)-3-メトキシ-1H-ピラゾール(2.00g、8.08ミリモル)を乾燥テトラヒドロフラン(15mL)に溶解し、0℃まで冷却した。容器を氷浴で冷却し、内部温度を約20℃未満に保持しつつ、シリンジによって、イソプロピルマグネシウムクロリドと塩化リチウムの錯体(テトラヒドロフランに溶解した1.3M溶液12.4mL、16ミリモル、2.0当量)を撹拌しながら滴加した。この温度で1時間後、温度を5℃未満に保持しつつ反応混合物を、ホスゲンをトルエン(13mL)に溶解した20重量%溶液の予備冷却溶液に滴下によって移した。2分後、氷浴を取り除き、このようにして得られた反応混合物を蒸発して乾燥し、ジクロロメタンに再溶解し、さらに5分間撹拌した。固体をろ過によって除去し、ジクロロメタンで洗浄した。合わせたろ液を蒸発して乾燥させて標題化合物(1.75g、70%)を得た。これをさらなる精製なしで次のステップで使用した。
【0198】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ[デルタ] = 7.43-7.54 (m, 2H), 7.93 (d, 1H), 8.52 (m, 1H).
[実施例S.2]
2-(3-クロロピリジン-2-イル)-5-メトキシ-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
温度計、セプタム、窒素の入口及び撹拌棒を備えた反応容器で、1-(3-クロロ-2-ピリジル)-3-トリフルオロメチル-1H-ピラゾール(2.0g、0.01ミリモル)を乾燥1,2-ジメトキシエタン(15mL)に溶解し、0℃まで冷却した。容器を氷浴で冷却し、内部温度を約5℃未満に保持しつつ、シリンジによって、イソプロピルマグネシウムクロリド(2Mテトラヒドロフラン溶液11.4mL)を滴加した。この温度で3時間後、撹拌しながら、ホスゲンをトルエン(17mL)に溶解した20重量%溶液を滴加した。混合物を23℃まで温め、室温でさらに1時間撹拌した。このようにして得られた反応混合物を蒸発して乾燥し、トルエンに再溶解し、さらに30分間50℃で撹拌した。固体をろ過によって除去し、トルエンで洗浄した。合わせたろ液を蒸発して乾燥させて標題化合物0.63gを得た。これをさらなる精製なしで次のステップで使用した。
【0199】
対応する加水分解生成物(カルボン酸)のUPLC-MSによる特性決定:1.170分、M=218
以下の化合物を実施例S.1a〜S.1C又はS.2と類似の方法によって調製した/調製することができる。
【0200】
[実施例S.3]
2-(3-クロロピリジン-2-イル)-5-ブロモ-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
[実施例S.4]
2-(3-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-5-トリフルオロメチル-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
[実施例S.5]
2-(3-クロロピリジン-2-イル)-5-ジフルオロメチル-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
[実施例S.6]
2-(3-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-5-ジフルオロメチル-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
[実施例S.7]
2-(3-トリフルオロメチル-ピリジン-2-イル)-5-メトキシ-2H-ピラゾール3-カルボニルクロリド
式(VI)の化合物の調製(実施例1〜225)
[実施例1a]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2,4-ジクロロ-6-[(ジエチル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミド
2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ジエチル-λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(8.82g、25.6ミリモル)をピリジン(30mL)に溶解した溶液に対して、N,N-ジメチルアミノピリジン(312mg、2.56ミリモル、10.0モル%)を添加した。90℃で2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(10.90g、29.12ミリモル、1.100当量)をピリジン(50mL)に溶解した溶液を滴加し、混合物を1時間撹拌した。混合物を冷却し、真空で濃縮した。水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を水及び飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ過し真空で濃縮した。シリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって標題化合物(4.12g、28%)を得た。
【0201】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.13 (t, 6H), 2.91 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 7.67 (dd, 1H), 7.77 (s, 2H), 7.89 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 10.73 (s, 1H).
[実施例1b]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2,4-ジクロロ-6-[(ジエチル-(λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミド
炭酸カリウム(7.78g、56.3ミリモル、1.10当量)と2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ジエチル-λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(15.00g、51.16ミリモル)をトルエン(50mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(17.62g、51.15ミリモル、1.000当量)をトルエン(55mL)に溶解した溶液を60℃で添加した。この温度での1.5時間後、混合物を冷却し、水を添加した。生成沈殿物をろ過によって収集し、水及び石油エーテルで洗浄し、乾燥して標題化合物(18.73g、65%)を得た。
【0202】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.13 (t, 6H), 2.91 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 7.67 (dd, 1H), 7.77 (s, 2H), 7.89 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 10.73 (s, 1H).
[実施例1c]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2,4-ジクロロ-6-[(ジエチル-(λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミドの合成
炭酸カリウム(7.06g、50ミリモル、1.50当量)と2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ジエチル-λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(9.98g、34.05ミリモル)をジクロロメタン(50mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(13.8g、37.8ミリモル、1.10当量)をジクロロメタン(50mL)に溶解した溶液を室温で添加した。この温度での3時間後、固体をろ別し、水をろ液に添加した。混合物をジクロロメタンで抽出し、Na2SO4で乾燥した。ろ過後ろ過を真空で濃縮し、生成固体をジエチルエーテルから結晶化して標題化合物(10.1g、52%)を得た。
【0203】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.13 (t, 6H), 2.91 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 7.67 (dd, 1H), 7.77 (s, 2H), 7.89 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 10.73 (s, 1H).
[実施例1d]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2,4-ジクロロ-6-[(ジエチル-(λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミドの合成
炭酸カリウム(1.42g、10ミリモル、1.50当量)と2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ジエチル-(λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(2.00g、6.83ミリモル)をジクロロメタン(10mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(2.77g、7.59ミリモル、1.10当量)をジクロロメタン(5mL)に溶解した溶液を室温で添加した。この温度での2時間後、固体をろ別し、水をろ液に添加した。混合物をジクロロメタンで抽出し、Na2SO4で乾燥した。ろ過後ろ過を真空で濃縮し、生成固体をジエチルエーテルから結晶化して標題化合物(2.6g、67%)を得た。
【0204】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.13 (t, 6H), 2.91 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 7.67 (dd, 1H), 7.77 (s, 2H), 7.89 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 10.73 (s, 1H).
[実施例1e]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2,4-ジクロロ-6-[(ジエチル-(λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミドの合成
炭酸カリウム(8.08g、58.5ミリモル、1.50当量)と2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ジエチル-(λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(11.43g、38.98ミリモル)をアセトニトリル(100mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(15.8g、43.31ミリモル、1.10当量)をアセトニトリル(50mL)に溶解した溶液を室温で添加した。この温度で6時間後、固体をろ別した。生成ろ液を水で洗浄し、Na2SO4で乾燥した。ろ過後ろ過を真空で濃縮し、生成固体をジイソプロピルエーテルから結晶化して標題化合物(19.53g、88%)を得た。
【0205】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.13 (t, 6H), 2.91 (m, 2H), 3.08 (m, 2H), 7.67 (dd, 1H), 7.77 (s, 2H), 7.89 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.51 (d, 1H), 10.73 (s, 1H).
[実施例2a]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2,4-ジクロロ-6-[(ビス-2-プロピル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミドの合成
炭酸カリウム(0.892g、6.46ミリモル、1.10当量)と2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ビス-2-プロピル-(λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(2.05g、5.87ミリモル)をトルエン(10mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(2.02g、5.87ミリモル、1.00当量)をトルエン(20mL)に溶解した溶液を60℃で添加した。この温度での45分後、混合物を冷却し、水を添加した。生成沈殿物をろ過によって収集し、水及びトルエンで洗浄し、乾燥して標題化合物(3.07g、84%)を得た。
【0206】
UPLC-MSによる特性決定:1.395分、M=602.1
[実施例2b]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2,4-ジクロロ-6-[(ビス-2-プロピル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミドの合成
6,8-ジクロロ-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(2.50g、10.8ミリモル)を無水プロピレンカーボネート(20mL)に溶解した溶液に対して、ビス2-メチルプロピルスルフィニウムスルフェート(2.75g、7.53ミリモル、0.70当量)及びトリエチルアミン(1.14g、11.3ミリモル、1.10当量)を室温で添加した。混合物を3時間撹拌した。生成混合物の1/3をセパレート型反応フラスコに移し、そのまま次の転換用として使用した。
【0207】
2-アミノ-3,5-ジクロロ-N-(ビス-2-プロピル-λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(6.7mL;約3.6ミリモル)の上記で得られた溶液に対して、炭酸カリウム(0.60g、4.3ミリモル、1.20当量)及び2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(1.34g、4.31ミリモル、1.20当量)をトルエン(10mL)に溶解した溶液を室温で添加した。この温度での6時間後、混合物を水上に注ぎ、音波処理下で少量のエタノールで処理した。生成沈殿物をろ過により収集して、水及びジイソプロピルエーテルで洗浄し、乾燥して標題化合物(1.29g、60%)を得た。
【0208】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.18 (d, 6H), 1.22 (d, 6H), 3.30 (m, 2H), 7.68 (dd, 1H), 7.75 (m, 2H), 7.81 (s, 1H), 8.21 (d, 1H), 8.54 (d, 1H), 10.76 (s, 1H).
[実施例3a]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2-メチル-4-クロロ-6-[(ビス-2-プロピル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミドの合成
炭酸カリウム(1.79g、10ミリモル、1.30当量)と2-アミノ-3-メチル-5-クロロ-N-(ビス-2-プロピル-(λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(3.00g、9.97ミリモル)をジクロロメタン(20mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(4.000g、10.97ミリモル、1.10当量)をジクロロメタン(10mL)に溶解した溶液を室温で添加した。この温度での2時間後、固体をろ別した。生成ろ液を水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。ろ過後、ろ液を真空で濃縮し、生成固体をジイソプロピルエーテルから結晶化させて標題化合物(3.1g、54%)を得た。
【0209】
UPLC-MSによる特性決定:1.303分、M=574.3
[実施例3b]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2-メチル-4-クロロ-6-[(ビス-2-プロピル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミドの合成
炭酸カリウム(126.01g、911.76ミリモル、1.30当量)と2-アミノ-3-メチル-5-クロロ-N-(ビス-2-プロピル-(λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(211g、701ミリモル)をジクロロメタン(300mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(256.78g、771.49ミリモル、1.10当量)をジクロロメタン(200mL)に溶解した溶液を室温で添加した。この温度での2時間後、固体をろ別した。生成ろ液を水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥した。ろ過後、ろ液を真空で濃縮し、生成固体をジイソプロピルエーテルから結晶化させて標題化合物(344.2g、85%)を得た。
【0210】
UPLC-MSによる特性決定:1.303分、M=574.3
[実施例4a]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2-メチル-4-クロロ-6-[(ジエチル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミド(化合物VIa-1-1)の合成
炭酸カリウム(0.71g、10ミリモル、1.30当量)と2-アミノ-3-メチル-5-クロロ-N-(ジエチル-λ4-スルファニリデン)ベンズアミド(1.42g、3.96ミリモル)をプロピレンカーボネート(20mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(1.35g、4.35ミリモル、1.10当量)をプロピレンカーボネート(10mL)に溶解した溶液を室温で添加した。この温度での24時間後、混合物を水の上に注ぎ、激しく撹拌しながらエタノールと混合した。生成固体をろ過によって収集し、純粋な標題化合物(1.57g、73%)を得た。
【0211】
HPLC-MSによる特性決定:LCMS(方法B):1.19分、m/z546.1(M+H)+;融点189℃。
【0212】
1H NMR (500 MHz, DMSO) [デルタ]: 10.87 (s, 1H), 8.53 (d, 1H), 8.22 (d, 1H), 7.75 (s, 1H), 7.65 (m, 2H), 7.40 (s, 1H), 3.09 (m, 2H), 2.92 (m, 2H) 1.15 (m, 6H).
[実施例4b]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2-メチル-4-クロロ-6-[(ジエチル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミド
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(150g、435ミリモル)をアセトニトリル(900mL)に室温で溶解した溶液に対して、炭酸カリウム(59g、427ミリモル)を添加した。25〜28℃の反応温度を保持し、時々冷却しながら(わずかな発熱反応)、2-アミノ-5-クロロ-N-(ジエチル-スルファニリデン)-3-メチル-ベンズアミド(117g、427ミリモル)をアセトニトリル(100mL)に溶解した溶液を1時間以内に滴加した。混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、反応混合物を氷-水混合物(5L)上に注ぎ、pHを濃HClで7〜8に調整した。混合物をさらに2時間撹拌した。淡茶色固体をろ過し、水で洗浄し、空気下で乾燥して粗生成物(229g)を得た。
【0213】
粗生成物(789g)を3バッチ分合わせたものをアセトニトリル(2.6L)中に懸濁し、60℃に加熱して溶解した。60℃で1時間撹拌後、溶液を氷浴によって冷却し、これによって形成された固体をろ別した。母液を300mLまで濃縮し、氷浴で冷却した。これによって形成された追加の固体をろ過した。合わせた固体を冷アセトニトリルで洗浄し、真空オーブン中50℃で終夜乾燥して結晶性の白色固体として標題化合物(703g、89%)を得た。
【0214】
[実施例5]
2-(3-クロロ-2-ピリジル)-N-[2-メチル-4-クロロ-6-[(ジ-2-プロピル-λ4-スルファニリデン)カルバモイル]フェニル]-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボキサミド(化合物VIa-1-2)
ビス-2-イソプロピルスルフィニウムスルフェート(192g、0.53モル、0.68当量)をDMSO(700mL)に懸濁させた液に対して、6-クロロ-8-メチル-1H-3,1-ベンゾオキサジン-2,4-ジオン(162g、0.77モル)を無水DMSO(300mL)に溶解した溶液を22℃で添加し、次いで、トリエチルアミン(117.4mL、84.75g、0.85モル、1.1当量)を22℃で添加した。混合物を6時間撹拌し、次いで、氷-水に滴加した。混合物をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空中で濃縮した。残渣をジイソプロピルエーテルと一緒に粉砕して2-アミノ-5-クロロ-N-(ジイソプロピル-λ4-スルファニリデン)-3-メチル-ベンズアミド(189.9g、82%)を得た。
【0215】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ[デルタ] = 1.40 (2 x d, 12H), 2.11 (s, 3H), 3.23 (m, 2H), 6.05 (br. s, 2H), 7.03 (s, 1H), 8.01 (s, 1H).
HPLC: 0.908分, m/z 301.3。
【0216】
炭酸カリウム(9.73g、70.0ミリモル、1.10当量)と2-アミノ-5-クロロ-N-(ジイソプロピル-λ4-スルファニリデン)-3-メチル-ベンズアミド(18.7g、62.4ミリモル、1.00当量)をトルエン(80mL)に懸濁させた液に対して、2-(3-クロロ-2-ピリジル)-5-(トリフルオロメチル)ピラゾール3-カルボニルクロリド(20.1g、64.1ミリモル、1.03当量)をトルエン(40mL)に溶解した溶液を60℃で添加した。60℃で35分後、反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc(50mL)及び水(50mL)で希釈した。有機相を水(50mL)、0.1M HCl(50mL)で洗浄し、Na2SO4上で乾燥し、濃縮した。粗生成物をメチルtert-ブチルエーテルから再結晶させて標題化合物(24.4g、66%)を得た。
【0217】
特性決定:1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ[デルタ] = 1.20 (d, 6H), 1.30 (d, 6H), 2.15 (s, 3H), 3.30 (m, 2H), 7.41 (s, 1H), 7.62 (m, 2H), 7.80 (s, 1H), 8.22 (d, 1H), 8.52(d, 1H), 10.88 (s, 1H).
HPLC: 3.820分, m/z 574.1。
【0218】
実施例1〜5に記載の方法によって、以下の表T.1〜T.5に要約された式(VIa-1)又は(VI-1)の化合物を調製した。
【化11】
【0219】
化合物VIa-1は、R2=Cl、R3a=H、R4a=H及びR5=Hである式VIである。
【0220】
表T.1〜T.5では、以下の略語を使用する:
H/M:HPLC/MS方法
mp:融点
R4-1:CH(=N-OCH3)
R4-2:3-ピラゾール1H-イル
R4-3:CH(=N-NHCH2CF3)
R4-4:CH[=N-N(CH3)2]
R4-5:CH(=N-OH)
R4-6:3-イソオキサゾリル
R4-7:2-クロロ-5-チオフェニル
Me:メチル
OMe:メトキシ
Et:エチル
i-Pr:イソプロピル
i-Bu:イソブチル
3Me-2Bu:3-メチル-2-ブチル
3Me-1Bu:3-メチル-1-ブチル
n-Bu:n-ブチル
2-Bu:2-ブチル
n-Pe:n-ペンチル
n-Hex:n-ヘキシル
2-EtHex:2-エチルヘキシル
Et-OH:ヒドロキシエチル
Et-Cl:クロロエチル
OPrOpi:1-プロピノキシ
c-PR:シクロプロピル
c-Bu:シクロブチル
c-Pe:シクロペンチル
Me-c-PR:CH2-シクロプロピル
Me-c-Bu:CH2-シクロブチル
Me-c-Pe:CH2-シクロペンチル
Et-c-Pr:CH2CH2-シクロプロピル
iPr-c-Pr:CH(CH3)-シクロプロピル
2Cl-5T:2-クロロ-5-チオフェニル
4-F-Ph:4-フルオロフェニル
【表3】
【化12】
【0221】
化合物VI-1は、R2=Cl及びR5=Hである式VIの化合物である。
【表4】