(54)【発明の名称】ポリエーテルポリオール、ポリエーテルポリオールを製造するための方法、及びポリウレタンを製造するために、このポリエーテルポリオールを使用する方法
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの工程区分でのエチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの混合物が、エチレンオキシドとは異なる更なるアルキレンオキシドを正確に1種含むことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の方法。
【背景技術】
【0002】
本願において、「バイオベースの化合物/バイオベースの原料」、「再生可能な化合物/再生可能な原料」、「天然化合物/天然原料」は、同意語として使用され、そしてこれらは全て化石原料、例えば、石油、天然ガス、又は石炭からは製造することができない(石油化学の化合物と対照をなす)化合物を表す。「脂肪ベースの化合物/脂肪ベースの原料」は、バイオベースの特定のクラスを表し、及び脂肪酸から誘導される化合物、特に脂肪酸エステルを意味している。ここで、「脂肪酸エステル」という用語は、脂肪酸のモノエステル、ジエステル、又はトリエステルを表し;脂肪酸の最後に記載したトリエステルは、トリグリセリドとも称される。トリグリセリドは、天然脂肪又は油、例えばヒマシ油又は大豆油の主成分である。
【0003】
本発明の目的のために、「ポリエーテルオール」(ポリエーテルポリオール)という用語は、エーテル単位とエステル単位の両方を含むポリオールをも含む。
【0004】
再生可能な材料に基づくポリエーテルオールは例えば、バイオベースの開始分子(starter molecule)を使用した、アルキレンオキシドの開環重合によって製造することができる。バイオベースの開始分子として、ソルビトール、シュガー、又はグリセロールのみでなく、ヒドロキシル基含有脂肪酸エステル、及び/又はヒドロキシル基変性脂肪酸エステル、例えば、ヒドロキシ基を含む脂肪又は油(オイル)、及び/又はヒドロキシ基変性脂肪誘導体、例えば脂肪ベースの二量体ジオールをも使用することができる。ヒドロキシ基を含む脂肪及び脂肪誘導体のクラスは、イソシアネートとの反応によりポリウレタンを製造するために既に使用されている。ここで記載して良い例は、キャスター油、及びLesquerella油で、これらの両方は、元来、ヒドロキシ基を有し、及び従って、ポリウレタン処方物に直接的に使用することができる。他の天然油、例えば大豆油、ひまわり油、菜種油、又はヤシ油の場合、ヒドロキシ基は、これらをポリウレタン処方物中に使用できるようにするために、又はアルキレンオキシドとの反応のために化学反応を使用して導入される。この理由は、これらは通常、飽和又は不飽和の脂肪酸のトリグリセリドであり、従って通常、ヒドロキシ基を含まないからである。ヒドロキシル基変性(hydroxyl-modification)、すなわちヒドロキシ基の導入は通常、従来技術において、誘導化反応によって、又は不飽和脂肪酸エステルの二重結合の変性によって行われる。特許文献1(WO08073729A2)又は特許文献2(WO04096744A2)に従えば、このことは、二重結合のヒドロホルミル化、及び次のアルデヒドの水素化によって行うことができる。更に、当業者は、天然油の二重結合を、ペルオキソカルボン酸との反応によってエポキシド化することができることを知っている。このようにして得ることができるエポキシド化された脂肪は、アルコール、水、又は特許文献3(WO2007019051A1)に従ってカルボン酸と反応して、ヒドロキシ基を形成することができる。この経路によって得ることができるヒドロキシ脂肪のアルコキシル化、及びポリウレタン材料を形成する反応は、特許文献4(EP0259722B1)に記載されている。オゾン分解によって、又は酸素を使用した直接酸化によってヒドロキシ基を導入することが可能である。ヒドロキシ官能基を脂肪酸エステルに導入するための更なる可能性は、Adv.Synth.Catal.2007,349,1604に記載されている。天然脂肪の二重結合は、このようにして一酸化二窒素(dinitrogen monooxide)との反応によって、カルボニル基に最初に変換することができる。次にカルボニル基は、水素又は水素供与試薬、例えばリチウムアルミニウムヒドリドの存在下に、二次ヒドロキシ基(secondary hydroxyl group)に還元することができる。
【0005】
上述したように、ヒドロキシ基を含む脂肪は、アルキレンオキシドとの触媒反応によって、ポリエーテル鎖により、延長することができる。この工程段階は、種々の広いヒドロキシル価を設定可能にする。更に、アルコキシル化は、石油化学のポリエーテルオールを、(例えば、柔軟性ポリウレタン(PU)フォームの機械的特性、又は許容される処方物中のポリエーテルオールの処理性について、悪影響を与えることなく、)バイオベースのポリエーテルオールに部分的に置き換えることを可能にする。
【0006】
上述したヒドロキシ含有脂肪、及び脂肪誘導体は、塩基性の条件に弱いエステル基を含むので、アルキレンオキシドの古典的なアルカリ金属ヒドロキシド−触媒化付加反応は、これらのバイオベースの原料のために使用することができない。この理由は、(これを使用すると)開始分子が加水分解反応によって分解されるからである。このことは、ポリウレタンへの適用において、劣った機械的特性を不可避的にもたらし、及びPU処方物におけるポリオールの処理性に悪影響をもたらす。この替りに、この工程段階のために、アルキレンオキシドのDMC触媒化付加反応に頼ることができる。この理由は、DMC触媒(DMC=二重金属シアニド)は、ヒドロキシ基のアルコキシル化を(開始分子中のエステル単位を劣化させることなく)可能にするからである。DMC触媒を使用した、脂肪ベースのアルキレンオキシド付加生成物の製造は、例えば、特許文献5(EP1112243B1)又は特許文献6(JP5163342A1)、及び特許文献7(WO06047436A1)に記載されている。柔軟性ポリウレタンフォームへのキャスター油アルコキシレートの使用は、特許文献8(EP1537159B1)に記載されている。HR(高弾力性)フォームとも称される、高度に弾力性の柔軟性フォームの製造において、典型的には4500〜7500g/モルの範囲の、比較的高い分子量を有する、三官能性のポリオールが通常では使用される。このようなポリオールは通常、グリセロール又はトリメチロールプロパンを開始分子として含み、この上にプリピレンオキシドとエチレンオキシドのブロックが加えられる。外側のポリ(エチレンオキシド)ブロックは通常、全分子量の13〜23質量%を形成する。エチレンオキシドの付加反応は、一次ヒドロキシル基(primary hydroxyl group)の含有量を、80〜90%の範囲内に与える。この一次ヒドロキシル基の高い含有量のために、このようなポリオールは、反応性ポリオールとも称される。これらのHR又は反応性ポリオールは、スラブストックフォーム、及び成形フォームの両方に使用される。HRフォームは、ASTM法に定義されている;しかしながら、より広い範囲のフォームがHRフォームとして工業的に認められている。
【0007】
しかしながら、この技術分野の当業者は、末端一次ヒドロキシ基を高い割合で有するべき反応性ポリエーテルオールは、DMC触媒付加反応を使用しては得ることができないことを知り得る。しかしながら、反応性のポリエーテルオールは、(ヒドロキシ基とイソシアネートとの迅速な反応が重要である)これらのポリウレタン製造工程に必要とされる。特に、成形ポリウレタン成分、例えば成形柔軟性フォーム、又はポリウレタン靴ソールが製造される場合には、このことが該当する。ここで、処理者は、非常に短い脱型時間を要求し、これにより、プラントの活用を最適化し、そして与えられた時間内に、大量のポリウレタン成分(要素)を製造可能とする。しかしながら、反応性ポリエーテルオールは従来、古典的なアルカリ金属触媒化ルコキシル化を介してのみ得ることができたが、(上述した二次反応、例えばエーテル基の加水分解のために)これには、塩基に弱いバイオベースの開始分子を使用することができない。
【0008】
特許文献9(EP1842866A1)及び特許文献10(EP1712576A1)には、天然油に基づくポリエーテルオールを製造するための方法、及びこのポリエーテルオールをポリウレタンフォーム、又はポリウレタンエラストマーに使用する方法が記載されている。この文献は特に、純粋なポリ(エチレンオキシド)末端ブロックを有する生成物を製造するための方法を(請求項に)記載している。
【0009】
しかしながら、この技術分野の当業者は、純粋なエチレンオキシドを、末端ブロックとしてヒドロキシ−官能性の開始分子上へのDMC触媒化付加に使用することは、不均一な、及び濁った生成物をもたらすことを知り得る。この現象は、特許文献11(US5563221)に既に記載されており、そしてDMC触媒は、一次ヒドロキシ基上へのエチレンオキシド(EO)の付加に優先的に触媒作用を及ぼし、二次ヒドロキシ基(secondary hydroxyl group)上への付加には優先的な触媒作用を及ぼさないことによって説明することができる。これは、非常に長いポリ(エチレンオキシド)末端基を有する、所定のポリエーテル鎖をもたらし、この一方で、他のポリエーテル鎖は如何なるポリ(エチレンオキシド)末端ブロックをも有さない。長いポリ(エチレンオキシド)鎖を有する分子は、(通常、疎水性のポリ(プロピレンオキシド(PO))ブロック、又はポリ(プロピレンオキシド)を高い割合で有するポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレンオキシド)混合ブロックを含む)ポリエーテルコアブロックとは両立しないので、このことは、相分離をもたらし、この相分離は、生成物の望ましくない、目に見える濁りをもたらす。濁った生成物は、長期にわたる相安定性を有していない;ポリ(エチレンオキシド)リッチ相及びポリ(エチレンオキシド)が低い相の2相混合物が、長い期間の後に形成される。(ポリエーテルコアブロックの二次ヒドロキシ基と比較しての、)一次ヒドロキシ基の上述した高い反応性は、末端一次ヒドロキシ基を低い割合でしか有していない生成物をももたらし、このことは、成形ポリウレタンフォームの製造に使用するのに望ましくない。
【0010】
このようなポリオールの更なる不利な点は、処理枠が狭いことである。このことは、ポリオールの構造に依存して例えばポリウレタン(PU)の製造で、非常に不安定な、又はセルが非常に閉鎖したフォームが得られることを意味する。第1の場合では、極端な場合では、ホームが崩壊するか、又は期待したものよりも、密度が高く、及びセルが粗いフォームが得られることを意味する。第2の場合では、極端な場合、フォームが収縮するか、又は空気の浸透性が相当に制限される。この欠点を緩和するために、例えば、特許文献12(DE102004047406)に記載されているように、良好な機械的特性を有するフォームが得られるように、ポリオールの分子量とポリ(エチレンオキシド)含有量が選択される。特許文献13(EP97/00306)には、ポリ(プロピレンオキシド)を含む第1の付加ブロックの長さが35%に制限されている。
【0011】
特許文献14(EP1790678A1)には、天然油、例えば大豆油をエポキシド化/開環し、次にDMC触媒作用によるアルコキシル化を行うことによって植物油に基づくポリエーテルオールを現場で製造(in situ preparation)する方法が記載されている。この文献では、一実施の形態で、純粋なエチレンオキシド、又は(エチレンオキシドの割合が高い)プロピレンオキシドとエチレンオキシドの混合物が、末端ブロックとして、好ましくは導入され、これにより、変性されたトリグリセリドに結合したポリエーテル、及び加えられた共出発化合物が40〜100%の一次OH末端基を有することが記載されている。しかしながら、この技術分野の当業者は、40%を超える割合の一次末端ヒドロキシ基を得るためには、末端ブロック中のプロピレンオキシドに対するエチレンオキシドの割合は非常に高く、濁った、及び不均一な生成物が不可避的に得られることを知り得るものである。
【0012】
上述したように、特許文献8(EP1537159B1)には、ポリウレタンフォームを製造するために、キャスター油上への(DMC触媒作用による)アルキレンオキシド付加生成物を使用する方法が記載されている。ここでは、ポリエーテルオールが好ましくは純粋なポリ(プロピレンオキシド)末端ブロックを有することが記載されている。これらの生成物は、スラブストック柔軟性ポリウレタンフォームに容易に使用することができる。しかしながら、上述した低い反応性、及び比較的低い分子量のために、(成形HR柔軟性ポリウレタンフォーム、又は成形ポリウレタンフォーム、例えば靴ソールに、)これらは極めて制限された範囲でしか使用することができない。この文献では、一次ヒドロキシ基を高い割合で含むポリエーテルオールは、純粋なエチレンオキシド末端ブロックのために通常、成形柔軟性フォームのために使用されると記載されているが、このような生成物が得られる方法についての詳細が記載されていない。
【0013】
特許文献15(EP1632513B1)、特許文献16(EP1022300B1)及び特許文献17(US5605939A1)には、所定の反応性ポリエーテルオールを製造する方法、又は使用する方法が記載されている。この反応性ポリエーテルオールは、DMC触媒作用によるポリ(アルキレンオキシド)コアブロック、及びアルカリ金属触媒作用によるポリ(エチレンオキシド)末端ブロックを有するものである。しかしながら、出発成分(開始成分)として、ヒドロキシ−官能化脂肪酸エステルを使用する場合には、これらの生成物を製造するための方法は使用することができない。この理由は、上述したように、アルカリ金属触媒の塩基性条件下では、これは分解するからである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明において、「工程区分(process section)」は、各場合において、本発明の方法の少なくとも2つの異なる段階(時期:phase)の内の一つを表している。ここで、この工程区分は、(エチレンオキシド、及び供給されるエチレンオキシドとは異なる、少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの)混合物のそれぞれの組成物によって相互に異なるものである。そしてここで、一つの工程区分における混合物のそれぞれの組成は、少なくとも1分、好ましくは少なくとも30分、一定に維持される。ここで、それぞれの混合物に含まれる化合物の質量割合の1%以下の変化範囲が、一定であると考えられる。ここで、「組成物(組成:composition)」という用語は、反応性混合物に含まれる化合物、及びこれらの相互の質量割合の両方を表す。
【0021】
このことは、例えば、第1の工程区分で、(一定の質量割合を有する)エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物が1時間、導入されることを意味する。直ちに、更に30分中断した後、エチレンオキシドと1,2−ブチレンオキシドの(一定の質量割合を有する)混合物が導入され、これは新しい工程区分を表す。同様に、例えば、第1の工程区分で、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物を、40:60の一定の質量割合で、二時間にわたり導入することが可能である。この質量割合が、例えば、供給の停止後、又は徐々に連続的に適合化(傾斜)させた後、変化され、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物が50:50の一定の質量割合で1時間にわたり供給された場合、これは同様に新しい工程段階を表している。
【0022】
工程区分で導入される、それぞれの混合物の組成は、全ての個々の工程区分で導入される、それぞれの混合物の他の全ての組成と異なる必要はない;これは、特定の工程区分で導入された混合物の組成が、先行する工程区分、及び後の工程区分で導入される混合物のそれぞれの組成と異なっていれば十分である。
【0023】
ある工程区分から次の工程区分への変化は、例えば、一定の期間にわたり一定の組成を有する特定の第1の混合物を最初に導入し、次に、導入を中止し、そして次に一定の期間にわたり一定の組成を有する第2の混合物を導入する(ここで、第2の混合物はその組成は、第1の混合物とは異なっている)ことにより行われる。この替りに、ある工程区分から次の工程区分への変化は例えば、一定の組成を有する特定の第1の混合物を、特定の期間にわたり導入し、次にこの混合物の組成を連続的に変化させ、すなわち傾斜によって変化させ、そして次に一定の組成を有する第2の混合物を特定の期間にわたり導入する(ここで、第2の混合物はその組成は、第1の混合物とは異なっている)ことによって行うこともできる。
【0024】
好ましい実施の形態では、本発明の方法は、正確に2つの工程区分を含んでいる。
【0025】
エチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの(それぞれの)混合物の成分は、別個の入口を介して反応容器に別個に計量導入することができ、この場合、それぞれの混合物が現場(in-situ)で形成されるか、又は例えば上流の更なる容器内で組合せて、反応容器に入る前に混合物を形成することができる。反応容器に入る前に、アルキレンオキシドの混合物を組合せる(混合する)ことが好ましい。
【0026】
個々の工程区分のそれぞれで、エチレンオキシド、及びエチレンオキシドとは異なる、少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドは、好ましくは同時に導入され、この結果、エチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの(一定の組成を有する)混合物が、各場合において反応器内に存在する。本発明の方法の好ましい一実施の形態では、エチレンオキシドの導入、及びエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの導入は、最後の工程区分で同時にスイッチオフ(停止)される(「キャップ」又は末端基の付加)。ここで、「同時に」は、種々のアルキレンオキシドのそれぞれの付加(このアルキレンオキシドは、上述したように、反応容器内で直接的に現場で組合せることができ、又は反応容器に入る前に組合せて混合物を形成することができる)が、20秒未満、好ましくは10秒未満、特に好ましくは5秒未満の時間内に相互にスイッチオフされることを意味する。
【0027】
このことは、最後の工程区分で導入された混合物の組成が、付加の最後まで一定に維持されることを確実にする。このことは、上述した不利な点、例えば長いポリ(エチレンオキシド)末端ブロックの形成を回避するのに有用である。
【0028】
(第1の1つ以上の工程段階で製造された、)第1の混合された1つ以上のブロック(コア)のために、アルキレンオキシド/エチレンオキシド混合物を使用することが、生成物の透明性と相安定性のために有利であることが見出されたのは、驚くべきことであった。アルキレンオキシド/エチレンオキシド混合ブロックを、最後の工程段階で製造された端末側終端ブロック(terminal end block)に使用することが、生成物の反応性にとって有利である。更に、本発明のポリエーテルオールは、ポリウレタン処方物中に容易に処理することができ、このことは、コアブロック中のEOの割合に帰することができると推定され、及びPUへの適用が連続気泡フォーム(open-celled foam)をもたらす。
【0029】
従って、本発明の生成物は、従来の成形柔軟性フォームポリエーテルオールとは、a)これらが主として、又はもっぱら脂肪−ベースの開始剤を含むこと、b)これらが純粋なポリ(エチレンオキシド)末端ブロックを有していないこと、c)これらが純粋なポリ(プロピレンオキシド)コアブロックを有していないこと、の点で異なっている。
【0030】
DMC(二重金属シアニド)触媒として、好ましくは、Co−Zn、Fe−Zn、及び/又はNi−Zn−ベースの二重金属シアニド触媒が使用され;特に好ましくは、亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒が使用される。この亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒は、例えば、US3404109、US3427256、US3427334、US3427335、US3829505、US3941849、US4472560、US4477589、US5158922、US5470813、US5482908、US5545601、EP0700949、EP0743093、EP0761708;WO97/40086、WO98/16310、WO00/47649及びJP4145123に記載されている。触媒の濃度は、製造される最終生成物の合計質量に対して、通常5〜1000ppmの範囲、好ましくは20〜250ppmの範囲、特に好ましくは50〜150ppmの範囲である。
【0031】
最初にDMC触媒を、固体として又はポリエーテルオール中の懸濁物として、バイオベースの開始剤と一緒に反応容器内に配置することができる。懸濁物ポリエーテルオールとして、2官能性、3官能性、4官能性、又は5官能性のアルコール例えば、モノプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、モノエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、又はペンタエリチリトールのアルキレンオキシド付加生成物が(従来技術に従い)通常使用される。これらの懸濁物ポリエーテルオールは分子量が、通常300〜5000g/モルの範囲、好ましくは300〜1000g/モルの範囲であり、そして通常、アルキレンオキシドのアルカリ金属−触媒化付加反応によって得ることができる。
【0032】
本発明の方法でそれぞれの混合物中に使用される、エチレンオキシドとは異なるアルキレンオキシドは、好ましくは、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、イソブチレンオキシド、1,2−ペンテンオキシド、スチレンオキシド、エピクロロヒドリン、シクロヘキサンオキシド、及び高級アルキレンオキシド、例えばC
5−C
30−α−アルキレンオキシドから成る群から選ばれる。
【0033】
好ましい実施の形態では、エチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる、正確に1種の更なるアルキレンオキシドの混合物が、少なくとも1つの工程区分で使用される。特に好ましい実施の形態では、エチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる、正確に1種の更なるアルキレンオキシドの混合物が、全ての工程区分で使用される。
【0034】
好ましい実施の形態では、少なくとも1つの工程区分における、それぞれの混合物中の、エチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドから成る群から選ばれる。
【0035】
同様に好ましい実施の形態では、少なくとも1つの工程区分における、それぞれの混合物中の、エチレンオキシドとは異なる全ての更なるアルキレンオキシドは、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドから成る群から選ばれる。
【0036】
特に好ましい一実施の形態では、それぞれの混合物中のエチレンオキシドとは異なる、少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドは、全ての工程区分で、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドから成る群から選ばれる。同様に、特に好ましい一実施の形態では、それぞれの混合物中の、エチレンオキシドとは異なる、全ての更なるアルキレンオキシドは、全ての工程区分で、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシドから成る群から選ばれる。
【0037】
更なる実施の形態では、少なくとも1つの工程区分における、それぞれの混合物中の、エチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドは、プロピレンオキシドである。更なる実施の形態では、それぞれの混合物中の、エチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドは、全ての工程区分でプロピレンオキシドである。特に好ましい一実施の形態では、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから成る混合物が、少なくとも1つの工程区分で使用される。特に好ましい更なる実施の形態では、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから成る混合物が、全ての工程区分で使用される。
【0038】
特に好ましい更なる実施の形態では、本発明の方法は、正確に2つの工程区分を含み、エチレンオキシドとプロピレンオキシドから成る混合物が両方の工程区分で使用される。
【0039】
ポリエーテルポリオールを製造するための本発明の方法の好ましい実施の形態では、最後の工程区分に先立つ工程区分にける、エチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる更なる少なくとも1種のアルキレンオキシドの混合物は、各場合において、エチレンオキシドを、(混合物中に存在するエチレンオキシドとは異なる全ての更なるアルキレンオキシドの合計質量に対して)35:65〜1:99、好ましくは30:70〜5:95の範囲の質量割合で含む。ポリエーテルポリオールを製造するための、本発明の方法の更なる好ましい実施の形態では、最後の工程区分におけるエチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの混合物は、エチレンオキシドを、(混合物中に含まれるエチレンオキシドとは異なる全ての更なるアルキレンオキシドの合計質量に対して)35:65〜75:25、好ましくは40:60〜70:30の範囲の質量割合で含む。ポリエーテルポリオールを製造するための、本発明の方法の特に好ましい一実施の形態では、最後の工程区分に先立つ工程区分におけるエチレンオキシド及びエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの混合物は、各場合において、エチレンオキシドを、(混合物中に含まれるエチレンオキシドとは異なる全ての更なるアルキレンオキシドの合計質量に対して)35:65〜1:99、好ましくは30:70〜5:95の範囲の質量割合で含み、及び最後の工程区分では(混合物は)、エチレンオキシドを、(混合物中に含まれるエチレンオキシドとは異なる全ての更なるアルキレンオキシドの合計質量に対して)35:65〜75:25、好ましくは40:60〜70:30の範囲の質量割合で含む。
【0040】
好ましい一実施の形態では、本発明に従って製造することができるポリエーテルオールに含まれる、合計エチレンオキシド単位の質量割合は、含まれる全てのアルキレンオキシド単位に対して、10〜35質量%、好ましくは15〜30質量%である。
【0041】
本発明の方法では、従って最初の工程区分で、ポリ(アルキレンオキシド)ブロック最初に製造され、ここで第1のポリ(アルキレンオキシド)ブロックが、所定割合のエチレンオキシド(EO)単位と少なくとも1種の更なるアルキレンオキシド(AO)単位を含んでいる。第2の工程区分では、次に第2のポリ(アルキレンオキシド)ブロックが製造され、そして第1のポリ(アルキレンオキシド)ブロックに加えられ、ここで、第2のポリ(アルキレンオキシド)ブロックは同様に、EO単位と少なくとも1種の更なるAO単位を含んでおり、しかしこのブロックの組成は、上述したように、相互に異なるものである。
【0042】
それぞれのポリ(アルキレンオキシド)ブロック中のEO単位に加えて含まれるアルキレンオキシド単位は、同一である必要はない。従って例えば、(EO単位に加え、)プロピレンオキシド(PO)単位が、第1のポリ(アルキレンオキシド)ブロック内に含まれることができ、この一方で、(EO単位に加え、)プロピレンオキシド単位、及び1,2−ブチレンオキシド単位が、第2のポリ(アルキレンオキシド)ブロックに含まれることができる。
【0043】
所望により、第2のポリ(アルキレンオキシド)ブロックを製造及び付加した後に、更なるポリ(アルキレンオキシド)ブロック又は複数の更なるポリ(アルキレンオキシド)ブロックを、1つ以上の更なる工程区分で加えることができる、ここで、付加されるそれぞれのブロックの組成は、上述したように再度、それぞれの先行するブロックの組成とは異なっている。
【0044】
本発明に従えば、少なくとも所定割合のバイオベースの開始分子、特に少なくとも1種のヒドロキシル基含有脂肪酸エステル及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル変性脂肪酸エステルが使用される。ここで、本発明に従って製造することができるポリエーテルオール中のバイオベースの原材料の割合は、好ましくは10質量%〜40質量%の範囲、特に好ましくは15質量%〜35質量%の範囲である。
【0045】
一実施の形態では、正確に1種のヒドロキシル基含有脂肪酸エステル、又は正確に1種のヒドロキシル基変性脂肪酸エステルが使用される。更なる実施の形態では、正確に1種のヒドロキシル基含有脂肪酸エステル、及び正確に1種のヒドロキシル基変性脂肪酸エステルが、各場合において使用される。
【0046】
好ましい一実施の形態では、少なくとも1種のヒドロキシル基含有脂肪酸エステル、及び/又は少なくとも1種のヒドロキシル基変性脂肪酸エステルは、ヒドロキシル基含有脂肪、ヒドロキシル基含有油、ヒドロキシル基変性脂肪、ヒドロキシル基変性油から成る群から選ばれる。
【0047】
更なる好ましい実施の形態では、ヒドロキシル基含有脂肪酸エステル、及び/又はヒドロキシル変性脂肪酸エステルは、ヒドロキシル含有脂肪、ヒドロキシル基含有油、ヒドロキシル基変性脂肪、ヒドロキシル変性油から成る群から選ばれる。
【0048】
一実施の形態では、ヒドロキシル変性の綿実油、ブドウ種油、ブラッククミン油、かぼちゃ核油、ルリヂサ種油、大豆油、小麦胚種油、菜種油、トウモロコシ油、アアニ油、ヤシ油、パーム核油、ココナッツ油、ひまわり油、ピーナッツ油、杏仁油、ビスタチオナッツ油、アーモンド油、アリーブ油、マカデミアナッツ油、アボカド油、シーバックソーン油、セサミ油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、くるみ油、月見草油、野ばら油、大麻油、ベニバナ油、ニシン油、鰯油、及び/又は獣脂が使用される。脂肪ベースの二量体ジオール(Sovermol(登録商標)、Cognis GmbHより、又はPripol(登録商標)2033、Croda GmbHより)を使用することもできる。
【0049】
特に好ましくは、キャスター油、部分的に脱水されたキャスター油(Sovermol(登録商標)1005、Cognis GmbHより)、ヒドロキシ大豆油、ヒドロキシひまわり油、ヒドロキシ菜種油、及び/又はヒドロキシパルム油が使用される。天然油へのヒドロキシ基の導入は、公知の、及び上述した方法、例えば、ヒドロホルミル化/水素化、又はエポキシド化/開環又はオゾン分解、直接酸化、亜酸化窒素酸化/還元によって行うことができる。キャスター油を使用することが特に好ましい。
【0050】
それぞれの工程区分でのアルキレンオキシドの付加反応は通常、60℃〜180℃、好ましくは100〜140℃の範囲の温度、0〜20バール、好ましくは0〜10バールの範囲の圧力で行われる。特定の実施の形態では、種々のポリ(アルキレンオキシド)混合ブロックの付加反応が、それぞれの工程区分で、異なる温度で行われる。重付加は、バルク中で、又は不活性有機溶媒、例えばトルエン及び/又はテトラヒドロフラン中で行うことができる。溶媒の量は通常、製造する最終的な生成物の量に対して、10質量%〜30質量%である。
【0051】
バイオベースの開始物質、及びDMC触媒の混合物は、アルキレンオキシドとの反応を開始する前に、(WO98/52689に教示されているように)ストリッピングによって製造することができる。
【0052】
更なる実施の形態では、最初に装入されたアルコールと同一、又は異なることができる、1種以上の更なる開始アルコール(コスターター)を、(DD203734/735及びEP879259B1に類似する方法で、)アルキレンオキシドに加えて、合成の間に導入することができる。このような開始剤化合物は、好ましくは、官能性が2〜8である。例は、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−、1,3−、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリチリトール、ソルビトール、スクロース、ヒドロキノン、カテコール、レソルシノール、ビスフェノールF、ビスフェノールA、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン、(フェノール又はメラミン、又はウレア、及びMannichベースの)メチロール含有縮合物が挙げられる。加えても良いモノアミン又はポリアミンの例は、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、ヘキサメチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ジエチレントリアミン、アニリン、ピペリジン、ピペラジン、トルエンジアミンの異性体、及び(ジアミノジフェニル)メタンの異性体である。しかしながら、アミノ基を含まないキャスター油を加えることが好ましい。この理由は、これらはDMC活性に不利になる影響を及ぼさないからである。共開始剤(costarter)は、先行する工程で、(例えば、これらを液化するか、又はこれらの反応混合物との相性を増すために)アルキレンオキシドを付加することによって事前に延ばすこともできる。
【0053】
更なる適切な共開始剤は、ポリエステルオールであり、従来技術によれば、これは通常、有機ジカルボン酸、例えばコハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、又はテレフタル酸、又はこれらと多価アルコール、例えばエタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、メチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、又はこれらの混合物との混合物を触媒作用下に、150〜300℃の温度、好ましくは180〜230℃の温度、及び減圧下に縮合することによって製造される。
【0054】
特定の実施の形態に従えば、更なる共開始剤を最初に反応器内に配置することができる。しかしながら、開始剤(出発材:starter)、又は開始剤混合物、又はこれらの一部を、(1種以上の)アルキレンオキシドと一緒に反応させる間に、反応器内に連続的に供給することもできる。ここで、アルキレンオキシド付加生成物が通常、最初に反応器内に配置される。これは例えば、上述した開始剤化合物、特に開始剤アルコールから誘導される付加生成物、又は本発明の方法の反応生成物であることができる。
【0055】
更なる実施の形態では、反応生成物を、WO−A97/29146及びWO−A98/03571及びUS5689012に類似する態様で反応器から連続的に取り出すことができ、これにより、全製造工程を完全に連続的に行うことができる。DMC触媒も(通常、ポリオール中の懸濁物として)連続的に供給することができる。
【0056】
アルキレンオキシドのDMC触媒作用での付加反応は、US20070265367、US5145883、US3538043、US5032671、US20070088146、WO2007020879、US20080021154の教示に類似する方法で、更なるモノマー、例えば環式無水物(例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸)、及び/又は環状エステル(例えばラクトン、特にε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ラクチド)及び/又はカルボンジオキシドの存在下に行うことができる。一実施の形態では、少なくとも1種のこれらの追加成分は、再生可能な原料から、例えば発酵法によって製造することができる。例えば、コハク酸は、再生可能な原料から発酵法によって製造することができ、そして更なる工程段階で無水コハク酸に変換することができる。これらのモノマーは、開始剤化合物と一緒に反応容器内に配置することも可能であり、又は反応の間、これらの全て又は一部をアルキレンオキシドと一緒に導入することもできる。
【0057】
アルキレンオキシドの付加反応が完了した後、ポリエーテルアルコールは通常、通常の方法によって、未反応アルキレンオキシド及び揮発性成分を(通常は蒸留、蒸気ストリッピング、又はガスストリッピング及び/又は臭気除去することによって)除去することによって後処理される。必要であれば、ろ過も行うことができる。
【0058】
適切であれば、老朽化防止剤、例えば酸化防止剤を、本発明の方法によって得ることができる反応生成物に加えることができる。更に、例えば、本発明のポリオール、又はこれらの他のポリオールとの混合物の相安定性を改良する添加剤を加え、そしてポリエーテルオール中の濁りの回避を補助することができる。通常、これらは界面活性の成分である。多くの界面活性物質が存在し、例えば、界面活性剤、及びLutensol(登録商標)、Plurafac(登録商標)、Pluronic(登録商標)、Pluriol(登録商標)、及びEmulan(登録商標)の商標名下に、BASF SEによって製造されたポリアルキレングリコール、及びシリケート、及びシリコーン含有界面活性剤が存在する。界面活性剤の更なるクラスは、DE102008000243に記載されている。ここで記載しても良い更なる例は、二酸化ケイ素に基づく市販品、例えばES−P150(Evonik,Essen,Germanyより)又は非イオン性及びイオン性界面活性剤、及び水である。
【0059】
本発明は更に、本発明の方法によって製造することができるポリエーテルポリオールを提供する。本発明に従って製造することができる脂肪ベースのポリエーテルオールは、ヒドロキシル価が、100〜10mgKOH/gの範囲、好ましくは50〜20mgKOH/gの範囲である。本発明に従い製造することができるバイオバースのポリエーテルオールの官能性(functionality)は、通常、1.5〜6の範囲、好ましくは2〜4の範囲である。分子量は、通常、1000〜10000g/モルの範囲、好ましくは1500〜7000g/モルの範囲、特に好ましくは2000〜6000g/モルの範囲である。ポリエーテルオール生成物の粘度は、通常、200〜20000mPsaの範囲、好ましくは400〜6000mPasの範囲である。ポリエーテルオール中の末端一次ヒドロキシ基の割合は、通常、10〜40%、好ましくは20〜40%の範囲である。
【0060】
ポリエーテルポリオールを製造するための本発明の方法の好ましい一実施の形態では、油としてキャスター油が使用され、そして二重金属シアニド触媒として亜鉛ヘキサシアノコバルテートが使用され、ここで、その方法は、2つの工程区分を含み、及び両方の工程区分の、少なくとも2種の異なるアルキレンオキシドの混合物が、各場合においてエチレンオキシドとプロピレンオキシドから成り、そして第1の工程区分での少なくとも2種の異なるアルキレンオキシドの混合物が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを、10:90〜20:80の範囲の質量割合で含み、そして第2の工程区分でのエチレンオキシドとエチレンオキシドとは異なる少なくとも1種の更なるアルキレンオキシドの混合物が、エチレンオキシドとプロピレンオキシドを、50:50〜70:30の範囲の質量割合で含んでいる。
【0061】
従って本発明は更に、キャスター油、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドから、DMC触媒を使用して得ることができ、及びOH価が20〜50mgKOH/gの範囲、粘度が500〜1500mPasの範囲、酸価が0.001〜0.1、及び一次OH基の含有量が20%〜40%の範囲のポリエーテルポリオールを提供する。
【0062】
本発明のポリエーテルオールは特に、固体−充填ポリエーテルオール(ポリマーポリエーテルオール、ポリマー−充填ポリエーテルオール、又はグラフトポリエーテルオールとも称される)を製造するためにも使用することができる。
【0063】
固体充填ポリオールは、ポリオール分散物の特定のタイプである。ポリオール分散物は連続相(液体)及び連続相中に分散した固体相を含む。ここで、連続相は、少なくとも1種のポリオール及び任意に更なる成分、例えば追加的にポリイソブテンを含む。固体相は少なくとも1種の充填材を含む;充填材は好ましくは、ポリマー性の有機、又は無機充填材及びこれらの混合物から選ばれる。ポリマーポリオールの場合、充填材は、ポリマー性充填材、特にスチレンとアクリロニトリルのコポリマーから選ばれる。
【0064】
グラフトポリオール又はポリマーポリオールは、柔軟性PUフォームの硬度と弾性特性を調節するために、ポリウレタン(PU)工業で、原料として使用される。これらは通常、スチレンとアクリロニトリルの共重合体(スチレン−アクリロニトリルポリマー、SAN;充填材として、固体相)が充填されたポリエーテルオール(連続相)である。ポリマーポリオールを製造するための方法は、エチレン性不飽和のモノマーとマクロマーの共重合を含む。このようなポリオールは長く公知であり、そして例えばWO03/78496に記載されている。グラフトポリオールを使用して製造されたフォームは通常、硬度が増し、及び連続気泡(open cell)の割合が改良されている。
【0065】
マクロマーは、形成されたSAN粒子の立体安定化の機能を発揮し、従ってSAN粒子の集塊又は軟凝集(flocculation)を防止する。更に、使用するマクロマーの量によって、粒子径を目標とする態様に設定することができる。使用するマクロマーは通常、多官能性ポリエーテルオールであり、このポリエーテルオールに、次に(フリーラジカル機構によって、コモノマーと重合することができる)不飽和結合を備えることができる。
【0066】
ポリスチレン、ポリ(スチレン−コ−アクリロニトリル)、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリエステル、ポリアミド、ポリビニルクロリド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレングリコール、硫黄、リン、シリケート材料(例えばシリカナノ粒子)、金属酸化物、金属カーボネート、無機塩、無機顔料、カーボン(例えばグラファイト、ナノチューブ、ファイバー)、メラミン、ウレア、セルロース(例えばファイバー、ナノ粒子、結晶性セルロース)の少なくとも1種が好ましく、全てのものが特に好ましい。
【0067】
充填材は、相互に混合することができ、そして充填材の合計量は、合計混合物に対して、好ましくは1〜70質量%の範囲、特に好ましくは5〜60質量%の範囲である。充填材の分布は、単峰性モード、二峰性モード、又は多い峰性モードが可能である。一実施の形態では、少なくとも1種の、好ましくは全ての充填材が各場合において、0.05μm〜500μm、特に好ましくは0.1μm〜20μmである。
【0068】
本発明は従って更に、固体−充填のポリエーテルオールを製造する方法であって、本発明の方法によって製造することができるポリエーテルオールが、少なくとも1種の不飽和モノマーと、マクロマーの存在下に反応されることを特徴とする方法を提供する。不飽和モノマーは、好ましくは、スチレン、α−メチルスチレン及びアクリロニトリルから成る群から選ばれる。
【0069】
マクロマーは好ましくは、WO99031160A1及びUS4954561B1の教示に従い、官能性が2〜6、好ましくは3〜6、及び平均分子量が1000〜50000、好ましくは5000〜20000のポリエーテルポリオールと、エチレン性不飽和のラジカル重合可能(free-radically polymerizable)なイソシアネート、好ましくは1,1−ジメチル−メタ−イソプロペニルベンジルイソシアネート(TMI)又はイソシナートエチルメタクリレート(IEM)との反応生成物である。この替りに、マクロマーは、官能性が2〜6、好ましくは3〜6、及び平均分子量が1000〜50000、好ましくは5000〜20000の多官能性ポリエーテルオールと、不飽和の環状無水物、好ましくは無水マレイン酸との反応生成物であることもできる(次に得られた中間生成物がアルキレンオキシドと反応される)。更なる可能性は、EP1624004B1の教示によれば、多官能性ポリエーテルポリオールと(メト)アクリレート又は(メト)アクリル酸の反応によって製造することができるマクロマーを使用することである。
【0070】
記載しても良い更なる固体−充填のポリエーテルオールは、ポリイソシアネート重付加ポリオール(PIPAポリオール)である。従って本発明は、ポリイソシアネート重付加ポリオール(PIPAポリオール)を製造するための方法であって、ポリイソシアネート、好ましくはトリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、及び/又はポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)が、(複数のヒドロキシ、一次アミノ、及び/又は二次アミノ官能基を有する)低分子量化合物と、イソシアネートに対して反応性の水素原子を少なくとも2個有し、及び分子量が500〜10000g/モルの範囲の化合物の存在下、及び適切であれば触媒の存在下に反応される方法をも提供する。イソシアネートに対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物は、好ましくは、本発明に従って製造することができるポリエーテルポリオールから成る群から選ばれる。低分子量化合物は、好ましくは、アルカノールアミン、特に(WO00/73364A1の教示に類似する態様で)トリエタノールアミン、及び/又はジエタノールアミンから成る群から選ばれる。
【0071】
分散した状態のポリウレアを含むポリオールは、ポリウレア分散ポリオール(PUDポリオール)とも称され、固体−充填ポリエーテルポリオールのクラスに帰属し、そして従って、本発明によって提供される。これらは(モノイソシアネート、ジイソシアネート、及び/又はポリイソシアネートと反応してポリウレア分散物を与える)一次及び/又は二次アミノ基を有するポリアミンを使用して製造される。使用されるベースポリエーテルオールは、通常、2官能性及び/又はより高い官能性である。ベースポリエーテルオールは、好ましくは、本発明に従って製造することができるポリエーテルポリオールから成る群から選ばれる。
【0072】
固体−充填ポリエーテルオールの更なる実施の形態では、少なくとも1種のアミン及び少なくとも1種の有機及び/又は変性有機イソシアネートと組み合わされた(ポリオール中の)メラミンの分散物が、難燃剤として使用される。ここで、ポリオールは、本発明に従って製造することができるポリエーテルポリオールから成る群から選ばれることが好ましい。
【0073】
固体−充填のポリエーテルオールを製造するための本発明の方法は、例えばWO2009138379A2及びWO0228937A2及びWO09155427A2に記載された融解乳化法(melt emulsification process)の工程を含むこともできる。
【0074】
本発明は更に、本発明の方法によって製造することができるポリエーテルポリオールを使用する方法、及び/又は本発明の方法によって製造することができるポリエーテルオールから製造することができる固体−充填ポリエーテルオールをポリウレタンを製造するために使用する方法、及び/又はポリウレタン処方物、特にスラブストック柔軟性ポリウレタンフォーム処方物、成形柔軟性フォーム処方物、ポリウレタン靴処方物、又はポリウレタンエラストマー処方物(を使用する方法)に関する。
【0075】
本発明のポリエーテルオールは、種々のポリウレタンの用途(特に、ポリウレタンが、弾性特性を有する必要のある場合、例えばエラストマーの場合)に使用することができる。本発明のポリエーテルオールは、高弾力性スラブストック、又は成形柔軟性ポリウレタンフォームの製造に有利に使用することができる。高度に弾性のスラブストック、又は成形柔軟性ポリウレタンフォームの製造で、これらのポリオールはMDI、TDI又はMDI/TDI混合物と、又は対応するイソシアネート−末端プレポリマーと反応される。ここで、通常使用される、石油化学ベースのポリエーテルオールを、本発明のポリエーテルオールによって部分的に、又は完全に置き換えることができる。
【0076】
典型的に高度に弾性の柔軟性ポリウレタンフォームは、DIN EN ISO8307に従う反発弾性値が、45〜60%である(The polyurethanes book,Randall,Lee,eds.Wiley 2002,ISBN0470850418)。必要とされるポリオールは通常、HR又は反応性ポリオールとも称される。反応性ポリオールは通常、13〜20%のポリ(エチレンオキシド)末端ブロックを有し、この結果、ポリオールは80〜90%の反応性一次ヒドロキシ基を有する。本発明のポリオールは通常、類似したEO含有量を有するが、しかし、一次ヒドロキシ基の割合で異なる(上記参照)。
【0077】
本発明のポリオールを、高度に弾性の柔軟性ポリウレタンフォームのための典型的なフォーム処方物のA成分(ポリオール成分)中の主要ポリオールとして使用することがわかったことは、驚くべきことであった。このことについて、主要ポリオールは、このポリオールが、合計A成分の50質量%を超えることを意味する。
【0078】
従って本発明は更に、柔軟性ポリウレタンフォームを製造するための方法であって、
a)ポリイソシアネートを、
b)イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物、
c)発泡剤、
と触媒作用下に反応させ、及びイソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物b)が、
bi)40〜100質量部の、本発明に従って製造することができるポリエーテルオール、
bii)0〜60質量部の、標準反応性ポリオール、
biii)0〜60質量部の、グラフトポリオール、
biv)0〜10質量部の、セルオープナーポリオール(開気泡ポリオール)、
bv)0〜10質量部の、架橋剤、
を含むことを特徴とする方法を提供する。
【0079】
上述したポリエーテルアルコールbi)は、単独ででも、又はイソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する他の化合物と混合してでも(柔軟性ポリウレタンフォームを製造するために)反応させることができる。本発明に従う柔軟性ポリウレタンフォームの製造は、ポリエーテルアルコールをポリイソシアネートと反応させることによって行われる。反応は通常、発泡剤、触媒、及び通常の助剤、及び/又は添加剤の存在下に行われる。出発材料に関し、その詳細は、以下のように記載されても良い。
【0080】
ポリイソシアネートa)として、分子内に2個以上のイソシアネート基を有する全てのイソシアネートが使用できる。脂肪族イソシアネート、例えばヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、又はイソホロンジイソシアネート(IPDI)、又は好ましくは芳香族イソシアネート、例えばトルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、又はジフェニルメタンジイソシアネートとポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(粗製MDI)の混合物を使用することができる。ウレタン、ウレトジオン、イソシアヌレート、アロファネート、ウレトミン、及び変性イソシアネートとして公知の他の基によって変性されたイソシアネートを使用することもできる。ポリイソシアネートa)として、TDI又はMDI、この高級相同物、及び/又はその(イソシアネート基に対して反応性の水素原子を少なくとも2個有する化合物との)反応生成物を使用することが好ましい。スラブストック柔軟性フォームの製造のために、TDIを使用することが特に好ましく、この一方で、成形フォームの好ましい製造では、MDI及びその高級相同物を使用することが好ましい。
【0081】
イソシアネート基に対して反応性の基を少なくとも2個有し、及び必要であれば、本発明のポリエーテルアルコールとの混合物に使用される化合物として、ポリオールを使用することが好ましい。ポリオールの中で、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールが、工業的に最も重要である。ポリウレタンを製造するために使用されるポリエーテルポリオールは通常、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドを、H−官能性の開始剤物質(starter substance)上に、塩基−触媒の作用下に付加することによって製造(調製)される。ポリエステルポリオールは通常、多官能性のカルボン酸を、多官能性のアルコールを使用してエステル化することによって製造される。使用されるポリオールは、好ましくは、ヒドロキシル価が20〜100mgKOH/gの範囲であり、及び官能性が2〜4の範囲である。
【0082】
特に好ましくは、OH価が20〜40mgKOH/g、特に25〜35mgKOH/gであり、及びエチレンオキシドキャップが10〜30質量%、特に13〜23%であり、及び平均官能性が2〜6、特に3〜5の標準反応性ポリオール(bii)が使用される。ここで、平均官能性は、開始剤(starter)又は開始剤混合物の平均官能性である。開始剤として、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリチリトール、ソルビトール、スクロース、トリエタノールアミン、及びエチレンジアミン、又はこれらの混合物を使用することができる。
【0083】
本発明の特定の実施の形態では、成分b)は、少なくとも1種のグラフトポリオール(biii)を含むことができる。このようなポリオールは。上述したように通常、エチレン性不飽和のモノマー、特にスチレン及び/又はアクリロニトリルを、担体ポリオール、好ましくはポリエーテルアルコール中で現場重合(in-situ polymerization)することによって製造される。特定の実施の形態では、担体ポリオールは(bi)である。重合は通常、開始剤(initiator)、重合調節剤、及び組込れたエチレン性不飽和結合を有するポリオール(しばしばマクロマーとも称される)の存在下に行われる。このようなポリオールは長く公知であり、そして例えばWO03/78496に記載されている。本発明の方法のために好ましいグラフトポリオールは、ヒドロキシル価が10〜50mgKOH/gの範囲、官能性が2〜4の範囲、及び固体含有量が35〜50質量%の範囲である。グラフトポリオールを使用して製造されたフォームは通常、硬度がより高く、及び連続気泡(open cell)の割合が改良されている。
【0084】
更に、他のポリオール、例えば、エチレンオキシド含有量が50〜80%であり、及びヒドロキシル価が28〜55mgKOH/gのエチレンオキシド−プロピレンオキシドポリエーテルポリオール(開気泡ポリオール、biv)を使用することが好ましいものであっても良い。このようなポリオールは、処理(加工)特性及び機械的特性を改良するために使用される。
【0085】
イソシアネート基に対して反応性の基を少なくとも2個有する化合物は、付随して使用しても良い鎖延長剤、及び/又は架橋剤(bv)を含む。これらは少なくとも2官能性のアミン、及び/又は(分子量が60〜400g/モルの)アルコールである。
【0086】
発泡剤(c)として、通常、水、ポリウレタンのための出発材料に対して不活性であり、及びウレタン反応の温度でガス状の化合物、及び/又は物理的に作用する発泡剤、及びこれらの混合物が使用される。物理的に作用する発泡剤として通常、2〜6個の炭素原子を有する炭化水素、2〜56個の炭素原子を有するハロゲン化された炭化水素、ケトン、アセタール、エーテル、不活性ガス、例えば二酸化炭素、又は希ガスが使用される。
【0087】
柔軟性PUフォームを製造するための本発明の方法での触媒として、アミン化合物、及び/又は金属化合物、特に重金属塩及び/又は金属−有機化合物が使用される。特に第3アミン及び/又は有機金属化合物が触媒として使用される。可能な有機金属化合物は、例えば、スズ化合物、例えば、有機カルボン酸のスズ(II)塩、例えば、スズ(II)アセテート、スズ(II)オクトエート、スズ(II)エチルヘキサノエート、及びスズ(II)ラウレート、及び有機カルボン酸のジアルキルスズ(IV)塩、例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマーレート、及びジオクトスズジアセテートである。この目的のためには通常の有機アミンは、例えば:トリエチレンジアミン、ビス(N,N−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジメチル−2−ヒドロキシ(プロピル)−1,3−プロピレンジアミン、N,N−ジエチルヘキサデシルアミン、ペンタミチルジプロピレントリアミン、トリエチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミンである。記載した触媒は、個々に、又は混合物の状態で使用することができる。
【0088】
柔軟なPUフォームを製造するための本発明方法で、更なる助剤、及び/又は添加剤、例えば離型剤、難燃剤、染料、充填材、及び/又は補強材を加えることが可能である。
【0089】
ポリイソシアネートを除く全ての出発材料を混合してポリオール成分(A成分)を形成し、そしてこれをポリイソシアネートと反応させてポリウレタンを形成することが、工業的には一般的である。ポリウレタンは、1ショット法(one-shot process)で製造することができ、又はプレポリマー法で製造することができる。ポリウレタンを製造するための出発材料、及びこの目的のために使用される方法の概説については、例えば、Kunststoffhandbuch,volume7“Polyurethane”,Carl−Hanser−Verlag,Munich,Vienna,1
steddition 1966,2
nd eddition 1983及び3
rd edition 1993に見出されても良い。本発明の方法によって製造される柔軟なポリウレタンフォームは、高い空気透過性と、良好な機械的特性、特に高い反発弾性を有している。
【0090】
本発明のポリエーテルオールは、例えば同様に、熱成形フォーム法(hot molded foam process)によって柔軟なフォームを製造するために使用することができる。ここで、TDI(トリレン2,4−ジイソシアネート)が通常、イソシアネート成分として使用される。ポリオールは同様に、ポリウレタン靴ソール(靴底)を製造するために使用することができる。この方法では、MDI(ジメチルメタンイソシアネート)がイソシアネート成分として使用されることが好ましい。更に、本発明のポリオールは、ポリウレタン被覆物、ポリウレタン接着剤、ポリウレタンシーリング材、又はポリウレタンエラストマー(「被覆物、接着剤、シーリング材、エラストマー」、C.A.S.E.)を製造するために使用することができる。
【0091】
本発明のポリオールは、ポリウレタン処方物のA成分(ポリオール成分)中に使用可能なだけでなく、プレポリマーの状態でB成分(イソシアネート成分)中にも、プレポリマーの形態で使用することができる。本発明のポリオールに基づくプレポリマーは、上述した用途の全てに使用することができる。イソシアネート末端プレポリマーは、本発明のポリエーテルオールを、過剰の有機イソシアネートと、又は種々の有機イソシアネートの混合物と反応させることによって製造される。
【0092】
バイオベースの出発材料から少なくとも部分的に誘導される、本発明のポリエーテルオールは、石油化学ベースのポリオール、例えば上述したポリエーテル、及びポリエステルと、及びポリアセタール、ポリカーボネート、ポリエーテルエステル、ポリエステルカーボネート、ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリシロキサン、ポリブタジエン、及び/又はポリアセトンと組み合わせてポリウレタン処方物中に使用することができる。
【0093】
処方物、特に(その中に本発明のポリエーテルオールを使用することができる)柔軟性ポリウレタンフォーム処方物は通常、更なる添加剤、例えばフォーム安定剤、触媒、気泡(セル)調節剤、反応抑制剤、難燃剤、可塑剤、顔料、又は充填材を含む。
【0094】
好ましい実施の形態では、本発明のポリエーテルポリオールを使用して製造されるポリウレタンのための処方物は、少なくとも1質量%、好ましくは3%を超える、特に好ましくは5%を超える、(使用される)再生可能な材料を含む。
【0095】
以下に実施例を使用して本発明を詳細に説明するが、この実施例は、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0096】
一般(概説)
Lupranol(登録商標)1100は、BASF Polyurethanes GmbHからのもので、ヒドロキシル価が104mgKOH/gの二官能性のポリエーテルオールである。
【0097】
本発明のポリエーテルオールの合成
実施例A
144.6kgの(ヒドロキシル価が162mgKOH/gの)キャスター油DAB10を、圧力オートクレーブ内に配置し、そして1.85kgの5.4%濃度(strength)の(Lupranol(登録商標)1100中の)亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の懸濁物と混合した。窒素を使用して、反応混合物を3回不活性化した後、水を除去するために、オートクレーブを約30分間、130℃で15mbarに減圧した。次に13kgのプロピレンオキシド及び2kgのエチレンオキシドの混合物を、10分間にわたり反応混合物に計量導入して、DMC触媒を活性化させた。触媒の活性化(該活性化は、反応器内の温度の上昇と圧力の低下の組合せによって認めることができる)の後、更なる341kgのプロピレンオキシド及び47.9kgのエチレンオキシドを、90分間にわたり、反応混合物に計量導入した。モノマーの導入が完了した後、及び定まった(一定の)反応器圧力が達成された後、窒素を使用して反応器の圧力を3.5バールに上昇させ、そして46.6kgのプロピレンオキシド及び69.8kgのエチレンオキシドの混合物を末端ブロックとして導入した。この次に、定まった反応器圧力が達成されるまで後反応段階を再度行った。次に揮発成分を減圧下に蒸留除去し、そして生成物を排出(drain)した。これにより、650kgの所望のバイオベースのポリエーテルオールが、透明で、及び相安定の、僅かに黄色がかった粘性のある液体の状態で得られた。
【0098】
ヒドロキシル価: 34.4mgKOH/g (DIN53240)
粘度(25℃で): 1035mPas (DIN51550)
酸価: 0.012mgKOH/g (DIN EN ISO2682)
水分含有量: 0.027% (DIN51777)
Hazen色数: 35mgのPt/t (DIN53409)
一次ヒドロキシル基:26% (1H−NMRスペクトロスコピーによって測定)
pH: 7.7
【0099】
実施例B
144.6kgの(ヒドロキシル価が162mgKOH/gの)キャスター油DAB10を、圧力オートクレーブ内に配置し、そして1.85kgの5.4%濃度の(Lupranol(登録商標)1100中の)亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の懸濁物と混合した。窒素を使用して、反応混合物を3回不活性化した後、水を除去するために、オートクレーブを約30分間、130℃で15mbarに減圧した。次に13kgのプロピレンオキシド及び2kgのエチレンオキシドの混合物を、10分間にわたり反応混合物に計量導入して、DMC触媒を活性化させた。触媒の活性化(該活性化は、反応器内の温度の上昇と圧力の低下の組合せによって認めることができる)の後、更なる335kgのプロピレンオキシド及び37.9kgのエチレンオキシドを、90分間にわたり、反応混合物に計量導入した。モノマーの導入が完了した後、及び定まった(一定の)反応器圧力が達成された後、窒素を使用して反応器の圧力を3.5バールに上昇させ、そして53.2kgのプロピレンオキシド及び79.8kgのエチレンオキシドの混合物を末端ブロックとして導入した。この次に、定まった反応器圧力が達成されるまで後反応段階を再度行った。次に揮発成分を減圧下に蒸留除去し、そして生成物を排出した。これにより、650kgの所望のバイオベースのポリエーテルオールが、透明で、及び相安定の、僅かに黄色がかった粘性のある液体の状態で得られた。
【0100】
ヒドロキシル価: 35.2mgKOH/g (DIN53240)
粘度(25℃で): 1000mPas (DIN51550)
酸価: 0.010mgKOH/g (DIN EN ISO2682)
水分含有量: 0.017% (DIN51777)
Hazen色数: 30mgのPt/t (DIN53409)
一次ヒドロキシル基:25% (1H−NMRスペクトロスコピーによって測定)
pH: 7.7
【0101】
実施例C
144.6kgの(ヒドロキシル価が162mgKOH/gの)キャスター油DABを、圧力オートクレーブ内に配置し、そして1.85kgの5.4%濃度の(Lupranol(登録商標)1100中の)亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の懸濁物と混合した。窒素を使用して、反応混合物を3回不活性化した後、水を除去するために、オートクレーブを約30分間、130℃で15mbarに減圧した。次に13kgのプロピレンオキシド及び2kgのエチレンオキシドの混合物を、10分間にわたり反応混合物に計量導入して、DMC触媒を活性化させた。触媒の活性化(該活性化は、反応器内の温度の上昇と圧力の低下の組合せによって認めることができる)の後、更なる350kgのプロピレンオキシド及び93.6kgのエチレンオキシドを、90分間にわたり、反応混合物に計量導入した。モノマーの導入が完了した後、及び定まった(一定の)反応器圧力が達成された後、窒素を使用して反応器の圧力を3.5バールに上昇させ、そして25.0kgのプロピレンオキシド及び37.5kgのエチレンオキシドの混合物を末端ブロックとして導入した。この次に、定まった反応器圧力が達成されるまで後反応段階を再度行った。次に揮発成分を減圧下に蒸留除去し、そして生成物を排出した。これにより、650kgの所望のバイオベースのポリエーテルオールが、透明で、及び相安定の、僅かに黄色がかった粘性のある液体の状態で得られた。
【0102】
ヒドロキシル価: 35.8mgKOH/g (DIN53240)
粘度(25℃で): 958mPas (DIN51550)
酸価: 0.012mgKOH/g (DIN EN ISO2682)
水分含有量: 0.015% (DIN51777)
Hazen色数: 30mgのPt/t (DIN53409)
一次ヒドロキシル基:26% (1H−NMRスペクトロスコピーによって測定)
pH: 7.9
【0103】
比較例の合成
比較例A
951gの(ヒドロキシル価が162mgKOH/gの)キャスター油DAB10を、圧力オートクレーブ内に配置し、そして14.0gの5.47%濃度の(Lupranol(登録商標)1100中の)亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の懸濁物と混合した。窒素を使用して、反応混合物を3回不活性化した後、水を除去するために、オートクレーブを約30分間、130℃で15mbarに減圧した。次に85.2gのプロピレンオキシド及び11.4gのエチレンオキシドの混合物を、10分間にわたり反応混合物に計量導入して、DMC触媒を活性化させた。触媒の活性化(該活性化は、反応器内の温度の上昇と圧力の低下の組合せによって認めることができる)の後、更なる2578.4gのプロピレンオキシド及び345.6gのエチレンオキシドを、90分間にわたり、反応混合物に計量導入した。モノマーの導入が完了した後、及び定まった(一定の)反応器圧力が達成された後、窒素を使用して反応器の圧力を3.5バールに上昇させ、そして82.4kgのプロピレンオキシド及び329.5gのエチレンオキシドの混合物を末端ブロックとして導入した。この次に、定まった反応器圧力が達成されるまで後反応段階を再度行った。次に揮発成分を減圧下に蒸留除去し、そして生成物を排出した。これにより、4300gの濁った(不透明な)ポリエーテルオールが得られ、これは数日後には2相に分離した。
【0104】
ヒドロキシル価: 36.2mgKOH/g (DIN53240)
粘度(25℃で): 1040mPas (DIN51550)
一次ヒドロキシル基:32% (1H−NMRスペクトロスコピーによって測定)
【0105】
比較例B
969.3gの(ヒドロキシル価が162mgKOH/gの)キャスター油DAB10を、圧力オートクレーブ内に配置し、そして14.3gの5.47%濃度の(Lupranol(登録商標)1100中の)亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒の懸濁物と混合した。窒素を使用して、反応混合物を3回不活性化した後、水を除去するために、オートクレーブを約30分間、130℃で15mbarに減圧した。次に120gのプロピレンオキシドを、10分間にわたり反応混合物に計量導入して、DMC触媒を活性化させた。触媒の活性化(該活性化は、反応器内の温度の上昇と圧力の低下の組合せによって認めることができる)の後、更なる1921.9gのプロピレンオキシドを、90分間にわたり計量導入した。導入が完了した後、及び定まった(一定の)反応器圧力が達成された後、窒素を使用して反応器の圧力を3.5バールに上昇させ、そして583.4kgのプロピレンオキシド及び875.1gのエチレンオキシドの混合物を末端ブロックとして導入した。この次に、定まった反応器圧力が達成されるまで後反応段階を再度行った。次に揮発成分を減圧下に蒸留除去し、そして生成物を排出した。これにより、4400gの透明で、相安定なポリエーテルオールが得られた。
【0106】
ヒドロキシル価: 35.0mgKOH/g (DIN53240)
粘度(25℃で): 1003mPas (DIN51550)
酸価: 0.07mgKOH/g (DIN EN ISO2682)
水分含有量: 0.02% (DIN51777)
一次ヒドロキシル基:30% (1H−NMRスペクトロスコピーによって測定)
【0107】
使用例:
機械的試験のための試料の製造を以下に記載するように行った。実施例のポリマー材料を製造するために使用した出発材料を表1a−bに示す。
【0108】
表1a:ポリオール
【0109】
【表1a】
GLY=グリセロール、EO=エチレンオキシド、PO=プロピレンオキシド
【0110】
表1b:イソシアネート及び添加剤
【0111】
【表1b】
【0112】
MDI−ベースの成形フォーム(マニュアル試験):
ポリオール処方物(A成分)を処方物製法に従い、室温で、実験室のはかりを使用して計量した。得られたブレンドを実験室の攪拌器を使用して1分間、均質化し、そして次に室温で30分間保持した。B成分として、(40質量%の2,4’−MDI及び60質量%の4,4’−MDIの含有量の)2−環MDI及び(ポリオール2で予備重合した)ポリマー性MDI(LupranatM20W−BASF)の混合物から製造したプレポリマーを使用した。プレポリマー中の2−環MDI、ポリマー性MDI及びポリオール2の割合は、55.0:40.0:5.0であった。プレポリマーのNCO含有量は、30.7%であった(イソシアネート1)。プレポリマーは、公知の方法で製造した(例えば、EP1471086参照)。90のイソシアネートインデックスでフォーミングを行った。フォーミングを行うために、必要とされるA及びB成分の量を2.5lのバケツ内に計量導入した。実験室攪拌器を使用して、1500rpmで10秒間、攪拌した後、この混合物を、温度が50℃の16lの型(寸法:40×40×10cm
3)内に注いだ。型内に導入した混合物の量は960gであり;これは、50kg/m
3のフォーム密度に対応する。6分後、フォームを型から取り出し、そして30分以内にマニュアルで処理した。
【0113】
TDIベースのフォーム(マニュアル試験):
ポリオール処方物(A成分)を処方物製法に従って、しかしスズ触媒を使用せずに、室温で実験室のはかりを使用して計量した。得られたブレンドを実験室の攪拌器を使用して1分間、均質化し、そして次に室温で30分間保持した。フォーミングを行うために、必要とされるA成分の量を2.5lのバケツ内に計量導入し、そして適切な量のスズ触媒を加えた。触媒を加えた後、この混合物を簡単に攪拌した。次の工程で、TDIを加えた。実験室攪拌器を使用して、1500rpmで10秒間、攪拌した後、この混合物を10.7lの立方体(寸法:22×22×22cm
3)内に注いだ。発泡(フォーミング)を100のイソシアネートインデックスで行った。導入した混合物の量は、650gであった。30分後、このフォームを型から取り出し、そして翌日、マニュアル(手作業)で処理した。
【0114】
機械的試験:
フォーム密度をDIN EN ISO845に従い測定し、圧縮強さをDIN EN ISO3386に従い測定し、引っ張り強さ及び破断点伸びをDIN EN ISO1798に従い測定し、圧縮永久ひずみ及び湿気老化圧縮永久ひずみ(HACS)をDIN EN ISO1856に従い測定し、通気性をDIN EN ISO7231に従い測定し、反発弾性をIN EN ISO8307に従い測定し、及び引裂き抵抗をDIN ISO34−,Bに従い測定した。湿り圧縮永久ひずみを、ISO13362から誘導される自家試験法によって測定した。試験試料をl×b×H
0=50
*50
*25mm
3に切り、最初の高さ(H
0)から7.5mm(H
a)に70%圧縮し、そして50℃、及び95%の相対大気湿度で22時間保管した。圧縮変形(H
t)を30分後に測定した。wet setを式(1)に従い計算した:
wet set=[(H
0−H
t)/(H
0−H
a)]
*100% (1)
【0115】
使用実施例I−III:
【0116】
【表2】
【0117】
使用実施例IV−VI:
【0118】
【表3】
【0119】
使用比較例
比較例I:
比較例BからのポリオールをMDIフォーム処方物及びTDIフォーム処方物の両方で試験した。両方のケースで、もはや縮じゅうすることのできない(開く処理のできない)非常に閉じたフォームが得られた。冷却の後、フォームは高い度合いの収縮を示した。ゲル触媒(Dabco33LV、スズオクトエート)の低減、又はセルオープナーポリオール(ポリオール2)の余分の追加等の、一般的な処方適応は、満足できるフォームを形成しなかった。
【0120】
従って実験データーは、本発明のポリエーテルオールが透明で、相安定であり、及び例えばPU適用において高い反応性を示すことを示している。更に、本発明のポリエーテルオールは、通常の(通常では石油化学ベースの)ポリエーテルオールと比較して、PU処方物に容易に処理することができ、そして有利な機械的特性を与える。