(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る光モジュールの一例を示す断面図である。
【0012】
(光モジュール1の構成)
この光モジュール1は、
図1に示すように、支持部材としての支持基板7に搭載されて使用される。支持基板7は、例えばガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませて熱硬化処理を施した板状の基材に配線パターンを形成したガラスエポキシ基板である。支持基板7には、図略のCPU(Central Processing Unit)や記憶素子等の電子部品が搭載され、光モジュール1に装着される光ファイバ8を伝送媒体とする光通信により、他の電子回路基板又は電子装置との間で信号を送信、受信、又は送受信する。
【0013】
光モジュール1は、板状の基材40に導体パターン43を形成してなる配線基板4と、配線基板4に実装された光電変換素子61と、光電変換素子61に電気的に接続された半導体回路素子62と、光電変換素子61と光ファイバ8とを光学的に結合する光結合部材11とを備えている。
【0014】
配線基板4は、例えばポリイミド(PI)等の柔軟性を有するフィルム状の絶縁体からなる基材40の表面40aに、導電性の金属箔からなる導体パターン43が形成された弾性変形可能なフレキシブル基板である。
【0015】
導体パターン43は、例えば銅箔をエッチングすることにより形成され、その厚みは100μm前後である。基材40は、その厚みが例えば50μm〜100μmである。基材40の表面40aには、導体パターン43によって形成された係合部としての第1の凹部41及び第2の凹部42が設けられている。光電変換素子61及び半導体回路素子62は、導体パターン43上に実装され、第1の凹部41及び第2の凹部42の間に配置されている。
【0016】
配線基板4は、一端部に形成された嵌合部44が支持基板7の上面7aに固定されたメスコネクタ63に挟持されている。嵌合部44は、支持基板7に平行な方向からメスコネクタ63に嵌合される。メスコネクタ63に収容された複数の接続端子630は、その一端が導体パターン43に接続され、他端が支持基板7の上面7aに実装された図略の電極に接続されることにより、配線基板4と支持基板7の電極とが電気的に接続されている。
【0017】
また、配線基板4は、嵌合部44がメスコネクタ63に嵌合することにより、メスコネクタ63と光結合部材11との間で湾曲している。配線基板4は、この弾性変形によって発生する復元力により基材40が光結合部材11に押し付けられている。
【0018】
光結合部材11には、配線基板4に向かって突出し、第1の凹部41に係合する第1の突起21、及び配線基板4に向かって突出し、第2の凹部42に係合する第2の突起22が形成されている。光結合部材11は、第1の突起21と第1の凹部41との係合、及び第2の突起22と第2の凹部42との係合によって配線基板4に対して位置決めされている。光結合部材11及び配線基板4は、例えばアクリル樹脂等の接着剤で接着固定されている。
【0019】
光結合部材11は、第1の突起21及び第2の突起22が形成された面が、導体パターン43上に実装された光電変換素子61及び半導体回路素子62側に面して配置されている。つまり、光結合部材11は、配線基板4の光電変換素子61及び半導体回路素子62が実装された側の面(基材40の表面40a)に形成された第1の突起21及び第2の突起22が、導体パターン43の端面43aに係合している。
【0020】
光電変換素子61は、電気信号を光信号に変換し、又は光信号を電気信号に変換する素子である。前者の発光素子としては、例えばレーザーダイオードやVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER)等が挙げられる。また、後者の受光素子としては、例えばフォトダイオードが挙げられる。光電変換素子61は、光ファイバ8に向けて光を出射又は光ファイバ8からの光を入射するように構成されている。
【0021】
光電変換素子61が電気信号を光信号に変換する素子である場合、半導体回路素子62は、電子回路基板側から入力される電気信号に基づいて光電変換素子61を駆動するドライバICである。また、光電変換素子61が受光した光信号を電気信号に変換する素子である場合、半導体回路素子62は、光電変換素子61から入力される電気信号を増幅して電子回路側に出力する受信ICである。
【0022】
光モジュール1は、光ファイバ8の延伸方向(支持基板7に対して平行な方向)に沿った全長が例えば5.0mm〜8.0mmである。
【0023】
(光結合部材11の構成)
光結合部材11は、光ファイバ8が装着されたプラグ3と、プラグ3が嵌合される直方体状のレセプタクル2とから構成されている。プラグ3は、光ファイバ8の端部を収容する円筒状の収容部32が形成された本体部31と、光ファイバ8を伝搬する光を入射又は出射する第1のレンズ33とを有している。光ファイバ8を伝搬する光を集光するレンズ部13は、第1のレンズ33、及び後述する第2のレンズ25から構成されている。光ファイバ8は、その端面8aが第1のレンズ33に対向するように収容部32内に収容されている。
【0024】
レセプタクル2は、透明な樹脂からなり、プラグ3が収容される収容穴23が形成された本体部20と、収容穴23の終端に設けられた第2のレンズ25と、プラグ3を固定する固定部27と、支持基板7に形成された嵌合穴70に嵌合する突部26とを有している。
【0025】
収容穴23は、プラグ3が収容される第1筒部231と、第2のレンズ25が設けられた第2筒部232とを一体に有している。第2筒部232の内径は、第1筒部231の内径よりも小さく形成されている。これにより、第1筒部231と第2筒部232との間には、段差面23aが形成されている。プラグ3は、第1のレンズ33が設けられた側の端面31aが段差面23aに突き当てられ、固定部27によって固定される。固定部27は、本体部20の配線基板4とは反対側の端面20aから光ファイバ8の延伸方向に平行な方向に延在する延在部271と、延在部271の端部に形成された係止部272とを有する。プラグ3は、固定部27の係止部272がプラグ3における端面31aとは反対側の端面31bに係止することにより、レセプタクル2に固定されている。
【0026】
本体部20には、固定部27が設けられた端面20aとは反対側の端部に、第1の突起21及び第2の突起22と、光電変換素子61及び半導体回路素子62を収容するための収容空間24とが形成されている。収容空間24は、第1の突起21と第2の突起22との間に形成されている。
【0027】
第2のレンズ25は、第1のレンズ33に対向して配置されている。光ファイバ8、レンズ部13を構成する第1のレンズ33及び第2のレンズ25、及び光電変換素子61は、それぞれの中心軸が一致するように配列されている。
【0028】
突部26は、支持基板7の嵌合穴70内を上面7aから下面7bに向かって延びる一対の脚部261と、一対の脚部261の端部にそれぞれ形成された円弧状の係止部262とを有している。レセプタクル2は、突部26の係止部262が支持基板7の下面7bに係止することにより、支持基板7に固定されている。
【0029】
(配線基板4の構成)
図2は、配線基板4を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。なお、第1の突起21及び第2の突起22を二点鎖線で示している。
【0030】
配線基板4は、基材40の表面40aに例えば銅箔からなる導体パターン43を形成してなる。
図2(a)及び(b)では、基材40の表面40aのみに導体パターン43が形成されているが、基材40の裏面にも導体パターン43が形成されていてもよい。
【0031】
光電変換素子61と半導体回路素子62とは、ボンディングワイヤ9aによって電気的に接続されている。半導体回路素子62は、複数のボンディングワイヤ9bによって導体パターン43に電気的に接続されている。本実施の形態では、導体パターン43は、電源用、接地用、通信信号用、及び制御信号用の配線パターンを有し、それぞれのパターンがボンディングワイヤ9bを介して半導体回路素子62に接続されている。
【0032】
導体パターン43の四隅には、光電変換素子61及び半導体回路素子62を実装する際の位置合わせを精度よく行うための認識マーク45がそれぞれ設けられている。本実施の形態では、認識マーク45は四角形状であるが、種々の形状のものを用いることができる。
【0033】
なお、配線基板4には、光電変換素子61及び半導体回路素子62の他に、コネクタやIC(Integrated Circuit)、あるいは能動素子(トランジスタ等)や受動素子(抵抗器、コンデンサ等)などの電子部品を実装することが可能である。
【0034】
図2(a)及び(b)に示すように、第1の凹部41は光電変換素子61側に形成され、第2の凹部42は半導体回路素子62側に形成されている。第1の凹部41及び第2の凹部42はそれぞれ、周縁が導体パターン43の端面43aによって形成されている。本実施の形態では、第1の凹部41及び第2の凹部42が、配線基板4の平面視において長方形状である。なお、第1の凹部41及び第2の凹部42の形状は、例えば台形状や円形状等であってもよい。
【0035】
本実施の形態において、第1の凹部41は、その周縁が導体パターン43における互いに平行する端面43a
1、及び端面43a
2、ならびに端面43a
1、及び端面43a
2、に直交する端面43a
3によって形成されている。第2の凹部42は、その周縁が導体パターン43における互いに平行する端面43a
11、及び端面43a
12、ならびに端面43a
11、及び端面43a
12、に直交する端面43a
13によって形成されている。
【0036】
光結合部材11は、第1の突起21の外周面が第1の凹部41における導体パターン43の端面43a
1,43a
2,43a
3に当接すると共に、第2の突起22の外周面が第2の凹部42における導体パターン43の端面43a
11,43a
12,43a
13に当接することにより、第2のレンズ25の焦点に光電変換素子61の受発光部610が一致するように、精度よく位置決めされる。
【0037】
配線基板4は、支持基板7に沿う第1領域4a、光結合部材11に沿う第2領域4b、及び第1領域4aと第2領域4bとの間に形成された第3領域4cからなる。本実施の形態では、第1領域4aは支持基板7に平行となるように配置され、第2領域4bは支持基板7に対して垂直となるように配置される。第3領域4cは、第1領域4aと第2領域4bとの間で湾曲する。
【0038】
配線基板4は、支持基板7に固定されたメスコネクタ63(
図1参照)に第1領域4aの端部にあたる嵌合部44が挟持されると共に、第1領域4aと第2領域4bとの間の第3領域4cが弾性的に湾曲している。すなわち、第3領域4cが弾性的に湾曲することにより、第2領域4bが光結合部材11に押し付けられる。
【0039】
(光モジュール1の動作)
次に、
図1を参照して光モジュール1の動作について説明する。ここでは、光電変換素子61がVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting LASER、垂直共振器面発光レーザ)であり、半導体回路素子62がこの光電変換素子61を駆動するドライバICである場合を中心に説明する。
【0040】
光モジュール1は、支持基板7から動作電源が供給されて動作する。この動作電源は、メスコネクタ63及び配線基板4を介して光電変換素子61及び半導体回路素子62に供給される。また、半導体回路素子62には、支持基板7からメスコネクタ63及び導体パターン43を介して、光ファイバ8を伝送媒体として送信すべき信号が入力される。半導体回路素子62は、入力された信号に基づいて光電変換素子61を駆動する。
【0041】
光電変換素子61は、レセプタクル2の第2のレンズ25に向かってレーザ光を出射する。第2のレンズ25に入射したレーザ光は支持基板7に平行な光束Fとなり、プラグ3の第1のレンズ33に入射する。第1のレンズ33に入射したレーザ光は光ファイバ8の端面8aから光ファイバ8のコアに入射する。
図1では、レーザ光の光軸Lと光束Fを二点鎖線で示している。
【0042】
なお、光電変換素子61が例えばフォトダイオードであり、半導体回路素子62が受信ICである場合には、光の進行方向が上記とは逆となり、光電変換素子61が受信した光信号を電気信号に変換して半導体回路素子62に出力する。半導体回路素子62は、この電気信号を増幅し、配線基板4及びメスコネクタ63を介して支持基板7側に出力する。
【0043】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第1の実施の形態によれば、以下に示す作用及び効果が得られる。
【0044】
(1)光結合部材11は、第1の突起21と配線基板4の第1の凹部41との係合、及び第2の突起22と配線基板4の第2の凹部42との係合によって配線基板4に対して位置決めされるため、光電変換素子61と光結合部材11との位置合わせを高精度に行うことができる。つまり、光電変換素子61は認識マーク45を基準として配線基板4の導体パターン43に対して高精度に位置決めされ、第1の凹部41及び第2の凹部42はそれぞれ、周縁が導体パターン43の端面43aによって形成されているので、第1の突起21と第1の凹部41との係合、及び第2の突起22と第2の凹部42との係合により、光電変換素子61と光結合部材11との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0045】
(2)光結合部材11は、光電変換素子61及び半導体回路素子62が実装された側の面(基材40の表面40a)に形成された導体パターン43の端面43aに係合する。すなわち、配線基板4は、第1の凹部41及び第2の凹部42と認識マーク45とを同一面に有しているため、光結合部材11と光電変換素子61との位置合わせをより精度よくすることができる。
【0046】
(3)光結合部材11は、光ファイバ8の端部を収容する収容部32と、光ファイバ8を伝搬する光を集光するレンズ部13とを一体に有しているため、光ファイバ8の端面8aとレンズ部13との位置合わせを高精度に行うことができる。
【0047】
(4)配線基板4は、弾性変形可能な可撓性を有するフレキシブル基板であり、弾性変形によって発生する復元力により基材40が光結合部材11に押し付けられているため、プラグ3をレセプタクル2に着脱する際の応力によりレセプタクル2が支持基板7に対して位置ずれしても、その位置ずれを吸収して第1の突起21と第1の凹部41との係合、及び第2の突起22と第2の凹部42との係合を維持することができる。
【0048】
(5)配線基板4は、支持基板7に固定されたメスコネクタ63に嵌合部44が挟持されると共に、第2領域4bがレセプタクル2に対向することで第3領域4cが湾曲するので、配線基板4を湾曲させるためのガイド部材等の専用の部品を要しない。これにより、部品点数を削減し、光モジュール1を小型かつ低コストに構成することができる。
【0049】
(変形例)
また、第1の実施の形態に係る光モジュール1は、例えば以下のように変形して実施することも可能である。なお、以下の説明において、第1の実施の形態について説明したものと同一の機能を有する部材については共通する符号を付し、その重複した説明を省略する。
【0050】
図3は、第1の実施の形態の変形例に係る光モジュール1Aを示し、(a)は構造の一例を示した断面図、(b)は(a)のB部拡大図、(c)は(a)のC部拡大図である。
【0051】
本変形例に係る光モジュール1Aは、光結合部材11Aの第1の突起21A及び第2の突起22Aの形状が、第1の実施の形態に係る光結合部材11の第1の突起21及び第2の突起22の形状と異なる。また、本変形例に係る配線基板4Aは、その形状が第1の実施の形態に係る配線基板4の形状と異なる。
【0052】
図3(a)及び(b)に示すように、配線基板4Aの導体パターン43Aは、基材40の表面40aに形成された第1の導体パターン431と基材40の裏面40bに形成された第2の導体パターン432とからなる。配線基板4Aには、第1の導体パターン431によって形成された第1の貫通孔401及び第2の貫通孔402が、光結合部材11Aと係合する係合部として形成されている。第1の貫通孔401及び第2の貫通孔402は、導体パターン431の端面431aを内面として含んでいる。
【0053】
レセプタクル2Aの第1の突起21Aは、
図3(b)に示すように、第1の貫通孔401を貫通する基部211と、基材40の裏面40bに接触する鍔部212とを一体に有している。鍔部212は、第1の貫通孔401から突出した基部211の先端部を熱で溶融させることにより形成される。
【0054】
同様にして、
図3(c)に示すように、第2の突起22Aは、第2の貫通孔402を貫通する基部221と、基材40の裏面40bに接触する鍔部222とを一体に有している。鍔部222は、第2の貫通孔402から突出した基部221の先端部を熱で溶融させることにより形成される。
【0055】
本変形例では、光結合部材11Aは、第1の突起21Aと配線基板4Aの第1の貫通孔401との係合、及び第2の突起22Aと配線基板4Aの第2の貫通孔402との係合によって、配線基板4Aに対して位置決めされている。
【0056】
次に、
図4を参照して配線基板4Aの形成過程を説明する。
図4(a)〜(c)は、第1の実施の形態の変形例に係る配線基板4Aの形成過程を示す断面図である。
【0057】
配線基板4Aの形成過程は、基材40の表面40aに第1の銅箔431bを形成すると共に、裏面40bに第2の銅箔432bを形成する第1過程と、第1の銅箔431bの一部を除去して第1の導体パターン431を形成すると共に、第2の銅箔432bの一部を除去して第2の導体パターン432を形成する第2過程と、第1の銅箔431bが除去された除去部分431cにレーザ光を照射することにより基材40を照削する第3過程とを有している。以下、第1〜第3過程について、より詳細に説明する。
【0058】
第1過程では、
図4(a)に示すように、基材40の表面40aに第1の銅箔431bを、裏面40bに第2の銅箔432bを、例えば接着、蒸着、又は無電解メッキ等によってそれぞれ形成する。本変形例では、第1の銅箔431b及び第2の銅箔432bの厚みが例えば75μmであり、基材40の厚みが例えば50μm〜100μmである。
【0059】
第2過程では、
図4(b)に示すように、エッチングによって第1の銅箔431bの一部を除去し、第1の導体パターン431及び複数(本変形例では2つ)の除去部分431cを形成する。同様に、エッチングによって第2の銅箔432bの一部を除去し、第2の導体パターン432及び複数(本変形例では2つ)の除去部分432cを形成する。
【0060】
第1の銅箔431bが除去された除去部分431cと第2の銅箔432bが除去された除去部分432cとは、基材40を介して対向している。第2の銅箔432bが除去された除去部分432cの面積は、第1の銅箔431bが除去された除去部分431cの面積よりも大きく、配線基板4Aを裏面40b側から見た場合に、第2の銅箔432bが除去された除去部分432cが第1の銅箔431bが除去された除去部分431cの全体を含むように形成されている。
【0061】
第3過程では、第1の銅箔431bが除去された2つの除去部分431cの範囲において、基材40の表面40aに対してレーザ光を照射し基材40を表面40aから裏面40bにかけて照削する。レーザ光は、例えばエキシマレーザやUVレーザ(紫外線レーザ)を用いることができる。以上により、第1の貫通孔401及び第2の貫通孔402を形成することができる。
【0062】
本変形例では、第1の実施の形態の(1)〜(5)の作用及び効果の他に、以下の作用及び効果がある。
【0063】
第1の貫通孔401及び第2の貫通孔402は、第1の銅箔431bをレジスト膜として用いて基材40にレーザ光を照射して形成されるため、高精度な貫通孔として形成することができる。
【0064】
また、第1の貫通孔401及び第2の貫通孔402は、第1の導体パターン431の端面43aを内面として含み、基材40を貫通するため、第1の突起21A及び第2の突起22Aとの係合深さが深くなる。これにより、光電変換素子61と光結合部材11との位置合わせをより確実に行うことができる。さらに、第1の実施の形態に比べて、第1の銅箔431b及び第2の銅箔432bの厚みを薄くしても、第1の突起21A及び第2の突起22Aとの係合を確実にすることができる。
【0065】
また、光モジュール1Aは、裏面40bに第2の導体パターン432が形成されているため、例えば第2の導電パターン432をグランドパターンとすることにより高周波信号への対応も容易となる。さらに、導体パターン43Aは、第1の導体パターン431及び第2の導体パターン432の二層配線からなるため、一層配線に比べて放熱効率が向上する。
【0066】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図5を参照して説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る光モジュール1Bの一例を示す断面図である。
【0067】
本実施の形態に係る光モジュール1Bは、配線基板4Bの形状が第1の実施の形態に係る配線基板4の形状と異なり、それ以外の構成は第1の実施の形態に係る光モジュール1の構成と同様である。
【0068】
配線基板4Bは、例えばガラス繊維にエポキシ樹脂をしみ込ませて熱硬化処理を施した板状の基材40Aの表面40Aaに導体パターン43を形成した平板状のガラスエポキシ基板である。
図5では、導体パターン43は基材40Aの表面40Aa側にのみ形成されているが、裏面40Ab側にも導体パターン43が形成されていてもよい。
【0069】
本実施の形態では、配線基板4Bは、嵌合部44が支持基板7に対して垂直な方向からメスコネクタ63に嵌合している。メスコネクタ63に収容された複数の接続端子630は、その一端が導体パターン43に接続され、他端が支持基板7の上面7aに実装された図略の電極に接続されることにより、配線基板4Bと支持基板7の電極とが電気的に接続されている。
【0070】
第1の凹部41及び第2の凹部42は、配線基板4Bのレセプタクル2との対向面(表面40Aa)に設けられている。より具体的には、第1の凹部41は光電変換素子61側に配置され、第2の凹部42は半導体回路素子62側に配置されている。つまり、光電変換素子61は、第1の凹部41と第2の凹部42との間に実装されている。
【0071】
光結合部材11は、第1の突起21と、周縁が導体パターン43の端面43aによって形成された第1の凹部41との係合、及び第2の突起22と、周縁が導体パターン43の端面43aによって形成された第2の凹部42との係合によって配線基板4Bに対して位置決めされている。なお、基材40Aにレーザ光を照射して貫通孔を形成し、第1の突起21及び第2の突起22を貫通孔に係合させてもよい。
【0072】
(第2の実施の形態の作用及び効果)
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の(1)〜(3)の作用及び効果の他に、以下の作用及び効果がある。
【0073】
本実施の形態に係る配線基板4Bの基材40Aは硬質な材質からなるため、その剛性によって光結合部材11の第1の突起21が配線基板4Bの第1の凹部41に係合すると共に、第2の突起22が配線基板4Bの第2の凹部42に係合した状態を維持することができ、光結合部材11と光電変換素子61との位置決めを高精度に行うことができる。
【0074】
(実施の形態のまとめ)
次に、以上説明した実施の形態から把握される技術思想について、実施の形態における符号等を援用して記載する。ただし、以下の記載における各符号等は、特許請求の範囲における構成要素を実施の形態に具体的に示した部材等に限定するものではない。
【0075】
[1]導体パターン(43,43A)が形成された基板(配線基板4,4A,4B)と、前記基板(配線基板4,4A,4B)に実装された光電変換素子(61)と、前記光電変換素子(61)と光ファイバ(8)とを光学的に結合する光結合部材(11,11A)とを備え、前記基板(配線基板4,4A,4B)は前記導体パターン(43,43A)によって係合部(第1の凹部41,第2の凹部42/第1の貫通孔401,第2の貫通孔402)を形成し、該係合部(第1の凹部41,第2の凹部42/第1の貫通孔401,第2の貫通孔402)と前記光結合部材(11,11A)とを係合させることにより、前記光結合部材(11,11A)を前記基板(配線基板4,4A,4B)に対して位置決めする光モジュール(1,1A,1B)。
【0076】
[2]前記係合部(第1の凹部41,第2の凹部42)は、その周縁が前記基板(配線基板4,4A,4B)の前記光電変換素子(61)が実装された側の面(表面40a,40Aa)に形成された前記導体パターン(43,431)の端面(43a,431a)によって形成されている、[1]に記載の光モジュール(1,1A,1B)。
【0077】
[3]前記係合部(第1の貫通孔401,第2の貫通孔402)は、前記導体パターン(431)の端面(431a)を内面として含み、前記基板(配線基板4A)を貫通する貫通孔(第1の貫通孔401,第2の貫通孔402)である、[1]に記載の光モジュール(1A)。
【0078】
[4]前記光結合部材(11,11A)は、前記光ファイバ(8)の端部を収容する収容部(32)と、前記光ファイバ(8)を伝搬する光を集光するレンズ部(13)とを有する、[1]乃至[3]の何れか1項に記載の光モジュール(1,1A,1B)。
【0079】
[5]前記基板(配線基板4,4A,4B)は、支持部材(支持基板7)に固定されたコネクタ(メスコネクタ63)に一端部(嵌合部44)が挟持され、前記光結合部材(11,11A)は、前記支持部材(支持基板7)に形成された嵌合穴(70)に嵌合する突部(26)を有する、[1]乃至[4]の何れか1項に記載の光モジュール(1,1A,1B)。
【0080】
[6]前記基板(配線基板4,4A)は、弾性変形可能な可撓性を有するフレキシブル基板であり、弾性変形によって発生する復元力により前記光結合部材(11,11A)に押し付けられている、[1]乃至[5]の何れか1項に記載の光モジュール(1,1A)。
【0081】
[7]前記基板(配線基板4,4A)は、支持部材(支持基板7)に固定されたコネクタ(メスコネクタ63)に一端部(嵌合部44)が挟持されると共に、前記支持部材(支持基板7)に沿う第1領域(4a)と前記光結合部材(11,11A)に沿う第2領域(4b)との間が弾性的に湾曲した、[6]に記載の光モジュール(1,1A)。
【0082】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【0083】
本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態では、光結合部材11のレンズ部13がプラグ3に設けられた第1のレンズ33、及びレセプタクル2に設けられた第2のレンズ25の2つのレンズから構成されている場合について説明したが、これに限らず、レセプタクル2側にのみレンズが設けられていてもよい。
【0084】
また、上記実施の形態では、光結合部材11に第1の突起21及び第2の突起22が形成され、配線基板4に第1の凹部41及び第2の凹部42が設けられた場合について説明したが、これに限らず、例えば光電変換素子61及び半導体回路素子62を囲むように4つの凹部が形成され、4つの凹部に係合する4つの突起が光結合部材11に形成されていてもよい。すなわち、光結合部材11側の突起及び配線基板4側の凹部の数に制限はない。
【0085】
また、上記実施の形態では、光結合部材11側に第1の突起21及び第2の突起22が形成され、配線基板4側に第1の凹部41及び第2の凹部42が設けられた場合について説明したが、これに限らず、光結合部材11側に凹部を形成し、配線基板4側に突起を設けてもよい。
【0086】
また、上記実施の形態では、支持基板7に1つの光モジュール1を実装した場合について説明したが、これに限らず、支持基板7に複数の光モジュール構造を形成してもよい。
【0087】
また、上記実施の形態では、レーザ光によって基材40を照削した場合について説明したが、これに限らず、ダイシング等の機械加工によって基材40を照削してもよい。機械加工の場合、レーザ光による加工よりも低コストで第1の貫通孔401及び第2の貫通孔402を形成することが可能である。
【0088】
また、上記実施の形態では、光モジュール1に対して1本の光ファイバ8が装着されていた場合について説明したが、これに限らず、複数の光ファイバ8が装着されるように光モジュール1を構成してもよい。
【0089】
また、上記実施の形態では、配線基板4に光電変換素子61及び半導体回路素子62が1つずつ搭載されていた場合について説明したが、これに限らず、複数の光電変換素子61及び複数の半導体回路素子62が搭載されていてもよい。
【0090】
また、光モジュール1を構成する各部材の材質も、上記実施の形態に記載したものに限らない。