特許第5957789号(P5957789)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5957789担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5957789
(24)【登録日】2016年7月1日
(45)【発行日】2016年7月27日
(54)【発明の名称】担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/89 20060101AFI20160714BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20160714BHJP
   B01J 35/02 20060101ALI20160714BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20160714BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20160714BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20160714BHJP
   H01M 4/92 20060101ALI20160714BHJP
【FI】
   B01J23/89 M
   B01J37/16
   B01J35/02 H
   B01J37/02 101C
   H01M4/88 K
   H01M4/86 M
   H01M4/92
   H01M4/86 B
【請求項の数】22
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-500372(P2015-500372)
(86)(22)【出願日】2013年4月22日
(65)【公表番号】特表2015-515365(P2015-515365A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】KR2013003410
(87)【国際公開番号】WO2013168912
(87)【国際公開日】20131114
【審査請求日】2014年9月16日
(31)【優先権主張番号】10-2012-0050491
(32)【優先日】2012年5月11日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】500239823
【氏名又は名称】エルジー・ケム・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジュン イェオン
(72)【発明者】
【氏名】キム、サン フーン
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、ギョ ヒュン
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/108162(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0117257(US,A1)
【文献】 特開2013−215697(JP,A)
【文献】 特開2011−218278(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00−38/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
担体に担持された第1金属を溶媒に添加して溶液を形成するステップ;
前記溶液のpHを7〜14に調節し、第2金属の金属塩を添加するステップ;および
前記溶液に還元剤を添加し、第1金属を含むコア粒子の表面に第2金属を含むシェル(shell)を形成して、コア−シェル(core−shell)粒子を形成するステップを含む、担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項2】
前記第2金属の金属塩は、陽イオン複合体にイオン化されることを特徴とする、請求項1に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項3】
前記第2金属の金属塩は、下記の化学式1で表されることを特徴とする、請求項2に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法:
[化学式1]
XAmBn
前記化学式1において、
Xは周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されるものであり、
Aは(NH)、(CHNH)または(HO)であり、
Bは1価陰イオンであり、
mは2、4または6であり、nは1〜7の整数である。
【請求項4】
前記Xは前記第1金属と互いに異なり、
白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項3に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項5】
前記Xは前記第1金属と互いに異なり、
白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選択されるいずれか1つであることを特徴とする、請求項3または4に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項6】
前記Bは、NO、NO、OH、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択されることを特徴とする、請求項3〜5のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項7】
前記担体は、炭素系物質または無機物微粒子であることを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項8】
前記炭素系物質は、カーボンブラック、炭素ナノチューブ(CNT)、グラファイト(Graphite)、グラフェン(Graphene)、活性炭、メソポーラスカーボン(Mesoporous Carbon)、カーボンファイバー(Carbon fiber)およびカーボンナノワイヤー(Carbon nano wire)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項9】
前記無機物微粒子は、アルミナ、シリカ、チタニアおよびジルコニアからなる群から選択されることを特徴とする、請求項7または8に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項10】
前記溶媒は、水を含むことを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項11】
前記製造方法は、常温で行われることを特徴とする、請求項1〜10のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項12】
前記製造方法は、界面活性剤を用いないことを特徴とする、請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項13】
前記第1金属は、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項14】
前記第1金属は前記第2金属と互いに異なり、
白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜13のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項15】
前記溶液に前記第2金属の金属塩を添加するステップにおいて、
溶液中において前記第1金属と前記第2金属のモル比が1:1〜10:1になるように前記第2金属の金属塩を添加することを特徴とする、請求項1〜14のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項16】
前記溶液のpHは、塩基溶液を添加して調節することを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項17】
前記塩基溶液は、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化バリウム(Ba(OH))、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))および水酸化リチウム(LiOH)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項18】
前記還元剤の標準還元電位は、−0.23V以下であることを特徴とする、請求項1〜17のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項19】
前記還元剤は、NaBH、NHNH、LiAlHおよびLiBEtHからなる群から選択される1つまたは2つ以上であることを特徴とする、請求項1〜18のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項20】
前記コア−シェル粒子の粒径は、前記コア−シェル粒子の平均粒径の80%〜120%の範囲内であることを特徴とする、請求項1〜19のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項21】
前記コア−シェル粒子の平均粒径は、2nm〜300nmであることを特徴とする、請求項1〜20のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【請求項22】
前記コアの粒径は1nm〜200nmであり、シェルの厚さは0.5nm〜50nmであることを特徴とする、請求項1〜21のうちいずれか1項に記載の担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法およびこれによって製造された担体に担持されたコア−シェル粒子に関する。本出願は2012年5月11日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2012−0050491号の出願日の利益を主張し、その内容の全ては本明細書に含まれる。
【背景技術】
【0002】
ナノ粒子はナノスケールの粒子大きさを有する粒子であり、電子遷移に必要なエネルギーが物質の大きさに応じて変化する量子閉じ込め効果(quantum confinement effect)および広い比表面積によってバルク状態の物質とは全く異なる光学的、電気的、磁気的特性を示す。したがって、このような性質のため、触媒分野、電気・磁気分野、光学分野、医学分野などにおける利用可能性に関する大いなる関心が集中してきた。ナノ粒子はバルクと分子の中間体と言え、2つの方向における接近方法、すなわち、「Top−down」接近方法と「Bottom−up」接近方法の側面でナノ粒子の合成が可能である。
【0003】
金属ナノ粒子の合成方法には、溶液上で還元剤で金属イオンを還元させる方法、ガンマ線を用いた方法、電気化学的方法などがあるが、従来の方法は、均一な大きさと形状を有するナノ粒子の合成が困難であるか、有機溶媒を用いることによって環境汚染、高費用(high cost)などが問題となるなどの色々な理由で高品質のナノ粒子の経済的な大量生産が困難であった。
【0004】
従来のナノ粒子を製造する方法としては、有機溶媒上で金属アセチルアセトネート(acetylacetonate)系の前駆体や金属カルボニル(carbonyl)系の前駆体を過量の界面活性剤を用いて高温で還元させるか熱分解させる方法を利用した。金属アセチルアセトネート系の前駆体は高価であるので多くの費用がかかるという問題があり、金属カルボニル系の前駆体は毒性があるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上述した問題点を解決するために、環境汚染がなく、比較的に安価で容易に大量生産が可能な、担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法を提供することにある。
【0006】
また、本発明が解決しようとする他の課題は、前記製造方法によって製造された、担体に担持されたコア−シェル粒子を提供することにある。
【0007】
なお、本発明が解決しようとするまた他の課題は、前記製造方法によって製造された担体に担持されたコア−シェル粒子を含む燃料電池用触媒およびそれを含む燃料電池を提供することにある。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及していないまた他の技術的課題は下記の記載から当業者にとって明らかに理解できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実現例は、担体に担持された第1金属を溶媒に添加して溶液を形成するステップ;前記溶液のpHを7〜14に調節し、第2金属の金属塩を添加するステップ;および前記溶液に還元剤を添加し、第1金属を含むコア粒子の表面に第2金属を含むシェル(shell)を形成して、コア−シェル(core−shell)粒子を形成するステップを含む、担体に担持されたコア−シェル粒子の製造方法を提供する。
【0010】
本発明の一実現例は、前記製造方法によって製造された、担体に担持されたコア−シェル粒子を提供する。
【0011】
本発明の一実現例は、前記製造方法によって製造された、担体に担持されたコア−シェル粒子を含む燃料電池用触媒を提供する。
【0012】
本発明の一実現例は、前記燃料電池用触媒を含む燃料電池を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、環境汚染がなく、比較的に安価で容易にナノ粒子の大量生産が可能であるという長所がある。また、界面活性剤を用いることなくナノ粒子を生産できるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実現例によるコア−シェル粒子の製造方法を示すフローチャートである。
図2】実施例1によって製造されたコア−シェル粒子の高解像度の透過電子顕微鏡(HR−TEM)イメージを示すものである。
図3図2のイメージにおいて、矢印の線に沿って位置する元素の含量を分析した結果を示すものである。
図4】実施例1によって製造されたコア−シェル粒子のHR−TEMイメージにおいて、コア地点にP1と表示し、シェル地点にP2と表示したものである。
図5】比較例1の透過電子顕微鏡(TEM)イメージを示すものである。
図6図5のイメージにおいて、スペクトル1(Spectrum 1)と表示した地点の元素分析の結果を示すものである。
図7】比較例2の透過電子顕微鏡(TEM)イメージを示すものである。
図8図7のイメージにおいて、スペクトル2(Spectrum 2)と表示した地点の元素分析の結果を示すものである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本出願の利点および特徴、またそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述している実現例を参照すれば明らかになるだろう。しかし、本発明は、以下にて開示する実現例に限定されず、互いに異なる様々な形態で実現され、本実現例は、単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであって、本発明は、請求項の範囲によって定義されるのみである。図面に示された構成要素の大きさおよび相対的な大きさは説明の明瞭性のために誇張されることがある。
【0016】
他の定義がなければ、本明細書に用いられる全ての用語(技術および科学的な用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者にとって共通に理解できる意味として用いられる。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されないものである。
【0017】
以下、図1図8を参照して本発明の一実現例によるコア−シェル(core−shell)粒子の製造方法を説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実現例によるコア−シェル粒子の製造方法を示すフローチャートである。
【0019】
先ず、担体に担持された第1金属を溶媒に添加して溶液を形成する(S1010)。
【0020】
本発明の一実現例において、前記第1金属は、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されるものであってもよく、具体的には、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択される少なくともいずれか1つであってもよい。具体的には、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されるものであってもよい。より具体的には、ニッケル(Ni)であってもよい。前記第1金属は第2金属と互いに異なってもよい。
【0021】
本発明の一実現例において、前記担体は、第1金属を担持できるものであれば特に限定されない。具体的には、担体は、炭素系物質または無機物微粒子を用いることができる。炭素系物質はカーボンブラック、炭素ナノチューブ(CNT)、グラファイト(Graphite)、グラフェン(Graphene)、活性炭、メソポーラスカーボン(Mesoporous Carbon)、カーボンファイバー(Carbon fiber)およびカーボンナノワイヤー(Carbon nano wire)からなる群から選択されるものを用いることができ、前記カーボンブラックとしてはデンカブラック、ケッチェンブラックまたはアセチレンブラックなどが挙げられる。無機物微粒子としてはアルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニアなどを用いることもできるが、一般的に炭素系物質が用いられることができる。
【0022】
本発明の一実現例において、前記担体に第1金属を担持させる方法は、周知の通常の方法を利用するものであり、特に限定されない。
【0023】
本発明の一実現例によれば、前記溶媒は、水を含む溶媒であってもよい。具体的には、本発明の一実現例において、前記溶媒は、担体に担持された第1金属粒子を分散させるためのものであり、水または水とC−Cのアルコールの混合物であってもよく、より具体的には、水であってもよい。
【0024】
本発明の一実現例において、前記溶液を形成するステップは、常温で行われることができる。具体的には、前記溶液を形成するステップは、4℃〜35℃の範囲の温度、より具体的には15℃〜28℃で行われることができる。溶媒として有機溶媒を用いれば、100℃を超過する高温で製造しなければならないという問題がある。また、製造されたコア−シェル粒子の界面が疏水性であるため、水に入れれば、粒子同士で凝集するので水に分散しない。したがって、水に分散して用いることができないので応用に制約があるという問題がある。しかし、本発明は、前記溶媒として水を用いるため、低温で、具体的には常温で溶液を形成できるという利点がある。したがって、環境汚染がないという長所があり、安価で大量生産が可能であるので費用節減の効果がある。
【0025】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法は、界面活性剤を用いなくてもよい。
【0026】
前記製造方法は、溶媒として水を用い、界面活性剤を用いないため、費用節減の効果があり、大量生産にも有利であるという長所があり、環境に優しい工程であるという点で長所がある。界面活性剤を用いる場合は、界面活性剤が粒子の表面を囲むこととなり、触媒反応に用いられる時に反応物の接近が容易でなくなるという問題があるため、界面活性剤を除去しなければならないという後工程が必要となる。したがって、界面活性剤を用いない場合、工程が単純化して費用節減の効果があり、大量生産にも有利である。
【0027】
次に、溶液のpHを7〜14に調節し、第2金属の金属塩を添加する(S1020)。
【0028】
本発明の一実現例において、前記溶液のpHは、塩基溶液を添加して調節することができる。具体的には、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化バリウム(Ba(OH))、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))および水酸化リチウム(LiOH)からなる群から選択される塩基溶液を添加して調節することができる。
【0029】
溶液のpHを7〜14の塩基性に調節すれば、コアの表面電荷が陰電荷を帯びて、第2金属の金属塩の陽イオン複合体と容易に結合することができるため、コア表面にシェルを形成できるようにする。具体的には、本明細書の一実現例によれば、前記溶液のpHを10〜12の塩基性に調節することができる。より具体的には、前記溶液のpHを11に調節することができる。
【0030】
逆に、溶液のpHが1〜7の酸性となれば、コアの表面が陽電荷を帯びて、第2金属の金属塩の陽イオン複合体と結合することが困難である。また、酸性雰囲気では金属が腐食するため、コア−シェル粒子の形成が難しいという問題がある。
【0031】
本発明の一実現例において、前記第2金属は、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されるものであってもよく、具体的には、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択される少なくともいずれか1つであってもよい。より具体的には、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選択されるものであってもよく、より具体的には、白金(Pt)であってもよい。
【0032】
本発明の一実現例において、前記第2金属の金属塩は、陽イオン複合体にイオン化されるものであってもよい。水溶液中においてイオン化された時に陽イオン複合体の形態で存在すれば、金属塩が陽電荷を帯びるため、陰電荷を帯びるコアの表面と容易に結合することができる。
【0033】
本発明の一実現例において、前記第2金属の金属塩は、具体的には、下記の化学式1で表されるものであってもよい。
[化学式1]
XAmBn
【0034】
前記化学式1において、
Xは、周期律表上の3〜15族に属する金属、半金属(metalloid)、ランタノイド金属およびアクチノイド金属からなる群から選択されるものであってもよく、具体的には、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、レニウム(Re)、パラジウム(Pd)、バナジウム(V)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉄(Fe)、セレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、金(Au)、セリウム(Ce)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる群から選択されるものであってもよい。より具体的には、白金(Pt)、金(Au)、銀(Ag)およびパラジウム(Pd)からなる群から選択されるものであってもよい。前記Xは第1金属と互いに異なってもよい。
【0035】
前記Aは(NH)、(CHNH)または(HO)であってもよい。
【0036】
前記Bは、1価陰イオンであってもよく、具体的には、NO、NO、OH、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択されるものであってもよい。
【0037】
前記mは2、4または6であってもよく、nは1〜7の整数であってもよい。
【0038】
本発明の一実現例において、前記第2金属の金属塩は、具体的には、Pt(NH(NO、Pd(NH(NO、Au(NH(NO、Pt(NHCl、Pd(NHCl、Au(NHCl、Pt(CHNH(NO、Pd(CHNH(NO、Au(CHNH(NO、Pt(CHNHCl、Pd(CHNHCl、Au(CHNHCl、Pt(HO)(NO、Pd(HO)(NO、Au(HO)(NO、Pt(HO)Cl、Pd(HO)ClまたはAu(HO)Clであってもよい。例えば、Pt(NH(NOの場合、イオン化されてPt(NH2+の形態で存在するため、陰電荷を有するコアの表面に容易に結合することができる。
【0039】
第2金属の金属塩がイオン化されて陰イオン複合体となる場合は、陰電荷を帯びるため、陰電荷を帯びるコアの表面と結合することができないため、コア−シェル構造を形成できなくなる。例えば、KPdCl、KPtCl、NaPtCl、KAuClまたはNaAuClの場合がある。KPtClの場合、イオン化されてPtClの形態となって陰電荷を帯びるため、コア−シェル構造を形成することができない。
【0040】
本発明の一実現例において、前記溶液中において、第1金属と第2金属のモル比は1:1〜10:1であってもよい。
【0041】
第1金属のモル数が第2金属のモル数に対して1倍未満であれば、コアの量が不充分でコア−シェル構造の形成が難しいため、1倍以上の場合が好ましい。また、第1金属のモル数が第2金属のモル数に対して10倍超過であれば、シェルの厚さが厚すぎてコア−シェル粒子の大きさが大きくなりすぎるため、10倍以下の場合が好ましい。
【0042】
次に、溶液に還元剤を添加し、第1金属を含むコア粒子の表面に第2金属を含むシェル(shell)を形成する(S1030)。
【0043】
この時、担体に担持された2層構造のコア−シェル粒子が形成されることができる。
【0044】
本発明の一実現例によれば、前記溶液に第2金属の金属塩を添加した後、5分〜120分、具体的には10分〜1時間、より具体的には20分〜40分間反応させた後に還元剤を添加することができる。
【0045】
本発明の一実現例において、前記コア−シェル(core−shell)粒子を形成するステップは、溶液内で還元剤とコア粒子および第2金属の金属塩を一定時間、具体的には5分〜120分、より具体的には20分〜90分間反応させて、コア−シェル(core−shell)粒子を形成させることができる。
【0046】
本発明の一実現例において、前記還元剤を添加し、コア−シェル粒子を形成するステップは、常温で行われることができる。具体的には、前記コア−シェル粒子を製造するステップは、4℃〜35℃の範囲の温度、より具体的には15℃〜28℃で行われることができる。前記製造方法は、高温で還元反応を行う金属アセチルアセトネート(metal acetylacetonate)系や金属カルボニル(metal carbonyl)系の前駆体を還元させてコア−シェル粒子を形成する時と同一であるかまたは優れた物性を示すコア−シェル粒子を形成することができる。すなわち、よりマイルド(mild)な条件でコア−シェル粒子を形成することができるため、工程の経済的な観点から従来の方法より利点がある。
本発明の一実現例において、前記還元剤は、標準還元−0.23V以下、具体的には−4V以上−0.23V以下の強い還元剤であり、且つ、溶解した金属イオンを還元させて金属粒子として析出させる還元力を有するものであれば特に限定されない。
このような還元剤は、例えば、NaBH、NHNH、LiAlHおよびLiBEt3Hからなる群から選択される少なくともいずれか1つであってもよい。
【0047】
弱い還元剤を用いる場合、反応速度が遅く、溶液の後続的な加熱が求められるなどの点で連続工程化が難しいので大量生産に問題がある。特に、弱い還元剤の一種であるエチレングリコールを用いる場合、高粘度による流れ速度の低下によって連続工程における生産性が低いという問題点がある。
【0048】
本発明の一実現例において、前記第2金属塩は還元剤によって所定速度で還元され、第2金属を含むナノ大きさのシェルに形成される。これにより、上述した第1金属を含むコア粒子の表面上に第2金属を含むシェルが形成され、コア−シェル粒子が形成されることができる。シェルは、コア粒子の外側表面の少なくとも一領域に存在してもよく、コアの外側表面の全面を囲んだ形態で存在してもよい。
【0049】
本発明の一実現例によれば、コア−シェル粒子の平均粒径は2nm〜300nm、具体的には2nm〜70nm、より具体的には2nm〜30nmであってもよい。この時、コア粒子の粒径は1nm〜200nm、具体的には1nm〜50nm、より具体的には1nm〜10nmであってもよい。また、シェルの厚さは0.5nm〜50nm、具体的には0.5nm〜10nm、より具体的には0.5nm〜5nmであってもよい。例えば、第2金属塩が白金(Pt)を含むPt(NH(NOである場合、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)によって、Pt+2はPtに還元され、厚さが0.5nm〜10nmである白金(Pt)を含むシェルが形成されることができる。
【0050】
コア−シェル構造の場合、コア粒子の粒径は1nm〜200nmであり、コア粒子の表面を覆うシェルの厚さは0.5nm〜50nmである場合、最終的に形成されるコア−シェル粒子の粒径は全体的に2nm〜300nmであってもよい。具体的には、コア粒子の粒径は1nm〜50nmであり、コア粒子の表面を覆うシェルの厚さは0.5nm〜10nmである場合、最終的に形成されるコア−シェル粒子の粒径は全体的に2nm〜70nmであってもよい。
【0051】
本発明の一実現例によれば、粒径が2nm未満であるコア−シェル粒子を形成することは難しく、コア−シェル粒子の粒径が300nm以下である場合、ナノ粒子を色々な分野に用いることができるという長所が大きい。また、コア−シェル粒子の粒径が70nm以下である場合、形成されたコア−シェル粒子が、例えば、燃料電池の触媒として用いられれば、燃料電池の効率が顕著に上昇することができる。また、コア−シェル粒子の粒径が30nm以下であれば、より好ましい。
【0052】
本発明の一実現例において、前記形成される複数のコア−シェル粒子の粒径は、コア−シェル粒子の平均粒径の80%〜120%の範囲内であることができる。具体的には、前記コア−シェル粒子の粒径は、コア−シェル粒子の平均粒径の90%〜110%の範囲内であることができる。前記範囲から外れる場合、コア−シェル粒子の大きさが全体的に不均一になるため、コア−シェル粒子によって要求される特有の物性値を確保することが難しい。例えば、コア−シェル粒子の平均粒径の80%〜120%の範囲から外れるコア−シェル粒子が燃料電池の触媒として用いられる場合、燃料電池の効率改善の効果が多少不十分になる。
【0053】
本発明の一実現例において、前記担体に担持されたコア−シェル粒子が形成された後、第2溶液に含まれた担体に担持されたコア−シェル粒子を分離するために、コア−シェル粒子を含む第2溶液を遠心分離することができる。遠心分離後、分離されたコア−シェル粒子だけを回収する。コア−シェル粒子の洗浄は、水を用いて行うことができる。必要に応じ、コア−シェル粒子の焼成工程をさらに行うことができる。
【0054】
本発明の一実現例は、前記製造方法によって製造された、担体に担持されたコア−シェル粒子を提供する。
【0055】
前記担体に担持されたコア−シェル粒子は、第1金属を含むコアおよび第2金属を含むシェルを含むコア−シェル粒子が担体に担持されたものであってもよい。前記コア−シェル粒子において、シェルはコアの外側表面の少なくとも一領域に存在してもよく、コアの外側表面の全面を囲む形態で存在してもよい。前記コア−シェル粒子の平均粒径は2nm〜300nm、具体的には2nm〜70nm、より具体的には2nm〜30nmであってもよい。
【0056】
本明細書の一実現例によれば、前記製造方法によって製造された、担体に担持されたコア−シェル粒子を含む燃料電池用触媒を提供する。
【0057】
さらに、本明細書の一実現例によれば、前記燃料電池用触媒を含む燃料電池を提供する。
【0058】
具体的には、前記燃料電池用触媒は燃料電池電極に含まれることができる。
【0059】
燃料電池は空気極であるカソード、水素極であるアノードおよび電解質膜(membrane)で構成され、この中、空気極であるカソードから発生するORR(Oxygen Reduction Reaction)反応が全体燃料電池反応のRDS(Rate determining Step)であってもよい。
【0060】
本明細書の一実現例によれば、前記コア−シェル粒子を含む燃料電池用触媒は前記カソードに含まれ、前記コア−シェル粒子の陰イオンと酸素還元時に発生する中間反応物(OH)との強い結合力を弱化させることによって酸素還元反応の活性を増加させることができる。
【0061】
以下、本出願を具体的に説明するために実施例を挙げて詳細に説明する。但し、本出願による実施例は色々な他の形態に変形されることができ、本出願の範囲が下記で詳述する実施例に限定されると解釈してはならない。本発明の実施例は、当業界で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0062】
<実施例1>
第1金属塩として5nm〜10nm大きさのNi粒子が担持されたカーボンブラック(Vulcan XC 72)60mgを溶媒である水(蒸留水)10mlに添加し、分散させて溶液を形成した。次に、1M NaOH 0.3mlを滴加して溶液のpHを11に調節し、蒸留水に溶解されたPt前駆体であるPt(NH(NO 50mgを溶液に添加し、常温で30分間攪拌した。この時、測定されたニッケル(Ni)と白金(Pt)のモル比は3:1であった。溶液を攪拌しながら、還元剤としてNaBH 60mgを添加し、常温で1時間反応させて、ニッケル(Ni)を含むコアと白金(Pt)を含むシェルとからなるコア−シェル粒子を形成した。次に、10,000rpmで10分間遠心分離した後、上層の上清液を捨て、残った沈殿物を水20mlに再分散した後、遠心分離過程を2回さらに繰り返し行って分離および洗浄した。
【0063】
前記コア−シェル粒子に対してHR−TEMを用いたNi−Pt粒子の構造分析イメージを図2に示す。図3は、図2のイメージにおいて、矢印の線に沿って位置する元素の含量を分析した結果を示すものである。シェルにおいてPtの強度が高いことを確認することができる。
【0064】
図3のHR−TEMから得られたコア−シェル粒子の粒径は約15nmであった。形成されたコア−シェル粒子の粒径は、図2に基づいてグラフィックソフトウェア(MAC−View)を利用して200個以上のコア−シェル粒子に対して測定し、得られた統計分布を通じ、平均粒径は15nmであり、平均粒径に対する粒径の差は±7.8%以内と計算された。
【0065】
実施例1によって製造されたコア−シェル粒子のHR−TEMイメージにおいて、コア地点にP1と表示し、シェル地点にP2と表示して図4に示す。
【0066】
下記表1は、図4のイメージにおいて、P1地点のEDS(energy dispersive x−ray spectroscopy)分析の結果を示すものであり、表2は、図4のイメージにおいて、P2地点のEDS(energy dispersive x−ray sectroscopy)分析の結果を示すものである。
【表1】
【表2】
【0067】
前記表1において、P1はコア地点であるのでNiの含量が高いことを確認することができ、前記表2において、P2はシェル地点であるのでPtの含量が高いことを確認することができる。
【0068】
<実施例2>
第2金属塩としてPd(NH(NOを用いたことを除いては、実施例1と同様の方法を利用し、ニッケル(Ni)を含むコアとパラジウム(Pd)を含むシェルとからなるコア−シェル粒子を形成した。実施例2によって形成されたコア−シェル粒子の平均粒径は12nmであり、平均粒径に対する粒径の差は±8.7%以内と計算された。
【0069】
<比較例1>
第1金属塩として5nm〜20nm大きさのNi粒子が担持されたカーボンブラック(Vulcan XC 72)60mgを溶媒である水(蒸留水)10mlに添加し、分散させて溶液を形成した。次に、1M HCl 0.3mlを滴加して溶液のpHを3に調節し、蒸留水に溶解されたPt前駆体であるPt(NH(NO 50mgを溶液に添加し、常温で30分間攪拌した。この時、測定されたNiとPtのモル比は3:1であった。攪拌しながら、還元剤としてNaBH 60mgを添加し、常温で1時間反応させた。次に、10,000rpmで10分間遠心分離した後、上層の上清液を捨て、残った沈殿物を水20mlに再分散した後、遠心分離過程を2回さらに繰り返し行った。
前記結果物に対して透過電子顕微鏡(TEM)を用いた構造分析イメージを図5に示す。粒子形態を観察し難いということを確認することができる。図6は、図5のイメージにおいて、スペクトル1(Spectrum 1)と表示した地点の元素分析の結果を元素分析器(Hitachi、S−4800)で測定して示すものである。
【0070】
<比較例2>
Pt前駆体としてPt(NH(NOの代わりにKPtClを用いたことを除いては、比較例1と同様の方法を利用した。
前記結果物に対して透過電子顕微鏡(TEM)を用いた構造分析イメージを図7に示す。この時、コア−シェル粒子でなくPt粒子だけが観察されることが分かる。図8は、図7のイメージにおいて、スペクトル2(Spectrum 2)と表示した地点の元素分析の結果を元素分析器(Hitachi、S−4800)で測定して示すものである。
【0071】
<比較例3>
NiとPtのモル比が12:1になるように調節したことを除いては、実施例1と同様の方法を利用した。その結果、NiコアをPtシェルが完全に囲まないか、またはシェルを形成しないということを確認することができた。
【0072】
<適用例>
本発明によって製造したコア−シェル粒子を燃料電池空気極用の電極触媒に適用した。燃料電池触媒の評価はハーフセル(Half Cell)システムにおいて行われた。電極は3−電極(3−electrode)システム、すなわち、基準電極(reference electrode)、対電極(counter electrode)および作用電極(working electrode)を使い、基準電極はAg/AgClであり、電解質は0.5M硫酸溶液または0.1M過塩素酸溶液を用いた。
【0073】
触媒表面を洗浄(cleaning)するために、サイクリック・ボルタンメトリー(Cyclic Voltammetry)により、−0.2Vから1.0Vまで15〜20回スキャン(scan)し、スキャンレート(scan rate)は20mV/sであった。
【0074】
触媒インクは、触媒2mgと5%ナフィオン(nafion)8μl、EtOH 1.6ml、HO 0.4mlを混合して超音波洗浄器で1時間分散させて製造した後、20μlをRDE電極にコーティングして乾燥させた。電極上にコーティングされた触媒の量は約20μgであった。電極の面積は0.196cmであった。
【0075】
0.1M過塩素酸溶液を純粋酸素で30分間バブリング(bubbling)した後、NHE(normal hydrogen electrode)基準に0.9Vから0.4Vまでネガティブ方向からポジティブ方向に循環し、スキャンレート(scan rate)は20mV/sであり、電極の循環(rotating)速度は1600〜2500RPMにおいて進行した。
【0076】
触媒は、45wt%、19.3wt% Pt/C市販触媒と本明細書で製造したPd@Au@PdPt/Cを用いた。下記表3は製造した触媒の成分比である。成分比の分析はICP装置を利用した。
【表3】
【0077】
下記表4は、0.8VにおけるORR(oxygen reduction reaction)活性結果である。Pt含量を基準とした時、質量当たりの活性は1.6〜3.6倍高く、全体メタル含量を基準とした時には同等な程度の結果が出た。
【表4】
【0078】
前記の結果から、本明細書のコア−シェル粒子が燃料電池空気極の触媒として用いられることができるということを確認できる。
【0079】
以上、添付図面を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく互いに異なる様々な形態で製造されることができ、本発明が属する技術分野で通常の知識を有した者は本発明の技術的思想や必須の特徴を変更しなくて他の具体的な形態で実施できるということを理解するであろう。したがって、以上で記述した実施例はすべての面で例示的であって、限定的ではないことを理解しなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8