特許第5957773号(P5957773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957773
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】カーボンナノチューブ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01B 31/02 20060101AFI20160714BHJP
   B01J 23/88 20060101ALI20160714BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20160714BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   C01B31/02 101F
   B01J23/88 M
   B01J37/02 101E
   B01J37/08
【請求項の数】10
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-524953(P2014-524953)
(86)(22)【出願日】2013年1月9日
(65)【公表番号】特表2014-521589(P2014-521589A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】KR2013000157
(87)【国際公開番号】WO2013105779
(87)【国際公開日】20130718
【審査請求日】2014年2月10日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0003420
(32)【優先日】2012年1月11日
(33)【優先権主張国】KR
(31)【優先権主張番号】10-2013-0001078
(32)【優先日】2013年1月4日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100122161
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 崇
(72)【発明者】
【氏名】キュン・ヨン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ド・キム
(72)【発明者】
【氏名】スン・ジン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・クン・ヨン
【審査官】 壷内 信吾
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−506312(JP,A)
【文献】 特開2005−335968(JP,A)
【文献】 特表2009−500158(JP,A)
【文献】 特表2013−502309(JP,A)
【文献】 特表2012−533413(JP,A)
【文献】 特開2010−137222(JP,A)
【文献】 特表2008−519679(JP,A)
【文献】 特開平06−106063(JP,A)
【文献】 特開昭59−102442(JP,A)
【文献】 特開2007−297245(JP,A)
【文献】 特開2007−275854(JP,A)
【文献】 特表2014−533200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B31/00−31/36
B01J21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe及びNiから選択された1種以上の第1触媒成分と、Coの第2触媒成分と、Moの活性成分との三成分系カーボンナノチューブ触媒を含み、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0であるポテト状(potato)または球状(sphere)であることを特徴とする、カーボンナノチューブ。
【請求項2】
前記カーボンナノチューブは、扁平率が0.9〜1.0である非バンドル(non−bundle)タイプであることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブは、バルク密度(bulk density)が80〜250kg/mであることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブは、粒径あるいは平均粒径が300〜800μmであり、そのカーボンナノチューブのストランド径が10〜50nmであることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
【請求項5】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体100モルを基準として、第1触媒成分のモル(x)、第2触媒成分のモル(y)、活性成分のモル(z)が30≦x+y≦53、0.1≦y/[x+y]≦0.95及び3≦z≦13の範囲を満足するように選択されることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ。
【請求項6】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、前記第1触媒成分と前記第2触媒成分と前記活性成分とがアルミナ支持体の表面及び細孔に単層あるいは多層コーティングされた構造を有することを特徴とする、請求項1又は5に記載のカーボンナノチューブ。
【請求項7】
活性成分前駆体水溶液にマルチカルボン酸成分及び触媒成分前駆体水溶液を順次配合させた透明金属水溶液にアルミナ支持体を混合する段階と、
得られた混合物40〜80℃下で真空乾燥した後、650〜800℃下で焼成させて、アルミナ支持体の表面及び細孔に触媒成分と活性成分を含浸コーティングさせたカーボンナノチューブ触媒を収得する段階と、
前記カーボンナノチューブ触媒を流動層反応器に投入し、500〜900℃で、炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された一つ以上の炭素供給源、または前記炭素供給源と水素及び窒素の混合ガスを注入する段階と、
前記触媒の表面上で、前記炭素供給源の分解を通じた化学的気相合成法により、請求項1に記載のカーボンナノチューブを成長させる段階とを含み、
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体100モルを基準として、第1触媒成分のモル(x)、第2触媒成分のモル(y)、活性成分のモル(z)が30≦x+y≦53、0.1≦y/[x+y]≦0.95及び3≦z≦13の範囲を満足するように選択される、カーボンナノチューブの製造方法。
【請求項8】
前記真空乾燥前に45〜80℃下で前記混合物を熟成させる段階を含むことを特徴とする、請求項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項9】
前記真空乾燥後、焼成を行う前に250〜400℃下で予備焼成を行う段階を含むことを特徴とする、請求項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【請求項10】
前記予備焼成の直前に金属水溶液の全体使用量の一部をアルミナ支持体に含浸させ、焼成の直前に金属水溶液の残量をアルミナ支持体に含浸させことを特徴とする、請求項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ及びその製造方法に係り、より詳細には、従来のCNT製造用含浸法の場合、CNTの収率を高めることが難しいという短所を解決するために、含浸担持触媒の活性及び微粉を同時に制御することによって、触媒成分と活性成分の三成分系カーボンナノチューブ触媒を含み、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0であるポテト状(potato)または球状(sphere)のカーボンナノチューブを、含浸担持触媒を使用しながら、高収率で提供するカーボンナノチューブ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(CNT)とは、3〜150nm、具体的には、3〜100nmの直径を有し、長さが直径の数倍、すなわち、100倍以上である円筒状炭素チューブを意味するものと理解される。このようなチューブは、整列された炭素原子の層からなり、互いに異なる形態のコアを有する。このようなカーボンナノチューブは、例えば、炭素フィブリルまたは中空炭素繊維とも呼ばれる。このようなカーボンナノチューブの大きさ及び特定の性質によって、カーボンナノチューブは、複合材の製造において産業的に非常に重要である。
【0003】
前記カーボンナノチューブは、一般に、アーク放電法(arc discharge)、レーザーアブレーション法(laser ablation)、化学気相蒸着法(chemical vapor deposition)などにより製造される。しかし、前記アーク放電法及びレーザーアブレーション法は、大量生産が難しく、莫大なアーク生産費用またはレーザー装備購入費用が問題となる。
【0004】
また、前記化学気相蒸着法は、気相分散触媒を使用する方法の場合、合成速度が非常に遅く、合成されるCNTの粒子が過度に小さいという問題があり、基板担持触媒を使用する方法の場合、反応器内の空間利用の効率が大きく低下するため、CNTの大量生産に限界がある。
【0005】
前記触媒は、主に触媒活性的な成分が酸化物形態、部分または完全還元された形態、または水酸化物形態を有し、通常、CNTの製造に使用できるカーボンナノチューブ触媒、共沈触媒などであってもよい。このうち、カーボンナノチューブ触媒を使用することが好ましい。これは、カーボンナノチューブ触媒が使用される場合、触媒自体のバルク密度が共沈触媒に比べて高く、共沈触媒とは異なり、10ミクロン以下の微粉が少ないため、流動化過程で発生し得る摩耗(attrition)による微粉発生の可能性を低減させることができ、触媒自体の機械的強度も優れるので、反応器の運転を安定的に行うことができるという効果を有するからである。
【0006】
また、このようなカーボンナノチューブ触媒の製造方法としては、金属水溶液と支持体を混合した後、コーティング−乾燥させて触媒を製造する技術(含浸法)が提示されているが、この場合、製造された触媒は触媒積載量の限界を有するという短所がある。また、活性成分及び触媒成分の不均一な分布は、CNTの成長収率及びCNTの直径分布にも重要な要素として作用するが、これを制御できる技術が提示されていない。
【0007】
特に、従来の含浸法によれば、製造された担持触媒を用いてカーボンナノチューブを合成した場合、収率(yield)が1000%未満であるだけでなく、これもまた積載量が高いため、収率において限界を有する。また、バンドル(bundle)タイプで、バルク密度(bulk density)が軽いため、反応気体を注入させる速度が低くなり、これによって、CNTの生産性を低下させるという短所もあった。
【0008】
そこで、カーボンナノチューブ触媒を使用してもバルク密度が高いカーボンナノチューブを高収率で合成することができる研究が必要な実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記のような従来技術の問題点を解決するために、本発明は、新しい形態及び特性を有するカーボンナノチューブと、従来、カーボンナノチューブ触媒を使用する場合、カーボンナノチューブの合成収率が不良であった短所を克服し、触媒の活性及び微粉を同時に制御することによってバルク密度及び収率を改善させたカーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、
【0011】
触媒成分及び活性成分の三成分系カーボンナノチューブ触媒を含み、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0であるポテト状(potato)または球状(sphere)であることを特徴とするカーボンナノチューブを提供する。
【0012】
また、本発明によれば、
【0013】
活性成分前駆体水溶液にマルチカルボン酸成分及び触媒成分前駆体水溶液を順次配合させた透明金属水溶液にアルミナ支持体を混合する段階と;
【0014】
前記混合物は40〜80℃下で真空乾燥した後、650〜800℃下で焼成させて、アルミナ支持体の表面及び細孔に触媒成分と活性成分を含浸コーティングさせたカーボンナノチューブ触媒を収得する段階と;
【0015】
前記カーボンナノチューブ触媒を流動層反応器に投入し、500〜900℃で、炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された一つ以上の炭素供給源、または前記炭素供給源と水素及び窒素の混合ガスを注入する段階と;
【0016】
前記触媒の表面上で、前記炭素供給源の分解を通じた化学的気相合成法により、上述したカーボンナノチューブを成長させる段階と;を含むカーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【0017】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0018】
本発明のカーボンナノチューブは、触媒成分及び活性成分の三成分系カーボンナノチューブ触媒を含み、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0であるポテト状(potato)または球状(sphere)であることを技術的特徴とする。
【0019】
具体的に、前記粒度分布値(Dcnt)は、下記式で定義される。一例として、下記の実施例で明らかになったように、本発明特有の範囲を提供する。
【0020】
[式1]
Dcnt=[Dn90−Dn10]/Dn50
【0021】
(ここで、Dn90は、CNTを蒸溜水に入れ、3時間放置した後、Microtrac粒度分析機を用いて吸収(absorbing)モードで90%基準下で測定した個数平均粒径であり、Dn10は、10%基準下で測定した個数平均粒径、そして、Dn50は、50%基準下で測定した個数平均粒径である)
【0022】
前記粒度分布値は、一例として、0.55〜0.95、或いは0.55〜0.90であってもよい。
【0023】
また、前記カーボンナノチューブは、扁平率が0.9〜1.0である非バンドル(non bundle)タイプであることを他の技術的特徴とする。
【0024】
前記扁平率の範囲及び非バンドルのタイプは、本発明で提示した三成分系カーボンナノチューブ触媒の特定工程によってのみ達成できるという点に特徴がある(図2参照)。具体的に、前記扁平率は下記式2で定義される。
【0025】
[式2]
扁平率=CNTの中心を貫通する最短直径/CNTの中心を貫通する最大直径
【0026】
本発明で使用する用語である、‘非バンドル(non bundle)’とは、特に言及されない限り、絡み合っている束(bundle)またはロープ(rope)の形態を有さないことを示す。
【0027】
また、本発明の前記カーボンナノチューブは、バルク密度(bulk density)が80〜250kg/mであることを更に他の特徴とする。
【0028】
具体的に、前記バルク密度は、下記式3で定義され、上述した三成分系カーボンナノチューブ触媒の微粉量が少ないので、これから成長したカーボンナノチューブの密度分布が本発明特有の範囲を提供する。
【0029】
[式3]
バルク密度=CNTの重量(kg)/CNTの体積(m
【0030】
また、前記カーボンナノチューブは、粒径または平均粒径300〜800μm、及びそのカーボンナノチューブのストランド径10〜50nmを同時に満足することを特徴とする。
【0031】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体100モルを基準として、第1触媒成分のモル(x)、第2触媒成分のモル(y)、Mo成分のモル(z)が30≦x+y≦53、0.1≦y/[x+y]≦0.95及び3≦z≦13の範囲を満足するように選択されたもので、カーボンナノチューブの収率が2000%以上であることを特徴とする。
【0032】
他の一例として、前記アルミナ支持体100モルを基準として、35≦x+y≦53、0.1≦y/[x+y]≦0.9及び5.3≦z≦13の範囲を満足するように選択されてもよく、前記アルミナ支持体100モルを基準として、30≦x+y≦44、0.1≦y/[x+y]≦0.9及び3≦z≦8.5の範囲を満足するように選択されてもよく、または前記アルミナ支持体100モルを基準として、35≦x+y≦44、0.1≦y/[x+y]≦0.8及び5.3≦z≦8.5の範囲を満足するように選択されてもよい。
【0033】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体の表面及び細孔に触媒成分と活性成分が単層あるいは多層コーティングされた構造を有し、カーボンナノチューブの成長時に収率を改善させることができ、同時に、ウルトラソニック(ultrasonic)微粉量(基準:32μm)の測定値が10%以下に著しく少ないので、成長したカーボンナノチューブの密度分布が従来よりも顕著に緻密であることを特徴とする。一例として、前記ウルトラソニック微粉量(基準:32μm)の個数平均粒径の測定値は5%であってもよい。
【0034】
前記三成分系カーボンナノチューブ触媒は、アルミナ支持体(Al)、触媒成分、マルチカルボン酸及び活性成分を含む。具体的には、活性成分にマルチカルボン酸を投入した後、触媒成分を順次投入することによって透明金属水溶液タイプでアルミナ支持体に提供された混合液であることを特徴とする。
【0035】
このとき、前記透明金属水溶液とは、沈殿を形成しない(Precipitation−free)水溶液を意味する。前記‘沈殿’という用語は、水内に触媒成分としてFe前駆体(iron nitrate)などを投入し、次いで、活性成分としてMo前駆体(Ammonium Molybdate)を投入する場合、常温でFe3+と3MoOの反応によって生成されるFe(MoO)↓のような濃い黄色沈殿を意味する。
【0036】
本発明ではマルチカルボン酸を使用しており、その投入順序を、Fe成分やCo成分が投入されていない状態でMo成分に投入するように調節することによって、このような沈殿の形成を抑制し、結果的に、沈殿が支持体の表面で占める面積を減少させて、触媒の活性を改善するという利点を提供する。
【0037】
特に、本発明における透明な金属水溶液の濃度は、反応性を考慮する時、0.1〜0.4g/ml、または0.1〜0.3g/mlであることが効率的である。
【0038】
本発明で使用される触媒成分は、第1触媒成分としてFe及びNiから選択された1種以上、及び第2触媒成分としてCoで構成することができ、一例として、第1触媒成分として、Fe塩、Fe酸化物、Fe化合物、Ni塩、Ni酸化物、Ni化合物からなる群から選択された1種以上、第2触媒成分として、Co塩、Co酸化物、またはCo化合物からなる群から選択された1種以上であってもよく、更に他の一例として、Fe(NO・6HO、Fe(NO・9HO、Ni(NO・6HO、Co(NO・6HOのような窒化物などであってもよい。
【0039】
また、本発明で使用される活性成分は、一例として、Moであってもよく、他の一例として、Mo塩、Mo酸化物、またはMo化合物であってもよく、更に他の一例として、(NHMo24・4HOのような窒化物などを蒸溜水に溶解させて使用することができる。
【0040】
上記で水溶液の濃度として提示したように、前記活性成分の含量は、金属水溶液総100wt%を基準として0.2〜4wt%であってもよい。
【0041】
本発明で使用されるマルチカルボン酸成分は、ジカルボン酸、トリカルボン酸及びテトラカルボン酸からなる群から選択された1種以上であってもよい。また、前記マルチカルボン酸成分の含量は、金属水溶液総100wt%を基準として0.1〜1.5wt%であってもよい。前記マルチカルボン酸と前記活性成分は0.2〜0.5のモル比とすることができる。
【0042】
前記混合液は、真空乾燥した後、焼成させて、アルミナ支持体の表面及び細孔にFe成分、Co成分及びMo成分を含浸/コーティングさせた担持触媒として収得することができる。
【0043】
上述したカーボンナノチューブは、一例として、活性成分前駆体水溶液にマルチカルボン酸成分を投入した後、触媒成分の前駆体水溶液を順次配合させて収得された透明金属水溶液に、アルミナ支持体を混合する段階と;
【0044】
前記混合液は40〜80℃の温度範囲で真空下に回転蒸発させて、真空乾燥した後、650〜800℃下で焼成させて、アルミナ支持体の表面及び細孔にFe、Co、Mo成分を含浸/コーティングさせたカーボンナノチューブ触媒を収得する段階と;
【0045】
前記カーボンナノチューブ触媒を流動層反応器の内部に投入し、500〜900℃の温度で、反応器の内部に炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源、または前記炭素供給源と水素、窒素の混合ガスを注入する段階と;
【0046】
前記触媒の表面上で、注入された炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源の分解を通じた化学的気相合成法によりカーボンナノチューブを成長させる段階と;を含む方法により製造することができる。
【0047】
更に他の一例としては、まず、水にMo成分を投入し、次いで、マルチカルボン酸を投入した後、Fe成分とCo成分を投入する順序からなる方法であり、収得された透明な金属水溶液の濃度は、反応性を考慮するとき、0.1〜0.4g/ml、具体的には0.1〜0.3g/mlであることが効率的である。
【0048】
このとき、真空乾燥は、40〜80℃の温度範囲で、真空下に30分〜3時間の範囲内で回転蒸発させて行われ、次に、焼成は650〜800℃下で行うことができる。焼成時間はこれに限定されるものではないが、30分〜5時間内で行うことができる。
【0049】
特に、前記真空乾燥前に回転または撹拌によって45〜80℃下で熟成させることができる。一例として、最大5時間、20分〜5時間、あるいは1〜4時間間行うことができる。
【0050】
さらに、前記真空乾燥後、焼成を行う前に250〜400℃下で予備焼成を行うことができる。具体的な例として、前記予備焼成の直前に全体金属水溶液のうち、最大50%、1〜45%、あるいは5〜40%をアルミナ支持体に含浸させて使用し、前記焼成の直前に金属水溶液の残部をアルミナ支持体に含浸させて使用することが、反応の効率性の面で好ましい。
【0051】
これに限定されるものではないが、焼成前に測定した触媒の粒径あるいは平均粒径は30〜150μmであり、体積平均粒度は10〜50nmである球状であってもよい。
【0052】
このような方法で収得されたカーボンナノチューブ触媒は、バルク形状が球状またはポテト状であり、アルミナ支持体の細孔に浸透して、アルミナの奥深くに触媒成分と活性成分(Fe、Co、Mo成分)が単層あるいは多層コーティングされた構造を有する。
【0053】
前記アルミナ支持体の表面及び細孔にFe、Co、Mo成分がコーティングされた担持触媒は、前記アルミナ支持体の粒径あるいは平均粒径の範囲(32〜95μm)を考慮して、粒径あるいは平均粒径を基準として32μm以下の粒径をウルトラソニック微粉量と定義するとき、個数平均粒径の測定値が10%内、あるいは5%内であることを特徴とする。
【0054】
参考に、前記ウルトラソニック時、微粉は、触媒に付いている触媒物質と活性物質の凝集体であって、ふるいにかけた時はふるいを通過しないが、支持体によくコーティングされた触媒−活性物質とは根本的に粒度も、また触媒活性も異なるもので、このように触媒に付いている島(island)状の凝集体によりCNTの収率が著しく低下し、このような物質は多少弱く触媒に付いているため、ウルトラソニック時に分離されて、微粉が生成されるようになる。
【0055】
本発明において、前記ウルトラソニック微粉量は、1分間ウルトラソニック処理後に粒度分析機を通じて測定された個数平均粒径の微粉量を意味するもので、このとき、前記担持とは、多層担持を含む。
【0056】
特に、本発明によって収得されたカーボンナノチューブ触媒は、比表面積を考慮するとき、球状または球状に近いポテトタイプであることが好ましく、図1のSEM写真で見るように、実際に本発明で製造したカーボンナノチューブ担持触媒もまた完全に球状に近いだけでなく、気孔が非常に緻密なタイプ(扁平率が0.9〜1.0であるポテト状または球状の非バンドルタイプであって、粒度分布値(Dcnt)0.5〜1.0)であることを確かめた。
【0057】
本発明で提供されるカーボンナノチューブ担持触媒は、焼成前の粒径あるいは平均粒径が30〜150μmであり、SEMで観察時に表面粒度が10〜50nmであることが、CNTの直径調節及び触媒活性の面で好ましい。
【0058】
上述した方法で収得されたカーボンナノチューブ触媒を流動層反応器の内部に投入し、500〜900℃の温度で、反応器の内部に炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源、または前記炭素供給源と水素、窒素の混合ガスを注入する。
【0059】
前記触媒の表面上で、注入された炭素数1〜4の飽和または不飽和炭化水素から選択された1種以上の炭素供給源の分解を通じた化学的気相合成法により、非バンドルの球状構造を有するカーボンナノチューブを成長させる場合、下記の実施例で確かめたように、収率が2000%以上であるカーボンナノチューブを製造することができる。
【0060】
すなわち、本発明で収得されたカーボンナノチューブは、バルク形状が球状であり、バルク密度(bulk density)として提示されたように、密度が重いので、CNTの飛散や包装など、CNTの取り扱いにおいて長所を有する。
【0061】
本発明のカーボンナノチューブは、電気分野、電子分野、エネルギー分野などで原料として使用することができ、また、プラスチック分野で補強材などとして使用することができる。
【発明の効果】
【0062】
上述したように、本発明によれば、従来のCNT製造用含浸法の場合、CNTの収率を高めることが難しいという短所を解決し、含浸担持触媒の活性及び微粉を同時に制御することによって、非バンドルタイプで、球状を有するCNTを高収率で合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】本発明の実施例1に係る触媒のSEM写真である(X100,000)。
図2】本発明の実施例1の触媒を使用して合成したCNTのSEMイメージを示す写真である(x35)。
図3】実施例1(Fe/Co/Mo触媒)、比較例2(Co/Mo触媒)、比較例3(Fe/Mo触媒)の各含浸担持触媒別SEMイメージを示す写真である(x800)。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、下記の実施例は本発明を例示するものに過ぎず、本発明をこれに限定するものではない。
【0065】
[実施例]
【0066】
実施例1<CNT触媒の製造1>
【0067】
A.金属水溶液の製造
【0068】
(NHMo24・4HO 0.276gを10mlの水に溶解させたフラスコAに、クエン酸0.109gを投入した後、Fe(NO・9HO 0.797gとCo(NO・6HO 2.175gを投入して準備した。すなわち、使用するAl2.5gをmol基準100に換算すると、Fe 8、Co 30、Mo 6.3、Fe+Coは38、Co/[Fe+Co]は0.8であることを確認することができる。
【0069】
製造された金属水溶液は、沈殿のない澄んだ溶液状態で観察された。
【0070】
また、(NHMo24・4HO 1mol当たり7molのMoが存在するので、活性成分Moのモル数は1.563mmol、マルチカルボン酸としてクエン酸のモル数は0.73mmolで、マルチカルボン酸/活性成分のモル比は0.46であることを確認することができた。
【0071】
B.支持体の準備
【0072】
また、Al(D50=76micron、pore volume:0.64cm/g、surface area:237m/g、Saint Gobain社製)2.5gが入っているフラスコBを準備した。
【0073】
C.金属水溶液と支持体から第1金属触媒層を有する担持触媒製造
【0074】
フラスコBに、前記フラスコA溶液13.4gの50%である6.7gを添加させて、触媒活性金属前駆体を十分にAlに担持させた後、60℃の恒温槽で5分間撹拌して熟成させた。これを、前記温度を維持しながら150rpmで回転させ、真空乾燥下に30分間乾燥させた。乾燥された触媒を350℃で1時間間焼成させて、均質(homogeneous)担持触媒を製造した。
【0075】
D.金属水溶液から第2金属触媒層を有する担持触媒製造
【0076】
前記C.項目で収得された第1金属触媒層が担持された触媒が備えられたフラスコCに、フラスコAに残っている金属溶液6.7gを添加して、触媒活性金属前駆体を十分にAlに担持させた後、60℃の恒温槽で5分間撹拌して熟成させた。
【0077】
これを、前記温度を維持しながら150rpmで回転させ、真空条件下に30分間乾燥させた。乾燥された触媒を750℃下で3時間間焼成させて、均質(homogeneous)触媒を製造した。
【0078】
また、製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は0wt%であった。また、水に分散させた後、粒度分析機(Microtrac、bluewave)を用いて1分間40ワット(watt)のウルトラソニックに振とうした後、32μm以下の粒子の数の比率を測定した。その結果、ウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に0%に該当した。
【0079】
このように製造された触媒のSEMイメージは、図3の実施例1に該当する。
【0080】
実施例2<CNT触媒の製造2>
【0081】
実施例1のA.金属水溶液の製造において、(NHMo24・4HO 0.368g、Fe(NO・9HO 0.906g、Co(NO・6HO 2.472g及びクエン酸0.146gに代えたこと以外は、前記実施例1と同様の工程を繰り返した。Al 2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算して、下記表1に記載した。
【0082】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は0wt%であった。
【0083】
このような触媒上に、基準32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に0%に該当した。
【0084】
実施例3<CNT触媒の製造3>
【0085】
実施例1のA.金属水溶液の製造において、(NHMo24・4HO 0.368g、Fe(NO・9HO 2.264g、Co(NO・6HO 1.545g及びクエン酸0.146gに代えたこと以外は、前記実施例1と同様の工程を繰り返した。すなわち、使用するAl2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算して、下記表1に記載した。
【0086】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は4wt%であった。
【0087】
このような触媒上に、基準32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に8%に該当した。
【0088】
実施例4<CNT触媒の製造4>
【0089】
実施例1のA.金属水溶液の製造において、(NHMo24・4HO 0.230g、Fe(NO・9HO 3.098g、Co(NO・6HO 0.235g及びクエン酸0.091gに代えたこと以外は、前記実施例1と同様の工程を繰り返した。Al 2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算して、下記表1に記載した。
【0090】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は4wt%であった。
【0091】
このような触媒上に、基準32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に8%に該当した。
【0092】
実施例5<CNT触媒の製造5>
【0093】
実施例1のC.金属水溶液と支持体から第1金属触媒層を有する担持触媒製造において、750℃下で焼成を行い、D.金属水溶液から第2金属触媒層を有する担持触媒製造は省略し、金属水溶液の濃度は同一にし、1回の担持水溶液として13.4g全体を使用したこと以外は、実施例1と同様の工程を繰り返した。Al 2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算して、下記表1に記載した。
【0094】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は4wt%であった。
【0095】
このような触媒上に、32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に6%に該当した。
【0096】
比較例1<CNT触媒の比較製造1>
【0097】
実施例1のA.金属水溶液の製造において、(NHMo24・4HO 0.092g、Fe(NO・9HO 1.812g、Co(NO・6HO 1.854g及びクエン酸0.036gに代えたこと以外は、前記実施例4と同様の工程を繰り返した。Al 2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算して、下記表1に記載した。
【0098】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は6wt%であった。
【0099】
このような触媒上に、32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に14%に該当した。
【0100】
比較例2<CNT触媒の比較製造2>
【0101】
実施例1のA.金属水溶液の製造において、(NHMo24・4HO 0.644g、Fe(NO・9HOは使用せず、Co(NO・6HO 2.472g及びクエン酸0.255gに代えたこと以外は、前記実施例4と同様の工程を繰り返した。Al 2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算して、下記表1に記載した。
【0102】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は0wt%であった。
【0103】
このような触媒上に、32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に0%に該当した。
【0104】
このように製造された触媒のSEMイメージは、図3の比較例2に該当する。
【0105】
比較例3<CNT触媒の比較製造3>
【0106】
実施例1のA.金属水溶液の製造において、(NHMo24・4HO 0.644g、Fe(NO・9HO 3.623g、Co(NO・6HOは使用せず、及びクエン酸0.255gに代えたこと以外は、前記実施例1と同様の工程を繰り返した。Al 2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算して、下記表1に記載した。
【0107】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は21wt%であった。
【0108】
このような触媒上に、32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に48%に該当した。
【0109】
このように製造された触媒のSEMイメージは、図3の比較例3に該当する。
【0110】
CNT製造例
【0111】
実施例1〜5で製造されたCNT合成用触媒を用いて、実験室規模の固定層反応装置でカーボンナノチューブ合成を試験した。
【0112】
具体的に、前記実施例1で製造されたCNT合成用触媒を直径55mmの内径を有する石英管の中間部に装着した後、窒素雰囲気で700℃まで昇温させた後、維持し、窒素と水素、そしてエチレンガスの体積混合比を同一の割合で1分当り総180ml流しながら、1時間間合成して、所定量のカーボンナノチューブを合成した。
【0113】
合成されたカーボンナノチューブを常温で収得して、その含量を電子秤を用いて測定した。このとき、反応収率は、使用したCNT合成用触媒の重量及び反応後の重量の増加量を基準として、下記の式に基づいて計算した。
【0114】
CNTの収率(%)=(反応後の総重量g−使用した触媒の重量g)/使用した触媒の重量g×100
【0115】
前記1時間反応後にCNT回収器に収集されたCNTは、実施例1の場合、触媒の投入量対比4121%のCNTの収率を示した。このとき、得られたCNTの平均外径は20nmであった。製造されたCNTの形状は、図2で見るように、バルク形状が球状であることを確認することができた。一定の体積に該当する重量測定方式を通じて測定したバルク密度は89kg/mであることを確認することができた。
【0116】
具体的に、バルク密度は、メスシリンダーにCNTを充填し、重量を測定した後、測定された重量をメスシリンダーの体積で割って計算した。
【0117】
また、扁平率は、CNT SEM写真から中心を通過する最大直径を最小直径で割った比で測定した。
【0118】
さらに、製造されたCNTを蒸溜水に入れ、3時間放置した後、Microtrac粒度分析機を用いて吸収(absorbing)モードで個数平均粒径を測定した後、10%基準の個数平均粒径Dn10、90%基準の個数平均粒径Dn90、及び50%基準の個数平均粒径Dn50の値を得た後、下記の関係式を通じて、粒径分布値であるDcntを示した。製造されたCNTの粒径分布値であるDcntは0.88であることを確認することができた。
【0119】
[式1]
Dcnt=[Dn90−Dn10]/Dn50
【0120】
実施例2〜5の結果もまた、下記の表1に共に整理した。
【0121】
CNT製造の比較例
【0122】
前記実施例1〜5の触媒の代わりに、比較例1〜3の触媒を使用したこと以外は、前記CNT製造例と同様の方法で実施した。
【0123】
前記1時間反応後にCNT回収器に収集されたCNTは、比較例1の場合、触媒の投入量対比1508%の収率を示した。このとき、得られたCNTの平均外径は20nmであった。また、測定されたバルク密度は205kg/mであった。
【0124】
また、比較例2〜3の結果もまた、下記の表1に共に整理した。
【0125】
【表1】
【0126】
*上記表からわかるように、特定のモル比を満足する実施例1〜5の場合、製造された含浸担持触媒を使用して合成したCNTの収率は2000%以上であり、且つ扁平率が0.9〜1.0のポテト状(potato)または球状であり、粒度分布値(Dcnt)が0.5〜1.0であり、また、バルク密度が80〜250kg/mの範囲内であり、それだけでなく、ウルトラソニック微粉量が個数平均粒径の測定値で10%以内であることを確認することができた。
【0127】
反面、特定のモル比を外れる比較例1〜3の場合、製造された含浸担持触媒を使用して合成したCNTの収率は2000%未満であり、扁平率が0.9〜1.0の球状であるが、粒度分布値(Dcnt)が1.0を外れ、ウルトラソニック微粉量が10%内を満足しないことを確認することができた。
【0128】
さらに、一定範囲のMoは、Fe及びCoなどの触媒物質の分散を高めることで、CNTの収率を高めるのに寄与するが、過量添加される場合、むしろMnOクラスター(MnO−cluster)が形成されて、分散に不利な影響を与えるだけでなく、触媒の製造時に微粉をさらに多く発生させるという不利な結果をもたらすことを確認することができた。
【0129】
参考例1
【0130】
実施例1のA.金属水溶液の製造段階において、Fe(NO・9HO 0.797gを10mlの水に溶解させたフラスコAにクエン酸0.109gを投入した後、(NHMo24・4HO 0.276gとCo(NO・6HO 2.175gを投入したこと以外は、実施例1と同様の工程を繰り返した。沈殿が発生したことを発見し、30分間強く撹拌させて沈殿物を強制的に溶かした後、実施例1と同様の方式で触媒を製造した。Al 2.5gをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算した結果、それぞれ6.3、38、0.8であった。
【0131】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は9wt%であった。
【0132】
このような触媒上に、32μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に18%に該当した。
【0133】
1時間反応後にCNT回収器に収集されたCNTは、触媒の投入量対比1633%のCNT収率を示し、製造されたCNTのバルク形状が球状であり、一定の体積に対する重量測定方式を通じて測定したバルク密度は210kg/mであることを確認することができた。
【0134】
製造されたCNTを蒸溜水に入れ、3時間放置した後、Microtrac粒度分析機を用いて吸収(absorbing)モードで個数平均粒径を測定した後、10%基準の個数平均粒径Dn10、90%基準の個数平均粒径Dn90、及び50%基準の個数平均粒径Dn50の値を得た後、下記の関係式を通じて測定した粒径分布値Dcntは1.45であった。
【0135】
Dcnt=[Dn90−Dn10]/Dn50
【0136】
金属水溶液の製造順序を変えた参考例1の場合、実施例1のFe/Co/Moの同一含量比対比低いCNT収率の結果を示すことを確認することができた。
【0137】
参考例2
【0138】
支持体であるAlの代わりに、Al(NO・9HO 49mmolと共沈剤NHHCO1.84mmolを使用したこと以外は、実施例4と同様の方式で共沈担持触媒を製造した。
【0139】
Al(NO・9HO 49mmolをmol基準100に換算し、Mo、Fe+Co、Co/[Fe+Co]を計算した結果、それぞれ6.3、38、0.8であった。
【0140】
製造された触媒全体のうち、32ミクロンのふるいを通過した粒子の重量を測定して、微粉の含量を計算した。このとき、計算された微粉の含量は43wt%であった。
【0141】
このような触媒上に、40μmよりも微粉であるウルトラソニック微粉量は、個数平均粒径を基準に89%に該当した。
【0142】
1時間反応後にCNT回収器に収集されたCNTは、触媒の投入量対比2860%のCNT収率を示し、製造されたCNTのバルク形状が不定形であった。一定の体積に対する重量測定方式を通じて測定したバルク密度は47kg/mであることを確認することができた。
【0143】
製造されたCNTを蒸溜水に入れ、3時間放置した後、Microtrac粒度分析機を用いて吸収(absorbing)モードで個数平均粒径を測定した後、10%基準の個数平均粒径Dn10、90%基準の個数平均粒径Dn90、及び50%基準の個数平均粒径Dn50の値を得た後、下記の関係式を通じて測定した粒径分布値Dcntは2.27であった。
【0144】
Dcnt=[Dn90−Dn10]/Dn50
【0145】
また、カーボンナノチューブの体積平均粒度は284μm、数平均粒度は54μmであった。
【0146】
一方、共沈法を使用した参考例2の場合、触媒製造後の微粉の発生量が多いだけでなく、低い物理的強度でウルトラソニック時に、より多くの微粉が形成されることを確認することができた。これは、流動層反応器に使用される時、触媒同士間の物理的衝突に耐えることができず、微粉が発生する虞が高い。
図1
図2
図3