(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態の説明を行う。なお、添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されるべきものである。
【0016】
〔実施形態1〕
(成膜装置)
まず、
図1乃至
図3を用いて、本発明の実施形態1に係る成膜方法を実施するのに好適な成膜装置について説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る成膜方法を実施するのに好適な成膜装置を示す断面図である。
図2は、
図1の成膜装置の真空容器内の構造を示す斜視図である。また、
図3は、
図1の成膜装置の真空容器内の構造を示す概略上面である。
【0018】
図1から
図3までを参照すると、実施形態1に係る成膜装置は、ほぼ円形の平面形状を有する扁平なチャンバ1と、このチャンバ1内に設けられ、チャンバ1の中心に回転中心を有する回転テーブル2とを備えている。チャンバ1は、有底の円筒形状を有する容器本体12と、容器本体12の上面に対して、例えばOリングなどのシール部材13(
図1)を介して気密に着脱可能に配置される天板11とを有している。
【0019】
回転テーブル2は、中心部にて円筒形状のコア部21に固定され、このコア部21は、鉛直方向に伸びる回転軸22の上端に固定されている。回転軸22は、チャンバ1の底部14を貫通し、その下端が回転軸22(
図1)を鉛直軸回りに回転させる駆動部23に取り付けられている。回転軸22及び駆動部23は、上面が開口した筒状のケース体20内に収納されている。このケース体20は、その上面に設けられたフランジ部分がチャンバ1の底部14の下面に気密に取り付けられており、ケース体20の内部雰囲気が外部雰囲気から隔離される。
【0020】
また、チャンバ1内の外縁部には、排気口610が設けられ、排気管630に連通している。排気管630は、圧力調整器650を介して、真空ポンプ640に接続され、チャンバ1内が、排気口610から排気可能に構成されている。
【0021】
回転テーブル2の表面には、
図2及び
図3に示すように回転方向(周方向)に沿って複数(図示の例では5枚)半導体ウエハ(以下「ウエハ」という)Wを載置するための円形状の凹部24が設けられている。なお
図3には便宜上1個の凹部24だけにウエハWを示す。この凹部24は、ウエハWの直径(例えば300mm)よりも僅かに(例えば2mm)大きい内径と、ウエハWの厚さにほぼ等しい深さとを有している。従って、ウエハWを凹部24に載置すると、ウエハWの表面と回転テーブル2の表面(ウエハWが載置されない領域)とが同じ高さになる。
【0022】
図2及び
図3は、チャンバ1内の構造を説明する図であり、説明の便宜上、天板11の図示を省略している。
図2及び
図3に示すように、回転テーブル2の上方には、各々例えば石英からなる反応ガスノズル31、反応ガスノズル32、及び分離ガスノズル41,42が配置されている。図示の例では、チャンバ1の周方向に間隔をおいて、搬送口15(後述)から時計回り(回転テーブル2の回転方向)に分離ガスノズル41、反応ガスノズル31、分離ガスノズル42、及び反応ガスノズル32の順に配列されている。これらのノズル31、32、41、及び42は、それぞれの基端部であるガス導入ポート31a、32a、41a、及び42a(
図3)を容器本体12の外周壁に固定することにより、チャンバ1の外周壁からチャンバ1内に導入され、容器本体12の半径方向に沿って回転テーブル2に対して平行に伸びるように取り付けられている。
【0023】
反応ガスノズル31には、第1の反応ガスが貯留される第1の反応ガス供給源が開閉バルブや流量調整器(ともに不図示)を介して接続され、反応ガスノズル32には、第1の反応ガスと反応する第2の反応ガスが貯留される第2の反応ガス供給源が開閉バルブや流量調整器(ともに不図示)を介して接続されている。
【0024】
ここで、第1の反応ガスは、金属元素又は半導体元素を含むガスであることが好ましく、酸化物又は窒化物となったときに、酸化膜又は窒化膜として用いられ得るものが選択される。第2の反応ガスは、金属元素又は半導体元素と反応して、金属酸化物又は金属窒化物、若しくは半導体酸化物又は半導体窒化物を生成し得る酸化ガス又は窒化ガスが選択される。具体的には、第1の反応ガスは、金属元素(又は半導体元素)を含む有機金属(又は半導体)ガスであることが好ましい。また、第1の反応ガスとしては、ウエハWの表面に対して吸着性を有するガスであることが好ましい。第2の反応ガスとしては、ウエハWの表面に吸着する第1の反応ガスと酸化反応又は窒化反応が可能であり、反応化合物をウエハWの表面に堆積させ得る酸化ガス又は窒化ガスであることが好ましい。
【0025】
具体的には、例えば、第1の反応ガスとしては、ハフニウム元素を含む反応ガスであり、酸化膜として酸化ハフニウム(総称的に「HfO」と称し、HfO
2を含んでよい。)を形成するテトラキスジメチルアミノハフニウム(以下、「TDMAH」と称す。)や、チタン元素を含む反応ガスであり、窒化膜としてTiNを形成するTiCl
4等であってもよい。第2の反応ガスとしては、酸化ガスとして例えばオゾンガス(O
3)が用いられてもよく、窒化ガスとして例えばアンモニアガス(NH
3)が用いられてもよい。
【0026】
また、分離ガスノズル41、42には、ArやHeなどの希ガスや窒素(N
2)ガスなどの不活性ガスの供給源が開閉バルブや流量調整器(ともに不図示)を介して接続されている。本実施形態においては、不活性ガスとしてN
2ガスが使用される。
【0027】
図4は、反応ガスノズル31、32及び分離ガスノズル42を含む
図1の成膜装置の一部断面図である。
図4に示すように、反応ガスノズル31、32には、回転テーブル2に向かって下方に開口する複数のガス吐出孔33が、反応ガスノズル31、32の長さ方向に沿って、例えば10mmの間隔で配列されている。
図3に示すように、反応ガスノズル31の下方領域は、第1の反応ガスをウエハWに吸着させるための第1の処理領域P1となる。反応ガスノズル32の下方領域は、第1の処理領域P1においてウエハWに吸着された第1の反応ガスを酸化又は窒化させる第2の処理領域P2となる。また、分離ガスノズル41、42の下方領域は、第1の処理領域P1と第2の処理領域P2とを分離し、第1の反応ガスと第2の反応ガスとの混合を防止する分離領域Dとなる。
【0028】
図2及び
図3を参照すると、チャンバ1内には2つの凸状部4が設けられている。凸状部4は、頂部が円弧状に切断された略扇型の平面形状を有し、本実施形態においては、内円弧が突出部5(後述)に連結し、外円弧が、チャンバ1の容器本体12の内周面に沿うように配置されている。
【0029】
図4は、反応ガスノズル31から反応ガスノズル32まで回転テーブル2の同心円に沿ったチャンバ1の断面を示している。図示のとおり、凸状部4は、天板11の裏面に取り付けられている。このため、チャンバ1内には、凸状部4の下面である平坦な低い天井面44(第1の天井面)と、この天井面44の周方向両側に位置する、天井面44よりも高い天井面45(第2の天井面)とが存在している。
【0030】
また、
図4に示す通り、凸状部4には周方向中央において溝部43が形成されており、溝部43は、回転テーブル2の半径方向に沿って延びている。溝部43には、分離ガスノズル42が収容されている。もう一つの凸状部4にも同様に溝部43が形成され、ここに分離ガスノズル41が収容されている。なお、
図4において、分離ガスノズル42に形成されるガス吐出孔42hが示されている。ガス吐出孔42hは、分離ガスノズル42の長手方向に沿って所定の間隔(例えば10mm)をあけて複数個形成されている。また、ガス吐出孔の開口径は例えば0.3から1.0mmである。図示を省略するが、分離ガスノズル41にも同様にガス吐出孔が形成されている。
【0031】
高い天井面45の下方の空間には、反応ガスノズル31、32がそれぞれ設けられている。これらの反応ガスノズル31、32は、天井面45から離間してウエハWの近傍に設けられている。なお、説明の便宜上、
図4において、反応ガスノズル31が設けられる、高い天井面45の下方を空間481で表し、反応ガスノズル32が設けられる、高い天井面45の下方を空間482で表す。
【0032】
低い天井面44は、狭隘な空間である分離空間Hを回転テーブル2に対して形成している。分離ガスノズル42からN
2ガスが供給されると、このN
2ガスは、分離空間Hを通じて空間481及び空間482へ向かって流れる。このとき、分離空間Hの容積は空間481及び482の容積よりも小さいため、N
2ガスにより分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くすることができる。すなわち、空間481及び482の間において、分離空間Hは圧力障壁を提供する。しかも、分離空間Hから空間481及び482へ流れ出るN
2ガスは、第1の処理領域P1からの第1の反応ガスと、第2の処理領域P2からの第2の反応ガス(酸化ガス又は窒化ガス)とに対するカウンターフローとして働く。したがって、第1の処理領域P1からの第1の反応ガスと、第2の処理領域P2からの第2の反応ガスとが、分離空間Hにより分離される。よって、チャンバ1内において第1の反応ガスと酸化ガス又は窒化ガスとが混合して反応することが抑制される。
【0033】
なお、回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さh1は、成膜時のチャンバ1内の圧力、回転テーブル2の回転速度、供給する分離ガス(N
2ガス)の供給量などを考慮し、分離空間Hの圧力を空間481及び482の圧力に比べて高くするのに適した高さに設定することが好ましい。
【0034】
再び
図1乃至
図3を参照すると、天板11の下面には、回転テーブル2を固定するコア部21の外周を囲むように突出部5が設けられている。この突出部5は、本実施形態においては、凸状部4における回転中心側の部位と連続しており、その下面が天井面44と同じ高さに形成されている。
【0035】
先に参照した
図1は、
図3のI−I'線に沿った断面図であり、天井面45が設けられている領域を示している一方、
図5は、天井面44が設けられている領域を示す一部断面図である。
図5に示すように、略扇型の凸状部4の周縁部(チャンバ1の外縁側の部位)には、回転テーブル2の外端面に対向するようにL字型に屈曲する屈曲部46が形成されている。この屈曲部46は、回転テーブル2と容器本体12の内周面との間の空間を通して、空間481及び空間482の間でガスが流通するのを抑制する。扇型の凸状部4は天板11に設けられ、天板11が容器本体12から取り外せるようになっていることから、屈曲部46の外周面と容器本体12との間には僅かに隙間がある。屈曲部46の内周面と回転テーブル2の外端面との隙間、及び屈曲部46の外周面と容器本体12との隙間は、例えば回転テーブル2の上面に対する天井面44の高さと同様の寸法に設定されている。
【0036】
再び
図3を参照すると、回転テーブル2と容器本体の内周面との間において、空間481と連通する第1の排気口610と、空間482と連通する第2の排気口620とが形成されている。第1の排気口610及び第2の排気口620は、
図1に示すように各々排気管630を介して真空排気手段である例えば真空ポンプ640に接続されている。
【0037】
回転テーブル2とチャンバ1の底部14との間の空間には、
図1及び
図5に示すように加熱手段であるヒータユニット7が設けられ、回転テーブル2を介して回転テーブル2上のウエハWが、プロセスレシピで決められた温度(例えば450℃)に加熱される。回転テーブル2の周縁付近の下方側には、回転テーブル2の下方の空間へガスが侵入するのを抑えるために、リング状のカバー部材71が設けられている。
図5に示すように、このカバー部材71は、回転テーブル2の外縁部及び外縁部よりも外周側を下方側から臨むように設けられた内側部材71aと、この内側部材71aとチャンバ1の内壁面との間に設けられた外側部材71bと、を備えている。外側部材71bは、凸状部4の外縁部に形成された屈曲部46の下方にて、屈曲部46と近接して設けられ、内側部材71aは、回転テーブル2の外縁部下方(及び外縁部よりも僅かに外側の部分の下方)において、ヒータユニット7を全周に亘って取り囲んでいる。
【0038】
図1に示すように、ヒータユニット7が配置されている空間よりも回転中心寄りの部位における底部14は、回転テーブル2の下面の中心部付近におけるコア部21に接近するように上方側に突出して突出部12aをなしている。この突出部12aとコア部21との間は狭い空間になっている。また、底部14を貫通する回転軸22の貫通孔の内周面と回転軸22との隙間が狭くなっていて、これら狭い空間はケース体20に連通している。そしてケース体20にはパージガスであるN
2ガスを狭い空間内に供給してパージするためのパージガス供給管72が設けられている。さらに、チャンバ1の底部14には、ヒータユニット7の下方において周方向に所定の角度間隔で、ヒータユニット7の配置空間をパージするための複数のパージガス供給管73が設けられている(
図5には一つのパージガス供給管73を示す)。さらにまた、ヒータユニット7と回転テーブル2との間には、ヒータユニット7が設けられた領域へのガスの侵入を抑えるために、外側部材71bの内周壁(内側部材71aの上面)から突出部12aの上端部との間を周方向に亘って覆う蓋部材7aが設けられている。蓋部材7aは例えば石英で作製することができる。
【0039】
パージガス供給管72からN
2ガスを供給すると、このN
2ガスは、回転軸22の貫通孔の内周面と回転軸22との隙間と、突出部12aとコア部21との間の隙間とを通じて、回転テーブル2と蓋部材7aとの間の空間を流れ、第1の排気口610又は第2の排気口620(
図3)から排気される。また、パージガス供給管73からN
2ガスを供給すると、このN
2ガスは、ヒータユニット7が収容される空間から、蓋部材7aと内側部材71aとの間の隙間(不図示)を通じて流出し、第1の排気口610又は第2の排気口620(
図3)から排気される。これらN
2ガスの流れにより、チャンバ1の中央下方の空間と、回転テーブル2の下方の空間とを通じて、空間481及び空間482内のガスが混合するのを抑制することができる。
【0040】
また、チャンバ1の天板11の中心部には分離ガス供給管51が接続されていて、天板11とコア部21との間の空間52に分離ガスであるN
2ガスを供給するように構成されている。この空間52に供給された分離ガスは、突出部5と回転テーブル2との狭い隙間である空間50を介して回転テーブル2のウエハ載置領域側の表面に沿って周縁に向けて吐出される。空間50は分離ガスにより空間481及び空間482よりも高い圧力に維持され得る。従って、空間50により、第1の処理領域P1に供給される第1の反応ガスと、第2の処理領域P2に供給される第2の反応ガスとが、中心領域Cを通って混合することが抑制される。すなわち、空間50(又は中心領域C)は分離空間H(又は分離領域D)と同様に機能することができる。
【0041】
さらに、チャンバ1の側壁には、
図2、
図3に示すように、外部の搬送アーム10と回転テーブル2との間で基板であるウエハWの受け渡しを行うための搬送口15が形成されている。この搬送口15は図示しないゲートバルブにより開閉される。また回転テーブル2におけるウエハ載置領域である凹部24はこの搬送口15に臨む位置にて搬送アーム10との間でウエハWの受け渡しが行われることから、回転テーブル2の下方側において受け渡し位置に対応する部位に、凹部24を貫通してウエハWを裏面から持ち上げるための受け渡し用の昇降ピン及びその昇降機構(いずれも図示せず)が設けられている。
【0042】
また、本実施形態による成膜装置には、
図1に示すように、装置全体の動作のコントロールを行うためのコンピュータからなる制御部100が設けられており、この制御部100のメモリ内には、制御部100の制御の下に、後述する成膜方法を成膜装置に実施させるプログラムが格納されている。このプログラムは後述の成膜方法を実行するようにステップ群が組まれており、ハードディスク、コンパクトディスク、光磁気ディスク、メモリカード、フレキシブルディスクなどの媒体102に記憶されており、所定の読み取り装置により記憶部101へ読み込まれ、制御部100内にインストールされる。
【0043】
(成膜方法)
次に、
図1乃至
図5において説明した成膜装置を用いた本発明の実施形態1に係る成膜方法について説明する。
【0044】
図6は、本発明の実施形態1に係る成膜方法の一例を示したシーケンス図である。
図6において、回転テーブル2と、第1の処理領域P1及び反応ガスノズル31と、第2の処理領域P2及び反応ガスノズル32と、分離領域D及び分離ガスノズル41、42が簡略的に示されている。実施形態1に係る成膜方法においては、ZrAlO膜の成膜を行う酸化膜形成プロセスの例について説明する。なお、ZrAlO膜は、実際の膜の構造は、ZrO
2膜とAl
2O
3膜が積層されて構成されたラミネート構造となる。また、ZrAlOは、高い誘電率を有するいわゆるHigh−k膜として用いられている膜である。
【0045】
図6に示された成膜プロセスを実施する前に、ウエハWがチャンバ1内に搬入され、回転テーブル2の上に載置される必要がある。そのためには、まず、図示しないゲートバルブを開き、搬送アーム10により搬送口15(
図3)を介してウエハWを回転テーブル2の凹部24内に受け渡す。この受け渡しは、凹部24が搬送口15に対向する位置に停止したときに、凹部24の底面の貫通孔を介してチャンバ1の底部側から不図示の昇降ピンが昇降することにより行われる。このようなウエハWの受け渡しを、回転テーブル2を間欠的に回転させて行い、回転テーブル2の5つの凹部24内に夫々ウエハWを載置する。
【0046】
続いてゲートバルブを閉じ、真空ポンプ640によりチャンバ1を最低到達真空度まで排気する。この状態から、以下のように
図6に示す成膜プロセスを実施する。
【0047】
図6のStep1において、待機工程が行われる。待機工程においては、分離ガスノズル41、42から分離ガスであるN
2ガスを所定の流量で吐出し、分離ガス供給管51及びパージガス供給管72、72(
図1参照)からもN
2ガスを所定の流量で吐出する。また、反応ガスノズル31からはN
2ガス、反応ガスノズル32からはArガスを所定の流量で吐出する。Arガスは希ガスであり、不活性ガスの一種である。また、N
2ガスは希ガスではないが、不活性ガスの一種である。つまり、総てのノズル31、32、41、42から不活性ガスを吐出する。これにより、チャンバ1内の雰囲気は、不活性ガス雰囲気となる。これに伴い、圧力調整器650によりチャンバ1内を予め設定した処理圧力に調整する。次いで、回転テーブル2を時計回りに所定の回転速度で回転させながら、ヒータユニット7によりウエハWを例えば50℃から650℃までの範囲の温度に加熱する。これにより、成膜プロセス開始の準備が整った待機状態となる。なお、回転テーブル2の回転速度は、用途に応じて、例えば1rpm〜240rpmの範囲で可変とすることができるが、本実施形態に係る成膜方法では、6rpmの回転速度で回転テーブル2を回転させる例を挙げて説明する。
【0048】
なお、本実施形態では、分離ガスノズル41、42及び反応ガスノズル31からはN
2ガスをパージし、反応ガスノズル32からはArガスを吐出しているが、これら不活性ガスの種類の組み合わせは、用途に応じて適宜変更してもよい。例えば、反応ガスノズル31、32の双方から、ArガスやHeガス等の希ガスを供給するようにしてもよいし、逆に、反応ガスノズル32からもN
2ガスを供給してもよい。この点は、分離ガスノズル41、42についても同様であり、用途に応じて所望の不活性ガスを選択することができる。
【0049】
Step2では、第1の酸化ガス・フロー工程が行われる。第1の酸化ガス・フロー工程においては、第1の処理領域P1の反応ガスノズル31及び分離ガスノズル41、42からは継続的にN
2ガスが供給されるが、第2の処理領域P2の反応ガスノズル32からは、酸化ガスとしてO
3ガスが供給される。そして、少なくとも1回回転テーブル2が回転する間は、この状態を継続する。なお、ウエハWは、Step1から連続的に所定の回転速度で回転しており、本実施形態においては、6rpmで回転している。第1の酸化ガス・フロー工程は、酸化ガス・プリフロー工程を含み、ウエハWの表面の全体を酸化ガスに曝すプロセスであり、下地準備として、ウエハWの最表面を酸化する処理を行う。これにより、回転テーブル2の周方向に沿って配置された複数のウエハWの各々にO
3ガスを供給して酸化処理し、複数のウエハWをほぼ同じ状態にすることができる。なお、回転テーブル2を少なくとも1回回転させるのは、O
3ガスは反応ガスノズル32のみから供給されており、供給開始時の位置に関わらず複数枚の総てのウエハWの表面にO
3ガスを供給するためには、回転テーブル2を最低1回転させ、総てのウエハWに必ず反応ガスノズル32の下方を通過させる必要があるからである。
【0050】
なお、O
3ガスの供給は、酸化を最低限にするような制約のあるプロセスでなければ、ウエハWを複数回回転させて行っても何ら問題は無いので、O
3ガスを供給した状態でウエハWを1回転より多く回転させてもよい。例えば、第1の酸化ガス・フロー工程において、ウエハWを2〜3回回転させてもよいし、1.5回転等、端数が出るような回転数であってもよい。
【0051】
Step3では、酸化ジルコニウム(総称的に「ZrO」と称し、ZrO
2を含んでもよい)成膜工程が行われる。酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程においては、ウエハWに対し、反応ガスノズル31からZr含有有機金属ガスの一種であるテトラキス・エチルメチル・アミノジルコニウム(TEMAZ)ガスを供給し、反応ガスノズル32からO
3ガスを供給する。すなわち、酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程においてはTEMAZガスとO
3ガスとが同時に供給される。ただし、これらのガスは分離領域Dにより分離され、チャンバ1内で互いに混合することは殆ど無い。
【0052】
TEMAZガスとO
3ガスとが同時に供給されるときに、回転テーブル2の回転によりウエハWが第1の処理領域P1を通過すると、Step2の第1の酸化ガス・フロー工程において酸化処理されたウエハWの表面にTEMAZガスが吸着する。このとき、Step2の第1の酸化ガス・フロー工程において、総てのウエハWの表面が酸化処理されているので、TEMAZガスは、総てのウエハWの表面上に問題無く吸着できる。次いで、第2の処理領域P2を通過すると、ウエハWの表面に吸着したTEMAZガスがO
3ガスにより酸化され、ウエハWの表面に酸化ジルコニウム(ZrO)膜(ZrOの分子層であり、ZrO
2を含んでもよい)が成膜される。以下、所望の膜厚を有する酸化ジルコニウム(ZrO)膜が成膜されるまで、所定の回数分回転テーブル2を回転させる。つまり、Step3のZrO
2成膜工程では、酸化ジルコニウム(ZrO)膜が所望の膜厚となるまで回転テーブル2の回転が繰り返されてよい。回転テーブル2の1回転で、1層分の酸化ジルコニウム(ZrO)膜が形成されるので、回転数の調節により酸化ジルコニウム(ZrO)膜の膜厚を制御することができる。
【0053】
そして、TEMAZガスとO
3ガスとの供給を停止することにより、Step3のZrO
2成膜工程が終了する。TEMAZガスとO
3ガスの供給停止は、ほぼ同時に行われるので、Step3の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程の終了段階では、表面にTEMAZガスが吸着したままの状態のウエハWと、TEMAZガス吸着後にO
3ガスが供給されてZrO
2膜が形成された状態のウエハWが混在している。
【0054】
Step4では、第2の酸化ガス・フロー工程が行われる。第2の酸化ガス・フロー工程では、第1の処理領域P1に設けられた反応ガスノズル31及び分離領域Dに設けられた分離ガスノズル41、42からN
2ガスが供給され、第2の処理領域P2に設けられた反応ガスノズル32からはO
3ガスが供給される。この状態で少なくとも1回回転テーブル2が回転し、回転テーブル2の上面に載置された複数のウエハWの総てがO
3ガスに曝される。これにより、第2の処理領域P2を通過した地点でStep3の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程が終了したウエハWであっても、第2の酸化ガス・フロー工程において必ず第2の処理領域P2を通過し、酸化処理が行われて酸化ジルコニウム(ZrO)膜が形成された状態で酸化ジルコニウム(ZrO)成膜プロセスを終了することができる。
【0055】
なお、Step2の第1の酸化ガス・フロー工程と、Step4の第2の酸化ガス・フロー工程とは、同じ回転数で行われてもよいし、異なる回転数で行われてもよい。スループットを高める観点から、例えば、両工程とも1回転だけ回転テーブル2を回転させる処理内容としてもよい。第1の酸化ガス・フロー工程と第2の酸化ガス・フロー工程は、互いに独立しているので、両工程とも、用途に応じて自在に回転数を設定することができる。
【0056】
Step5では、酸化アルミニウム(総括的に「AlO」と称し、Al
2O
3を含んでもよい)成膜工程が行われる。酸化アルミニウム(AlO)成膜工程では、ウエハWに対し、反応ガスノズル31からAl含有有機金属ガスの一種であるトリメチルアルミニウム(TMA)ガスを供給し、反応ガスノズル32からO
3ガスを供給する。すなわち、酸化アルミニウム(AlO)成膜工程においてはTMAガスとO
3ガスとが同時に供給される。この場合においても、これらのガスは分離領域Dにより分離されているので、チャンバ1内で互いに混合することは殆ど無い。
【0057】
TMAガスとO
3ガスとが同時に供給されるときに、回転テーブル2の回転によりウエハWが第1の処理領域P1を通過すると、Step5の第2の酸化ガス・フロー工程において酸化処理され、酸化ジルコニウム(ZrO)膜が成膜されたウエハWの表面にTMAガスが吸着する。ここで、ウエハWの表面にTEMAZガスが吸着したままの状態だと、TMAガスは吸着しないが、Step4の第2の酸化ガス・フロー工程において、総てのウエハWの表面が酸化処理され、酸化ジルコニウム(ZrO)膜が成膜されているとともに下地準備がなされているので、TMAガスは問題無くウエハWの表面に吸着する。次いで、各ウエハWが第2の処理領域P2を通過すると、ウエハWの表面に吸着したTMAガスがO
3ガスにより酸化され、ウエハWの表面に酸化アルミニウム(AlO)膜(AlOの分子層であり、Al
2O
3を含んでもよい)が成膜される。以下、所望の膜厚を有する酸化アルミニウム(AlO)膜が成膜されるまで、所定の回数分回転テーブル2を回転させてよい。つまり、Step5の酸化アルミニウム(AlO)成膜工程では、酸化アルミニウム(AlO)膜が所望の膜厚となるまで回転テーブル2の回転が繰り返されてよい。
【0058】
しかしながら、High−k膜として用いられるZrAlO膜は、一般に主成分が酸化ジルコニウム(ZrO)膜であり、酸化アルミニウム(AlO)膜は添加レベルに留まるので、例えば、回転テーブル2を1回だけ回転させてもよい。回転テーブル2の1回転で、1層分の酸化アルミニウム(AlO)膜が成膜されるので、酸化アルミニウム(AlO)膜を1層分の膜厚で成膜することができる。
【0059】
そして、TMAガスとO
3ガスとの供給を停止することにより、Step5の酸化アルミニウム(AlO)成膜工程が終了する。TMAガスとO
3ガスの供給停止は、ほぼ同時に行われるので、Step5の酸化アルミニウム(AlO)成膜工程の終了段階では、表面にTMAガスが吸着したままの状態のウエハWと、TMAガス吸着後にO
3ガスが供給されて酸化アルミニウム(AlO)膜が形成された状態のウエハWとが混在した状態である。
【0060】
Step5の終了後は、再びStep2に戻り、第1の酸化ガス・フロー工程を行う。第1の酸化ガス・フロー工程の内容自体は、上述の内容と同様であり、反応ガスノズル32からはO
3ガスを供給し、反応ガスノズル31及び分離ガスノズル41、42からはN
2ガスを供給した状態で回転テーブル2を1回転以上回転させる処理を行う。
【0061】
しかしながら、2回目以降の第1の酸化ガス・フロー工程では、複数のウエハWの表面状態につき、TMAガスが吸着した状態のウエハWと、酸化アルミニウム(AlO)膜が成膜した状態のウエハWが混在した状態となっている点で、1回目の第1の酸化ガス・フロー工程とは異なっている。つまり、2回目以降の第1の酸化ガス・フロー工程では、TMAガスが吸着した状態のウエハWの表面を酸化して、ウエハWの表面に酸化アルミニウム(AlO)膜を成膜するとともに、総てのウエハWの表面を酸化し、次のStep3の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程の下地準備を行う。このように、Step2の第1の酸化ガス・フロー工程は、1回目は、酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程の下地準備工程としてのみ機能するが、2回目以降は、酸化アルミニウム(AlO)成膜工程において、ウエハWの表面に吸着したTMAガスを総て酸化する成膜完全化工程として機能する。
【0062】
Step2の2回目の第1の酸化ガス・フロー工程が終了したら、Step3の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程に進み、Step4の第2の酸化ガス・フロー工程、Step5の酸化アルミニウム(AlO)成膜工程を繰り返す。そして、それ以降は、所望の膜厚のラミネート構造のZrAlO膜を得るまで、Step2〜Step5のサイクルを繰り返す。つまり、実施形態1に係る成膜方法においては、Step2〜Step5を1サイクルとし、所望のラミネート構造のZrAlO膜を得るように、Step2〜Step5のサイクルを所定回数繰り返す。なお、各Stepの処理の内容は、上述の各工程で説明した内容と同様であるので、その説明を省略する。
【0063】
所定回数、Step2〜Step5のサイクルを実施したら、Step2の第1の酸化ガス・フロー工程及びStep3の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程を経て、Step6の酸化ガス・ポストフローに移行する。
【0064】
Step6の酸化ガス・ポストフロー工程では、Step4の第2の酸化ガス・フローと同様に、第1の処理領域P1に設けられた反応ガスノズル31及び分離領域Dに設けられた分離ガスノズル41、42からN
2ガスを供給し、第2の処理領域P2に設けられた反応ガスノズル32からO
3ガスを供給する。この状態で少なくとも1回回転テーブル2が回転させ、回転テーブル2の上面に載置された複数のウエハWの総てをO
3ガスに曝す。これにより、第2の処理領域P2を通過した地点でStep3の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程が終了したウエハWが存在しても、酸化ガス・ポストフロー工程において必ず第2の処理領域P2を通過させることができ、酸化処理が行われて酸化ジルコニウム(ZrO)膜が形成された状態で酸化ジルコニウム(ZrO)成膜プロセスを終了させることができる。
【0065】
なお、酸化ガス・ポストフロー工程は、基本的にはStep4の第2の酸化ガス・フロー工程と同様の工程であるので、O
3ガスを供給した状態で少なくとも1回回転テーブル2を回転させればよいが、膜質の改善のため、もっと多く回転テーブル2を回転させるようにしてもよい。つまり、一旦ラミネート構造のZrAlO膜が成膜された後、酸化処理を十分に行うことにより、酸素原子を十分にZrAlO膜に供給して欠陥の少ない膜とし、ZrAlO膜の膜質を向上させることができる。
【0066】
よって、酸化ガス・ポストフロー工程は、第1の酸化ガス・フロー工程及び第2の酸化ガス・フロー工程よりも長時間処理を行うようにしてもよい。これにより、酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程におけるTEMAZガスの完全な酸化の他、膜質の向上も同時に行うことができる。
【0067】
Step7では、待機工程が行われる。待機工程では、反応ガスノズル31及び分離ガスノズル41、42からはN
2ガスが供給され、反応ガスノズル32からはArガスが供給され、チャンバ1内が不活性ガスで満たされる。そして、待機工程を所定時間継続したら、チャンバ1への不活性ガス(N
2ガス及びArガス)の供給が停止されるとともに、回転テーブル2の回転が停止される。その後は、チャンバ1内にウエハWを搬入したときの手順と逆の手順により、チャンバ1内からウエハWが搬出される。これによりZrAlO成膜プロセスが終了する。
【0068】
このように、実施形態1に係る成膜方法によれば、2つの成膜工程の間に酸化ガス・フロー工程を挿入したことにより、各成膜工程の前後に酸化ガス・フロー工程が行われることとなり、成膜工程においてウエハW上に吸着した原料ガスを確実に総て酸化することができるとともに、各成膜工程の下地準備を確実に行うことができ、効率的で確実な成膜サイクルを実施することができる。
【0069】
なお、
図6においては、Step3の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程の後に、Step6の酸化ガス・ポストフロー工程を実施した例を挙げて説明しているが、Step5の酸化アルミニウム(AlO)成膜工程の終了後、Step6の酸化ガス・ポストフロー工程に移行するようにしてもよい。つまり、2種類の酸化膜のうち、いずれか1つの酸化膜の成膜工程が終了した後に、酸化ガス・ポストフロー工程を実施し、成膜プロセスを終了すればよく、最後の成膜工程は、用途に応じていずれの酸化膜の成膜工程を選択してもよい。
【0070】
また、酸化ガスについても、
図6においては、O
3ガスを用いた例を挙げて説明したが、種々の酸化ガスを用いることができ、例えば、水(H
2O)、酸素、ラジカル酸素等のガスを用いるようにしてもよい。
【0071】
図7は、実施形態1に係る成膜方法の一部の主要工程のタイミングチャートを示した図である。
図7において、
図6に示した成膜方法のシーケンス図と対応させて各Stepを付しているが、2回目のStepについては、ハイフンと枝番(例えば、Step2−2)を付している。また、
図7において、各Stepの時間、各ガスの供給タイミング、及び回転テーブル2の回転速度が示されている。
【0072】
各Stepを通じて、回転テーブル2の回転速度は6rpmに設定されている。つまり、実施形態1に係る成膜方法において、回転テーブル2の回転速度は一定であり、6rpmに設定された例が示されている。
【0073】
Step2では、第1の酸化ガス・フロー工程が行われる。この段階で、O
3ガスが供給される。第1の酸化ガス・フロー工程の時間は10秒であり、回転速度は6rpmなので、回転テーブル2は1回回転する。
【0074】
Step3では、酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程が行われる。酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程においては、O
3ガスの供給は維持したまま、TEMAZガスが供給される。酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程は、10秒1回転を基本とし、必要に応じて10秒間のサイクルを所定回数繰り返す。回数は、1回の積層でどの程度の膜厚の酸化ジルコニウム(ZrO)膜を成膜するかにより決定される。なお、酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程の終了時には、TEMAZガスの供給が停止する。
【0075】
Step4では、第2の酸化ガス・フロー工程が行われる。第2の酸化ガス・フロー工程においては、TEMAZガスの供給が停止し、O
3ガスの供給が引き続き連続して行われている状態で、回転テーブル2が1回転する。第2の酸化ガス・フロー工程により、TEMAZガスが総て酸化され、酸化ジルコニウム(ZrO)膜が成膜される。
【0076】
Step5では、酸化アルミニウム(AlO)成膜工程が行われる。酸化アルミニウム(AlO)成膜工程では、O
3ガスの供給は継続された状態で、TMAガスが供給される。これにより、酸化アルミニウム(AlO)膜が成膜される。酸化アルミニウム(AlO)膜は、酸化ジルコニウム(ZrO)に比較して極めて薄くてよいので、酸化アルミニウム(AlO)成膜工程では、回転テーブル2は1回転だけ回転している。酸化アルミニウム(AlO)成膜工程の終了時には、TMAガスの供給が停止される。
【0077】
Step2−2では、2回目の第1の酸化ガス・フロー工程が行われる。2回目の第1の酸化ガス・フロー工程では、TMAガスの供給が停止し、O
3ガスの供給が連続して行われている状態で、回転テーブル2が1回転する。2回目の第1の酸化ガス・フロー工程により、ウエハWの表面に吸着したTMAガスが総て酸化され、総てのTMAガスがAl
2O
3膜として成膜される。
【0078】
Step3−2では、2回目の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程が行われる。この酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程は、1回目の酸化ジルコニウム(ZrO)成膜工程と全く同様であるので、その説明を省略する。
【0079】
Step6では、酸化ガス・ポストフロー工程が行われる。これにより、ウエハWの表面に吸着した状態の総てのTEMAZガスが酸化され、酸化ジルコニウム(ZrO)膜として成膜される。
【0080】
このように、実施形態1に係る成膜方法によれば、回転テーブル2の回転数を一定とし、O
3ガスのみを供給する工程を各成膜工程の前後に挿入することにより、各成膜工程において総ての原料ガスを酸化した状態で次の成膜工程に入ることができ、確実にラミネート成膜を行うことができる。
【0081】
〔実施形態2〕
図8は、本発明の実施形態2に係る成膜方法の一例を示したシーケンス図である。実施形態2に係る成膜方法においては、酸化ハフニウム(HfO)膜と酸化シリコン(総称的に「SiO」と称し、SiO
2を含んでもよい)膜とをラミネート構造としたHfSiO膜を成膜する例について説明する。HfSiO膜も、高誘電率を有するいわゆるHigh−k膜として利用されている膜である。
【0082】
なお、実施形態2において、成膜装置については、実施形態1で説明した成膜装置と同様の成膜装置を用いた例について説明する。また、実施形態1と同様の内容については、適宜その説明を省略又は簡略化する。
【0083】
図8において、Step1では、待機工程が行われる。なお、待機工程に入るまでのウエハWのチャンバ1内への導入は、実施形態1で説明した通りであるので、その内容を省略する。また、待機工程についても、反応ガスノズル31からArガスを供給し、反応ガスノズル32及び分離ガスノズル41、42からN
2ガスを供給した状態で回転テーブル2を回転させる内容であり、実施形態1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0084】
Step2では、第1の酸化ガス・フロー工程が行われるが、この工程についても、実施形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0085】
Step3では、酸化ハフニウム(HfO)成膜工程が行われる。酸化ハフニウム(HfO)成膜工程では、第1の処理領域P1にある反応ガスノズル31からは、Hfを含有するテトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH)ガスが供給され、第2の処理領域P2の反応ガスノズル32からは、第1の酸化ガス・フロー工程から引き続いてO
3ガスが供給される。
【0086】
TDMAHガスとO
3ガスとが同時に供給されるときに、回転テーブル2の回転によりウエハWが第1の処理領域P1を通過すると、Step2の第1の酸化ガス・フロー工程において酸化処理されたウエハWの表面にTDMAHガスが吸着する。このとき、Step2の第1の酸化ガス・フロー工程において、総てのウエハWの表面が酸化処理されているので、TDMAHガスは、総てのウエハWの表面上に問題無く吸着できる。次いで、第2の処理領域P2を通過すると、ウエハWの表面に吸着したTDMAHガスがO
3ガスにより酸化され、ウエハWの表面に酸化ハフニウム膜(HfOの分子層であり、HfO
2を含んでもよい)が成膜される。以下、所望の膜厚を有する酸化ハフニウム(HfO)膜が成膜されるまで、所定の回数分回転テーブル2を回転させる。つまり、Step3の酸化ハフニウム(HfO)成膜工程では、酸化ハフニウム(HfO)膜が所望の膜厚となるまで回転テーブル2の回転が繰り返されてよい。回転テーブル2の1回転で、1層分の酸化ハフニウム(HfO)膜が形成されるので、回転数の調節により酸化ハフニウム(HfO)膜の膜厚を制御することができる。
【0087】
そして、TDMAHガスとO
3ガスとの供給を停止することにより、Step3の酸化ハフニウム(HfO)成膜工程が終了する。TDMAHガスとO
3ガスの供給停止は、ほぼ同時に行われるので、Step3の酸化ハフニウム(HfO)成膜工程の終了段階では、表面にTDMAHガスが吸着したままの状態のウエハWと、TDMAHガス吸着後にO
3ガスが供給されて酸化ハフニウム(HfO)膜が形成された状態のウエハWが混在している。
【0088】
Step4では、第2の酸化ガス・フロー工程が行われる。第2の酸化ガス・フロー工程では、反応ガスノズル31からはN
2ガス、反応ガスノズル32からはO
3ガスが供給され、ウエハWの表面上に吸着しているTDMAHガスが総て酸化され、ウエハW表面上に吸着して残ったTDMAHガスについても、酸化ハフニウム(HfO)膜が成膜される。なお、第2の酸化ガス・フロー工程の詳細な内容は、実施形態1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0089】
Step5では、シリコン酸化膜(SiO)成膜工程が行われる。シリコン酸化膜(SiO)成膜工程では、第1の処理領域P1の反応ガスノズル31からトリスジメチルアミノシラン(3DMAS)ガスを供給し、第2の処理領域P2の反応ガスノズル32からはO
3ガスを供給する。また、分離ガスノズル41、42からは、N
2ガスを供給する。
【0090】
シリコン酸化膜(SiO)成膜工程により、シリコン酸化膜(SiO)がウエハWの表面上に成膜される。なお、成膜のメカニズムについては、酸化ハフニウム(HfO)成膜工程で説明したのと同様であるので、その詳細な説明を省略する。SiO
2成膜工程の終了時においても、3DMASガス及びO
3ガスの供給は同時に停止するため、表面に3DMASガスが吸着した状態のウエハWと、これが酸化されてシリコン酸化膜(SiO)に成膜されたウエハWとが生じてしまう。
【0091】
再びStep2に戻り、2回目の第1の酸化ガス・フロー工程が行われる。2回目の第1の酸化ガス・フロー工程では、反応ガスノズル31からはN
2ガス、反応ガスノズル32からはO
3ガスが供給され、ウエハWの表面上に吸着している3DMASガスが総て酸化され、ウエハW表面上に吸着して残った3DMASガスについてもSiO
2膜が成膜される。なお、2回目の第1の酸化ガス・フロー工程の詳細な内容は、実施形態1と同様であるので、その詳細な説明を省略する。
【0092】
Step2〜Step5までのサイクルを繰り返すことにより、酸化ハフニウム(HfO)膜とシリコン酸化膜(SiO)からなるラミネート構造のHfSiO膜が成膜されてゆく。所望の膜厚となるまで、Step2〜Step5のサイクルを繰り返す。所望の膜厚のHfSiO膜が得られたら、Step2、Step3を経てStep6に移行する。
【0093】
Step6では、酸化ガス・ポストフロー工程が行われ、反応ガスノズル31からはN
2ガス、反応ガスノズル32からはO
3ガスが供給される。これにより、最後のStep3の酸化ハフニウム(HfO)成膜工程でウエハWの表面上に吸着したままのTDMAHガスを酸化し、総ての原料ガスを酸化ハフニウム(HfO)膜として成膜することができる。なお、酸素ガス・ポストフロー工程の詳細な説明は、実施形態1と同様であるので、その説明を省略する。
【0094】
Step7では、待機工程が行われ、成膜プロセスを終了する。待機工程についても、実施形態1に係る成膜方法と同様であるので、その説明を省略する。
【0095】
なお、
図8においては、Step3からStep6に移行しているが、Step5からStep6に移行してもよいことは、実施形態1と同様である。
【0096】
図9は、本発明の実施形態2に係る成膜方法により成膜された膜の構造の一例を示した図である。
図9(A)は、比較例として、酸化ハフニウムの単膜を示した図である。
【0097】
図9(B)は、実施形態2に係るラミネート構造のHfSiO膜の一例を示した図である。
図9(B)に示すように、酸化ハフニウム(HfO)膜とシリコン酸化膜(SiO)が交互に積層され、積層体を構成している。酸化ハフニウム(HfO)膜の方がシリコン酸化膜(SiO)より厚いので、酸化ハフニウム(HfO)膜にシリコン酸化膜(SiO)が挿入されたような構造となっている。本実施形態に係る成膜方法によれば、
図9(B)に示すようなHigh−k膜の積層体を確実に、高い生産性で成膜することができる。
【0098】
なお、本実施形態において、シリコン酸化膜(SiO)の代わりに酸化アルミニウム(AlO)を用いることができ、そのため、
図9(B)においては、酸化アルミニウム(AlO)も並列的に示している。なお、酸化アルミニウム(AlO)膜を成膜する場合には、実施形態1において説明したように、TMAガスを用いればよく、3DMASガスの代わりにTMAガスを用いて実施形態2に係る成膜方法を実施することにより、酸化ハフニウム(HfO)膜と酸化アルミニウム(AlO)膜のラミネート構造からなるHfAlO膜を成膜することができる。
【0099】
図9(C)は、比較例として、スタック型のHfSiO膜の一例を示した図である。本実施形態に係る成膜方法では、回転テーブル2を用いるため、
図9(B)に示すような各層を薄くして多段のラミネート構造としたHigh−k膜を得ることができるが、CVDと同様に、導入ガスの切り替えで膜種を切り替えるような成膜方法では、膜種の切り替えに時間を要するため、
図9(C)のような構造とならざるを得ず、均一な誘電率を有するHigh−k膜の成膜が困難である。
【0100】
一方、本実施形態に係る成膜方法によれば、1サイクルの中で酸化ハフニウム(HfO)の成膜とシリコン酸化膜(SiO)(又は酸化アルミニウム(AlO))の成膜を両方行うことができるため、
図9(B)に示すようなラミネート構造の成膜を行うことができ、均一な誘電率を有するHigh−k膜を製造することができる。
【0101】
図9(D)は、実施形態2に係る成膜方法により得られたHfSiO膜及びHfAlO膜の酸化ハフニウム(HfO)に対するシリコン酸化膜(SiO)と酸化アルミニウム(AlO)膜の比率の例を示した図である。
図9(D)に示すように、本実施形態に係る成膜方法によれば、酸化ハフニウム(HfO)膜に対するシリコン酸化膜(SiO)及び酸化アルミニウム(AlO)の比率は、最小で2%、最大で50%とすることができ、5%、10%、15%と所望の比率に調整することができる。このように、本実施形態に係る成膜方法によれば、回転テーブル2を用いたALD法又はMLD法の利用により、高スループットで1原子層レベルの薄膜を形成することが可能であるため、高精度に添加膜の比率を制御することができる。
【0102】
実施形態1、2においては、ZrAlO膜及びHfSiO膜のラミネート構造体を成膜する例について説明したが、同様の方法で、原料ガスを種々変化させることにより、様々な元素を含有するラミネート構造体の酸化膜を形成することが可能である。実施形態1、2に係る酸化膜の成膜方法によれば、第1の元素を含む酸化膜の成膜工程と第2の元素を含む酸化膜の成膜工程との間に、複数のウエハWを酸化するための酸化工程を挿入することにより、常に酸化工程を挟んでから成膜工程に入ることができ、原料ガスを確実に酸化することができるとともに、複数のウエハWを同一条件で成膜することができる。
【0103】
なお、第1の元素及び第2の元素は、金属元素又は半導体元素であることが好ましく、例えば、Zr、Hf、Al、Ti、Sr、Si等の元素同士を用途に応じて種々組み合わせてラミネート構造体の酸化膜を製造することができる。
【0104】
〔実施形態3〕
図10は、本発明の実施形態3に係る成膜方法のシーケンスの一例を示した図である。実施形態1、2においては、酸化膜を成膜する例を挙げて説明したが、実施形態3においては、窒化膜を成膜する例について説明する。具体的には、実施形態3に係る成膜方法においては、TiN膜とAlN膜からなるラミネート構造のTiAlN膜の成膜を例に挙げて説明する。なお、TiAlN膜も、高誘電率を有するいわゆるHigh−k膜として利用されている膜である。
【0105】
また、実施形態3において、成膜装置については、実施形態1、2で説明した成膜装置と同様の成膜装置を用いた例について説明する。また、実施形態1、2と同様の内容については、適宜その説明を省略又は簡略化する。
【0106】
図10において、実施形態1、2と同様に、回転テーブル2、第1の処理領域P1の反応ガスノズル31、第2の処理領域P2の反応ガスノズル32、分離領域Dの分離ガスノズル41、42が示されている。
【0107】
まず、Step1に入る前に、複数のウエハWが搬送口15を介してチャンバ1内に順次導入され、回転テーブル2の上面にある凹部24に順次載置される点は、実施形態1、2と同様であるので、その説明を省略する。
【0108】
Step1では、待機工程が行われる。待機工程は、実施形態1、2の説明と同様であるので、その説明を省略する。なお、回転テーブル2の回転速度は、用途に応じて種々の回転速度とすることができるが、本実施形態では、240rpmで回転した例を挙げて説明する。
【0109】
Step2では、第1の窒化ガス・フロー工程が行われる。第1の窒化ガス・フロー工程では、第1の処理領域P1の反応ガスノズル31及び分離ガスノズル41、42からN
2ガスが供給されるとともに、第2の処理領域P2の反応ガスノズル32からNH
3ガスが供給され、この状態で少なくとも1回回転テーブル2が回転する。これにより、ウエハWの表面が窒化され、下地準備がなされる。
【0110】
Step3では、TiN成膜工程が行われる。TiN成膜工程では、反応ガスノズル31からTiCl
4ガスが供給され、反応ガスノズル32からNH
3ガスが供給され、分離ガスノズル41、42からN
2ガスが供給された状態で、所定回数回転テーブル2が回転する。
【0111】
TiCl
4ガスとNH
3ガスとが同時に供給されるときに、回転テーブル2の回転によりウエハWが第1の処理領域P1を通過すると、Step2において窒化されたウエハWの表面にTiCl
4ガスが吸着する。次いで、第2の処理領域Pを通過すると、ウエハWの表面に吸着したTiCl
4ガスがNH
3ガスにより窒化され、ウエハWの表面にTiN膜(TiNの分子層)が成膜される。以下、所望の膜厚を有するTiN膜が成膜されるまで所定の回数だけ回転テーブル2を回転させる。そして、TiCl
4ガスとNH
3ガスとの供給を停止することにより、TiN成膜工程が終了する。
【0112】
TiCl
4ガスとNH
3ガスの供給を同時に停止した場合に、表面にTiCl
4ガスが吸着したままの状態のウエハWと、TiCl
4ガスが窒化されてTiN膜が成膜されたウエハWとが生じてしまうことは、実施形態1、2における酸化物の成膜と同様である。
【0113】
Step4では、第2の窒化ガス・フロー工程が行われる。第2の窒化ガス・フロー工程においては、第1の窒化ガス・フロー工程と同様に、反応ガスノズル31及び分離ガスノズル41、42からN
2ガスが供給されるとともに、反応ガスノズル32からNH
3ガスが供給され、この状態で少なくとも1回回転テーブル2を回転させる。第2の窒化ガス・フロー工程により、TiN成膜工程において、ウエハWの表面に吸着した状態のTiCl
4ガスが総て窒化され、TiN膜が形成される。
【0114】
Step5では、AlN成膜工程が行われる。AlN成膜工程では、反応ガスノズル31からTMAガスが供給され、反応ガスノズル32からNH
3ガスが供給され、分離ガスノズル41、42からN
2ガスが供給された状態で、回転テーブル2が所定回数回転する。これにより、ウエハWの表面に、AlN膜が成膜される。所望の膜厚のAlN膜が成膜されるまで回転テーブル2を回転させてよいが、AlN膜は添加膜であるので、TiN膜の成膜時よりは少ない回転数で回転させる。Step4において、TiCl
4ガスは総て窒化されているので、TMAガスは良好にウエハWの表面に吸着し、NH
3ガスの供給により、AlN膜が順次成膜される。
【0115】
しかしながら、AlN成膜工程の終了時には、TMAガス及びNH
3ガスの供給停止が同時であるため、TMAガスが吸着したままの状態のウエハWが発生する。
【0116】
Step2に再び戻り、2回目の第1の窒化ガス・フロー工程が行われる。2回目の第1の窒化ガス・フロー工程では、反応ガスノズル31及び分離ガスノズル41、42からN
2ガスが供給され、反応ガスノズル32からNH
3ガスが供給された状態で、回転テーブル2を少なくとも1回回転させる。これにより、AlN成膜工程で窒化されずにウエハWの表面上に吸着して残ったTMAガスが総て窒化され、AlN膜が形成される。
【0117】
同様に、Step3〜Step5を実行し、Step2〜Step5を1サイクルとし、このサイクルを所定回数繰返して、所定の膜厚のラミネート構造のTiAlN膜を成膜する。
【0118】
所定の膜厚のTiAlN膜を成膜した後は、Step2、Step3を経てStep6に移る。
【0119】
Step6では、窒化ガス・ポストフローを行う。窒化ガス・ポストフローでは、第1の処理領域P1に設けられた反応ガスノズル31及び分離領域Dに設けられた分離ガスノズル41、42からN
2ガスが供給され、第2の処理領域P2に設けられた反応ガスノズル32からはNH
3ガスが供給される。これにより、最後のTiN成膜工程で窒化されずに残ったTiCl
4ガスを総て窒化した状態で成膜プロセスを終了することができる。
【0120】
Step7では、待機工程が行われる。待機工程では、反応ガスノズル31、32及び分離ガスノズル41、42の総てのノズル31、32、41、42から、N
2ガスが供給され、チャンバ1内がN
2ガスで満たされる。そして、待機工程を処理時間継続したら、チャンバ1へのN
2ガスの供給が停止されるとともに、回転テーブル2の回転が停止される。その後は、チャンバ1内にウエハWを搬入したときの手順と逆の手順により、チャンバ1内からウエハWが搬出される。これによりTiAlN成膜プロセスが終了する。
【0121】
実施形態3に係る成膜方法によれば、ラミネート構造を有する窒化膜を、確実に成膜することができる。
【0122】
なお、実施形態3においては、TiAlN膜を成膜するプロセスについて説明したが、同様の方法で、原料ガスを種々変化させることにより、様々な元素を含有するラミネート構造体の窒化膜を形成することが可能である。実施形態3に係る窒化膜の成膜方法によれば、第1の元素を含む窒化膜の成膜工程と第2の元素を含む窒化膜の成膜工程との間に、複数のウエハWを窒化するための窒化工程を挿入することにより、常に窒化工程を挟んでから成膜工程に入ることができる。これにより、2つの成膜工程の双方において、原料ガスを確実に窒化することができるとともに、複数のウエハWを同一条件で成膜することができる。
【0123】
なお、第1の元素及び第2の元素は、金属元素又は半導体元素であることが好ましく、例えば、Zr、Hf、Al、Ti、Sr、Si等の元素同士を用途に応じて種々組み合わせて窒化膜のラミネート構造体を製造することができる。
【0124】
同様に、反応ガスノズル31から有機アミノシランガス系材料、例えば、ビスターシャルブチルアミノシラン(BTBAS)と、無機材料、例えば、ジクロロシラン(SiH
2Cl
2)等を供給し、反応ガスノズル32からNH
3ガスを供給し、窒化シリコン(Si
3N
4を含んでも良い)膜を成膜するようにしてもよい。
【0125】
このように、実施形態3に係る成膜方法によれば、複数のウエハW上に均一に窒化膜を成膜することができる。
【0126】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳説したが、本発明は、上述した実施形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。