【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、
【0011】
触媒成分及び活性成分の三成分系カーボンナノチューブ触媒を含み、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0であるポテト状(potato)または球状(sphere)であることを特徴とするカーボンナノチューブを提供する。
【0012】
また、本発明によれば、
【0013】
活性成分前駆体水溶液にマルチカルボン酸成分及び触媒成分前駆体水溶液を順次配合させた透明金属水溶液にアルミナ支持体を混合する段階と;
【0014】
前記混合物は40〜80℃下で真空乾燥した後、650〜800℃下で焼成させて、アルミナ支持体の表面及び細孔に触媒成分と活性成分を含浸コーティングさせたカーボンナノチューブ触媒を収得する段階と;
【0015】
前記カーボンナノチューブ触媒を流動層反応器に投入し、500〜900℃で、炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された一つ以上の炭素供給源、または前記炭素供給源と水素及び窒素の混合ガスを注入する段階と;
【0016】
前記触媒の表面上で、前記炭素供給源の分解を通じた化学的気相合成法により、上述したカーボンナノチューブを成長させる段階と;を含むカーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明のカーボンナノチューブは、触媒成分及び活性成分の三成分系カーボンナノチューブ触媒を含み、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0であるポテト状(potato)または球状(sphere)であることを技術的特徴とする。
【0019】
具体的に、前記粒度分布値(Dcnt)は、下記式で定義される。一例として、下記の実施例で明らかになったように、本発明特有の範囲を提供する。
【0020】
[式1]
Dcnt=[Dn90−Dn10]/Dn50
【0021】
(ここで、Dn90は、CNTを蒸溜水に入れ、3時間放置した後、Microtrac粒度分析機を用いて吸収(absorbing)モードで90%基準下で測定した個数平均粒径であり、Dn10は、10%基準下で測定した個数平均粒径、そして、Dn50は、50%基準下で測定した個数平均粒径である)
【0022】
前記粒度分布値は、一例として、0.55〜0.95、或いは0.55〜0.90であってもよい。
【0023】
また、前記カーボンナノチューブは、扁平率が0.9〜1.0である非バンドル(non bundle)タイプであることを他の技術的特徴とする。
【0024】
前記扁平率の範囲及び非バンドルのタイプは、本発明で提示した三成分系カーボンナノチューブ触媒の特定工程によってのみ達成できるという点に特徴がある(
図2参照)。具体的に、前記扁平率は下記式2で定義される。
【0025】
[式2]
扁平率=CNTの中心を貫通する最短直径/CNTの中心を貫通する最大直径
【0026】
本発明で使用する用語である、‘非バンドル(non bundle)’とは、特に言及されない限り、絡み合っている束(bundle)またはロープ(rope)の形態を有さないことを示す。
【0027】
また、本発明の前記カーボンナノチューブは、バルク密度(bulk density)が80〜250kg/m
3であることを更に他の特徴とする。
【0028】
具体的に、前記バルク密度は、下記式3で定義され、上述した三成分系カーボンナノチューブ触媒の微粉量が少ないので、これから成長したカーボンナノチューブの密度分布が本発明特有の範囲を提供する。
【0029】
[式3]
バルク密度=CNTの重量(kg)/CNTの体積(m
3)
【0030】
また、前記カーボンナノチューブは、粒径または平均粒径300〜800μm、及びそのカーボンナノチューブのストランド径10〜50nmを同時に満足することを特徴とする。
【0031】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体100モルを基準として、第1触媒成分のモル(x)、第2触媒成分のモル(y)、Mo成分のモル(z)が30≦x+y≦53、0.1≦y/[x+y]≦0.95及び3≦z≦13の範囲を満足するように選択されたもので、カーボンナノチューブの収率が2000%以上であることを特徴とする。
【0032】
他の一例として、前記アルミナ支持体100モルを基準として、35≦x+y≦53、0.1≦y/[x+y]≦0.9及び5.3≦z≦13の範囲を満足するように選択されてもよく、前記アルミナ支持体100モルを基準として、30≦x+y≦44、0.1≦y/[x+y]≦0.9及び3≦z≦8.5の範囲を満足するように選択されてもよく、または前記アルミナ支持体100モルを基準として、35≦x+y≦44、0.1≦y/[x+y]≦0.8及び5.3≦z≦8.5の範囲を満足するように選択されてもよい。
【0033】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体の表面及び細孔に触媒成分と活性成分が単層あるいは多層コーティングされた構造を有し、カーボンナノチューブの成長時に収率を改善させることができ、同時に、ウルトラソニック(ultrasonic)微粉量(基準:32μm)の測定値が10%以下に著しく少ないので、成長したカーボンナノチューブの密度分布が従来よりも顕著に緻密であることを特徴とする。一例として、前記ウルトラソニック微粉量(基準:32μm)の個数平均粒径の測定値は5%であってもよい。
【0034】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体(Al
2O
3)、触媒成分、マルチカルボン酸及び活性成分を含む。具体的には、活性成分にマルチカルボン酸を投入した後、触媒成分を順次投入することによって透明金属水溶液タイプでアルミナ支持体に提供された混合液であることを特徴とする。
【0035】
このとき、前記透明金属水溶液とは、沈殿を形成しない(Precipitation−free)水溶液を意味する。前記‘沈殿’という用語は、水内に触媒成分としてFe前駆体(iron nitrate)などを投入し、次いで、活性成分としてMo前駆体(Ammonium Molybdate)を投入する場合、常温でFe
3+と3MoO
−の反応によって生成されるFe(MoO)
3↓のような濃い黄色沈殿を意味する。
【0036】
本発明ではマルチカルボン酸を使用しており、その投入順序を、Fe成分やCo成分が投入されていない状態でMo成分に投入するように調節することによって、このような沈殿の形成を抑制し、結果的に、沈殿が支持体の表面で占める面積を減少させて、触媒の活性を改善するという利点を提供する。
【0037】
特に、本発明における透明な金属水溶液の濃度は、反応性を考慮する時、0.1〜0.4g/ml、または0.1〜0.3g/mlであることが効率的である。
【0038】
本発明で使用される触媒成分は、第1触媒成分としてFe及びNiから選択された1種以上、及び第2触媒成分としてCoで構成することができ、一例として、第1触媒成分として、Fe塩、Fe酸化物、Fe化合物、Ni塩、Ni酸化物、Ni化合物からなる群から選択された1種以上、第2触媒成分として、Co塩、Co酸化物、またはCo化合物からなる群から選択された1種以上であってもよく、更に他の一例として、Fe(NO
3)
2・6H
2O、Fe(NO
3)
2・9H
2O、Ni(NO
3)
2・6H
2O、Co(NO
3)
2・6H
2Oのような窒化物などであってもよい。
【0039】
また、本発明で使用される活性成分は、一例として、Moであってもよく、他の一例として、Mo塩、Mo酸化物、またはMo化合物であってもよく、更に他の一例として、(NH
4)
6Mo
7O
24・4H
2Oのような窒化物などを蒸溜水に溶解させて使用することができる。
【0040】
上記で水溶液の濃度として提示したように、前記活性成分の含量は、金属水溶液総100wt%を基準として0.2〜4wt%であってもよい。
【0041】
本発明で使用されるマルチカルボン酸成分は、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びテトラカルボン酸からなる群から選択された1種以上であってもよい。また、前記マルチカルボン酸成分の含量は、金属水溶液総100wt%を基準として0.1〜1.5wt%であってもよい。前記マルチカルボン酸と前記活性成分は0.2〜0.5のモル比とすることができる。
【0042】
前記混合液は、真空乾燥した後、焼成させて、アルミナ支持体の表面及び細孔にFe成分、Co成分及びMo成分を含浸/コーティングさせた担持触媒として収得することができる。
【0043】
上述したカーボンナノチューブは、一例として、活性成分前駆体水溶液にマルチカルボン酸成分を投入した後、触媒成分の前駆体水溶液を順次配合させて収得された透明金属水溶液に、アルミナ支持体を混合する段階と;
【0044】
前記混合液は40〜80℃の温度範囲で真空下に回転蒸発させて、真空乾燥した後、650〜800℃下で焼成させて、アルミナ支持体の表面及び細孔にFe、Co、Mo成分を含浸/コーティングさせたカーボンナノチューブ触媒を収得する段階と;
【0045】
前記カーボンナノチューブ触媒を流動層反応器の内部に投入し、500〜900℃の温度で、反応器の内部に炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源、または前記炭素供給源と水素、窒素の混合ガスを注入する段階と;
【0046】
前記触媒の表面上で、注入された炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源の分解を通じた化学的気相合成法によりカーボンナノチューブを成長させる段階と;を含む方法により製造することができる。
【0047】
更に他の一例としては、まず、水にMo成分を投入し、次いで、マルチカルボン酸を投入した後、Fe成分とCo成分を投入する順序からなる方法であり、収得された透明な金属水溶液の濃度は、反応性を考慮するとき、0.1〜0.4g/ml、具体的には0.1〜0.3g/mlであることが効率的である。
【0048】
このとき、真空乾燥は、40〜80℃の温度範囲で、真空下に30分〜3時間の範囲内で回転蒸発させて行われ、次に、焼成は650〜800℃下で行うことができる。焼成時間はこれに限定されるものではないが、30分〜5時間内で行うことができる。
【0049】
特に、前記真空乾燥前に回転または撹拌によって45〜80℃下で熟成させることができる。一例として、最大5時間、20分〜5時間、あるいは1〜4時間間行うことができる。
【0050】
さらに、前記真空乾燥後、焼成を行う前に250〜400℃下で予備焼成を行うことができる。具体的な例として、前記予備焼成の直前に全体金属水溶液のうち、最大50%、1〜45%、あるいは5〜40%をアルミナ支持体に含浸させて使用し、前記焼成の直前に金属水溶液の残部をアルミナ支持体に含浸させて使用することが、反応の効率性の面で好ましい。
【0051】
これに限定されるものではないが、焼成前に測定した触媒の粒径あるいは平均粒径は30〜150μmであり、体積平均粒度は10〜50nmである球状であってもよい。
【0052】
このような方法で収得されたカーボンナノチューブ触媒は、バルク形状が球状またはポテト状であり、アルミナ支持体の細孔に浸透して、アルミナの奥深くに触媒成分と活性成分(Fe、Co、Mo成分)が単層あるいは多層コーティングされた構造を有する。
【0053】
前記アルミナ支持体の表面及び細孔にFe、Co、Mo成分がコーティングされた担持触媒は、前記アルミナ支持体の粒径あるいは平均粒径の範囲(32〜95μm)を考慮して、粒径あるいは平均粒径を基準として32μm以下の粒径をウルトラソニック微粉量と定義するとき、個数平均粒径の測定値が10%内、あるいは5%内であることを特徴とする。
【0054】
参考に、前記ウルトラソニック時、微粉は、触媒に付いている触媒物質と活性物質の凝集体であって、ふるいにかけた時はふるいを通過しないが、支持体によくコーティングされた触媒−活性物質とは根本的に粒度も、また触媒活性も異なるもので、このように触媒に付いている島(island)状の凝集体によりCNTの収率が著しく低下し、このような物質は多少弱く触媒に付いているため、ウルトラソニック時に分離されて、微粉が生成されるようになる。
【0055】
本発明において、前記ウルトラソニック微粉量は、1分間ウルトラソニック処理後に粒度分析機を通じて測定された個数平均粒径の微粉量を意味するもので、このとき、前記担持とは、多層担持を含む。
【0056】
特に、本発明によって収得されたカーボンナノチューブ触媒は、比表面積を考慮するとき、球状または球状に近いポテトタイプであることが好ましく、
図1のSEM写真で見るように、実際に本発明で製造したカーボンナノチューブ担持触媒もまた完全に球状に近いだけでなく、気孔が非常に緻密なタイプ(扁平率が0.9〜1.0であるポテト状または球状の非バンドルタイプであって、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0)であることを確かめた。
【0057】
本発明で提供されるカーボンナノチューブ担持触媒は、焼成前の粒径あるいは平均粒径が30〜150μmであり、SEMで観察時に表面粒度が10〜50nmであることが、CNTの直径調節及び触媒活性の面で好ましい。
【0058】
上述した方法で収得されたカーボンナノチューブ触媒を流動層反応器の内部に投入し、500〜900℃の温度で、反応器の内部に炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源、または前記炭素供給源と水素、窒素の混合ガスを注入する。
【0059】
前記触媒の表面上で、注入された炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源の分解を通じた化学的気相合成法により、非バンドルの球状構造を有するカーボンナノチューブを成長させる場合、下記の実施例で確かめたように、収率が2000%以上であるカーボンナノチューブを製造することができる。
【0060】
すなわち、本発明で収得されたカーボンナノチューブは、バルク形状が球状であり、バルク密度(bulk density)として提示されたように、密度が重いので、CNTの飛散や包装など、CNTの取り扱いにおいて長所を有する。
【0061】
本発明のカーボンナノチューブは、電気分野、電子分野、エネルギー分野などで原料として使用することができ、また、プラスチック分野で補強材などとして使用することができる。