特許第5957160号(P5957160)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5957160
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】吸収性物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/15 20060101AFI20160714BHJP
【FI】
   A61F13/15 356
   A61F13/15 311A
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-78479(P2016-78479)
(22)【出願日】2016年4月8日
【審査請求日】2016年4月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100093665
【弁理士】
【氏名又は名称】蛯谷 厚志
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(72)【発明者】
【氏名】森實 直人
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 英尚
【審査官】 ▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−050478(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/092935(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15−13/84
A61L15/16−15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性物品の製造方法であって、
前記吸収性物品の半製品が搬送方向に連結されてなる半製品の連続体を準備する準備工程であって、前記半製品は、前記半製品の幅方向の両端部に、外側に突出するように形成された一対の突出部と、伸縮方向に伸縮可能であり、前記幅方向に前記伸縮方向が沿うように、前記一対の突出部の間に伸長状態で配置された伸縮部材と、を備える、準備工程と、
前記伸縮部材を収縮させて、前記半製品における前記伸縮部材を含む部分での前記幅方向の長さを、前記収縮させる前よりも小さくし、前記伸縮部材に複数の皺を形成する収縮工程と、
前記伸縮部材が収縮された前記半製品の連続体を前記搬送方向に搬送しながら、前記半製品における前記幅方向の中央領域を押圧する押圧工程と、
前記半製品の連続体を前記搬送方向に搬送しながら、前記半製品における前記中央領域の前記幅方向の両側の一対の側部領域を、前記伸縮部材における前記幅方向の両端部よりも内側に設定された前記搬送方向に沿って延びる一対の折り線で、前記押圧する方向とは反対の方向に持ち上げて、前記中央領域の上方にそれぞれ折り畳む折り畳み工程と、を備える、
吸収性物品の製造方法。
【請求項2】
前記折り線は、前記複数の皺のある領域を通るように設定される
請求項1に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項3】
前記搬送方向において、前記伸縮部材全体が、前記一対の突出部に重なる、
請求項1又は2に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項4】
前記半製品は、前記搬送方向に沿って延び、前記幅方向に離間して配置された一対の防漏壁を備え、
前記防漏壁は、前記半製品の厚さ方向に立ち上がり可能に折り畳まれ、前記幅方向の内側の端縁が伸縮可能となるように自由端とされ、前記幅方向の外側の端縁が固定端とされた立体部を含み、
前記折り線は、前記立体部を通るように設定される、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項5】
前記搬送方向において、前記立体部は前記伸縮部材に重ならない、
請求項4に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項6】
前記防漏壁は、前記立体部の前記搬送方向の両端部に、前記立体部を前記半製品に接続する、前記搬送方向に延びる接続部を備えており、
前記折り線は、前記接続部を通るように設定される、
請求項4又は5に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項7】
前記半製品は、
前記幅方向の両端部に、前記幅方向の外側に向かって突出するように配置された他の一対の突出部と、
前記他の一対の突出部の間に配置され、前記吸収性物品の使用時に前記一対の突出部を接合する対象となる接合対象部材と、を更に備えており、
前記折り線は、前記接合対象部材を通るように設定される、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項8】
前記一対の突出部の前記幅方向の内側の端部と、前記伸縮部材の前記幅方向の外側の端部とが互いに重なっている、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【請求項9】
前記半製品は、前記幅方向の中心を通り、前記搬送方向に沿って配置された吸収体を更に備えており、
前記折り線は、前記吸収体の前記幅方向の端部を通るように設定される、
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は吸収性物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨ておむつのような吸収性物品が知られている。このような吸収性物品を製造するとき、吸収性物品を包装するために吸収性物品を折り畳む折り畳み工程がある。折り畳み工程では、吸収性物品の半製品が搬送方向に連結されてなる半製品の連続体を、搬送方向に搬送しつつ、半製品の幅方向の両端部を外側から内側へ折り畳む。すなわち、半製品の幅方向の中央領域の両側の側部領域を、中央領域に重なるように折り畳んでいる。
【0003】
そのような折り畳み方法として、例えば特許文献1には折り畳み装置が開示されている。この折り畳み装置は、吸収性物品の製造工程における流れ方向に沿った機械方向に搬送されるウェブを折り畳む折り畳み装置である。この折り畳み装置は、ウェブを機械方向に送りつつ、ウェブの表面に交差する方向に向けてウェブを押圧する回転体と、機械方向に沿ったウェブの側部領域をウェブの内側領域の上に重ね合わせるように案内する案内部とを備える。また、他の折り畳み方法として、例えば特許文献2には使い捨て着用物品の製造方法が開示されている。この使い捨て着用物品の製造方法は、搬送工程の実行中に、胴回り部の非肌面がサイドフラップの非肌面に重なるように胴回り部を折り畳む第1折り工程と、搬送工程の実行中の第1折り工程の後に、サイドフラップの肌面がバック部およびフロント部の肌面に重なるようにサイドフラップを折り畳む第2折り工程と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−50478号公報
【特許文献2】国際公開第2010/092935号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
吸収性物品には、幅方向の両端部に幅方向の外側に向かって突出するように一対の突出部(例示:背側フラップ)が配置された吸収性物品が存在する。このような吸収性物品を製造する場合、上記の折り畳み工程では、搬送方向に連続した一対の側部領域のそれぞれの外縁端部に、搬送方向に連続していない、すなわち不連続な一対の突出部が配置された半製品の連続体が供給される。
【0006】
このような半製品の連続体を折り畳む場合、特許文献1の折り畳み装置を用いると、搬送方向に連続した側部領域は中央領域に重なるように容易に折り畳まれるが、搬送方向に連続していない、すなわち不連続な各突出部は中央領域に重なるようには折り畳み難い。これは、特許文献1の折り畳み装置が、折り畳まれる側部領域が長手方向に連続する製品を対象とし、側部領域に不連続な部分(突出部)を有する構造には対応していないためである。例えば、搬送方向に連続した側部領域の特定部分に着目すると、その特定部分と搬送方向に隣接し、先行して折り畳まれる別の部分が、その特定部分を折り畳む動作を補助するので、その特定部分は中央領域に重なるように容易に折り畳まれる。しかし、搬送方向に隣り合う突出部は互いに離間して配置されているため、すなわち突出部は不連続に配置されているため、先行する突出部が、後行する突出部を折り畳む動作を補助しない。そのため、側部領域が中央領域に重なるように中央領域に向って折り畳まれるとき、突出部はその動作に追随できたり、できなかったりして、折り畳まれ方が不安定になるおそれがある。すなわち、特許文献1に記載の折り畳み装置では、側部領域を折り畳むとき、突出部を安定的に折り畳むことが困難になるおそれがある。そうなると、使用時に折り畳まれた部分を開くときに、製品ごとに開く方法が相違する事態が発生し、使用者を混乱させ、装着までに時間がかかるなど、使用者の負担が増加するおそれがある。
【0007】
また、上記のような半製品の連続体を折り畳む場合、特許文献2の使い捨て着用物品の製造方法を用いると、第1の折り工程で突出部を折り畳み、第2の折り工程で側部領域を折り畳むので、安定的に折り畳むという上記の課題を解決し得る。しかし、半製品の幅方向の片側につき2箇所を折り畳むため、吸収性物品の使用時に折り畳まれた部分を開くときに、使用時の前作業が増えて手間がかかり、装着までに時間がかかるなど、使用者の作業負担が増加するおそれがある。
【0008】
本発明の目的は、使用時の作業負担を増加させずに、突出部を側部領域と共に安定的に折り畳むことが可能な吸収性物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吸収性物品の製造方法は次のとおりである。
(1)吸収性物品の製造方法であって、前記吸収性物品の半製品が搬送方向に連結されてなる半製品の連続体を準備する準備工程であって、前記半製品は、前記半製品の幅方向の両端部に、外側に突出するように形成された一対の突出部と、伸縮方向に伸縮可能であり、前記幅方向に前記伸縮方向が沿うように、前記一対の突出部の間に伸長状態で配置された伸縮部材と、を備える、準備工程と、前記伸縮部材を収縮させて、前記半製品における前記伸縮部材を含む部分での前記幅方向の長さを、前記収縮させる前よりも小さくし、前記伸縮部材に複数の皺を形成する収縮工程と、前記伸縮部材が収縮された前記半製品の連続体を前記搬送方向に搬送しながら、前記半製品における前記幅方向の中央領域を押圧する押圧工程と、前記半製品の連続体を前記搬送方向に搬送しながら、前記半製品における前記中央領域の前記幅方向の両側の一対の側部領域を、前記伸縮部材における前記幅方向の両端部よりも内側に設定された前記搬送方向に沿って延びる一対の折り線で、前記押圧する方向とは反対の方向に持ち上げて、前記中央領域の上方にそれぞれ折り畳む折り畳み工程と、を備える、吸収性物品の製造方法。
【0010】
本吸収性物品の製造方法では、伸縮部材(例示:ウェストギャザー)を用いた上記構成を有することにより、使用時の作業負担を増加させずに、突出部を側部領域と共に安定的に折り畳むことができる。すなわち、伸縮部材の機能により伸縮部材を配置した領域には複数の皺が形成されるので、伸縮部材よりも幅方向の長さが小さい押圧部材により半製品の中央領域を、半製品の載置面に向かう方向へ押圧すると、複数の皺の少なくとも一部が押圧部材によりつぶされる。その結果、載置面と反対側に向って凸の形状を有する皺の頂点が載置面側に押し付けられ、その皺が伸ばされることにより、押圧された領域が載置面側で幅方向に拡がる。その押圧された領域の載置面側での幅方向の拡がりに伴い、押圧されていない領域、すなわち押圧された領域よりも幅方向の外側の領域が、逆に、載置面に向かう方向とは反対の方向に立ち上がる。そのため、半製品における伸縮部材を含む部分は全体として載置面と反対側に凹の形状を形成することになる。その結果、側部領域の幅方向の両側に配置されている突出部も、その凹の形状に追随して立ち上がり易くできる。更に、伸縮部材の機能により、半製品における伸縮部材を含む部分での幅方向の長さが、収縮させる前と比較して小さくなる、すなわち半製品における伸縮部材を含まない部分での幅方向の長さよりも小さくなるため、吸収性物品の幅方向の内側に突出部が近づいており、したがって突出部が折り線に近づいている。それゆえ、突出部における折り線の周りの慣性モーメントが低下することになる。それにより、折り線を回転中心として突出部を回転させるために必要な力、すなわち突出部を持ち上げるために必要な力が減少する。その結果、突出部を容易に立ち上がらせることができる。このように本吸収性物品の製造方法では、吸収性物品(半製品)に伸縮部材を設けることにより、少なくとも上記二つの作用が相乗的に機能して、突出部を容易に立ち上がらせることができ、それにより突出部を側部領域と共に安定的に折り畳むことができる。この場合、吸収性物品の使用時には折り畳まれた部分を片側につき1箇所開くだけでよいので、使用者の作業負担は増加しない。すなわち、使用時の作業負担を増加させずに、突出部を側部領域と共に安定的に折り畳むことができる。
【0011】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(2)前記折り線は、前記複数の皺のある領域を通るように設定される、上記(1)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法により、折り畳み工程において皺を基点にして側部領域を容易に折り畳むことができる。それにより側部領域の幅方向の外側の突出部もより安定的に立ち上がることができて、突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0012】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(3)前記搬送方向において、前記伸縮部材全体が、前記一対の突出部に重なる、上記(1)又は(2)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法により、伸縮部材を取り付けた効果、すなわち皺の押圧による伸縮部材を凹形状にする効果や突出部の折り線周りの慣性モーメントを低下させる効果をより強く発揮できる。それにより側部領域の幅方向の外側の突出部もより安定的に立ち上がることができ、突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0013】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(4)前記半製品は、前記搬送方向に沿って延び、前記幅方向に離間して配置された一対の防漏壁を備え、前記防漏壁は、前記半製品の厚さ方向に立ち上がり可能に折り畳まれ、前記幅方向の内側の端縁が伸縮可能となるように自由端とされ、前記幅方向の外側の端縁が固定端とされた立体部を含み、前記折り線は、前記立体部を通るように設定される、上記(1)乃至(3)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法により、立体部が重ねられて剛性が相対的に高くなった領域に折り線を重ねることで、折り目の剛性を相対的に高くできる。すなわち、折り目を安定させることができる。それにより、側部領域を折り目で安定的に立ち上がらせることができる。更に、立体部の搬送方向の収縮により側部領域の立ち上がりを補助することができる。これらにより、側部領域の幅方向の外側の突出部もより安定的に立ち上がることができ、突出部を側部領域と共により安定的に同様の形態で折り畳むことができる。
【0014】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(5)前記搬送方向において、前記立体部は前記伸縮部材に重ならない、上記(4)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法により、伸縮部材の幅方向の伸縮が、立体部の搬送方向の伸縮に影響を受けない。それにより、伸縮部材が適切に収縮し、複数の皺を形成できる。したがって、伸縮部材を取り付けた効果、すなわち半製品における伸縮部材を含む領域を凹形状にする効果や突出部の折り線周りの慣性モーメントを低下させる効果もより強く発揮することができる。それにより側部領域の幅方向の外側の突出部もより安定的に立ち上がることができ、突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0015】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(6)前記防漏壁は、前記立体部の前記搬送方向の両端部に、前記立体部を前記半製品に接続する、前記搬送方向に延びる接続部を備えており、前記折り線は、前記接続部を通るように設定される、上記(4)又は(5)に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、接続部が重ねられて剛性が相対的に高くなった領域に折り線を重ねることで、折り目の剛性を相対的に高くすることができる。すなわち、折り目を安定させることができる。それにより、側部領域を折り目で安定的に立ち上がらせることができ、側部領域の幅方向の外側の突出部もより安定的に立ち上がることができ、突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0016】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(7)前記半製品は、前記幅方向の両端部に、前記幅方向の外側に向かって突出するように配置された他の一対の突出部と、前記他の一対の突出部の間に配置され、前記吸収性物品の使用時に前記一対の突出部を接合する対象となる接合対象部材と、を更に備えており、前記折り線は、前記接合対象部材を通るように設定される、上記(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、接合対象部材が重ねられて剛性が相対的に高くなった領域に折り線を重ねることで、折り目の剛性を相対的に高くすることができる。すなわち、折り目を安定させることができる。それにより、他の側部領域を折り目で安定的に立ち上がらせることができ、他の側部領域の幅方向の外側の他の突出部もより安定的に立ち上がることができ、他の突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0017】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(8)前記一対の突出部の前記幅方向の内側の端部と、前記伸縮部材の前記幅方向の外側の端部とが互いに重なっている、上記(1)乃至(7)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、伸縮部材から突出部までの部分にて剛性が相対的に高くなる。それにより側部領域の立ち上がりで側部領域の幅方向の外側の突出部もより安定的に立ち上がることができ、突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0018】
本発明の吸収性物品の製造方法は、(9)前記半製品は、前記幅方向の中心を通り、前記搬送方向に沿って配置された吸収体を更に備えており、前記折り線は、前記吸収体の前記幅方向の端部を通るように設定される、上記(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の吸収性物品の製造方法、であってもよい。
本吸収性物品の製造方法では、半製品における吸収体が重ねられて剛性が相対的に高くなった領域に折り線を重ねることで、折り目の剛性を相対的に高くすることができる。すなわち折り目を安定させることができる。それにより側部領域を折り目で安定的に立ち上がらせることができ、側部領域の幅方向の外側に配置された突出部もより安定的に立ち上がることができ、よって突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、使用時の作業負担を増加させずに、突出部を側部領域と共に安定的に折り畳むことが可能な吸収性物品の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施の形態に係る吸収性物品を示す図である。
図2】実施の形態に係る吸収性物品を示す図である。
図3】実施の形態に係る吸収性物品の製造装置の概略全体図である。
図4】実施の形態に係る吸収性物品の拡幅装置の概略全体図である。
図5】実施の形態に係る吸収性物品の折り畳み装置の概略全体図である。
図6】実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。
図7】実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。
図8】実施の形態に係る吸収性物品の折り畳み方法を説明する図である。
図9】実施の形態に係る吸収性物品の折り畳み方法を説明する図である。
図10】実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。
図11】実施の形態に係る吸収性物品の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施の形態に係る吸収性物品について、テープ型(オープンタイプ)の使い捨ておむつを例として、図面を参照して説明する。ただし、本発明の吸収性物品の種類及び用途はその例に限定されるものではなく、本発明の主題の範囲を逸脱しない範囲で他の吸収性物品、例えばパンツ型の使い捨ておむつなどに対しても適用可能である。
【0022】
図1及び図2は吸収性物品1(使い捨ておむつ)を示す図であり、具体的には図1は吸収性物品1を展開して拡げた状態での平面図を示し、図2の(a)は図1のIIa−IIa’の断面図を示し、図2の(b)は図1のIIb−IIb’の断面図を示す。ただし図2の(b)は吸収性物品を自然状態、すなわち後述される伸縮部材11が収縮した状態を示す。吸収性物品1は、長手方向Lと、長手方向Lに直交する幅方向Wと、長手方向L及び幅方向Wに直交する厚さ方向Tを有し、幅方向Wの中心を通り長手方向Lに延びる中央軸線CLと、長手方向Lの中心を通り幅方向Wに延びる中央軸線CWを有している。
【0023】
吸収性物品1は、長手方向Lにおいて、着用者の背側の胴回りに対応する背側胴回り領域S1と、着用者の腹側の胴回りに対応する腹側胴回り領域S2と、着用者の股下に対応し、背側胴回り領域S1と腹胴回り領域S2との間に位置する股下領域S3とを有する。背側胴回り領域S1の幅方向W両端部と腹胴回り領域S2の幅方向W両端部とが各々連結されることでおむつとして装着される。股下領域S3は幅方向Wにくびれていてもよい。
【0024】
なお、本明細書において、特に断りのない限り、展開して平坦に拡げた状態の吸収性物品1を、上面側から厚さ方向に見ることを単に「平面視」という。「肌側」及び「非肌側」とは吸収性物品の着用者が吸収性物品を着用したとき、吸収性物品の厚さ方向において相対的に着用者の肌面に近い側及び肌面から遠い側のことをそれぞれ意味する。また、中央軸線CLに向かう方向を、幅方向Wの内側の方向とし、中央軸線CLから遠ざかる方向を、幅方向Wの外側の方向とする。中央軸線CWに向かう方向を、長手方向Lの内側の方向とし、中央軸線CWから遠ざかる方向を、長手方向Lの外側の方向とする。
【0025】
吸収性物品1は、表面シート2と、裏面シート3と、吸収体4とを備える。ただし、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4の長手方向、幅方向及び厚さ方向はいずれも吸収性物品1の長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tと一致する。したがって、表面シート2、裏面シート3及び吸収体4においても長手方向、幅方向及び厚さ方向についてそれぞれ長手方向L、幅方向W及び厚さ方向Tを用い、厚さ方向で相対的に着用者の肌面に近い側及び遠い側に対してそれぞれ肌側及び非肌側を用いる。
【0026】
表面シート2は、着用者の肌側に位置する液透過性のシートである。表面シート2としては、例えば液透過性の不織布や織布、液透過孔が形成された合成樹脂フィルム、これらの複合シートなど、任意の液透過性シートが挙げられる。裏面シート3は、着用者の非肌側に位置する液不透過性のシートである。裏面シート3としては、例えば液不透過性の不織布や合成樹脂フィルム、これらの複合シート、SMS不織布など、任意の液不透過性シートが挙げられる。吸収体4は、表面シート2及び裏面シート3との間に位置する液吸収性及び液保持性の材料であり、本実施の形態では吸収体コア4aと吸収体コア4aを包摂するコアラップ4b、4cとを含んでいる。吸収体4としては、パルプ繊維、合成繊維、吸収性ポリマなどが挙げられる。吸収体4と表面シート2及び裏面シート3とはそれぞれ接着剤により接合され、表面シート2と裏面シート3とはそれらの周縁部分において接着剤により接合される。表面シート2、吸収体4及び裏面シート3の間の接合用の接着剤は、吸収性物品1で一般的に使用される公知の材料、例えば熱可塑性接着剤を使用できる。
【0027】
吸収性物品1は、さらに一対の防漏壁5、5と、脚部伸縮部材6、6と、外装シート9とを備える。一対の防漏壁5、5は、表面シート2における幅方向Wの両側の表面を覆うように長手方向Lに沿って延び、幅方向Wに離間して配置される一対の側部シートである。一対の防漏壁5、5は、それぞれ、表面シート2の幅方向Wの両側の表面において、幅方向Wの外側の端部が固定されて固定端とされ、幅方向Wの内側の端部が伸縮可能なギャザー部を形成するように自由端とされ、厚さ方向Tに立ち上がり可能に折り畳まれた立体部5cを含む。一対の防漏壁5、5の立体部5c、5cの自由端の近傍には、それぞれ長手方向Lに沿って延びるゴムのような線状の弾性体5aが例えば2本ずつ配置される。弾性体5aは防漏壁5の自由端を収縮させ、それにより一対の防漏壁5、5が伸縮し、立設される。一対の防漏壁5、5は、それぞれ、立体部5cの長手方向Lの両端部に、立体部5cを表面シート2に接続される、長手方向Lに延びる接続部5bを更に含む。脚部伸縮部材6は、着用者の大腿部に当接する股下領域S3の幅方向Wの両側をそれぞれ長手方向Lに伸縮させるゴムのような弾性材である。外装シート9は、裏面シート3の非肌側に、裏面シート3を補強し、その手触りを改善する。裏面シート3の非肌側に接合された状態で、一対の防漏壁5、5とその周縁部分において相互に接続される。防漏壁5、外装シート9の材料に特に制限はなく、例えば防漏壁5としては表面シート2の材料、外装シート9としては裏面シート3の材料が挙げられる。
【0028】
吸収性物品1は、さらに、背側胴回り領域S1に、伸縮部材11と、一対の突出部7とを備える。伸縮部材11は、伸縮方向に伸縮可能であり、幅方向Wに伸縮方向が沿うように、すなわち幅方向Wに伸縮可能に、一対の突出部7、7の間に配置されたシートであり、例えばウェストギャザーとして機能する。伸縮部材11は、背側胴回り領域S1の表面シート2と裏面シート3との間、表面シート2の肌側の表面及び裏面シート3の非肌側の表面のいずれかの位置に、接着剤で取り付けられる。伸縮部材11は、また、平面視で吸収体4と部分的に重なるように、又は全く重ならないように配置される。本実施の形態では、伸縮部材11は、表面シート2と裏面シート3との間に、平面視で伸縮部材11の長手方向Lの内側の部分が吸収体4と重なるように配置される。
【0029】
また、伸縮部材11は、幅方向Wの中央に位置する高伸長領域11aと、高伸長領域11aの幅方向Wの両側に位置する低伸長領域11bとを含む。高伸長領域11aは、伸縮部材11を大きく伸長させた状態で表面シート2及び/又は裏面シート3に貼り付けられており、貼り付けられた後に自然状態に戻ることで表面シート2及び/又は裏面シート3と共に大きく収縮して、それにより複数の皺11Sが形成されている。皺11Sは、概ね長手方向Lに延び、概ね幅方向Wに並んでいる。低伸長領域11bは、伸縮部材11をあまり伸長させない状態で表面シート2及び/又は裏面シート3に貼り付けられており、貼り付けられた後に自然状態に戻ることで表面シート2及び/又は裏面シート3と共にやや収縮するが、それによって皺はあまり形成されない。したがって、高伸長領域11aは、大きく伸縮可能な領域であり、低伸長領域11bは小さく伸縮可能な領域である。ただし、低伸長領域11bは無くてもよく、全体が高伸長領域11aであってもよい。伸縮部材11の材料は、伸縮可能であれば特に制限はなく、材質で伸縮可能であってもよいし、形状で伸縮可能であってもよいし、弾性部材との組み合わせで伸縮可能であってもよい。
【0030】
一対の突出部7、7は、着用時に背側胴回り領域S1を腹側胴回り領域S2に連結するためのシートであり、サイドフラップとして機能する。一対の突出部7、7は、背側胴回り領域S1の幅方向Wの両外側に向かって突出するように配置されており、背側胴回り領域S1の表面シート2(又は防漏壁5)と裏面シート3(又は外装シート9)との間、表面シート2(又は防漏壁5)の肌側の表面及び裏面シート3(又は外装シート9)の非肌側の表面のいずれかの位置に、接着剤で取り付けられている。ただし、一対の突出部7、7は、表面シート2(又は防漏壁5)及び裏面シート3(又は外装シート9)の少なくとも一方の延出部分で形成されていてもよい。本実施の形態では、突出部7は、表面シート2、防漏壁5、裏面シート3及び外装シート9とは別の部材で、防漏壁5と外装シート9との間に配置されている。突出部7は、着用時に腹側胴回り領域S2の接合対象部材12(後述)と連結するための連結テープ7aを備えている。連結テープ7aとしては面ファスナーや粘着テープが挙げられる。突出部7の材料に特に制限はないが、例えば、表面シート2や裏面シート3の材料が挙げられる。
【0031】
伸縮部材11は、一対の突出部7、7の間に配置されている。すなわち伸縮部材11と一対の突出部7、7とは長手方向Lにおいて少なくとも一部で重なるように配置されている。言い換えると、伸縮部材11における幅方向Wの外側の長手方向Lに沿った端辺11eの中央軸線CLへの射影と、突出部7における幅方向Wの内側の長手方向Lに沿った端辺7eの中央軸線CLへの射影とは、少なくとも一部で重なっている。それにより、吸収性物品1の着用時に胴回り領域のフィット性を向上できる。
【0032】
吸収性物品1は、さらに、腹側胴回り領域S2に、接合対象部材12と、一対の突出部8とを備えている。接合対象部材12は、一対の突出部7、7の連結テープ7aを連結される対象となるシートであり、例えば連結テープ7aが面ファスナーのフックの場合には接合対象部材12は面ファスナーのループであり、連結テープ7aが粘着テープの場合には接合対象部材12は粘着テープが粘着可能なシートである。接合対象部材12は、腹側胴回り領域S2の外装シート9の非肌側の表面の位置に、接着剤で取り付けられている。接合対象部材12は、また、平面視で吸収体4と部分的に重なるように、又は全く重ならないように配置されている。本実施の形態では、接合対象部材12は、外装シート9の非肌側の表面に、平面視で接合対象部材12の長手方向Lの内側の部分が吸収体4と重なるように配置されている。一対の突出部8、8は、着用時に腹側胴回り領域S2を背側胴回り領域S1に連結するためのシートであり、サイドフラップとして機能する。一対の突出部8は、腹側胴回り領域S2の幅方向Wの両外側に向かって突出するように配置されており、腹側胴回り領域S2の表面シート2(又は防漏壁5)と裏面シート3(又は外装シート9)との間、表面シート2(又は防漏壁5)の肌側の表面及び裏面シート3(又は外装シート9)の非肌側の表面のいずれかの位置に、接着剤で取り付けられている。ただし、一対の突出部8、8は、表面シート2(又は防漏壁5)及び裏面シート3(又は外装シート9)の少なくとも一方の延出部分で形成されていてもよい。本実施の形態では、突出部8は、表面シート2、防漏壁5、裏面シート3及び外装シート9とは別部材で、防漏壁5と外装シート9との間に配置されている。突出部8の材料に特に制限はないが、例えば、表面シート2や裏面シート3の材料が挙げられる。突出部8は無くてもよい。
【0033】
次に、本実施の形態に係る吸収性物品の製造装置について説明する。図3は、吸収性物品1の製造装置200の構成例を示している。製造装置200は、表面シート形成ユニット200A、吸収体形成ユニット200B、裏面シート形成ユニット200C、伸縮部材接合ユニット200D、接合ユニット200E及び折り畳みユニット200Fを備える。
【0034】
製造装置200は、吸収性物品1やそれを構成する資材などの搬送に関し、搬送方向MD、搬送方向MDに直交し搬送面に沿う横断方向CD及び搬送方向MDと横断方向CDとに直交する上下方向TDを有する。ただし、吸収性物品1やそれを構成する資材の長手方向、幅方向及び厚さ方向はいずれも搬送方向MD、横断方向CD及び上下方向TDと同じである。したがって吸収性物品1やそれを構成する資材においても、長手方向、幅方向及び厚さ方向についてそれぞれ搬送方向MD、横断方向CD及び上下方向TDを用いる。
【0035】
表面シート形成ユニット200Aにおいて、複数の搬送ロールは、表面シート用の連続シートである連続表面シート102を、接合ロール210に搬送する。接着剤塗布装置201は、搬送中の連続表面シート102の一方の面に接着剤を塗布する。一方、複数の搬送ロールは、一対の防漏壁用の連続シートである一対の連続防漏壁シート105、105を、接合ロール210に搬送する。接合ロール210は、互いに対面配置された一対の接合ロールの間に、連続表面シート102と一対の連続防漏壁シート105、105とを挟んで圧縮して、横断方向の両外側に一対の連続防漏壁シート105、105が接着剤で接合された連続表面シート102を形成する。接着剤塗布装置202は、その搬送中の連続表面シート102における連続防漏壁シート105、105が接合された面とは反対側の他方の面に接着剤を塗布する。複数の搬送ロールは、その連続表面シート102を接合ユニット200E(接合ロール240、250)に供給する。
【0036】
吸収体形成ユニット200Bでは、搬送ベルトは吸収体形成装置(図示せず)で形成された吸収体104を接合ユニット200E(接合ロール240、250)に供給する。
【0037】
裏面シート形成ユニット200Cにおいて、複数の搬送ロールは裏面シート用の連続シートである連続裏面シート103を接合ロール220に搬送する。一方、複数の搬送ロールは外装シート用の連続シートである連続外装シート109(脚部伸縮部材6、突出部7、8、接合対象部材12を付加済み)を接合ロール220に搬送する。接着剤塗布装置203は搬送中の連続外装シート109の一方の面に接着剤を塗布する。接合ロール220は、互いに対面配置された一対の接合ロールの間に連続外装シート109と連続裏面シート103とを挟んで圧縮して、裏面側に連続外装シート109が接合された連続裏面シート103を形成する。接着剤塗布装置204は搬送中の連続裏面シート103における連続外装シート109が接合されていない他方の面に接着剤を塗布する。複数の搬送ロールはその連続裏面シート103を接合ユニット200E(接合ロール240)に供給する。
【0038】
伸縮部材接合ユニット200Dにおいて、複数の搬送ロールは、伸縮部材用の連続シートである連続伸縮部材シート111を切断装置230に搬送する。切断装置230は、カッター(切断機)により、連続伸縮部材シート111を所定の長さごとに切断する。拡幅貼付装置400は、切断片、すなわち伸縮部材11の横断方向の両端部を保持しつつ伸縮部材を受け取る。拡幅貼付装置400は、伸縮部材11を横断方向に引き伸ばしつつ約180°回転させる。その後、拡幅貼付装置400は、伸長状態の伸縮部材11を、接合ロール240上の連続裏面シート103における接着剤を塗布された面に押し付けて連続裏面シート103に貼付する。このとき連続裏面シート103には搬送方向MDに張力が掛かっているので、横断方向CDに引き伸ばされ伸長状態にある伸縮部材11が貼付されても連続裏面シート103はほとんど減幅しない。接合ロール240は伸縮部材11が貼付された連続裏面シート103を接合ユニット200E(接合ロール250)に移動する。
【0039】
接合ユニット200Eにおいて、互いに対面配置された一対の接合ロール240、250は、表面シート形成ユニット200Aからの連続表面シート102と、吸収体形成ユニット200Bからの吸収体104と、裏面シート形成ユニット200Cからの連続裏面シート103とを挟んで圧縮して、連続表面シート102と吸収体104と連続裏面シート103とが積層された吸収性物品の半製品の連続体101aを形成する。
【0040】
その後、複数の搬送ロールは、半製品の連続体101aを接合ロール240から離すように搬送しつつ、搬送方向MDの張力を低下させる。それにより、伸縮部材が配置された部分が横断方向CDにやや収縮された半製品の連続体101bが形成される。複数の搬送ロールは、半製品の連続体101bを、折り畳みユニット200Fに搬送する。
【0041】
折り畳みユニット200Fでは、折り畳み装置300は、半製品の連続体101bを、搬送ロール303及び搬送装置310により搬送しつつ、押圧部材301及び折り畳み部材302により折り畳んで、半製品の連続体101cを形成する。半製品の連続体101cは、その後、一製品分の吸収性物品に切り離されて、吸収性物品1となる。
【0042】
次に、伸縮部材接合ユニット200Dの拡幅貼付装置400について説明する。
図4は、拡幅貼付装置400の構成例を模式的に示す斜視図である。拡幅貼付装置400は、帯状の幅縮部材405を、受け取り位置P1で受け取り、横断方向CDに伸長させて、受け渡し位置P2で連続裏面シート103に受け渡す装置である。拡幅貼付装置400は、中心線CLAに対して左右対称の一対の拡幅ユニット400A1、400A2を備える。各拡幅ユニット400Aは、相対移動部材430と、搬送駆動部材420と、一対の搬送部材410、410とを備える。一対の拡幅ユニット400A1、400A2は、一端側が互いに近く、他端側が互いに遠い(末広がりに向き合った)姿勢に設定される。この場合、受け取り位置P1が互いに近く、受け渡し位置P2が互いに遠い。
【0043】
搬送駆動部材420は、回転軸421を中心に回転する回転体422を有しており、回転体422は軸受を介して相対移動部材430に回転自在に取り付けられる。回転体422には、一対の搬送部材410が、回転体422の回転方向に互いに180°離れた位置に固定される。したがって、一対の搬送駆動部材420が互いに同じ角速度で回転することにより、両拡幅ユニット400A1、400A2の回転体422上の搬送部材410同士が互いに向き合った状態で、相対移動部材430に対して回転される。各搬送部材410はサクションパッド411を備える。サクションパッド411は、搬送部材410の外側表面に配置され、伸縮部材11が当接する当接面411aを有する。当接面411aには複数の穴部が形成されており、一部の穴部は、搬送部材410内に配置されたサクション機構(図示せず)によって当接面411aに当接した伸縮部材11を吸引するためのサクション穴部411cであり、他の穴部は、当接面411aに当接した伸縮部材11を固定するためのピン部材が挿通されるピン穴部411bである。
【0044】
拡幅貼付装置400は、受け取り位置P1にて、一対の搬送部材410のサクション穴部411cで伸縮部材11の両端部を吸引することで、伸縮部材11を受け取る。それと共にピン穴部411bのピン部材を伸縮部材11に刺すことにより、一対の搬送部材410で伸縮部材11を保持する。拡幅貼付装置400は、一対の搬送駆動部材420により一対の搬送部材410を回転移動させて、伸縮部材11を受け取り位置P1から受け渡し位置P2へ移動させる。そのとき、一対の搬送部材410がサクションパッド411間の距離を徐々に広げながら回転移動することにより、伸縮部材11は両端部を引っ張られて、伸長される。そして、拡幅貼付装置400は、受け渡し位置P2にて、一対の搬送部材410での吸引及びピン刺しを停止することにより、伸縮部材11を受け渡す。
【0045】
拡幅貼付装置400では拡幅ユニット400A1、400A2を調整し、例えば伸縮部材11の横断方向CDの中央部(例:サクションパッド411間の内側部分)を高伸長の領域(高伸長領域)に、その両側の両端部(例:サクションパッド411部分)を低伸長の領域(低伸長領域)にでき、又は伸縮部材11全体を高伸長領域にできる。拡幅ユニット400A1、400A2の調整は、拡幅ユニット400A1、400A2間距離、サクションパッド411の吸引程度、ピン穴部411bのピン部材の出入等が挙げられる。
【0046】
次に、折り畳みユニット200Fの折り畳み装置300について説明する。
図5は、折り畳み装置300の構成例を模式的に示す図である。折り畳み装置300は、連続体を搬送方向MDに搬送しながら、その連続体を所定の折り位置で折り畳む装置であり、搬送ロール303と、搬送装置310と、押圧部材301と、折り畳み部材302とを備える。ここでは、連続体として、半製品の連続体101bを例示する。
【0047】
搬送ロール303は、搬送方向の下流側に位置する押圧部材301及び搬送装置310に半製品の連続体101bを供給する。押圧部材301は、搬送ロール303よりも搬送方向MDの下流側であって搬送装置310上に配設される。横断方向CDにおける、押圧部材301の長さは、半製品の連続体101bの長さよりも狭く設定される。押圧部材301は、半製品の連続体101bの表面に交差する方向に向けて、言い換えると搬送装置310における半製品の連続体101bの載置面に向けて、少なくとも半製品の連続体101bの中央領域を押圧しながら、半製品の連続体101bを搬送方向に搬送する。搬送装置310は、ローラ310a又はローラ310cにより無端ベルト310bを搬送方向MDに回転させて、半製品の連続体101bを搬送方向MDに搬送する。搬送装置310にはサクション機構が搭載されており、半製品の連続体101bの中央領域は、無端ベルト310bの搬送面(半製品の連続体101bの載置面)に吸引された状態で、押圧部材301によって無端ベルト310bに向けて押し付けられる。折り畳み部材302は、ガイド302a、302aによって、搬送方向MDに沿って搬送される半製品の連続体101bにおける横断方向CDの両側の側部領域を中央領域の上に案内する。なお、搬送装置310にはサクション機構が搭載されなくてもよい。押圧部材301は、半製品の連続体101bを押さえる一対の押さえロール301b、301bと、押さえロール301b、301b間に配設され、半製品の連続体101bの中央領域を押さえる中央ロール301aとを有する。押さえロール301b、301bにより押さえられる半製品の連続体101bの位置が折り起点となり、その位置に搬送方向MDに沿って描かれる線が折り線となる。押さえロール301b、301bは、半製品の連続体101bにおける横断方向CDの中心と両端との間の任意の位置に移動可能である。したがって折り畳み装置300では、横断方向CDの上記任意の位置に搬送方向MDに沿って折り線を設定可能である。なお、押さえロール301b、301bは無くてもよく、その場合には押さえロール301b、301bの機能を中央ロール301aの横断方向CDの両端が担う。
【0048】
折り畳み装置300では、搬送ロール303は無端ベルト310bの搬送面よりも高さhだけ高い位置に配設され、押圧部材301の幅は半製品の連続体101bの幅よりも小さい。これらにより、押圧部材301に押さえられていない半製品の連続体101bの側部領域には、無端ベルト310bの搬送面から押圧部材301側に捲れ上がる力が働く。捲れ上がった側部領域がガイド302a、302aに案内されて、中央領域に向けて倒される。これにより側部領域(搬送方向MDに連続した領域)を折り畳むことができる。
【0049】
本実施の形態では、押圧部材301の横断方向CDの幅(長さ)は、半製品の連続体101bの幅(長さ)よりも狭く、伸縮部材11の幅(長さ)よりも狭く設定される。好ましくは伸縮部材11の高伸長領域11aの幅(長さ)よりも狭く設定される。それにより、後述のように半製品の連続体101bを折り畳み易くできる。半製品の連続体101bは、折り畳み装置300に折り畳まれて、半製品の連続体101cとなる。半製品の連続体101cは、その後、一製品分の吸収性物品に切り離されて、吸収性物品1となる。
【0050】
次に、本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法について、図3図5及び図6図11を参照して説明する。図6図11は、吸収性物品の製造方法を説明するための半製品の構成の一例を模式的に示している。なお、図6図11では搬送方向MDにおいて図の上から下へ製品が流れるものとする。本製造方法は、吸収性物品の製造方法であって、表面シート形成工程と、吸収体形成工程と、裏面シート形成工程と、伸縮部材接合工程と、接合工程(以上、準備工程)と、収縮工程と、押圧工程と、折り畳み工程と、を備える。
【0051】
図3に示すように、表面シート形成工程では、表面シート用の連続シートである連続表面シート102が、接着剤塗布装置201によって一方の面に接着剤を塗布された後、接合ロール210に供給される。一方、一対の防漏壁用の連続シートである一対の連続防漏壁シート105、105が、接合ロール210に供給される。そして、接合ロール210では、一対の接合ロールの間に連続表面シート102と一対の連続防漏壁シート105、105とが供給される。そして、連続表面シート102における接着剤を塗布された面に、一対の連続防漏壁シート105、105が押し付けられて両者が貼り合わされることにより、横断方向の両外側に一対の連続防漏壁シート105、105が接合された連続表面シート102が形成される。その後、連続表面シート102は、連続防漏壁シート105、105が接合された面とは反対側の他方の面に、接着剤塗布装置202によって接着剤を塗布された後、接合ユニット200E(接合ロール240、250)に供給される。
【0052】
吸収体形成工程では、吸収体104が、図示しない吸収体形成装置で形成され、搬送ベルトにより接合ユニット200E(接合ロール240、250)に供給される。
【0053】
裏面シート形成工程では、裏面シート用の連続シートである連続裏面シート103が接合ロール220に供給される。一方、外装シート用の連続シートである連続外装シート109(脚部伸縮部材6、突出部7、8、接合対象部材12を付加済み)が、接着剤塗布装置203によって一方の面に接着剤を塗布された後、接合ロール220に供給される。接合ロール220には一対の接合ロールの間に連続外装シート109と連続裏面シート103とが供給される。そして連続外装シート109における接着剤を塗布された面に、連続裏面シート103が押し付けられて両者が貼り合わされて、裏面側に連続外装シート109が接合された連続裏面シート103が形成される。その後、連続裏面シート103は、連続外装シート109が接合されていない他方の面に、接着剤塗布装置204によって接着剤を塗布された後、接合ユニット200E(接合ロール240)に供給される。
【0054】
伸縮部材接合工程では、伸縮部材用の連続シートである連続伸縮部材シート111が、切断装置230に供給され、切断装置230のカッター(切断機)により、搬送方向MDの先端部が所定の長さに切断される。切断片、すなわち伸縮部材は11、横断方向CDの両端部が拡幅貼付装置400に保持されて、拡幅貼付装置400に受け取られる。伸縮部材11は、拡幅貼付装置400により横断方向CDの両端部を横断方向に引き伸ばされつつ、約180°回転された後に、接合ロール240上の連続裏面シート103における接着剤を塗布された面に伸長状態で押し付けられて、連続裏面シート103に貼付される。このとき、連続裏面シート103には搬送方向に張力が掛かっているので、横断方向CDに引き伸ばされ伸長状態にある伸縮部材11が貼付されても、連続裏面シート103はほとんど減幅しない。伸縮部材11が貼付され連続裏面シート103は、接合ロール240上を接合ユニット200E(接合ロール250)に移動する。
【0055】
接合工程では、表面シート形成工程から連続防漏壁シート105、105が接合された連続表面シート102と、吸収体形成工程から吸収体104と、伸縮部材接合工程から伸縮部材11が貼付された連続裏面シート103とが、一対の接合ロール240、250の間に搬送される。そして、連続表面シート102と、吸収体104と、連続裏面シート103とが一対の接合ロール240、250に間に挟持され、圧縮されて、接合される。それにより、連続表面シート102と、連続裏面シート103と、連続表面シート102と連続裏面シート103との間に介設された吸収体104とを備える吸収性物品の半製品の連続体101aが形成される。これら表面シート形成工程、吸収体形成工程、裏面シート形成工程、伸縮部材接合工程及び接合工程は、半製品の連続体101aを準備する準備工程の一例ということができる。ただし、準備工程はこの例に限定されるものでは無く、例えば予め形成された半製品の連続体101aを提供する工程であってもよい。
【0056】
図6は、半製品の連続体101aの構成例を模式的に示す。半製品の連続体101aは、複数の半製品1aが搬送方向に連結されて構成される。一つの半製品1aは、伸縮部材11に皺11Sがほとんど無い他は図1に示す吸収性物品1と同じ構成を有する。すなわち半製品1aは、半製品1aの幅方向、すなわち横断方向CDの両端部に、外側に突出するように形成された一対の突出部7、7と、伸縮方向に伸縮可能であり、横断方向CDに伸縮方向が沿うように、一対の突出部7、7の間に伸長状態で配置された伸縮部材11と、を備える。このとき半製品1aの長手方向、すなわち搬送方向MDにおいて、伸縮部材11及び突出部7が少なくとも一部で重なる。ただし、半製品1aの横断方向CDにおいて、伸縮部材11及び突出部7が部分的に重なってもよいし、重なっていなくてもよい。
【0057】
横断方向CDにおいて、半製品1aにおける伸縮部材11を含む部分の最大長さ(一対の突出部7、7の突出部分の長さを含む)はDL1である。この場合、半製品の連続体101aに掛かる張力で半製品1aの伸縮部材11はほとんど収縮していない。したがって伸縮部材11は横断方向CDの伸長状態で配置されているが、僅かしか収縮していない。
【0058】
収縮工程では、半製品の連続体101aは接合ロール240から離され、搬送方向MDの張力を低下される(例えば搬送ロールの回転数を低下させるなど)。それにより、横断方向CDに伸長された状態の伸縮部材11が収縮可能になるので、伸縮部材11を横断方向CDに収縮させることができる。それに対応して、半製品1aにおける伸縮部材11を含む部分も横断方向CDに収縮させることができ、よって伸縮部材11を含む部分が横断方向CDに収縮した半製品の連続体101bが形成される。なお、収縮工程は準備工程に含まれてもよい。
【0059】
図7は、半製品の連続体101bの構成例を模式的に示す。半製品の連続体101bは、複数の半製品1bが搬送方向に連結されて構成される。一つの半製品1bは、図6に示す半製品1aと基本的に同じ構成を有する。ただし、半製品1aと比較して、半製品1bにおける伸縮部材11を含む部分が横断方向CD(幅方向)に収縮される。すなわち、半製品の連続体101aにかかる張力の低下によって、横断方向CDに伸長された状態で配置された伸縮部材11が、半製品1bの横断方向CDに収縮される。半製品の連続体101bにおける伸縮部材11を含む部分において、横断方向CDの最大長さ(一対の突出部7、7の突出部分の長さを含む)DL2は、伸縮部材11を収縮させる前(図6)の長さDL1よりも小さくなる(DL2<DL1)。それと共に、半製品の連続体101bにおける伸縮部材11を含む部分において、複数の皺11Sが形成される。半製品の連続体101bは、折り畳みユニット200Fに搬送される。
【0060】
次いで、押圧工程では、伸縮部材11が収縮された半製品の連続体101bが搬送方向MDに搬送されながら、伸縮部材11の横断方向CDの長さよりも、横断方向CDの長さが小さい押圧部材301で、半製品1bの横断方向CDの中央領域MAが、半製品1bの載置面(無端ベルト310bの搬送面)に向かう方向へ押圧される。それにより、伸縮部材11の複数の皺11Sがある領域が押圧される。
【0061】
折り畳み工程では、半製品の連続体101bが搬送方向MDに搬送されながら、半製品1bにおける中央領域MAよりも横断方向CDの外側の一対の側部領域PA、PAが、搬送方向MDに沿って延びる一対の折り線FL1、FL2で、折り畳み部材302(ガイド302a、302a)で半製品1bの載置面に向かう方向とは反対の方向に持ち上げられ、中央領域MAの上方にそれぞれ折り畳まれる。それにより半製品の連続体101cが形成される。ただし、一対の折れ線FL1、FL2は、伸縮部材11における横断方向CDの両端辺11e、11eよりも内側に、搬送方向MDに沿って延びるように設定される。好ましくは一対の突出部7、7における横断方向CDの内側の端辺7e、7eよりも内側に、搬送方向MDに沿って延びるように設定される。なお、押圧工程と折り畳み工程とは時間的に重複して行われてもよいし、押圧工程の後に折り畳み工程が行われてもよい。
【0062】
ここで、半製品1bは横断方向CD(幅方向)の両端部に外側に突出するように形成され、搬送方向MDに不連続な一対の突出部7、7を有しており、折り畳み装置300ではその不連続な一対の突出部7、7を安定的に折り畳むことが困難になるおそれがある。しかし、本実施の形態では、伸縮部材11を用いた上記構成を有することにより、一対の突出部7、7を安定的に折り畳むことができる。その理由は以下のとおりである。
【0063】
図8は、半製品1bの折り畳み方法を説明する模式図である。図8(a)は伸縮部材11を有し、その伸縮部材11を収縮させた場合、すなわち本実施の形態の場合を示す。図8(b)は伸縮部材11を有さない場合、すなわち本実施の形態ではない場合を示す。伸縮部材11を有さない場合、すなわち本実施の形態ではない場合(図8(b))には、半製品1bでの横断方向CD(幅方向)の長さはDL1という相対的に大きな値となり、折り線FL1、FL2から外側の部分の長さもr1という相対的に大きな値となる。よって、折り線FL1、FL2よりも外側の部分(突出部7、7を含む)での、折り線FL1、FL2周りの慣性モーメントを相対的に大きな値となってしまう。一方、伸縮部材11を有し、収縮させた場合、すなわち本実施の形態の場合(図8(a))には、伸縮部材11の機能により、半製品1bにおける伸縮部材11を含む部分での横断方向CD(幅方向)の長さはDL2(<DL1)という相対的に小さな値となり、折り線FL1、FL2から外側の部分の長さもr2(<r1)という相対的に小さな値となる。よって、折り線FL1、FL2よりも外側の部分(突出部を含む)での、折り線FL1、FL2周りの慣性モーメントを相対的に小さな値とすることができる。それにより、本実施の形態の場合では、折り線FL1、FL2を回転中心として折り線FL1、FL2よりも外側の部分(突出部を含む)を回転させるために必要な力、すなわち持ち上げるために必要な力を削減できる。その結果、不連続な突出部7、7を容易に立ち上がらせることが可能となる。
【0064】
更に、図9は、半製品1bの折り畳み方法を説明する模式図である。図9(a)及び図9(b)は、半製品1bにおける伸縮部材11を含む部分を押圧部材301が押圧する前の状態及び押圧した後の状態をそれぞれ示す。伸縮部材11の機能により伸縮部材11を含む部分には複数の皺11Sが形成されるので、伸縮部材よりも横断方向CD(幅方向)の長さが小さい押圧部材301により半製品1bの中央領域MAを、半製品1bの載置面に向かう方向へ押圧すると、複数の皺11Sの少なくとも一部が押圧部材301により潰される。その結果、載置面と反対側に向って凸の形状を有する皺11Sの頂点が載置面側に押し付けられ、その皺11Sが伸ばされることで、押圧された領域が載置面側で横断方向CDに拡がる。その押圧された領域の載置面側での横断方向CDの拡がりに伴い、押圧されていない領域、すなわち押圧された領域よりも横断方向CDの外側の側部領域PAが、逆に載置面に向かう方向とは反対の方向に立ち上がる。そのため、半製品1bにおける伸縮部材11を含む部分は全体として載置面と反対側に凹の形状を形成することになる。その結果、側部領域PAの横断方向CDの両側に配置されている突出部7、7も、その凹の形状に追随して立ち上がり易くできる。
【0065】
このように本吸収性物品の製造方法では、半製品(吸収性物品)に伸縮部材11を設けることにより、少なくとも上記二つの作用が相乗的に機能して、搬送方向MDに対して不連続な突出部7、7を容易に立ち上がらせることができ、それにより突出部7、7を側部領域PA、PAと共に安定的に折り畳むことができる。この場合、吸収性物品1の使用時には折り畳まれた部分を片側につき1箇所開くだけでよいので、使用者の作業負担は増加しない。すなわち、使用時の作業負担を増加させずに、突出部7、7を側部領域PA、PAと共に安定的に折り畳むことができる。
【0066】
図10は、半製品の連続体101cの構成例を模式的に示す。半製品の連続体101cは、複数の半製品1cが搬送方向に連結されて構成される。一つの半製品1cは、図7に示す半製品1bと基本的に同じ構成を有する。ただし、半製品1bと比較して、半製品1cにおける一対の側部領域PA、PAが中央領域MAの上方にそれぞれ折り畳まれる。
【0067】
折り畳み工程では、さらに、半製品の連続体101cが一製品分の吸収性物品に切り離されて吸収性物品1となる。図11は、一製品分に切り離された吸収性物品1の構成例を模式的に示している。切り離された吸収性物品1は、図8の半製品1cと同じ構成を有している。その後、吸収性物品1が搬送方向MDの中央部を通り横断方向CDに沿って延びる折り線FL3で搬送方向MDに折り畳まれて、包装される。
【0068】
以上のようにして、吸収性物品が製造される。
【0069】
上述された本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法によれば、使用時の作業負担を増加させずに、突出部7、7を側部領域PA、PAと共に安定的に折り畳むことができる。
【0070】
本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法では、好ましい形態として、搬送方向MDにおいて伸縮部材11全体が一対の突出部7、7に重なる。そのため、伸縮部材11を取り付けた効果(突出部を含む部分の折り線FL1、FL2周りの慣性モーメントの低下の効果、皺11Sの押圧による伸縮部材11を凹形状にする効果)をより強く発揮させることができる。よって突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0071】
本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法では、他の好ましい形態として、防漏壁5の立体部5cが重ねられ剛性が高くなった領域に折り線FL1、FL2を重ねる。それにより折り線FL1、FL2での折り目の剛性を高くすることができ、折り目を安定させることができる。更に立体部5cの搬送方向MDの収縮により側部領域PA、PAの立ち上がりを補助できる。これらにより突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。また、他の好ましい形態として、搬送方向MDにおいて防漏壁5の立体部5cは伸縮部材11に重ならない。そのため伸縮部材11の横断方向CDの伸縮が、立体部5cの搬送方向MDの伸縮に影響を受けない。それにより伸縮部材11を適切に収縮させることができ、伸縮部材11を取り付けた効果をより強く発揮できる。よって突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。また、他の好ましい形態として、防漏壁5の接続部5bが重ねられて剛性が高くなった領域に折り線FL1、FL2を重ねる。それにより、折り線FL1、FL2での折り目の剛性を高くすることができ、折り目を安定させることができる。よって突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0072】
本実施の形態に係る吸収性物品の製造方法では、好ましい形態として、接合対象部材12が重ねられ剛性が高くなった領域に折り線FL1、FL2を重ねる。それにより折り線FL1、FL2での折り目の剛性を高くすることができ、折り目を安定させることができる。よって突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。また、他の好ましい形態として、吸収体4が重ねられ剛性が高くなった領域に折り線FL1、FL2を重ねる。それにより折り線FL1、FL2での折り目の剛性を高くでき、折り目を安定させることができる。よって突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0073】
本吸収性物品の製造方法の他の好適な実施の形態では、折り線FL1、FL2が伸縮部材11の皺11Sの領域の中に存在してもよい。折り畳み工程にて、皺11Sを基点に側部領域PA、PAを容易に折り畳むことができ、それにより突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。また、他の好適な実施の形態では、伸縮部材11と突出部7、7とが重なってもよい。それにより伸縮部材11から突出部7、7までの部分の剛性を高くできる。よって突出部を側部領域と共により安定的に折り畳むことができる。
【0074】
本発明の吸収性物品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 吸収性物品
1a、1b、1c 半製品
7、8 突出部
11 伸縮部材
11S 皺
101a、101b、101c 半製品の連続体
【要約】
【課題】使用時の作業負担を増加させずに、突出部を側部領域と共に安定的に折り畳む。
【解決手段】吸収性物品の製造方法は、吸収性物品の半製品が搬送方向に連結されてなる半製品の連続体を準備する準備工程であって、半製品は幅方向の外側に突出する一対の突出部と、幅方向に伸縮可能に伸長状態で配置された伸縮部材と、を備える、準備工程と、伸縮部材11を収縮させて、半製品1bの幅方向の長さを小さくし、伸縮部材に複数の皺11Sを形成する収縮工程と、半製品の連続体を前記搬送方向に搬送しながら、半製品における幅方向の中央領域MAを押圧する押圧工程と、半製品の連続体を搬送方向に搬送しながら、半製品における幅方向の一対の側部領域PA、PAを、搬送方向に沿って延びる一対の折り線FL1、FL2で、中央領域の上方にそれぞれ折り畳む折り畳み工程と、を備える。
【選択図】図7
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11