(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るズームレンズ、撮像装置、およびズームレンズの製造方法について説明する。
【0012】
まず、本明細書に用いる用語のうち、アッベ数νd、部分分散比θgF、異常分散性ΔPgFの計算方法について説明する。g線、d線、F線、C線における屈折率をそれぞれNg、Nd、NF、NCとすると、アッベ数νdおよび部分分散比θgFは、それぞれ次の計算式(A)および(B)で計算される。
(A)アッベ数νd=(Nd−1)/(NF−NC)
(B)部分分散比θgF=(Ng−NF)/(NF−NC)
【0013】
また、異常分散性ΔPgFは次の計算式(C)で計算される。
(C)異常分散性ΔPgF=θgF−(0.644−0.00168×νd)
【0014】
次に、本発明に係るズームレンズについて説明する。本発明に係るズームレンズは、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、1以上のレンズ群を含む後群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔は変化し、第2レンズ群は負レンズと正レンズとを含む複数のレンズからなり、前記負レンズは少なくとも1枚が以下の条件式(1)および(2)を満足することを特徴とする。
(1)60.0 < νdn
(2)θgFn−(0.644−1.68×10
−3・νdn)> 0.000
ただし、
νdn:前記負レンズの材料のアッベ数
θgFn:前記負レンズの材料の部分分散比
【0015】
本発明に係るズームレンズは、上述のように、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、1以上のレンズ群を含む後群とを有し、広角端状態から望遠端状態への変倍に際し、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔を変化させる。この構成により、変倍に伴う歪曲収差の変動を抑え、全系の高い変倍率を確保している。
【0016】
また、本発明に係るズームレンズは、このような構成のもと、第2レンズ群は負レンズと正レンズとを含む複数のレンズで構成され、該負レンズは少なくとも1枚が上記条件式(1)および(2)を満足することで、高性能化を図ることができる。
【0017】
条件式(1)は、第2レンズ群を構成する負レンズの材料のアッベ数の適切な範囲を規定するための条件式である。また、条件式(2)は、該負レンズの材料の部分分散比から求められる該負レンズの異常分散性の範囲を規定するための条件式である。
【0018】
条件式(1)および(2)を満足することで、第2レンズ群は、分散が少なくかつ異常分散性が正の値の負レンズを少なくとも1枚有することとなる。この構成により、第2レンズ群で発生する色収差の2次スペクトルを低減することが可能となり、高い光学性能を実現できる。
【0019】
また、本発明に係るズームレンズは、第2レンズ群の正レンズは、少なくとも1枚が以下の条件式(3)および(4)を満足することが望ましい。
(3)35.0 < νdp < 70.0
(4)θgFp−(0.644−1.68×10
−3・νdp) < 0.000
ただし、
νdp:前記正レンズの材料のアッベ数
θgFp:前記正レンズの材料の部分分散比
【0020】
条件式(3)は、第2レンズ群を構成する正レンズの材料のアッベ数の適切な範囲を規定するための条件式である。また、条件式(4)は、該正レンズの材料の部分分散比から求められる該正レンズの異常分散性の範囲を規定するための条件式である。
【0021】
条件式(3)および(4)を満足することで、第2レンズ群は、分散が所望の範囲でかつ異常分散性が負の値の正レンズを少なくとも1枚有することとなる。この構成により、第2レンズ群の負レンズと正レンズとの異常分散性の組み合わせが適切となる。その結果、第2レンズ群で発生する軸上色収差の2次スペクトルをさらに低減することが可能となり、ズームレンズ全系に亘って、仕様波長域での軸上色収差変動を少なくすることが可能となる。
【0022】
なお、本発明の効果を確実にするために、条件式(3)の下限値を38.0にすることが望ましい。また、本発明の効果を確実にするために、条件式(3)の上限値を60.0にすることが望ましい。
【0023】
また、本発明に係るズームレンズは、高性能化を図るために、第2レンズ群は、光軸に沿って物体側から順に、第1の負レンズと、第2の負レンズと、正レンズとを有していることが望ましい。このような構成とすることにより、第2レンズ群の第1および第2負レンズと正レンズとの異常分散性の組み合わせがさらに適切となり、色収差の2次スペクトルをさらに良好に補正することができる。
【0024】
また、本発明の撮像装置は、上述した構成のズームレンズを有することを特徴とする。これにより、高い光学性能を備えた撮像装置を実現することができる。
【0025】
また、本発明のズームレンズの製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、1以上のレンズ群を含む後群とを有するズームレンズの製造方法であって、広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が変化するように構成し、第2レンズ群は負レンズと正レンズとを含む複数のレンズで構成し、前記負レンズは少なくとも1枚が以下の条件式(1)および(2)を満足するように構成することを特徴とする。
(1)60.0 < νdn
(2)θgFn−(0.644−1.68×10
−3・νdn)> 0.000
ただし、
νdn:前記負レンズの材料のアッベ数
θgFn:前記負レンズの材料の部分分散比。
【0026】
斯かるズームレンズの製造方法により、高い光学性能を備えたズームレンズを製造することができる。
【0027】
(数値実施例)
以下、本発明の数値実施例に係るズームレンズを添付図面に基づいて説明する。
【0028】
(第1実施例)
図1は、本発明の第1実施例に係るズームレンズZL1のレンズ構成を示す断面図である。
【0029】
図1に示すように、本実施例に係るズームレンズZL1は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成される。
【0030】
本実施例に係るズームレンズZL1は、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少する。また、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は像面I側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動する。
【0031】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正レンズL13との接合レンズとから構成される。
【0032】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、両凹レンズL21と、両凹レンズL22と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL23との接合レンズと、両凹レンズL24とから構成される。
【0033】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL35と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL36との接合レンズと、両凹レンズL37と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL38との接合レンズと、両凸レンズL39と両凹レンズL310との接合レンズと、両凸レンズL311と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL312との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL313とから構成され、L313レンズから射出された光線は像面Iに結像する。
【0034】
以下の表1に、本発明の第1実施例に係るズームレンズZL1の諸元値を掲げる。
表1中の[全体諸元]において、fは変倍光学系全体の焦点距離、FNOはFナンバー、2ωは画角(単位:度)、Yは像高、TLは無限遠合焦状態における第1レンズ群G1の最も物体側の面から像面Iまでのレンズ全長をそれぞれ示している。Wは広角端状態、Mは中間焦点距離状態、Tは望遠端状態の各焦点距離状態をそれぞれ示す。
【0035】
[面データ]において、レンズは各レンズに付した符号、面番号は物体側から数えたレンズ面の順番、rはレンズ面の曲率半径、dはレンズ面の間隔、ndはd線(波長λ=587.6nm)に対する屈折率、νdはd線(波長λ=587.6nm)に対するアッベ数をそれぞれ示している。また、物面は物体面、(絞り)は開口絞りSP、像面は像面Iをそれぞれ示している。なお、曲率半径r=∞は平面を示し、空気の屈折率d=1.00000の記載は省略している。また、θgFは部分分散比を示し、ΔPgFは異常分散性を示している。
【0036】
[可変間隔データ]には、焦点距離f、可変間隔、および開口絞り径φの値を示す。
[レンズ群データ]には、各レンズ群の始面番号と焦点距離を示す。
[条件式対応値]は各条件式の対応値をそれぞれ示す。
【0037】
ここで、表1に記載されている焦点距離fや曲率半径r、およびその他長さの単位は一般に「mm」が使われる。しかしながら光学系は、比例拡大または比例縮小しても同等の光学性能が得られるため、これに限られるものではない。
【0038】
なお、以上に述べた表1の符号は、後述する各実施例の表においても同様に用いるものとする。
【0039】
(表1)第1実施例
[全体諸元]
W M T
f 72.10 135.70 291.00
FNO 4.13 4.5 5.77
2ω 13.0 6.9 3.2
Y 8.19 8.19 8.19
TL 229.4 235.8 234.5
[面データ]
レンズ 面番号 r d nd νd θgF ΔPgF
物面 ∞
L11 1) 79.665 5.60 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
2) ∞ 0.10
L12 3) 100.689 1.50 1.71700 47.98 0.5585 −0.0054
L13 4) 46.297 8.44 1.43700 95.10 0.5334 0.0486
5) ∞ (D5)
L21 6) −662.575 2.00 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
7) 40.409 4.15
L22 8) −311.187 1.42 1.43700 95.10 0.5334 0.0486
L23 9) 32.875 5.45 1.80440 39.61 0.5719 −0.0060
10) 754.966 2.56
L24 11) −68.218 2.72 1.74320 49.26 0.5526 −0.0091
12) 127.941 (D12)
13) (絞り) ∞ 1.82
L31 14) 172.791 3.14 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
15) −120.867 17.54
L32 16) 37.806 6.28 1.43700 95.10 0.5334 0.0486
L33 17) −130.857 1.50 1.75500 52.34 0.5476 −0.0089
18) −1870.031 0.10
L34 19) 32.588 3.34 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
20) 63.070 0.21
L35 21) 41.682 1.50 1.78590 44.17 0.5625 −0.0077
L36 22) 21.853 4.55 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
23) 66.791 16.80
L37 24) −115.286 2.50 1.68893 31.16 0.5993 0.0072
L38 25) 41.911 3.35 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
26) 73.108 4.00
L39 27) 1360.609 2.50 1.80100 34.92 0.5853 −0.0005
L310 28) −26.959 1.50 1.75700 47.86 0.5556 −0.0085
29) 45.736 3.98
L311 30) 44.956 4.51 1.72342 38.03 0.5830 0.0025
L312 31) −13.457 1.50 1.67003 47.14 0.5626 −0.0027
32) −64.081 2.43
L313 33) −20.903 1.50 1.88300 40.66 0.5669 −0.0092
34) −39.626 (BF)
像面 ∞
[可変間隔データ]
W M T
f 72.10 135.70 291.00
D5 2.18 28.20 42.17
D12 69.95 42.03 1.87
BF 38.77 47.05 71.93
φ 29.8 29.8 29.8
[レンズ群データ]
始面 焦点距離
G1 1 135.8
G2 6 −45.3
G3 13 55.9
[各条件式対応値]
L21:
(1)νdn=82.57
(2)θgFn−(0.644−1.68×10
−3・νdn)=0.0328
L22:
(1)νdn=95.10
(2)θgFn−(0.644−1.68×10
−3・νdn)=0.0486
L23:
(3)νdp=39.61
(4)θgFp−(0.644−1.68×10
−3・νdp)= −0.0060
【0040】
このように、第2レンズ群G2の負レンズL21および負レンズL22は、いずれも条件式(1)および(2)を満足する。すなわち、アッべ数νdが60よりも大きい低分散でかつ異常分散性が正の値である負レンズである。また、第2レンズ群G2の正レンズL23は、条件式(3)および(4)を満足する。すなわち、アッべ数νdが35よりも大きく70よりも小さい範囲でかつ異常分散性が負の値である正レンズである。
【0041】
また、
図1および表1に示すように、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3を構成するレンズの硝材の組み合わせは、原則として低分散で異常分散性が正の正レンズと、異常分散性が負の負レンズとの組み合わせを採用している。第1レンズ群G1および第3レンズ群G3の構成をこのようにすることで、色収差の2次スペクトルを良好に補正することができるが、本発明ではさらに良好に色収差を補正することができる。つまり、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3のこのような構成においては、色収差は第1レンズ群G1および第2レンズ群G2では広角側よりも望遠側のほうでより大きく影響し、第3レンズ群G3では広角側と望遠側の両方とも影響する。広角側では第1レンズ群G1および第3レンズ群G3の色収差の2次スペクトルが良好に補正されるため、良好な色収差補正が可能であるが、第2レンズ群G2で発生する2次スペクトルが望遠側で残存し、望遠側の色収差を悪化させてしまう。そこで本発明のように第2レンズ群G2の負レンズおよび正レンズの異常分散性を規定することで、第2レンズ群G2で発生する色収差の2次スペクトルを補正し、広角側から望遠側まで良好な色収差補正を実現している。
【0042】
図2は、第1実施例に係るズームレンズZL1の無限遠合焦時における諸収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示している。
【0043】
各収差図において、FNOはFナンバーを、Yは像高をそれぞれ示している。また、図中のdはd線(波長λ=587.6nm)での収差曲線を示し、gはg線(波長λ=435.8nm)での収差曲線を示し、記載のないものはd線での収差曲線を示す。非点収差を示す収差図において実線はサジタル像面を示し、破線はメリディオナル像面を示している。コマ収差を示す収差図は、各像高において、d線およびg線に対するメリディオナルコマ収差を表している。なお、以下に示す各実施例の諸収差図においても、本実施例と同様の符号を用いる。
【0044】
また、
図3は、第1実施例に係るズームレンズZL1の無限遠合焦時における色収差の波長特性グラフを示す図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示している。
【0045】
各収差図および波長特性グラフから明らかなように、第1実施例に係るズームレンズZL1は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差および色収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0046】
(第2実施例)
図4は、本発明の第2実施例に係るズームレンズZL2のレンズ構成を示す断面図である。
【0047】
図4に示すように、本実施例に係るズームレンズZL2は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群G1と、負の屈折力を有する第2レンズ群G2と、正の屈折力を有する第3レンズ群G3とから構成される。
【0048】
本実施例に係るズームレンズZL2は、広角端状態Wから望遠端状態Tへの変倍に際し、第1レンズ群G1と第2レンズ群G2との間隔は増大し、第2レンズ群G2と第3レンズ群G3との間隔は減少する。また、像面Iに対して、第1レンズ群G1は物体側へ移動し、第2レンズ群G2は像面I側へ移動し、第3レンズ群G3は単調に物体側へ移動する。
【0049】
第1レンズ群G1は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた正レンズL11と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL12と物体側に凸面を向けた正レンズL13との接合レンズとから構成される。
【0050】
第2レンズ群G2は、光軸に沿って物体側から順に、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL21と、両凹レンズL22と両凸レンズL23との接合レンズと、両凹レンズL24とから構成される。
【0051】
第3レンズ群G3は、光軸に沿って物体側から順に、両凸レンズL31と、両凸レンズL32と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL33との接合レンズと、物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL34と、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL35と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL36との接合レンズと、物体側に凸面を向けた負メニスカスレンズL37と物体側に凸面を向けた正メニスカスレンズL38との接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニスカスレンズL39と両凹レンズL310との接合レンズと、両凸レンズL311と物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL312との接合レンズと、物体側に凹面を向けた負メニスカスレンズL313とから構成され、L313レンズから射出された光線は像面Iに結像する。
【0052】
以下の表2に、本発明の第2実施例に係るズームレンズZL2の諸元値を掲げる。
(表2)第2実施例
[全体諸元]
W M T
f 72.10 135.70 291.00
FNO 4.64 5.3 8.11
2ω 13.0 6.9 3.2
Y 8.19 8.19 8.19
TL 199.2 22.4 266.6
レンズ 面番号 r d nd νd θgF ΔPgF
物面 ∞
L11 1) 92.104 3.26 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
2) ∞ 0.10
L12 3) 155.478 1.50 1.70154 41.02 0.5758 0.0003
L13 4) 71.732 4.15 1.43700 95.10 0.5334 0.0486
5) ∞ (D5)
L21 6) 187.803 2.00 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
7) 35.516 3.02
L22 8) −101.979 1.00 1.43700 95.10 0.5334 0.0486
L23 9) 30.494 4.41 1.78590 44.17 0.5625 −0.0077
10) −270.821 2.56
L24 11) −51.875 2.72 1.72916 54.61 0.5443 −0.0084
12) 120.975 (D12)
13) (絞り) ∞ 1.92
L31 14) 233.583 2.93 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
15) −77.996 8.38
L32 16) 54.812 5.18 1.43700 95.10 0.5334 0.0486
L33 17) −57.644 1.50 1.71300 53.96 0.5452 −0.0086
18) −3188.705 0.10
L34 19) 34.323 3.79 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
20) 252.290 0.21
L35 21) 72.662 1.50 1.72916 54.61 0.5443 −0.0084
L36 22) 27.228 3.71 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
23) 109.181 16.80
L37 24) 77.693 2.50 1.67270 32.19 0.5973 0.0070
L38 25) 21.264 4.20 1.53172 48.78 0.5622 −0.0003
26) 47.722 4.00
L39 27) −928.979 2.47 1.78472 25.64 0.6157 0.0144
L310 28) −35.508 1.50 1.76200 40.11 0.5724 −0.0047
29) 54.181 3.80
L311 30) 43.786 5.14 1.71300 53.96 0.5452 −0.0086
L312 31) −16.460 1.50 1.65160 58.57 0.5416 −0.0045
32) −66.051 1.07
L313 33) −24.208 1.50 1.49782 82.57 0.5386 0.0328
34) −159.960 (BF)
像面 ∞
[可変間隔データ]
W M T
f 72.10 135.70 291.00
D5 2.19 32.19 42.19
D12 48.10 27.60 1.93
BF 50.51 64.31 124.07
φ 25 25 25
[レンズ群データ]
始面 焦点距離
G1 1 160.0
G2 6 −45.3
G3 13 53.7
[各条件式対応値]
L21:
(1)νdn=82.57
(2)θgFn−(0.644−1.68×10
−3・νdn)=0.0328
L22:
(1)νdn=95.10
(2)θgFn−(0.644−1.68×10
−3・νdn)=0.0486
L23:
(3)νdp=44.17
(4)θgFp−(0.644−1.68×10
−3・νdp)= −0.0077
【0053】
このように、第2レンズ群G2の負レンズL21および負レンズL22は、いずれも条件式(1)および(2)を満足する。すなわち、アッべ数νdが60よりも大きい低分散でかつ異常分散性が正の値である負レンズである。また、第2レンズ群G2の正レンズL23は、条件式(3)および(4)を満足する。すなわち、アッべ数νdが35よりも大きく70よりも小さい範囲でかつ異常分散性が負の値である正レンズである。
【0054】
また、
図4および表2に示すように、第1レンズ群G1および第3レンズ群G3を構成するレンズの硝材の組み合わせは、第1実施例と同様に、原則として低分散で異常分散性が正の正レンズと異常分散性が負の負レンズとの組み合わせを採用している。また、この構成による効果も第1実施例と同様である。
【0055】
図5は、第2実施例に係るズームレンズZL2の無限遠合焦時における諸収差図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示している。
【0056】
また、
図6は、第2実施例に係るズームレンズZL2の無限遠合焦時における色収差の波長特性グラフを示す図であり、(a)は広角端状態、(b)は中間焦点距離状態、(c)は望遠端状態をそれぞれ示している。
【0057】
各収差図および波長特性グラフから明らかなように、第2実施例に係るズームレンズZL2は、広角端状態から望遠端状態に亘って諸収差および色収差が良好に補正され、高い光学性能を有することがわかる。
【0058】
ここで、上記各実施例は本発明の一具体例を示しているものであり、本発明はこれらに限定されるものではない。以下に記載の内容は、光学性能を損なわない範囲で適宜採用することが可能である。
【0059】
本発明のズームレンズの数値実施例として、正、負、正の3群構成のものを示したが、本発明はこれに限られず、他の群構成、例えば正、負、正、正の4群構成、あるいは正、負、正、負、正の5群構成等のズームレンズを構成することも可能である。具体的には、本発明のズームレンズの最も物体側にレンズまたはレンズ群を追加した構成や、最も像側にレンズまたはレンズ群を追加した構成でも構わない。なお、レンズ群とは、空気間隔で分離された少なくとも1枚のレンズを有する部分を示す。
【0060】
また、本発明のズームレンズは、無限遠物体から近距離物体への合焦を行うために、レンズ群の一部、1つのレンズ群全体、あるいは複数のレンズ群を合焦レンズ群として光軸方向へ移動させる構成としても良い。合焦レンズ群は、オートフォーカスに適用することも可能であり、オートフォーカス用のモータ、例えば超音波モータ等による駆動にも適している。特に第2レンズ群の少なくとも一部を合焦レンズ群とすることが好ましい。
【0061】
また、本発明のズームレンズにおいて、何れかのレンズ群全体またはその一部を、防振レンズ群として光軸に直交する方向の成分を含むように移動させ、または光軸を含む面内方向へ回転移動(揺動)させることで、手ブレによって生じる像ブレを補正する構成とすることもできる。特に、第3レンズ群の少なくとも一部を防振レンズ群とすることが好ましい。
【0062】
また、本発明のズームレンズを構成するレンズのレンズ面は、球面または平面としても良く、あるいは非球面としても良い。レンズ面が球面または平面の場合、レンズ加工および組立調整が容易になり、レンズ加工および組立調整の誤差による光学性能の劣化を防止することができるため好ましい。また、像面がずれた場合でも描写性能の劣化が少ないため好ましい。レンズ面が非球面の場合、研削加工による非球面、ガラスを型で非球面形状に成型したガラスモールド非球面、またはガラス表面に設けた樹脂を非球面形状に形成した複合型非球面のいずれの非球面でも良い。また、レンズ面は回折面としても良く、レンズを屈折率分布型レンズ(GRINレンズ)あるいはプラスチックレンズとしても良い。
【0063】
また、本発明のズームレンズの開口絞りSPは第3レンズ群近傍に配置されることが好ましいが、開口絞りとして部材を設けずにレンズ枠でその役割を代用しても良い。
【0064】
また、本発明のズームレンズを構成するレンズのレンズ面に、広い波長域で高い透過率を有する反射防止膜を施しても良い。これにより、フレアやゴーストを軽減し、高コントラストの光学性能を達成することができる。
【0065】
次に、本発明のズームレンズZLを備えた撮像装置について、デジタル一眼レフカメラを例に説明する。
【0066】
図7は、本発明のズームレンズを備えたデジタル一眼レフカメラの概略を示す断面図である。
図7に示すデジタル一眼レフカメラ1において、図示しない物体(被写体)からの光は、ズームレンズZLで集光されて、クイックリターンミラー3を介して集点板5に結像される。そして、集点板5に結像された光は、ペンタプリズム7中で複数回反射されて接眼レンズ9へと導かれる。これにより、撮影者は、物体(被写体)像を接眼レンズ9を介して正立像として観察することができる。
【0067】
また、撮影者によって図示しないレリーズボタンが押されると、クイックリターンミラー3が光路外へ退避し、ズームレンズZLで集光された物体(被写体)の光は撮像素子11上に被写体像を形成する。これにより、物体からの光は、撮像素子11により撮像され、物体画像としてメモリ(図示省略)に記憶される。このようにして、撮影者はカメラ1による物体の撮影を行うことができる。
【0068】
以上の構成により、本発明に係るズームレンズZLを備えたデジタル一眼レフカメラ1は、色収差の2次スペクトルを含む諸収差を良好に補正し、高い光学性能を実現することができる。なお、
図7のカメラ1は、撮影レンズを着脱可能に保持するものでも良く、撮影レンズと一体に成形されるものでも良い。また、カメラは、一眼レフカメラでも良く、クイックリターンミラー等を有さないカメラでも良い。
【0069】
次に、本発明のズームレンズZLの製造方法について説明する。
図8は、本発明に係るズームレンズZLの製造方法の概略を示す図である。
【0070】
本発明のズームレンズZLの製造方法は、光軸に沿って物体側から順に、正の屈折力を有する第1レンズ群と、負の屈折力を有する第2レンズ群と、1以上のレンズ群を含む後群とを有するズームレンズの製造方法であって、
図8に示すように、以下の各ステップS1〜S3を含むものである。
ステップS1:広角端状態から望遠端状態への変倍の際、第1レンズ群と第2レンズ群との間隔が変化するように構成する。
ステップS2:第2レンズ群は負レンズと正レンズとを含む複数のレンズで構成する。
ステップS3:第2レンズ群の負レンズは少なくとも1枚が以下の条件式(1)および(2)を満足するように構成する。
(1)60.0 < νdn
(2)θgFn−(0.644−1.68×10
−3・νdn)> 0.000
ただし、
νdn:前記負レンズの材料のアッベ数
θgFn:前記負レンズの材料の部分分散比
【0071】
斯かる本発明のズームレンズの製造方法によれば、高い光学性能を備えたズームレンズを製造することができる。